こんにちは。
V系深読みライターの神谷敦彦です。 

曲やキャラクターの魅力はもちろんですが、
ミュージシャンのあの「自分が満足できる生き方を見つけて生きています」
というような姿勢に惹かれます。
本日はどういった発言があると「唯一無二」と思うのかを分解してみました。

ひとつは「自分がつくっている音楽に名前をつける」という方法です。
V系が「V系」という名前がつけられたから憧れるひとたちが生まれて
ひとつのシーンになっていった流れと近いです。
例として清春さんとR指定のマモさんがいらっしゃいます。


もうひとつはいまの主流が取りこぼしている領域を見つけて、
その領域のトップになるという方法です。
かつて教科書にまず載らない、親に紹介しにくい音楽として
V系が勢力を強めていったものに近いです。
「ヴィジュアル・ショックの大魔王」として掲載されていた
アリス・クーパーさんがわかりやすく言葉にされていました。

ミュージシャンの方の多くは「自分たちにしかできない音楽」であることを信じて、
私たちファンは「あの人たちにしかできない音楽」だから心が動かされます。
そのすべてが永続するように、「名前をつける」と「ポジションをはっきりさせる」を挙げてみます。

【目次】 
(1)名前をつけるとオリジナルに近づく
(2)流行りの反対はがら空き
(3)編集後記

(1)名前をつけるとオリジナルに近づく
清春さんがVJS2016に出演されている様子を見ると
V系と括られることを許容しているように思います。
その歌い方からも後のV系のひとつのフォーマットをつくったとも感じられます。
けれど、戦国期のV系とは違う香りがします。

その違いを単に「V系とは違う」と退けるのではなく
自分の音楽がしていることを名前をつけることで
違いを明確にされています。
清春さんが好んで用いているのが「美学系」です。
■清春さんの「MASSIVE Vol.29」インタビューからの引用
よく美学系って言われるんですね。
ヴィジュアル系を卒業した人がそう呼ばれるのか何なのか(笑)。
その理由はともかく、そう言われるからには、やっぱり美学を持ってる人、
本当の美学を持ってる人がいないといけないと思っていて。
V系とは違った名前を自分の音楽につけることで
V系という名称を使うことなく自分の音楽を語ることができるようになります。
しかもV系が「見た目系」という蔑称の意味を含むこととは反対に
「美学系」は中身に注目することを促せます。

こうすれば「V系よりも●●●」というように
V系を下げることなく自分の音楽を説明できるようになります。
「美学系」というかつて使われていた言葉を再度使うことで
歴史があることも打ち出せる利点があります。

最近ではV系の中のサブジャンルになりつつもある「メンヘラ系」もまた
名前をつけることで注目を集め始めた一例です。
初期のV系から脈々と受け継がれている「ネガティブ」に
「メンヘラ」という名前をつけたのは
R指定のマモさんであるということが
本人の口からも発信されています。
■R指定のマモさんの「ROCK AND READ BAND」
俺は自分たちが「ヴィジュアル系×メンヘラ路線」というのを
初めて表にバンっと出したと思っていて。
しかし名前をつけることは利点ばかりではありません。
名前をつけることでリスナーの方の注目だけでなく
「おれも●●●になりたい」というフォロワーも生みます。
時にそれは形だけを採り入れて中身は無視する形骸化を招きます。
マモさんも感じられているようです。
■R指定のマモさんの「ROCK AND READ BAND」
R指定って変な手本になっている感じがするんですよ。
(中略)
最近はメンヘラ路線を入れれば売れるって思っているバンドが多いように感じてるんですよ。
そこは手本にしてもらいたくないなって。
V系のそのサブジャンルのメンヘラ系も
名前を獲得することでひとつのシーンが出来上がります。
同時に形だけを真似する形骸化がはじまって
そのシーンは衰退していきます。
これが新陳代謝といえばそうなのかもしれませんが、
愛着をお持ちの方にとってはフォロワーは遠ざけたいかもしれません・・・・・・。

(2)流行りの反対はがら空き
「美学系」や「メンヘラ系」といった名前をつけることの他に
もうひとつ「自分たちだけの音楽」を主張する方法があります。
それがいまの主流の反対のポジションを取るというものです。
V系もチャートや教科書のカウンターカルチャーとしての側面が強かったこともあり、
シーン自体が反対のポジションを取った例です。

「ヴィジュアル・ショックの大魔王」というキャッチコピーに鷲掴みされました。
アリス・クーパーさんという存在は「ヘドバン Vol.14」で初めて知った方です。
「ロックの世界に悪役がいなかった」というポジション取りの視点を披露されています。
■アリス・クーパーさんの「ヘドバン Vol.14」インタビューからの引用
ロックの世界には悪役がいないということに気づいたんだ。
ピーター・パンばかりで、キャプテン・フックが見当たらなかったのさ!
それでロックにも素晴らしい悪役が必要だと思い、
俺がジョーカーやダース・ベイダー、ドラキュラなどを合体させた
悪役のロック・スターになろうと思い立ったのさ!
「悪役のロック・スター」というポジションを見つけて取りに行ったアリス・クーパーさん。
これは特に「流行りものに媚びたくない。けれど同じくらいの影響力を持ちたい」という方にとって、
とても魅力的な考え方ではないでしょうか。
主人公よりも敵サイドのボスが好きな方、一定数いますね。

アリス・クーパーさんはさらに、「悪役のロック・スター」を
誰でも知っているキャラクターに例えることもしています。
「ジョーカーやダース・ベイダー、ドラキュラ」の方が
「悪役のロック・スター」をすぐにイメージできます。
具体度が高いですね。

主流とは真逆のポジションを取りにいって、
同時に誰もが知っているキャラクターになぞらえて
一度聴いただけでイメージができるようにする。
これがキャッチコピーの作り方のお手本かもしれません。

忌野清志郎さんも「歌われていないことを探せ」と仰っていました。
「まだないものを探す」はゼロからつくるというような困難さがあるので
「いまあるものの反対を探す」であれば観察する対象は流行という
目に見えるものになるので、少しやるべきことがわかりやすいです。
■忌野清志郎さんの「ロックで独立する方法」からの引用
歌詞にしても「他人がまだ何を歌っていないか」を探してほしい。
まだまだ「歌われていないこと」は山ほどあるはずだ。
「俺たちだけの音楽」を口で説明するのは
ミュージシャンの方にとって不本意でしょう。
けれど、ミュージシャンでない方に聴かせることが多いので
説明しなければなりません。
そのときには「名前をつける」と「反対のポジションを取る」ことで
説明せずとも解説できるようになるかもしれません。

(3)編集後記
名前をつけることもポジションを取ることも
どちらも創始者、初代という地位を獲得することになります。
最初に始めたひとはそのシーンの歴史に書かれるので
永遠を求めるタイプのミュージシャンの方は必須の作業のようです。

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