「あらすじ」
映画を見るのが好きで、映画観賞を続けるうちに人間の言葉を話せるようになったカラス
ある家のベランダで出会った少女に、声をかけてみたところその少女は眼球を持ってなくてカラスを人間だと信じ話相手になってくれた。
あるときプレゼントといってカラスが少女に差し出したのは、人間の眼球。
それを少女がはめた時、その眼球から少女の脳に送り込まれる提供者が生前見た映像の数々!
眼球は映像を記憶していたのだ!こいつはすごい。
カラスは少女が喜ぶのが嬉しくて、次々と眼球を少女のためにプレゼントし始めます。
少女は自分の話相手がカラスだということも、次々とプレゼントされるさわりごごちのよい弾力ある「つめもの」が、生きた他人の眼球だということも、全く想像もしていませんでした。
ある日、少女の家族からの知らせで眼球移植の手術を受けることが決まります。
手術に成功すれば、目が見えるようになる!
私に素敵な「つめもの」を届けてくれる「親切な人」の姿をこの目で見ることができるのです。
カラスは苦悶します。
ああ、この少女が本当のことを知ったらどんなに嘆き悲しむことだろう…。
しかし少女の幸せのために手術は絶対受けた方がいい。
カラスはもう2度と少女の前に姿を現さないようにしようと決心して、最後の、とっておきのプレゼントを渡します。
そして・・・(ラストは本編を読んでください)
「感想」
なかなか面白かったです。眼球が記憶を持っているというのは暗黒童話本編の方でも出てくる設定です。
眼球、記憶、というのは乙一先生お得意のアイテムですからw
人間の言葉を理解し、会話することができるインモラルな生き物…カラス
なんか都会のカラスって頭いいみたいだから中には人間の言葉理解する奴も出てくるかも知れないよね。
悪気はないけど、すごい残虐なことしてる。っていう設定からして楽しいです。
あらすじで伏せた最後は、実は僕的には物足りないのですが、多分それは乙一の狙い通りです。
というのは、小説の中の小説なので作者は乙一ではないから。
乙一が作者ならあんなイマイチな最終回にはなりません。
しかし乙一以外の小説家なら、あんなもんでしょ。と。
つまり彼は、自分の小説の中に登場する小説家に対し自分と同等の才能までは与えなかったのです。
なぜなら自分と同等の才能を持った小説家などそうは存在しないであろうことを知っているから。
だからあえて平凡な終わらせ方をしたのです。多分。
さて「暗黒童話」本編の方はどうかというと、これはまだ読み終わってないのであれですけど、ちょっとだけネタバレしちゃいます。
まず主人公私は女子高生「白木菜
深(なみ)」
ひょんな事故で左の眼球を失います。
と同時に、菜深としての人格を形成する源となる一切の記憶を喪失します。
自分の家も、自分の部屋も、家族も、友人も、全ての記憶をなくした菜深。
以前は明るく、優等生だったという菜深。しかし今の私は何をやっても駄目でした。
「昔の菜深は、あなたのような子ではなかった」
もっとも落胆したのは母親でした。
クラスの友人(だった人たち)も、以前の菜深とは全く別人になった私から遠ざかるようになっていきました。
完全に自分の居場所を失った私・・・昔、
優等生の菜深だった肉体に宿った「別人格」
私は一生懸命、みんなに、特に母親に認められようと努力をしますが、いつも菜深と比較されてしまい認めてもらえません。
そんな時、移植手術で手に入れた左の眼球が、私の脳に映像を送り込み始めます。
それは提供者「冬
月和
弥」の生前の記憶でした。
ブランコ、2本のレール、ひげ親父、など何か和弥の記憶に関連のあるものを私が見た瞬間に、唐突に再生ボタンを押されたVTRのように左の眼球が熱を帯び映像を再生し始めるのです。
それは目を閉じても、目を開けていても、視線をどこに向けようとも止まらない半透明な映像でした。
もちろん、最初は白昼夢でも見たのかと考えていましたが、だんだんそれが左の眼球の持ち主が過去にみた記憶の断片なのだということに気がつき始め、空虚な私の記憶を埋める宝物のように恋焦がれるように、和弥の記憶を見てはノートに書きとめはじめます。
和弥の両親は和弥が小さい頃に目の前で不幸な事故に遭いなくなったこと、和弥には年の近い姉「冬
月砂織」がいつも一緒にいて和弥の母親代わりになって面倒をみてくれたこと、和弥が住む町の地下室がある屋敷に両手両足を切断されて監禁されている少女(相沢瞳)を偶然にも目撃し、助けようとしたところ監禁している屋敷の主に見つかり殺されてしまったこと、などが左の眼球から送られる映像から解ります。
そして、自分とそっくりの女子高生が手術室のベッドで上を向いている映像を彼女の右側から水槽越しに見るような映像、ベッドの上の女子高生がこちらを向いたとき、彼女の左の眼窩にあるはずの眼球が無かったのを左の眼球を通して見たとき、わたしは確信するのです。
間違いない!和弥はわたしに左の眼球を提供してくれた実在の人間だ!
和弥は死んでしまったが、その姉の砂織は生きているはずだ。きっと悲しんでいるに違いない!会いたい!
そしてあの監禁少女(相沢瞳)もまだ生きている可能性が高い。
ニュースで少女が1年前に行方不明になったことを知り、和弥が少女を助けようとした2ヶ月前は彼女は地下室で生きていたことを眼球で知った。
犯人はまだ少女を生かしているだろう。
なんとか証拠をつかんで警察に通報できないだろうか・・・。
劣等生「白木菜深」の冒険が始まりました。
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暗黒童話 銃とチョコレート 夏と花火と私の死体