ハードディスクの整理をした。

懐かしいサイトのデータや、ボツになったデザインデータなどなど、その時の状況を思い出して笑ってしまったりやなんやで無駄に時間を食ってしまった。

懐かしいデータの中に、もう何年も前に相方から送られてきたデータも残っていた。


相方と一緒に仕事をする時は、相方がデザイン担当、私がコーディング担当。
大きく分けるとだいたいその形で仕事を進めている。

相方のデザインは素晴らしい。
一緒に仕事をし始めた時からそう思っていたし、今でもそれは変わらない。

そんな素敵デザインを作れる相方も時にはデザイン迷走をする時もある。
そんな時はいつも私に意見を聞いてくれた。

「これどうよwwww」

作業中に突然モニタ右下から立ち上がる相方からのチャットウィンドウに目を移すと、そこには迷走しまくりの相方のデザインが送られている。

迷走する際は良い方向へ向かっている時もあるが、まぁ私にこんな風に呼びかけてくる時は悪い方向への迷走である場合が多い。

私は即返事をする。
「ぶははははwwwwwwww」


もう一度言うが、相方のデザインはとても素敵だ。
そんな素敵デザインを作れる相方にも天敵がいる。

「クライアントの単純な好みだけによるデザイン変更指示」

私自身もデザイナとして仕事をしているので、そういったクライアントの好みひとつで「あーだこーだ」とデザイン変更を余儀なくされ、それが気がおかしくなるほど続き…気が付いたら私の最早私のデザインではなかったということが多々ある。
故に、そんな迷走時の相方も気持ちはとてもよくわかった。

デザインを生業にしている方なら誰しもが一度は経験したことであるであろう手直し。
デザイナはクリエイターではない。重々承知している。
クライアントの意見や主張をデザインへ反映し、それがクライアントの利益に繋がるように努力するのが仕事です。
しかしながら、良い方向へ変わっていく様は気持ちも上向きになるが、明らかに劣化していっているのをわかりながらも作業を進めなくてはならないストレスはとても辛い。

クライアントの言う「綺麗めで大人っぽいデザイン」というイメージが必ずしも品のある洗練されたデザインを指すわけではない。意図するものが私が考えるソレとまったくもってかけ離れた得体のしれないものである事もある。

今日「絶対これはどう考えても赤だよね。絶対赤にして」と言われたものが、次の日「やっぱり黒かなって思うんだよね。僕デザインセンスあるから間違いないよ」と同じ人間に言われる事もある。

公開するまで油断するな。
サイト担当者が絶賛しOKが出て、サイト公開まであと少しというところで「やっぱり社長が赤でないと嫌だというから赤にして?(僕悪くないよ社長が言ってるんだよ)」
何度も確認を取りながら時間をかけて育てていったデザインでも、鶴の一声でひっくり返ることもある。

書き出せばキリがないが、理不尽な事は多々ある。
そのデザインの持つ意味も、webサイトにおける慣習も、理論に基づいた色彩設定も、一瞬でひっくり返るのも珍しい事ではない。

それでいて、そういうケースに遭遇した場合、デザイナの話を聞かない相手が多い。
どれだけデザインの意味を説明しても、その変更に伴うデメリットを説明しても、聞かない。もう僕の言うとおりにしてくれなきゃ嫌だぁぁぁぁと駄々をこねだす勢いだ。
自分はセンスがある、自分の言う通りにだけしてくれるデザイナがほしい、そんなクライアントに何度も遭遇した。

後ろ向きに「なんでこんな目に会うんだ」なんて思ってはいけない。
そんな時は笑いに変えるしかない( ー`дー´)キリッ


「これどうよwwww」

相方からの呼びかけはそんな時のSOSなのである。
なんで私こんな悲しいデザイン作ってんのwwwwと大量の草を生やしながら心で泣いてる、戦うデザイナのお話。

同じように感じてくれる人の存在。同意。共感。
そういった気持ちや対応に私自身どれだけ救われただろう。
仕事の話だけに限らず、いつも彼女と話をしている時は笑っていられる。
どんなに落ち込んでいても話し終わるといつも元気になっている。
相方にとっての私もそうでありたいと常に思う。

相方はやっぱり素敵ウーマンである。

が、やはりこの久々に見たデザイン案(ボツ)はやはりネタかと思うほどの迷走ぶりであった。
安心してくれ相方。我がPCからこの貴方の苦節の記録を削除するとしよう。
さよなら想い出。南無。