ZARD「OH MY LOVE」 B-Gram RECORDS 1994年6月4日発売
(収録曲)
1.Oh my love ★★★★
2.Top Secret ★★★★
3.きっと忘れない ★★★★★+1
4.もう少し、あと少し... ★★★★
5.雨に濡れて ★★★★★
6.この愛に泳ぎ疲れても ★★★★
7.I still remember ★★★★★
8.If you gimme smile ★★★★★
9.来年の夏も ★★★★
10.あなたに帰りたい ★★★★

総評★★★★★

本作はZARDの5枚目のオリジナルアルバム。ZARDの最高傑作と言ったら本作を私は挙げる。本作には「負けないで」や「揺れる想い」などのような国民的に浸透した大ヒット曲は収録されていない。ただ、アルバム制作には織田哲郎、栗林誠一郎という90年代ZARDを支えた二大巨匠が関わっていて、かつ、どの曲も良い意味で統一感があるからか前作「揺れる想い」と同等、・・・いやそれ以上の完成度に仕上がっていると個人的には思う。その結果、売上は200万枚に及び、前作アルバム「揺れる想い」の223万枚に匹敵するセールスを記録した。
そしてボーカル坂井泉水の声は16年間のキャリアのどの時期も好きだが、特に好きなのはこの頃の声質前作「揺れる想い」以前よりもさらに柔らかく、後期のアダルトな声質よりも高音、低音ともに綺麗に透き通っているので聴いていて本当に癒される。ネット上で見つけたこの作品のに関するレビューでこの時期の坂井の声質を「笑声」と表現されている方がいたが、本当に可愛らしくリスナーに微笑みかけているような声で、まさにリラクゼーション効果がある声質だと感じる。
そして、このアルバムの醍醐味は坂井の声だけではない。男女のしがらみを描写した楽曲も収録されており、そのドロドロとした坂井節満載の歌詞と「笑声」とのギャップ、さらに先述した織田哲郎や栗林誠一郎という巨匠が奏でたメロディが絶妙に絡み合っているのもこの作品のセールスポイントだと感じる。織田哲郎も栗林誠一郎もその後ビーイングを去ってしまったのが残念(栗林誠一郎は音楽活動も休止している)。
ちなみに本作の収録曲全曲のビデオクリップが、ミュージックステーションの当時のスタッフとともに制作されていた。ビデオクリップの映像は坂井の生前には公開されず、死後に追悼ライブなどで公開された。

では収録曲別のレビューに。1曲目の「Oh my love」。本作の表題曲で坂井自身はシングルカットしたかったとインタビューで答えていたという。ただ、スタッフに坂井の意見が却下されたのか詳細は不明だが、シングルカットは見送られた。この曲のビデオクリップでは坂井が歌詞中に登場する「自転車」を漕いでいる映像が流れているが、その姿が可愛すぎる。歌詞にはその他に「もう友達のエリアはみ出した」というフレーズが登場するが「坂井さんと友達のエリアをはみ出して恋をしたい」と思っているファンは私を含め、いかほどいるのだろうか。

2曲目の「Top Secret」。栗林誠一郎作曲のポップナンバーだが、後に栗林自身にBarbier名義としてセルフカバーされている。この曲は恋人と倦怠期を迎えた女性の気持ちが描写されていて、坂井節が展開されている。歌い出しの「今夜のシチュー自信あったのに”遅くなるから”なんてヒドイ!」という部分を聴いて「坂井さんが作ったシチューを食べてみたい」と強く感じた。そして「今日昔の彼に電話しちゃったわ」という一節もあるが、元カレとこの曲の主人公はどんな会話をしたのかも気になるところ。

3曲目の「きっと忘れない」。ZARD10枚目のシングルとして1993年11月3日に発売された。ちなみにこの発売日は私が生まれた翌日、つまり店着日(フラゲ日)は私の誕生日ということで思い入れも非常に強い曲。初めてこの曲を聴いたときも坂井のボーカルが可愛さ満点で個人的には「負けないで」「揺れる想い」などの知名度の高い曲よりも大好きな1曲。
この曲では別れた元カレのことを思い出している女性の気持ちを描写していると私は解釈している。この曲に登場する元カレも「不器用」なタイプで、この曲の2年6か月後に発表される「心を開いて」もそうだが、坂井が描く恋人像は不器用な男性が登場することがしばしばある気がする。したがってZARDの曲は恋愛ソングも含め私のような全国の童貞の皆さんにも夢を与えてくれる存在だと思う。また、「今にも笑顔であなたが現れそうで」や「遠く離れていても心は止まらない」というフレーズを坂井自身に置き換えて聴くファンの方も多いだろう。私自身もそのような聴き方をすると涙が出そうになる。メロディ、ボーカル、歌詞の全てにおいて完璧な大名曲。
ちなみに「きっと忘れない」は坂井の死後に発売された公式本、写真集のタイトルとしても起用された。

4曲目の「もう少し、あと少し」はZARD1993年9月4日にZARDの9枚目のシングルとして発売された。1993年9月13日付オリコンシングルランキングでは2位を記録した。これは比較的有名な話かもしれないが、この時の1位は槇原敬之の「No.1」だったということもフジテレビ系「トリビアの泉」でも紹介された。
この曲はタイトルからもわかるように男女の不倫を描写した曲。歌詞中の「もう少し、あと少し。そばにいたい。叶わぬ夢と知っても、そう少しあの女性(ひと)より出逢うのが遅すぎただけなの」「もう少し、あと少し愛されたい。いけない恋と知っても、もう少しあなたのこと困らせたい。この愛止められない」という部分から、歌詞中の不倫は相手の恋人にもバレてしまっていることが窺える。特に「あなたを困らせたい」という部分からこの曲の主人公は俗に言われているメンヘラ気質が少し混じっているのかもしれないと思われる。

5曲目の「雨に濡れて」。この曲は元々、他のビーイングアーティストとの作品で1993年6月9日に「ZYYG、REV、ZARD&WANDS featuring 長嶋茂雄」名義の「果てしない夢を」のカップリングとして発表された。作詞も坂井単独ではなくWANDSの上杉昇との合作とクレジットされている。前述の原曲と今作に収録された坂井単独ボーカルとなっているセルフカバーバージョンを聴き比べたが、私は後者の方が好みである。前者より後者の方が坂井のボーカルが柔らかくなっているので後者の方が聴く頻度が多いと思う。ちなみに高校時代の友人でもこの曲を知っている人がいたのは非常に嬉しかった。

6曲目の「この愛に泳ぎ疲れても」。1994年2月2日に「Boy」との両A面でZARD11枚目のシングルとして発売された。1番はピアノサウンド主体のスローバラード調で、2番からは当時のビーイング独特のバンドサウンドが主体となり、テンポも速くなる。曲の内容はこの曲も男女のすれ違いを描写している。

7曲目の「I still remember」ですが、文句なしの名バラード。ピアノ主体のスローバラードなので第1印象として地味な曲と感じるかもしれないが、私は今作のアルバム曲の中では最もお気に入りの曲だと思う。ピアノ主体のスローバラードで坂井の語りかけるような優しく、かつ力強いボーカルが醍醐味。今回の記事の冒頭で当時の坂井のボーカルについて「声質よりも高音、低音ともに綺麗に透き通っているので聴いていて本当に癒される。」と述べたが、この曲は特にその特徴がはっきりと表れていると感じられる。例えば2番Aメロの「今頃あなたの横には私より優しい彼女がいると想像が先走る」の「優しい」の部分の低音の伸ばし方が私にとってドストライクで何度でも繰り返し再生したくなる。

8曲目の「If you gimme smile」ですが、前曲の「I still remember」とは対照的にバンドサウンド主体のアップテンポなポップナンバー。この曲に関しても可愛さ溢れる坂井のボーカルが展開されている。
歌詞中に「大地蹴飛ばし、雲の流れに忘れよう都会の雑音」という1節があるからか、この曲を聴きながら遠く離れた田舎の街に旅をしたくなる。

9曲目の「来年の夏も」。この曲も恋愛ソングだが、本作に収録されているうちの大部分の恋愛ソングとは異なり、付き合い始めて2年経過しても関係が充実している恋人を描写している。ちなみに歌詞中に「恋の予感は土曜日の映画館、勇気を出して良かった・・・。」とあるが、おそらく主人公である女性から告白したという設定なのかもしれない。実際のところは不明だが、坂井自身も実は恋愛に積極的な女性だったの可能性もある。少し本題から逸れてしまうが、もし坂井のような肉食な女性に恋愛面に関してリードされたら幸せすぎてもう人生で悔いはないと感じてしまいそうだ。

10曲目の「あなたに帰りたい」。坂井自身がお気に入りの曲。調べたところによると坂井によるカバー曲やリミックスされた曲を除くとZARDの楽曲では最長。この曲についても主人公の女性から別れた元カレへの心のメッセージが歌詞になっている。

冒頭でも述べたように今作は男女のもつれ、別れた恋人を思う曲がメインテーマとなっている。私はこれこそが「坂井節」の本筋だと感じている。「ZARD=応援歌」のイメージを強い方にこそ、是非聴いてほしい大名盤。
そして、このブログを書き終えた次の日である2017年5月27日で坂井泉水の没後10年を迎える。坂井自身は亡くなっているが、坂井の歌声、歌詞の世界観は今も残っているし、この先も私を含めZARDファンの方々の心の中で永遠に生き続ける。この先も坂井の歌声も心の支えにして生きていきたいし、ZARDの作品に関する記事も更新していきたい。

さて、今回のブログはここまで。読んで頂き本当にありがとうございました。

サザンオールスターズ「Young Love」 タイシタレーベル 1996年7月20日発売
(収録曲)
1.胸いっぱいの情熱をあなたへ ★★★★★
2.ドラマで始まる恋なのに ★★★★★
3.愛の言霊~Spiritual Message~ ★★★★
4.Young Love(青春の終わりに) ★★★★★
5.Moon Light Lover ★★★★
6.汚れた台所(キッチン) ★★★★
7.あなただけを~Summer Heart break~ ★★★★★
8.恋の歌を唄いましょう ★★★★
9.マリワナ伯爵 ★★★☆☆
10.愛無き愛児(まなご)~Before The Storm~ ★★★★
11.恋のジャック・ナイフ ★★★★
12.Soul Bomber(21世紀の精神爆破魔) ★★★★
13.太陽は罪な奴 ★★★★★
14.心を込めて花束を ★★★★

総評★★★★★

本作はサザンオールスターズ(以下サザン)12枚目のオリジナルアルバム。個人的にはサザンの最高傑作だと感じている。私自身も中学1年の終盤から中学2年の夏頃にかけて本作のリピートが止まらなかったし、現在も人生において思い入れのある愛聴盤の1つとなっている。1996年時点でも中堅~大御所のアラフォーバンドとなっていたが、ここで最高傑作を出すとは恐るべし。近年でも40歳代半ばの大御所バンドとなったミスチルが名盤「REFLECTION」を発売したが、40代に突入しても名盤を作り続けるアーティストは月並みな表現だが、天才だと思う。なお、サザンはこの作品から小林武史のプロデュースを離れているのでミスチルでいう「REFLECTION」的なポジションだとも個人的に感じている。少し本作の話題とはズレてしまうが、近年の桑田佳祐の曲もクオリティが高いので60歳に突入しても未だに才能が枯渇していないので桑田は「天才」のレベルを遥かに超えているであろう。

さて、本作の話題に戻る。本作は全体として、ポップなメロディとバンドサウンドのバランスが絶妙。そして比較的世間一般のサザンのイメージにも近く、かつ「あなただけを~Summer Heartbreak~」「愛の言霊~Spiritual Message~」のような比較的知名度の高いシングル曲も収録されておりサザン初心者の方にも取っつきやすいと思われる。先述のように大名盤だと思うが、特に「胸いっぱいの愛と情熱を君へ」から「Young Love(青春の終わりに)」までの冒頭4曲の流れはもはや芸術としか言えない。

さて、収録曲レビューに。1曲目の「胸いっぱいの愛と情熱をあなたに」。ギターから始まるイントロが印象的。バンドサウンド主体だが、メロディはキャッチーで私の好みのドストライク。そして、Cメロでミドルテンポになったところから徐々に盛り上がっていくのもこの曲の醍醐味であると感じられる。
この曲はメロディやサウンドのみならず歌詞も心をつかまれる。個人的な解釈としては1人の女性(おそらく高嶺の花のようなタイプ)に片想いをしている男の気持ちを描いた曲だと思う。特に「雨に打たれ、風に震え、闇の中で見たのは君だけの夢さ、No, No, No.駄目な僕でもイカせてくれ、Won't you?」の部分は桑田節が炸裂。中々女性にアタックできない私を含め不器用な男の気持ちを代弁しているように感じた。1曲目に相応しい大名曲

2曲目の「ドラマで始まる恋なのに」。このアルバムをヘビロテしていた中2の頃も恋(ちなみに片想いから発展せず)をしていたが、当時は曲の主人公と自分を重ねて、この曲を聴いていた。ただこの曲は過去に恋人関係まで発展した2人を描写している曲なので、そこは私とは違う温度感。歌詞中に登場するカップルはどうして別れてしまったのかが気になるところ。

3曲目の「愛の言霊~Spiritual Message~」。間奏にインドネシア語の音声が流れるという遊び心が溢れた曲。中学時代授業中に雑談をよくしてくれる国語教師がいたが、授業中この曲について語っていたのは忘れられない。当時もサザンファンだった私は目をギラギラさせて聴いていたことだろう。その先生曰くこの曲が発売された1996年頃の中学生は皆この曲を知っていたそうな。

4曲目の「Young Love(青春の終わりに)」。表題曲のためか、このアルバムの作風が凝縮されている曲。この曲を聴いていると「バンドサウンド全開かつアップテンポのポップサウンドこそ至高」と実感
させられる。今はサザンから脱退してしまっている大森さんのギターもたまらない。
ちなみに、この曲もサウンドは比較的ポップだが、歌詞はそこまで前向きではないのでギャップも感じられる。

5曲目の「Moon Light Lover」。ミドルテンポの曲で後にベストアルバム「海のYeah‼」や「バラッド3~the alubum of LOVE~」にも収録された。曲中のベースはベース担当の関口和之が演奏しているのではなく、桑田による打ち込みによるものである。

6曲目の「汚れた台所(キッチン)」は後述の「Soul Bomber(21世紀の精神爆破魔)」と並び、本作品の中でも攻めているロックナンバーで歌詞も社会風刺一色。次作の「さくら」に収録されていても全く違和感がない。いずれ生演奏としても聴いてみたいものである。そして歌詞中に登場する「女子生徒」のセリフに「不細工な精液など飲みたかァないわ」という部分があるのが強烈で、Twitterで下ツイもする私としてはついつい全身で反応してしまう。

7曲目の「あなただけを~Summer Heartbreak」。アルバム発売の前年である1995年にリリースされたシングル曲。前曲の「汚れた台所(キッチン)」とは対照的に、サザンの世間一般のイメージに近い王道バラードナンバー。この曲と同年にサザンのシングルとして発表された「マンピーのG★SPOT」との振り幅の大きさにただただ驚かされる。ちなみに、この曲は桑田と親交の深い同じアミューズ所属の福山雅治主演ドラマ「いつかまた逢える」のみならず、クレヨンしんちゃんのアニメの挿入歌としても起用された。しかもクレヨンしんちゃんの作者である臼井義人自身もサザンファンであるため、単行本にもこの曲の歌詞が掲載されている。サザン、クレヨンしんちゃんの両ファンの私にとっては豪華すぎるコラボである。

8曲目の「恋の歌を唄いましょう」。キーボード原由子(以下原坊)ボーカル曲。サザンのアルバムには最低1曲以上原坊ボーカル曲は必要だと思う。原坊のボーカルを聴いていると包容力を感じてしまい、やすらぎが得られる気がする。当時既にアラフォーなのにも関わらず、ここまで可愛らしい歌声を響かせていて本当に感動。

9曲目の「マリワナ伯爵」はおそらく、今作で最も桑田シャウト率が高い曲。調べたところ、「マリワナ」は大麻を意味している。

10曲目の「愛無き愛児(まなご)~Before The Storm~」。A~Bメロまではスローテンポだが、サビでテンポが比較的早くなるので小学生の頃、「バラッド3~the alubum of LOVE~」で聴いてからしばらくは脳内再生が止まらなかった気がする。全体的に陰鬱なメロディで疲れているときに聴くにはピッタリだと個人的に思う。

11曲目の「恋のジャック・ナイフ」だが、恥ずかしながら今回のレビューを書くにあたり調べるまでは「愛の言霊~Spiritual Message~」のカップリングだということを知らなかった。今作の中では比較的打ち込みサウンドを多用しているようにも感じられる。

12曲目の「Soul Bomber(21世紀の精神爆破魔)」ですが、これは上記の「汚れた台所(キッチン)」と並ぶロックナンバー。Cメロのメロディが印象的だったのでこの曲を初めて聴いた中学1年の終盤に脳内再生が止まらなったのも忘れられない。この曲の歌詞はサウンド同様、ダークで、バブル崩壊後の不景気で暗い世の中を生きる1人の人間を描いた歌詞にも聴こえなくはない(無理やりかもしれないが)。この解釈は正しいかどうかは不明だが、視点を変えると人によって解釈の仕方が変わる歌詞を書いてのける桑田佳祐をいう男は作詞家としても天才

13曲目の「太陽は罪な奴」。今作の発売25日前にリリースされた先行シングル。ちなみに発売日はそして、1996年6月25日なのでサザンデビュー18周年記念日に発売されたということになる。
リアルタイムでは聴いていなかったので実際の原因は不明だが、前作のシングル「愛の言霊~Spiritual Message~」の売り上げより大幅に減少しているのはアルバム発売の情報が解禁済みだったためと考えられる。個人的には「愛の言霊~Spiritual Message~」よりもこちらの曲の方が好みだ。イントロが浜辺のさざ波の音なので、湘南海岸を散歩しながらこの曲を聴いてみると似合いそうである。

14曲目の「心を込めて花束を」はアルバムの最後を飾るのに相応しいバラード曲。この曲は両親への感謝の気持ちを歌詞にしているが、何となく桑田自身が両親にも送っているメッセージだと個人的には感じられる。「栞のテーマ」、「CRISTMAS TIME FOREVER」、「心を込めて花束を」、「素敵な夢を叶えましょう」など、サザンのアルバムの最後を飾るバラード曲は名曲率が高い気がする

今作は全体的にはバンドサウンド主体のポップスの名盤だが、レビューを書きながら1曲ずつ振り返ると、少しずつ違う特色があることも改めて確認できた。冒頭でも述べたが、このアルバムは人生における愛聴盤でもあり、今後も聴き続けていきたいし、この作品の良さをどんどん広めていきたい。
今回のブログは以上。読んで頂き、本当にありがとうございました。


Mr.Children「REFLECTION{Naked}」 トイズファクトリー 2015年6月4日発売
(収録曲)
1.fantasy ★★★★★
2.FIGHT CLUB ★★★★★
3.斜陽 ★★★★
4.Melody ★★★☆☆
5.蜘蛛の糸 ★★★★
6.I Can Make It  ★★★★★
7.ROLLIN' ROLLIN'~一見は百聞に如かず ★★★★
8.放たれる ★★★★
9.街の風景 ★★★☆☆
10.運命 ★★★★
11.足音~Be Strong ★★★★
12.忘れ得ぬ人 ★★★★
13.You make me happy ★★☆☆☆
14.Jewelry ★★☆☆☆
15.REM ★★★★
16.WALTZ ★★★★★
17.進化論 ★★★★
18.幻聴 ★★★★
19.reflection (インストなので省略)
20.遠くへと ★★★★★
21.I wanna be there ★★★★
22.Starting Over ★★★★★
23.未完 ★★★★

総評★★★★★

Mr.Children(以下ミスチル)の18枚目のオリジナルアルバム。REFLECTIONはCD版の{Drip}とUSB版の{Naked}に大きく分類される。本作は前作からの間隔は2年7か月とミスチル史上最も空いているが、USB版の{Naked}は収録時間約110分とミスチルの作品の中では過去最長の超大作となっているまた、ミスチル史に残る名盤であり、私のTwitterのユーザー名でもある「@REFLECTIONsaiko」の由来にもなっているのは言うまでもない(知らんがな)。ただ今回のレビューのテーマでもある{Naked}はREFLECTIONの完全限定生産盤であるため、現在入手が非常に困難となっているのが非常に惜しいところである。

本作は前作まで全面的にミスチルのプロデューサーとして関わっていた小林武史がレコーディングに参加していない曲が多数収録されている。それに加え、2013年より「ap bank fes」の開催も休止していたからか桜井和寿との不仲説も立っていたが、その後、ap bank fesは復活しているので不仲説に関しては信憑性が薄いと個人的には思う。

ミスチルのボーカル桜井和寿が本作を「遺作にしたい」と表現していたのは驚いた。本作品には1990年代前半の甘酸っぱいミスチル要素1990年代後半のダークなミスチル要素2000年代前半のバンドサウンド主体のポップなミスチル要素2000年代後半以降の落ち着いたミスチル要素の全てが凝縮されている。つまり、極論を言うとREFLECTIONでミスチルの歴史を思い出すことができると思う。それを踏まえると「遺作」という表現の意味が理解できた気がする。

そして本作品に驚かされたのは上記のような作風だけではなく、桜井和寿の声。
前作の「[(an imitation)blood orange]」の時期の音源よりも桜井氏の声の厚みが格段に増し多様に思える。表現が適切かわからないが、力んでいて苦しそうだった声が力も抜けて若返り、良い意味で声が3D化しているようにも感じられた。
また、前作と比較し声の伸びも格段に増大し、私は「POPSAURUS2001」の頃の桜井氏の伸びやかな声を思い出してしまった。

では、収録曲レビューに。1曲目の「fantasy」ですが、これはシングルとして発売してもいいレベルの完成度。エレキギター主体のイントロ。このイントロだけを聴いても、おそらく前作までのストリングスオンパレードに飽き飽きしていた人ほど射精レベルの興奮をされたと思う。そして歌い出しの歌詞は「隣の人に気づかれぬように僕らだけの言葉で話そう」となっています。私は本作の発売前のREFLECTION Tourで初めて聴きましたが、CD音源は未解禁という当時の状況と歌詞がリンクしていて大変興奮したのは忘れられない。そしてCメロの歌詞は「昨夜(ゆうべ)見た夢の中僕は兵士敵に囲まれてた。だから仕方なく七人の敵と吠える犬を撃ち殺して逃げた」となっていますが、この「撃ち殺して逃げた」の部分の桜井氏の感情の込めた歌い方は本当に惹きつけられる。

そして2曲目の「FIGHT CLUB」ですが、これもバンドサウンド主体の「疾走ポップ」。ちなみに「疾走ポップ」とはこの曲の仮タイトルである。「FIGHT CLUB」は元々歌詞中に登場する「ブラピ(ブラッド・ピット)」が出演する映画のタイトルであるが、私はまだその映画を見たことがないので、そのうち鑑賞したい。

3曲目の「斜陽」ですが、1960年代~1970年代前半頃を彷彿とさせるフォークロックこれはそれまでのミスチルにはなかったタイプの曲。発売前年の2014年12月のFNS歌謡祭で未発表曲として披露された曲。何故この曲を選んだのかは不明である。本音を言えばfantasyあたりを選曲して演奏をしてほしかった。ただ、アルバム曲としては良曲だと思う。

4曲目の「Melody」。先行シングル「足音~Be Strong」のカップリングとしてアルバム発売時点でも解禁済の曲。最初聴いたときから初期のミスチルの曲のように聴こえていた。そして桜井氏の声の伸びの本格復活を感じたのはこの曲を聴いたのがきっかけかもしれない。語尾の伸びが本当に聴いていて気持ちよかった。

5曲目の「蜘蛛の糸」。メロディやアレンジは上品で美しいが、私はREFLECTIONの中では後述の運命に匹敵するエロソングだと思う。
「蜘蛛の糸」は愛液、そして歌詞中の「荒れ茂る木々の暗がりで夜露の滴に濡れて煌めくその美しき糸」は、性交の際に陰毛に付着した愛液の様子を表現してると私は解釈した。この解釈が当たっているかは不明だが、変態桜井和寿ならそのような意味で書くこともあり得るだろう。

6曲目の「I Can Make It」。1990年代後半のミスチルを彷彿とさせる曲。バンドサウンドが主体のロックバラードで歌詞も人生が思うようにいかず葛藤している主人公を描いていて聴き応え満点。CD版の{Drip}には未収録となっているのが惜しすぎる。

7曲目の「ROLLIN' ROLLIN'~一見は百聞に如かず」。ブラスサウンドが強いロックソングだからか、ネットでは「アンダーシャツ(DISCOVERY収録)っぽい」という感想が散見された。歌詞の方も前曲同様ダーク寄りで私好みであった。

8曲目の「放たれる」。2014年公開映画「青天の霹靂」主題歌。安心のミディアムバラード。

9曲目の「街の風景」。住友生命「ヤングジャパンアクション2015」この曲は2013年12月25日放送「クリスマスの約束」の企画で小田和正と桜井和寿が共同制作した「パノラマの街」の原曲となっている。序盤は穏やかな曲調だが、曲後半ではエレキギターやドラムサウンドが前面に出て、さらに桜井の声も加工が施されていてロック風のサウンドとなっているというのがこの曲の醍醐味だと思う。

10曲目の「運命」。最初聴いたときの感想としては「Kind Of Love」や「versus」の頃を彷彿とさせる爽やかポップサウンドが特徴的だと感じた。ただ、歌詞を聴いてみると全く爽やかではない。招かざる客で当面構いはしないけどいつの日か君のベートーベン運命奏でよう」のフレーズからか、この曲の主人公はストーカーであると発売当時2ちゃんねる等で話題になった。そして歌詞中の「いやらしい妄想をして自分を慰めたあとでのフレーズが私としては衝撃的だった。このフレーズも音楽を愛する変態、・・・いや天才の桜井和寿ならではの歌詞であろう。Twitterで下ツイもする私としても大好物。

11曲目の「足音~Be Strong」。2014年11月に発売された先行シングル。この頃からバラードにしてはそれまでよりギターサウンドが目立ち始めているように思える。歌詞も前向きでかつ、ロックバラードであるからかネット上では「21世紀版終わりなき旅」という意見も見られたが、全く同じ温度感である。

12曲目の「忘れ得ぬ人」。1番はピアノ主体で、2番からはバンドサウンドが加わり、徐々に盛り上がっていく構成になっている。この曲は先述した不仲説と関連して、「小林武史のことを書いた曲」という噂が広まっていたが、詳細は不明。

13~14曲目「You make me happy」「Jewelry」。この2曲は良くも悪くもREFLECTIONの箸休め的ポジションだと思っている。晴れた休日の日中に外の風景を楽しみながら聴くと合うかもしれない。

15曲目の「REM」。2013年発売当時、興奮して痺れた(語彙力)。前作の「(an imitation)blood orange」の「ロック枠」である「過去と未来を更新する男」でも、そこまでギターが前面に出ていなかったように感じるが、REMはギターも前面に出ていて嬉しかったのは忘れられない。正直こんなロックしたミスチルが配信限定シングルとして発売されるとは予想だにしていなかった。またこのようなタイプの曲がシングルとして是非発売されてほしい。

16曲目の「WALTZ」。15曲目の「REM」に引き続き、ロック曲。REFLECTION Tourで披露される前までは穏やかなピアノバラードかと思っていましたが、本当に良い意味で裏切られた。歌詞もダークで「一人そしてまた一人と弾かれて繰り返される審査(テスト)に離脱者は増える、ショーウィンドウに並ぶのは一握りだけ。指をくわえて見てるなんか嫌」「要求に合わせ柔軟に変えられるスタイル。柔軟なとこが長所さ、履歴書の通り。違う視点で見れば自分がないだけ。そこを指摘されりゃ異論はないや」というフレーズからかネット上では「就活生殺し」と話題になった。私としてはこういう歌詞も大好物である。

17曲目の「進化論」。この曲はいい意味での箸休め的ポジションで、この曲がないと聴き疲れてしまいそうなREFLECTIONに不可欠な存在。「NEWS ZERO」のテーマソングとしてタイアップされたのもあってか、夜就寝する前に聴くと癒される1曲。本当にアルバム後半に相応しいと思う。

18曲目の「幻聴」はREFLECTIONの中でも数少ない小林武史が関わった曲の1つで、その中で最も「コバタケサウンド」が如実に現れている曲だと思う。2番冒頭の「切り札を隠し持っているように思わせてるカードは実際は何の効力もない。だけど捨てないで持ってれば何かの意味を持つ可能性はなくない」というフレーズは桜井和寿にしか編み出せないフレーズだと思う。

19曲目のタイトル曲「reflection」はピアノインスト曲。この曲はアルバム発売やツアーに先駆けて上映されたドキュメンタリー映画「Mr.Children REFLECTION」のテーマ曲。ピアノは桜井和寿が演奏している。

20曲目の「遠くへと」。これはスピッツの「僕はきっと旅に出る」、コブクロの「何故、旅をするのだろう」と並んで1人旅のテーマソング。実際に知らない街で旅をしながら聴いたら気分が高揚した。

21曲目の「I wanna be there」。この曲の桜井の歌い方がクールで尖っていて、1990年代後半の「深海」「BOLERO」の頃の歌い方を意識しているようにも感じる。実際にネットでも「この曲を聴いているとEveryhing(it's you)の頃の桜井の表情が浮かんでくる」という感想も見られて全く同じ温度感だった。また、エレキギターソロは桜井が演奏している。

22曲目の「Starting Over」。2015年上映東宝配給映画「バケモノの子」主題歌としてタイアップされた。{Naked}のハイライト的存在の曲。ポップとロックとバラードの融合が理想的となっていて、何度聴いていても飽きない1曲、・・・いやむしろ聴けば聴くほどハマっていく。
Tour「REFLECTION」では殆どの会場のセットリストには含まれていなかったが、アルバム発売日にスカパーで生中継されたツアーファイナル(さいたまスーパーアリーナ)ではアンコールに追加で、演奏された。私も生中継を見ていたが、ワクワクが止まらなかった。本当に2015年6月4日は人生としても忘れられない1日となったと思う。

23曲目の「未完」。シンプルなバンドサウンドの1曲。発売時点でデビューから23年経過しているバンドでありながらも今後の決意表明を歌詞にしている曲。だからこそ、シンプルなバンドサウンドにしているのだと思う。スピッツの「醒めない」という曲と同じポジションの曲だと思う。

REFLECTION{Naked}を聴くことで大御所バンドとなっても進化、冒険をし続けるMr.Childrenを再実感することができた。45歳になってもここまでクオリティの高いアルバムを作りやがるミスチルはバケモノ。次のアルバムも本当に楽しみ。まだ持っていない方は是非{Naked}を。入手は困難ですが、たまにブックオフなどで見かけるので運が良ければ入手できるかも・・・。

以上長文&駄文のレビューはここまで。読んで頂き、本当にありがとうございました。

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