大原櫻子『HAPPY』 Victor Entertainment   2015年3月25日発売
【収録曲】
①Over The Rainbow ★★★★★
②サンキュー。★★★★
③瞳 ★★★★★
④無敵のガールフレンド ★★★★
⑤明日も ★★★★★
⑥頑張ったっていいんじゃない ★★★★★+1
⑦Happy Days ★★★★
⑧のり巻きおにぎり ★★★☆☆
⑨READY GO! ★★★☆☆
⑩ただ君のことが好きです ★★★☆☆
⑪ちっぽけな愛のうた ★★★★★
⑫ワンダフル・ワールド ★★★★
総評:★★★★★

 本作は大原櫻子のデビューアルバム。大原櫻子は2013年、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』のヒロインの小枝理子役にオーディションで抜擢され、同映画の劇中バンド『MUSH&Co.』のボーカルとして歌手デビューを果たす。ついに翌年には「大原櫻子(from NUSH&Co.)」名義を経て大原櫻子ソロ名義でデビューを果たした。
 本作は大原がかねてからのファンだったという亀田誠治が全面的に編曲に携わっていて、王道でキャッチーな作風である。そして流れも素晴らしく、1曲目の「Over The Rainbow」から7曲目の「Happy Days」までは、まとめて1セットとして考えても良いぐらい曲順が完璧。
 私自身、大原櫻子のことは気になっていたが、なかなか作品を購入する勇気が湧かなかった。・・・というのもデビューが比較的最近なので中古CD販売店でも、280円や500円といった安価で入手するのは難しかったためだ。そこでつい先日、Twitterでお世話になっている某フォロワーさんに猛プッシュされ、半信半疑(失礼)で実際に購入し、聴いてみたら全体的に完成度が高く、あまりに聴きやすいアルバムだったためキレそうになってしまった。…いやキレてしまった。オススメしてくださった某フォロワーさんには感謝でしかない。

①Over The Rainbow

 アルバム1曲目を飾るポップナンバーで、さくらんぼテレビ開局20周年アニバーサリーソングや、同テレビの『昼ドキ!TV やまがたチョイす』エンディングテーマに起用された。
 本曲にはストリングスやシンセサイザーが使用され、全体的に壮大な印象。この曲を初めて聴いたときに本作『HAPPY』が名盤の予感が止まらなかったし、それが的中してしまったのは言うまでもない。この曲は実際にはアルバム曲だが、完成度が高すぎて、シングル曲と言われても騙されそうである。1番Aメロの「誰かが言ってた~」の部分を聴くだけでもメロディ、そして透明感がある大原のボーカルに魅了され突沸しそうになってしまうのは決して私だけではないはず。そして、Cメロ~ラスサビでは曲調はさらに盛り上がりを見せ、私たちリスナーを絶頂の域に誘おうとしてくる。
 作詞は亀田誠治が担当しているが、大原のように可愛い女の子に似合う歌詞を書いてのけるオッサンって、控えめに言って良い意味で怖い。歌詞に着目すると歌手を夢見る女の子が主人公となっていて、前向きなフレーズが多い。1番では「誰かが言ってた”夢は夢のままが良い”でもそれでいいのかな?認めたくない」というフレーズが印象的。これは主人公が夢見ている歌手に限った話ではなく、何にでも当てはまる。確かに亀田が歌詞中で言うように夢を夢のままで終わらせようとすることは本当に勿体ないことかもしれない。
 2番では「飛び立とう、何度でも。限界なんて誰にも決められない」という歌詞があるが、この歌詞を聴いた瞬間、Mr.Children「終わりなき旅」の「高ければ高い壁の方が登ったとき気持ちいもんな。まだ限界なんて認めちゃいないさ」というフレーズを思い出してしまった。この2曲の歌詞が意味することは非常に近く、今後もJ-POPに同じニュアンスの歌詞がどれだけ放たれるかも注目したい。

②サンキュー。
 大原櫻子ソロ名義としては1枚目のシングルとして2014年11月26日に発売されたが、それ以前にMUSH & Co.名義で「明日も」「頑張ったっていいんじゃない」が発表されていたため、「サンキュー。」は彼女のデビュー曲ではない。
 さて、この曲はバンドサウンドとストリングスが調和しているポップナンバーでメロディも本当に聴きやすいと思う。
 この曲も亀田が作詞を担当していて主人公の女の子がボーイフレンド(もしかすると恋心もあるのかもしれない)に対するメッセージが歌詞になっている。1番の「このごろずっとユウウツだったんだ。でもそんなとき君の笑顔で何かが変わった気がするよ。どんなヒーローも君にはかなわない」というフレーズがあるが、本当にオッサンが作詞したとは思えない。…いや、見方を変えるとオッサンだからこそ男が言われてみたい台詞がわかるため、このような歌詞が書けたのかもしれない。いずれにしてもこんなことを可愛い女の子に言われたらメロメロになるあまり失神してしまいそうである。
 その後も童貞捕獲フレーズがたくさん見受けられる。例えば2番サビの「つたえたいよ大きなサンキュー。君に出会えてよかった。こんな私だけどヨロシクね。宇宙で一番好きだよ」の部分だが、これを実際言われたら「こちらこそ!むしろこんな俺だけどヨロシクね!ずーっと一緒だよ♪」と照れ笑いしながら言いそうである…まぁこんなシチュエーションになることは一生ないと思うが。
 2番Aメロでは「名も無き言葉に負けそうになるんだ。でもそんなとき、君のその声がそっと背中を押してくれるんだ。普通に生きるって、いちばん難しい」という歌詞があるが、これも素直に好き。特に「普通に生きるっていちばん難しい」の部分は私のように超絶不器用なリスナーなら誰しも共感するんじゃないだろうか。

③瞳
 2015年1月7日に、大原櫻子2枚目のシングルとして発売され、第93回全国高等学校サッカー選手権大会応援歌として起用された。作詞は亀田と大原の共作である。曲の冒頭はしっとりとしたピアノ主体のアレンジで進行するが、1番サビからはストリングスが目立ち始め、眩しいくらいにキラキラとした雰囲気となっている。
 歌詞に目を向けると、本当にスポーツ大会にピッタリで「こんな感じで青春を過ごしたかったなァ」と思わせるような内容になっている。1番冒頭の「最後の1秒まで集めたこの思い。積み重ねてきた毎日は君のこと裏切らない」はサッカーに限らず何かに一生懸命打ち込む人に向けた歌詞となっている。
 1番サビやラスサビでは「まっすぐに夢を追いかける君の瞳が好きだよ」という歌詞になっているが、この「夢」を「J-POP」に置き換えた「まっすぐにJ-POP(ゆめ)を追いかける君の瞳が好きだよ」という台詞を可愛い女の子に言われようものならTwitterのJ-POP系アカウントとして冥利に尽きる。
 2番サビでは「つまずいたって見失ったってまたはじめればいいんだよ。ありのままの君の姿、いちばん輝いているよ」はスポーツに打ち込む運動部のリスナーは勿論の事、スポーツをやっていなくてもキャパオーバー気味になり心が疲れ切っている不器用なリスナーの心にも染みると思う。

④無敵のガールフレンド

 爽やかさ弾ける王道ポップナンバーで大原本人が出演している『DHC薬用アクネコントロールシリーズ』CMソングとして起用された。
 この曲は亀田が作詞を担当しているが、歌詞も本当に可愛く、かつ甘酸っぱい内容となっており主人公の男の子が女の子にエールを送る内容にも取れる。1番Aメロの「今日は恋の決戦日。ソワソワしている君の背中にエールを送るよ」と、2番Aメロの「アイツモテモテだけど尻込みしてちゃダメダメ。メガネを取った君はとびきり素敵なミラクル友達」という歌詞があることから、その「ガールフレンド」はどちらかと言うとおとなしめなタイプで、主人公とは別の男の子に片想いをしているようだ。
 ただ、女の子を応援するメッセージは多いが、主人公の男の子が女の子に対し、恋心を抱いているかについては歌詞中では直接言及されていない。本当に何も思っていなかったのか、それとも男の子が照れ隠しで女の子のことが好きだったことを言っていなかったのか…。何となくだが、私は後者だと思っている。もし、好きな気持ちを隠しながら、片想い相手の恋愛を一生懸命に応援しているのであれば、本当に称えたい。どんなに複雑な気持ちなのか私にはわかる。

⑤明日も
 映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』の劇中バンドの「MUSH&Co.」名義の楽曲として2013年12月4日にシングルとして発売された。ちなみに大原にとってはこれがデビュー曲となった。バンドサウンド主体のポップ・ロックナンバー。アップテンポでかつ、爽やかなメロディで素晴らしいの一言に尽きる。
 小枝理子(演:大原)のボーカルは勿論だが2番サビの後の君嶋祐一(演:吉沢亮)ギターソロにも圧倒される。実は2013年当時、MUSH&Co.がテレビで取り上げられ、この曲が流れているのは見ていたが、「何だ。超絶ウェイ系パリピ陽キャ青春バンドかよ」と当時の私はまともに聴こうとしていなかったが、今になってじっくりと聴いてみるとかなり良くて、当時からちゃんと聴いておけば良かったと後悔してしまうほどだ。
 歌詞の内容だが上記の映画の内容は恥ずかしながら知らないので私の勝手な視点で解釈を進めさせて頂く。この曲の主人公は男子高校生で友人の女の子へのメッセージソングだと勝手に捉えている。1番サビの「確かなリズムで今を駆け抜けてゆこう。僕たちはいつかいつかきっと大人になっていくんだ。だから今はじけよう」という歌詞があるが、眩しすぎて視界が霞むほど、キラキラしたフレーズ。
 ちなみに私の高校時代と言えば、センター試験を控えた時期に昼休み図書室で友人と下ネタ談義をしていたことを日課(大迷惑)としていたのを思い出す。もしかするとそれも広い意味で「今はじけて」いたことに入るのかもしれない。

⑥頑張ったっていいんじゃない

 「大原櫻子(from MUSH&Co.)」名義で2014年6月25日にはシングルとして発売され、文化放送『ライオンミュージックサタデー』エンディングテーマ曲、JVCケンウッド『JVCヘッドホン』CMソングとして起用された。アップテンポなポップナンバーでBメロ~サビ部分のメロディの中毒性が強く、購入して2日経過した現時点では本作『HAPPY』中で最もお気に入りの1曲となっている。
 「頑張ったっていいんじゃない」というタイトルを最初に目にした際は「何だよ。我武者羅に喝を入れる曲かよ」と思っていたが、実際に聴いてみると確かに応援歌ではあったものの決して我武者羅に喝を入れる内容の曲ではなかったので安心した。…むしろ好きなフレーズも多く、メロディ、歌詞ともに大好きになってしまった。
 この曲は男の子がリスナーにエールを送る1曲で、応援しつつもリスナーの立場にも寄り添っているところが醍醐味。例えば1番Aメロの「君は頑張っているんだね。だから心配ないんだよ。僕はそんな君が大好きだよ。君が落ち込んでいるならすぐに飛び込んでいくからね。どんな時も一番に呼び出してほしい」という部分だが…、もうね。全部大好き。「君は頑張っているんだね」とまず、頑張っているところを認めているところがかなり好き。この1フレーズがあるかどうかでこの曲への評価はかなり変わっていたといっても過言ではない。そして「君が落ち込んでいるならすぐに飛んでいくからね」と女の子に言われたら嬉しさのあまり絶叫し、全身の穴という穴から体液が間歇泉の如く噴き出すかもしれない。私自身、女々しい性格なので是非とも言われてみたいものだ。
 おっと、私の妄想はさておき、2番A~Bメロの歌詞も上記と甲乙つけ難いほど、好きなフレーズが多い。特に「数字で決められない。だから人生っておもしろい」「いろんなペースがあってもいんじゃない?自分の色のメダル目指して高まっていこうよ」という部分が強烈に印象に残った。
 前者は何だか文学的で国語の教科書に掲載しても良いんじゃないか?と感じられた。後者は不器用な人間の心の奥まで澄み渡る。「いろんなペースがあってもいいんじゃない?」なんて言われたら安心するよね。私自身急かされるとテンパりやすい性格なので。まとめるとこの歌詞のように応援されたら本当に頑張れそうだなぁと思える1曲。

⑦Happy Days
 タイトルの通り、明るさ弾けるポップチューンで、ブラスアレンジが目立っている。聴いていると思わずこちらも踊ってしまいそうな雰囲気があると思う。そこそこテンションが高い時には合うかもしれない。そしてサビの「Joy! Joy! Joy!」や「Go! Go! Go!」「No! No! No!」の部分の大原の歌い方が可愛さ満点。
 「Happy Days」というタイトルだけあって、歌詞も全体的にポジティブな内容となっている。曲中で一番共感できたのは「みんなの正解と自分の答えが同じじゃなくても良いよね」という歌詞。本当にその歌詞の通りで、私自身キング オブ マイペース人間なので何でもかんでも他人に合わせていたら疲れてしまうから、共感の頷きのあまり首がもげそう。

⑧のり巻きおにぎり
 ミドルテンポのポップナンバーで、イマドキの女の子(私のイメージとしてはJD)の日常が描かれている。ちなみに作詞は亀田誠治っでTwitterのフォロワーさんが執筆されていた本作のレビューまとめにも書かれていたように、これが大原櫻子や女性スタッフに相談して書いた歌詞じゃないと怖いレベルである。まぁ、亀田が想像だけで書いたのであれば、それはそれで純粋で天才だと思う(何様)。
 1番冒頭の「ランチタイムにはカフェテリアへ集合。いつものように恋バナに花が咲く。かばんからっそっと取り出すランチボックス。主役は我が家の伝統”のり巻きおにぎり”」って、まさに超絶ウェイ系パリピ陽キャ女子大生かよ。そして歌詞中で描かれている友人同士の「恋バナ」はそれぞれの彼氏の話を指しているのだろうかと勝手に解釈してしまう。私には縁もゆかりもない世界ということには間違いないだろう。
 ただ、上記の後には「歌を歌ったり、電車に乗ったり、レポート書いたり、支えてくれるのはOh Oh Oh 丸いおにぎり Oh Oh Oh のり巻きおにぎり」というフレーズがあるが、これは素直に可愛い(繰り返すが歌詞を書いているのはオッサンであることを忘れてはならない)。私自身大学時代からカラオケも好きだったのでよく歌っていたし、電車通学もしたし、レポートも嫌という程書いていたので、このよくある大学生の日常の部分については共感…というか学生時代を思い出し懐かしい気持ちになれる気がする。

⑨READY GO!
 この曲は亀田誠治が編曲以外には関わっておらず、作曲は野崎心平、作詞は春和文が担当している。エレキギターの演奏音が前面に出たロックナンバーだが、1番、2番、ラスサビ前のいずれもBメロ部分はピアノ主体のアレンジとなっている。大原の歌い方は他の収録曲とどこかカッコよさを感じさせる気がする。
 歌詞の内容はタイトル通り主人公が10代の若さをエネルギーにして前向きに羽ばたこうとしているイメージ。ちなみに1番共感した部分は「アレコレしたいコトいっぱい24時間じゃ足りない。欲しいモノ躊躇するのなんて論外」というフレーズで、私も趣味に関しては全く同じ温度感である。Twitterの私のTLにいらっしゃるJ-POP好きの方々もそうかもしれない。色々聴きたい曲が多すぎて24時間じゃ足りないし、アルバムも欲しいモノはとことん集めたいものである(知らんがな)。

⑩ただ君のことが好きです
 作詞・作曲ともにO‐liveが担当していて、本作『HAPPY』における箸休め的なバラードナンバー。この曲はタイトル通り、主人公が恋している相手に対し抱いている想いが歌詞になっている。歌詞中には「握り返してくれるその手があたたかくて」「あたたかい君の手に泣き出しそう」とあることから主人公は意中の相手とかなり親密になっている気がする…というか両想いの可能性も高い。完全童貞陰キャ視点のイメージだが、少し雑談をする程度の仲であれば手を握り合ったりなどしない。正直言って私からしたら羨ましすぎるので主人公の女の子の意中の相手は今すぐ私と代われと声を大にして叫びたいところだ。
 ただ、片想いからの告白経験はある童貞陰キャの私でも共感できるフレーズがある。それは「どうしてこんなにも泣き出しそう。こころにある想い見せてあげたいくらい」という部分。正直わかりすぎて心に突き刺さって辛い。まぁ、私自身も本当にこのように気持ちが抑えられなくなっていたこともあった気がする。

⑪ちっぽけな愛のうた
 「小林理子&小笠原秋」名義の楽曲で作詞作曲ともに亀田誠治が担当している。映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』劇中歌に起用された。本作『HAPPY』の後半(7曲目以降)では最もお気に入りの1曲。1番Aメロ部分はアコースティックギター主体のしっとりとしたアレンジとなっているが、1番サビ以降ではストリングスが加わり徐々に壮大なアレンジに移り変わる。そして、2番以降はストリングスがさらに目立ち始めると同時にバンドサウンドも加わり聴き応え満点。
 またCメロ部分からは曲調はさらに盛り上がりを見せる。大原の歌い方も曲の展開と共に力強くなっているようにも感じられるのもこの曲における醍醐味だろう。
 この曲も映画を知らない私なりに勝手に解釈を進めていく。主人公は高校生で恋人に宛てたメッセージソングとなっている(もしかすると「明日も」の異性の友人同士の関係がさらに発展している設定になっているのかもしれない)。1番冒頭の歌詞は「いきなり歌い出したり、いきなりキスをしたり、キミにはたくさん”ごめんね”って言わなくちゃね」という部分だが、童貞陰キャの私とは全く違った温度感となっている。もし仮に主人公とメッセージの相手が恋人関係でないのに「いきなりキス」なんかしたとことで冗談抜きで「山口メンバー」の事案が誕生してしまう。
 …おっと、話は少し逸れてしまったが、2番サビやラスサビの「キミの笑顔がボクを暗闇から連れ出してくれたんだ」という部分も印象的で、これ自体は恋人同士の関係がテーマになっていると考えられるが、仮に恋人同士ではなく片想いを経験しただけでもこの歌詞に関しては共感はできると思う。残念ながらその恋が実らなかったとしても片想いをしている期間は世界の見え方が変わる。ましてや、ある程度、意中の相手と仲良くなっていた場合は尚更この歌詞が心に染みるだろう。本当にね。
 そしてラスサビでは「いつかボクの笑顔がキミの笑顔とシンクロするといいな。キミとボクが出会えたこの奇跡、心から感謝しているよ」という歌詞がある。この歌詞を聴いてスピッツの「空も飛べるはず」の「キミと出会った奇跡がこの胸にあふれてる」というフレーズを思い出す方もいらっしゃるかもしれない。しかし、「それも飛べるはず」とフレーズの響きこそは似ているが状況は全く違うと思う。…というのも「空も飛べるはず」の場合は主人公と相手が純粋な友人関係のイメージが強く、「ちっぽけな愛のうた」の場合は先述のように恋人要素が強く、両者は似て非なるものだろう。

⑫ワンダフル・ワールド

 「花鳥風月」と「人生」を絡めている内容のバラードナンバーで、作曲は野村陽一郎で作詞はjamが担当している。サウンド面では1番と2番の間の間奏部分のピアノの演奏音が印象的。語彙力がないので上手く言葉では言い表せないが、自然の情景をピアノによって効果的に体現しているようにも感じられる。
 Bメロは1番の「春ひらり、桜のように。夏キラリ、星のように。秋ハラリ、枯葉のように。冬ふわり、雪のように」も、2番の「14で降り出した雨。15で雪に変わった。16で吹雪だった。18で晴れた空へ」も何だか文学的な要素を感じる。特に2番のBメロは子どもと大人の合間を彷徨う10代思春期の心情を見事に自然の変化に例えて表現している。この歌詞の通り、10代は本当に精神的に不安定だと思う。
 他にも「どうしても、どうしても、器用には出来なかったよ」「守り方、攻め方も要らないよ、教えないでよ。僕たちは僕たちのやり方でゆこうよ」という歌詞が素直に好き。人生、合う生き方なんて十人十色で正解なんて存在しないと思う。

◯まとめ
 本作は後半はやや流れが滞ってしまう感は否めない。それでも「Over The Rainbow」~「Happy Days」の流れが本当に強い点と、終盤に「ちっぽけな愛のうた」という名バラードがあるため、全体的に完成度が高いと思う。そして今月末に発売される大原のニューアルバム『Enjoy』にも期待したい(ただし本作『HAPPY』ほど亀田が関わっていないらしいが)。
 さて、今回のレビューはここまでとする。最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。見出し画像は今回もAmazonのサイト(『通常HAPPY盤』のページ)より引用致しました。

ZARD『forever you』  B-Gram RECORDS 1995年3月10日発売
【収録曲】
①今すぐ会いに来て ★★★★
②ハイヒールを脱ぎ捨てて  ★★★★
③Forever you ★★★★
④もう逃げたりしないわ 想い出から ★★★☆☆
⑤あなたを感じていたい ★★★★★
⑥気楽に行こう ★★★★★
⑦I'm in love ★★★★
⑧こんなにそばに居るのに ★★★★★
⑨Just believe in love ★★★★★
⑩瞳そらさないで ★★★☆☆
総評: ★★★★

 本作はZARD6枚目のオリジナルアルバムで前作『OH MY LOVE』から僅か9ヶ月ぶりの発売となった。ZARDのオリジナルアルバムのうちミリオンヒット以上を記録した作品は『HOLD ME』『揺れる想い』『OH MY LOVE』『forever you』『TODAY IS ANOTHER DAY』『永遠』と6作あるが、本作はそのうちTwitterで最も話題に上がらない地味なポジションの印象である。しかし、完成度が決して低いわけでなく、1990年代ZARDらしい王道な作風となっていて、アルバム中盤~後半の「あなたを感じていたい」「気楽に行こう」「I'm in love」「こんなにそばに居るのに」「Just believe in love」の流れは秀逸。
 そして、ボーカルの坂井泉水の声質は前作『OH MY LOVE』の流れを概ね引き継いでいて(若干大人っぽくなってはいるが)、童貞の私をどんどん惹きつけ、そして夢を与えるパワーを持っているだろう。ちなみに収録された全10曲のうち5曲は栗林誠一郎が作曲を担当している。
 個人的なエピソードになるが、4年前の晩秋~冬は上記の流れや声質に特に虜になってしまい、本作のリピートが止まらなくなってしまった。ちなみにちょうどこの時期は大変な実習期間中でもあったため、坂井泉水の声を糧にしていたと言っても過言ではない。

①今すぐ会いに来て 
 イントロは存在でず、冒頭から坂井の歌声で始まる。坂井の声質や歌い方は全体的に可愛さと美しさを兼ね備えているが、「ジェラシーの変化球嘘ならやさしく投げてね」の「投げてね」の部分の歌い方は可愛い要素の方が多く、聴いているだけでも「こんな感じで坂井泉水に言われてみたい」と感じてしまった。また「会うとすぐに自我と独占欲と強がりが出ちゃうの」の「独占欲」の部分を「性欲」としばらく勘違いしていて「坂井泉水もエッロいなァ」と思っていたのはここだけの秘密である。
 歌詞に着目すると男の子を陰ながら応援する恋人からのメッセージソングとなっている。1つ1つの歌詞が不器用な童貞をイカしにかかっている。印象に残ったフレーズをピックアップして紹介する。
 まず、冒頭の「いつもあなたはクールと誤解されてる。本当は誰より傷つきやすいのに。人は肩書に弱い。私だけは味方よ」という部分だが、大射精。私自身は救いようがないほどの不器用でコミュ障陰キャ童貞だが、そんな私の心にも響いてしまう。坂井泉水に「私だけは味方よ」なんて言われたら嬉しさのあまり失神してその場で倒れ込んでしまうかもしれない。来世で幸いにも坂井泉水と出逢えたら言われたいものだ。
 また「”センチメンタル” ”ロマンティック”どれもあなたに似合わない。だけどさり気なく私の前を歩いてくれる人」というフレーズも後半にあるが、恐らく主人公の恋人は口数が少なく、感情表現があまり得意ではないのだと推測される。感情表現が苦手で不器用だが、しっかりとその人の優しさに惚れてしまう主人公にも惚れそうになってしまう。

②ハイヒール脱ぎ捨てて
 サビや間奏部分を中心にシンセサイザーの演奏音が目立ったバラードナンバーで、アルバム発売時期にフジテレビ系列『OIOI Tokyo Style Room's』のエンディングテーマに起用された。このアレンジだけでもシンセサイザー好きの私にはたまらない。ただし、Aメロ以外ではシンセの演奏音が抑えられていてバンドサウンドが目立っている。つまり、シンセとバンドサウンドのバランスが絶妙でシンセが好きな方にもシンプルなバンドサウンドが好きな方にもたまらない音色が展開している。
 歌詞に着目すると主人公がフッた元恋人を想う内容となっている。主人公はOLの由梨。由梨は3月下旬のとある日の仕事帰り、元恋人の宏とのデートの事やその後の事をふと思い出していた。
 1年前の夏、由梨と宏はデートで海に行くことが多かった。
 ある日のデートでのことだが、砂浜ではしゃぎながら由梨はハイヒールを脱ぎ捨て裸足で砂浜を駆け抜けていた。その時!由利の右足裏に激痛が走った。何と貝殻を踏んでしまい、それが足裏に刺さり流血していた。何と、宏は備え付けの救急セットを即座に用意し、手当をしてくれたのである。頼りになる宏のことが本当に愛おしかった。
 そして別の日のデートでは青い海の目の前で、白いTシャツ、ブルージーンズを着た宏が思いっきり抱きしめてくれたのも由梨にとっては忘れられない思い出となっている。
 歌詞中に「昔の友達はみんな変わってしまったし」とあるが、これは友人が気付くと他の知り合いに揉まれてなのか、性格が変わり、話が合わなくなり疎遠になったことを示している。友人がほとんど誰もいなくなり、孤独な気持ちを癒してくれたのも宏だった。本当に宏との恋愛ライフは本当に充実していて幸せそのものだった。
 しかし、彼との幸せな生活は長続きしなかった。彼は最後まで優しかったが、由梨に好きな人が新たに出来てしまい、彼をフッてしまった。彼をフッた後、新たに片想いをした男に告白したが、実らなかった。その後、由梨は宏をフッたことを本当に心の底から後悔してもしきれなかった。
 以上のことを仕事帰りの電車の中で思い出し、涙を流しながら窓の外の風景を眺めていた由梨であった・・・。

③Forever you
 本作の表題曲。バラード調の楽曲で1番はキーボード、アコギというシンプルなアレンジになっているが、2番ではバンドサウンド、ストリングスのアレンジが加わり徐々に盛り上がりを見せる。2番サビ前の間奏部分ではギターソロがあるが、そのギターの音色も1990年代ビーイングらしくリアルタイムでは知らなかった私までも何だか懐かしさを感じてしまう。
 この曲は主人公が自分の半生を振り返る内容の歌詞が綴られている。もしかすると主人公は坂井自身がモデルなのかもしれない。・・・というのも冒頭部分の「若い頃はただ、人一倍好奇心が強くていろんな周囲の人や家族に迷惑ばかりかけてた。手さぐりで夢を探していたあの日、自分が将来どんな風になるのかわからなくてただ、前に進むことばかり考えていた Dear old days」レースクイーン時代の坂井(蒲池幸子)を本当に思い浮かべてしまう。坂井はZARDのボーカルとしてデビューする前から蒲池幸子としてレースクイーンと並行してカラオケのPV、バラエティやドラマなどのテレビ出演、企業のキャンペーンガールと多岐にわたる活動をしていた。もしかすると当時(1990年頃)は「自分が将来どんな風になるのかわからなくてただ前に進むことばかり考えていた」のかもしれない。
 そしてその後の「たくさん失敗もしたけどいつもそんな時、優しく親切だった人達の笑顔が浮かんだ。涙も忘れた。自分で選んだ道だから」の部分はアーティストに転身した当初のレコーディング・・・そして、毎回緊張してトークがぎこちなかったテレビ出演を指しているのだろうか。
 曲の終盤では主人公が誰かと交際していると思わせるフレーズがあるが、それは当時(1994~5年頃)の坂井を示していたのかは不明であるが、当時誰とも交際していなかったとは言い切れないだろう。

④もう逃げたりしないわ 想い出から
 ピアノの演奏音、シンセ、バンドサウンドが共存しているポップナンバー。2番サビの後の間奏部分~ラスサビ部分~アウトロがお気に入り。間奏部分のエレキギターの演奏音からは哀愁を感じられるのが醍醐味。ラスサビでは転調して曲調が盛り上がり、アウトロではシンセで締めくくっているのが絶品だと思う。何だか音楽における起承転結を見ているような気分になる。
 この曲はタイトルからも想像がつくように、ほろ苦い片想いの想い出がテーマになっている。歌詞を読む限りでは主人公と意中の相手は友人関係ではあるが、それ以上踏み出すことがなかなかできない様子であった。「はしゃぐ彼には言い出せなくて」とあるように恐らく最後まで告白はできなかったのだろう。「今何処で暮らしてますか」とあるように彼とは現在音信不通で、「悲しかったのは別れの言葉じゃない、本当の自分を知らなかった事」とあるように彼には素をさらけ出せなかったことを後悔しているようだった。
 最後には「もう逃げたりしないわ想い出から。あなたの事忘れない。だけどもうあなたの事では泣かない」と前向きに考えようとはしているものの、やはり主人公は彼のことを忘れようとしていなかったので、どれだけ彼を愛していたのかが伝わってくる。

⑤あなたを感じていたい
 ZARDの13枚目のシングルとして1994年12月24日に発売され、NTT DOCOMO・ポケベル『パルティ―V』のCMソングに起用された。ちなみにZARDの楽曲のうち、織田哲郎が唯一編曲を手掛けた1曲でもある(作曲も織田が担当)。この曲はPVも制作されており、フードが付いたベージュのセーター、ボーダーのセーターと2通りの衣装で坂井が歌っている姿が映し出されている。その姿は本当に美しく可愛くて後ろからギュッと抱きしめたくなる魅力がある。
 さて、この曲はイントロからシンセ大全開のバラードナンバー。メロディも「王道OF王道」で坂井泉水×織田哲郎の黄金の方程式が形成されている。シングル発売時期、後述の歌詞に合わせてメロディも冬を想起させる雰囲気も感じられる。
 そしてこの曲における坂井の歌い方は全体的に切なく特に1番サビの「変わらない二人でいようね」は本当に感情が籠っていて、ここも童貞をイカしにかかってきている。来世に坂井泉水と交際する機会があれば是非とも言われてみたい一言だ。何が言いたいかというと坂井泉水と付き合いたい。
 さて、内容に着目すると冬が舞台で恋人へのメッセージが歌詞となっている。上記の「変わらない二人でいようね」以外にも童貞を射精させにかかっているフレーズがある。
 それは冒頭の「ねぇそんなにしゃべらなくても私笑っていられるから」という歌詞は私のようなコミュ障童貞にも夢と希望を与えてくれる。・・・というのも「面白く喋って場を盛り上げなくても、この子は俺と楽しく一緒に居てくれるんだ!」という安心感が得られる。つまり坂井泉水に寄り添って頂いている錯覚に陥ってしまう。
 また、意味深な歌詞も見受けられる。2番の「ふるえる口唇ふさいで別れ際言いかけた言葉にもう会逢えない気がした…」と最後の「待っているからとどうしてあの時言えなかったんだろう」という部分が引っかかった。もしかすると主人公と恋人はある日逢ったのを最後に連絡が取れなくなってしまったのだろうか。「変わらない二人でいようね」という主人公の願いは実現しなかったのかもしれない。

⑥気楽に行こう

 バンドサウンド、シンセのサウンドが目立ったポップナンバー。アルバム発売後にPHS通信会社『アステル関西』CMソングとして起用された。
 前トラック「あなたを感じていたい」と異なり、可愛らしさが弾ける歌い方を楽しむことができる。2番サビとラスサビの間のギターソロも清涼感、そして何だか懐かしさも感じられてお気に入り。
 個人的なエピソードになってしまうが、本当に辛い時期、この曲にはお世話になった。毎日が辛くて
心が折れそうになっているときに「気楽に行こう、今は」という坂井の歌声を聴いたときは本当に涙が頬を伝いそうになった。
 歌詞を見ると応援ソングというよりかは、どちらかというとラブソングに感じられる。一応、主人公は相手と交際しているようだが、甘酸っぱく片想いなら経験した私が聴いても共感できる内容である。
 まず、冒頭の「気がつけば私さっきから鳴らない電話ニラんでる」は2010年代の現在におけるLINEに置き換えてイメージしても良いかもしれない。返信が来そうにない片想い相手とのLINEのトーク画面を眺めているのは、まさにこの歌詞の状況と同じであり、私自身も経験したことがあるので、わかりみが深すぎる。
 2番のサビでは「気楽に行こう、今は。目の前にあるそれぞれの夢をひとつずつ積み上げていこう」という歌詞になっている。これは主人公と相手のそれぞれの人生について触れている歌詞で前向きなフレーズに感じられる。我武者羅に「頑張れ」という内容のフレーズは苦手だが、これは押しつけがましくないので全く不快な感情を抱かないし、「ひとつずつ」というのが好感を持てる。

⑦I'm in love
 アップテンポなポップ・ロックナンバーで、コーラスには大黒摩季、川島だりあらが参加している。タイアップとして、タワーレコードのCMソングとしても起用された。
 この記事を執筆するにあたり、調べて初めて知ったが、なんと非売品としてこの曲の8cmシングルが存在する。アレンジは全体的にバンドサウンド主体となっているが、一部シンセの演奏音も織り込まれ、アクセントとなっている。
 歌詞に目を向けると現代日本社会を風刺しているようにも感じられる。例えば「偽りを知らない瞳がブラウン管からこっちを見つめる。なんて無力なの彼らを救えない。私の失望は小さすぎるわ」と子どもに関するニュースを思わせる内容の他、「お隣の顔も知らない冷凍食品(レトルト)にも飽き飽きしてる。常識は打ちのめされたシングルライフを楽しむ彼女(No! No! No!)何か忘れてる、人間(ひと)を愛するってこと。環境破壊よ。あなた自身の」と人間関係が希薄になった社会への警鐘を鳴らしている。
 本作が発売された1995年当時は現在のようにインターネット、SNSが普及していなかったが、既に人間関係が希薄になっていたようだ。坂井が存命だった時期よりSNSが発達している現在を坂井が目にしたらどう思うのか気になってしまう。
 しかし、それとは対照的にポジティブな内容のフレーズもある。例えば「時代はいつも変ってゆくけどヒーローはいるわ」「夜明けはいつかやってくるのよ、諦めないで」という部分。歌詞中の「ヒーロー」とは一体何だろうか。これに関しては憶測でしかないが、特定の何かを表しているのではなく心を癒す人、物全般を指していると考えられる。そう考えると私自身にとっての「ヒーロー」はやはり坂井泉水なのかもしれない。

⑧こんなにそばに居るのに
 ZARD12枚目のシングルとして1994年8月8日に発売され、ファッション企業の三貴『ブティックJOY』CMソングとして起用された。
 この曲は本作『forever you』収録曲で最もロック色が濃い。また、シングルバージョンとアルバムバージョンが存在する。シングルバージョンはイントロからスタートし、1番Aメロ部分から歌い出しとなっているが、アルバムバージョンではサビの一部を冒頭に挟んでから本来のイントロが始まっている。また、アレンジも大幅に異なっていて、シングルバージョンでは打ち込み主体であるのに対し、アルバムバージョンではバンドサウンドが前面に出ている。
 またPVも存在していて、ステージスタジオで歌う姿のほか、レコーディング風景が映し出されている。ステージ上での坂井は白のポロシャツ姿でかなり楽しそうである。好きな部分を上げると本当にキリがないが、例えば「偶然がまるで運命に思えたあの頃」と歌った直後にトレードマークのポニーテールをはためかせながらグルっと1回転している姿は天使そのもの。・・・可愛すぎてかなわん。
 レコーディング風景では譜面らしきものを真剣な表情で眺めている様子や録音した音源をチェックしている場面が映し出されている。彼女はレコーディングには本当に妥協を許さなかったエピソードがあるが、このPVの場面からもそれが窺える。
 さて、歌詞に着目すると、倦怠期を迎えた?恋人同士がテーマになっていて、坂井節がとことん炸裂している。例えば1番サビの「出合った頃のように熱く激しくあなたの汗感じてる」という部分は本当にエロティック。やはり坂井泉水も草野マサムネと同じく、純粋で真面目そうな顔立ちをしていながら心の内は大変態だったのかもしれない。このギャップがたまらないのだ。
 先述の「あなたの汗感じてる」というフレーズの直後には「真夏のようにHold me tight」という一節があるが、本当に童貞捕獲フレーズといっても過言ではない。来世ではこんな感じで坂井に直接言われてメロメロになって強く、強く抱きしめたいものである。

⑨Just believe in love
 ZARD14枚目のシングルとして1995年2月1日に発売された。アルバム発売の約1ヶ月のリリースであり本作『forever you』における先行シングルにあたる。なお、タイアップとしてTBS系列ドラマ『揺れる想い』オープニングテーマに起用された。
 この曲はシンセサイザーとバンドサウンドが見事に調和しているバラードナンバーで、本作『forever you』の終盤に相応しい1曲である。この曲もPVが存在し、坂井は全身で曲を表現していて、右の拳に力を入れて歌っているのが印象的だ。
 坂井のボーカルは、この曲でも優しさと力強さが共存していて、リスナーの心を惹きつけるパワーを持っている。歌詞は主人公から恋人へのメッセージのような内容となっている。
 主人公は高校1年の明音で46歳の俊亮と交際している。俊亮とは毎日のようにセックスライフを満喫していた。ある日、いつものように俊亮の自宅で騎乗位で儀式を行い快楽に浸っていたところ、警察官が部屋に突入してきた。俊亮は全裸のまま警察官に連行された。何としても彼が逮捕されるのを阻止したかった明音は必死の想いで勃起した俊亮の陰茎を引っ張り押さえたが、すぐに警察官に引き離され、結局彼は現行犯逮捕されてしまった。
 彼が逮捕された後も彼への思いは捨てきれなかった。歌詞中の「歳の差の迷いを捨てて飛び込んだ」「誰よりもあなたの温もり信じてる」は彼への思いの強さを表していて、「つまずくことさえも明日への希望へと変えていこう」は彼が現行犯逮捕されるという困難にぶつかり憔悴しきった明音自身を奮い立たせる気持ちの表れだと思われる。
 こうして、俊亮との恋は終了したが、1ヶ月後、明音は88歳の男性と交際を始めたらしいが、その後どうなったのかは定かではない。

⑩瞳そらさないで
 DEENへの提供曲「瞳そらさないで」のセルフカバー。原曲よりもバンドサウンドが抑えられて、テンポも遅くなっておりボサノヴァ調にアレンジされている。また原曲とは曲の構成が大きく異なっており2番のAメロ、Bメロ部分が省略されていて、そのまま大サビとなっている。この大サビ部分では転調していて、聴き惚れてしまう。
 最後の歌詞も一部異なっている。DEENバージョンでは「瞳そらさないで。青い夏のトキメキの中で。summer breeze 心を伝えて。いつまでも君がそばに居てくれると信じてる(×2)」となっているが、ZARDバージョンでは「話そらさないで。青い夏のトキメキの中で。summer days 想い出にしないで。あの頃の君が今も胸の中で笑ってる(×2)」となっている。
 主人公は高校1年の兼。兼は隣のクラスの明音と友人関係で密かに片想いをしていた。休日、明音とは電話をすることが多く、2人で遊びに行くこともあった。彼は本当にそれを生きる糧にしていた。しかし、「最近君は留守がちだね」と歌詞中にあるように電話を掛けても近頃は家にいないことが多く、やっと電話に出ても態度が素っ気なかった。それでも兼は諦めず彼女を海へと誘った。しかし、彼女は全く楽しくなさそうで会話も全く盛り上がらなかった。気まずい空気が広がる中、彼女は重い口を開いた。何と、46歳の男と交際しているとのことだった。彼のことは大好きで大好きでたまらないから、これ以上私の家に電話をかけてこないでとまで兼は言われてしまった…。
 兼の恋はあっけなく終わってしまった。失恋をした兼の気持ちを踏まえてあの頃の君が今も胸の中で笑ってる」という部分を聴くと切なさのあまり涙が溢れ出しそうになってしまう。

◯まとめ
 ZARDのセールス全盛期の中では最も地味なポジションのアルバムだが、決して駄作ではない。一応ヒット作ではあるのでBOOK・OFFを始めとした中古CDショップではよく見かける。是非手に取って、聴いて頂きたい。
 さて、今回のレビューはここまでとする。最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。見出し画像はAmazonのサイトより引用致しました。

 さて、今回は音楽の媒体についての記事を書かせて頂く。今回はCD形態と配信ダウンロード形態に特に着目するが、まずは本記事の本筋と逸れるが音楽鑑賞の媒体の歴史からまとめた。
①音楽の媒体の歴史
 まず、「【音楽学】音楽産業の歴史と発展~レコード・CD・MP3・ストリーミング~」を参考にして最初に音楽の媒体の歴史について簡単に振り返っていこう。
 1877年、エジソンが初期蓄音機『フォノグラフ』を発明をし、音声の録音・再生することが可能になった。これが後の音楽産業の発展のきっかけになったかもしれない。
 1887年には円盤式の蓄音機(つまりレコード)が誕生する。
 1920年頃にはラジオの普及により、レコードは絶滅寸前まで衰退したが、1940年頃には酒場などでジュークボックスが普及し始め、レコードの危機が救われたという。現在もJ-POPのアルバムでは『LP』として発売されていることもある。
 1964年からはコンパクトのカセットテープが標準規格となった。1979年では『ウォークマン』の普及によりカセットブームとなり市場に多く出回った。現在では殆ど見かけなくなったが、私が小学生だった2000年代前半頃までは私の自宅、自家用車でもカセットテープを使用する場面が多かった気がする。
 そして、1982年頃からは今回の記事の話題の中心となるCDが普及し始める。サザンオールスターズを始めとした当時のアルバムはその後しばらくはカセット、CDを並行して発売されることが多かった。
 そして1980年代末以降はカセットからCDへのシフトチェンジが進み、TLでも大人気な(印象の)CD全盛期を迎える。J-POPにて1995年ではシングルミリオンヒット28作、1998年ではCDセールス最高記録となる。ちなみに同時期カセットの代用としてMDもヒットしていた(が、最近ではまず見かけない)。
 そして2000年代に突入し、配信ダウンロード、iPodが普及し、音楽を携帯する時代を迎え、CDは徐々にセールスが縮小している印象がある。その結果からか、中古CD販売店の店舗数が減少している気がしてならない。

②CD(購入)・配信ダウンロードの長所と短所

1)CD(購入)
◯長所
 ・ジャケット、歌詞カードまで存分に楽しみながら鑑賞することが可能。
 ・身近な人に貸して、その作品の良さを伝えることが可能。
 ・アルバムの場合、曲単位のみならず曲順も含めて1つの作品として楽しむことができる。
 ・コレクター欲が満たされる。
 ・Twitterでの「収穫発表」映えする。・・・etc
◯短所
 ・収納スペースが必要となる(レンタルの場合はないが)。
 ・iTunesのインポートの手間が大変。

2)配信ダウンロード形式
◯長所
 ・収納スペースは不要
 ・インポートの作業もCDほど手間がかからない
 ・好きな曲だけ購入できる。
◯短所
 ・歌詞カードがないので、それに映ったメンバーの写真を眺める楽しみがない。
 ・身近な人への貸し出しでの布教が困難。
 ・店頭での「ジャケ買い」の楽しみがない。

③結論として、CDと配信はどちらが良いのか?
 上記のようにそれぞれ良さがあるので「どちらが良いか」と考えること自体無駄で、どっちも
良いと思う。だから「今時CDとか時代遅れでしょ」「配信はクソ」という内容の文をネットで見かけるたびに、何とも言えない気持ちになる。
 私の場合、CDで購入し、実際に聴くのは持ち運びができるiPhoneという場合が多い。「ならCD購入じゃなくてレンタルにしたり配信されているデータをダウンロードして購入した方がいいのでは?」と言われるかもしれない。「形で残したい」というコレクター欲があることの他に、歌詞カードがあると作品レビューの執筆作業もしやすくなるので、やっぱり私自身にとっては実際にCDで持っていた方が便利である。
 ズラズラと語ってしまったが、結論としてはCDも配信もどちらも良い。ただ、コレクターとしては配信は否定せずにCDの良さを今後も声を大にして主張していきたい。

④最後に
 2020年代に突入すると、さらにCD業界はさらに衰退し、「配信限定アルバム」なるものが増えていくと私は予想する。そして趣味のさらなる多様化により、J-POP自体聴かない人も増えると思われる。しかし、そうなっても私はJ-POPやCDの良さを命を懸けてでも発信していけたら良いなと思う。 
 内容の薄い自己満コラムとなってしまいましたが、最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。見出し画像はこちらのサイトのを引用させて頂きました。

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