レジーのブログ LDB

「歌は世につれ、世は歌につれ」でもなくなってきた時代に。  ※15/4/23 世の中の状況を鑑みてfc2からこちらに移しました

ご連絡はレジーのポータルの「contact」よりどうぞ。(ブログ外の活動もまとめてあります)

【子連れフジロック備忘】家族で苗場に行った話

16年ぶりのフジロック参加を決めた理由

 

レジー「フジロックに行ってきました。写真しょぼいですが」

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司会者「今のご時世、おじさんが“フジロックに行ってきた”というといろいろ問題になるみたいですよ」

 

わざわざ「フジロック行ってきた」と報告される問題  無干渉社会を望みたい

若者が敬遠か フジロックは“おひとりさま”中高年の祭典に

 

レジー「ここはずっと音楽の話をしてるブログなので大目に見てください。今回16年ぶりっていうスーパー久々参加で、そのうえ2歳半の子供を連れて家族3人で行くというのをやったんですけど、いろいろ面白かったことだったり失敗談だったりあるので書き残しておこうかと。あ、あらかじめ言っておくと、ライブちゃんと見れたのはほんとに少ないのでライブ評みたいな音楽そのものに関する話はほぼないです。単なる日記的なもの、事前準備のプロセス、小さい子をフジロックに連れて行ったことに関する感想みたいな話に終始しますので、読んでいただく方はそういう前提でお楽しみいただけますと。結論めいたものは最後の方にまとめてますので時間ない方はそちらから見ていただいてもいいです」

 

司会者「16年も行ってないと逆に行きづらくなりそうですね」

 

レジー「16年前はオアシスを見るために行かなくては!となって、まだ大学生だったので金曜日にテストが入らないように春先から時間割調整したりしたわ。その時も超楽しかったんだけど、その後海外のシーンと距離ができちゃったり、あとはひたちなかに行くのが定番になった関係で金銭的な問題が出てきたりで全く足が向くことがなく。ただここ数年サブスクのおかげで海の向こうの音楽をまとまった量聴くようになり、あとひたちなかに若干飽きがき始めていたというか、行くものの何か気持ちを持て余すことが増えてきて、ちょっと違うところにも行きたいなと。そんなこともあって、今年入ったくらいからこの夏はフジロック行くかとかって話を家でしてたんだよね」

 

司会者「その時点で子連れのイメージだったと」

 

レジー「そう。すでにいろいろライブとかフェスとか野外でやるやつ中心に連れて行ってるんだけど、山に連れていくだけでも意味があるかなとか、さすがにマーキーの中には行けないだろうなとかイメージしつつ。そんなおりに発表された小沢健二のフジロック出演」

 

司会者「Mステで突如発表されましたね」

 

レジー「これはまじで行かなくては!と思って別プランでホテルとって、家族参加と相成りました。「流動体について」は家族全員好きで、娘も「はねだおき~」と歌ったりするので、ぜひ生で体験してほしいなと。不安もありましたが楽しみな気持ちの方が大きかったですね」

 

 

準備と情報収集 心に響いた女神の言葉

 

司会者「久々のフジロック、しかも小さい子もいるとなるといろいろ準備が大変ですね」

 

レジー「なかなか腰が重くてね、結局ちゃんと動き出したのは7月になってからだった」

 

司会者「直前」

 

レジー「その前から同じく子供を連れて行った人たちのブログとか見始めてはいたんだけどそこどまりだった。まずは雨対策、と思って7月あたまに新宿のアウトドアショップに行ったものの未知の世界すぎて何を買えばいいかわからず退散しました。この日はベビーカーなしで外出してたうえに子ども寝ちゃって抱っこを余儀なくされ、しかもお店が混んでて接客も受けられず、ほんとに「無力・・・」って感じだった。その後ほんとに直前の週末に吉祥寺のパタゴニアとその並びにあるお店でレインウェアと靴を買ったんだけど、あんなに高いのねあの手のものは

司会者「大枚をはたきました」

 

レジー「このレベルで3人分でしょ。ちょっと引いたけど、結果的にこれが良かった。あと普段こういうお店行かないから全然知らなかったけど、かわいいデザインのものが多いんですね。買い物としては楽しかった。あとこれは金額的にはそこまでではないけど、物理的に大きいものとしてベビーカーを新調しました」

 

司会者「アウトドア用に頑丈なやつを」

 

レジー「いや、そういう意見もあったんだけど、そろそろ子どももベビーカー使わないかなというタイミングで最近全然乗りたがってなかったので、最悪荷物置きになれば、向こうで壊れても仕方ないくらいの気持ちで西松屋の比較的シンプルなやつを。これに関しては僥倖というか、娘の身体感覚と妙にフィットしたようでこのベビーカーになってからやたら乗りたいって言うようになったんだよね。これは助かった。苗場で抱っこモードが発動してたらたぶんいろいろ無理だったと思う。あとは虫刺され対策の小物とか、ご飯並んでるときの子供用の非常食とか、そういうのは出発当日の朝に近所のドラッグストアやスーパーに買い出しに行ったり。全体的にギリギリでしたね」

 

司会者「先ほど過去の参加者のブログを読んだみたいな話もありましたが、参考になったサイトなどあれば」

 

レジー「細かいブログとかはちゃんと記録してないけど、一番参考になったのはこどもフジロック。これはほんとにいいサイトで」

 

司会者「昨年からあるコーナーですね。いろいろな体験談が載っていたり」

 

レジー「去年から中学生無料になったし、そもそもの理念にある「三世代で来てほしい」みたいな話に徐々に本腰入れ始めてるんだろうなとか思いました。で、ここに僕の永遠の女神こと広末涼子さまのインタビューがあるんですけど、これが自分の中では大きかった。一部引用します」

 

海外旅行に行くときも同じだと思うんですけど、フェスに子供と行くときは、まず一番に自分の欲を捨てる事が大事だと思います。これを聴きたいとか、ここに行きたいとか、これを絶対買いたい、とか自分のなかで決めちゃうと子供との時間を楽しめないので。だから下手したら音楽は二の次くらいに考えて、聴けたらラッキー! みたいな気持ちで行くとすっごくおおらかな気持ちで楽しめると思うんです。アレとコレに行きたいとか思うと、絶対時間に迫られちゃうし、子供の体調とか天候の変化で予定通りにいかないとイライラしてそれがストレスになっちゃうかもしれない。だから本当に、家族でキャンプに行くような感覚で、そこにかつ音楽が楽しめるんだ〜って気持ちで参加するのがベストだと思います。

 

司会者「がっつくなと」

 

レジー「これ読んでいろいろ覚悟を決めました。あれもこれも見たいのはたくさんあったんだけどもう基本はあきらめよう、何となく動線上で聴こえてくればOKかなって。そうは言ってもオザケンを見れなかったらさすがにきつい、あと友人がバックバンドで出るMichael Kanekoは見たいというのがあり、とりあえずこの2つを見るところから逆算してあまり負荷がかからないような動きにする、これ以外はずっと散歩とキッズランドにいてもいいかなくらいの感じで当日を迎えました。なので厳密に何をどう見て回るかみたいなのは決めていませんでした。そのときの体調とか含めて判断しようという感じで」

 

 

意外と大丈夫(条件付き)

 

司会者「で、結構緩く動いたと」

 

レジー「こんな感じです」

 

・木曜日に入るも前夜祭にはいかずホテルでのんびり

・金曜日はとりあえずAMに移動

・土曜日はオザケンに照準を合わせて夕方に会場入り

・日曜日は結構無理させたかなと思ったのでパス(でも以上に元気だったから行っても大丈夫だったかもしれない)

 

司会者「動き的にはゆとりがあっても、大雨があってきつかったのでは」

 

レジー「それが、ここで威力を発揮したのがパタゴニアですよ。初日はちょうどMichael Kanekoが終わって、妻はアバロン前で昼寝しつつ、僕はベビーカー置いて娘と散歩してたんですけど、ここで最初の雨が来たんですよ。慌てて合流して、レインウェアを着たんですけど、そしたらあら不思議、なんか意外と気にならなかった。これには妻もびっくりしていました。娘も全く平然としてるし。ある意味では晴天で日差しが超強くなるより楽だったかもしれない。ちなみにこの散歩中アバロンにあるお店で娘に牛乳を飲ませたところこれがたいそう気に入ったようで、大雨が降り始めてからもおかわりしたいと言い出して買いに行きました。この牛乳は彼女的にかなり大きな思い出だったようです。レインウェアが濡れているのを見て「せっかく買ったのにね・・・」と言ってたのも面白かった。そのために買ったから大丈夫」

 

司会者「なかなか雨をよけられる場所もないですよね」

 

レジー「グリーンの後ろの方に、小さい子供とか車いすとかが入れるプライオリティテントがあって一応そこに行ってみたんだけど当然激混みで。でもそこに先にいてシート敷いてたファミリーが娘用に椅子を貸してくれたりしました。大変ありがたかったんだけど、ちょうどそのときグリーンでトータスとか加山雄三とかが出るセッション企画が始まって、それの音を聴いた娘が見えない、見たいとか言い出したんよね。あれは謎だった」

 

司会者「雨の中」

 

レジー「仕方ないからお礼言ってもう少しステージが見えるところまで行ったよ。確かにのっていた。あと雨もしばらくすると止んできた。流れで初日の動きについて書いておくと、それ加山雄三が歌うあたりまで見てからオアシスにご飯食べに行って、娘の好きな前前前世聴けるといいなと思い再度グリーン行くかと思ったらいきなり例の曲が聴こえてきて、でもベビーカーだし急ぐわけにもいかず、何とか曲の最後のサビはちゃんと聴けるくらいのタイミングで戻ってくれた。ラッド終わったら帰ろうかと思ってたけど、まだ全然元気っぽかったのでエックスエックスの途中くらいまではいました」

 

司会者「ベビーカー移動の話が普通に出てきていますが、会場内では危なくないですか」

 

レジー「個人的にはむしろ歩かせてた方が危ないような気がした。あとで改めて書くけど歩きたばこ野郎が異常に多くてね。邪魔じゃないのかみたいな話で言うと、あくまでもこちらの感覚としては子づれじゃなくてもでかい荷物持ってる人はいるしお互い様なのかなと。がちゃっとぶつかっちゃうようなこともなかったし」

 

司会者「これ系の話は「そもそも子どもをそういう人の多いところに連れていくべきか、かわいそうじゃないのか」みたいな意見が必ず出てきますよね」

 

レジー「んー、少なくとも本人は終始楽しそうにしてたからほっといてくれって感じではあるんだけど。手前の話とも重なりますが、「子どもがいたから、ベビーカーがあったから迷惑をかけた」っていうのはないはず。ただ帰りたいと言ったときは優先したしそのスタンスは最低限必要なのかなと。エックスエックスの途中で帰ったのも娘発信だったから。あ、ただこの後の帰りは結構大変だったんだよね。娘はベビーカーで寝ちゃってたけど、バスが一向に来なくて。しかもたまに来るバスにもびっちり乗せることはしないっていうよくわかんないオペレーションで。これはさすがにしんどかった。明日もこれか・・・しかももっと遅い時間・・・このときはオザケン見ずに帰った方がいいのではって話も出たんだけど、駅からホテルにタクシーで帰るときに運転手さんにいろいろ状況を聞いて、翌日会場からタクシー乗れるように予約をしました」

 

司会者「パタゴニアに続きまたお金が」

 

レジー「パタゴニアほどではないけどシャトルバスよりはお金かかるよね。まあでもこれは仕方ない。それでリスクを解消できるならけちらない方がいい、ってのは今回の学び」


 

オザケンパニック ステージは壊れるものなのか

 

司会者「2日目はいよいよオザケンデーです」

 

レジー「夕方に会場に入ってアバランチーズ横目に見ながらオレンジカフェまで行ってご飯食べて、ヘブンのエルヴィンビショップの楽しそうなステージを横目にホワイト行って、終わった後はエイフェックスツインやってるグリーンを通過して豪雨の中少しタクシー待って帰路につきました」

 

司会者「小沢健二のライブ時の顛末についてはnoteで」

【子づれフジロック備忘】小沢健二@ホワイトステージの端っこで起こっていたこと


レジー「一部補足してまとめるとこんな感じ」

 

・座っている人や子連れもいるステージの左側隅の方にいたところ、そこまで人が溢れてきた

・後ろの方の柵(仕切り)が壊れて人がたくさん入ってきた

・将棋倒しの恐怖を感じながら何とか脱出した

・最後の曲の前にステージを後にした(ただ最後まで見ていたら規制くらってたぶんしばらく動けなかったっぽいので、帰りたいと言った娘グッジョブ)

 

司会者「ベビーカーで迷惑にはなってないという話でしたが、ここについてはどうなんですか」

 

レジー「あのnoteに関してそういう反応もありましたね。ここは見通しが甘かったしすみませんって気持ちはもちろんあります。ただね、ここはいろいろ言いたいこともあって、僕も一応ライブとかいろいろ行くから大体どのくらいの場所に突っ込んじゃうとよくないとかって感覚は持ってるつもりなんですよ。普通に考えたら人が溢れてくるような場所ではなかったはずだし、地蔵にならないように前のアクトが終わってからステージ入りしたし、真ん中の方に飛び込んだわけでもないし。結果としては「あんな場所にいるな」って言われても仕方ないことになっちゃったけど、これっていわゆるゼロリスクの話なのかなという気もしています。ステージの仕切りが壊れて人が入ってくる、入場規制をちゃんと取り回しできない、そういうあまりにも想定外のケースまで読み込んで動かないといけないのか、とか。そもそもあのケースはベビーカーとか関係なく危なかったって話が各所で出てきてるわけで、そのあたりさばく側はどう考えてたんだろ。自分も周りも、とにかく無事終わって良かった」

 

 

ゴミよりタバコ

 

司会者「結構長くなったのでそろそろまとめていただけますと」

 

レジー「以下、2歳半の子供を連れていくことに関する個人的な見解です」

 

・子どものタフさや性格次第だけど、決して恐れるべきものではない。会場をうろうろする限りは普通に都心に外出する時とそこまで大きくは変わらない。子どもがいるから断念、と最初から決めつけるのはもったいない。「子どもがいたから周りに迷惑をかけた」はないと思っている(実際にどうかは何とも言えない)

 

・ただ、そのためには事前の準備、というか出費や早めの行動は必須なのが現実。「雨具をケチってたら」とか「早めにオザケンを後にしなかったら」とか「タクシーをとっていなくてあの豪雨の中バスを待っていたら待てたら、とか考えるとゾッとする

 

・「まず一番に自分の欲を捨てる事が大事」(by 広末涼子)これにつきる。見ようによってはかなり無駄なチケット代になっている部分もあるけどそういうことは考えない、家族で山に行ったことそのものが楽しかったという発想にすべき

 

・オザケンの件に関してはもうどうしようもなかったと思っている。「ステージが壊れて人が溢れる」ところまで想定するかどうかはいわゆるゼロリスク問題だけど、「超目玉アクトがグリーン以外でやる」ときにはそういうことまで考える必要があるのかもしれない

 

司会者「あと今年はマナーが悪かった的な話がいろいろ出ていますね」

 

レジー「これに関しては久しぶりすぎて比較対象がない。ただ、オザケンの件では周りに多くの人に助けられました。配慮していただいて本当にありがとうございました。マナー問題に関しては「外国の人のマナーがどうこう」みたいなのもちょっと見たけど、ことベビーカーとか子どもとかに対しては外国の人の方が間違いなく温かったね。この辺は「日本は子育てがしづらい国だ」云々の話とつながっていくやつなのかも。なので外国の人のマナー動向も保留。とにかく言いたいのはタバコね」



 

司会者「歩きたばこは一応禁止なんですよね」

 

レジー「禁止なのに平気で動線で吸ってる人、オザケンの混雑の中吸ってる人、どっちもやばいでしょ。ポイ捨ては見た目が不快なだけだけど、歩きたばこはケガにつながるからね。子供の目線で火が動いてるのは怖い以外の何物でもないし、それに限らず普通に危ないからなんとかしてほしい。不満だったのはそれくらいですね。そんなにライブを見なくてもフジロックは楽しめるって感触を得られたのは収穫だった。次いつになるかはわからないけどまた行きたいですね。天気いい時にキッズランドで遊びたいし、ドラゴンドラにも行ってみたい」

 

司会者「16年前に着の身着のままで行った時とはだいぶ感じ方が違いますね」

 

レジー「ほんと初めて感じたことも多いし、「子連れは来るな」って思う人も相変わらずいるだろうしそれはしょうがないとも思います。自分としては、小さい子からお年寄りまでいろんな世代が普通にフェスに集まるような時代になってほしいなと思います。こんな感じで」

 

司会者「わかりました。次回はどうしますか」

 

レジー「一旦未定でお願いします」

 

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

恋は魔物 『他に好きな人ができた』リリースインタビュー 恋の悲しさと妖しさを歌う2人の胸の内

司会者「前回のodolに引き続きインタビュー企画をお送りします」

レジー「今回は8月2日にデビューアルバム『他に好きな人ができた』をリリースする恋は魔物の2人のインタビューをお届けします」

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司会者「先日公開されたリード曲「美しくってばかみたい!」のMVが話題を呼びました」



レジー「なかなか衝撃の展開なので未見の方はぜひ。今回のアルバムにはDADARAYのえつこが参加していたり、あとは小田和正やSuperflyの作品も手掛けているエンジニアの方が関わっていたりと、今のインディーシーンには比較的珍しい大文字のポップスとして機能しそうな音楽をやっているバンドです。ただ、そういう間口の広さとは対照的に、彼らはロックバンドとしてのアイデンティティを持って活動していて、そういうところにユニークさがあるのかなと思います。今回のインタビューではバンド名の由来といった基本的なところから2人のミュージシャンとしてのルーツ、このバンドのテーマとなっている恋愛というものの切り取り方などについて話を伺いました。ちなみにこの記事が初めてのインタビューとなります。それではどうぞ」


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「名前に引っ張られて変わっていった」

---今回がグループとしては初めてのインタビューということですので、基本的なところからお伺いできればと思います。まずはお2人が一緒に活動するようになったきっかけから教えてください。

いづみさとー(以下いづみ)「恋は魔物として活動する前に私がやっていたバンドがあったんですけど、そのバンドのローディーやカメラマンを彼がやっていたんですよね」

田中ひろゆき(以下田中)「高校時代からの友人がそのバンドにいて、流れで手伝うようになりました」

いづみ「そのバンドは結構ぐちゃぐちゃして解散しちゃうんですけど・・・それで精神的に凹んだりもしたんですが、そのときにいろいろ相談に乗ってくれたりしていたのが彼だったんですよね。そういう中で、じゃあ一緒にやってみようかという感じで私から誘いました」

田中「ちょうど僕もバンドがないタイミングだったので、またゼロから始めようかなと」

---どんな音楽をやるかのイメージはあったんですか?

いづみ「いや、全然なかったですね。今は「恋の悲しい歌」っていう方向性が固まってきていますが、最初からそういうことをやろうと思っていたわけではないんです。名前に引っ張られて変わっていった感じですね」

---恋は魔物、インパクトのある名前ですよね。「魔物」って言葉を辞書で引いてみたんですが・・・

いづみ「(笑)。引いたことないです」

---「人をたぶらかす妖しい力を持つもの」。

いづみ「まさにですね。恋ですね、それは」

---(笑)。バンド名自体が強烈なメッセージになっているというか。

いづみ「でも最初は好きじゃなかったんですよ!ツイッターアカウントを作るときにも、「恋は魔物、って・・・」と思いました(笑)。今の2人と以前メンバーだったドラムの3人でバンド名を決めようってなって、私は「これ!」っていうアイデアがあったんですが、あとの2人が嫌だって言ったんですよね。じゃあもう何でもいいよ、好きにすれば?って感じで・・・」

田中「すでに彼女が詞も曲も作っていて、そこにあるダークな雰囲気とかがバンド名になったらいいなと思っていたんですよね。「恋って怖いよね」みたいな話もしたと思うんですけど、そういうところから「魔物」って言葉が出てきました。初めは確かにちょっと恥ずかしかったんですけど(笑)、彼女の持っている世界観に合っている言葉だと思うし、このバンド名にしようってなった時の感覚は間違ってなかったんじゃないかなと」

---なるほど。ちなみにリスナーとしてはこれまでどういうのを聴いていたんですか?

いづみ「ほんとにいろいろなんですけど・・・やっぱり歌がいいアーティストが昔から好きでしたね。ボニー・ピンク、ラブ・サイケデリコ、中島美嘉とか。あとは高校生になってチャットモンチーに出会って「女の子でもこんなにかっこよくできるんだ!」って思って感動して、そこからバンドものを聴くようになりました。父がプログレ好きだったり、母がビッグバンドのボーカルをやっていたりローリング・ストーンズのコピーバンドに入ったりしていて、音楽は昔から自分の身近なところにありました」

田中「うちの親も音楽が好きで、車の中でずっとボサノバが流れていましたね。リスナーとしては基本なんでも聴くんですけど、中学3年生の時にギターを買ってからは洋楽、海外のロックがメインです。高校で軽音楽部に入った時にやっていたのはレッド・ツェッペリン、ミスター・ビッグ、ヴァン・ヘイレンとかのハードロック、あとはオアシス、レッチリ(レット・ホット・チリ・ペッパーズ)、ブリンク182・・・マイケミ(マイ・ケミカル・ロマンス)とかもやっていましたね。大学に入ってからはブラックミュージックのバンドをやっていたし、日本の音楽だとはっぴいえんどとかシュガーベイブとか、あと松任谷由美さんや鈴木茂さんもすごい好き。雑食です」

---最近聴いたやつで何かいいのありました?

田中「今ライブ見たいのが、11月にバンドで来日するMitskiさん。去年のライブも行きました。アラバマ・シェイクスとかボン・イヴェールとかも好きですよ」



いづみ「最近だと・・・ラジオで聴いてやばいなと思ったが、乃木坂46の齋藤飛鳥ちゃんとコラボしているMONDO GROSSOの曲ですね。なんだこの病気になりそうなやつは!って思いました(笑)。ああいう中毒性のある曲に弱いです」




「携帯のメモ帳に、常に歌詞が1000件くらいある」

---楽曲作りにおける役割分担としてはいづみさんが作詞作曲、田中さんがアレンジという理解でいいですか?

田中「まず彼女が歌詞とメロディを作ってきて、それを僕が打ち込みでアレンジする場合とバンドのメンバーそれぞれがデモを聴いてアレンジを持ってくる場合があります。今回の曲だと「あなたとの関係」は2人で完結させた曲で、「あなたには関係ない」は今ライブをやっているメンバーで全部アレンジした初めての曲です」

---「あなたには関係ない」はバンドっぽさがありますよね。アウトロがかっこいいなと思いました。

田中「ありがとうございます」

---いづみさんの曲作りのプロセスについて教えていただきたいんですが、何か参照元があってロジカルに曲を作るタイプなんですか?それともイメージがふいに降りてくる感じなんでしょうか。

いづみ「あの・・・根がポエマーなんですよ(笑)。携帯のメモ帳に、常に歌詞が1000件くらいあるんですよね。だから歌詞に困ったことはないです。楽器を弾いて「このコードいいな」ってなったときに、その中から合うものを探すことが多いですね。このバンドを始めるまで作曲はやったことなかったんですけど、自分が歌いたいものを歌うには自分で作った方がいいのかなと思って始めました」

---いづみさんとしてはご自身で作った曲が他の人によって肉付けされていくという形になると思うんですが、アレンジの方向性に関しては曲ができた時点で何かしらイメージ感はあったりするんですか?

いづみ「そうですね、バンドサウンドになったらどうなるかを意識しながらデモを作っているつもりではいます。その時のイメージからギャップのあるアレンジが出てきたことはほとんどないので、そのあたりの感覚は信頼しています。前にやっていたバンドは私が書いた言葉に違う人が曲をつけていたんですけど、言っちゃ悪いんですが表現の純度が下がるなと感じていて・・・今は自分で曲まで作ったものを他の人に肉付けしてもらっているんですけど、純度が下がると思ったことは全くないですね。伝わりやすくなっている、力を貸してもらっているなと」

田中「いづみさんのデモはコード感が特徴的で、不協和音の使い方とかからやりたいことが何となく見えるんですよね。その方向性を意識しつつ、そこに自分のやりたいことを盛り込んでいく感じでアレンジをしています。曲自体に度量があるからいろいろ遊びを入れられて楽しいんですけど、何よりも優先されるのは歌と言葉なので、そこが際立つように最近はシンプルなアレンジをするように意識しています。シンプルにしていく中でどんな面白いことができるかを考えたいです」

---さっきアラバマ・シェイクスの名前が出てなるほどなと思ったんですけど、恋は魔物の音楽って最近のポピュラーな若手のバンドよりも音がざらついているなという印象が僕の中にあって。歌ものだけどキラキラしているわけじゃない、重心の低い感じがユニークだなと思いました。

田中「いづみさんのキャラクターとか歌声、ルックス含めた存在感がすごくポップだと僕は思っているんですけど、やっぱり僕らのバンドは「ロックをやりたい」っていうのが強いんですよね。そういう意識が音の感触に出ているのかもしれないです」

---なるほど。お2人が志向されている「ロック」というのはサウンド面でのものなのか、それとも何かしら精神的な部分なのか・・・

いづみ「なんだろうな・・・「夜の国道にて獣を轢く」って曲があるんですけど、あれは対バンをビビらせるために作った曲なんですよね。そういう自分の中での尖っている部分を出していく、っていうのがロックってことなのかな」

田中「ライブで自然と拳をあげちゃうような、そういう衝動がロックなんだと僕は思います。恋は魔物の音楽でもそういう感覚を追求していきたいんですけど、一方ではいづみさんの表現が物事の核心にズバッと迫ってくる強いパワーを持っているので、そのバランスをとるのも自分の役割だと思っています」

いづみ「私が結構突っ走っちゃうんで、彼は止める役です」

田中「止めないにしても方向を変えるとかね。いいコンビネーションなんじゃないかなと思います」

いづみ「・・・(笑)」

田中「・・・いいコンビネーションなんじゃないかなと思います(笑)」

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(『他に好きな人ができた』ジャケット画像)


「ハッピーなラブソングを聴いてわーいって言ってる場合じゃないよ、あなたは何人見殺しにしてきたの?」

---さっき「歌詞が1000件ある」とおっしゃっていましたが、テーマは全部恋愛ですか?
 
いづみ「はい、ほとんどが」

---やはり恋愛に関することからインスピレーションがわくんでしょうか。

いづみ「そうですね・・・なんやかんや自分の心を動かすのって「好きだな」って気持ちだと思うんですよね。人に対してじゃなくても、たとえば音楽に対してでも「好き」っていう感情は恋だと思うから。そういうふうに感じたことを言葉に残したくなります」

---なるほど。恋愛とか「好き」という感情って本来は幸せなもののように思えるんですが、「恋は魔物」ってバンド名もついちゃうくらいだし、いづみさんにとってその感情はあまりハッピーなものではないのかなと思ったんですけど・・・

いづみ「(笑)。確かにそうですね」

---世の中にハッピーなラブソングもたくさんあると思うんですけど、それとはまた違う側面を切り取っているのはどういう思いからなんでしょうか。

いづみ「うーん・・・私がこれまで生きてきた中で、人をすごく傷つけてきたなあっていう実感があって。見殺しにしてきた人もたくさん・・・」

---「見殺しにしてきた」。なかなかインパクトのある表現ですね(笑)。

いづみ「(笑)。相手が泣いていても無視して帰っちゃったりとか、そんなことをすごくたくさんしてきて・・・そういう過去にあったことひとつひとつを忘れるべきではないと思っているんですよね。誰ひとり傷つけずに生きてきた人なんていないじゃないですか。だからみんなもそれを思い出してほしいっていう気持ちはあります。悲しみにもっと身をうずめてほしいというか・・・ちゃんと向き合ってほしいんですよ。「ハッピーなラブソングを聴いてわーいって言ってる場合じゃないよ、あなたは何人見殺しにしてきたの?」って。そんなことを考えながら曲を作っていると、結局悲しいものばっかりになっちゃいますね」

田中「前は贖罪みたいな言葉を使ってたよね」

いづみ「贖罪だね、歌うことは。「生まれながらにして罪」みたいな考え方って正しいと私は思っていて。償うために歌う、っていう気持ちもあります」

---じゃあ幸せなときは表現しようとは思わないってことですかね。

いづみ「あんまり幸せなときがないんですが(笑)、でもそうですね。表層的にハッピーなものは敬遠しちゃう。羨ましいっていう気持ちもあるんですけど」

---わかりました。歌詞を見させていただいて、僕が気になったのが「美しい」という言葉なんですけど。「美しくってばかみたい!」で始まって、最後の曲の「夜の国道にて獣を轢く」も<こんな恋は美しくないなぁ>で終わりますよね。いづみさん的に恋愛における美しさって何なんだろうなって。

いづみ「確かに最初も最後も「美しい」ですね・・・今気づきました(笑)。まず、誰かを好きになるっていうことがすごく尊い、それだけで美しいと思っています。「美しくってばかみたい!」は、すごく相手のことを好きになった、それは美しい感情なのに最後は裏切られて終わった、なんかばかみたいだな、っていう帰結なんですけど」

---「夜の国道にて獣を轢く」もすごく好きな人の話ですが・・・

いづみ「あの曲で歌っているのは、傷つけることで好きな人の心を動かしたいっていう偏った愛情についてなんですよね。やっぱり好きな人の心って揺らしたい、だけと傷つける以外に術がないからそれしか選べなかったっていう。それって「好き」という感情ではあるけど、決して美しくはないなって」

田中「横で歌詞を聴いている立場としては、今いづみさんが話していた感情の動きみたいなものだけじゃなくて、そういう出来事が起こった様子を俯瞰して美しいとかって表現しているのもあるのかなと思いますね。映画のワンシーンっぽいというか、調和しているものが破綻することの美しさ、みたいな」

---なるほど。エネルギーが発露する瞬間の危うさ、それゆえの美しさ。

いづみ「暴力的な情景と美しさっていうのはわりとテーマになっているかもしれないですね。「美しくってばかみたい!」でも、灰皿を蹴飛ばしてそれがきれいに飛び散るさまに美しさを感じていたりします」



「わかってくれなくてもいい、好きだって思ってほしい」

---初めて全国流通の作品をリリースするにあたって、こういう人に届いてほしい、こんなふうに聴いてもらいたいとかってイメージはありますか。

田中「もちろん多くの人に聴いてもらいたいとは思っています。恋愛に興味のない方、たとえば年配の方とかにはどう思われるかわからないんですが・・・」

いづみ「骨になるまで恋愛に興味はあるよ」

---・・・名言出ましたね。

いづみ「(笑)。私は、わかってくれなくてもいい、好きだって思ってほしい、という気持ちです。人間って分かり合えないことが前提だと思っているので、その人なりに解釈をしてもらって、それで好きだなって言ってもらいたいですね。誰かの中で私たちが思っているのとは全く違うキャラクターの恋は魔物が生きているっていうのもわくわくするので、好きにしてもらっていいです」

田中「僕はずっと洋楽を聴いてきたんで、リスナーとしては言葉よりもサウンドに力を感じてきました。彼女の言葉の強さや歌の良さと合わせて、バンドとしての演奏の良さも伝わるといいなと思っています。ミュージシャンって芸術的なものを作る人のことだと思うんですけど、「芸術」って新しい価値や意味を気付かせていくものなんだと思うんですよね。自分たちがそういうものを提示して、誰かの人生に新しい色を加えるようなことができたら嬉しいです」

---わかりました。じゃあ最後、いづみさんに締めていただけますと・・・

いづみ「なんだろう、難しいな・・・(笑)。私たちは悲しみを歌っているんですけど、それを聴いて泣いてくれるあなたはすごくきれいでかわいいよ、ってことを言いたいです」

---この先も期待しています。ありがとうございました。

2人「ありがとうございました!」


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司会者「インタビューは以上になります」

レジー「2人とも言葉が強くて面白かったです。いづみさんがわりと直感的な表現を使うのに対して、田中さんはロジカルに状況を切り取る感じで、確かにいいバランスだなと思いました。音としては普遍性があると思うし、一方で言葉はかなりパーソナルな領域に入っていくようなものになっているし、どういう形で支持されていくのか楽しみです。改めましてありがとうございました」

司会者「わかりました。次回は」

レジー「ちょっと一旦未定でお願いします。また一つ大きめのネタを仕込み始めたのでそちらの話もそのうちできれば」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

odol リリースインタビュー 『視線』で見せた新境地を語る

司会者「少し間が空きました」

レジー「いろいろ仕込んでまして。ほんとはりりぽんの話とかやりたいんだけど。とりあえず速報的にはMオンの記事に書いたのでそちらもぜひ」

司会者「記事内で触れた大場美奈さんにもご紹介いただきまして」

レジー「ありがとうございました。応援してます。で、今回なんですが、9月20日にEP『視線』をリリースするodolのミゾベさんと森山さんのインタビューをお送りします」


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司会者「このブログには3度目の登場となりますね」

荒々しくも美しいニューカマー、odolの裏側 (インタビュー前編)
荒々しくも美しいニューカマー、odolの裏側 (インタビュー後編)
odol『YEARS』リリースインタビュー:バラエティ豊かな新作に秘めた思いを語る

レジー「最初の作品から何かと絡ませていただいているのですが、今回の作品もまた大きく変わったように思います。『視線』の曲も何曲か配信されていますが、「GREEN」は鹿野さんのラジオでも取り上げられて話題になったみたいね」




司会者「これインパクトありますよね」

レジー「今までになかった怒りの発露。サウンド面でもオーソドックスなバンドサウンドからは離れているし、いろいろびっくりしました。ミゾベさんと森山さんにそのあたり含めて聞いてきていますのでどうぞ」


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音楽を聴く量が10倍くらいに増えた

---最初に『視線』の音源を聴かせていただいたときに、「これは問題作だ!」と思いまして・・・

ミゾベ、森山「(笑)」

---これまでと大きく変わった部分もあると思いますので、そのあたりもお聞きできれば。よろしくお願いします。

ミゾベ、森山「お願いします!」

---まずは少し遡って、前作『YEARS』をリリースしてからの反応や手応えなどについてお聞きしたいのですが。



森山「そうですね・・・うまい言い方が思いつかないんですけど、いい感じに届いたのかなとは思います。想定していたような形で受け取ってもらえたというか」

ミゾベ「(1stの)『odol』のときよりも僕らのことを知ってくれた人が多かったと思うので、それはうれしかったですね。ライブに来てくれる人が増えたり、地方でも少しずつ知ってもらえるようになったり」

---あと、バンドとしては新メンバーが加わって6人になるという大きな出来事もありましたね(注:2016年11月にDATSのメンバーとしても活動する早川知輝が加入)。変わったこと、変わらないこと、いろいろあったのではないかと推察しますがいかがでしょうか。

森山「他のバンドもやっている早川さんが後から入ってきてくれたことで、「違う人間が集まっているのがバンドなんだ」ということを意識するようになりました。元の5人は最初からodolのメンバーとしてやっているので、「それぞれが違う人間なんだ」みたいなことを改めて考えるようなきっかけがなかなかなかったんですよね。早川さんの存在が刺激になって、「バンドとは何か」みたいなことをより深く考えられるようになったのかなと」

---音楽的な部分でも変化はありましたか?
 
森山「手が増えたっていうのはもちろんあるんですけど、それ以上に「楽器やパートに対するこだわりは捨てるしかない」と思いましたね。例えば曲によっては「ギター2本もいらないな」となるときもあるし・・・メンバーがいるからといって必ずしも6つの楽器を入れる必要はないと考えるようになったので、そういう意味では逆に発想が自由になったかもしれないです」

---今回の作品を聴かせていただいたときにこれまでのギターロック的なフォーマットからはかなり離れた作品になったなという印象を受けたんですが、今お話しいただいたような編成の変化が影響している部分が大きいんですか?

森山「うーん、どうだろうな・・・少しは関係あるかも、くらいですかね。そもそも「ギターロック」と意識してodolの音楽を作ったことはないんですけど、今回の楽曲のアレンジはギターまで含めて僕がやることもあったのでそっちの方が影響は大きいかもしれないです。もちろん最終的な演奏への落とし込みはメンバーと一緒にすり合わせながら行ったんですけど。最近はギターロック的な音で伝わる人が減っているような気がしていたので、そういう意識が曲にも出ているんじゃないかなと思います。もともとメンバーみんな「ギターロックをやりたくてodolをやっている」ってわけでもないから、とどまる必要もないのかなと」

ミゾベ「ギターの2人も、ギターへのこだわりよりも楽曲をどう良くするかってところに意識が向いていました」

---「ギターロック的な音で伝わる人が減っているのでは」とのことですが、何かそういうふうに思い至るきっかけがあったんでしょうか。

森山「具体的に何があったわけではないんですが、『YEARS』を作ってから音楽を聴く量が10倍くらいに増えたんですよね」

---10倍ですか。すごい。

森山「今までは自分が好きなものを深く聴くばかりだったんですけど、それだけじゃなくて売れているところから国内外問わずジャンルレスに聴くようになりました。Apple Musicが完全に生活に染み込みましたね。前はCDへのこだわりみたいなものもあったんですけど、そういうのも1ミリもなくなりました。『YEARS』のときに自分に蓄積されているものが足りないように感じたので、世の中を把握しながらいろいろ聴いてみようと思って。そういうインプット量の増加も今回のサウンドに影響していると思います」

ミゾベ「前回のインタビューでも森山が話していましたが、『YEARS』を作れたことには満足しているんですけど、できた後に「何か違うな」というような感触があったんですよね。『視線』を作るにあたってはその違和感が何なのかを探るところから始まっているので、メンバーそれぞれでもバンド全体でもいろいろな試行錯誤がありました」


odol_視線_1400fix

(『視線』ジャケット画像)


『YEARS』までの流れは一回バシッと途切れている

---『YEARS』への違和感というお話がありましたが、odolとしてはあの作品を経て今回どのようなものを作ろうと思ったんですか?

森山「『YEARS』には「モラトリアム」っていうテーマがあって、その時点での僕ら自身のことに目を向けて作っていたんですけど・・・モラトリアムを過ぎたら、自分たちのことばかりを歌い続けるわけにはいかないなと。学生の頃は日々楽しく過ごしていればよかったのが、卒業した後はひとりの社会人として責任を背負ったりするようになるし、それでストレスを感じたりしんどい気持ちになったりもしますよね。odolも今作でそういうステップに入ったというか。・・・『YEARS』の後バンドとしてどうするかはかなり話したよね」

ミゾベ「うん。音を出してる時間よりも話し合ってる時間の方が長かったです」

森山「そういう状況になって、音楽をやること自体が結構きつい時期もあったんですよね。でもまずはとにかく一曲作らないと、と思って作り始めたのが「私」です。最初の仮タイトルは「シンプル」だったんですけど、シンプルに音楽を楽しみたい、なんとなくいい感じの音楽を作ろう、という気持ちでした。そのわりには7拍子だったりストリングスが入っていたりと決してシンプルなものにはなっていないと思うんですが(笑)、odolとしてのひねくれ方みたいなのが出ているかなと思います」

---「私」のストリングスはかなり印象的でした。おしゃれな感じで好きです。

森山「ほんとですか!良かった」

---この曲は今作の中でも特にギターロック的な意匠からは遠いところにありますね。

森山「そうですね、「私」に関しては意識的にバンドっぽい音と距離をとった部分があるかもです。当時は聴いていて個人的にピンとくるバンドもあまりいなくて、ギターでコードを弾かれると拒絶しちゃうような感じだったので」

---なるほど。そう考えると、『YEARS』の頃とは明確にモードが変わっていますね。

森山「はい。『YEARS』までの流れは一回バシッと途切れていますね。再スタートの一曲目です」

---「私」は歌詞も面白いですね。今までになかった女性的な言葉遣いで。

ミゾベ「この曲は「自分だけど自分じゃない」みたいなことを歌いたくて・・・odolで歌うのは自分しかありえないけど、たとえばバイトをしているときとかって「別に自分である必要はないんじゃないか」みたいなことを思うんですよね。そういうもやっとした気持ちを歌おうとしたときに、一人称が「僕」とかだと「odolとしての自分がodolではないときの自分を歌う」みたいな矛盾が生じるような気がして、一人称が<私>の歌詞を書きました。違う人格に自分を投影した方が本音で歌えるというか。あとは軽やかな感じの曲だったので、それに合うようなノリの良い言葉を選ぼうとは考えていました」

---曲のおしゃれな雰囲気や女性的な言葉遣いとは裏腹に、「私」で歌われている内容は結構閉塞感がありますよね。美しさとかはかなさみたいなものが主題になることが多かった今までのodolの言葉とは少し雰囲気が違うように思いますが、これまでの『odol』や『YEARS』の時と比べてミゾベさんの中で歌いたいことって変わりましたか?

ミゾベ「うーん、どうだろうな・・・(しばし沈黙) 最初から「こういうことを歌いたくなった」というような話ではなくて、できあがったあとに6曲の歌詞を並べてみて「あ、こういう気持ちもあったんだな」ということを整理できたというか。自分の中の複雑な気持ちを言葉にすることによって他人に見えるものにする、その過程で思っていることや考えていることをひとつひとつ消化しながら歌詞にしていったんだと今振り返ると思います。あとは、僕自身大学を休学したりとか自分なりに悩んだうえで何かしらの選択をしたタイミングと『視線』を作っている時期が重なっているので、そういう部分での変化はあるのかなとも思いますね。物事が思い通りにいかないときに感じるやるせない気持ちとか、そういう感情は今まで以上に歌詞にこもっているかもしれないです」


「GREEN」は今自分が感じていることをちゃんと音楽にできた

---今お話しいただいたフラストレーションのような感情が一番表れているのがEPの冒頭に入っている「GREEN」なのかなと思います。音の質感にも言葉にも怒りに近い感情がダイレクトに出ているように思いました。

森山「そうですね、今おっしゃっていただいた「怒り」っていうのがこの曲の感情に一番近い言葉だと思います。モラトリアムを経て社会に目を向けたときにそういう気持ちが湧き上がってきてしまったので・・・基本的にはodolの作品に個人の主義主張みたいなものを入れたいとは思っていないんですけど、ひとりの人間として感じたことをそのまま音にすることが今は必要なんじゃないかなと。「GREEN」は今自分が感じていることをちゃんと音楽にできたと思うし、だからメンバーにも「これをリードトラックとして出すべきだ」というスタンスで聴いてもらいました。その時点でメロディもアレンジも9割がた完成していました」

ミゾベ「最初に聴いたときにこれは強い気持ちで歌わないといけないなっていうのはすごく感じました。だから生半可な状態で歌詞をつけちゃだめだなと思って・・・一日中机に向かっても一文字も出てこない、みたいな日もあったんですけど。どこかから持ってきた言葉じゃなくて、自分の根源から持ってこないといけないと思ってこの歌詞を書きました」

---言葉もそうですし、ボーカルそのものからも切実さやシリアスな感じが伝わってきます。キーの高さもそれに寄与していますね。

森山「メロディに関しては普段は使わない「ド」の音まで使っています。怒りとか切実さを伝えるには、歌詞の内容関係なくこの高さで叫んだ方がいいなと思って」

ミゾベ「最初聴いたときに「高くね?」ってなったんですけど(笑)」

森山「仮にちゃんと出なかったとしても「ド」の音を出そうとするミゾベの声の感じも想像できたんで、どうしても無理なら考えるけど基本はこれで行こうとなりました」

---サウンド面で言うと「私」と同じくストリングスが効果的ですね。「私」と違って、「GREEN」のストリングスはより切実さや深刻な雰囲気を増幅させる感じで。

森山「この曲の感情や強さに合う音を探して、デモを作るときにいろいろ試した結果チェロとバイオリンに辿り着きました」

---あとはドラムがかなり重要な役割を果たしているように思いました。この曲のドラムの感じを聴いたときに、最近のジャズとかネオソウルとかそういうトレンドの影響をちょっと感じたんですよね。先日WONKとも対バンされていましたが、そのあたりから触発されている部分もあるのかなと。

森山「そのシーンからの影響は大きいですね。明らかに盛り上がっているじゃないですか。ただ、サウンドそのものに影響されたというより、そのシーンにいる人たちがカッコ良く思えたから、そういうトレンドをポジティブに吸収しようというスタンスになれたというか。「いろいろな音楽を新しい感性で組み合わせて新しい音楽を作る」みたいなことを自分たちはやりたいんだなというのを改めて自覚しましたね」

---これ、ドラムの垣守さんはかなり大変だったじゃないかなと想像しますが・・・今までと求められることがだいぶ違うというか。

ミゾベ「むずそうやったよね」

森山「ニュアンスの出し方とかの細かいところで長い時間話し合いました。やっぱり僕がいいと言っても奏者には奏者の考え方があるので、そのあたりのすり合わせは大変でしたね。ただ、そういう往復を繰り返すことでより説得力のあるものになったんじゃないかなと思います」

---垣守さんはああいうタイプのドラミングの引き出しを以前からお持ちだったわけではないですよね。

森山「そうですね。日本のロックとかが彼のルーツのはずなので、新しいチャレンジだったと思います。ただ、今までのやり方にこだわるんじゃなくて、今回の楽曲にどうやって貢献していくかというのを楽しみながら考えていってくれたように思います。これはこの曲に限らずだし、他のメンバーについてもそうなんですが。そういうプロセスの中で、どの楽曲も最初に僕が想像していたものより良くなっていったなという実感はすごくあります」


バンドをやっているときだけは純粋の楽しめる

---最後に収録されている「虹の端」はギターが6本という変わった編成の曲ですね。

森山「はい。今回のEPの制作は「バンドってこういうものだよね」みたいな先入観をみんなで取っ払っていく過程でもあるんですけど、「メンバーの音だけじゃなくてストリングスが入っていてもいいんじゃないか」「メンバー全員が演奏しなくてもいいんじゃないか」という感じで「ギターだけの曲があってもいいんじゃないか」っていうアイデアも生まれました。「ギター6本でやる」、あと「サビはみんなで合唱する」というところを伝えたうえで聴いてもらったんですけど、合唱っていうのが先にあったから歌詞もミゾベの気持ちというよりは「みんながみんなを見ている」というような言葉になったのかなと」

ミゾベ「僕が歌詞を書くときはいつもAメロから書くんですけど、この曲はサビしかない状態がしばらく続いていたのでなかなか歌詞にとりかかれなかったんですよね。Aメロまで含めて完成したのがレコーディングの2日前とかで、その時点では歌詞が一文字もなかったんです。でも不思議と焦るような気持ちはなくて、いざ書き始めたら2時間くらいで一気に完成しました。メロディを聴いたときに「いい曲だから早く歌詞書きたいな」と自然と思えたし、すごく素直な気持ちが詰まっていると思います」

---何かこういう原風景があって、それを言葉で描写した感じなんですか?

ミゾベ「原風景・・・っていうのは?」

---たとえば小さいころの記憶とか、具体的にこういう光景のイメージがミゾベさんの中にあったのかなとか思ったんですけど。すごくビジュアルが浮かんでくる言葉なので。

ミゾベ「なるほど。そういうことではないんですけど・・・この曲も実際に6人で集まってギターでやってみたりとかしたんですけど、今回のEPを作るにあたってはほんとに長い時間を6人で過ごしたんですよね。毎日のように一緒にいて音楽やって、『YEARS』のあとにバンドの方向性を話し合ってた時は大変なこともあったけど、最終的には「このメンバーで音楽やるのっていいな」っていうポジティブな気持ちに100%なれたんです。この曲からはそういう感じが伝わるといいなと思っているんですけど」

森山「今ミゾベが言った「音楽」っていうのは「バンド」の方がニュアンスとしては近いかもしれないです」

ミゾベ「うん」

森山「ミゾベは小さいころから音楽をやっていたってタイプではなくてバンドから音楽に入っているから、音楽と言えばみんなで音を出すことなんですよね。だからそういう意味では、この歌詞はミゾベの原風景と言えるのかもしれないですね」

---『視線』全体としては「GREEN」に代表されるような不安や怒りみたいなものが大きなテーマとしてありつつ、最後は<不安な気持ちなんて飛んでいくよ>っていう前向きな強い言葉を歌う「虹の端」で終わるっていう構成はかっこいいですね。全体を通して感情の起伏の見える感じが。

森山「後半3曲は比較的ポジティブな曲になっているという認識なんですが、その最後を「虹の端」で締められたのは良かったと思っています」

ミゾベ「ポジティブになれて良かったよね、最後」

森山「(笑)」

ミゾベ「僕らは音楽の力を信じているからこそ音楽を作るし、誰とでもつながれるものだと思って昔から音楽をやっているので、全体として重ためのメッセージであったとしてもそういう印象が聴いている人の中に残ったらいいなと思います」

森山「うん。世間に目を向けたときにマイナスな感情になる時もありますけど、そうやって暮らしている中でもバンドやっている時だけは純粋に楽しめるし、ポジティブな気持ちになれるときってもはや僕らにはそこしかないから」

---「GREEN」から「虹の端」まですごくまとまった6曲だと思いますが、今回も『YEARS』のときと同じような「こうじゃないんだよ!」という気持ちはありますか?

森山「うーん、ないと言えば嘘になるんですけど・・・『YEARS』を作った後とはだいぶ違いますね。あのとき感じたことを1年かけて整理して、「バンドって何なんだろう」っていう問いへの現時点での僕らの6通りの答えが『視線』に入っている曲たちなので。『視線』っていうタイトルには「主観の世界」っていう意味もあって、「あくまでも僕たちの見えている世界はこうです」っていう投げかけをしているのが今回の作品でもあるんです。そういう作品が、今度はリスナーの方の視線に映った時にどういうことを感じてもらえるかがとても楽しみです」

ミゾベ「ほんとに楽しみですね。あとは、手段は何でもいいので今回の曲を聴いてどう思ったのかぜひ教えてほしいです。それが次の作品をつくる時の刺激になるので。すでにあるようなものを真似しても意味がないと思っているし、この先も聴いた人が新しい何かを感じ取ってもらえるようなものをodolとして作っていきたいと思います」


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司会者「インタビューは以上になります」

レジー「なんとなくodolって世間の流れとかとは違うところで自分たちの美しさみたいなものを追求しているイメージだったんだけど、そういう人たちが違う世界に目を向けたことで表現のあり方がガラッと変わる感じがすごく面白かった。きっとこの先もいろんな刺激を受けてどんどん変わっていくんだろうね。改めてミゾベさん森山さんありがとうございました」

司会者「わかりました。次回は」

レジー「もう一つインタビュー企画が控えているのでそちらをお送りします」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

最近の関心事のアラカルト的なまとめ(クリープハイプからsora tob sakanaまで)

司会者「3月にPerfumeの企画をやり終えてから更新が止まりましたね。燃え尽きましたか」

 

レジー「まあいろいろあるんですよ。というかこれは現状の構造的課題なんですが、そもそもこのブログって「テーマを一つ定めてそれについて長尺で書く」っていうスタイルでずっとやってきてるんですよね。で、ここ2年くらい、それと全く同じことをリアルサウンドの「レジーのJ-POP鳥瞰図」でやってるわけです」

 

司会者「確かに2013年とかだったらブログで書いているであろうネタをリアルサウンドで扱ってますね」

 

レジー「そういう状況なので最近はブログではインタビューだったり連載だったり、企画色の強いエントリを書いているんですけど」

 

司会者「先日の一橋新聞のインタビューでも話していた内容です」

 

レジー「うん。で、それ系のやつはアップに至るまでにいろいろ仕込みに時間がかかるんだよね。noteにも書いたんだけど、今年の1Qはバタバタしててその辺を事前に仕込む余裕があんまりなかった。というわけで、今時点で控えている企画とかがない」

 

司会者「状況は分かったんですけど、結局どうしますか」

 

レジー「ちょっと考えたんですが、今回は今まで意外とやってなかったこととして、最近気になっているトピックをアラカルト的に取り上げる感じのエントリにしたいと思います。触れているテーマはこちら。興味のあるところだけ読んでいただいても」

 

・相変わらず「加齢」問題

・ロックバンド10年選手の逆襲

・僕たちは「平手アゲ」にどう対峙すべきか

・すごいぞsora tob sakana

・気になるニューカマー

 

 

相変わらず「加齢」問題

 

司会者「4月にリアルサウンドでSKY-HIw-inds.、三浦大知の作品の紹介、およびここまでのキャリアをジャニーズや女性アイドルと並べて論じた原稿がアップされました」

 

 





レジー「去年の年末にw-inds.の「We Don’t Need To Talk Anymore」のMVがアップされたあたりでガツンと盛り上がったよね。そこを皮切りに、今年に入ってこの3組のアルバムが立て続けにリリースされたと。個人的にはSMAPがいなくなったタイミングでこの辺の人たちがちゃんと見えてきている、っていうところにジャニーズ1強的な構造のほころびを感じたりする」

 

司会者「三浦大知はアルバム『HIT』のタイミングでメディアにたくさん出てましたね。テレビもそうですし、ウェブ記事もたくさんありました」

 

レジー「みんな褒めてて辟易だわ、みたいなツイートも早速見たよ。こういうのが出るってことはかなり広いゾーンに届いている証拠かと」

 

司会者「今回の記事は「若くしてアイドル的に受容された人たちがどうやってキャリアを重ねていくのか?」というテーマが主題になっていますね。で、この3組はある種のモデルケース的なものになり得ると」

 

レジー「去年ヤフトピになった女性アイドルのキャリアに関する記事の男性版という感じですね。あとその直前にあげた松田聖子に関する記事でも、似たようなテーマを扱っています。自分のライフステージが変わってるからという部分が一番大きいとは思うんだけど、「人前に立つ人たちが年を重ねながら活動していくというのはどういうことか?」って問いには今とても関心がある。最近ぱるるのことがグループ在籍時よりも好きで追っかけてるんだけど、これももしかしたらここで言う問題意識にリンクしているところがあるから興味を持っているのかも」

 

司会者「ロックバンドも活動20年目で初武道館!みたいなケースもいろいろ出てきてますしね」

 

レジー「うん。この辺考えていくと、超大ヒットがなくても継続的に活動するってありえるのか?っていう産業全体の話にもつながってくるし、あとは逆に若い層の芽を摘んでいるのでは?なんていう視点も出てくるかも。ここは継続的に考えていきたいですね」

 

 

ロックバンド10年選手の逆襲

 

司会者「バンドの話がありましたが、最近は一時よりも日本のバンドをまた聴いている感じがありますね」

 

レジー「なんか「どれも同じでほんとに退屈でやばい」みたいな状況を自分の中で抜けた印象がある。四つ打ちだなんだって話が行ききったのかな。そういうムードを横目に見つつも、もっとオリジナリティあることをやろうとしている人たちがどの世代にも出てきている感じ。それで言うとクリープハイプの「イト」は素晴らしいですね」

 

 

司会者「映画「帝一の國」の主題歌です」

 

レジー「これ、MUSICAで「「恋」や「前前前世」になれるのでは?」って書いたんだけど、そういうポテンシャルがある曲だと思うんだよなあ。「四つ打ち全盛以降」でもあり、「星野源以降」でもあるバンドサウンド。クリープハイプはここ最近明らかにソウルとかR&B風のアプローチが増えてて面白かったんだけど、それがこうやってポップに弾ける形に帰結するとは思ってなかった。レーベル移籍のいろいろを含めて停滞していたバンドの復活、みたいな側面もあるようなんですけど、そういうの抜きにしても楽しめる1曲かと。あと同じ流れで触れたいのがベボベの新しいアルバムのリードトラックになってる「すべては君のせいで」も最高よね」

 


 

司会者「本田翼が」

 

レジー「本田翼が。いや、それもそうなんだけど、この曲ほんと超かっこいいでしょ。これも3人になって・・・みたいな重要な背景があるわけだけど、それより何よりいわゆる「ギターロック」がこれだけ飽和した感じになっている中でまだまだ瑞々しいことがやれるって一発で提示しててすごい。やっぱりバックグラウンドにある音楽とか表現全般に対する知識って重要なんだろうか。なんとなく「イト」と「すべては君のせいで」がこのタイミングで続けて出たっていうのは最近のメインストリームのロックについて一つの転換点になるような気がします。星野源がポップフィールドの楽曲に対して一つの基準を作ったのと同じような位置づけになっておかしくないはずなんだけど、どっちの曲も」

 

 

われわれは「平手アゲ」にどう対峙すべきか

 

司会者「季節的にもうすぐAKB48の総選挙ですね」

 

レジー「今年は上の方の人ほんとに出ないし、だいぶ楽しみ方が変わりそうな感じですね。このタイミングでフジテレビの中継やめてほしいな。ネットで有料配信とかにして、変な解説とかなくひたすらステージの映像だけ映しといてほしいわ。ただ、もういずれにせよ大した話題にはならないよねこのイベントは。今はすっかり覇権が46に移ったわけで。最初乃木坂46が「AKB48の公式ライバル」とかって出てきたときにはみんな「何言ってんだこいつ」って感じだったのに、今ではAKBのメンバーがすっかり46を意識しちゃってるわけで、なんだかんだで秋元康すごいなと思うよ。46の曲もダサくなってる感じなのが気になるけど」

 

司会者「欅坂46の「不協和音」はいろいろな意味で話題になりました」

 

 

レジー「絶賛する向きもあるよね。もう僕ほんとに無理で、あの謎のシンセにまったく意味を見いだせないし、今こういうことをやるのが耐えられないというか」

 


 

司会者「このタイミングでロッキングオンジャパンにも平手さんが初登場しました」

 

レジー「「曲は作ってないけど時代の必然!つまりロック!」ロジックの発動ね。ここについては落ち着いたらちゃんとやりたいと思って少し資料を集めてるんですが、たとえば昔浜崎あゆみや宇多田ヒカルがJAPAN誌に初めて出たとき、「この人たちは弊誌が取り扱って然るべき精神性を兼ね備えた存在である!」みたいな話って意外としてないんだよね。Perfumeのときもそう。それが最近だと今回の平手さんだったり、あと去年いきものがかりが出たときも「逆にロック」というような話を殊更にしていると。何て言うのかな、「世間が思うロッキングオンジャパンのイメージ」みたいなものに自ら突っ込んでいっている感じ。情熱大陸なんかも典型的なんだけど、フォーマットを発明した人たちはどこかのタイミングで必ずそうなる」

 

司会者「JAPAN誌に限らず欅坂に関しては「平手さんとその仲間たち」みたいな見え方がずいぶん強調されますね。NHKの「SONGS」も完全にそうでしたし」

 

レジー「そもそも「サイレントマジョリティー」のときからそうだったし狙い通りってことではあるんだろうけどね。アマゾンプライムに「誰が徳山大五郎を殺したか」があるので遅ればせながら見始めててまだ序盤なんだけど、あれの平手さんのポジションもすごいよね。欅坂はとても好きですが、あのプロジェクトは「秋元康のいまだ解消されないサブカルコンプレックス×坂道チームのクリエイティビティ=うるさ型も大満足」みたいなフレームが随所に見え隠れするのでその辺はちょっと苦手です。それやるには平手さんが「時代のカリスマ」みたいになった方が都合いいだろうから今みたいな構造になってるんだろうけど」

 

司会者「実際アイドルと縁のなさそうな音楽評論の人たちがいろいろ書いていますよね」

 

レジー「AKBが広がった時には社会学系の人たちがわんさか入ってきて、欅坂がブレイクした時には音楽系の人たちがわんさか入ってきてると。個人的には是々非々でいきたいと思ってます。2016年の欅坂は最高だったけど、正直「不協和音」で不安になった。この先も面白いものちゃんと出てくるかな」

 

 

すごいぞsora tob sakana

 

司会者「アイドル絡みで言うと先日sora tob sakanaのバンドセットのライブを見ましたね」

 

レジー「いやーすんごかったよ。よく参照させていただいているこちらのブログに「「いいライブ」じゃなくて「すげえライブ」でした」と書いてあったけどまさに。緻密に折り重なった音が爆音で鳴っている中で少女4人が必死に歌う絵面、あの神々しさは何だったんだろう。「広告の街」かっこよかったなあ。なぜかバンド演奏の動画貼れないのでこちらから見てください

 


 



司会者「リキッドルームがソールドアウトでした」

 

レジー「雰囲気的に、普段から現場を追っているって人は半分くらいかな?ちょっとぶれありそうだけど、いずれにせよ自分も含めて「あの音楽をバンドでやるならぜひ見てみたい」って感じで集まった人たちが結構な数いたと思われる」

 

司会者「楽曲派の残党」

 

レジー「最近ここにきてなぜか「楽曲派とは?」みたいな記事2つくらい見たけどなんなんだろうね。まあそれは置いておくとして、このライブ見て「ちゃんとクリエイティブにお金と手間をかければまだまだアイドルはいろんなことができる」って思いました。まあただあれを毎回やるわけにもいかないんだろうし、「オケをバックにやる普段のライブとかも含めて活動を回していきながら肝のライブで凝ったことをやる」ってほんと大変だよね。そうやって自転車操業的になっていく人たちがほとんどなんだろうし。だからこそあのリキッドのライブは価値があるものだったと思う。神崎風花ちゃん超かわいかったのでまた見に行きたいな。しかしステージから降りたときの写真がツイッターに流れてきてたけど、おじさんがかわいいとか言うのが憚られるくらい子供でびっくりした。やはりステージ上だとマジックがかかりますね」

 

 

 

気になるニューカマー×3

 

司会者「ここまで4つのテーマについて書いてきましたが」

 

レジー「平手さん周辺の話は追って掘り下げると思います。他のテーマももしかしたらそのうち。最後に最近知った人たちの音源を紹介して終わろうかと。まずこれ」

 

 

 


司会者「福岡のバンド、COLTECOです」

 

レジー「確かApple Musicで薦められたんだけど、最高に気持ちいいです。最近のトレンドよりも少し無機質な感じに振ってるのが面白いと思いました。次に先日タワレコで盤を買ったこの人たち」

 

 

 

司会者「yaoyorosという東京のバンドです」

 

レジー「6月にミニアルバムが出るそうなのでそちらも楽しみ。なんか『MUGEN』あたりのサニーデイに通じる浮遊感とかやるせない感じがドキドキする。最後にサンクラで聴いたこちら」 

 



司会者「宮崎のsayonarablueというバンドです」

 

レジー「これ超いいよね。HOLIDAY! RECORDSのツイートで知ったんだけど、だんだん盛り上がっていく感じとか「それ待ってました!」みたいに気持ちいいツボを順番についていってくれるような楽しさがある。早く他の曲も聴いてみたいです。というわけで、今回はバラバラといろんな話題について書きましたがこのあたりで」

 

司会者「わかりました。次回はどうしますか」

 

レジー「仕込み時間が取れたらその平手さんとJAPAN問題についてやるかも。予定は未定で」

 

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

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