司会者「先日アップした「あの1023円で何が買えたか? -もはや誰も顧みない90sJ-POPを勝手に供養する-」ですが、予想に反して結構拡散されました」

レジー「意外だったね。スムースエースのときみたいに読み手置いてきぼり記事になると思ってたのに」

司会者「「ミュージックスクエア聴いてたなー」みたいな声もわりとありました」

レジー「ね。以前「文化系トークラジオLife」で「文化的初体験」に関する回があって、自分と同世代として出演してた方がアニメ系の話ばっかりでミュージックスクエア出さないの超不満、って話を去年ブログに書いたんですけど。共感してもらえる方が多くてよかったです。せっかくなので好意的な反響を紹介しようかな。まずは同世代と思しき方々」










司会者「特定層にはたまらないチョイスだったみたいですね」

レジー「続いてこんな感じのご意見」







司会者「こういう反応は嬉しいですね」

レジー「これきっかけでいろいろ聴く範囲を広げてみてください。ちなみに今回一番うれしかった反応がこれ。ブコメであったんですけど」

おしゃれな名盤解放同盟みたいで応援したい。

司会者「おお」

レジー「幻の名盤解放同盟、モットーは「すべての音源は平等にターンテーブル上で再生される権利を持つ」。じゃあ僕が今やってるのは「すべての音源は平等にiTunesライブラリに登録される権利を持つ」って感じですかね。ちょっとこれ今後掲げていこうかな」

司会者「ちなみにこんなのもありましたね」

せっかくなので、CDだけではなくて今も活動しているバンドのライブのレポとかもしてください!

レジー「これはなかなかお金と時間が」

司会者「キリなくなっちゃいますからね」

レジー「誰か協賛してくれないかな」

司会者「さすがに無理じゃないですか」

レジー「皆さんがアマゾンで何か買い物する前に貼ってるリンクを軽く踏んでくれるだけでこの企画が実現できるかもしれないのに」

司会者「乞食発言はやめてください」

レジー「失礼しました。まあなんかいろいろ反響あって良かったです。シリーズっぽく始めたのに無反応だったら悲しいからねえ。というわけで、今回は第2回目です」

司会者「改めて趣旨を説明しておきましょう」

・アマゾンを巡回して、「1円で買える90年代半ば~後半デビューのさして売れなかった人たち」のCDを3作品発見して回収
・費用は1,023円(→(CD1円+送料340円)×3枚)
・その中身について自分の思い出も交えて話をする


レジー「今回の3枚はこちら」

90s22.jpg

司会者「これ知名度はどうなんですかね」

レジー「結構「○○取り上げてほしい!」みたいなツイートも見たんだけど、それ参考にした部分もあります。では早速いきましょう」

cool drive makers『DRIVE HOME』







司会者「まず最初はクールドライブメーカーズです。96年に結成されて、98年にメジャーデビュー。これは99年のアルバムです」

レジー「これは昔持ってて、以前の引っ越しでCD処分したときにユニオンに売って、今回買い戻しました。僕これ結構隠れた名盤だと思うんですよね」

司会者「かなりバラエティに富んでますよね」

レジー「ファンキーな曲とバラードをそれぞれ貼ったんですけど、その他にもいろんなタイプの曲が入ってます」

司会者「曲によってはメジャーデビュー前のPE’Zのメンバーがホーンで参加してたりと何気に豪華です」

レジー「知らなかった。なんか事務所が一緒みたいだね」

司会者「あと今回紹介した『Call My Name』は王様のブランチのタイアップがついてたみたいです」

レジー「他にもミスドのCMソングもやってたりとか、結構お膳立てされてたのに売れなかったなあ。そういや僕高校生の頃この人たちのラジオ聴いてましたよ。スガシカオとかと並んでレギュラー持ってたんですよ」

司会者「J-WAVEの「Across The View」ですね。出演者見ると結構な顔ぶれが並んでます」

レジー「この人らがやってたのは99年夏から翌年春までだから、ちょうど受験勉強で夜机にいることが多かった時期か。だから印象に残ってるのか」

司会者「スタジオでの生ライブ企画とかありましたね」

レジー「うん。MDに録音して結構聴いたなあ。確かその週はトライセラ、ブリグリ、クールドライブメーカーズ、スガシカオと毎日生ライブをやってて。超楽しかった」

司会者「金曜日はMISIAがやってたみたいですが」

レジー「全然聞いたことないんだけどたぶんその日は塾行ってたんだと思う」

司会者「なるほど」

レジー「このアルバム聴くと当時期待されてたのもわかる感じがします。ライブは見たことなかったけど、たぶん演奏もうまかったんじゃないかな。歌も聴きごたえあるし。ファンクとかソウルがベースになってるこういう横ノリの音って日本のシーンだと今でも貴重だよね。僕アルフレッドビーチサンダル初めて聴いたとき、久々にこのバンド思い出したんですよ」



司会者「最近の東京のインディーズシーンとの親和性もあると」

レジー「そういうの聴いてる人も気に入ると思います」

司会者「クールドライブメーカーズは改名をしたのち2005年に活動休止、ボーカルのネモはネモトラボルタ名義で活動を続けています」



レジー「全然追えてなかったんだけど今こんな音なのね。でも個人的にはクールドライブメーカーズ時代の路線の方が好きだなあ」


ZEPPET STORE『CUE』





司会者「続いてはゼペットストアです」

レジー「これは前回記事読んでいただいた方からのリクエストが比較的多かった気がします」

司会者「96年にメジャーデビュー、これは97年のアルバムです」

レジー「X JAPANのhideに見出されたとか先にアメリカでアルバムをリリースしたとか、鳴り物入りで出てきた感じはありましたね。このアルバムは確か学校で友達に借りた記憶があります」

司会者「hideが死んだときに結構テレビに出てましたね」

レジー「確か『LOOP』を歌ってたよね。このアルバムには入ってない曲だけど。なんかすごい印象に残ってる。てかPVにすごい時代を感じるな」



司会者「前回のこの企画で「バンドものにストリングスもホーンもガンガン重ねるのがこの時代の特徴」って話をしましたが、ゼペットに関してはそういう傾向は見られないですね」

レジー「うん。この辺はhideが関わってた部分が関係あるのかもね。あんまり加工せずに真っ向勝負でロックバンドとしてやっていこうっていう方針だったのかもしれない。そういう意味では今の「邦ロック」と呼ばれる人たちと比較的近いし、ちょっと出てくる時代が早かったのかもしれないですね」

司会者「ゼペットは2005年に解散しましたが、震災を機に再結成しています」



レジー「これ全然知らなかったわ。ちゃんと露出したら若い人も結構聴いてくれそうな音だなあと思いました。ライジングにも出るみたいですね」


ROBOTS『GUITAR DE POP』





司会者「3枚目はロボッツです。ジュディマリのギタリスト、TAKUYAのソロとしての最初のアルバムですね」

レジー「僕あんまりちゃんと把握してないんだけど、ジュディマリに入る前からこの名義でやってたんだよね?紹介した『コイビト』って曲がすごい好きでした」

司会者「リリース時期は97年11月です。ジュディマリ絶頂期のころですね。『THE POWER SOURCE』が出てスタジアムツアーもやって、という」

レジー「なんかこういうバンドとして上げ潮のタイミングでソロが出るってのが何とも言えないよね」

司会者「ジュディマリ関連ならとりあえず出しとけみたいな感じだったんですかね」

レジー「でもこれあんま売れなかったよね確か」

司会者「歌番組には結構出てたと思いますがそんなに話題にはならなかったですね」

レジー「ジュディマリの話をしだすとたぶんそれだけでエントリーいくつかやる感じになると思うのであんまりそっち入りたくないんだけど、まあなんかこのアルバムの話をするにはTAKUYAとジュディマリの関係についてある程度は触れざるを得ないなあと思いました。アルバムとしては初めて聴いたんだけど、音の世界観はすごくジュディマリに近いんだよねこれ。確かロボッツってこの後もっとロック色が強くなっていくイメージがあるんだけど」

司会者「黒夢の人時が参加したりしてましたよね」

レジー「うん。でもこのアルバムはタイトル通り「ポップ」とか「カラフル」とかそういう印象が強い。この時期のジュディマリってTAKUYAと恩ちゃんがそれぞれ曲書いてた時期だけど、やっぱり「ジュディマリ的なサウンド」っていうのの根幹にはTAKUYAの感性の影響がでかかったんだなあってこれ聴いて思った。一方で、そういう部分が伝わってないことへのフラストレーションもあったみたいなんですよね。2007年のインタビューでこんなことを言っていて」

あれ(注:この発言の前の「後半のジュディマリ」を指す)こそ俺のサウンドだったけど、世間はそういう風には見なくて、やっぱりジュディマリ=YUKIだったんだろうと思うし。

司会者「いろいろなものを含んだ発言ですね」

レジー「今考えてもジュディマリってなんか常に危ういバランスで動いてたと思うんだけど、それってTAKUYAのバンドに対するスタンスがでかかったんじゃないかなあと」

司会者「一方で、ジュディマリに対しての愛もあったんだなと思う言動もありますよね」

いままで沢山いろんなボーカルの人のプレイを観たり
聴いたり、録音したり、ライブしたりしてきましたが、
一番凄かった人は?と質問されると、ぱっと思いつく名前の中に
元同じバンドやってたYUKIは必ず出てくるくらいなので、
東京ドームくらい、彼女はもう、ソロでも何度もやってるみたいな感覚でした。(笑)

おめでとうとか、女性初とかニュース等で見かけますが、
僕もうれしいと、、ともに、、、
当然じゃねー、、??。
JUDY AND MARY のボーカルだぜ、、って。
思ってます。

TAKUYA オフィシャルブログ 2012年5月7日



—JUDY AND MARYのトリビュート盤が発売されましたね。聴いてみてどうでしたか?

半沢武志君(FreeTEMPO)の「RADIO」が良かったなあ。昔YUKIが北九州のラジオ番組をもってて、毎週通ってたのね。この時期は、JUDY AND MARYがだんだん忙しくなって、一般人から業界人に変わらなきゃならなくて、肉体的にも精神的にも大変だった。この曲は、そんな時に、ラジオから好きな人に気持ちが届いたらいいよね、っておもいで作った。今、北海道でラジオをやっているんですけど、半沢君の「RADIO」を聴いて凄く癒された。アルバムの曲達は、自分の出した子供が、凄くおじいちゃん想いの孫を連れて帰ってきてくれた感じですね(笑)

ototoy 2009年インタビュー


レジー「なんかこう愛憎入り混じった感じだったんだろうね。こういう距離感でジュディマリやってた人がわざわざバンドの絶頂期にソロ出して、その音はすごく「ジュディマリらしい音」っていう構造は結構面白いというか切ないというか何とも言えない気持ちになるなあ。バンドへのささやかな抵抗でもあり、同時に愛情表現でもあるような」

司会者「なるほど」

レジー「後追いでジュディマリ聴いてる人もこれは意外と聴いてなかったりするような気がするんだけど、音もジュディマリに近いし、ジュディマリを理解するうえでは実は重要なアルバムなんじゃないかと思うので今回初めて知った人はぜひ聴いてみてください」

司会者「わかりました。3枚紹介し終わりましたが何かまとめとかありますか」

レジー「んー、そうね、今回は特に共通項もあんまないし、また新しい発見があれば嬉しいですって感じかなあ。あ、そうだ、一点だけ。なんかこの前の記事で森は生きていると失敗しない生き方について書いたら「この人こういうインディーっぽいのも聴くのか。意外。そしてなぜこの2つ?」みたいな反応がありまして」

司会者「それに絡んだまとめもできてましたね」

レジー「で、そういう人からすると、クールドライブメーカーズのところでアルフレッドビーチサンダルに触れたのにも何か思うところがあるのかなあと」

司会者「また唐突だな、的な」

レジー「そう。あらかじめ言っとくと、これについても別に深い意味はなくてたまたま聴いていいなと思ったって以上でも以下でもないので誤解のなきよう。で、それで言うと「今現在クールとされている東京のインディーズシーン」と「90年代J-POPの墓場」を同列にして語ってる人は他にあんまいないと思うんだけど」

司会者「そもそも「この人インディーも聴くのか」って反応自体、メジャーフィールドとの断絶が内面化されているがゆえですよね」

レジー「なんかその辺の断絶はうまくつないでいけたらいいなあと思ってます。この前の記事にも同じようなこと書いたしそんなツイートもしたんだけど、「MステJ-POPとアイドルが好き」「ロキノン系が好き」って人でもほんの少しの好奇心があれば今インディーズで蠢いている人たちにアクセスできるし、逆にいわゆるインディーっぽいものばっかり聴いている人にとっても面白いと感じられる音楽が商業ベースの世界にも絶対あるわけで」

司会者「自分が関与していない場所にある面白いものを知るきっかけを提供できると良いですね」

レジー「そんなことはちょっと意識していきたいなと。今回はそんな感じですかね。この企画はまたタイミング見て3回目をやろうと思います。次回ネタはこれから考えます」

司会者「わかりました。できるだけ早めの更新を期待しています」