「J-POPのオルタナティブ」を堪能しに名古屋へ

レジー「10月18日に「HOLIDAY Vol.1」というイベントが名古屋であって、それに行ってきました」

司会者「新幹線乗っちゃうと近いですよね名古屋」

レジー「そうね。結婚式とか出張とかでたまに行くけどいつもそう思う。今回のイベントは出演者が最高だったんですよ。ライブアクトだけでもこんな感じ」

tofubeats
Shiggy Jr.
Orland
Idiot Pop
パブリック娘。
ラブリーサマーちゃん


司会者「ちょっとした総ざらい感があります」

レジー「今回行こうと思った直接のきっかけは最近Shiggy Jr.のライブ見れてないなーってときにこれがあったっていう感じなんだけど、全部のアクト見たい!ってモチベーションで参加したイベントは意外と久しぶりの気がする」

司会者「これ以外にもDJの時間があって、14時から終電近くまでの超長丁場イベントでした」

レジー「さすがに疲れたね。座るスペースもそんなにないし。あとこの手の「パーティー」に一人で参加したの結構久々だったので最初はちょっと気圧されたというか、雰囲気にビビりました。ただ、ライブがどれもよかったのでかなり楽しかったよ」

司会者「東京以外で見るShiggy Jr.はいかがでしたか」

レジー「いやーあの盛り上がりはなんだったんだろうってくらいすごかったよ。前の方で見てたけどみんな踊ったり跳ねたり凄まじいことになってた。イベント始まって結構時間も経っててお酒飲んでる人が多かったみたいな場の特性上って話もあったのかもしれないけど、それ差し引いても爆発してました。待ってました!感はあったような」

司会者「ちょうど前日にサバンナ高橋とちゃあぽんのやってる番組のライブが放送されたりフジテレビで8月のリリパがちらっと流れたり、火がつく空気が醸成されてる感じもありますね」

レジー「僕の横でかわいい女子2人組が踊りまくってたのが印象的でした。他のライブでいうと、初めて見たIdiot Popがすごい良かったです。2年前の年間ベストにも入れてたんだけどパフォーマンス見るのは初めてで。どんなことやるのかなと思ってたら、ホーンもいるバンドセット」

司会者「音源の雰囲気とだいぶ違いましたね」

レジー「緻密にびっしり構築された世界みたいなイメージだったんだけど、この日のライブはそういうイメージ残しつつももっと開放的な感じだったよ。超楽しかった。今年出たアルバムもおすすめです」





司会者「名古屋のバンドとしてはOrlandが出演していました」

レジー「この人たちも初だったんだけどかっこよかった。以前音源聴いたときはかっこよすぎてあんまり自分ごとにならないなあって思ったんだけど、ライブだとそんなことどうでもよくなって踊らずにはいられない感じで。横山輝一の“Lovin' You”をカバーしてるって話を事前に聞いててすごいところ持ってくるなって思ったんだけどそれもやってた。この曲は以前「レジーのポータル」で僕が作った「90s J RARE GROOVE」ってプレイリストにも入れてたんだけど、90年代のブラックミュージック風味J-POPがこういうところで復活するってすごい面白いですね。ボコーダー使ったアレンジもいけてました」





司会者「今回のイベントはUrban Weekend Clubって人たちが主催してたんですよね」

レジー「そうそう。で、今回こういう面白いパーティーを作ったUrban Weekend Clubのたまやまんさんにブッキングとかあと名古屋のシーンの話なんかをイベント後にメールで聞いてみました。この前YEBISU MUSIC WEEKENDを仕切ってる大山さんにインタビューしたときにも思ったけど、こういう企画者の話は面白いよね。それではどうぞ」

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●イベントを主催しているUrban Weekend Clubについて、自己紹介をお願いします。

「Urban Weekend Clubについては僕(Daiki Tamayama)と弟(Takuro Tamayama)によるクリエーションプロジェクトで、音楽、アート、アパレルを軸に様々な表現活動を行なう場として立ち上げました。基本的には僕がディレクション、弟がデザインを担当しています。現状ではMIX CDのリリース、HOLIDAYなどイベント開催、アパレル商品の販売などを行なっています。まだ始動したばかりで、かつお互いマイペースすぎるので(笑)あまり活動が出来てないのが現状ですが、これからいろいろと面白いことが出来たらいいなと考えています」

●この「HOLIDAY Vol.1」は、「ここに来れば、今の時代のアンダーグラウンドにあるポップミュージックがわかる」とも言えるようなラインナップになっていると感じました。どのような意図・視点を持ってブッキングを進めましたか?

「単純に僕がいま見たい人達、大好きな人達を呼びたいというのがスタートではありますが、コンセプトとしては「クラブもライブハウスもインターネットも関係なく、最高のポップミュージックを体験できるパーティーにしたい」という思いが強かったです。まず、2014年の音楽シーンにおいて絶対に外せない存在でありぼくにとってのミュージックヒーローでもあるtofubeatsは必ず呼びたいと思って最初に声をかけました。そこを軸にして、tofubeatsと組み合わせたいアーティストや自分の好きなアーティストに声をかけていきました。そういう意味ではレジーさんの仰った「ここに来れば、今の時代のアンダーグラウンドにあるポップミュージックがわかる」という言葉もすごく的を得ているなあと思いました」

●今回のイベントはtofubeatsのアルバムリリースパーティーという側面もありますが、東京ではたとえばShiggy Jr.などのバンドやlyrical schoolといったアイドルまでひっくるめた「tofubeats以降のシーン」が形成されつつあるという印象があります。そういった動き・空気感は名古屋にもリアルタイムで伝わっているのでしょうか。

「あくまでも個人的な印象ですが、東京や関西と比べてしまうと名古屋ではそういうシーンがまだまだ形成されていないようにも感じます。ただ、最近では名古屋のパーティーでも関連する曲が多くかかるようになりつつあるし、それへの反応が良くなっているのも確かなので、今後名古屋でもそういった動きがどんどん広がっていって欲しいと思っています。そんな気持ちがあるので、tofubeatsを起点にブッキングした名古屋のパーティーにたくさんの反響があったのは本当に嬉しいことだと感じました。このメンツが名古屋に集まる、ということに意味があると思っていたので」

●今回は名古屋からOrlandが出演していましたが、Orland以外の名古屋のバンドで「今回の出演者が好きならこれも好きなはず」というアーティストをぜひ紹介してください。

「Orlandとも仲良くやっている6ピースバンドのHOT HOT SEXはいかがでしょうか。ディスコパンク〜エレクトロポップ周辺の音で海外インディーの匂いも感じるなかなか面白いバンドです。今回のイベントではラウンジDJとしてシンセのOFUROこと江口が出演してくれました。他にはFU-MUwhite white sisterssukida dramasジョセフ・アルカ・ポルカなどがおすすめです」

●イベント主催者として当日のフロアの光景・出来事で特に心に残っている瞬間があれば教えてください。

「ラブリーサマーちゃんやパブリック娘。、Phunkamentalsなど名古屋での出演が初めてのアーティストに対してもお客さんがすごく反応してくれたのを見て、本当にブッキングしてよかったなあと思いました。また、デイタイムのイベントということで普段クラブに行かないようなお客さんも多くいたと思いますが、DJの時間も常にフロアに人がいて踊ってくれているのは「クラブもライブハウスもインターネットも関係なくパーティーしたい」という僕の理想が叶った瞬間のような気がしてとても嬉しかったです(※当日のたまやまんさんのDJミックスはこちらからどうぞ)。あとはHOLIDAYでしか見れないような出演者同士のコラボレーションがいくつも楽しめたのは主催としてもすごく心が躍った瞬間でした」
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司会者「名古屋でこの組み合わせのイベントをやることにすごく意義を感じているんですね」

レジー「やっぱり「インターネットで物理的な距離が無効になる」とは言っても東京とそれ以外の場所が何から何まで一緒になるわけじゃないし、今回のたまやまんさんみたいな人たちがリアルの場を作っていくことで本当の意味で波及していくんだろうね。ネット上の「バズ」に実態を付与していくというか」

司会者「「ミュージックヒーロー」というのもいい表現ですね」

レジー「ほんと最近のトーフさんってそんな感じだよねえ。この日は一番最後の出番で、ど頭に直前でDJやってたオカダダさんとセットで“ダンシンスルーザナイト”をかましてて超テンション上がりました。で、このイベント前にリリースされた『First Album』も当然のように良かったです」


ダンスとうたが交錯するtofubeats『First Album』の話

司会者「tofubeatsのアルバム『First Album』についてはすでにいろいろなメディアでレビューやインタビューが掲載されています」





レジー「去年このブログでやったインタビューもそうでしたが、トーフさんのインタビュー大体面白いよね。いろいろ思ってることがあって言いたいことがはっきりしてる感じとか、初期衝動っぽいものがありつつも戦略的な立ち振る舞いをしているところとか。で、アルバムの話で言うと、聴いていく中で最初にびっくりしたのがパラパラ」

司会者「LIZとやってる“CAND\\\LAND”ですね」

レジー「かっこいいよねこれ。ちょっと前にこの人のことを国分さんのブログで知ってフリーで落とせる音源を何の予備知識もなしに聴いてたんだけど、今回のコラボは相思相愛な感じで」



司会者「リアルサウンドのインタビューでも語られてました」

LIZは『BBC Radio 1Xtra - Diplo and Friends』もそうですけど、Mad Decentとある程度繋がったところで「tofubeatsと一緒にやってもいいよ」と言ってくれるアーティストが何人かいて。その中から今回はLIZと組むことになりました。今後もMad Decent周りのアーティストとは何かできればと思ってますね。

レジー「クールジャパンとか派手な海外進出とかじゃなくて、普通な感じで日本と海外のクリエイターがつながってるのがいいなあと。この曲に関しては、ちょっと前にトーフさんのtumblrにD&DのPVが貼られてたことがあったんだけど個人的にはその辺の曲の雰囲気も感じました」



司会者「懐かしい」

レジー「当時から結構嫌いじゃなかった。で、LIZの曲の後に“朝が来るまで終わる事の無いダンスを”を挟んでインスト曲固め打ちのパートがあるんだけど、この辺についてもNEXUSのインタビューでこんな風に解説していました」

まあ、こんなんもできまっせっていう。前回もそうなんですけど、本当は複雑なビートとかしたいっていうことだったりもします。“Populuxe”ではポリリズムをやってるし、“zero to eight”では今でいうロウハウスっていうのもやってるし、“framed moments”だったらバックビートのハウスをやってる。最近のクラブミュージックのビートもフォローをしてるし、そういうのは作ってて楽しいからやっぱり入れておきたいという。あと、こういうことをメジャーでやる人がいなくなっちゃったら、本当に日本の人が誰も踊らなくなっちゃうっていうのはありますよね。

司会者「ダンスミュージックのいろんなトレンドを取り込んでいると」

レジー「恥ずかしながらちゃんとわかってないジャンルだけど、こうやって言語化できるアーティストに整理して提示してもらえるとなるほどあそこでなんやかんや言われてたのはこれのことか!ってわかるよね。ネットで断片的な情報はいっぱい手に入るけどそういうのに接してるだけじゃなかなか自分の中に入っていかなかったりするわけで」

司会者「このパートがあるからこそ他の歌ものが生きていきますね」

レジー「うん。インスト4曲から“Her Favorite”があって、その後“Don’t stop the music”で森高千里の声が聴こえてきたときに旅から帰ってきたような感じになる。で、アルバム終盤に入ってる“衣替え”ね。これやばいでしょ」

司会者「“ディスコの神様”のカップリングに収録されていた際には本人のボーカルでしたが、今回はボニーピンクが歌っています」

レジー「最初からこの組み合わせを想定して作ってたって話だけどほんとにしっくりくるよね。個人的にはこれから寒くなっていく中でたくさん聴きそう。1番の歌が終わってストリングス入ってくるところとか鳥肌もんだよなー。そういやトーフさんはさっき紹介したリアルサウンドのインタビューでやりたい方向性として古内東子、中島美嘉“TRUE”、MISIA“Mother Father Brother Sister”、深田恭子“イージーライダー”って名前を出してたんだけど、この並びはすごい期待が高まります。tofubeats解釈の“イージーライダー”とか超聴いてみたいわ」



司会者「いい曲」

レジー「日本的な情緒というか、適度にしっとりしてて適度にカラッとしてる質感の歌もの。こういうのがJ-POPという名称のもとに広く世の中で聴かれるようになるともっといい社会になるのではとか思う」

司会者「トーフさんは「景気を良くしたい」みたいな大きな視点での発言がたまにありますが、そういう使命というようなものを持って発信活動をしてるように見えますよね。先日の「WIRED」に掲載されていたトーフさんの原稿「インターネットはいかにぼく(と音楽)を救ったか?」という文章の締め、「日々をよくするために、音楽をやろう。」ともつながってきます」



レジー「あれも面白かった。CINRAのインタビューだと「ちゃんと売れたい」なんて話もしてたし、そういう気持ちの強さというか向かってる方向が明確なのが音楽だけではなくて言葉の強さとか面白さにつながってるのかなとか思います。今回は紹介できるリンクとかなくて関連曲動画ばかりになってしまったけど、アルバム未聴の人はぜひ聴いてみてほしいです。」


宣伝:11月あたまのYEBISU MUSIC WEEKENDに出ます

司会者「tofubeatsですが、11月1日から3日にかけて行われるYEBISU MUSIC WEEKENDに出演します」

レジー「トーフさんは11/3で、ライブはもちろんトークセッションもあるんだよね」

司会者「「tofubeatsと音楽ライター/ブロガーが語る、ディグ術と隠れたJ-POPの名盤」というテーマです」

レジー「隠れたJ-POPの名盤というのでどんなのが出てくるのか楽しみです。で、実はこのイベント僕も出ます。初日の11/1、ライブがない日なんですけど。18時から「パソナ ミュージックメイト presents 『音楽で食わずに、音楽と生きる 〜W キャリアがもたらす世界〜』」というセッションに出ます」

司会者「セッションのタイトルは以前このブログで「音楽と関係ない仕事をしながら音楽に関わっている人たち」について特集した記事と同じです」

レジー「YMWの主催者の一人でもある永田純さんはこの特集の参考文献にもなってる「次世代ミュージシャンのオンガク活動ハンドブック」の著者でもありますが、どこかでこの特集を知ってくれたようでちょうど連載してる最中に一度お声掛けいただいてお会いしたんですけど、そんな縁もあって今回出ることになりました」



司会者「何話すんですか」

レジー「正直まだ決まってないんですけど、僕以外にも「音楽じゃない仕事+音楽関連の活動」を並行してやってる引力レコーズの白木裕也さん、シンガーのウエムラケイさんが出ます。で、普段どうやって生活してるのかとかどういう経緯でこうなったのかとか、そういう具体的な話をしつつこういう存在って結局なんなんだろうみたいなことが伝わればいいのかなと思ってます。チケット絶賛発売中ですのでもしご興味あれば。ちなみに僕の出る日だけのチケットは当日券のみで1,000円、ライブのある2日もしくは3日のチケットを持ってる人は無条件で1日にも入場できるそうです。3連休の初日の夜ですが、飲みに行く前にでも立ち寄ってもらえると嬉しいです。告知も終わったので今回はこんな感じで」

司会者「わかりました。次回はどうしますか」

レジー「とりあえず未定でお願いします」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」