司会者「『夏フェス革命』、ついに発売になりました」



レジー「発売タイミングでアマゾンのランキングがぐぐっと上がりました。ありがとうございます。現状書店にはあまり回っていないみたいなので、まずはアマゾンでぜひ。こちらの画像から予約できます。あとは近所の書店で取り寄せとかもしてもらえる嬉しいです」


はじめに

◆イントロダクション
はじけなかった「フェス・バブル」
音楽好きの理想郷から季節の風物詩へ
フェスを通じて現代社会を見る
「フェス文化」を象徴するロック・イン・ジャパン
音楽ライター兼戦略コンサルタントから見たフェス

◆第1章 フェスは「協奏」によって拡大した
典型的なフェスの風景
フェスが提供する「3つの価値」
最初は「豪華出演者によるイベント」だった
多様なプレーヤーを巻き込む現代のフェス
フェスを「協奏」する参加者
誰もが想定顧客となるフェスマーケット
ビジネスにおける「共創」と「協奏」
プラットフォームとしてのフェス

◆第2章 ケーススタディ:「協奏」視点で見るロック・イン・ジャパンの歴史
「世界有数のロックフェス」になるまで
出演者は「ロック」でなければならないのか
マスもコアも満足させるブッキング
タイムテーブルはアーティストの「格」を示す
ホスピタリティの追求
「安全・安心」のためのダイブ・モッシュ禁止
ユニフォームとしてのオフィシャルグッズ
「一体感」の心地よさとその弊害
DJブースと矢沢永吉から「一体感」を考える
参加者によって「変化させられた」ロック・イン・ジャパン
ロッキング・オンに備わる「協奏」のDNA
「雑誌」から「フェス」へ

◆第3章 フェスにおける「協奏」の背景
なぜ参加者が「主役」となったのか
「ライブ以外」の楽しみ方の発見
mixiの登場とセルフブランディング
ファッション誌の参入、そして「夏のレジャー」へ
『モテキ』で描かれた「恋愛の舞台」としてのフェス
震災、SNS、スマホ、フェス
ハロウィン、日本代表戦、フェス
『君と夏フェス』『君とゲレンデ』
インスタシェアを巡る争い
フェスは時代の流れを先取りしていた

◆第4章 「協奏」の先にあるもの
「フジロッカーズ」の高齢化と育成
フェスで顕在化する2つの格差
音楽シーンの中心はフェスになったのか
タイムテーブルとヒットチャート
「勝ち上がる」ための音楽
「一体感」への問題提起
「フェス」と「紅白歌合戦」
「部屋でフェスが楽しめる時代」は来るか

◆おわりに
音楽を「聴かなくてはいけない」のか
プラットフォーム上位時代の行き着く先

あとがき

レジー「引き続きよろしくお願いします。で、今回はセルフライナーノーツ企画2回目」

司会者「前回のセルフライナーノーツ企画でも「自分がやりたかったのは「音楽を介して、社会の動向について考えた本」なんです」というお話がありましたが」

レジー「はい。この本は「音楽についての本」「社会についての本」「ビジネスについての本」の3つの側面があるんですが、ここではその2つ目の側面、「社会についての本」という切り口での解説をしてみたいと思います」

司会者「「社会について」といっても広いですね」

レジー「そうね。言い換えると「人について」ってことになるのかな」

司会者「まだ広い」

レジー「“フェスに来る人”に注目しているわけですよ。で、その人っていうのは生きていく中で音楽を聴いているだけではないじゃないですか。仕事をしてたり、音楽以外の娯楽を楽しんだり、様々なメディアに触れたり。そういうふうに視点をぐーっと引き上げたとき、音楽そのものとは直接関係ないところでフェスのあり方を規定するものってのがいろいろあるなと思っていて。この本ではそういう話をいろいろピックアップしています」

司会者「一番中心になっているのはSNSとの向き合い方ですかね」

レジー「そうね、やっぱりそれが大きい。で、SNSが消費行動を変えたって話は誰でも言っているけど、それがフェスの場をどう変えたかって言うところに踏み込んでいる話は意外となかったはず。「SNSがいろんな消費のあり方を変えたけど、フェスではその変化が早めに顕在化したしインパクトもでかかった」みたいなことを、いろんなファクトを交えて説明しています」

司会者「ファクト部分に関しては、昔のいろんな雑誌の情報を並べてみていますね」

レジー「個人的に楽しかったのは昔のファッション誌チェックです。「フェスコーデ」の登場タイミングから読み取れることがありました。今年話題になった「こんなファッションでフェスに来る子はわかってない」みたいなネタも拾っています。これは前からやりたかったので、本を書くのを機にやれてよかった。で、そういう文脈で「モテキ」や「君と夏フェス」についても触れています。この辺は目次を見ていただくとわかるとおり3章でがっつりやってますのでぜひ。で、最後に、先日アップされたリアルサウンドのインタビューを一部引用しますね。この本が「社会についての本」である、というところについて、そもそもブログを立ち上げたときからやりたかったのはそういうことで、その背景にどんな問題意識があったかという部分がまとまっています」

――副題に「音楽が変わる、社会が変わる」とあるように、フェスの変化を通して、現代社会の変化を読み解こうというのが、この本の面白い点だと思うのですが、その発想というのは、かなり以前からあったのですか?

レジー:「音楽を介して社会のことを考える」というのは、以前からやりたいと思っていたことで、それをやるにあたって「フェス」という題材がぴったりはまった、という感じですね。コンテンツとして、世の中のあり方を反映していると言い切れる音楽の作品というのはここ最近あまり出ていなかったような気がしますが、フェスという大きい仕組み、ビジネスモデルを主題に置けば、音楽に関連する何かを起点にして世の中を語ることができるんじゃないかと。自分としては、ポップミュージックのあり方と社会のあり方は相互に影響を及ぼしあっていると昔から思っているんですが、一方で、意外とそういう観点で書かれた文章ってここ数年はあまりないのかなという印象もあるんですよね。ブログを始める前にいわゆる「ポップカルチャー批評」と呼ばれるものに興味を持っていろんな文献を読んでいたときにも、そこでの音楽の語られ方に個人的にはピンとこないことが多かったんです。あと、僕は1981年生まれなんですけど、自分と近い世代の書き手の人がよく「90年代は『エヴァンゲリオン』の時代だった」みたいなことを言っていたりして、「いや、そんなことねーだろ」と思ったり……(笑)。ブログを始めたときから、そういった「ポップカルチャーから社会を見る」みたいな流れのなかに音楽の存在をどう位置づけるべきか、っていうのは自分の根本にある問いだったりします。

――ゼロ年代以降、ボカロカルチャーやアイドルに関する考察本はたくさんありましたが、ポップミュージック全般を扱うものは、あまりなかったかもしれないですね。

レジー:そうなんですよ。さらに言うなら、『思想地図β』(ゲンロン/2010年12月)に載っていた東浩紀さん、佐々木敦さん、渋谷慶一郎さん、菊地成孔さんの座談会のなかで、東さんから「音楽にとって批評は必要か、の前に、批評にとって音楽は必要か、という問いもあると思う」「批評にとって音楽が要らなくなったという側面もあるのかもしれない。言い換えれば、社会や時代を語るときに、音楽がとっても使いづらくかつ分かりづらい対象になっていったということもあるのではないか」という問題提起があったんですよね。この投げかけは自分がライター活動をするようになってからもずっと引っかかっていたんですけど、フェスという切り口ならば「社会や時代を語る」ことができるんじゃないか、このときの話に対する何かしらの回答ができるんじゃないか、とも考えていました。

司会者「思想地図βね」

レジー「この辺は4年前に「象の小規模なラジオ」に出させてもらったときにも話したことですね。だから、この本は本屋さんの「音楽本」コーナーが最適な置き場じゃないんですよね。まずは社会学のコーナー。「世の中こんな感じだよねという話をしたい人」が一番楽しんでもらえる本なんじゃないかなと」

司会者「新宿のブックファーストはそういうイメージを感じさせる並びでしたね」

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レジー「そうなの。非常にありがたい。そして、社会学のコーナーと並ぶもうひとつの候補が、ビジネス書のコーナーです。「ビジネス書」としてのこの本がどういうものなのか、というのは次回説明させていただきます。もしかしたらまた年間ベストをはさむかもですが」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」