レジーのブログ LDB

「歌は世につれ、世は歌につれ」でもなくなってきた時代に。  ※15/4/23 世の中の状況を鑑みてfc2からこちらに移しました

ご連絡はレジーのポータルの「contact」よりどうぞ。(ブログ外の活動もまとめてあります)

2012年10月

おじさんの知らない軽音楽部の世界2-先生と先輩に教わるけいおん!

レジー「文化系トークラジオLifeに出したメールが読まれました

司会者「「うれしはずかし文化的初体験」という回で、高校生の時に行ったフジロックのことを書いたら読まれたと」

レジー「せっかくなので晒しとくか」

初めまして、初メールさせていただきます。

僕の「初体験」、それは98年に参加したフジロック@豊洲です。

当時僕は高校2年生、ポップミュージックを聴き始めて数年というところで
「俺は音楽に詳しい」という自意識が芽生え始めていたタイミングでした。
そんな折、同級生と2人で東京で行われたフジロックに2日間参加したわけですが、
行ってみると周りは明らかに自分たちよりも年上ばかり。
ウッドストックとはさすがにいかないにせよ、
今まで体験したことのないその「大人」で「自由」な雰囲気に圧倒されました。
「俺ら最年少かな!?」と小声で話しながら、
アルコールも飲まずに控えめにしながらもすごく「解放」された2日間。
途中中断となったミッシェルガンエレファントの伝説のステージも、
ほぼ脱水症状になりながら最後まで喰らいつきました。

そのレポートを読むために買ったロッキンオン(本誌およびJAPAN)やクロスビート、
その時の楽しさを忘れられずに2年後から今に至るまで毎年通うことになるROCK IN JAPAN、
こういった経験が「三十路を迎えながら日経新聞の情報よりロックシーンの情報が気になる」という「今の自分」を形成しているのだなあと改めて思います。
(最近ではそういう気持ちをアウトプットできる術がついてきたこともあり、音楽ネタのブログを始めました→よかったら読んでみてください http://regista13.blog.fc2.com/)

社会学的には「95年」というのが区切りの一つとなっているかと思いますが、
僕個人としては、
フジロックに行き、さらには高校生クイズの東京決勝まで行き、ついでに文化祭実行委員として今では官僚になってるような切れ者のメンバーとともに一つのイベントを作り上げた「98年」という時代が「いまの自分を形作るきっかけ」になっているなあと思っています。


司会者「ちゃっかりブログの宣伝までしてるわけですが、さすがにここは読まれませんでしたね」

レジー「この後「98年分岐説」みたいな話をちょびっとだけしてくれて、なるほどなあと思いましたよ。このとき「最年少」ではなかったことが、後に会社の同僚との会話でわかるんですけど」

司会者「読まれて嬉しいってことはわかったんですが、前回の軽音の話はどうなったんですか」

レジー「はい。このメールを晒したのは一応意味があって、ここで挙げた98年ってのは僕が一番軽音楽部でちゃんと活動してた年なんですよ。今考えると多忙な時期だった」

司会者「フェス、高校生クイズ、文化祭、バンド、書き並べるとリア充感があるな」

レジー「まあ男子校だから狭義の「リア充」とは違うと思うけどね。充実してたのは間違いない。勉強はかなりお留守になってたけど」

司会者「軽音部はどんな雰囲気だったんですか」

レジー「進学校で大して部活が盛んな学校ではなかったんですが、なぜか軽音は専用の部室というか練習スペースがあって、放課後毎日どこかのバンドが練習してる感じでしたね。軽音「部」とは言いつつも、とりあえず部に入ってバンドを組んだらあとは勝手に練習って状態でした。そのスペースを使うためにとりあえず部活に入ると。そこ以外だと新宿南口の安スタジオの夕方の時間帯は大体うちの学校のバンドがやってたね」

司会者「縦のつながりとかはないんですか」

レジー「ほぼない。顧問の指導なんてのもない。卒業アルバムの写真撮影の時だけ登場したくらい」

司会者「部活と言えるか微妙だ」

レジー「そうね。曲ごとにメンバー組み替えて・・・みたいなのじゃないからね。やりたい音楽ベースで集まって、そのバンドで最低1年間は活動すると。学内で一番大きいイベントが文化祭で、そのオーディションってのが一つの目標でしたね。学年関係なくやって、うまいバンドからいい時間帯に演奏できると。文化祭ではどのバンドも1時間くらいのステージをやりました」

司会者「結構ヘビーですね。最低10曲は必要ですよね」

レジー「そう。6月くらいにあるオーディション用に2曲仕上げて、そこから9月の文化祭までに持ち曲を一気に増やすんですよ。だから夏休みはそれに結構時間とられる」

司会者「へえ。部のメンバーにはどんな人がいました?」

レジー「同じ学年で40人くらいいたのかな。お行儀悪い奴も勉強できる奴もいろいろいたけど、基本的にはみんな音楽詳しかったね。得意ジャンルは違ったけど」

司会者「何の指導もない場所に入ってくるんだからそうでしょうね」

レジー「一部の詳しくない人らはなんとなく馬鹿にされる傾向にあったと思う。みんな口には出してなかったけど。「あ、そんな曲コピーするの?へー。まあいいけど」みたいな」

司会者「嫌な感じだな」

レジー「そういうもんだろうと思ってたんですけどね。なぜこんな昔話を長々書いたかというと、先日朝日新聞に載ってた軽音楽部の特集記事の内容が、自分が体験してきた環境と全く違ったからなんですよ」

司会者「10月9日の「熱血!高校軽音部」という記事ですね」

レジー「まず冒頭から面食らった」

「ベースラインとキーボードが合ってない!」9月中旬、東京都渋谷区の都立第一商業高校の音楽室。顧問の片桐慶久先生(49)が声を張り上げた。

司会者「顧問の先生の指導」

レジー「そもそも自分のいた環境が普通なのか特殊なのかわかんないんだけど、とりあえず僕の知ってる軽音楽部とは違うなあと思いました。部員の人の声はこんな感じ」

「つらくて、楽器を触りたくない時期もあったけど、泣きながら必死に続けてきた。自分の曲を「好き」と言ってもらえるのがうれしい」と話す。

司会者「なんかすごいな」

レジー「ストイックなのは素晴らしいと思うんだけど、軽音ってこういうノリでやるものなんだなあと新鮮な驚きを感じました」

司会者「すごく「部活!」な感じがしますね」

レジー「顧問の先生の発言がすごく象徴的」

第一商業の片桐先生は「軽音部はアンプを通した吹奏楽部。ロックスピリットを教えようとは思っていない」と言い切る。

司会者「吹奏楽部と言われてしまうとさっきの部員の方の発言も何となく理解できる気がする。総じて、この記事では軽音楽部がすごく「品行方正な活動」として描かれてますね」

レジー「うん。「熱血!」なんて見出しをつけるあたりそのあたり狙って書いてるんだとは思うけど。ウェブ版の見出しは「高校軽音部、体育会系顔負け 黒髪・朝練・礼儀指導徹底」だし。それ差し引いても何か清々しいよね。少なくとも僕が通過してきた軽音楽部って、音楽好きが高じて表現欲求出てきちゃってプラス女の子にもモテたくて・・・みたいな感情が渦巻いてるもっとドロドロした場所だったので、すごくギャップがありました」

司会者「顧問の先生にちゃんと意思があってがっちり指導が入るとすると、部全体のカラーも似通ってきそうですよね」

レジー「そんな気はしますね。個人的にはプレー面じゃなくてどんな曲をやるかってところで顧問の先生がどういうアドバイスをしてるのか、もしくはしてないのかみたいなことが知りたかったです」

司会者「選曲の話で言うと、前回も引用した「kids these days! vol.2」にてこんなやり取りがありました。発行人の成松さんとシンコーミュージックの栁川さんの対談です」

栁川 コピーバンド数とコピー曲数のリストを見ると、今、軽音部でバンドをやってる高校生って、“プレーヤー”であっても“リスナー”ではない感じですよね。特に新しいバンドの曲はあんまり聴いてない感じというか。

成松 高校軽音部員がリスナーじゃないって指摘はたぶん正しくて、今もエルレやストレイテナーがコピーされるのって、おそらく部の先輩の影響ですから。(中略)ヘタしたら原曲を聴いたことない子すらいるかもしれない。

栁川 それ、スゴいわかります。リスナー文化とは別に軽音文化がありますよね。

成松 その典型はGO!GO!7188ですよね。CDセールスに比して、コピーバンドが多すぎますもん。


司会者「GO!GO!とかコピーされてるのか」

レジー「なんか「こいのうた」とかいまだにやってるらしいよ。あれ出たの2000年とかじゃない?僕出た時シングル買いました」



司会者「女子高生の着メロ?とか局地的に人気になったことはあったと思いますが、10年も歌い継がれる曲なんですねえ」

レジー「で、この状況に対して有識者から「先輩から引き継がれてきてる、原曲も知らないんじゃないか」という仮説が提出されてると。現場の声を拾ってる人たちの意見だから、そんなに大外れではないんだろうね。この状況も、縦のつながりなんてない軽音楽部しか知らない僕からするとかなり衝撃的」

司会者「うーん」

レジー「自分の経験から考えると、いろんな音楽に触れる中でやりたい曲と出会ったり「こんな感じのバンドやろう」みたいにインスパイアされたり、ってのはあくまでも「“自分”と“音楽”の間で起こる個人的かつ深淵な体験」だと思うんですよね。それが「先輩がやってた」みたいなものすごーく狭い世界で完結してるってのがなんとも。「リスナーであること」と「プレーヤーであること」が断絶してるってのも、それで面白い音出せんのかなあとは単純に疑問ですね。一部の天才だけでしょ、いろいろ聴かなくてもすごい音出せちゃうのは」

司会者「その辺について成松さんはこんなこと言ってますね」

ボクはバンドをやったり、曲を作ったりはしてないけど、なんていうの?90年代DJ文化っていうの?(笑)「優秀な表現者は優秀なリスナーでもあるんだ」みたいな?(笑)まんまとそんなノリに煽られて、音楽をいっぱい聴かなきゃいけないんだ、って真顔で信じて、バカみたいにCDやレコードは買ったもん。

レジー「確かにこういう風潮が行き過ぎてた部分はあったしその視点だけで語るのもそれはそれで視野狭窄ではあるけど、やっぱりいいインプットがないといいアウトプットは出ないと思うんだよね何でも。毎日コンビニ弁当しか食べてない奴がうまい料理作れるかって話ですよ」

司会者「それはそうですね」

レジー「そりゃそんな食生活でも超うまい料理作る人もいるかもだけどそれは一握りであって、やっぱり過去に食べた料理の材料や調理方法が自分の中で咀嚼されて「独自の料理」として表出するって形だと思うんですよ。インプットが足りなかったり偏ってたりすると、相応のアウトプットしか出ないはず」

司会者「インプットが「先輩の影響」と「顧問の先生のスパルタ指導」だけだと知れてるんじゃないかと」

レジー「いかんせん最近の高校軽音楽部の実際の演奏とか見たことないから想像でしかないんだけど、540曲のコピー曲リストとか手元の情報で考えるとそういう結論になっちゃうよね。この辺は「詰め込み」を否定した学校教育なんかとも絡んでくるのかもしれないですね。多様なインプットを自分の中で編集・解釈することでしかオリジナリティなんて出てこないのに、「ありのままの自分こそ素晴らしい」みたいな話になって単にいろんなものが浅くなってしまったみたいな側面はないのかな」

司会者「話が大きくなりすぎる前にぼちぼちまとめたいんですが」

レジー「了解です。とりあえず一番気になったのは、本来音楽に関与が高いはずの軽音楽部の人たちが音楽をあまり聴いてないってどういうこと?って話ですね」

司会者「はい」

レジー「で、この状況ってのは今の日本の音楽シーンで起こっていることが凝縮されるような気がします。次回そんな話をして、軽音ネタは終わろうと思います」

司会者「わかりました。できるだけ早めの更新を期待しています」

おじさんの知らない軽音楽部の世界1-そんなにみんなアニメが好きなのか

レジー「先日サエキけんぞうさんの「ロックとメディア社会」を読みました」



司会者「去年出た本ですが、賞とったりして広く読まれてるみたいですね」

レジー「そうみたいね。ポップミュージックの歴史を長く、かつ深い視点でとらえていてすごく読み応えありました。ただ、個人的には日本のシーンに関するところはいろいろ気になる部分もありましたよ。たとえばこんな記述」

ミスター・チルドレンの歴史的な特徴は、プロデューサーの小林武史によって徹底的に管理されたバンドサウンドであることだ。まるでビートルズにおけるジョージ・マーティンのように、日本においても音楽プロデューサーが最高責任者となり、陣頭指揮をとって長年の成功をもたらした。

司会者「まあ間違ってないとは思いますけど」

レジー「この後に、「ボーカルや歌詞がちゃんと聴こえるようにしつつもバンドアンサンブルが崩れない音の配置にしたことがヒットにつながった」みたいなことが書いてあって。言わんとしてることはわかるんだが、どうにも引っかかってしまった」

司会者「「徹底的に管理」されたってのはミスチルじゃなくてレミオロメンじゃないですかね」

レジー「レミオロメンが被害者であるのは間違いないと思う。それはさておき、ミスチルが小林武史に「徹底的に管理」されたバンドだったらもっと退屈だったと思うし、そもそも「BOLERO」出した後に止まらずに活動してて桜井さんが完全廃人になってたんじゃないかなあ。それからこの辺の時代の話だと、95年ごろのTKサウンド全盛のシーンを「ディーヴァ時代」とかって言ってるのがすごく違和感ありました」

司会者「MISIAも宇多田も出てくる前の時代ですよね」

レジー「そう。MISIAが「つつみこむように・・・」出したのが98年1月で、ヒッキーの「Automatic」がその年の年末。そのころの和製R&Bシーンについて「ディーヴァ」とかって言葉が使われてた印象なんですよね。95年ごろのは「黒人志向の女性ボーカルの時代」っていうよりはあくまでも「小室哲哉の時代」だったと思うんですけどどうでしょうか」

司会者「日本のシーンの話で言うと、この手の本では見落としがちなアニメとかについても記述がありましたね」

レジー「うん。で、アニメとポップミュージックのつながりみたいな話でこんなことが書かれてました」

戯れにアニソンで流れるロックの作品を調べたところ、ラルク アン シエル[『D・N・A2~何処かで失くしたあいつのアイツ』]、GLAY[『KAIKANフレーズ』]、ジュディ&マリー、ザ・イエローモンキー、TMレボリューション[以上『るろうに剣心』]と、そうそうたるバンドの作品がラインアップされた[それをリストアップしていたアメリカのオタクもいた]。

司会者「なんか例示が古くないですか」

レジー「ね。懐かしい気持ちになる。ラルクはまさにこのアニメで知ったんですよ。この曲は今でもカラオケで歌いたくなりますね」



司会者「どれも90年代の話ですね。この本って2011年に出てるんですよね」

レジー「厳密には2010年の秋に獨協大学で行った講義が元になっているようです。それにしても古いですよね。アニメそのものの世界市場への拡大みたいな話はいろいろ書いてあるけど、じゃあ音楽との関連は?みたいな部分だとこういうちょっと微妙な記述があった気がします」

司会者「それでいうと、「メディア」の話をしてるわりには最近の発明でもある初音ミクへの言及がほとんどなかったですね。アイドルについては「ディアステージ」の話まで深く取り上げてるのに」

レジー「アイドルについては完全に当事者だしさすがに詳しいよね。でね、いろいろ考えたんですけど、この本って要は「旧文脈ロックおじさん史観」に基づいたポップミュージックの教科書なんですよ」

司会者「また怒られそうな言い方を」

レジー「いや、別に貶してるわけではもちろんなくて。この本すごく面白くて勉強になったんですよね。ただ、その面白さってのは「古き良き音楽シーンを支えていた方の語り口」としての面白さなんですよ。たとえば、サエキさんからすると、「日本のアニメ市場の拡大」は「80年代以降の欧米以外の音楽=ワールドミュージックの広がり」と地続きで語るべきものに見えてるわけで」

司会者「新鮮な切り口ですよね」

レジー「で、こういう歴史的経緯を踏まえた議論ってのは超必要だと思うんだけど、一方ではそもそも欧米の音楽すら売れなくなってきてるこの国において、第三世界の音楽をネットを介していかに広めるかなんて話がどこまでリアリティを持つのか?ってのは結構難しいところだと思うんですよ。で、いみじくもこの本にこんなことが書いてあるんだけど」

つまり、一見、メディア環境の進化でボーダーレス化(国境がなくなるような状態)したように見える現代において、「目に見えない壁」が世界を分け隔てているのだ。

司会者「あーなるほど。要は、この本に書かれているのはあくまでも「目に見えない壁」の内側、つまりポップミュージックの歴史の直線的な進歩に位置づけられる部分での話が中心になっていて、外側にまでは話題が広がっていないと」

レジー「僕はそう感じました。だからこそ、ある種突然変異的に生まれた初音ミクについてはネグられているし、アニソンの例示にしても意図的か無意識的にかわからないけど「J-POPが機能していたころの例」になってて最近の事例ではないんだと思います」

司会者「まあでもその辺は難しいですよね。特に今挙げたような話は世代の違いも大きく影響しますし。まあサエキさんに関しては初音ミク絡みの作品もたくさん作ってるし、状況を把握したうえで本の趣旨やボリュームを鑑みてあまり言及してないってだけだと思いますけど」

レジー「僕自身は完全に「旧文脈ロックおじさん史観」に毒されてる人なので、今の時代に音楽を語ろうとするならそこからは脱却しないといけないと思ってます。で、そんなことを考えるにあたって高校の軽音楽部ってのはなかなか面白いケースだな、というのが前回予告したところです」

司会者「前置きが長すぎます」

レジー「あの本はいろいろ語りたくなる論点が多いんですよ。ぜひ読んでみてください。で、高校の軽音の話をしたいなとそもそも思ったきっかけは、成松哲さんが作ったこのミニコミを買ったからなんですけど」

司会者「先日の朝日新聞の軽音楽部特集の記事でもデータが使われてましたが、これほんとすごいですよね。足で稼いだ情報というか」

レジー「いろんな高校の文化祭に実際に行って調べてきたセットリストとコピーバンド数ランキングとか。はっきり言って正気の沙汰じゃない。でもこれは超貴重なデータですよ」

司会者「取材の多くは2011年に行われてたみたいで、ちょうど「ロックとメディア社会」とタイミングが同じですね」

レジー「そうなんですよ。だからサエキさんの本が「オーセンティックなポップミュージックの正史」について述べられた本だとすると、成松さんのミニコミは「そこからは零れ落ちがちだけど、次の時代のメインストリームになるかもしれない胎動を拾い集めたドキュメンタリー」って感じでしょうか。現在進行形というか」

司会者「大きな流れとミクロな動き、どちらも把握するのが重要と。サエキさんの本で感じた違和感みたいな部分に対する回答になりそうなところはありましたか」

レジー「そうですね、一番ほえーと思ったのはさっきもちらっと触れたアニソンの話なんですけど、コピーする曲にアニメの影響ってのがかなり強く出てるんですよね。詳細はぜひ実際の記事を読んでいただきたいんですが、サマるとこんな感じです」

・「銀魂」の関連曲のコピーがやたら多い。DOESを筆頭に、ベボベ、FLiPなど
・ラルクの曲でコピーされてるのは「READY STEADY GO」と「Link」ばかり、どっちも「鋼の錬金術師」の関連曲
・「あの花」のエンディングでZONEの「secret base ~君がくれたもの~」がカバーされた影響もあり、コピーされた曲ランキング2位にランクイン
・同率で2位なのが桜高軽音部の「Don’t say “lazy”」で、放課後ティータイムのコピーバンドも非常に多い

司会者「今の高校生や大学生からすると「そりゃそうだろ」って感じなんだろうか」

レジー「31のおじさんにはさっぱりピンときませんがこういうことらしいです。今時ZONE?とか思うけど、人気アニメで使われるとでかいみたいですね。さっきのサエキさんの本でもほんとはジュディマリやイエモンじゃなくて、DOESとかベボベとかが出てこないといけなかったんだろうね。ちなみにコピーされてる曲1位はアジカンの「ソラニン」でした。あれを「マンガ絡みの曲」って定義していいか難しいところはあるけど、去年高校生にコピーされた上位3曲が「マンガ・アニメ」とかかわりのある曲だと」

司会者「時代を反映している感じはしますね。あと、さっき「欧米の音楽すら売れてない」って話ありましたけど、やっぱり洋楽はコピーされてないんでしょうか」

レジー「結構顕著みたいですよ。173バンド540曲の演奏曲リストが載ってるんだけど、ザーッと見た感じだと洋楽ってほんとにポツポツあるだけだもんね。で、成松さんとシンコーミュージックの栁川さんの対談でもこんなやり取りが」

成松 確かに、よくコピーされてるのはグリーンデイとアブリルラヴィーンとレッドホットチリペッパーズくらいかな。

栁川 ですよね。ウチの洋楽スコアのなかでも、そのあたりがビートルズ、オアシスに次いで成績がいいですし。


司会者「ふーん」

レジー「で、「グリーンデイやアブリルはまあわかる。なぜレッチリ?オアシスのコピーバンドは全然見ないけど」という話になり、出た結論がこれ」

・デスノートの主題歌だった
・Mステに出たことがある


司会者「これ嘘じゃないですよね」

レジー「そう書いてあります。それゆえ、コピー率が高いと」

司会者「まだまだMステって影響力あるんですね」

レジー「それで言うならオアシスも出たことあるから、実際にはデスノートの影響の方がでかいでしょう。これも原作はマンガか。ちなみに「オアシスも「BECK」の主題歌だったけど、「BECK」より「デスノート」の方が人気なのか」みたいな話もされてます」

司会者「完全に未知の世界ですね。アニメやマンガとの結びつきってここまで強固になってるのか」

レジー「うん。今後音楽業界はこういう人たち相手に商売しないといけないってのはよく認識しておいた方がいいと思います。だからこそソニーは傘下にアニプレックス持ったりとかしてるんだろうけど」

司会者「長くなってきたのでそろそろ終わりたいんですが、この話題はもうちょっと続きますか」

レジー「その予定です。次回はさっきちょろっと書いた朝日新聞の記事に触れつつ自分がバンドやってた大昔の話もしながら、軽音楽部という場所で何が起きてるのかについてやりたいと思います」

司会者「次回も参考文献は成松さんのミニコミです」

レジー「あれマジで読む価値ありますよ。特に20代半ば以降くらいで音楽好きな人たち。もう我々の想像とは違うところにシーンがいっちゃってるってのがわかるから。サエキさんの本と合わせておすすめです」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

フジファブフリーライブから考える、バンドとシーンの現在地

レジー「フジファブリックのフリーライブに行ってきました」

司会者「平日のあんな時間からよく行けましたね」

レジー「その辺は裁量労働なんでうまいことね」

司会者「シングル「Light Flight」の発売記念のフリーライブということでしたが」

レジー「いやーあの曲超名曲だね!素晴らしいです」



司会者「「仕舞い込んだ夏の欠片」っていう夏の終わりを感じさせるフレーズから始まるわけで、「若者のすべて」を思い起こさせるところがありますね」

レジー「そうね。その「若者のすべて」は実質「封印」状態になってるわけじゃないですか。氣志團とセッションはしてたけどボーカルは翔やんだったし」

司会者「センチメンタルな過去曲はなかなかライブセットに入ってこない現状があるんですかね。精神的にまだ歌うのがしんどい部分もあるでしょうし」

レジー「そういう中でこの曲が生まれたのは大きいと思います。やっぱりフジファブのいいところって、ねじれててサイケデリックな部分だけじゃなくて、日本的な情緒や季節感ってのもものすごく大きいじゃないですか。新体制になってからは、意図的にか無意識のうちにかはわかりませんが前者に傾倒している部分があるなあと思ってました。やっと後者の方の決定打というか今後の指針が出てきたなと。こういう切ないけどやさしい曲をどんどんやってほしいですね」

司会者「これをもっていよいよセンチメンタルサイドも解禁ですかね」

レジー「難しい部分はあると思うけど、個人的にはそうなってほしいなあと。11月にワンマン行く予定なので楽しみにしてます」

司会者「ちなみにこのライブでは、シングル購入者は前方の優先エリアで見ることができて、その人たちにはフルカラー新ペンライトシステム「FreFlow(フリフラ)」ってのが配布されてましたね」

レジー「ステージ上の「親機」で全部のペンライトの色を管理できるというね。赤くなったり青くなったり白くなったり。あれはなかなか幻想的だった。で、この「フリフラ」って名前についての総くんのMCが面白かった。メモとってないから厳密ではないけど、内容としてはこんな感じ」

山内 これは名前は何ていうんですか。

金澤 フリフラです。

山内 フリップフラップの略とかではないですよね。

金澤 違います。

(会場の微妙なざわめき)

山内 この反応で年齢層がわかりますね(笑)


司会者「フリップフラップ!懐かしい」

レジー「100年ぶりくらいに名前聞いたわ。山内氏は僕と同じ81年生まれだから、リスナー体験も近いのかもしれないですね。そしてさすがに昨日あの時間に集まった若者たちには通じなかったという」

司会者「まあ触れる機会ないですよね」

レジー「横にいた女性2人組も「懐かしい・・・!」って言ってたから同世代だな。久々に聴いてみたんだけど、こういう硬質な音に人間的な女性ボーカルを乗せるって手法は今でも生きてますよね」



司会者「ドラムンベースが時代を感じさせますな」

レジー「アレンジはもちろん全く違うけど、まどマギの主題歌やってるClariSとかこの系譜だよね。最近ClariSすごい好きなんですよ。この辺の話は別途やりたいな」

司会者「このMCではこんなやり取りもありましたね」

金澤 (フリフラについて)同じ色で同じ動きをされると気持ち悪いんで、ぜひ自由に動いていただければ。

山内 たとえばどんな動きですか。

金澤 いやもうね、自由でいいんですよ


レジー「これはね、聞いてておお!と思いました。去年のカウントダウンジャパンで細美氏もMCで指摘してたらしい「ステージへ手を伸ばす/手をあげるアクション」への違和感の表明ね」

司会者「これはフリフラの使い方の話だからそこまで明確な意図はないんじゃないですか」

レジー「まあそうなんだけどさ、やっぱりいわゆるロキノンな感じのライブのお客さんのノリって何とも言えないわけよ。ひたちなかの映像とか見てるとほんとやばいんだけど、なぜみんな同じ動きをしてるの?っていうね。別に手をあげなくてもいいんだよ、っていう。形だけとは言え、そういうものに楔を打ち込んだ金澤ダイスケの功績はでかい」

司会者「(ちょっと大げさな気もするけどまあいいか)で、その後動きは「自由」になったんですか」

レジー「まあペンライト状のものを渡されてる以上動きは制限されるから仕方ない部分はあるけど、僕から見えたところで全身で踊ってる人がいましたよ。ああいう人が増えるといいなと思いました」

司会者「なるほど。あ、一応セットリストを載せておきましょうか。このサイトから抜粋させていただきました」

01. 虹
02. 夜明けのBEAT
03. 徒然モノクローム
04. JOY
05. 流線形
06. 銀河
07. STAR
08. Light Flight
---encore---
09. Surfer King

レジー「「神セトリ!」みたいな反応を結構見ましたが、ここで指摘しておきたいのはなんだかんだ言って「虹」「夜明けのBEAT」「銀河」と他の曲で盛り上がりに差があった、というか他の曲が結構ピンと来てない感じがあったなあと」

司会者「「夜明けのBEAT」の盛り上がりはどこで聴いてもすごいですよね。「モテキ」はそんなに影響力あるのか」

レジー「女王蜂も夙川もものすごい恩恵を受けてるよね。でね、昨日のはフリーライブとはいえわざわざ代々木公園に来てるわけで、それなりにフジファブに対して関与の高い人が集まってるはずなんですよ。にもかかわらずあんな感じになるってのはどういうことなのかなと思いました」

司会者「以前ゴッチもこんな呟きをしてましたな」



レジー「手元にソースないけど、ゴッチは確かひたちなかのMCでも「(昔の曲がすごく盛り上がる状況を受けて)新しい曲も聴いてね」みたいなこと言ってた気がするんだよな。たぶんどのバンドにも「新曲とかニューアルバムとかを追ってないファン」ってのが結構いるんでしょうね。フジファブはさっき言った3曲と「若者のすべて」、アジカンなら「リライト」「ループ&ループ」、あと「ソラニン」か。これらが好きだからフジファブもしくはアジカンが好き、というところから広がらないファン」

司会者「それってほんとにファンなのか?という素朴な疑問が」

レジー「僕の感覚、というか僕と同じくらいの世代で音楽聴いてる人はその状況なら「ファン」とは名乗らない気がするけどね。もちろんそういう距離感で聴いてるバンドもいっぱいあるけど、それについて自分で「ファン」とは言わないと思う。たぶん「リアルタイムでバンドを追っていく」という概念そのものが変わってきてるような気がする」

司会者「うーん」

レジー「この件は相当難しい問題なので一言で語るのは無理だと思うんだけど、これについて考えるのにちょうどいいトピックがありました」

司会者「ほう。じゃあその辺の予告を軽くして今日は終わりましょう」

レジー「はい。この前朝日新聞に高校の軽音楽部についての特集が出てましたね。あれが気になって軽音関連のミニコミ読んだりしたんですが、なんか象徴的な動きがあるんだなあと思いました。音楽の聴き方とか接し方についていろいろ示唆に富んでるなと。あんま大風呂敷広げられるほど情報取れてませんが、自分の昔話とも絡めてそのあたりの話をしたいなと」

司会者「よくある若者論的な話にはならないようにしたいですね」

レジー「うん。もしかしたらフォロワーさんに質問DMとか送るかもしれないので、良かったら返事してください」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

ヤマタツ、アカペラ、ハモネプ

レジー「なんか久々にプレイボーイ買ったな」



司会者「長澤まさみ好きでしたっけ」

レジー「いや、特には。グラビアは川口春奈がかわいかった。あの子ほんといいね。で、買ったのは津田さんとかチャーリーとかが載ってる「U-40論客」の特集があったので」

司会者「最近この界隈はほんと賑わってますね。「ニッポンのジレンマ」を例に出すまでもなく」

レジー「ね。NHKのニュースに日替わりで出るくらいだからなあ。古市さんとか個人的にはどうかと思うけど。開沼博さんとかいいね」

司会者「先日取り上げた「踊ってはいけない国、日本」にも寄稿してましたね」

レジー「まだ「フクシマ論」しか読めてないので、他のも読みたいなと。で、その特集とは別のところ、ヒダカと安めぐみの音楽連載みたいな記事でヤマタツのベスト盤が取り上げられてました」

司会者「聴きましたか」

レジー「聴いた!マジで最高だね。この前ブログにも書いたけど、ほんとに初期の曲と最近の曲を同列で違和感なく聴けるのが素晴らしい」

司会者「結構売れてるみたいですね

レジー「ベスト盤とはいえ、こういう真っ当な作品が売れるってのはいい傾向だね」

司会者「この特集でこんなやり取りが」

安「私、「クリスマス・イブ」とか「アトムの子」ぐらいしか知らなかったんですけど、あらためて聴いて、ホントにすてきな歌声だなって」

ヒダカ「“シルキーボイス”(絹の手触りのようになめらかな声)っていうかね。男性でこんな声を出せる人はなかなかいませんよ」

安「特にコーラスがスゴいですね。なんか「ハモネプ」みたいな感じとはまた違うじゃないですか」


レジー「ここ思わず反応してしまいました。「ハモネプ」ってもうこういうレベルで浸透してるんですね」

司会者「わりと渦中にいたんですよね学生時代」

レジー「そうなんですよ。ハモネプが始まったのが2001年なんですが、僕自身が大学に入った2000年から4年間アカペラやってたんですよね。大学のサークルで」

司会者「ゴスペラーズの「永遠に」が出たのが2000年8月、そこからロングセラーになって翌年の3月の「ひとり」でブレイク、「ハモネプ」がネプチューンの番組のコーナーで始まったのが2001年の5月ごろだから、ちょうどこのタイミングでアカペラっていう音楽が妙に盛り上がったんですね」

レジー「なかなか面白い時期でした。僕が始めた時はマイナーな音楽をやるマイナーなサークルだったんですが、卒業するころには巨大文化系サークルの一つに数えられるようになってましたから」

司会者「当時はまだまだシーンが小さくて、有名な人とも地続きになってましたね」

レジー「そうね。ちょうどハモネプが始まる直前に、その後番組に出ることになるレプリカがうちのサークルのストリートに出たりとか。もちろんラグフェアのおっくんも一緒に演奏してましたよ」

司会者「へえ。自分自身でハモネプには出たりしたんですか」

レジー「いや、残念ながらプレーヤーとして大した実績はないですね。いろいろ取り巻く環境が変わっていくタイミングでサークルの代表やってたので、サークル組織の整備とか大学間のつながりとか社会人アカペラシーンとの連携とか、そういう裏方的な部分ではいろいろ貢献できたと思うけど。後輩がその後ハモネプで優勝したりとかしたので、地均しはできたのかなと」

司会者「世間的には「アカペラ」と「ハモネプ」って同義に捉えられてる部分があると思いますが、ハモネプ以前はどういうのを歌ってたんですか」

レジー「当時からJ-POP系のアカペラカバー譜とか細々と売ってたんですけど、数は少なかったですね。既存曲を自分たちでアレンジして楽譜に起こしたり、あとはアカペラで有名なグループのコピーとかしてました。たとえばこんなグループとか」



司会者「トライトーン」

レジー「どうにもこの手の音楽は音源だけで聴くと感動が伝わりづらいんだよね。生で見ると迫力が全然違うんだけど。あとはヤマタツもやってましたよ。この曲はちょうど楽譜が売っててね」



司会者「これほんと素晴らしいですよね」

レジー「ベスト盤に入ってた「おやすみロージー」を歌ってるグループもあったな」

司会者「ヤマタツは外国のグループにもカバーされてましたね」



レジー「このロッカペラってグループはコピー率高いですね。僕も結構やってましたよ」

司会者「しかし改めて聴くとどれも地味っちゃ地味な音楽ですな。これがテレビの影響でプレーヤー人口が拡大するってのが面白いですよね」

レジー「こと大学サークルってところで言うといろいろ要因があったのかなあと。音楽的な話と、そうでない話。音楽的な部分でいうと、とにかく参入障壁が低いんだよね。楽器を買うみたいな投資も不要だし、カラオケとかで歌うってこと自体にはみんな馴染みがあるからね。ビギナーでも始めやすい。まあちゃんとやろうとすると壁にぶつかるんだけど」

司会者「結構精密さを要求される音楽ですからね。苦労してたじゃないですか始めた時は」

レジー「うん。バンドでボーカルやってて「俺歌うまいし大丈夫だろ」くらいで行ったら、「ちょっと音が低い」とか言われて???みたいな」

司会者「軽音楽部からアカペラのフィールドに来たんですよね」

レジー「はい。軽音楽部の話は追ってまたやりたいんですが、ここでは置いておきます。話戻すと、やってる音楽ジャンルも「ハモネプ」を入口とすればJ-POPが対象だからそんなに音楽的リテラシーも要求されないし」

司会者「音楽マニアじゃなくても歌が好きなら仲間に入れるんですね」

レジー「そうですね。これは良し悪しあると思うけど。で、音楽的な部分以外でいうと、この音楽は男女それぞれに役割があるからサークルとしても男女比がいい具合の感じになるんだよね。これすごい重要だと思う」

司会者「素敵なキャンパスライフを保証してくれる場であると」

レジー「まあ保証するかはわからんけど、そう見えてる側面はあるかも。サークル内カップルもえ?ってくらい多いしね」

司会者「あんまり人のこと言えないでしょう。あなたの奥さんはどこの人ですか」

レジー「そうですね。やめときます。まあ実際のところ、いまだに現役の後輩との付き合いあるけど素直ないい子多いですよ。ハモネプのおかげで「青春」的な意味づけもされてるし、キラキラしたものに見えてる部分もあるんだろうなあと。僕がやってた頃のマイナー臭漂う感じとは隔世の感がありますね」

司会者「なんかリア充の匂いがしてきましたよ。この「本来マイナーな文化にリア充が流入してくる」この感じは・・・は!」

レジー「うん。お察しの通り、この構造はロックインジャパンネタで延々書いてた部分と重なりますね。一部の人が楽しんでた文化の間口が広がると、どんな場所でも同じようなことが起こるんでしょうね。で、今回の話でいうと、安めぐみの言ってた「「ハモネプ」みたいな感じ」ってのがこの構造を拡大再生産するのにすごく影響してると思うんだけど」

司会者「この「ハモネプ感」ってのは、「J-POPカバー×ボイパ」みたいなことを言ってるんですかね」

レジー「たぶんそうなんじゃないかなあ。よく言えばカジュアルな、悪く言えば軽薄な感じというか」

司会者「アカペラという音楽の見方としてはすごく一面的ですね」

レジー「そう思います。アカペラって「声だけでどこまで音楽を作れるか」っていうことの追求なわけで、ある意味すごく批評的な音楽だと思うんですよ。そういう意識がたぶんやってる側にも薄いだろうし、それが世間的な見え方にもつながっているんじゃないかなあと」

司会者「ある意味では「手段」でしかないんですよね」

レジー「はい。というわけで、このエントリーでは最後に「ハモネプ」とは違うアカペラをいくつか紹介して終わりにしようかなと思います」

司会者「わかりました」

レジー「まずはこれ。ファンクの大御所、ラリー・グラハムのバンドの曲」



司会者「楽しげですね」

レジー「僕これ聴いたの高円寺のクラブだったんですよ。ちょうどゲストでロッキングオンの兵庫さんが出てて、友人と2人で1人でいた女性に話しかけてたらそれが兵庫さんの連れだったみたいで帰りにめっちゃ睨まれた覚えがあります」

司会者「エピソードが若い」

レジー「あのときまだ大学1年だから未成年か。いろいろとゆるい時代だったな。まあそれはいいとして、こういうブラックミュージックとの親和性みたいな話はすっぽり抜け落ちちゃってるんですよね。ゴスペラーズだってそういうの好きなはずなんだけど」

司会者「クラブで流れるような音楽だって思ってる人少ないかもしれないですね」

レジー「ダンスミュージックにもなりえるんだと。昔はそれこそアースの「SEPTEMBER」とかスティービーワンダーとかよくカバーされてたけど最近はどうなんだろうか。次はまた全然畑が違う感じで、スウェーデンの大御所のリアルグループ」



司会者「美しい」

レジー「この人たちは2回くらい生で見たけどすごかったですよ。ゼップに椅子置いてチケット10000円越えとかっていうあり得ないライブだったけど。2003年とか?」

司会者「アカペラバブル極まれりって感じだな」

レジー「まあでもその価値はあったと思う」

司会者「この人たちは2008年にくるりの京都音博にも出てますね」

レジー「そうそう。くるりらしいブッキングです。どんなジャンルでもすごいもんはすごいと。で、最後にアマチュアだけど面白い人たちを」



司会者「ここまでいくと言葉がないですね」

レジー「さっき「アカペラは批評的な音楽」って書いたけど、これはその極致ですね。アカペラのあるべき姿」

司会者「ほんとにそう思ってますか」

レジー「まああるべき姿は違うか。身内なので過大評価してしまった。言いたかったのは、この人らは色物感はあるけどやってることはある種の文化批評だったことです。自由な発想でアカペラを捉えればこんなこともできますよと」

司会者「それならわかります」

レジー「以上、3つほど紹介させていただきました。今回はこれ読んでくれてる方々が普段接していないであろうジャンルの動画をいろいろ貼ったので、1つでも2つでもいいのでぜひ見てみてほしいです。「ハモネプ」とは違うアカペラの世界に少しでも触れてもらえたらいいなあと思います」

司会者「わかりました。ではこの辺で終わりましょう。次回はどうしますか」

レジー「んーどうしようかな。さっきちょろっと軽音楽部の話触れちゃったからそれ行こうかなあ。ちょっと考えさせてください」

司会者「できるだけ早めの更新を期待してます」

アイドルと自意識、アイドルの自意識5 - 自己顕示欲を越えて

レジー「ちょっと事情がありまして、超久々に『戦争論』を読んでます」




司会者「98年の作品だからもう14年前ですね」

レジー「高2でしたね当時は。すぐ読みましたよ」

司会者「いろいろ偏った本ではありますが、どうですか改めて読んで」

レジー「この場でイデオロギーについて話すつもりはないのであれなんですが、「公」と「私」の話に関してはまあ普遍的な話をしてますよね。「私」を越えたところに「公」的な意識が生まれる、みたいな話は年取った今だからこそそうだよなあと。それと戦争の話を結びつけていいかってのはまた別の議論ですね」

司会者「今回は別に戦争論の話するわけじゃないですよね」

レジー「はい。この前の続きでもうちょっとアイドルのことやろうと思うんですが。ちょっと調べものしてたら、朝日新聞がオタ芸について取り上げてる記事に出会いました。図書館で縮刷版を見たんですけど」

司会者「2009年10月5日の朝刊の文化面ですね。「【オタ芸】自虐に限りなく近い諧謔」という見出しがついています」

レジー「記事ではミキティの「ロマンティック浮かれモード」の「大の大人が」っていうMIXを取り上げて、こんなことを書いているわけです」

かつては、ヤンキー率いる親衛隊がアイドルの現場を仕切っていた。コンサート会場の駐車場では、エアブラシでアイドルを描いたワゴン車が並んでいた。彼らはアイドルにまっすぐ向かい合い、コールの内容も肯定的。しかしアイドルがマイナーになるにつれ、親衛隊はオタクにとって代わっていった。いまや、被差別感がなければアイドルじゃない、という転倒した感覚さえ生まれている。

司会者「被差別感ねえ」

レジー「3年間で状況がずいぶん変わったんだなあというのがわかりますね。AXで僕の周りにいた若い人たちはこんなもの感じてないんじゃないかな」

司会者「オタクカルチャーの一般化みたいな話が背景にありますよね」

レジー「うん。それで言うと、タワーレコードのサイトで連載されている「アイドルのある暮らし」に出てくる22歳の方がこんなことを言ってます」

いままでの人生でオタクであることを隠そうとしたことはないですね。

司会者「別にアイドルを追っかけていることは恥ずかしいことではないと」

レジー「たぶんこれはアニメとかいわゆるアキバ的な趣味全般に言えることなんでしょうけど。こういう人たちが今のアイドルシーンを支えてるんでしょうね。で、旧文脈の人たちは「アイドルを聴く際の被差別感」みたいな話を持ちこんじゃって「は??」って感じになるんだと思います。以前このブログで取り上げたMARQUEEとか典型的ですね。これは僕も気をつけないといけない」

司会者「ちなみにこの方はこんなことも言ってますね」

アイドル論的なことにもあまり興味がなくて、そんなことを語ってもどうにもならんだろうと。現場に行って自分が見たものが全てだなと思います。

レジー「これはほんとそういう感じなのかもと思ったのは、この前のエントリーはアイドル好きの方にそこそこ拡散されたんですけど、「そうだそうだ!」も「ふざけんな違うよ!」も、どちらの反応もなかったんですね」

司会者「ロックインジャパンの時とえらい違いだな」

レジー「そうなんですよ。まああれとは拡散の度合いが違うし、エントリーの質の問題もあるだろうから一概には言えないかもしれないけど。ただ、先日のAXのイベントの感想をネットで調べても「○○と握手してどうのこうの」ばっかりだったんですよね」

司会者「フィジカルな接触があったら理屈とかどうでもよくなりますねきっと」

レジー「音楽マニアでかつアイドル聴いてる一部の人とか除いては、シーンとしての構造がどうこうとかあんま興味ないんだろうね。それこそロッキングオンとかそういう講釈垂れる文化に触れずに入ってきてるんだろうし。そんなこと考えてるより生身のアイドルと握手してしゃべる方が楽しいでしょうから」

司会者「御託を並べるよりは現場に行くと。オタクって言ってるわりには超アクティブ。しかしそういう意味では意外とアイドルに関する言論空間ってないですね」

レジー「そうなんだよね。結局「若い女の子の集団」って以外に括って語れることがないので、どういう切り口からフォーカスするのかが難しいんだろうな。僕もAX行くまでは「もっと音楽寄りの切り口でアイドルを語るメディアが必要」とか思ってたんだけど、ああいう「盛り上げてナンボ」って感じのをいくつも見ると、音楽的な切り口から語っても知れてるんだろうな」

司会者「それこそロッキングオンはやらないんですかね」

レジー「CUTだとアニメはやるけどアイドルはやらないですね。Hで嵐取り上げるのが彼ら的な限界なんでしょうね。で、僕も含めてそうなんですが、「アイドルを音楽的に・・・」みたいなことを言う人は常にPerfumeというグループを念頭に置いているように見受けられます」

司会者「Perfumeみたいに売れてほしい!みたいな声をよく聴きますよね。純度が薄まらずに世の中的な認知を獲得していったわけで、理想的な感じはしますよね」

レジー「先日のイベントに関しての感想でもそういうのありましたね。ある方のいくつかのツイートの趣旨をまとめるとこんな感じです」

アップアップガールズ(仮)の新曲がEDMで超攻めてる!これはやばい!レベル高い!早くPerfumeみたいに売れてほしい!

司会者「この曲ですね」



レジー「とりあえず個人的にはこういう音には興味ないんですが、それは置いておくとして。僕が気になったのは、この人の中に「Perfume=楽曲が攻めてる→だから売れた⇒アプガも同じように・・・」という思考が見えるところです」

司会者「違うんですか」

レジー「これ僕は決定的に違うと思うんですよ。もちろん中田ヤスタカの音なくしてPerfumeのブレイクはあり得なかった。でもね、たぶんそれだけじゃないんです。僕が思うのは、彼女たちのメンタリティ、この部分がすごい大事だったんじゃないかってところですね。09年の代々木でのライブのとき、あーちゃんがMCでこんなこと言ってるんですが」

私たちは青春を全部かけてきたから、Perfumeしかないんです。

司会者「重みがありますね」

レジー「まるで高校球児のようなコメント。何かを犠牲にして頑張ってきて勝ちとったステージ。そういう甲子園的な、しんどいけど爽やかさを感じさせるガンバリズム。これがPerfumeの肝だと思います」

司会者「実際売れるまで時間かかってますしね」

レジー「そう。たぶんその期間の中で、この世界を目指す女の子が少なからず持ってるであろう「私かわいい!」「私目立ちたい!」みたいな自意識が否応なしに剥がされていったんだと思うんですよね。その結果、矮小なプライドがPerfumeというグループそのもの、つまり「公」に昇華していったんじゃないかな。代々木の半年ちょっと前、初の武道館のライブレポがJAPANの08年12月号に載ってましたが、こんなことが書いてありました」

自分が目立つためではなく、Perfumeの世界観を完璧に機能させるために、3人は存在している。そこには、安い自己顕示欲などは存在しない。メンバーはもちろん、スタッフ全員の意識が、Perfumeが作る世界をどう素晴らしく見せるか、ということに向いている。

司会者「自分のためじゃなくてチームのため。確かに日本人好きそうだな」

レジー「その一方で、決して「私」が埋没してるわけでもないからね。圧倒的なバランスですよ。よしりんは『戦争論』で「滅私の精神」を強調してるけど、今は「「公」と「私」の共存」が必要で、Perfumeはそこの芯にがつっとはまったってことなんじゃないかと。たぶん今の時代のアイドルはそういう価値を獲得しない限りは広くブレイクしないと思います。どんなに音がカッティングエッジでも、深々とお辞儀してファンに感謝してるように見せても、自己顕示欲を越えたゾーンに到達してないうちはダメ。好事家の慰めものから抜け出すことはできない」

司会者「ただ、その理屈でいくと結局下積みがないとダメだって話になりませんか。「私かわいい!私見て!」っていうのがない子はアイドルにならない気がするし、そもそもそういう気持ちが全くないのもそれはそれでどうかと」

レジー「「私かわいい!」を否定してるわけではなくて、それに止まらない気持ちをどう持つかってのが重要という話です。Perfumeは時間を経る中でそういう状態に突入したんだと思いますが、それ以外にもそこに行くやり方があると思います」

司会者「具体的には」

レジー「たとえばAKBで言うと、総選挙っていう順位をつける仕組みを通して「自分たちがいる共同体とはどういうものなのか」みたいなものをメンバーに自然と考えさせてるんだと思うんですよね。だからこそ、あっちゃんの「私のことは嫌いでもAKBのことは嫌いにならないで」なんて発言が出てきたんだと思います。「私」を越えて「公」に到達した瞬間ですよ」

司会者「あーなるほど。それだとよしりんがあそこまでAKBにはまってるのも理解できますね。そういう「共同体への奉仕」みたいな美を見出してるのか」

レジー「たぶんね。被災地訪問を続けてるのだって、そういう「公」を意識させることでグループとしての骨格を強くしようって意図もあるんじゃないかな。「被災地に行って、自分が歌を歌っていることの意味がわかった」とか言ってるメンバーもいたし。しかしあれだな、そう考えると今年のAKBのドキュメンタリー映画は相当良くできてたね。日本人のツボを押しまくってるね」

司会者「あっちゃんにしても、あの映画の総選挙から西武ドーム「フライングゲット」の流れのおかげで神格化された感じはありますねえ。AKBはわかりましたが、じゃあももクロはどうですかね」

レジー「ももクロもたぶん、いろいろ無茶な状況に追い込む、負荷をかけることで自己顕示欲からの脱却のスピードを加速させたんじゃないかなあ。「かわいい私を見て」の積み上げじゃない、なんかわからんけど渾然一体としたエネルギーみたいなものが生まれたんじゃないかと」

司会者「あーりんのキャラも含めて、何か超越したところに到達してるのは間違いないですね」

レジー「ももクロについては生で見たことないので、詳しい方補足してください」

司会者「お願いします。だいぶ長くなってきたのでぼちぼちまとめたいんですが、「私かわいい」っていう自己顕示欲を越えたところにある「公」に到達して初めてブレイクする資格を得る、って話でしたけど、そういう観点から言うとこの前のイベントはどうだったんですか」

レジー「そうですね、前回のエントリーで「縦ノリで盛り上げることしかやらないのか」って話をしたんですけど、あの構造だとたぶん「客を煽る→客盛り上がる→歓声を浴びてステージで自己陶酔」みたいなすごい閉じた世界の話の繰り返しになると思うんですよね」

司会者「お客さんの盛り上がりを通じて自己顕示欲が肥大化すると」

レジー「そうですね。たぶんそれは「ブレイク=広く受け入れられる」っていうのとは真逆の方向にいってるはず。だから今はアイドルが盛り上がってるように見えるけど、すでにシーンが収縮していく兆しが出てきてるとも言えるんじゃないかなと。実はどのグループも狭い世界に嵌り込んじゃってると言うか」

司会者「うーん」

レジー「で、そういう動きが出つつある中で、圧倒的にいい歌を淡々とパフォーマンスしているトマパイはアイドルシーンの希望であると。というわけで、結論は「トマパイ最高!」ということで」

司会者「またそれですか」

レジー「アイドルの話すると必ずこれになるね。みんな「PS4U」聴こう!」



司会者「(ただ言いたいだけなんじゃないか・・・)まあいいです。次回はどうしますか」

レジー「高校の軽音楽部ネタがこの前朝日新聞に出たのでその辺の話やりたいんだけど、時間かかるかもしれないのでちょっと考えます」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
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