レジーのブログ LDB

「歌は世につれ、世は歌につれ」でもなくなってきた時代に。  ※15/4/23 世の中の状況を鑑みてfc2からこちらに移しました

ご連絡はレジーのポータルの「contact」よりどうぞ。(ブログ外の活動もまとめてあります)

2013年02月

アイドルと自意識、アイドルの自意識9 - アイドルにとって「楽曲」とは何か? SKE48とSMAPとソウルミュージック

レジー「先日TBSラジオで放送された秋元康宇多丸対談を聴きました」

司会者「YouTubeにまるまるあがってたのは削除されちゃったみたいですね。今はポッドキャストで聴けます

レジー「もちろん全てを吐露したわけじゃないだろうけど、本音も含まれてたような気もします」

司会者「何でも狙ってると言われるのが辛い、ってまあそりゃそうですよね。そしてあの対談すらも「狙ってる」と言われるでしょうし」

レジー「「商法」としてやるならもっと違うやり方があるってのもほんとそうなんだろうね。この前BSでやってたドキュメンタリーも見たけど、たぶんあの人あそこまで身を削らなくてもお金なんて儲けられるよ。そもそももう十分あるだろうし」

司会者「「秋元はAKBを使って儲ける金の亡者」みたいな話はやっぱり的外れですね」

レジー「それゆえの不気味さってのもあるけどね。じゃあ何が彼をあんなに駆動させるのか、みたいな。とにかく刺激がほしいっていうシャブ中体質の人なんだと思います」

司会者「ちょうど先日ブログで取り上げたノースリーブスのコンポーザーの人選についても言及してましたね。実験的にやってみたと」

レジー「ここはやっぱりねって感じでした。しかしまああれだけ面白いメンツ集めたのに大して話題になってないよね。みんな「AKBだから」ってのでバイアスかけすぎなんじゃなかろうか。ももクロで同じことやったら大騒ぎが起こりそうなのにね」

司会者「48関連の楽曲で言うと、SKEの「チョコの奴隷」がバレンタイン以降もロングヒットを続けてます」



レジー「いやーこれ超いい曲じゃないか。どストライクなんですけど」

司会者「ちょっと昔のモー娘。を思わせるようなところもありますね」

レジー「そうね。モー娘。の音がある種「先鋭化」していってる中で、48界隈からこういう世界観が出てくるのは面白いね。「真夏の光線」を思い出しました。これも昔好きだったなあ」



司会者「あと間奏部分に「ザ☆ピ〜ス!」っぽいところがありますよね」

レジー「何か意識してるんだろうか」

司会者「作曲は重永亮介さん、編曲は武藤星児さんという方です。この武藤星児さんっていう方は「チームB推し」とか「ヤンキーソウル」とかをアレンジされてるみたいですね」

レジー「48グループがアッパーな曲をやる場合の選択肢の一つなんだろうねこの方は。いやーしかし「チョコの奴隷」はほんとツボですよ。この前のみいちゃんの「君に恋をした」と同じタイミングでこういう曲が出てきて喜ばしいです。で、そんなことをちょうど思っていた矢先にSMAPの「Mistake!」を聴いたんですけど、これも超かっこいいじゃないですか」


SMAP - Mistake (2013.02.11 SmapSmap) [HD|720p] 投稿者 makino-tsukushi

司会者「カウントダウンTVで見たんですよね」

レジー「タイムシフトでチャートだけチェックしてて、飛ばそうと思ったんだけど何となく見てみたんだよね。そしたらすごい良かった」

司会者「いしわたり淳治が作詞です。作曲がHIKARI、アレンジがCMJK」

レジー「淳治さんほんと手広いね。でも今回注目すべきはそっちじゃなくて、作曲のHIKARIさんですよ。これまで存じ上げなかったんですが、wiki見てびっくりした」

司会者「ELTの「ソラアイ」「恋文」を作曲してるんですね」

レジー「そう。これはびっくりした。ELT2大名曲を書いてる方だったとは。そりゃいい曲なわけだよ。この2曲の知名度ってどれくらいなのかな?曲の出来の割には評価が不当に低いような気もするんだけど」





司会者「ELTは初期のインパクトが強すぎますからね」

レジー「2曲とも2004年リリースで、「恋文」は紅白で歌ってるんだ。知らなかった。このタイミングでなんでこういう曲が出たのかよく知らないんだけど、ELTにとって2004年は当たり年だったんだねえ」

司会者「kjがこのあたりの曲好きなんて話もありますよね」

レジー「そこから「Wipe Your Eyes」につながってるんだもんね。そういやひたちなかで見たなこのコラボ。もっちー声量なくて残念だった」

司会者「去年「道との遭遇」で見たときもそんな感じでしたね」

レジー「うん。デビューのときからそんなに歌うまい印象はないんだけど、まあELTの話はいいや。SMAPの「Mistake!」ですよ。何か「SMAPの曲面白いんじゃね?」ってなったときの曲と同じようなにおいを感じるね」

司会者「このあたりは「ジャニ研!」ちゃんと読んで勉強してから何か述べた方がいいと思います」



レジー「確かに。あれずっと積読になってるんですよ。そろそろ読まなくては」

司会者「SMAPは去年も山口一郎を起用したりといろいろなトライをしていますね」

レジー「アルバムに参加してる人たちとかもね。このアルバム聴いてないから結局こういう人選でいい作品になったのかはよく知らないんですが。でも個人的には「ロキノン」への接近よりもこういう職業作家的な人とやる方が刺激的だな」

司会者「「え、この曲もこの人が書いてたんだ?」みたいな驚きはそっちの方がありますよね」

レジー「そうそう。もちろんシンガーソングライター型の人がアイドルの曲書くのもそれはそれで面白いんだけど、予定調和というかあんまり狙いすぎてる感じになるとちょっとねえ」

司会者「確かに。ちなみに、「チョコの奴隷」も「Mistake!」もいわゆるソウルミュージックが下敷きになってる感じですよね」

レジー「そうですね。これ系の音好きなんだけど何て言語化していいのかわからなくて。ツイッターに投げかけたら、ライターの宇野維正さんからこんなレスをいただきました」







司会者「さすが音楽ライター」

レジー「ね。ツイッター便利すぎる」

司会者「この辺のジャンルは知ってるんですか」

レジー「いや、知ってると言えるほどには知らないです。フィラデルフィアソウルはわかるよ。昔オザケン聴いてた時に学んだ。当時から「強い気持ち・強い愛」みたいなストリングスもホーンもがっちり鳴ってる曲好きなんですよ」

司会者「筒美京平の得意分野らしいですね」

レジー「そうみたいね。いくつか有名どころ調べてたんだけど、こういうのとか超好み」



司会者「かっこいいですね」

レジー「この辺もっと掘り下げたいな。あとサルソウルは不勉強で知りませんでした。これもすげーかっこいい」



司会者「確かに「チョコの奴隷」と同じムードを感じますね」

レジー「あとフォロワーさんでいろんなジャンルに詳しくてその中で最近はアイドルどっぷりっていうすごく今時な音楽遍歴をたどってる模様の@DubTheWorldさんからもこんな指摘が」




司会者「ブルーアイドソウルね。確かに」

レジー「「チョコの奴隷」にぴったりくるこのジャンルの代表曲を出せるほど知らないんだけど、雰囲気はわかる」

司会者「こうやって見ると、アイドルソングと言ってもバックグラウンドにはいろいろ流れているということがわかりますね」

レジー「そうね。で、ぼちぼちまとめに入っていきたいんですが。僕宇野常寛さんの有料メルマガをとってるんですけど、その中にあったこんな一節が気になっていて」

おそらく、アイドルやV系バンドの楽曲だけを単体で批評していい/悪いを論じることにほとんど意味はない。この種の楽曲はアイドルやバンドメンバーのキャラクターを消費する総合的な体験の一部でしかなく、だとすると楽曲がその体験の中でどう作用しているのかを論じるという視点や、そのアイドルを応援する(消費する)という総合的な体験を論じるという視点がないと意味がないことになる。同じことがアニメソングやボーカロイドの楽曲にも言える。

司会者「アイドルにとって楽曲はあくまでも「キャラクターを消費する総合的な体験の一部」でしかないと」

レジー「この文章で宇野さんが言わんとしていることは理解しているつもりなんですが、僕が思うのは「アイドルやV系バンドの楽曲だけを単体で批評」することは決して「ほとんど意味はない」ことではないよなと。少なくとも「音楽が好き」な人にとっては。「これいい曲だなー→これ誰が作ってるんだろう→歴史的に見てどういう流れの中にあるんだろう」って話は「総合的な体験」とは関係なくできるんじゃないかなと思いました」

司会者「特にアイドル周辺に関しては、いろんな作り手が介在する分むしろ他のジャンル、それこそ自作自演を絶対善とする「ロック」よりも音楽的に豊饒な場合もありますしね」

レジー「うん。だから「アイドルの曲なんて聴く価値ない」っていう言説に対しての反論として「いや、アイドルの曲は単体で評価しても意味がない、総合的な体験の一部として位置つけるべき」っていうのは一つの正解だとは思うんだけど、オルタナティブとして「いや、聴く価値のある=掘り下げたりすると面白い曲もたくさんある(もちろん「聴く価値ない」曲もたくさんあるけど、それはどのジャンルでも同じですよね)」というのもあると思うんですよ」

司会者「この辺はそれこそ宇多丸さんだったり、あとベボベ小出さんだったりがそういう立場から発言してますよね。この二人の対談も聴きごたえがありましたね。最初に紹介したリンクからポッドキャストで聴けます」

レジー「「楽曲派」なんて言葉もややもするとちょっと揶揄するようなニュアンスが含まれる場合が多いと思うんだけど、脊髄反射的に「はいはいサブカルワロス」みたいな反応をするんじゃなくて、そういう楽しみ方がもっと確立されていいと思うんだよね。最近アイドル論、といっても大半はAKB論だったりすると思うんだけど、まあいろいろあるじゃないですか。これ系の話って基本的には宇野さんの言う「楽曲は総合的な体験の一部」っていうスタンスから始まることが多い印象で、それゆえ「アイドル論(本格的なものから俗流社会学っぽいものまで)」はあっても「アイドルソング論」ってあまりないなあと。それこそさっき挙げた2人くらいでしょ、「歌手としてのアイドル」について言葉を持ってる人は。あとダイノジ大谷さんか」

司会者「ロキノン的音楽評論からももちろん無視されてますしね」

レジー「そうねえ。実際問題としてあんま需要もないんだろうね。ガチなアイドルファンは楽曲について理屈こねるより現場行って握手する方が楽しいだろうし、って話は以前もしたところです。まあただ、今回SKE48とSMAPからソウルミュージックの歴史に接続できたわけじゃないですか」

司会者「これってまさに、年末の洋楽聴こう運動どうよってネタの中で出てきた「ルーツを探る」って話ですよね」

レジー「そうそう。こういうある種スタンダードな、というか「古くからスタンダードとされている」と言った方がいいのかな、そういう音楽の楽しみ方がアイドルソング起点でできるんだよと。アイドルソングを「キャラクターを消費する総合的な体験の一部」として捉える考え方ももちろんあると思うんだけど、一方でアイドルソング単体を取り出したとしてもそれを音楽の歴史の中に位置づけることも可能ですよね、というsuggestionでした。単純に「チョコの奴隷」も「Mistake!」もかっこいいので、アイドルに関与ない方もぜひ聴いてみてください」

司会者「わかりました。こんな感じで今回は終わりましょうか。次回はどうしますか」

レジー「そうですねえ。この前も書いた「ソーシャル化する音楽」ちょっとずつ読んでるので、キリのいいところまで行ったらそれについてやるかも」



司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

「音楽」と「クラブ」と「ダンス」、それから「夜」と「昼」の話

レジー「ちょっと旧聞に属する話になりましたが、先日Eテレでやってた宇野常寛さんのドキュメンタリーを見ました」

司会者「10°CAFEのイベントのシーンでちらっと見切れてませんでしたか」

レジー「なんかそんなような感じもしたね。あのとき初めて宇野さんにご挨拶して、「もっと怖そうな人想像してたけどいい人そうで安心した」と言われました。どんなイメージだったんだろう。しかし天下のNHK様が密着取材ですよ。もはや有名人ですね」

司会者「もうすぐ「文化系時評アーカイブス」、去年のコンテンツ回りに関するレビューや評論をまとめたものが発売になりますね」

レジー「剛力さんが表紙の前回のやつも購入しましたが、あまり明るくないジャンルについても取り上げられてる作品を眺めるだけで何となくの雰囲気がわかっていいですね」



司会者「前回の「音楽」ジャンルについては、他ジャンルが新録の座談会が掲載されている中、「夏休みの終わりに」に載っていた「今、音楽批評は何を語るべきか?」が再録されてるだけでした。弊ブログで何度か引用している座談会です」

レジー「あれは残念だったなあ」

司会者「今回は新たに座談会を収録したようですね」










レジー「面白そうなので楽しみに待ってます」

司会者「その宇野さんですが、明日深夜に放送される2月のLifeに出演されるようですね。テーマは「夜遊びのゆくえ」ということで、予告編もアップされています

レジー「今出てる「PLANETS Vol.8」でも「僕たちは〈夜の世界〉を生きている」なんていうテーゼを掲げてるし、それ以前からも「東京は夜遊びのバリエーションが少ない(たとえば香港と比較して)」みたいなことを発言してたからそれ関連ってことなんだろうね」



司会者「予告編でもちらっと出てましたが、風営法、クラブ規制の問題についても話がおよびそうなので普段Life聴かない音楽好きな方にも関連する内容かと」

レジー「僕はいつも通りポッドキャストで聴く予定。風営法問題は僕も含めてだけどもうちょっとちゃんと理解した方がいいよね。この前も有名ミュージシャンがものすごーく単純化したツイートを流して「またかよ」って感じで辟易したんですけど。とりあえず磯部涼さんの「踊ってはいけない国、日本」を読むのがいいと思います」



司会者「この内容についてライムスター宇多丸さんと語ったポッドキャストがあったのですが、番組の方針変更で過去アーカイブが削除されて聴けなくなってしまいました」

レジー「あれほんと困っちゃうよね。まあそれはいいや。磯部さんの本にこんな一節があるんですけど」

陰謀論めいたものも含め、無数の憶測を耳にしたが、正直、本当のところは分からない。というか、むしろ、様々な理由が絡み合っていると考えるのが妥当だろう。サブ・カルチャーがカウンター・カルチャーを気取るときに陥りがちなのが、分かりやすい“敵”を想定することで問題の本質を見失ってしまうことだ。現実はもっと複雑である。

司会者「ライムスター「The Choice Is Yours」の内容に通じる話ですね」



レジー「うん。この辺りはちゃんと自分で情報をとっていくしかないよね。で、Lifeの予告編で黒幕こと長谷川プロデューサーが言ってたことが印象的でした」

学生の頃、クラブに行って夜明けごろ朝出てくると都心のビル街も昼間とは全然違う風景になっている。この「大人たちのいない空間が広がっている感じ」「夜を生きる者、みたいな感じ」にうきうきするところがあった。

司会者「あー」

レジー「この感じはすごいわかるんですよ。喧騒から抜けて、まだ寝静まってる街に放り出される感じね。壊れたビニール傘が散らばっててカラスが飛んでるようなちょっとグロテスクな光景も妙に神聖に見えたりするんだよなあ」

司会者「クラブとか行ってるんですか」

レジー「いやー最近は全く行ってないですね。直近で行ったの何年前だろうって感じ。大学生のころ、特に1、2年生の時はたまに行ってました。初めて行ったのは大学入りたての5月の連休だったと思う」

司会者「渋谷のエイジアで定期的にやってた「BUZZ NIGHT」ですね」

レジー「高校の友達と2人で行って、一晩いてくたくたになって外に出たら似たような状況になってる同じ高校の友人がいて何とも言えない気持ちになった記憶があります」

司会者「まだ未成年ですよね」

レジー「うん。当時は大したIDチェックもなかったしゆるい時代だった。普通に酒も買えたし。2000年かあれ」

司会者「「BUZZ NIGHT」はその後何度か行きましたね」

レジー「当時はBUZZの熱心な読者だったからなあ。鹿野さんのDJ楽しかったよ。ロック系からダンスミュージックまで幅広く流してて」

司会者「鹿野さんDJはいろんなところで体験してますよね」

レジー「うん。新宿時代のリキッドでやってたLIVE JAPANは何度か行ったなあ。あれはオールナイトではないか。何か高円寺とか下北沢のイベントでも見た気がする」

司会者「そんな人を派手にディスって話題になるとは思いませんでしたね

レジー「そうねえ。この前ブックオフで昔のBUZZを買ったら、2001年1月号に鹿野さんがこんなこと書いてるの発見したんですよ」

秩序の中に偶然が生まれた瞬間。これはアートの本質であるとともに、LOVEの全てでもある

司会者「あれ?」

レジー「これはアンダーワールドについて書いた文章なんですけど、この内容ってアイドルにもまさにあてはまる話なのになーと思いながら読みました。「BUZZ NIGHT」でもアンダーワールドよくかかってた思い出がある」

司会者「当時は他にどんなのがかかってたんですか」

レジー「そうねえ。特に記憶に残ってるのはダフトパンクかなあ」

司会者「ワンモアタイムね」



レジー「うわーこれ懐かしいなあ。特にPV」

司会者「松本零士ですね」

レジー「この途中でブレイクするところがほんとかっこいい。これ入ってるアルバムは聴き込みましたよ。あとはサニーデイの「魔法」とか」



司会者「素敵」

レジー「この曲は「夜遊び」ってイメージとぴったりリンクしますわ。サニーデイの最後のシングルです」

司会者「スギウラムがプロデュースでクレジットされますが、スギウラムの曲も盛り上がるタイミングでよくかかってましたね」

レジー「そうね。この曲とか。何かアニメと組み合わせた動画しか発見できなかったんですけど気にしないでください」



司会者「ちょっと時代を感じる音ではありますがかっこいいですね」

レジー「うん。爆音でこういう音楽浴びてると何か自分が特別な存在になれたような気がしてたんだと思います」

司会者「クラブっていうと何か怖そうみたいなイメージの人もいそうですがそのあたりはどうですか」

レジー「箱やイベントによるんじゃないかなー。僕自身そういう「怖い経験」ってのはしたことないけど。ナンパするために行くみたいなところはまたちょっと違うんだろうけどね」

司会者「そういう浮ついた話はありましたか」

レジー「いやー全然ないですよ。前ここでも書いたけど、「一人でいる女の人に話しかけてたら実はその人がゲストDJで来てたロッキングオン兵庫さんの連れだったみたいでイベント終了後すごい睨まれた」くらいですねエピソードは」

司会者「ケンカにならなくて良かったですね」

レジー「あれは何かへこんだわ。そう言えばいつか忘れたけど「Getting Better」行ったとき「そのTシャツ可愛いね」って女の子に話しかけられたのをふいに思い出した。あれそういうやつだったのかな」

司会者「がっつきが足りないですね」

レジー「「知らない人と話す」っていうモードでクラブ行ってなかったからなんかめんどくさくなっちゃうんだよねきっと。でかい音楽鳴ってる空間で体揺らしてること自体が楽しかったから。で、「でかい音楽鳴ってる空間で体揺らすこと自体が楽しい」ってのがわりと本質的なことだよねっていう動画を最近見つけたんですけど。数年前のものですが」



司会者「これは」

レジー「おそらくこの子たちは「クラブカルチャー」なんて知らないだろうし「こういう場所にいる俺かっこいい」みたいな意識もないだろうし、それでもこういう環境に放り込まれると体が動き出しちゃう本能みたいなのを兼ね備えてる人たちが結構いるんだろうなあと思いました」

司会者「中には耳塞いで突っ立ってる子もいますけど」

レジー「そうね。だから「体が動き出しちゃう本能」を持ってる人もいれば「自然とネガな反応を示す本能」を持ってる人もいるんだなあと。ナイトクラブ規制の話も、突き詰めていくと「耳塞いで突っ立ってる」側の人たちの「理屈じゃない拒否反応」ってことかもしれないなあとか思いました」

司会者「誰かがこの動画について「これこそ為政者たちが恐れていることなのではないか」みたいなこと書いてましたね」

レジー「「化学反応みたいで何故か怖い」ってコメントがついてたんだけど、国を統治する人からすると「自分たちが拠って立つものとは全く異なる論理」で「人々が勝手に集まって体を動かしている」って時点で脅威を感じるものなのかもしれないよね。だからと言って規制していいかってのはもちろん全く別の話です」

司会者「最近だとダイノジも「キッズジャイアン」なんてイベントをやっているようですね」

レジー「これすごいいいよねえ。ちゃんとショー仕立てにして子どもでも楽しめるように、つまり「耳塞いで突っ立っちゃう」子を作らないように工夫してるわけで。しかしこの前のブログ記事もそうだけど、「音楽が今置かれている状況を受け止めていろんなことにトライする」ってことを一番やってるのがダイノジ大谷さんなんじゃないかと思うわ。頭が下がります」

司会者「ほんとそうですね。ぼちぼちまとめに入りたいのですが、そもそも最近の音楽好きな若い人ってクラブとか行くんですかねえ」

レジー「どうなんだろうね。そもそも「音楽好きな若い人」が減ってるだろうし。ジャンル別の細分化みたいなことはどんどん進んでるだろうから、元気なイベントももちろんあるんだろうけど。でね、僕大学入りたての5月にBUZZ NIGHT行ったってさっき書きましたけど、これって高校生のころから「大学入ったらクラブとか行ってみたい!」って思ってたからなんですよ」

司会者「なんか「かっこいい音楽があるかっこいい大人の遊び場」みたいなイメージはありましたよね」

レジー「うん。「ずっと音楽が流れてる」とか「ライブじゃなくてDJ」とか「音楽好きな人が集まって爆音の中で踊る」とかいくつかキーワードがあって。で、こういうのっていまや「クラブ」じゃなくて「フェス」が提供するものになっているような気がするんですよ」

司会者「あーなるほど。「高校出たらクラブ行きたい!」が「高校出たら夏フェス行きたい!」に置き換わってるんだ」

レジー「そういう側面ってあるんじゃないかなあと。で、フェスはオールナイトのものもありますけど多くは朝から夜まで、つまり「昼」に行われるものですよね。音楽がフィジカルに発信される象徴的な記号が「夜」から「昼」に移り変わったと。ちょうど磯部さんの本でも引用されてたキックザカンクルーの「GOOD TIME!」って曲があって、これさっきあげた曲と同じくらいの時期のもので結構好きなんですけど、こんな歌詞がありまして」

万華鏡みたいなミラーボールが月の代わり 
太陽のない国の灯り




司会者「今は逆に「太陽がミラーボールの代わり」ってのがシーンの風景なんでしょうね」

レジー「そうね。それを「開かれた場所に解放された」と捉えるのか、「お行儀の良い世界に引っ張り出されてしまった」と捉えるのか、それはその人の音楽に対する価値観や距離感によりますね。ここはどっちも善し悪しある話だと思うので、結論は読んでいただけた方に投げかける感じで終わりたいと思います」

司会者「わかりました。では次回はどうしますか」

レジー「そうですね、ちょっと次回にやるかは分かんないんですが、最近の音楽シーンの環境について説明してるであろう本がいくつか出るみたいで」




  


司会者「「ソーシャル化する音楽」は目次見る限りかなり読みごたえありそうですね

レジー「そのあたりについて取り上げる準備をしていきたいと思います。別のネタは随時」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

「音楽メディアユーザー実態調査」から見る今時のリスナー像 -「音楽」と「お金」の不安定な関係

司会者「パスピエの新曲「on the air」の音源が公開になりました」



レジー「これマジで売れるんじゃないか」

司会者「パスピエについて詳しく知りたい方はこの記事この記事をご覧ください」

レジー「これを機に過去音源もあたってみることをお勧めします。この曲がツボだった人は「ONOMIMONO」の方がはまる気がするし、もうちょい荒々しい方がいいなあって人は「わたし開花したわ」の方がしっくりくるかと」

 

司会者「TOKYO FMのキャンペーンソングのようですね」

レジー「TOKYO FMは僕にとってすごく重要なラジオ局です」

司会者「ほう」

レジー「小学校5年生の時に、この局で土曜日の1時からやってたカウントダウン番組を聴き始めたのがポップミュージックとの出会いなんですよ」

司会者「午前中の授業から帰ってきて、昼ごはん食べながら聴いてましたね」

レジー「カセットテープに録音して、音質悪くなりながらも曲の部分だけダビングしたりしてました」

司会者「ネットがない時代らしいエピソードですね」

レジー「子どもだからお金もないし行動パターンも限られてるわけで、その中でどうやっていろんな音楽聴くかはいろいろ考えてましたねえ。「音楽聴くのに金払わない奴は許さん!」みたいなことを迷いなく言う人に対して、理解は示しつつもちょっと引いちゃうのはこういう原体験があるからかもしれないです。そんなことを先日発表された「音楽メディアユーザー実態調査」の2012年度の結果を見ながら思ったんですけど」

司会者「日本レコード協会が毎年やってる調査ですね。昨年度の結果についてはブログの超初期に記事にしています」

レジー「相変わらずルーティーンでやってる感ありありだよねこの調査」

司会者「またこれやってるシンクタンクdisですか」

レジー「経年変化見るために変えられない部分もあるんだろうけど、たとえば「購入した新品CDアルバムのジャンル」ってところは以前も書いたように「日本のポップス」と「日本のロック」の区別とかようわからんからこれだけじゃ何とも言えないよね」

司会者「そう言わずに何かしら意味合いを出していただかないと話が進みません」

レジー「ここで唯一面白かったのは「ボーカロイド(初音ミク等)を利用した楽曲」ってところですかね。中高生だけ圧倒的に高い」

司会者「購入者の割合を見ると、中学生が男16.8%/女26.8%、高校生が男13.8%/女18.5%です。他の世代は一桁パーセント前半。ちなみに中学生女子では「日本のロック」の12.6%を大きく上回ってます」

レジー「「みんなボカロ聴いてる」とか言いつつこんなもんかーと思ったんだけど、考えてみたらたぶんこの周辺にニコ動で聴いてますみたいな人たちがたくさんいるんだよねきっと」

司会者「そのあたりは「未知アーティストの新品CD購入のきっかけ」で、「無料動画配信サイト」が中学生・高校生・大学生・20代社会人の各世代でトップになってるところからも読み取れますね。そこで見て気に入ったものをパッケージで買うと」

レジー「去年の報告書は「ネットやスマホ悪玉論」がすごかったけど、こういう結果が出るとネットも商売の役に立つと認識を改めざるを得ないだろうね。ファンが勝手にあげてる動画もプロモーションになってるはずだから、これを機に何でもかんでも削除するの減るといいなあ」

司会者「権利の問題とかで難しい部分はあるんでしょうけどね。ただ、ネットが購入のきっかけになるっていう話以前に、「音楽にお金を払う層」が減ってきているというデータもあります」

レジー「そうですね。「CD購入」「レンタル利用」「有料音楽配信」それぞれの利用状況についての設問について、ダブりのないように足し合わせると「音楽にお金を払う層」の頭数が出るわけですが、3年間の推移を見るとこんな感じです。ちなみに2007年度は57%くらいでした」

2010年度 45.2%
2011年度 47.9%
2012年度 41.9%


司会者「2011年度でちょっと上がる傾向があったのに2012年度は大きく下がりましたね」

レジー「2011年度はAKBの爆発があって、直近では一巡したとかそんな話かしら」

司会者「これで2012年はパッケージ売上がアップとか言ってるわけで、確実に「一部の人がたくさん買う」構造になりつつあるんでしょうね」

レジー「そんな感じなんだろうなあ。で、有料利用者は減ってるわけですけど、その中での構成比を算出したのがこちらです」

数字1

司会者「レンタルのみの人のシェアが2割に達したんですね」

レジー「ここちょっと気になるんですよね。今年はストリーミング型のサービスが来る!みたいな話結構あるけど、ピンポイントでTSUTAYAで借りればいいやみたいな人たちが増加傾向にあるんだとすると「有料聴き放題」って言っても別に刺さらないような気がするんですよ」

司会者「レンタルCDがここまで充実してるのは日本の特殊性ですよね」

レジー「当然ストリーミング陣営の人たちもそういうことは考えてロンチの仕方を検討してるんだろうけど、ここは結構クリティカルな気がする」

司会者「「洋楽離れ」問題についても、レンタル解禁を早めるだけで解消される部分もありそうですね」

レジー「そう思います。で、今回一番ほーと思ったのが「聴取層別セグメント構成」って項目なんですけど」

司会者「対象者を以下の4つのグループに分けてます」

①有料聴取層:
「音楽を聞くために、音楽商品を購入したり、お金を支払ったりしたことがある」
②無料聴取層:
「音楽にお金を支払っていないが、新たに知った楽曲も聞いている」
③無関心層(既知楽曲のみ):
「音楽にお金を支払っておらず、以前から知っていた楽曲しか聴いてない」
④無関心層:
「音楽にお金を支払っておらず、特に自分で音楽を聴こうとしていない」


レジー「4年間の推移を見るとこんな感じです」

図2

司会者「「③無関心層(既知楽曲のみ)」のシェアが伸びてますね」

レジー「これ見た時はほんと悲しくなりましたよ。特に僕も含まれる30代の値が9.5%から16.1%に大きく拡大してるんですよ」

司会者「この先年寄りが増えていくわけで、この構造はますます強まるでしょうねえ」

レジー「そうですね。この辺は歌番組の「懐かしの歌コーナー」の影響とかもあるのかなと思うんですけど。ちょうど今回の報告書に2009年度からの推移が載ってたんですが、この時期っていろんな歌番組がそっちの方向に舵を切ったタイミングみたいなんですよね」

司会者「wiki情報ではありますが、ヘイヘイヘイが「今聴きたい!名曲HEY!HEY!HEY!」というコーナーを始めたのが09年4月。10月ごろからCDTVで過去の曲を流す時間が長くなり、Mステも「BIRTH YEAR SONGS」が10年2月からスタート。FNS歌謡祭が懐かしの曲大会にコンセプトが変わったのも2010年ですよね確か」

レジー「こうやって金稼いでる世代をノスタルジーに気持ちよく安住させてるわけですよ。そりゃ好奇心も削がれるわな」

司会者「一方で、学生を見ると「②無料聴取層:音楽にお金を支払っていないが、新たに知った楽曲も聞いている」が25%存在しています。他の世代と比べて圧倒的に多いです。この辺が冒頭に出た「ボカロ曲をニコ動で聴いてる人たち」なんでしょうか」

レジー「もちろん他のジャンル聴いてる人もいるだろうけど、そういう人もたくさん含まれてるだろうね。で、ここでちょっと前に大爆発してた「音楽の価値とは??」ってエントリーを紹介したいんですけど」

司会者「かなり盛り上がってましたね」

レジー「このエントリーに関して「主観的過ぎてうざい」みたいなコメントがあって、「ブログに主観的なこと書かないで何書けばいいんだ?」ってとても驚いたんですけどそのあたりは割愛。今回の話と関係ありそうなのはこの辺」

俺「じゃあ○○ちゃんはボカロのCDとかは聴かないの?」
小「なんで?だってスマホで聴けばCD買う必要ないじゃん!」

???

俺「え、だからそれじゃ音悪いし、歌詞カードとかもないじゃん!」
小「私は音楽が聴きたいの。音が悪くても良くても私には関係ないし、音楽だけ聴ければいいの。」

なん…だと…。

俺「だけどなんかそれって好きな音楽にお金払ってないし失礼な感じしない?(まだ小学生だし、そうは思わないのかな)お母さんにCD買ってとか言わないの?」
小「言ってもムダムダ!YouTubeで聴けるからCD買う必要ないもん!ていうか、CDってどうやって聴くの?持ち運べないじゃん。」

ええ~!!!!そんな質問……。

俺「いや、家ならCDコンポとかでCDは聴けばいいし、持ち運ぶならPCから取り込んで、スマホとかiPodなんかに入れればいいんじゃない?(俺はウォークマンだけど)」
小「えぇ…なにそれ、めんどくさ。」

「めんどくさ」だと……。


司会者「数字の羅列からは見えない生々しさがあります」

レジー「正確には「数字の羅列と組み合わせるとより多面的に見える」って話でしょうか。こういう人たちが今回の調査に出てきた「音楽にお金を支払っていないが、新たに知った楽曲も聞いている学生」の姿なんでしょうね。もしかしたら特に先鋭化されたサンプルなのかもしれないけど、決して特殊例ではないんじゃないかな」

司会者「このブログに対して「CDを買って急いで帰ってきて、ご飯も食べずに部屋にこもって、CDプレーヤーでそれを聴く。そういう楽しみを知らない今の子どもはかわいそう」みたいなツイートがマンガ付きで回ってました。あのマンガ可愛かったけどもう削除されてるみたいですね」

レジー「そういうのとか現実逃避以外の何物でもないからね。確かに昔そういう楽しみがあったのは間違いないけど、別にそれを知らない人たちに押し付けちゃいかんと思うわ」

司会者「普通に考えれば今の方が楽しいですよね音楽好きとしては。インフラの充実度が違いすぎる。お金がなくてもないなりに楽しめますもんね」

レジー「ほんとそう思いますよ。サマブリさんとかハイハイさんのブログで紹介されてる「合法な」フリーの音源聴いてるだけでも十分面白いし、アイドルのフリーライブだってあるし」

司会者「そもそも音楽に金払うのが間違ってたのでは?みたいな話はミュージシャン側からもたまに出てますよね」

井上 もう、誰も音楽にお金なんか払わないですよ。連想するのはね、ブラジルで、欧米で作ったエイズの薬を使うには特許料を払わなきゃいけないんだけど、ブラジル政府は「目の前の貧しい人を助けるほうが先でしょう」と、特許を認めなかった話ね。確かに著作権なんて、西洋のある種の文化ですよね。絶対というわけでもない。

松任谷 音楽にお金を払うこと自体が間違ってたのかもしれない。19世紀の頭頃
に出版社ができ、楽譜というものを売り始めてね。

井上 もちろん、ある種の発展というのはあったんでしょうけど、「発展ってどうなの?」っていう時代に来てますからね。

(読売新聞2011年8月 松任谷由美と井上陽水の対談)

Q70 音楽が担う役割は今後、どう変化していくと思われますか?
「パッケージが衰退して、商品としての音楽の存続基盤が崩壊しつつありますよね。Youtubeやニコ動で見られるわけだから、若い子は音楽にお金を払わない。それは当たり前だと思うんですよ、僕だってそうするだろうし。この状況が進んでいくと、レコードが発売される以前の状態に戻るんじゃないですか? 音楽でお金を稼ぐには、実演しかないという。昔のダンスパーティーとか、生演奏で踊るっていうことが盛んになってくるかもしれない。そういう意味では、ダンスと音楽が不可分になっている現状は、当然の結果でしょうね。まぁ、もう少し見ていかないと、最終的な結論はわかりませんが」

(ぴあ「100Q」山下達郎 2011年)

レジー「この人らはもう十分売って金持ってるからだろってのもあるだろうけど」

司会者「まあ確かに」

レジー「ただ、こういうことを考えないといけない時期に来てるんだろうなあとは思います」

司会者「わかりました。そろそろまとめたいのですが、音楽メディアユーザー実態調査から「音楽にお金をかけるということとは」という話のさわりまできました」

レジー「はい。この辺の話に関連する内容で、ポピュラー音楽論をやってる学者の増田聡さんの年末のツイートが面白かったんですけど」




司会者「こうやって繰り返してる話ではあるんですよね」

レジー「うん。で、今の状況って「レコードからCDへ」以上にダイナミックな変化が起きてるタイミングだと思うんですよ。それは音楽だけにとどまる話ではなくて、メディア環境が変わって世の中全体が大きく変わってる中で、音楽も当然その影響を受けているって話だと思うんですよね」

司会者「そういう自覚なく漫然とCD売ってるレコード会社やミュージシャンもいっぱいいますよねきっと」

レジー「もうそういう人たちはどうしようもないから、「こういう時代に何をすべきか」みたいなことを考えてる人たちの邪魔だけはしないでくれって感じだよね。で、そういう時代だからこそ、「音楽そのもの」と「音楽を取り巻く環境」両方を踏まえて何かしらの言葉を発信していきたいなと改めて思いました、ってのが今回の結論ですかね」

司会者「わかりました。では次回はどうしましょうか」

レジー「今日パスピエのライブ行くからそれについてかなー、何かあれば考えます。予定は未定で」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

「自由」と「一体感」の狭間で ユニゾン「CIDER ROAD」の話とライブの「盛り上がり方」の話

レジー「先日アップしたトライセラのライブに関する記事ですが、林さんに続いて和田唱からも反応がありました」

司会者「なぜ片方だけ呼び捨て・・・」

レジー「失礼だと思いつつなんとなく。ついついフルネームで呼んじゃう人いるよね。中村俊輔とか」

司会者「ツイートも何か人となりが表れてて面白かったですね」







レジー「どなたですかって言われても」

司会者「その後吉田さんもRTしてたので、メンバー全制覇です」

レジー「いやーすごいね。ラズベリーをコピーしてた15年前、「将来君はインターネットを介してバンドのメンバーとやり取りすることになるよ」なんて言われたとしても絶対信じないよね」

司会者「ツイッター恐るべしです」

レジー「ミュージシャンの方から直々にレスポンスがあると身が引き締まる思いだよね」

司会者「「ミュージシャンの方からのレスポンス」と言えば、年末の洋楽離れビール離れに関する記事で丁寧にご対応いただいて一気にファンになってしまったUNISON SQUARE GARDENの田淵さんですが、先日ユニゾンの新譜「CIDER ROAD」がリリースされました」



レジー「いやー超いいよこのアルバム」

司会者「まさか親切にしていただいたからって評価水増ししてませんよね」

レジー「してるわけないじゃないですか。これほんといいアルバムですよ。ただ、去年の一件がなかったらスルーしてたかもしれないのは否めない。フェスで見てかっこいいなと思いつつもちゃんと聴いてきてないので。メディアからの動機づけもあんまなかった気がするし」

司会者「そのあたりの話は以前世界の終わりに関する記事で書きましたね

レジー「てかあのアルバムを「新世代のエンターテイメント!」とかって持ち上げてた人たちは当然ユニゾンもそれ以上にがっつり持ち上げるんだよね。改めて聴き比べたけど、ユニゾンのがはるかにエンターテイメントだよ。まあこのアルバムについてはそんな比較をするまでもなく素晴らしいと思います」

司会者「すごく開かれた音ですよね。そのあたりはナタリーのインタビューで田淵さんもコメントしてます」

ああいった音(注:鍵盤やホーン)って自分が作ってる音楽に必要なものとして以前からずっと存在してはいたのですが、僕の頭の中だけで鳴ってたんです。今まではそれを鳴らさなくても、リスナーにイメージは伝わるかなって思ってたんですよね。だけど「伝わらないんだな」って気付いたというか。それで3rdアルバムのあたりで入れてみたんですよ。その試みをしても、チャラくは見えないくらいにバンドが成長してきてるのはわかってたので。多分ファンの方を戸惑わせるようなことも、そんなにないだろうなという考えもあったし。

──なるほど。ということは、どこか「伝わってないな」っていうもどかしさが、少なからずあったわけですよね?

なんなんでしょうね……自分の中では音が鳴ってたから、それで結構満足しちゃってたところがあったのかな。でも伝わってるかどうかなんて、憶測でしかわからないじゃないですか。やっぱりバンドを続けていくうちに、僕らに対する評価で悩んだりもして。


レジー「わかる人だけわかればいいという世界からの脱却。そのためにタブーをなくして、「ロック」を軸足にしつつも「ロック」からたくさんのアイデアがはみ出した。その結果、超絶に「ポップ」なアルバムになったと」

司会者「ツボを確実に押してくる感じですね」

レジー「個人的には10代のころにラルクの「heavenly」とか「True」を聴いた時の感覚を思いだしたんですよね。がっちりしたロックなんだけど異様にキラキラしててポップっていう。なんかそういう衝撃を受けました」

司会者「そう言えばナタリーのインタビューでは「洋楽志向ではないですよね?」とか唐突に出てきてびっくりしました」

レジー「あれね。文脈と全然関係ないけど、ネットでの動きとか見てるんだろうか。それに関しての田淵さんの発言がなかなか味わい深かった」

──このタイミングで聞くのもなんですけど、UNISON SQUARE GARDENって、洋楽志向ではないですよね?

鈴木 J-POPの影響が強いですね。田淵は一時期、洋楽を死ぬほど聴いてましたけど。でもあまり響かなかったんだよね?

田淵 そうそう。ま、死ぬほどってのは大げさですが、ひととおりはチェックしたのかな。人並みに話ができるレベルには聴いてみました。で、カッコいいんですけど、自分が取り入れるべきものがそんなになかったんですよね。「日本語をメロディに乗せることを、どれだけ面白くやるか」が好きだったので、大人になってからもそこは変わらなくて。


司会者「自分が取り入れるべきものがない、か。最近坂本龍一が「日本の若いバンドが洋楽を聴かない」って嘆いてましたけど、この発言を見てどう思うだろうか」

レジー「結局何を目指すかによって咀嚼の仕方も違うよっていう当たり前の話なんですよね。自分たちがやろうとしていることに必要なら取り入れればいいというだけのこと」

司会者「そのあたりフラットなミュージシャンの方が信頼できますね。で、アルバムリリースに合わせて全国ツアーがあるんですが、ファイナルがNHKホールです。ユニゾンは前回のツアーファイナルも渋谷公会堂、つまり「ホール」だったわけですが、この「椅子つきのホールでライブをやること」について、田淵さんが昨年9月のブログでこんなことを書いています

ツアー決まった時にも言った気がするけど、ファイナルの東京は椅子があります。野音にもあったけど室内だとなんかカテゴリが違うみたいです(わからんが)
・・・
ロックバンドがライブをやる上でいつぞやか重みを増してきたスタンディング至上主義みたいなものが"ロックバンドのライブは人と密着してないと楽しめない"という空気を生み出してしまった様な気が、少しだけしているのです。考えすぎなんだろうけど。
でも、音楽を楽しむのにそんな事は関係ないと思うのです。
スタンディングと指定席、僕はどっちも好きで、どっちも変わらない


レジー「スタンディング至上主義ね。面白い」

司会者「確かにそんな雰囲気はある気もしますよね。売れてもライブハウスを細かく回ることが美徳とされてる感じとか」

レジー「昔から「ライブハウスはロック、ホールは歌謡曲」みたいな切り分けがあったのかもしれないけど、最近のシーンへの影響で言うと99年のミッシェルの横浜アリーナがでかかったんじゃないかなあ」

司会者「今となってはあそこでスタンディングでやるの普通ですけど当時は前代未聞って感じでしたよね」

レジー「高校の友達が大挙して行ってた気がする。僕あれなんで行かなかったんだろう。たぶん金がなかったとかそんな話だな」

司会者「フェスが興行の中心になりつつあるのもスタンディングの方が上に見られる感じに拍車をかけてるのかもですね。「椅子があるなんて自由じゃない!」みたいな一義的な解釈をしている人がいるのかも」

レジー「それはありそう。ただ実際問題として、スタンディングだから自由なのか、みたいな話は別であるよね」

司会者「みんな同じ動きしていること多いですからね。体揺れてないけど手だけは機械的に前拍で動いてるパターン、もしくは何でもいいからモッシュとか」

レジー「この前Mステ見てたらモンパチとブルーノマーズが出ててどっちもスタンディングライブ形式でやってたんですけど。ブルーノマーズの客が「本物のブルーノマーズ!わー!!」みたいな感じでどんどん前にせり出して無秩序な感じになってる一方で、モンパチの客は盛り上がってはいるんだけどみんな規則正しく手を伸ばしてるだけなんですよね。なんかすごく印象的だった」

司会者「その方が安全でいいとは思うんですが、「こうやってのらなきゃいけない」みたいなものに縛られてる感じはありますよね」

レジー「うん。しかもそのバリエーションが少ない。これはカウントダウンジャパンに行ったときに感じたことなんですけど」




司会者「複数のリズムパターンへの耐性がないと」

レジー「この前くるりの武道館行ったときにも「ワンダーフォーゲル」で前拍ノリをしてた人たちがちょっとだけいたんだけど、逆に盛り上がりづらいと思うんだよね。で、こういう感じに対してやってる側はどう考えてるのかなあって話で、ユニゾンの田淵さんもこのネタに関してツイッターでいろんな発言をされてるんですけど、ここでは他のミュージシャンの意見を引用したいなと」

司会者「まずは細美さんの2011年のカウントダウンジャパンでのMCです。こちらのブログから引用させていただきました」

また、こういうこと言うとネットで書かれるかもしれないけど…まあいいや、俺ネット見ないから。あのステージ指差すあのポーズあんじゃない?あれ何なの?何でステージ指差す必要あんの?(途中省略)ここにいる80%くらいの奴は良いやつだと思うから、右ならえだけは止めてほしい。

レジー「これ現場だとどんな反応だったんだろうね。ちょうどこの翌日かな、ツイッターで流れてきたの見て細美すげえって思ったんだけど」

司会者「あとはゴッチさんのブログのこんな記述

皆、「猿みたいなステップ」でも「大丈夫」なので、どんどん踊って下さい。なるべく、隣の人と違うやり方で!(それを自分で選ぶなら、もちろん誰かと同じでも良いけど)。マスゲームじゃないからさ。自由に!っていうのは、まあ、ロックのひとつの主張だと思います。青臭いけれど。これが案外、浸透していない、ような気もしますし。隣の人の動きを見て、「俺、変なことしてないかなぁ」なんて思う必要なくて、もう好き勝手にやっちゃって!っというか。俺らはステージから、うわ!変な踊りしているヤツがいる!って引いたりしないしね。むしろ、アガります。笑。

レジー「この方は一貫してますね。先日のJAPANのインタビューでも、「ロックがスポーツ化しすぎた、オイオイ言うのもいいけど違う楽しみ方もあるのでは?」みたいなこと言ってたし、お客さんの受け止め方に対して気になってる部分はあるんだなあと」



司会者「「マスゲーム」「スポーツ化」ってのは今の日本のロックシーン、というか日本におけるロックの受容のされ方のキーワードかもしれないですね。細美さんが指摘してるのも「オーディエンスのマスゲーム化」ですよね」

レジー「うん。僕が延々やってたロックインジャパンの話軽音楽部の話もこれで説明できると思う。なんかこのコードに沿ったバンドしか消化されないようなムードがあるなあと思うんだよね。たとえばホルモンってこの2つのキーワードを究極的に凝縮したことやってるわけでしょ。ライブちらちら見たことあるだけなので違うかもしれないけど」

司会者「ぐちゃぐちゃに盛り上がってお決まりのところで皆でヘッドバンギング、そしてまたぐちゃぐちゃ、みたいな感じですよね」

レジー「個人的には「邦ロック」とか「ロキノン」とか呼ばれる領域の音楽周辺に感じる閉塞感の根源ってのはそういう部分なんじゃないかなあと思いました」

司会者「なるほど。長くなってきたのでぼちぼちまとめに入りたいのですが、ユニゾンの「CIDER ROAD」の話とそこから派生してライブでの「のり方」に関する話をしました」

レジー「はい。ユニゾンに関しては、かつては「邦ロック」的なバンドたくさん聴いてたけど最近食傷気味みたいな人たちにぜひ聴いてほしいですね。僕最近「あーもうなんかいわゆる日本のギターロックとかさすがに飽きたな」って感じだったんですけど、別に「日本のギターロックに飽きた」のではなくてフィットするバンドがいなかったんだなってことに気づきました。「他にやることない/できない」から勢い任せにやってるんじゃなくて、必然性があってああいう爽快なフォルムの音を選んでるんだと思います。で、最後にまた田淵さんの別のブログ記事を引用したいんですけど。ちょっと長いですが」

とある場所でのライブ、初めてライブに来たのかなという青年がいた。
我々の音楽をどう聴いていいのかわからない様子で、スタンディングホールの中ほどで途中までずっとつっ立っている体勢だった。表情も硬い。
もちろん自由な楽しみ方でいいと思っているので、そのままでもまったく構わなかったわけではあるのだが。
ライブも終盤に差し掛かった瞬間。彼はネジが外れたように体を動かし手を挙げ表情も笑顔に変わった。(もちろん周りに迷惑のかからない形でね)

彼は自分の力で自分の楽しみ方を見つけたのだと思う。彼の人生にとって最高の瞬間だったのではないかと思う。
ステージの我々が手拍子を煽っていたらその瞬間は体験できなかっただろう(やんないけど)
ステージの我々が強制的に声を出させていたらその瞬間は体験できなかっただろう(やんないけど)
そういうことをするステージが悪いなんてことは全くないし良いところも多分にある。
ただ、個人的に今のスタイルを取るのには理由があって、単純に「自分がそうしたいから」が一番なのだが、
音楽を楽しむのに、どれだけかかってもいいから、自分の力で時に選び、時に間違えながらでも、自分なりの楽しみ方を見つけていって欲しいからというのもあるのだ。


司会者「2つ目の話に関してはこれ以上のまとめはないですね」

レジー「うん。押し付けもしくは上辺だけの一体感からは何も生まれないわけで。別に無理して手をあげなくてもいいんだよ、その代わり体動かしたい!と思ったら誰にも遠慮せず全身で動かしてね、っていうのは多くの心あるミュージシャンの本音のような気がするので、そのメッセージがもっと広く伝わっていったらいいなあと思います」

司会者「わかりました。今回はこの辺で。では次回はどうしましょうか。AKBの諸々の話でもしますか」

レジー「いや、あれは音楽とは関係のない話だからここではしないよ。一旦予定は未定ということで」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

焼け野が原になる準備はできていた - 「2007年」の音楽シーンに何が起こっていたか?

司会者「先日アップしたトライセラの中野サンプラザ公演に関する記事ですが、回りまわってバンド関係者の方にも読まれた模様です」

レジー「関係者も何も、あの記事に関するツイートがバンドのオフィシャルアカウントとベースの林さんからRTされてたからね」

司会者「ご本人直々に」

レジー「ほんと恐縮です」

司会者「柴さんの紹介、もしくはそれをRTしたダイノジ大谷さん、いずれかの経路ですねおそらく」

レジー「ありがたい話ですわ」

司会者「そんな感じでお世話になっている柴さんですが、先日ブログでこんな記事をあげていました」

僕らは「サード・サマー・オブ・ラブ」の時代を生きていた

2007年に、何が始まったのか。ニコ動とボカロと、あの場にいた10代に、何が起こっていたのか。それは、ひょっとしたら「サード・サマー・オブ・ラブ」のようなものだったんじゃないだろうか?

レジー「iPhone、USTREAM、ニコニコ動画、初音ミク、soundcloudなど様々な商品やサービスが始まった2007年を、1967年の「サマー・オブ・ラブ」、1987年の「セカンド・サマー・オブ・ラブ」に引っ掛けて「サード・サマー・オブ・ラブ」と呼べるのではないか?という問題提起です。「サマー・オブ・ラブ」は20年周期でやってくる、3度目の舞台はインターネット上だった、というのが論旨ですね」

司会者「そして過去2回と同じように終わっていってしまった。でもやはり過去2回がそうであったように、ここで生まれた遺伝子がこの先刺激的な動きを形作っていくだろう、と。詳細はぜひ本文を読んでみてください」

レジー「わりと好意的に受け止められてる感じですね」

司会者「お、何か含んでますね。また洋楽論のときみたいに噛みつきますか」

レジー「いやいや、そういう話ではなくてね。2007年にエポックメイキングなサービスがたくさん生まれたのは事実なわけで、こういう出来事が革新的だったことは間違いないですよね。ただ個人的に思うのは、ニコ動にせよ初音ミクにせよ基本的にはドメスティックな動きなわけで、これまでの「サマー・オブ・ラブ」と並べて語るのはどうなのかなあと」

司会者「柴さんが「何年も前に同じこと言われてた!」と紹介していたブログにはこんな感じで書かれましたね」

もしかしてこれはサマー・オブ・ラブなのではと、勝手に考えているのだ。グローバルにみてサードなのか、ドメスティックにファーストなのかはともかくとして。

レジー「この感じの方がしっくりくるな」

司会者「いずれにせよ、日本のシーンにとっては2007年にとても重要なインフラ整備が行われていたということになりますね」

レジー「うん。で、水面下では先ほどあげたようなサービスインフラの胎動が聞こえてきた2007年というタイミングで、メジャーフィールドでは何が起こっていたのか?という話をしたいんですけど」

司会者「ちなみに2007年はどんなの聴いてたんですか」

レジー「年末に発表した私的名曲ランキングの2007年版でどんなの選んでたかなあと思って見直してみたらこんな感じでした」

1. GOLDEN WEEK/□□□
2. 三日月サンセット/サカナクション
3. SNOWDOME/木村カエラ
4. 瞬間描写/サンゼン
5. チョコレイト・ディスコ/Perfume
6. 指先/GRAPEVINE
7. Summer Groovin'/UNCHAIN
8. 言葉はさんかく こころは四角/くるり
9. 世界が終わる夜に/チャットモンチー
10. シアワセ/aiko

司会者「顔ぶれ的には今とあんまり変わってないような気がしますね。何か印象的なことがあれば」

レジー「この年はくるりの「ワルツを踊れ」絡みの活動ですかねえ。アルバムツアーとパシフィコのオーケストラとやったコンサートに行きましたが感激しました」

司会者「あのライブは素晴らしかったですね」



レジー「で、こういう個人的なやつを見るとあー結構いい曲あったよねって感じでしかないんですが、もうちょっと大きい視点で見ると確かに2007年は意味のある年だったんじゃないかなあというのが今回のざっくりとした結論です。まずはオリコンの年間チャートから話をしたいんですけど」

1.千の風になって 秋川雅史 1,115,499
2.Flavor Of Life 宇多田ヒカル 644,259
3.蕾(つぼみ) コブクロ 441,799
4.Love so sweet 嵐 429,832
5.Keep the faith KAT-TUN 404,339
6.喜びの歌 KAT-TUN 371,628
7.明日晴れるかな 桑田佳祐 359,326
8.旅立ちの唄 Mr.Children 354,851
9.関風ファイティング 関ジャニ∞ 341,007
10.weeeek NEWS 333,856


司会者「「千の風になって」ね」

レジー「まずぱっと見てわかることとして、ミリオンは秋川さんだけ。ポップスのミリオンセラーがないですよね。この傾向は2004年年間1位の平井堅「瞳をとじて」が100万枚を割ってからの流れでもあります」

司会者「05年もなし、06年はKAT-TUNのデビューシングル「REAL FACE」がかろうじて100万枚越え。で、07もなしと。05年から06年をまたいで修二と彰の「青春アミーゴ」が100万枚以上売ってる感じではありますが」

レジー「この「ミリオンがない」流れはAKBが爆発するまで続くわけですが。で、「千の風になって」を除くとこの年最もCDが売れた宇多田ヒカル「Flavor Of Life」が60万枚強。その一方で、配信が700万以上のダウンロードという当時の記録を作っています」

司会者「リリース形態がこれまでの「パッケージ」から解放されていく端緒と言えますね」

レジー「そうですね。そういう動きを踏まえたうえで、今度はジャニーズの動向について見てみたいと思います。2000年以降のシングル年間トップ10に入っているジャニーズ関連の楽曲数を並べてみるとこんな感じです。ちなみにカッコ内は修二と彰みたいな企画ものを除いた楽曲数です。あと元データはMUSICAのゼロ年代総括号に載っていたオリコンチャートとオリコンのサイトの情報です」

2000年 1 (1)
2001年 1 (1)
2002年 0 (0)
2003年 1 (1)
2004年 0 (0)
2005年 3 (1)
2006年 4 (3)
2007年 5 (5)
2008年 5 (5)
2009年 7 (7)
2010年 6 (6)
2011年 3 (3)
2012年 2 (2)


司会者「占有率上昇の兆しは2006年からあったともとれますが、2007年に半分を占めるようになったわけですね」

レジー「「CDそのものを買わなくても音楽を入手できる」という状況になる中で、パッケージが「グッズ」としての意味合いを持つジャニーズの力が相対的に大きくなっていくと。で、同様の理屈でCDを売っているAKB関連の力が強くなるにつれてランクインする曲数が減っていきます」

司会者「この中の内訳で見ると、2007年に初めて嵐がランクインしてますね」

レジー「うん。今の盤石なポジションを築くスタートとなったのがこの年と言えるんじゃないかと思います。こんな感じで「音楽がパッケージメディアから解放され、「音楽を聴くため」以外の動機づけでCDを買う層が目立ち始める」という傾向がはっきり顕在化してきたのが2007年かなと。この辺は柴さんの言っているウェブ関連のサービスの勃興と表裏の関係にあるんじゃないかと思います」

司会者「「AKBなんてCDじゃなくて握手券売ってるだけ(ドヤァ)」みたいな批判がありますけど、別に新しい話でもなくて結局この時の流れの延長線上なんですよね」

レジー「そうそう。その辺の歴史的経緯を踏まえず表面的にAKB叩いたって仕方ないんだよ。で、ここまで述べたような年間チャートに見えてきてる話題以外にも、この年には今のシーンにつながるトピックが2つあるなあと思っていて。Perfumeの話とロックシーンの話です」

司会者「1つ目のPerfumeについては、2007年9月に「ポリリズム」がリリースされてます。ここでブレイクしたわけですが、Perfume好きになったのもこのあたりからですよね」

レジー「なんか名前はちょこちょこ聞いてたけど全然スルーしてて、ACのCMで見てなんだこれはと。そこから過去の曲遡ってどんどんはまりました」

司会者「ミュージシャンの評価とウェブ上のマッシュアップで人気が醸成されてマスの力で大ブレイク、しかも楽曲は本格的ってストーリーは何となく今時っぽいですよね」

レジー「そういう経緯の中で今までアイドルというものに関与のなかった人たちもはまると。これは僕も含めてですが」

司会者「Perfumeを通じてアイドルの洗礼を受けたって人はこのタイミングで音楽聴いてた人たちで結構いますよね」

レジー「うん。そういう人たちが今のアイドルシーンを支えている部分もあると思うんだよね。女性アイドルが相当マイナーな場所に置かれていた時代に市民権を取り戻したのが彼女たちであると。それだけではなくて、たぶん今までも「アイドル」というジャンルが潜在的に持っていた「サブカル」的な要素をわかりやすく呈示した存在でもあります。ロックフェスに出たりとかしてね」

司会者「Pefumeのやり方は今のアイドルに結構意識されてますよね」

レジー「ももクロもある意味構造は一緒だと思うし、楽曲にこだわってる人たちも参考にしてるのは間違いないよね。ただそこをトレースするだけではブレイクできないって話もあって、そこについては以前も書いたので良かったら参考にしてみてください。というわけで、2007年のPerfumeのブレイクというのは今の活況を呈しているアイドルシーンの源流になっているのではないかという話。これが1つ目です」

司会者「なるほど。ではもう1つの動き、ロックシーンに関しては」

レジー「ここに関してはMUSICAのゼロ年代総括号から引用します」



マキシマムザホルモン(『ぶっ生き返す』がオリコン5位)に9ミリ・パラべラム・バレット(『Termination』が10位)、凛として時雨(渋谷AXのワンマン完売)という、ハードでヘヴィメタリックな音像とこの国のポップソングをラジカルに掛け合わせたエキセントリックな音像でもって、2008年以降の邦楽ロックの勢力図を書き換えていくバンド達が台頭した。

司会者「こういう感じのバンドが見えてきたのが2007年なんですね」

レジー「個人的にはこの3つのバンドのどれにも乗れなくてシーンの流れがちょっとわからなくなりました。で、こういう動きの一方でミスチルの「HOME」がオリコン年間1位になっているわけで、新世代の台頭とは関係なく大復活を遂げていると」

司会者「復活って、ミスチルずっと売れてるじゃないですか」

レジー「もちろんそうなんですけど、印象としては「HOME」あたりからミスチルに対する求心力がぐっと増してる気がするんですよね。あのアルバムが大傑作だったってのもあるけど、それ以上にシーン全体の動きが影響している気がしていて。さっき挙げたバンドとか、ロックフェスとか、日本のロックの主流が一気に「スポーティー」な方向に舵が切られていく中で、改めて歌に向き合うっていうスタンスで作った「HOME」というアルバムが広く評価されたんだと思うんですよ。僕この年の日産スタジアムのライブに行ったんだけど、ある意味フェスよりもよっぽど一体感がありました」

司会者「あれだけヒット曲連発すればねえ」

レジー「こういうフレームで見ると、ホルモン9ミリ時雨みたいな流れは「邦ロック」「ロキノン系」的なタコツボ化した流れにつながっていくし、去年ミスチルのベストがあれだけ売れたのも2007年ころから生まれた「いろいろ細分化してく中で結局一番安心できるのがミスチル」、もっと言うと「他がよくわかんないからミスチル」みたいな空気があればこそだと思うんですよ。こんな感じで、ロックシーンにおける「タコツボ化と大御所」っていう流れが顕著に出てきたのが2007年なのではないか、というのが2つ目の話です」

司会者「わかりました。長くなってきたのでそろそろまとめようと思うのですが、ここまであげてきた2007年という時代の動きをまとめるとこんな感じです」

・音楽のパッケージからの解放
・CD市場におけるジャニーズの相対的地位向上
・Perfumeのブレイクによる女性アイドル復権の萌芽
・ロックシーンのタコツボ化とその反動としての大御所回帰


レジー「こうやって見ると、2012年の音楽マーケットの状況を準備したのが2007年だと言えるよね。「グッズとしてのCD」というビジネスを徹底的に追求してもはや誰も追いつけないポジションを確保したAKB、いろんな人を巻き込んだ女性アイドルブーム、特定世代のコードで消費される若手ロックバンドとベスト盤が売れる超大御所」

司会者「2012年のAKB関連+ジャニーズで占められた年間チャートが話題になりましたけど、こうなる準備は実は2007年に完了していたと」

レジー「うん。新時代を告げるサービスが次々に生まれていたのとは別のところで、「日本におけるポップミュージックという概念の壊死」が始まったのが2007年。で、2012年にそれが完遂されたと。冒頭に紹介した柴さんのブログにこんなことが書かれてるんですけど」

あの当時、僕は音楽雑誌の編集者で、眉をひそめて「きっとこの先、音楽に金を払う人間は、どんどんいなくなっていく」なんて書いてた。僕だけじゃない。あの当時に業界にいた人間は、あのころの悲観的なトーンをきっと覚えているはずだ。でも、2007年は、実際は「終わりの始まり」ではなく「始まり」の年だった。

司会者「そうは言っても、実際に表出していたのはやっぱり「終わりの始まり」だったんですね。で、2012年に完全に終わったと」

レジー「少なくとも「従来型のポップミュージック」というものに関してはそうだったんだと思います。そう考えると、2013年からは「既存の秩序が死んだ中で、新しいゲームのルールが生まれるかどうか」というフェーズになりますね。改めて「世の中全体を巻き込んだ」みたいな話があるのか、単純に世代間で分断されてダイナミズムのない文化になるのか、今までとは異なる形で連帯した「シーン」が生まれるのか」

司会者「相当シビアな反面チャンスもある時代なんでしょうね」

レジー「ネガティブになろうと思えばいくらでもなれるけど、今までにないものが生まれる瞬間に立ち得るのかもしれない。ただ、今の時代のそういうものは「わかりやすく提示されるもの」でもないような気がするので、リスナーとしてもアンテナをしっかり立てて新しい動きに反応できればなと思っています」

司会者「わかりました。今回はこのあたりで。次回はどうしますか」

レジー「うーんどうしようかな。いくつか積み残しがあるのでちょっと考えます」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
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