レジーのブログ LDB

「歌は世につれ、世は歌につれ」でもなくなってきた時代に。  ※15/4/23 世の中の状況を鑑みてfc2からこちらに移しました

ご連絡はレジーのポータルの「contact」よりどうぞ。(ブログ外の活動もまとめてあります)

2013年05月

【第2回】あの1023円で何が買えたか? -もはや誰も顧みない90sJ-POPを勝手に供養する-

司会者「先日アップした「あの1023円で何が買えたか? -もはや誰も顧みない90sJ-POPを勝手に供養する-」ですが、予想に反して結構拡散されました」

レジー「意外だったね。スムースエースのときみたいに読み手置いてきぼり記事になると思ってたのに」

司会者「「ミュージックスクエア聴いてたなー」みたいな声もわりとありました」

レジー「ね。以前「文化系トークラジオLife」で「文化的初体験」に関する回があって、自分と同世代として出演してた方がアニメ系の話ばっかりでミュージックスクエア出さないの超不満、って話を去年ブログに書いたんですけど。共感してもらえる方が多くてよかったです。せっかくなので好意的な反響を紹介しようかな。まずは同世代と思しき方々」










司会者「特定層にはたまらないチョイスだったみたいですね」

レジー「続いてこんな感じのご意見」







司会者「こういう反応は嬉しいですね」

レジー「これきっかけでいろいろ聴く範囲を広げてみてください。ちなみに今回一番うれしかった反応がこれ。ブコメであったんですけど」

おしゃれな名盤解放同盟みたいで応援したい。

司会者「おお」

レジー「幻の名盤解放同盟、モットーは「すべての音源は平等にターンテーブル上で再生される権利を持つ」。じゃあ僕が今やってるのは「すべての音源は平等にiTunesライブラリに登録される権利を持つ」って感じですかね。ちょっとこれ今後掲げていこうかな」

司会者「ちなみにこんなのもありましたね」

せっかくなので、CDだけではなくて今も活動しているバンドのライブのレポとかもしてください!

レジー「これはなかなかお金と時間が」

司会者「キリなくなっちゃいますからね」

レジー「誰か協賛してくれないかな」

司会者「さすがに無理じゃないですか」

レジー「皆さんがアマゾンで何か買い物する前に貼ってるリンクを軽く踏んでくれるだけでこの企画が実現できるかもしれないのに」

司会者「乞食発言はやめてください」

レジー「失礼しました。まあなんかいろいろ反響あって良かったです。シリーズっぽく始めたのに無反応だったら悲しいからねえ。というわけで、今回は第2回目です」

司会者「改めて趣旨を説明しておきましょう」

・アマゾンを巡回して、「1円で買える90年代半ば~後半デビューのさして売れなかった人たち」のCDを3作品発見して回収
・費用は1,023円(→(CD1円+送料340円)×3枚)
・その中身について自分の思い出も交えて話をする


レジー「今回の3枚はこちら」

90s22.jpg

司会者「これ知名度はどうなんですかね」

レジー「結構「○○取り上げてほしい!」みたいなツイートも見たんだけど、それ参考にした部分もあります。では早速いきましょう」

cool drive makers『DRIVE HOME』







司会者「まず最初はクールドライブメーカーズです。96年に結成されて、98年にメジャーデビュー。これは99年のアルバムです」

レジー「これは昔持ってて、以前の引っ越しでCD処分したときにユニオンに売って、今回買い戻しました。僕これ結構隠れた名盤だと思うんですよね」

司会者「かなりバラエティに富んでますよね」

レジー「ファンキーな曲とバラードをそれぞれ貼ったんですけど、その他にもいろんなタイプの曲が入ってます」

司会者「曲によってはメジャーデビュー前のPE’Zのメンバーがホーンで参加してたりと何気に豪華です」

レジー「知らなかった。なんか事務所が一緒みたいだね」

司会者「あと今回紹介した『Call My Name』は王様のブランチのタイアップがついてたみたいです」

レジー「他にもミスドのCMソングもやってたりとか、結構お膳立てされてたのに売れなかったなあ。そういや僕高校生の頃この人たちのラジオ聴いてましたよ。スガシカオとかと並んでレギュラー持ってたんですよ」

司会者「J-WAVEの「Across The View」ですね。出演者見ると結構な顔ぶれが並んでます」

レジー「この人らがやってたのは99年夏から翌年春までだから、ちょうど受験勉強で夜机にいることが多かった時期か。だから印象に残ってるのか」

司会者「スタジオでの生ライブ企画とかありましたね」

レジー「うん。MDに録音して結構聴いたなあ。確かその週はトライセラ、ブリグリ、クールドライブメーカーズ、スガシカオと毎日生ライブをやってて。超楽しかった」

司会者「金曜日はMISIAがやってたみたいですが」

レジー「全然聞いたことないんだけどたぶんその日は塾行ってたんだと思う」

司会者「なるほど」

レジー「このアルバム聴くと当時期待されてたのもわかる感じがします。ライブは見たことなかったけど、たぶん演奏もうまかったんじゃないかな。歌も聴きごたえあるし。ファンクとかソウルがベースになってるこういう横ノリの音って日本のシーンだと今でも貴重だよね。僕アルフレッドビーチサンダル初めて聴いたとき、久々にこのバンド思い出したんですよ」



司会者「最近の東京のインディーズシーンとの親和性もあると」

レジー「そういうの聴いてる人も気に入ると思います」

司会者「クールドライブメーカーズは改名をしたのち2005年に活動休止、ボーカルのネモはネモトラボルタ名義で活動を続けています」



レジー「全然追えてなかったんだけど今こんな音なのね。でも個人的にはクールドライブメーカーズ時代の路線の方が好きだなあ」


ZEPPET STORE『CUE』





司会者「続いてはゼペットストアです」

レジー「これは前回記事読んでいただいた方からのリクエストが比較的多かった気がします」

司会者「96年にメジャーデビュー、これは97年のアルバムです」

レジー「X JAPANのhideに見出されたとか先にアメリカでアルバムをリリースしたとか、鳴り物入りで出てきた感じはありましたね。このアルバムは確か学校で友達に借りた記憶があります」

司会者「hideが死んだときに結構テレビに出てましたね」

レジー「確か『LOOP』を歌ってたよね。このアルバムには入ってない曲だけど。なんかすごい印象に残ってる。てかPVにすごい時代を感じるな」



司会者「前回のこの企画で「バンドものにストリングスもホーンもガンガン重ねるのがこの時代の特徴」って話をしましたが、ゼペットに関してはそういう傾向は見られないですね」

レジー「うん。この辺はhideが関わってた部分が関係あるのかもね。あんまり加工せずに真っ向勝負でロックバンドとしてやっていこうっていう方針だったのかもしれない。そういう意味では今の「邦ロック」と呼ばれる人たちと比較的近いし、ちょっと出てくる時代が早かったのかもしれないですね」

司会者「ゼペットは2005年に解散しましたが、震災を機に再結成しています」



レジー「これ全然知らなかったわ。ちゃんと露出したら若い人も結構聴いてくれそうな音だなあと思いました。ライジングにも出るみたいですね」


ROBOTS『GUITAR DE POP』





司会者「3枚目はロボッツです。ジュディマリのギタリスト、TAKUYAのソロとしての最初のアルバムですね」

レジー「僕あんまりちゃんと把握してないんだけど、ジュディマリに入る前からこの名義でやってたんだよね?紹介した『コイビト』って曲がすごい好きでした」

司会者「リリース時期は97年11月です。ジュディマリ絶頂期のころですね。『THE POWER SOURCE』が出てスタジアムツアーもやって、という」

レジー「なんかこういうバンドとして上げ潮のタイミングでソロが出るってのが何とも言えないよね」

司会者「ジュディマリ関連ならとりあえず出しとけみたいな感じだったんですかね」

レジー「でもこれあんま売れなかったよね確か」

司会者「歌番組には結構出てたと思いますがそんなに話題にはならなかったですね」

レジー「ジュディマリの話をしだすとたぶんそれだけでエントリーいくつかやる感じになると思うのであんまりそっち入りたくないんだけど、まあなんかこのアルバムの話をするにはTAKUYAとジュディマリの関係についてある程度は触れざるを得ないなあと思いました。アルバムとしては初めて聴いたんだけど、音の世界観はすごくジュディマリに近いんだよねこれ。確かロボッツってこの後もっとロック色が強くなっていくイメージがあるんだけど」

司会者「黒夢の人時が参加したりしてましたよね」

レジー「うん。でもこのアルバムはタイトル通り「ポップ」とか「カラフル」とかそういう印象が強い。この時期のジュディマリってTAKUYAと恩ちゃんがそれぞれ曲書いてた時期だけど、やっぱり「ジュディマリ的なサウンド」っていうのの根幹にはTAKUYAの感性の影響がでかかったんだなあってこれ聴いて思った。一方で、そういう部分が伝わってないことへのフラストレーションもあったみたいなんですよね。2007年のインタビューでこんなことを言っていて」

あれ(注:この発言の前の「後半のジュディマリ」を指す)こそ俺のサウンドだったけど、世間はそういう風には見なくて、やっぱりジュディマリ=YUKIだったんだろうと思うし。

司会者「いろいろなものを含んだ発言ですね」

レジー「今考えてもジュディマリってなんか常に危ういバランスで動いてたと思うんだけど、それってTAKUYAのバンドに対するスタンスがでかかったんじゃないかなあと」

司会者「一方で、ジュディマリに対しての愛もあったんだなと思う言動もありますよね」

いままで沢山いろんなボーカルの人のプレイを観たり
聴いたり、録音したり、ライブしたりしてきましたが、
一番凄かった人は?と質問されると、ぱっと思いつく名前の中に
元同じバンドやってたYUKIは必ず出てくるくらいなので、
東京ドームくらい、彼女はもう、ソロでも何度もやってるみたいな感覚でした。(笑)

おめでとうとか、女性初とかニュース等で見かけますが、
僕もうれしいと、、ともに、、、
当然じゃねー、、??。
JUDY AND MARY のボーカルだぜ、、って。
思ってます。

TAKUYA オフィシャルブログ 2012年5月7日



—JUDY AND MARYのトリビュート盤が発売されましたね。聴いてみてどうでしたか?

半沢武志君(FreeTEMPO)の「RADIO」が良かったなあ。昔YUKIが北九州のラジオ番組をもってて、毎週通ってたのね。この時期は、JUDY AND MARYがだんだん忙しくなって、一般人から業界人に変わらなきゃならなくて、肉体的にも精神的にも大変だった。この曲は、そんな時に、ラジオから好きな人に気持ちが届いたらいいよね、っておもいで作った。今、北海道でラジオをやっているんですけど、半沢君の「RADIO」を聴いて凄く癒された。アルバムの曲達は、自分の出した子供が、凄くおじいちゃん想いの孫を連れて帰ってきてくれた感じですね(笑)

ototoy 2009年インタビュー


レジー「なんかこう愛憎入り混じった感じだったんだろうね。こういう距離感でジュディマリやってた人がわざわざバンドの絶頂期にソロ出して、その音はすごく「ジュディマリらしい音」っていう構造は結構面白いというか切ないというか何とも言えない気持ちになるなあ。バンドへのささやかな抵抗でもあり、同時に愛情表現でもあるような」

司会者「なるほど」

レジー「後追いでジュディマリ聴いてる人もこれは意外と聴いてなかったりするような気がするんだけど、音もジュディマリに近いし、ジュディマリを理解するうえでは実は重要なアルバムなんじゃないかと思うので今回初めて知った人はぜひ聴いてみてください」

司会者「わかりました。3枚紹介し終わりましたが何かまとめとかありますか」

レジー「んー、そうね、今回は特に共通項もあんまないし、また新しい発見があれば嬉しいですって感じかなあ。あ、そうだ、一点だけ。なんかこの前の記事で森は生きていると失敗しない生き方について書いたら「この人こういうインディーっぽいのも聴くのか。意外。そしてなぜこの2つ?」みたいな反応がありまして」

司会者「それに絡んだまとめもできてましたね」

レジー「で、そういう人からすると、クールドライブメーカーズのところでアルフレッドビーチサンダルに触れたのにも何か思うところがあるのかなあと」

司会者「また唐突だな、的な」

レジー「そう。あらかじめ言っとくと、これについても別に深い意味はなくてたまたま聴いていいなと思ったって以上でも以下でもないので誤解のなきよう。で、それで言うと「今現在クールとされている東京のインディーズシーン」と「90年代J-POPの墓場」を同列にして語ってる人は他にあんまいないと思うんだけど」

司会者「そもそも「この人インディーも聴くのか」って反応自体、メジャーフィールドとの断絶が内面化されているがゆえですよね」

レジー「なんかその辺の断絶はうまくつないでいけたらいいなあと思ってます。この前の記事にも同じようなこと書いたしそんなツイートもしたんだけど、「MステJ-POPとアイドルが好き」「ロキノン系が好き」って人でもほんの少しの好奇心があれば今インディーズで蠢いている人たちにアクセスできるし、逆にいわゆるインディーっぽいものばっかり聴いている人にとっても面白いと感じられる音楽が商業ベースの世界にも絶対あるわけで」

司会者「自分が関与していない場所にある面白いものを知るきっかけを提供できると良いですね」

レジー「そんなことはちょっと意識していきたいなと。今回はそんな感じですかね。この企画はまたタイミング見て3回目をやろうと思います。次回ネタはこれから考えます」

司会者「わかりました。できるだけ早めの更新を期待しています」

素晴らしきかな東京インディーの世界、入口としてのOK?NO!!インタビュー

レジー「森は生きていると失敗しない生き方のライブを三鷹で見てきました」














司会者「どちらもアルバムを制作するとのことですね」

レジー「期待ですな」

司会者「東京のインディーシーンがにわかに盛り上がってるみたいな話はちょこちょこでてきてますね」

レジー「なかなか大きいメディアでは拾われないけどね。以前岡村詩野さんがミュージックマガジンで特集したくらいかな」



司会者「最近やっとceroが普通に取り上げられるようになってきたくらいの感じで、なかなかオーバーグラウンドには出てこないですね」

レジー「情報ソースが完全に「ネット+現場」って感じだから、そこに関与ない人にはなかなか伝わりづらいんだよね。僕もまだ全然キャッチアップできてないし。フリー、もしくは廉価でいろいろ情報とれて楽しいってのがやっとこさわかってきた。森は生きているに関しては最近音源配信と合わせて中心人物である岡田さんのルーツに切り込む面白いインタビューも公開されたので、興味持った人は読んでみてください」

司会者「冒頭に挙げた二つのバンドも含めて、「シティポップ」なんて呼称が幅を利かせつつありますね。以前もちょっと触れましたが

レジー「うん。まあここは丁寧な議論が必要だなあと思ってます。すでに指摘されてる話だと思うけど、「昔シティポップと呼ばれていた音楽のリバイバル」って話と、「ありとあらゆる情報がフラットに並ぶ現代の「都市」ならではの、いろんなジャンルを消化したポップス」って話が混同されてる気がするんだよね。当人たちが括られるのを嫌がってるなんて話もありますが」

司会者「ceroにせよ森は生きているにせよ失敗しない生き方にせよ、後者の文脈で語った方がすっきりしますね」

レジー「その辺はもうちょっと状況分かってきたら深堀したいなと。で、今回は最近そういうインディーシーン見始めた中で知った面白いバンドについてやりたいなと思います」

司会者「わかりました」

レジー「以前も一度紹介しましたが、OK?NO!!というバンドです



司会者「ザ・渋谷系な感じで」

レジー「この曲の入ったアルバム『Party!!!』超聴いてるよ」

司会者「このアルバムのリリースについて岡村詩野さんやtofubeatsさんなど錚々たる面々がコメントを寄せていて、期待の高さがうかがえますね」

レジー「みんな平成生まれらしいんだけど、そういう世代の人たちがこんな音出すの面白いよね。というわけで、こういうポップな音の背景にどういったものが流れているのか、今回OK?NO!!の中心メンバーである御三方、曲を作ってる上野さん、歌詞書いてるカンノさん、ボーカルとアートワーク担当のreddamさんにメールインタビューを行いました」

司会者「パスピエに続いてメールインタビュー企画第2弾ですね」

レジー「過去の時代に対する意識とか音楽への向き合い方とか、なかなか興味深い話ができたのではと思っています。90年代への憧れもありつつクールなスタンスも保ってて面白いなあと。そのあたり念頭に置いてお楽しみください」

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■まずは基本情報として、結成時期とバンド名の由来について教えてください。

カンノ「元々僕と上野でやっていたバンドが解散して、「二人で何かしたいね」ってなったのが、2009年の秋頃だったと思います。それで『Beat Your Cymbal!!』って曲が出来て、女性ボーカル入れたいって話になって、僕や上野の友達の友達にリダムがいて歌ってもらうことになり、ミュージックインのコンピに参加したのが2010年の夏頃です。バンド名は僕が出しました。意味のない名前、記号感のあるネーミングにしたかったのは□□□の影響です」



上野「OK?NO!!というバンド名は歌詞を書いているカンノが付けました。意味のない名前がいいね、という話しをしていてカンノがいくつか候補を持ってきた中で、私が一番気に入ったのでOK?NO!!にしました」



■「大学入学後に突如渋谷系に目覚めた上野がreddamにボーカルを依頼し、現在のOK?NO!!となる。」とのことですが、このあたりをもう少し詳しく聞かせてください。上野さんはなぜ「突如渋谷系に目覚めた」のですか?

上野「きっかけは完全にCymbalsです。曲はもちろんですが、少しシニカルであったり、「かわいくていじわるな感じのバンド。ただしパンク」というコンセプトであったり、なにか一筋縄でいかない姿勢も凄く好きです。OK?NO!!のメンバーでCymbalsのコピーバンドをやったこともあります」



■上野さんは「渋谷系に目覚める」以前はどんな音楽を聴いていましたか?

上野「中学高校時代に日本のロックを凄く聴いていて、そのようなバンドもやっていました。そこからの派生でノイズ/アヴァンギャルドに興味を持ち出して、大学1年~2年の頃は実験・即興音楽のライブ(ノイズ系やいわゆる音響即興と言われた大友良英氏、中村としまる氏、杉本拓氏等の音楽)に行ったり、自分でも演奏したりしていました」


■他のメンバーは、「渋谷系」というものにどういうイメージを持っていましたか?

reddam「わたしは高校生くらいからフリッパーズギターなどが好きだったのですが、当時そういうポップな曲はよりはオルタナティブロックなんかをメインに聴いてたので、まさか自分がそういうバンドのボーカルになるとはという感じでした。ポップでキュートでキラキラしたものは根暗な自分には絶対できないけど素敵だなあ、くらいのイメージでした」

カンノ「おしゃれで知的でかっこよくてスタイリッシュなイメージです。僕はその真反対のような人間なので、今こういうものに関われているのは割と不思議な気持ちです」



■「渋谷系」と言えば90年代のムーブメントなわけですが、その時代に対して何か特別な感情を抱いていたら教えてください。たとえば「憧れ」や「嫉妬」、もしくはちょっとした「軽蔑」「(笑)」などなど。100%ポジティブな感情でもないのかなあとか何となく思っているんですがどうでしょう。

上野「私達は89年~91年生まれなのですが、中学生になる頃には既に渋谷系というムーブメント自体は終わっていました。後追いで聴いたり調べたりする度、凄くお洒落でちょっとバブリーな空気を感じて羨ましいな、と思っていました(笑)。ただ、テレビで芸能人の豪邸を見てもすげーと思うだけで嫉妬しないのと同じで、別の世界の出来事みたいな受け止め方をしている部分もあります」

reddam「80年代までいくと生まれていない時代なので逆にある程度ざっくりしたイメージを持てるのですが、89年生まれで小学校高学年まで90年代に生きていたので、どうも「90年代ってこんな感じ」みたいなある特定のイメージが持てていない気がします。小さい頃に見ていたポンキッキーズにスチャダラパーのBOSEやピエール瀧や小沢健二が出ていたことを思い出すと、自分が鼻垂らして走り回ってたころにはあの曲もあの曲も世に出てたのか、みたいな近いんだか遠いんだかわからない不思議な感覚になります」

カンノ「僕自身は渋谷系をそんなに通っていません。ピチカートとかまだちゃんと聴いたことないくらいなので。その90年代ムーブメントの後継に当たるかどうかは分かりませんが、ノーナリーブスとか□□□のようなおしゃれポップスを高校生の頃よく聴いていました。90年代のというよりは、2000年以降のおしゃれポップスへの憧れは強いかなと思います」



■OK?NO!!の音を聴いて僕が最初に感じたのは「懐かしい!」という気持ちでした。皆さんが目指しているのは「渋谷系」の時代に鳴っていた音の再現ですか?それとも、ああいったギターポップのフォーマットはあくまでも「手段」として捉えているのでしょうか?

上野「私達はリアルタイムで渋谷系ムーブメントを体感することが出来なかったので、恐らく再現をすることは不可能なのだろうと思っています。しかし、逆に言えばギターポップのフォーマットは私には全然古いものとして聴こえないですし、凄くかっこいいと思っています。THE WHOを聴いてロックンロールバンドを始めるのと同じようにCymbalsを聴いてOK?NO!!を始めたので(笑)、あまり渋谷系当時の音とは関係がないかもしれません」


■今回のアルバムタイトルでもあり、曲のタイトルでも何度か出てくる「パーティー」という言葉にはどんな意味がこめられていますか?今の時代にあえて「渋谷系」を名乗っている人たちが「パーティー」という「華やかだけど必ず終わってしまうもの」を大テーマに掲げているのがすごく興味深く感じました。

カンノ「ファースト作った直後、ライブの練習終わりかなんかに、セカンドはパーティーってタイトルにしようという話でキャッキャキャッキャしていただけなので(笑)、そんなに意味はこもっていないかなと思います。「必ず終わってしまうもの」感は多分、『After Party』って曲があるから生まれているものだと思うのですが、あの曲は急に上野が弾き語りで作ってきたものなので、そのテーマは割と偶然に出てきたものだと思います」



上野「パーティというと楽しいイメージが浮かびますが、正に「華やかだけど必ず終わってしまう」という部分に私は興味があります。パーティといっても、イメージしているのはそんなに凄いものではなくて、友達数人と部屋でだらだらして朝が来てじゃあまたねーと帰る、こんな感じのちょっとした非日常です。或いは、仕事帰りに気の置けない友人と飲んで帰る、といったような。パーティが終わる瞬間はいつも悲しい、しかし悲しいからまたパーティがしたくなる。終わらないパーティはきっと退屈です」

reddam「タイトル自体はカンノくんの思いつき(?)で最初はあんまり意味がなかったと思うんですが、いまではよく思いついたなと感謝しきりなところがあります。われわれが普段遊んでいて「朝だー!マジ遊んだー!じゃーねー!」と出来ずになぜかマクドナルドに収容されちゃう感じとか、各々家に帰ってTwitterで戻ってくる日常をめっちゃイヤがってたりするところとか、そういうところから勝手に出てきたのかもと後から思ったりします」



■最近では渋谷系的な意匠は声優やアイドルの曲であったりアニメソングであったりと皆さんのいるインディーのフィールドとは異なる場所で耳にすることが多いですが、そういった動きに関心はありますか?あわせて、こんな人、もしくはこんな作品に曲を提供してみたい!というようなことがあれば教えてください。

上野「とてもあります。単純に沖井礼二さんや北川勝利さんの、渋谷系的・ギターポップ的な新しい作品が聴けること自体に、それが如何なるフィールドであれワクワクしますし、もし私もそのようなことが出来たら、本当に夢みたいな話です!アイドルへの楽曲提供はしてみたいです。凄く。あと、本当に夢のまた夢の話をするなら、私が大好きな女性ボーカルの方々(土岐麻子さんや朝日美穂さんや、渡辺美里さんとか…)と一緒になにかやってみたいです…完全にミーハーですね(笑)」


■今皆さんは社会人とのことですが、仕事を始めてから音楽との関わり方は変わりましたか?また、「音楽一本でやっていきたい!」という野望はありますか?

上野「音楽を聴く時間と曲を作ったりする時間は減ってしまいましたが、基本的にはあまり変わっていないように思います。自分の好きなことで生活が出来たら本当に素晴らしいことだし、出来ることならもちろんそうしたいですが、正社員にはならずバンドで!!とはあまり昔から考えてはいませんでした。自由に出来る時間は減るだろうけれど、その中でやっていくことは絶対に出来るはずだ、とかなり楽観的に考えています。働いていて、それ以外の時間でバンドをやっていて、その上でParty!!!と言っている、ということが重要なのだと思います。また、「音楽で生活しよう」とするより、「生活がある上で音楽をずっと続けていく」ことが大切なのだと思います。音楽を辞めない、というのが一番重要な気がしています。でも、音楽で生活できるなら、もちろんしたいです(笑)」

reddam「OK?NO!!ではやっていませんが自分でも曲を作ったり楽器をやったりするので、それも含め音楽をやっているときはああずっとこうしていられたらなあとは思います」

カンノ「学生の頃より、仕事しながらの方が歌詞作業ははかどっています。メリハリがついているのかもしれません。もし音楽を仕事に出来る機会があれば、それはもう有難い話ではありますが、まずはコツコツ仕事しながら歌詞を書くという苦労をしっかりやっていきたいなと思っています。それが、もし、後のち繋がれば万々歳かなと思います」

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司会者「何か感想などあれば」

レジー「僕もシンバルズ好きです。で、今回思ったのは2つあって。まず、おっさん的な言い方で恐縮なんだけど、なんかすごく「今時」な感じだよね」

司会者「もう少し具体的にお願いします」

レジー「パーティーって言葉の解釈もそうだし、あとは仕事しながら音楽やるスタンスだったり、「非日常」との距離の取り方、というか距離をとらない感じか、いろいろなものが地続きになってつながっている雰囲気がすごく今っぽいなと思いました」

司会者「冒頭に紹介したミュージックマガジンで岡村さんが「平熱の音」みたいなことを言ってましたがそういう感じでしょうか」

レジー「まあそのときはその表現でなんやかんやあったけど、言わんとしてたのは「音楽をいい意味で特別扱いしない」とかそういうことなんじゃないかなと。で、もう1つはカンノさんが「ノーナリーブスとか□□□」って名前を出してたところで。ここはOK?NO!!の話だけじゃなくて、今回取り上げたインディーシーン全体に関する話なんですが。僕は特に□□□好きなんですけど、この辺の人たちって最近のシーンを語る上で結構軽視されがちだなと思ってたところなんですよ」



司会者「なるほど」

レジー「「シティポップ」って呼称の弊害なのかもしれないけど、はっぴいえんどやら山下達郎やらそっちに直結させるタイプの話がやけに多いなあと。それ自体は間違ってないんだろうけど、そういうミュージシャンと最近この界隈で鳴ってる音の間をつないでた人たちって日本にちゃんといると思うんですよ。カラフルなポップスで言えばさっき挙げたような人たちだし、もうちょいシンプルな音で言えばキリンジとかママレイドラグだったり」





司会者「「ゼロ年代初頭から半ばの状況が今のシーンに与えている影響」についての言及が抜け落ちがちなのではないかと」

レジー「はい。たぶん今のインディーシーンについてはこの先いろいろな言説が出てくるだろうけど、僕としてはその辺の時代とのつながりをもうちょっと語ってもいいのかなあと思ってます。やってる人たちは直接の影響は受けてないのかもしれないのけど、大きく見ると似たようなトライをしてた部分もあるような気もしているので。このあたりはもうちょっと整理が必要そうなので、このくらい投げかけるだけで終わりたいなと」

司会者「わかりました。最後に何か言い残したことがあれば」

レジー「んー、そうですね、とりあえず今日紹介したバンドをここで初めて知って、こういう人たちもいるんだ!って興味持った方が一人でもいたら嬉しいです。イメージ的にはこのブログ読んでくださってる方がよく聴いてるゾーンとはちょっと違うところなので、新しい出会いになってたらいいなと思います」

司会者「はい。では今回はこの辺で。次回はどうしましょうか」

レジー「突発ネタがなければ、次は「あの1023円で何が買えたか? -もはや誰も顧みない90sJ-POPを勝手に供養する-」の2回目をやります」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

アイドルと自意識、アイドルの自意識10 - 『アイドルのいる暮らし』を読んで、ひめキュンと9nineについて考えた

レジー「ゴールデンウィークに『アイドルのいる暮らし』を読みました」



司会者「サポティスタを運営している岡田康宏さんの本です」

レジー「岡田さんこの前フォローしていただいたんだけど、僕自身はずっと前からサッカーつながりでフォローしてたのでアイドルの話するのはなんか不思議な感じだった」

司会者「岡田さん的にはサッカーとアイドルはリンクしているものとして捉えているとのことです」







レジー「パフォーマンスをする側と見る側の関係性って部分で重なるところが多いんだろうね。で、この本すごい面白かったです」

司会者「元はタワーレコードのサイトに連載として載っていて、それをまとめたものですね」

レジー「書籍版として追加でタワレコの嶺脇社長のインタビューも載ってます。嶺脇さんはコアなアイドルファンとして有名ですが、こんなことを言っていますね」

BABYMETALとさくら学院が一緒のカテゴリーになる音楽のジャンルって、ないでしょ。
(中略)
アイドルも可愛い女の子が歌って踊っていれば、そこにどんな音楽がはまっても成立するんです。多様な音楽に合わせてかわいい子たちが歌って踊っているのを見るのは新鮮だし、刺激的だし、楽しい。これまでいろいろと音楽を聴いてきたけれど、ここ10年、これほどおもしろいジャンルはなかったと思います。


司会者「長く音楽を聴いてる人たちがアイドルに流れている現象をわかりやすくまとめている発言ですね」

レジー「うん。この本の全体の内容についてはこんな感じです」

本書は地に足の着いた現代のアイドルファンの実態を伝えるルポタージュであり、10人のアイドルファンそれぞれの視点から見たアイドル文化史であり、また様々なスタイルのファンが自身の楽しみ方を披露する、アイドルの楽しみ方の見本市でもあります。

司会者「なるほど」

レジー「なんかいまだに「アイドルヲタ」とか言うとちょっと蔑称だったりするムードもあるわけじゃないですか。特にマスメディアだと「なんか気持ち悪そう!1枚のCD100枚も買うとか変人!全く理解できない!」ってアングルでしか取り上げないから」

司会者「あからさまに悪意のあるケースとかありますよね」

レジー「この本を読むと、そういう人たちの背景にはちゃんとした生活があるってことがよくわかります。地方遠征をするために仕事をどうやって調整しているかとか、ライフステージの移り変わりに伴うアイドルとの距離感の変化とか」

司会者「みなさん仕事もしてるし子どもいたりもするわけで、その中でそれぞれが自分なりのアイドルとの関わり方を見つけてるんですね」

レジー「そういうふうに「アイドルファン」を立体的に捉えてるのがすごく誠実だなと思いました」

司会者「中には実際にアイドルと付き合ってしまったなんて人も登場します」

レジー「あれすごいよね。で、それを受けての発言が深すぎる」

アイドルオタとしてガンガン行きたいと思っていて、誰も到達していないところに一足先にたどり着いたつもりだったんだけど、そこはゴールじゃなかったんだよね。

司会者「もう未知の領域すぎてわからないですね」

レジー「こんな感じの衝撃的な話もあれば、「会社員やりながら趣味を持つってこういうことだよね」みたいに勉強になる部分もあり、ほんと多くの人に読んでほしい本だなあと思いました」

司会者「この本には嶺脇社長含めて10人のアイドルファンが登場しますが、そのうちの1人のガリバーさんはこのブログを読んでいただいているとのこと」

レジー「ありがとうございます。ガリバーさんは今は特にひめキュンフルーツ缶が好きとのことです」

司会者「愛媛のグループですね」

レジー「実際に松山に足を運んで、そこでファンやスタッフの方と交流したり、松山も街自体を好きになっていく様子が語られていて、何かいい話だなあと」

司会者「話の中でガリバーさんはチャットモンチーも好きってのが明かされていますね」

レジー「ね。これはなるほどなあと思いました。この前ウィークエンドシャッフルのアイドルソング特集に出てたベボベ小出さんが「ひめキュンは2000年代の邦楽ロックっぽいかっこよさがある、ちょっとアジカンみたい」なんてことを言ってまして。その話とつながりました」

司会者「小出さんが紹介してたのがこの『iの奇跡』という曲です」



レジー「『ループ&ループ』なんて曲もあるしアジカン好きなスタッフがいるのかな。これも最初のギターの感じとか邦ロック的なものを感じるね」



司会者「意外とこういうロキノン感のある音ってアイドルシーンにないですよね」

レジー「そうね。あんま思いつかないけどどうなんだろ。BiSもPASSPO☆もロック風味ではあるけどちょっと違うよね」

司会者「男性アイドルだとエイトレンジャーの曲とかありましたが」


120725 1番ソングSHOW エイトレンジャー ER (関ジャニ... 投稿者 cocobaco

レジー「なんかあれはよく研究してるなあって感じがした。女性アイドルだとないよねえ。僕の理想として、宮崎あおいがやった『ソラニン』みたいな感じの曲をやるアイドルが出てきてほしいなあと常々思ってるんですが」



司会者「これいつ見てもグッときますね」

レジー「ロックテイストの曲をやってるアイドルはたくさんあるんだけど、なんか背景にあるのが「盛り上がればそれでよし」ってのが多くてどうも退屈だったりするんだよね。『ソラニン』みたいな曲ってのは、歌詞とかアレンジとか含めてもっとリリカルな感じのロックを歌う人らっていないのかなあって意味なんだけど。ひめキュンはもしかしたらそこに近い存在なのかもしれない。前見た時はアッパーなノリが気になってそんなに印象ないんだけど、また機会があればちゃんと見たいな」

司会者「そんなガリバーさんですが、先日なんばHatchで9nineのライブを見たとツイートしてました」




レジー「僕も6日にゼップ東京で見たんですけど、この感想には超共感です」

司会者「初9nineどうでしたか」

レジー「昼夜2回公演で、僕は昼の方に行ったんですけど。ゼップ2回回しとかそんな客はいるのかなって思ったら、一番後ろのブロックは入れてなかったね。前方に女性子ども限定のエリアがあったり、終演後にメンバーのお見送りがあったりいろいろ新しい体験をしました」

司会者「メンバーのお見送りとは」

レジー「いや、文字通りお見送りですよ。終演後にメンバーが会場の出口に並んで帰っていく観客に手を振ってるわけですよ。あれ普通のバンドもやればいいのにね。AKBのライブで影アナをメンバーがやるとかもそうだけど、なんだかんだでアイドルの人たちはライブでお客さんを喜ばせるための工夫をいろいろしてるよね」

司会者「周辺の話は分かりましたが、実際のステージはどうでしたか」

レジー「いやー予想以上に良かった。僕の大好きな『CANDY』もやりましたよ。生で見ると余計に曲のかわいさが際立つ」



司会者「気になったメンバーとかいれば」

レジー「最初はメンバーの名前と顔が全員は一致してないくらいの状況だったんですけど、見てるうちにひろろにくぎ付けになりました」

司会者「村田寛奈ちゃん、通称ひろろ」

レジー「踊りが一番良かった気がする。すごい目を引いた。ひじの上げ方がかっこいいね。で、ガリバーさんのツイートにもあったけど、この人たちは余計な演出とかなしでしっかり踊ってしっかり歌うってことを忠実にやってるわけですよ。ものすごく真っ当なステージをやってて感心しました。それと同時に、「あ、こういう感じの人たちなのね」とちょっと意外にも思いました」

司会者「世の中的にもあんまそういう見られ方してないですよね。そもそもまだ認知度が低いってこともあるのかもしれませんが」

レジー「川島海荷とかあーちゃんの妹とか、話題を作れるメンバーがいたりするのにどうにも地味だよね。あとは「川島海荷が女優業の片手間でやってるグループ」みたいな伝わり方してる部分もあるかもしれない。ステージ見たらそんな誤解吹っ飛ぶよほんとに」

司会者「世間的なフォーカスが定まってないから、有名なメンバーがいたとしても広まっていかない部分があるのかもしれませんね」

レジー「うん。この人たちはSPEED~Perfumeの系譜で語った方がすっきりするんだよねたぶん。しっかりしたダンストラックでちゃんと踊る人たち」

司会者「なるほど」

レジー「なんか最近「アイドル戦国時代」を語る文脈が「おニャン子→モー娘。→AKB」っていう「舞台裏の見せ方がどんどんガチのドキュメンタリーになっていく」という話で固定化されつつある感じがするんだけど、この間にはそれぞれSPEEDとPerfumeがいて、「女の子がニコニコしてればパフォーマンスしょぼくてもOK」っていうイデオロギーをぶっ潰してるんですよね。そういうスキル主義的な部分を受け継いでるのが9nineだったり女子流だったりするわけですよ」

司会者「確かに女子流も同系統ですね」

レジー「僕初めて女子流を生で見た時「うわ、SPEEDみたい!」って思った記憶があるんだけど、9nineにも同じにおいを感じたな。どっちもパフォーマンスしっかりしてるし、曲だってちゃんとした人たちが作ってる一級品のものだし」



司会者「そう考えると、女子流も9nineもセールス的な部分と実力にかなりギャップがあるんですかね」

レジー「ほんとそうなんですよね。で、このまままとめに入っていきたいんですけど。ちょっと前のエントリーでアイドルとストーリーみたいな話をしたんですけど、その土俵での戦いで言うと9nineも女子流もももクロとかでんぱ組には惨敗してるわけですよ」

司会者「ももクロやでんぱ組が「いろんな人が乗れる物語」をある種あざとく提示して支持を集めていっている一方で、9nineや女子流はそのあたりの仕組みが弱いと」

レジー「僕としては好きなのはどっちかと問われたら完全に9nineや女子流の方なんですよね。炎上マーケティングみたいなことしないのも品があっていいし、やってる音楽も「盛り上げ上等」みたいな話じゃなくてちゃんと思想が感じられます。でもそれだと多くの人が振り向いてくれないっていう辛い現状があるわけで」

司会者「曲がいいだけでは売れないって話はトマパイが身を持って立証した形になってますからねえ」

レジー「それはそうなんですが、9nineや女子流は曲の良さに身体性も精神性も伴ってるわけじゃないですか。トマパイの解散ライブDVD見たんだけど、確かにあれひどいよ。踊りも下手だし覇気もないし、曲が最高だってあれじゃ続かんわなと思って悲しい気持ちになったんだけど」



司会者「そこまで言いますか」

レジー「チケットとれなかった逆恨みも入ってるけど、わりと本音です。で、トマパイみたいな歪な構造じゃなくて、歌も踊りも真っ当に、というか結構なハイクオリティでやってる人たちが見向きもされない、話題作ってがちゃがちゃやればみんな興味を持つ、って状況はあんまり健全じゃないよなあと思ってしまうのが正直なところですね。フェスの話でもよく出てくる「音楽がないがしろにされている状況」ってのがアイドルシーンにおいても顕在化しているってのは否めないよねと」

司会者「うーん」

レジー「まあでもこれってシビアに見ると時代の流れってことなのかもしれない。音楽はあくまでも「アイドルというコミュニケーションコンテンツ」の添え物であると。僕にできるのは、こういう流れに対して気に入らねーなってチクチクやってくことくらいなので。とりあえず皆さん9nineのアルバム聴いてみてくださいね。tofubeatsの曲も入ってるし面白いですよ」



司会者「わかりました。では今回はこの辺にしておきましょう。次回はどうしますか」

レジー「そうですね、ちょっといくつかネタはあるんですが。この前やった90s企画も仕込んでるところなので、タイミングが合えば」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

ロックインジャパンについての雑記8 -ひたちなかをナナメに楽しむ基礎知識と今年の展望

司会者「ロックインジャパンの出演アーティストが発表になりました

レジー「今年も3日間行きますよ」

司会者「そうなんですか。常日頃からディスってるのに」

レジー「なんだかんだで好きなフェスですよ。あとはここまで来ると「行かない」っていう意思決定をすることの方が難しかったりする」

司会者「今年行けば初回からの皆勤記録をまた更新しますね」

レジー「うん。「フジ行かないの?」とか「ライジング来ないの?」とか言われるんだが、毎年ひたちなかで資金が尽きるパターンを繰り返している」

司会者「今年に入って初めて弊ブログを読まれた方はご存じないかと思いますが、このブログで最初に火がついた記事はロックインジャパンネタだったんですよね」

レジー「柴さんと鹿野さんの力を借りてね。で、まだ一部だけど出る人たちも発表されたので、ここが今年の見どころではとか単純にこれ見たいなーこれ出ないかなーとかそういう話をしようと思うんですが、これまでロックインジャパンに関してはいろいろ書いてきているのでまずはその紹介を改めてさせていただこうかなと」

司会者「わかりました」

レジー「「ロックインジャパンについての雑記」ってタイトルで7回書いてます。結構あるな。これを読めばあなたもロックインジャパン通ということで」

司会者「1~3が最初にバズった記事ですね。過去の思い出を初回から振り返りながら、「夏フェスブーム」みたいなものを経てロックインジャパンが「リア充の祭典」になっていく様子、そしてそれをロッキングオンがある種追認していく様子をまとめたシリーズです」

ロックインジャパンについての雑記1 -RIJF今昔物語
ロックインジャパンについての雑記2 -RIJFのRはリア充のR
ロックインジャパンについての雑記3 -フェスと雑誌の主従関係

レジー「「RIJFのRはリア充のR」って流行らないかな。3年くらい前から言ってるんだけど。で、これが反響あったので、行ってみたらどうだったかってのを書きました。ここまでの記事で書いてた「音楽が主役でなくなっていく様」みたいな話をDJブースでの出来事を引き合いに出しながらまとめています」

ロックインジャパンについての雑記4 -で、今年はどーだったの?という話

司会者「大谷さん初登場ですね」

レジー「この時には自分のブログに対して大谷さんからレスポンスをいただけるようになるとは思ってなかった。で、そろそろこのフェスの話やめようと思ってたんだよね」

司会者「粘着的なアンチみたいな人がいましたよね」

レジー「うん。このときは「反応が大きくなると賛否どっちも大きくなる」ってのを理解できてなかったからいろいろめんどくせーなと。そう思ってたんだけど、いいタイミングでミュージシャン側からこの話題に関するネタが出てきたので、それを取り上げたのが次の記事」

ロックインジャパンについての雑記5 -ポリのRIJ論

司会者「この頃は今より記事が短い」

レジー「特にこれはインタビュー引用が結構あってこのボリュームだから、ほんとにさくっと書いたのがわかる。で、しばらくしてフェス増刊号が出てWOWOWで放送がありまして。ここでの伝え方に関していろいろ気になることがあったので、そこにフォーカスして書いたのがこの2つの記事です」

ロックインジャパンについての雑記6 -JAPANはJAPANをどう伝えるか
ロックインジャパンについての雑記7 -「踊ってはいけない国、日本」のフェス

司会者「過去の増刊号も引き合いに出しながら、昔はもっと赤裸々に伝えてたんだけど・・・って話をしました」

レジー「改めてざっと読んだけど結構面白いよね」

司会者「まさかの自画自賛」

レジー「まあこのフェスについてここまでがっつりやってるのはこのブログのユニークネスと言っていいと思うので、最近読み始めてくださった方もぜひ遡っていただきたいなと。この辺のネタって、音楽とコミュニケーションの話とか、取り巻くメディア環境の話とか、僕のブログ全般の通奏低音がわかりやすく表出してるんですよ」

司会者「ちょうど先日3回にわたって取り上げた円堂都司昭さんの『ソーシャル化する音楽』のテーマとも重なってきますね」

レジー「そうね。あの本でもフェスとリア充みたいな話してるし。そういやこの前円堂さんのインタビュー読んでたらびっくりする箇所がありまして」

──時代の変化に伴走する形で、ゼロ年代以降の音楽論・音楽批評というものも変容していると思うのですが、最近の潮流について、注目している論者などがいらしたら教えてください。

 円堂氏■ロックも生れて50年以上経ち、回顧する対象になりましたよね。大和田俊之さんの『アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』のような優れた歴史研究本も出ています。各論でいえば、ストリート・カルチャーや社会運動と結び付くような部分での音楽について磯部涼さんが追っている。ソーシャル化以降の音楽に関しては、井手口彰典さんが音楽行為のネットワーク化や同人音楽について書いている。いわゆるポップスに関しては柴那典さんが最近、積極的に発言しているし、レジーさんのブログも注目です。それこそ『ソーシャル化する音楽』は、彼らが書いても不思議ではないテーマでしょう。ひとまず長い歴史的スパンに関しては僕がまとめましたけど、各論の部分、もっと現代寄りで細密な議論を、若い書き手に期待したいです。というか、「書いてくれ!」というメッセージだったりもするんです(笑)。

司会者「おお」

レジー「これ会社で弁当食べながら読んでてすごいびっくりした」

司会者「大和田さん、磯部さん、井手口さん、柴さんって、この並びに入るのはすごいですね」

レジー「恐縮であります。普通に本読んでる人たちだから」

   

司会者「円堂さんには先日初めてご挨拶させていただきました」

レジー「お会いしたときにこの件のお礼言おうと思って伝え忘れちゃったんだよな。この場を借りて、改めてありがとうございました。前置きはこのくらいにして、ぼちぼち今回の発表内容についていきたいなと」

司会者「とりあえず62組が発表になりました」

レジー「まあなんかぱっと見変わりばえしないよね」

司会者「ナタリーのツイートが「サカナ、HIATUS、民生、きゃりー、モンパチ」って来ましたからね」

レジー「いつも通りかと思って見てたらまさかの安全地帯!こりゃすごい」

司会者「聴いてるんですか」

レジー「いや、過去の有名な曲しか知らないけど、一昨年のミュージックマガジン年間ベストのJ-POP/歌謡曲部門に入っててちょっと気になってはいました。あとはFNS歌謡祭で見てこの人ら、というか玉置浩二だけどマジすごいなと」

司会者「FNS歌謡祭の動画は軒並み削除されてるっぽいです」

レジー「僕らの音楽のやつがあった」



司会者「これがひたちなかにどう響くんでしょうか」

レジー「全く想像できない。たぶんグラスでガラガラのパターンだろうね」

司会者「切ない」

レジー「まあでもこれは絶対見た方がいいな。玉置浩二なんて日本のポップス史に残るシンガーなわけで、こういう機会に見て絶対損はない。去年のプリプリもそうだったけど、やっぱり一時代を築いてた人たちのステージってほんとに格が違うわけですよ。というわけで今のところは安全地帯が最優先だな。あと何気に気になるのが山崎まさよしね」

司会者「夏の出演は結構久々じゃないですか」

レジー「下手したら01年以来?あのときグラスでやったのすごかったよ。最強の3ピースって感じだった。今年はレイクだろうなあ。グラスでやってほしいんだけど」

司会者「あとは坂本真綾が出るってのも一部で話題になってます」

レジー「ね。いつもいろんなところで話には出るんだけど不勉強で全然知らないんだよね。ちょっとこれを機に過去作聴いてみるか。ちらっと動画見たらいい感じだったし。好きな人多そうなので、ぜひお勧め教えてください」



司会者「フェスきっかけで新しいもの聴くのも醍醐味ですね」

レジー「そうね。初物は意識して見たいな。とは言っても、今のところ超見たい初物ってないね。まあクリープハイプくらいかなちょっと気になるのは。あの新しい曲結構好きなんだけど」



司会者「クリープハイプといえば直近でファンの諸々が話題になってましたね。過去のロックインジャパン関連記事でも参加者のリテラシーみたいな話をしていますが、その辺について今年はどうでしょうね」

レジー「傾向としては変わらんだろうね。去年「SNSに投稿するネタとしてのフェス」って話を書いたけど、その状況は進行してるんじゃないかな。もうこのフェスの特質としての「リア充感」は覚悟しないといけない。僕にとってはそういう空気の少ないシーサイドステージでのんびり見るのが至福ですね。ステージ割発表されてないからどうなるかわからんけど」

司会者「あの辺のエリアは最高ですよね」

レジー「うん。大橋トリオやらないかなシーサイドで」

司会者「キャパ的に無理がある気が」

レジー「まあそうなんだけどね、すごい合うと思うんだよな。以前福岡のサンセットライブに行ったとき、かなり小さいステージで大橋トリオ見たんですよね」

司会者「2010年の話なのでちょっと状況が違いますね」

レジー「普通にフォレストとかなんだろうけど淡い期待をしています(注:このあたりのくだりについてラストに追記あり)。で、お客さんの話に戻るとちょっと不安なのは金曜日だなー、こういうこと言うと不快に思う人いるだろうけどほんとホルモンファンにいい思い出ないんだよ。きゃりーも出るしこの日は結構カオスになりそうだな。とは言うものの、まだまだ途中経過って感じだよねこの発表数だと。だから曜日ごとの雰囲気とかはまだ全然わからないね」

司会者「去年と同じステージ数だと1日に40くらいは出るわけで、まだ各日半分ちょっとですね。この先のブッキングで期待することとかあれば」

レジー「うーん、まあ結局無難なところに落ち着いてくるのがこのフェスなわけで。去年のプリプリ的な位置づけが安全地帯だとすると、あとは順当な感じでいくんだろうなあと。アイドル関連もなんだかんだでPerfumeだけだろうし」

司会者「直近でももクロがCUTに出てましたけどその辺はどうですか」

レジー「いや、たぶんそれはないと思うんだよな。これまでの経緯でいくとロックインジャパンにはももクロは出ないだろうっていう強い確信があるんだけど、最近何でもありだからわからんね(注:この辺についてもラストに追記あり)。で、目玉的なアクトで気になってるのはLUNA SEAね。なんかフェス出たいって言ってるって聞いたんだけど」

司会者「すでにJとINORANは出演が決まってますが」

レジー「ねえ。これがどういう意味なのかわからんけど、ここに関しては期待したいです。あのバンドはリアルタイムで知ってるけど見たことがないので。あと、同じく「メンバーが別々に出演してる」って話でいうと地球三兄弟が見たいです」



司会者「民生と真心はそれぞれ出演しますね。この人たちはフットワーク軽いしふらっとやってくれそうですが」

レジー「アルバムがなかなか良かったんだよね。何か仮に見たとしても「ん?前からこんなバンドあったよね?」みたいな感じで感動しない可能性もあるけど、今見たいグループの一つ。あとはお約束ですが、パスピエが出てくれると嬉しい」

司会者「アラバキでも結構良かったそうで」

レジー「成田ハネダさんは去年も普通に観客としてひたちなかに来てたみたいです」

司会者「『ONOMIMONO』リリース後なのにね」

レジー「まあ今年出演してもウィングテントだろうからあんま面白くないかもしれないけど、個人的にはパスピエをひたちなかで見れたら感無量ですね」

司会者「アルバムも出るしその勢いでフェスにもいろいろ出るかもしれないですね。では長くなってきたのでぼちぼちまとめていただけると」

レジー「そうですね、まあこれから徐々にメンツが出そろってくると思いますが、誰が出ても何だかんだで毎年楽しめているので気楽に発表を待ちたいと思います。あとは過去記事でもいろいろ書いてるけど、音楽がないがしろにされてる瞬間にはなるべく出会いたくないですね」

司会者「あー」

レジー「グラスステージで次のアクトを前方で待ちながら後ろ向いてスマホいじってる客とか、DJブースで知らない曲になると音楽関係なく騒ぎ出す奴とか。間違いなくいると思うんだけど、少しでもそういう人が減ってたらいいなあと思います。うーん、でも下手すりゃ増えてるかな。どうなんだろうな」

司会者「その辺は悩んでも仕方ないですね」

レジー「そうね。とりあえず8月までに坂本真綾を聴いてみる。それを宣言したところで今回は終わりたいと思います」

司会者「わかりました。次回はどうしますか」

レジー「そうですねえ。この前9nineのライブ行ったり、『アイドルのいる暮らし』読んだり、ちょっとアイドルネタがたまってきているのでその辺書けるといいなあ。ちょっと考えます」



司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」


<追記>

司会者「今年はシーサイドステージないらしいですね」

レジー「そうみたいね。指摘を受けてサイト確認したら載ってた。これでこのフェスの楽しみ一つ減ったわ・・・」

司会者「一番いいステージだったのに」

レジー「ね。ロッキングオンの「リア充空間追認疑惑」がますます強まるな」

司会者「代わりにパークステージが復活します」

レジー「それもいいんだけどちょっとねえ。この辺は次の発表があるときにでもまた書こうかな」

司会者「あとももクロは日産スタジアムが8月4日だからスケジュール上ないのではという指摘が」

レジー「なるほど。ただあの人たちやることめちゃくちゃだからわからんよね。まあいずれにせよももクロはこのフェスには出ないと思いますが」

「巨大なアーカイブ」に埋もれた90sJ-POPを勝手に再評価する新企画

司会者「先日のtofubeats『lost decade』についての記事ですが、ご本人にも読んでいただけたようです」







レジー「嬉しい!」

司会者「『エイリアンズ』から影響を受けてるんですね」

レジー「面白いよね」

司会者「『エイリアンズ』と『水星』の間に約10年間あります」

レジー「この間にも「拡張現実」的な世界観を歌ってる曲があるんだろうなあ。見つけたら紹介したいと思います。で、最近『水星』のこのカバー話題になってますね」



司会者「IKKUBARUというインドネシアのバンドだそうです。マルチネでフリー音源が落とせます

レジー「かっこいい。てかインドネシアのシーンってどうなってるんだろ。ファンコットしか知らないからこんな音出てくるとびっくりするわ。あとこれはちょっと前のですが最近知ったやつ」



司会者「OK?NO!!というユニットで、「遅れてきた渋谷系」なんてコピーがついてますね。最近2作目のアルバムが出ました

レジー「この人たちすごいツボです。ほんとこういう音には抗えないわ」

司会者「なんでこういう音になってるのかは気になるところですね」

レジー「うん。その辺また改めてやりたいなと思ってます。とりあえず直近で出た『Party!!!』ってアルバムすごいいいよ」

司会者「わかりました。で、今回はどうしましょうか」

レジー「はい。前回の記事で「ブックオフやツタヤが巨大なアーカイブとして機能している」って話をしたじゃないですか」

司会者「いろんな時代・ジャンルの音楽がフラットに並んでいてそこと接続することで新しいものが生まれてくる、tofubeatsやの子がそうだったように、という話でした」

レジー「で、これってamazonにも同じことが言えると思うんですよ」

司会者「確かに何でも買えますからね。各店舗の在庫に左右されるブックオフやツタヤよりもある意味では巨大なアーカイブですね」

レジー「そう思います。で、まさにそんな話を先日ツイッター上でしてたところだったんですよ。きっかけはこのツイートです」




司会者「確かに今1円でいろいろ買えますよね」

レジー「で、次のこのツイートで僕のテンションはマックスになりました」




司会者「この名前の羅列でどのくらいの方に伝わるんでしょうか。90年代半ばから後半に活動していた日本のバンドですね。CDバカ売れの時代でしたが、大ヒット!というような曲には恵まれなかった人たちでもあります」

レジー「試しに90s好きの若いフォロワーさんに一部のバンドについて聞いてみたんだが知らないとのことだった」

司会者「おそらくリアルタイムでその時代を通過してる人じゃないとピンとこないんでしょうね」

レジー「きっとそうなんだろうなあ。で、この流れの中でこんなことになったんですよ」







司会者「ほう」

レジー「というわけで、新企画をスタートさせたいと思います。タイトルはこちら」


あの1023円で何が買えたか?
-もはや誰も顧みない90sJ-POPを勝手に供養する-



司会者「1023円、つまり341円×3枚ということですね。1円+送料340円」

レジー「はい。アマゾンを巡回して、「1円で買える90年代半ば~後半デビューのさして売れなかった人たち」のCDを3作品発見して回収します。で、その中身について自分の思い出も交えて話をすると」

司会者「今回がその1回目ということですか(アクセスにつながらなそうな企画だな)」

レジー「僕なんだかんだ言ってこの時代にこのくらいの売れ方してたバンドって大好きなんですよね。ある意味一番の得意分野と言ってもいいかもしれない」

司会者「まあ確かに、音楽聴き始めた原体験と結びついてる時期ですからね」

レジー「そうそう。友達みんなでNHK-FMのミュージックスクエア聴いてたわけですよ。で、さっきあげたようなバンドの曲もよくかかってました。だから僕と同世代で日本の音楽がっつり聴いてた人たちは、実はこの辺わりと知ってるはずなんですよね。でも当たり前だけど、世間的に売れてたわけじゃないから今更名前を出すようなきっかけもない」

司会者「MステやカウントダウンTVの昔のチャートに出てくるような売れ方はしてないですからね」

レジー「うん。巨大なアーカイブが存在する!とか言ったって、この辺の人たちが再評価されるなんてこともはや絶対ないじゃないですか」

司会者「絶対かはわかりませんが、可能性は低いと思います」

レジー「ね。で、誰も再評価しないなら僕がやりますわって話ですよ」

司会者「はあ」

レジー「以前「ポストミスチル」に関する記事でも書きましたけど、この90年代半ばから後半にかけてって、ミスチルスピッツがドーンと売れた中で「じゃあちゃんとしたメロディのあるバンドで2匹目3匹目のどじょうを狙いましょう」みたいな動きがすごく活発だったころなんですよね。90年代って「小室系や渋谷系が沈んでいくところに98年組が一気に時代を塗り替えた」的な歴史観で語られがちだと思うんですが、ある種その狭間の時期に真っ当に「いい歌」をやろうとトライしてた人たちがいたという証を残しておきたいなと」

司会者「まあ確かに、語られていない歴史を紐解くことでいろいろ面白い発見があるかもしれませんね」

レジー「うん。それもそうだし、普通にいい曲多いんだよ実は。その辺も含めて紹介していければと思ってます。というわけで、記念すべき1回目に取り上げる3枚はこちらです」

90s1.jpg

司会者「あー、このアルバムね!とはならないんでしょうね」

レジー「まあそれは仕方ないわな。1つずつやっていきます」

After me 『After me』





司会者「最初のバンドはアフターミーです。99年1月に『明日の向こう』でトライアドからメジャーデビュー。このアルバムの同じタイミングでリリースされています。その後ちょこちょこシングルを出すも、02年7月に活動休止を発表と」

レジー「バンドのオフィシャルサイトファンサイトを参照したんだけど、すっかり更新が止まっちゃってるのが切ない。てかwikipediaにもないってどういうことよ」

司会者「このバンドは「ポストスピッツ」なんて呼ばれてましたね。この『明日の向こう』はラジオ21局でパワープレイを獲得したとのことです」

レジー「この曲はよく聴いたなあ。イントロの「ジャカジャーン!」を聴いた瞬間にいろいろ思い出しました」

司会者「いい曲ですよね」

レジー「ちょっとストリングスの音でかすぎるけどね」

司会者「確かに」

レジー「この頃ってお金もそんななかったし近所のレンタル屋も品揃えしょぼかったから、1曲知っててもアルバムは聴いたことないってケースが多いんですよ。この人たちもそのパターンで今回初めてアルバムを聴いたんですけど、今では考えられないくらいバンド以外の音が入ってるね。ここホーンいらなくない?みたいな。で、アルバムトータルとしては、『明日の向こう』とそれ以外の曲にだいぶクオリティの差がある印象」

司会者「そういうアルバム当時よくあった記憶が」

レジー「ギターがノイジーに鳴ってる曲だったりホーンと鍵盤がフィーチャーされてる曲だったりいろいろやってるんだけど、「普通の歌」をやるにはメロディとボーカルの力が圧倒的に弱い。「ポストスピッツ」なんて言われてて『明日の向こう』はその名に恥じない曲だと思ってるんですが、アルバムを通して聴くとスピッツおよび草野マサムネのすごさが逆説的に際立つ感じになってるなあとも思いました。こんな感じで、では次のアルバムに行ってみましょう」

rough laugh 『われ唄う故にわれ在り』







司会者「この人たちはwikiにページがありますね。メジャーデビューは99年1月で、このアルバムは同年の10月に出たファーストアルバムです。01年4月には活動休止か。また実働が短いな」

レジー「僕がよく聴いてたのは『sometime somewhere』ですね。これもラジオで出会ったパターン」

司会者「改めてラジオが音楽との接点になってたんだなあと実感しますね」

レジー「うん。MDに録音して大事に聴いてましたよ。『誰がために鐘は鳴る』はフジテレビのドラマ主題歌にもなったけどどうにも売れなかったな」

司会者「ファーストアルバムに関しては全ての曲をボーカルの西沢サトシさんが書いています」

レジー「この人たぶん天才系なんだろうね。僕『sometime somewhere』の印象が強かったからアルバムもそういう素朴な感じの曲が多いのかと思ったら」

司会者「心地よく裏切られましたね」

レジー「ビッグバンド風の曲からジャズ調の小品まであり。すごいバラエティ。歌も表現力があるし、今でも十分聴けるんじゃないかなこれ。勝手な想像だけどスキマスイッチとかってこういうことやりたいんじゃないのかなとか思った」

司会者「西沢さんはその後ソロでも活動し、今は活動休止されてるとのこと

レジー「ソロの音源もあったけどそっちもなかなかいいよ。丁寧なポップス。こういうの聴くと、ただ才能があるだけでもだめなんだなって思うね。厳しい世界だ。今みたいに「メジャーデビュー+マスタイアップ」以外にも世の中にでていくルートがあったらもっと評価されたかもしれないなあ」

CURIO 『Sweet&Bitter』







司会者「今回の3つではこのバンドが一番有名ですかね。97年にメジャーデビュー、その後ボーカルの逮捕やらメンバーの脱退やらで2003年に解散と。『るろうに剣心』の主題歌をやったりMステに出たりと比較的表舞台で活動していました。このアルバムは98年7月のリリースです」

レジー「よくカラオケで歌ってたなあ。そういや高校の軽音楽部でボーカルやってた時この人に声が似てるってよく言われてたの思い出した」

司会者「へえ」

レジー「僕にとっては『粉雪』っていうとレミオロメンじゃなくてこっちなんだよね。きっと共感してくれる人がいるはず」

司会者「佐久間正英がプロデュースしてたり結構力の入ってたバンドなんですよね」

レジー「そうね。メロディもすごいキャッチーだし。チャートもそこそこのところまではいったんだよね。アルバムでは時代を意識してか、ヘビーロック風味やエアジャム風味の曲にトライしてるのが何とも言えない。で、今回気になったのがこの歌詞の表記の仕方なんですけど」

curio歌詞

司会者「コードと一緒に載ってますね。演奏してほしいってことだったのかな」

レジー「そうかもね。でもそのわりに、このアルバムも先に紹介した2枚と一緒でストリングスもホーンもガンガン入ってるわけで、学生バンドでの完コピは難しいわな。鍵盤でカバーしても絶対しょぼくなるだろうし。で、このまままとめに入りたいんですけど」

司会者「はい」

レジー「今回3枚聴いて思ったのは、なんでギターバンドの音にこんなに弦や管楽器いれるの?っていうところで。rough laughは音楽的に必然性があるのも多かったけど、After me とCURIOはそこまでやらなくても・・・ってのが結構ありました。バンプアジカン以降の今のシーンではちょっと考えられない」

司会者「派手で流麗な方が売れる、みたいな信仰もあったんでしょうね」

レジー「うん。で、以前も紹介した『ロックとメディア社会』の一節を改めて引用したいんですけど」



ミスター・チルドレンの歴史的な特徴は、プロデューサーの小林武史によって徹底的に管理されたバンド・サウンドであるということだ。
(中略)
小林武史によるプロデュースの成功は、サウンドを歌へと徹底的に集中させ、桜井和寿の複雑な歌詞がしっかりと聴き取れるようにしながらも、楽器それぞれの音色をしっかりと配置したこと。そしてそのアンサンブルがすっきりと整理され、空間のある、開放感のあるサウンドに仕上げたことである。


司会者「「ミスチルの夢よもう一度」の人たちは、こういう考え方でバンドの音にいろんなものを重ねていったんですかね」

レジー「前も書いた通りそもそもこの記述について全面的には承服しかねる部分もあるんだけど、こういう「バンドの音をコントロールして耳触りの良い歌にすることが売れる早道!」みたいなムードはあったんだろうね。で、さらに言うと、3枚ともそのストリングスやホーンを演奏するミュージシャンがしっかりアサインされてるんですよね。同期ではなく」

司会者「バブリーですね」

レジー「この話に関連して、kenzeeさんがaiko『ボーイフレンド』でバンジョーの音が鳴っていることについて書いている文を引用して終わりたいと思います」

なにしろボカロ以降、一人で完結するのが普通という時代になったのだから。コンガやバンジョーのプレイヤーにちゃんとしたギャラが払えるのは音楽産業が回っていたからである。今、このようなセッションは可能だろうか。HMV破産のニュースを聞いた今となっては音楽バブル時代の貴重な記録音源かもしれない。

司会者「うーん」

レジー「というわけで、今回自分が好きだったグループのCDを無作為に3枚選んだんだけど、期せずして90年代後半の音楽業界華やかなりし頃のドキュメントにもなったんじゃないかと思います。「売れそうで売れなかったもの」って、時代性がダイレクトに反映されてるんだね。まだ無名のミュージシャンにがっつり投資して、「一発」を狙って聴きやすい歌を作って、当たらないといつの間にかフェードアウト。こういうのを見ると、時として美化されがちな「音楽シーンにおける90sという時代」は本当に素晴らしかったのか、って気になりますわな」

司会者「まあでも音楽そのものに罪はないですよ」

レジー「それは確かにね。今回懐かしい気持ちになっただけじゃなくていろいろ発見もあったし。ちょっとrough laughは関連音源あたってみようと思います」

司会者「わかりました。では今回はこの辺で。次回はどうしますか」

レジー「この企画はまたそのうちやりたいと思います。次回は連休いくつかライブ行くからそれについてやるかなあ。ちょっと考えます」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
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