レジーのブログ LDB

「歌は世につれ、世は歌につれ」でもなくなってきた時代に。  ※15/4/23 世の中の状況を鑑みてfc2からこちらに移しました

ご連絡はレジーのポータルの「contact」よりどうぞ。(ブログ外の活動もまとめてあります)

2014年04月

新しいブログを立ち上げる話

司会者「先日レジーのポータルというサイトを立ち上げましたね」

レジー「はい。ちょっと窓口的なものがあった方がいいかなと思って。おすすめの曲やいろんな人によるプレイリストを公開したりしてるのでたまにアクセスしてもらえると嬉しいです」

司会者「あとは最近noteのアカウントもとりましたが」

レジー「あれねえ。使ってみようと思ったらなんか使いづらいんだよね。やろうと思ったことがあったんだけどできなかった」

司会者「有料で記事公開とか面白い仕組みなのにね」

レジー「そうなんですよ、そこは興味あったんだけどどうも使用感がしっくりこなくて使うのやめました。でね、せっかくnoteでやるように考えた企画をボツにするのももったいないので、こことは別にブログ立ち上げてやることにしました」

司会者「ほう」

レジー「具体的には「Dive to HYPEMACHINE」「レジーのJ-POPクロニクル」という2つの企画を走らせたいと思います。趣旨をまとめましたのでどうぞ。ほんとはnoteに載せるように書いたものをちょっと修正しました」


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■Dive to HYPEMACHINE

皆さんはHYPEMACHINEをご存知でしょうか。以前このブログでもインタビューをした音楽ライターの定金啓吾さんに先日存在を教えてもらい、それ以来このディープな世界にどっぷりはまっています。

こちらのサイト、世界中の音楽ブログをネットワークして、そこで紹介されている楽曲を集めて公開しています。英米に限らずいろいろな国の「生」の情報が集まっているので、まだ日本では紹介されていないようなアーティストも多数登場。ここを見ていると、「世界中には素晴らしい音楽が無限に存在する!」というとてもポジティブな気持ちになることができます。僕自身は海外シーンの流れがわかっているわけでもないのですが、そんな状況の自分でも「うわ、これかっこいいな」という音楽にたくさん出会うことができるわけです。

たとえばこんなの。シドニーの人たちらしいんですが、この浮遊感ほんと素敵。ググった感じだと日本語の情報はかろうじて1ページあっただけでした(プロフィール紹介)。



「Dive to HYPEMACHINE」では、HYPEMACHINEで見つけてピンときた楽曲を紹介していきます。前述のとおり「海の向こうで何が起こっているか」については疎いので、おそらくかなり脈絡のない感じのセレクトになるかと思います。割と有名なものもほんとに誰も知らないような人たちもぐちゃぐちゃになりそうですが、周辺情報の補強はぜひ詳しい方にお願いできればと。

「レジーのブログ」「レジーのポータル」では基本的に邦楽に関する情報を発信していますが、「Dive to HYPEMACHINE」ではまっさらな気持ちで未知の世界に飛び込んだ成果をおすそ分けできればと思います。


■レジーのJ-POPクロニクル

最近市川哲史さんの『誰も教えてくれなかった本当のポップ・ミュージック論』を読んでいるのですが、こちらの序文に本書のスタンスについて「あくまでもリスナーの立場から見たポップ・ミュージックの変遷や傾向、ブームの分析」という説明がありました。



「ん、これ、もしかしたら自分でもできるんじゃね?」と思ったのがこちらの企画を始めるきっかけです。

ブログではときたま90年代の昔話を展開していますが、どこかで自分の音楽遍歴を整理したいなあとは常々思っていました。というわけで、「レジーのJ-POPクロニクル」では、自分の超個人的体験を振り返りながら当時のシーンの状況について紐解いていく、ということにトライしてみたいと思います。

僕が音楽を聴き始めたのは92年なので、それ以降の時代が対象です。メガヒット時代ど真ん中で思春期を過ごし、社会に出るとともに音楽そのものの立場の後退を感じ、90年代型のビジネススキームがほぼ崩壊した今が実は一番リスナーとしては楽しい、みたいな空気感を綴っていけたらなと。

あくまでも「超個人的体験」がベースなので網羅性のある通史にはならないと思いますが、「ミクロな部分を掘り下げることでマクロな視点を獲得する」というアプローチがとれればなと。イメージとしてはこんな感じです(現状思いついたもの)。

・「脱ガリ勉」の武器としてのJ-POP
・ヒットチャート大好き人間
・初めてのミニコンポ
・ヒーローとしての桜井和寿、憧れとしての草野マサムネ
・大事なことはミュージックスクエアから教わった
・自意識が渦巻く軽音楽部
・休み時間に読むロッキング・オン・ジャパン
・大学アカペラとリア充カルチャー
・ひたちなかで号泣した『Viva La Revolution』
・『ジダーバグ』を友人に聴かせたら「お前まだこんなの聴いてるの?」


これ、92年から03年くらいまでの話ですね。いろいろ思い出さなくていいことも出てきて辛い気持ちになったりしそうですが、同世代には共感を、若い方には新鮮な驚きを提供できれば。また、タイトルに「J-POP」とありますが、洋楽や音楽以外のネタ(本・映画)なども自分の関与があったものについては触れていくことになるかと思います。

以上2企画、超不定期の連載という形で(挫折しない限り)やっていきますので気楽にお付き合いいただけますと幸いです。


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司会者「こちらのブログとは毛色が違いますね。特に「Dive to HYPEMACHINE」は」

レジー「そうね。ほんと面白いよHYPEMACHINE。あれで遊んだ記録はどこかに残しときたいと思ったので。「レジーのJ-POPクロニクル」についてはある意味このブログと地続きの内容になるはず」

司会者「それぞれtumblrにはてなブログとこことは違うサイトを使っています」

レジー「そこも裏テーマではありますね。ちょっといろいろ使ってみようという」

司会者「更新頻度はどのくらいになりますか」

レジー「どうだろうね。ある意味新しい2つの方がこっちのブログよりさくさく書けるとは思うんだよね。ただ、あくまでも母体は「レジーのブログ」だと思ってますので、そこに悪い影響なくトータルで発信ペースが上がるくらいの感じになればいいなと。ちょっとやってみないとわからないけど。まあ気楽にやりますので見守っていただけると嬉しいです。つまらないものにはしないつもりなので」

司会者「わかりました。では今回はそんな感じで。次回はどうしますか」

レジー「ちょっと書きたいバンドがいくつかあるのでもう少しネタを仕込みたいと思います」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

アイドルと自意識、アイドルの自意識16 - 香月孝史『「アイドル」の読み方』を巡る「アイドルらしさ」と「自己承認」の話

『「アイドル」の読み方 混乱する「語り」を問う』とアイドルの自意識

レジー「香月孝史さんの『「アイドル」の読み方 混乱する「語り」を問う』を読みました」



司会者「ツイッターでは以前からフォローさせていただいていました」

レジー「この本すごく面白いです。「アイドル論」みたいなものがほんとにいろいろ出てきた今こそ必要な本、って感じでした。今年はピロスエさんが仕切った『アイドル楽曲ガイド』も出たし、今後アイドルについて何か言ううえでのベースになりそうなものが続けて出たね。この2冊と去年のさやわかさんの『AKB商法とはなんだったのか』の3冊は外せない気が」

 

司会者「『「アイドル」の読み方』に関しては数多ある「アイドル語り」に関してすごく丁寧に整理してますよね」

レジー「うん。最初の方の「アイドル」の定義問題みたいな話だけも読む価値がある。具体的には3つに分類してるんですけど」

分類1:「偶像」 - 繰り返される“辞書上の定義”
分類2:「魅力」が「実力」に優るものとしてのアイドル
分類3:ジャンルとしての「アイドル」

司会者「いわゆるグループアイドル話は分類3に該当する内容である一方で、こういった分類を自然に行き来する感じで「アイドルとは?」みたいな話が進んでいくということをたとえば『あまちゃん』における水口の発言なんかを例にとりながら説明しています」

レジー「この辺がぐちゃぐちゃした感じで「○○はもはやアイドルではない」とかやり出しちゃうからよくわからなくなるんだよね」

司会者「その「○○はもはやアイドルではない」的表現をサンプルとして立て続けに紹介しているパートもこの本にはあります」

レジー「ここ前半のハイライトだね」

司会者「そうなんですか」

レジー「いや、半分冗談ですが。やりたくなる気持ちはわかります。そしてこの本のサブタイトルにもなってる「混乱する「語り」」というものを示すという意味では必要な内容だったと思います」

司会者「このブログで引いたことのある記事もいくつか」

レジー「まとめて見ると結構胸焼けするよね。あくまでも一部の話でしかないとはいえ、わりと特定方面の人たちがそのパターンを使ってる感じがわかって面白かった」

司会者「この辺の言説における起点となる「アイドルらしさ」っていうのは、ざっくり言うと「お仕着せ」「操り人形」「虚構」みたいな感じですか」

レジー「それが実情を正しく表していないってのはこのブログでもたびたび指摘してますが、これに関する説明で以前取り上げた円堂都司昭さんの『ソーシャル化する音楽』における「ライヴというよりライフが売りものになっている」という話が引用されてます」



司会者「女子流のライブ以外のユースト中継なんかが例に出ています。ステージを降りた姿も含めて訴求していくというような話ですね。そこに関連して、SNSのツールとしての重要性が語られています」

レジー「パーソナリティーも含めてそのアイドルの「価値」が決まるって話なわけで、これだけ見るとロキノンな人たちにとっても好物な世界だと思うんだけどね。「そのパーソナリティーが音楽に反映されてないんだ」みたいなこと言うんでしょうけど。で、僕がこの本ですごく良かったなあと思ったのはこのあたりです」

ネガティブな葛藤も含めて、すべてがコンテンツになってしまうその環境は、アイドルが負の側面まで戦略的に発信できる自由さにも満ちている。それはアイドルに向けられるファンからの反応に対し、アイドル自身が自己承認や感情の受容といった欲求をファンに投げ返すようなしたたかさでもあるだろう。(170ページ)

現在のジャンルとしての「アイドル」は、かってのようにきわめて少数が巨大マスメディアによって選別されるのではなく、自発的な「名乗り」と一定の形式によってこのジャンルに参入し、アイドルに「なる」ことを選び取る契機が多いものである。少なからぬ人が自己表現、自己承認の場を求めるためのフォーマットとして、参入の自由度が高い「アイドル」というジャンルが存在するのであれば、そこに参入するアイドル個々が無条件に人々を説得してしまうような超越的な存在だと考えるのは難しい。(201ページ)


司会者「自己表現、自己承認といった言葉が出てきます」

レジー「意外とこうやって言い切ってる文章見たことなかったんだけどどうなんだろ。すごくすっきりしました。以前「アイドルすかんぴん」ってドキュメンタリーをテレビで見た時にも強く感じたことで。ジャンルとしてのアイドルが、「みんなに自分を見てもらいたい女の子」のプラットフォームになってるわけですよね。「やらされてる」とか「曲が作れない」とかって話をする前に、まずはこの前提を忘れてないかは常に意識する必要があるんじゃないかしら」

司会者「ここで言われている「自発的な「名乗り」と一定の形式によってこのジャンルに参入し」ってところは、以前柴さんにインタビューした際におっしゃられていた「名乗れば音楽ライター」という話と少し似てるかもしれませんね」

僕も何回か「音楽ライターになるにはどうすればいいんでしょうか」という質問を受けたことがあります。そういうときは、たいてい「名刺を作ってtwitterのプロフィール欄に“音楽ライター”と書けばなれる」って答えることにしてます。無責任に思われるかもしれないですが、本当にそういう時代だと思います。もちろん、それで食っていけるかどうかは別問題です。

レジー「ねえ。「アイドルになりたい人」と「音楽ライターになりたい人」の相似というか。「自己表現、自己承認の場を求めるためのフォーマット」「参入の自由度が高い」「それで食っていけるかどうかは別問題」。うん、すごいしっくりくるな。いわゆる「地下アイドル」の運営サイドとライター学校とか、もっといろいろあるのかも」


「承認」「表現」の向き合い方 「ラップアイドル」の立ち位置から

司会者「“「地下アイドル」の運営”という話で言えば、先日こんな記事が出てました」

メンバーの母親が悲痛の叫び……15歳地下アイドルの脱退理由「高額なお金」に波紋

レジー「ライムベリーの話ね。ライムベリーも地下アイドルかあなんて思ったけど世間的にはそんなもんだよね」

司会者「ライムベリーが活動を再開するにあたってメンバーのYUKAが脱退するということになり、彼女のブログに母親が登場して「ライムベリーを続けていくには高額なお金がかかる」「経済的理由によりライムベリーを続けていくことを断念した」と理由を述べたと」

レジー「とりあえず残念だよね。ライムベリーは結局TIFとTパレ祭りの2回しか見れなかったけどどっちも最高に楽しかったから」



司会者「今年に入ってリリースされた『ウィンタージャム』も素敵です。スチャダラの『サマージャム'95』へのオマージュですね」





レジー「スチャダラとアイドルのつながりって面白いよね。最近だとSKEのケースもあるし」



司会者「しかし「高額なお金」って何に使うんですかね」

レジー「今のところは誰のため、何のためのお金なのかよくわかんないけど、とりあえず「アイドルをやるのにはお金がかかる」ってことはわかった。この件でぼんやり思ったのが、このお金って親御さんからすると「投資」なのか「お小遣い」なのかみたいなことで」

司会者「あー」

レジー「香月さんの本でも「自己表現・自己承認」って言葉が出てきてたけど、ライムベリーの人たちも含めて基本的には本人たちは楽しいからやりたい/やってるってだけの話でしかないと思うんですよ。そこにお金が付随してきたときに、出資する側、具体的には家族っていうことになるけど、「いつか回収するもの」として考えるのか「今この瞬間本人たちが楽しむために使ってしまうもの」として考えるかで見える景色がだいぶ変わってくるんじゃないかなと」

司会者「宇野常寛さんの『文化時評アーカイブス2013-2014』の「アイドル」に関する鼎談でも岡田康宏さんからこんな指摘が」



ただ、そこで難しいのが女の子自身の「有名になりたい」っていう気持ちですよね。テレビに出たい、チヤホヤされたいから体力的にも精神的にも厳しい状況でもライブアイドルをやっているんだという現状もあるから、(後略)

レジー「この辺の問題は難しいよねえ。やりがい搾取みたいな構造ともつながってくるし、一方で「アイドル」というものを運営していくことに対して間違いなくお金はかかるだろうし。単にチヤホヤされたいだけならSNSでいくらでもそれを満たす回路もあるだろうし、手軽にニコ生で人気者になればいいんじゃない?って指摘もあてはまるかもしれない。いずれにせよ裾野の広がりに水を差すようなことにならなければいいなと思います」

司会者「ライムベリーの動向次第では他にもヒップホップを前面に押し出したアイドルが出てくるかもしれませんね」

レジー「そうね。それで言うと、この前FantaRhymeのライブを初めて見たんですけどすごい良かったよ」



司会者「随所にラップもあるダンサブルな曲を歌う福岡の2人組のグループです」

レジー「『Blue Sky』って曲が大好きで去年の年間ベストに次点で入れたんだけどね」



司会者「これいい曲ですよね」

レジー「この曲聴けて良かったし、全体的にパフォーマンスしっかりした中にも2人の自然な感じが出ててすごく好感度高かったわ。てかSAYAちゃん可愛すぎた。正直ビジュアル面は特に期待もせずに見に行ったんだけど完全にときめいてしまった。サイン会にも参加したよ」

司会者「この日はNegiccoと一緒でしたが、翌日はリリスクともやっていました」

レジー「そっちも見たかったなあ。で、それを見た方のツイートでこんなのがあって気になりました」







司会者「対決モードだったんですね」

レジー「その感じも見たかったし、あとはこの「ラップが自作かそうでないか」って話ね。アイドルを「自己表現」って切り口で捉えていくと「自分で作らないとダメ」みたいな声が聞こえてきそうだし、実際にその手の話は香月さんの本でも取り上げられてるし、僕もブログでさんざんやってますけど。「自己表現」と「自作自演」がナチュラルにイコールになりがちだけど、別にそんなことはないんだよね」

司会者「Perfumeとかその最たるもんですよね。チームPerfumeのすごさも含めて彼女たちが背負って表現してるわけで」

レジー「そうそう。「総合戦としての自己表現」ってものの可能性を提示しているのがジャンルとしてのアイドルなんだろうなとか思いました」


「アイドルらしさ」との終わりなき戦い 柏木由紀のケース

司会者「香月さんの本では、「アイドルらしさ」というものを意識的に選び取る存在の代表としてAKB48の柏木由紀について取り上げています」

柏木にとって、「アイドルらしいアイドル」は体現したい理想だが、柏木は、それが一般的に「痛い」と感じられるほど不自然な振る舞いだという客観的な判断を持ち合わせている。そしてそのうえで、ステレオタイプなアイドル像をあえて志向しているのだ。柏木のような視点をふまえると、ステレオタイプな「アイドルらしさ」の具現を、主体のない「アイドル」当人に他者が押し付けたものと捉えることの限界が見えてくる。(72ページ)

レジー「これほんとその通りだよね。しょせんアイドルなんて・・・みたいなものすら相対化してしまう強さというか。で、ちょうど香月さんの本読んでるくらいの時に去年やったゆきりんのソロライブのブルーレイを買ったんですけど」



司会者「横浜アリーナをいっぱいにしてのソロライブでした」

レジー「これマジで最高だった。アイドル好きを名乗る人は全員見るべき」



司会者「かなりちゃんとしてますよね」

レジー「グループの時と全然違う。普段手抜きしてるんじゃないの」

司会者「それはないでしょ」

レジー「いずれにせよ空気は読んでるに違いない。なんかフジファブが3人体制になったら山内くんが急に本気出してきたみたいなすごみを感じた」

司会者「彼女の歌自体は前からそれなりに評判は良かったですよね」

レジー「秋元康が「柏木のバラードは良い」みたいなことを言ってた話をどこかで聞いたことがありますけど、このライブ見た印象としては僕はアップテンポの曲の方が好きです。ぐーっと伸びてく感じがはまるよね。『フライングゲット』も『GIVE ME FIVE!』も原曲より全然良いわ」

司会者「フレーズを切るときに語尾が軽く跳ねる感じになるのが特徴的です」

レジー「大人数歌唱になっちゃうと当然そんなクセとか楽しめないからねえ。人によっては好みが分かれるところなのかもしれないけど、少女性みたいなものを感じてすごく良いです。これ行きたかったなー。ライブ全体としても完成度高い」

司会者「生歌生演奏だしね」

レジー「うん。常々言ってる話だけど、48グループの大箱ライブって「たくさん人を集めるお祭り」としてしか捉えてないわけで、それを効率的にどう盛り上げるかっていう視点しかない。だからパフォーマンスそのものより「サプライズ」頼みだったりするし。このあたりは冒頭で紹介した円堂さんの「ライヴとライフ」って話につながってくるけど、「ライヴ」の部分の質を高めようなんて気はないと思うんですよ」

司会者「それに対してゆきりんのはちゃんと「ライヴ」だったわけですよね」

レジー「うん。立派な「ショー」になってた。もっと言うと、「ビジネスモデル」ではなくて「エンターテイメント」だったね。AKBが規模を拡大する中で効率化のために捨てていったいろいろなものが凝縮されていたと思います」

司会者「本体にも還元してほしいですよねこのあたりは」

レジー「そうね。48グループって結構どん詰まりになってる気がするけど、絶対ここに次のフェーズのヒントがあるはずなんだよ。規模拡大とは違う理屈での質の向上。以前Perfumeについての記事で詳しく書いた話ですね。そしてゆきりんの存在意義みたいなものももっと認められたらいいなあと。「アイドルらしさとは?」みたいなテーマにおける一つの参照点になるんじゃないかな。そう考えるともっといい曲作ってあげてほしいなあと心から思いますが」

司会者「わかりました。長くなってきたのでぼちぼちまとめていただきたいのですが。香月さんの『「アイドル」の読み方 混乱する「語り」を問う』を起点に、「アイドルらしさ」「自己表現・自己承認」といった話に関して最近体感したアイドルのパフォーマンスについて触れてきました」

レジー「そうですね、とにかくこの本は刺激になるというか、接してるアイドルの領域によって感じ方も変わるんだろうなあと思います。いろいろ感想を聞いてみたい本ですね。あとはほんとみんなゆきりんのライブ映像見てほしい。そして次回があったら何とかして行きたいですね。今回はこんな感じで」

司会者「次回はどうしますか」

レジー「現状は未定かも。ちょっと告知的なものを挟むかもです」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

「ハモネプ」をJ-POPシーンの一側面として捉え直す

アレンジに出るプロとアマの差、お約束の「リスナー/プレーヤー断絶問題」

レジー「先日テレビでハモネプのジャパンカップとやらを見ました」

司会者「芸能人グループとアマチュアのグループがどちらも出てくる大会です」

レジー「毎回必ず追ってるわけじゃないけど、なんだかんだでやってると見ちゃうんだよな。本選の何日か前にやってた予選も見たよ」

司会者「ハモネプというかアカペラに関連する記事は過去にもいくつか書いています」

ヤマタツ、アカペラ、ハモネプ
シティポップが盛り上がる今こそスムースエースを再評価しようの巻
1人の女の子を歌わせるか、集団の女の子を歌わせるか - 広末涼子とその時代

レジー「関東の学生アカペラ文化は僕が作ったから」

司会者「さすがにそれは言い過ぎでは」

レジー「すいません、完全に言い過ぎました。ほんのちょっとだけ貢献したかも、くらいですね正確には。たびたび書いてますが自分がアカペラやってたのは大学に入った2000年から4年間、ハモネプが始まったのが2001年。アカペラがやたらと流行ってた頃の渦中でいろいろやってました」

司会者「今回のハモネプはいかがでしたか」

レジー「プロとアマが並ぶと、とにかくアレンジのレベルの差が際立つよね。アマチュアだとバークリーの人がいるグループのは良かったけど」

司会者「プロのグループは譜面のアレンジにせよパフォーマンスにせよ厚みが違いますね」

レジー「予選から見てて、単純に歌のうまい人はアマチュアでも普通にいるけどやっぱりそれだけじゃ駄目なんだよなあと改めて思った。曖昧な表現になっちゃうけど「音楽を知っているか」っていう部分についての違いが歴然としてる。で、僕の印象としてはこのあたりの話って学生アカペラの構造的な課題だなと思っていて」

司会者「あー」

レジー「僕も学生のころにかかわってて今でも学生主体のスタッフで続いているJAMという大きなアカペライベントがあって、出演バンドをオーディションで決めるのが通例なんですが、昨年のオーディションに関する講評がネットで公開されてまして。以前ツイッターで紹介したこともありますが、その中身をちょろっと紹介したいなと」




アレンジもフルコピーでいかに再現できるか?ではなく自分たちのできる範囲で個性を持ったサウンドを実現できるかに向かうべきです。
現状ではアカペラの世界は、一般的な世の中の動きから取り残されているようです。
(幾見雅博:ギタリスト、音楽プロデューサー)

本来、Swingは「One TWO three FOUR」というノリ(言葉では説明しにくいですが)で、Swing 自体の躍動感や「切れ」があると思うんです。いろいろジャズの演奏を聴いて研究してください。なんでもそうですが、勉強は大事です(これは僕もそうですが)。アカペラの人は「アカペラしか聴いていない」傾向があるので、楽器の演奏も聴いて勉強してほしいと思います。
(北村嘉一郎:ジャズボイスパーカッショニスト、元「トライトーン」メンバー)


司会者「辛辣ですね」

レジー「僕も最近の学生アカペラシーンずっとウォッチしてるわけじゃないから断片的な印象でしかないけど、この内容は漠然と思ってたことをかなり的確に言い当ててくれてて刺激的だった」

司会者「やってる人たちはあんまり音楽聴いてないんですかね」

レジー「この辺は以前軽音楽部に関する考察をしたときと同じような感覚を覚えるんだけど、「プレーヤー」と「リスナー」の間にかなり大きな断絶があるんだよね」

司会者「先輩がやってたから演奏してるけど原曲は聴いたことない、みたいな」

レジー「そうね。軽音楽部がいつまで経っても『リライト』のコピーしてる、的なことがアカペラサークル内でもあるんだよね。これは身近な人にも言ってる話だけど、男6人集まってかっこいい感じの曲やるグループにしよう!ってなったときに、この期に及んで選択肢がマイケルジャクソンしかないみたいな。いや、もちろんマイケルそのものは素晴らしいんだけど他になんかないのか?という」

司会者「あとは『Get Down Tonight』ね」

レジー「そうそう。アカペラに関与ないであろうほとんどの方のために説明しておくと、KC & The Sunshine Bandの『Get Down Tonight』と『That's the Way (I Like It)』のメドレーってのがわりと定番なんですよ。何年か前まではいまだにやってたみたいだけど最近どうなんだろ」





司会者「それこそジャスティンティンバーレイクやったっていいわけですよね」

レジー「フランクオーシャンとかね。そういう発想が全然ないような気がする」

司会者「まあそのあたりは答えのない話だからこの辺にしておきましょう」


「90sJ-POPを供養する」場としてのハモネプ

レジー「今回のハモネプに中西圭三が出てたんですけど」

司会者「前回に引き続きですね。今となっては『Choo Choo Train』の作曲者って呼び方のほうが通りが良さそうですが、90年代はシンガーとして活躍していた人です」

レジー「僕大好きだったんだよねこの人。小学生のころからラジオ聴いてた。アルバムも持ってたし。曲でいうと『A.C.E』とか『非常階段』とかね」





司会者「懐かしい」

レジー「最近ふと思ったんだけど、小学生から中学生になりたてくらいの頃って、中西圭三もそうだし、あとは久保田利伸とかドリカムとか黒っぽいことをやろうとしてる人たちの音が好きだったんだよね。この辺は今の自分の嗜好にも結構つながってる気がするし、アイドル曲の好き嫌いを判断する際の基準にも影響してるなあとか思います。そのあたり改めてやりたいなと思ってるところ」

司会者「中西圭三のグループには他にも90年代に活躍してた方たちが参加してましたね」

レジー「加藤いづみとか東野純直とかやばいわ」





司会者「このブログでやってる90sJ-POP企画とは違った趣がありますね」

レジー「この辺はミスチルスピッツより前だったりするしね。どんな形であれ、一応音楽に関連する形でこういう人たちが出てこれるプラットフォームにハモネプがなってるってのは何だか感慨深いなあと思いました」


ハモネプと大学アカペラサークル、そしてUSAGIの話

司会者「番組の最後には、昔からハモネプと関わりのあるRAG FAIRとINSPiのコラボ曲が披露されていました」

レジー「しかしハモネプが始まったころにはラグとインスピでここまで世の中への浸透度に差が出るとは思わなかったなあ。昔この2つの対バンライブとか行ったよ。メジャーデビューする直前か直後か」

司会者「スキル的な面でインスピが劣ってるってこともないはずですよね」

レジー「ねえ。やっぱりタレント性の差とかそういう言語化しづらいところになっていくのかな。とりあえずラグの方が存在としてキャッチーだったよね」

司会者「土屋礼央の存在もデカいですね」

レジー「それはほんとあると思うわ。ピンの芸能人としても成立しちゃう人だもんね」

司会者「先日ソロアルバムが出ました」

レジー「この前ツイートもしたけどほんといいよこのアルバム」






司会者「ハモネプとかアカペラとかそういう文脈とは関係のないポップアルバムです」

レジー「バンドサウンド風のがあったりソウルっぽいマナーの曲があったりかなりバラエティに富んでる。この人はズボンドズボンってバンドもやってたりといろんなスタイルの音楽との関わりがあるわけで、こういう人がラグフェアっていうアカペラをドメインにしてるグループにいるのが面白いなあと思います。インスピはその辺良くも悪くも純粋培養の印象だけどどうなんだろ」

司会者「阪大のアカペラサークルからスタートしてます」

レジー「まあラグも埼玉大学のアカペラサークルと大いに関係あったりするから一概には言えないけど、土屋礼央みたいな「異端児」はいないよね。しかしインスピの世の中的な位置づけはほんと地味だよなあ」

司会者「「この木なんの木」を歌ったことのある人たち、くらいですかね」

レジー「僕がアカペラやってた頃は「関西の雄」って感じだったんですよ。初めて見たのは前述したJAMってイベントの2000年の回で。ものが違う感じだった。で、この時にはメジャーデビュー時には脱退してた岡田健次良という天才が所属してましてね」

司会者「今はLuz fonteって名義で活動してるみたいですよ」



レジー「岡田さんはなんやかんやでちょびっとだけお会いしたこともあって、この方がやってた別ユニットのライブとかも行ったりしてたんだけど。なんかいろいろ引き合いはあるけど関西から出ようとしない、みたいな記事もどこかで読んだな。で、その当時のJAMには西から来たインスピと対峙するような形で東京のAJIってグループも出演してまして。個人的にはこの人たちが一番成功確率高いと思ってたんだけどからきしだめだったね」

司会者「2000年の段階でソニーからメジャーデビューが決まってるなんて話もありましたが、結局デビューしたのは2002年でした」



レジー「デビュー盤もオリコン100に何とか入ったくらいで、その後タイアップとかもあったんだけど売れなかったなあ。「ちょっとかっこよくて、ちょっと歌うまいだけのコーラスグループ」なんて世の中に見向きもされないってことを思い知りました。僕がちゃんと聴いてた初期の方の曲が全然ネットになくて、コピーしてる学生っぽいグループの動画ばかり引っかかるのがまた切ない。かろうじてこの曲だけ見つけた」



司会者「インスピは阪大が母体でしたが、AJIは早稲田のアカペラサークルの出身です」

レジー「アカペラ界の名門サークルですね。今はいろいろ勢力図も変わってるみたいだけど。最近のここ出身アーティストというと、優れたアイドル楽曲をたくさん提供している杉山勝彦さんですかね」

司会者「以前も触れましたが、乃木坂46の『制服のマネキン』とかを書いてます」



レジー「杉山さんはほんと同時期にアカペラやってて、友達一人介せばつながるくらいの距離感なので面識はないけど勝手にシンパシー感じて応援してるんですけど」

司会者「そんな杉山さんは最近はコンポーザー活動は封印して、USAGIというユニットでの活動を主体にしています」

レジー「これね。この前ストリートライブ見に行ったよ」



司会者「どうでしたか」

レジー「まあなんかいろいろ考えちゃったよなあ。まず前提として、このインタビューとかを読む限り杉山さんは「いずれ自分は裏方ではなく前に出て」っていう意識があったみたいなんですよね。アカペラサークルで自分で歌っていた経緯から考えても、そういう思考を持つのは全く自然なことだと思うんですよ」

司会者「相方としてボーカルの上田さんを見つけて2人で打って出たわけですよね」

レジー「上田さんの歌はほんとすごいです。声量もすごいし、ストリートずっとやってるだけあって外に向けて発信するパワーも半端ない。思わず足を止めちゃう感じもある。もちろん杉山さんのメロディは耳馴染みが良い」

司会者「完璧じゃないですか」

レジー「いやー、でも違うんだよなー。このグループは杉山さんが表現したいこと、もしくは上田さんが表現したいことがダイレクトに詰め込まれてるんだと思うけど、そういう「制約のない自己表現」をしたときに出てくるメッセージがこの歌詞なのか、っていうのは正直かなり物足りないって感じました。僕みたいな素人には考えもつかない計算があるのかもしれないけど、この情緒のなさというか、作文っぽい感じになってるのはなんでなんだろうとか」

司会者「まあ確かにこのあたりの歌詞とかの「テーマそのまま言葉にしている感じ」はなんかピンとこないですね」

経済が発展して物は溢れ
それイコール幸せではないことを知って
今どんな夢を描けば良いんだろう?
わからないからもう一度瞳を閉じて


レジー「この「経済が~」ってところはメロディとの相性も全然よくないんだよね」

司会者「うーん」

レジー「なんかさ、最近ってアイドルブームを経たことで職業作家みたいなものの存在価値が改めて見直されてる時代だと思うんですよ。実際に歌う人のキャラとかを考えて、それに応じた楽曲をオーダーメイドで作るっていうことの尊さがちゃんと認知されるようになってきてるというか。やっぱり一方では俺の魂の叫びを聞け!みたいなのにとにかく意味があるっていう価値観があって、いまだにそういう表現以外は「ソウルとアティテュードが感じられない」とか思ってる人もいるにはいるだろうけど、大きく見ると「生々しい内的なものの発露」と「発注者と職人の共同作業による高品質の表現」のどちらも素晴らしいものだっていう当たり前の流れになってきているというか」

司会者「「楽曲派」みたいな楽しみ方はそういう価値観がベースにあってこそですよね」

レジー「で、杉山勝彦っていう作家はそんな時代の流れを自分の力で作り上げたコンポーザーの1人だと思うんですよ。そういう人が自己表現の隘路というか、「自分が本当にやりたいこと」をやった結果としてアウトプットから豊かさが消えてしまうっていう構造に陥ってるのはすごく皮肉というか残念なことだなと率直に感じました。もちろんこの感想は僕自身がUSAGIがやってるようなコブクロ的感動強調型フォーマットの音楽を好きじゃないからって要素もかなりあるので何とも言えませんが」


際立つあの人たちの偉大さ

司会者「長くなってきたのでぼちぼちまとめていただきたいのですが、ハモネプにおけるプロとアマのアレンジスキルの差やアカペラサークルと音楽そのものの距離の問題、ラグとインスピを始めとした関連グループの話、最後にUSAGIについてまで展開しました」

レジー「アカペラっていうジャンルは学生のレジャーとしては定着した反面なかなか世の中的にインパクトのある成果を出せてないとは思うんですが、まあトライとしてはいろいろ行われてるんですよってことが伝わったら嬉しいです」

司会者「アカペラは生で聴いてほしいですよねやっぱり」

レジー「そうね。ほんと全く違うから。うまいグループの歌を聴くと、大げさじゃなく価値観が変わる体験ができると思います。で、まあいろいろ取り上げてみたけど、こうやって考えるとゴスペラーズってグループがいかに凄まじいかって話だわな」

司会者「2000年くらいにブレイクしてからなんだかんだでそれなりのファン層を維持しながらここまで来てますよね」

レジー「特にアカペラやってる人とかだとゴスペラーズなんて下手だよみたいなこと軽々しく言う人も中にはいますが、もはやそういう話じゃないんだよね。カウントダウンジャパンのゴスすごかったなあ。どんどんああいうフェスに出てほしいわ」

司会者「ap bank fesにも出ましたね」



レジー「これ櫻井さんすげーな」

司会者「空気変わりますね」

レジー「アカペラ畑で圧倒的にすごい人たちが歌ってても、櫻井さんクラスが歌うと一瞬で蹴散らされちゃうんだなあ。まあそういう相対化がいろんなところで進むことが、冒頭の「アカペラの世界は一般的な世の中の動きから取り残されている」ってのの克服につながるんじゃないかと思いました」

司会者「ちょっと前だとスメルマンがひたちなかに出たりもしました」



レジー「あの人らも出自はハモネプだからね。そういう越境がもっと起こると良いね。今回はこんな感じで」

司会者「わかりました。次回はどうしますか」

レジー「次回も未定でお願いします」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
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