レジーのブログ LDB

「歌は世につれ、世は歌につれ」でもなくなってきた時代に。  ※15/4/23 世の中の状況を鑑みてfc2からこちらに移しました

ご連絡はレジーのポータルの「contact」よりどうぞ。(ブログ外の活動もまとめてあります)

2014年07月

君と夏フェスと恋と人気者

夏の野外で聴く音楽の素晴らしさ

司会者「この前の週末はTLがフジロックで溢れてましたね」

レジー「みんな楽しそうだったね」

司会者「フェスの夏到来ということで」

レジー「僕は今週末のTIFまで我慢です。でもこの前の土曜日、フジには行かなかったけど野音に行ったんですよ。最高だったよ」

司会者「「ピアノと謳う。」というイベントで、原田郁子、Salyu、畠山美由紀の3人が共演しました。鍵盤+歌という編成にこだわったライブで、こちらの記事にもあるようにスタッフとかをあまり挟まずこの3人が中心になって企画していったみたいです」

レジー「この組み合わせで野音、悪いライブになるわけないと思ってチケット取ったんだけど、これほんと行ってよかった。行った時点で結構酔っ払ってたので真っ当な評価ができるか微妙なところではあるんだけど」

司会者「かなり飲んでたからね」

レジー「暑い日の野外はよなよなエールが進むね。まあそれはいいんですよ。今回のライブはさっきも触れましたがリリースツアーとかじゃなくて「気心知れた仲間と好きなことをやる」みたいな雰囲気が素敵だった。あと野音で自由席って初めてだったんだけど、それがまた空気の緩さに繋がってた気が」

司会者「アクト自体はどうでしたか」

レジー「Salyuは小林武史と2人でのステージでした。生で見たの結構久しぶりだったんだけど、“to U”でなんでかわかんないけどすごい泣いてたわ。コバタケ氏あんまり好きじゃないのに。原田郁子はソロで見るのは初めてだったけど、1曲目が“やわらかくて きもちいい風”でおお!ってなった」



司会者「畠山美由紀も初めてでしたね」

レジー「ちゃんと追ってる人じゃないので知ってる曲もほとんどなかったけど、なんか包み込まれていく感じでしたよ。酔った身体がさらにゆるんでいく。アンコールではゆるみすぎてちょっと眠くなってしまった」

司会者「いいんですかそれで」

レジー「そのくらい気持ち良い時間だったんだよね。苗場まで行かなくてもこういう時間を味わえるわけですよ」

司会者「この時期の野音はマジカルな瞬間が生まれますよね」

レジー「セミの鳴き声もいいよね。ビールもすぐ補充できるし。音楽とお酒、そしてだんだん暗くなっていく感じも最高。先月の女子流もすごい良かったよ」



司会者「雨が降らなければ最高のロケーションですね」

レジー「3年前星野源とハンバートハンバート見たときは豪雨だったんだけど、まあそれはそれで。記憶に残ってるのは2009年に見たハナレグミ。最後の方で客席まで降りてきたんだよね確か。BOSEとAFRAと一緒にブギーバックやったり、とにかく楽しかった。最近は野外ライブ=フェス!みたいな風潮もあるけど、晴天の野音はいつだってフェスの空気に負けてないよ」


「恋愛ネタとしての夏フェス」は成立するか

司会者「フェスが夏のレジャーとして定着したみたいな話は今やどこでも普通に言われるようになりましたね」

レジー「そうね。で、そういう形で定番イベント化してくると色恋とつなげる言説が出てくるわけですが。最近気になったのがこの「TOKYO デートスペシャルナビ」」



司会者「デート雑誌のメインコンテンツになってるんですね。タイトルは「跳んで叫べばオトナ男子 はじける夏フェス」です」

レジー「これそもそもはラブホテルの記事が多い雑誌なのね。アマゾンで注文したらそういうカタログがついてきてびっくりしたんだけど」

司会者「特集自体はスカパラのインタビューから始まります」

レジー「スカパラのインタビューとトーキョースカジャンボリーの宣伝が特集のあたまなんだけど、フェス特集の最初がこのチョイスってのもどういう読者層を想定しているのかよくわからない感じだよね。「オトナ男子」向けだからスカパラなんだろうか。で、雑誌のコンセプトに引きつけたのかこんなやり取りがあるんですけど」

さらに、最近、多いカップルで来場する人に対して聞くと

茂木「心を解き放って相手のことを思うと、音楽の聴こえ方が変わってくると思います」

NARGO「ゆっくり座れるゾーンや、はじけるゾーン、いろいろな楽しみ方ができると思います。気分によって移動したりして楽しんでほしいですね」


司会者「なんかカップルあんまり関係ないような」

レジー「まあ答えようがないわな。特集全体見ても、意外と「デートとしての夏フェス」みたいな話出てこないんだよね。流行に乗ってみたもののあまりネタがないことに途中で気がついたんだろうか。普通にサンボマスターや[Alexandros]のインタビュー、あと大きいフェスの紹介とかが載ってます。あ、ひたちなかについてはなんかよくわからない記述があったな。「RIJF 攻略まとめ」というコーナーのファッションに関するところ」

跳んで叫んではじけたいなら男子も女子も水着がおすすめ。動きやすくて何より濡れてもOKだから、汗をかいても、ウォーターミストにあたっても、誰かが振り回す水をかぶっても問題ない。ただ、フロントエリアなど人が密集する場所での露出はNG。水着の上にTシャツを着るなど周りの人への配慮を。

司会者「水着推奨とは」

レジー「「跳んで叫んではじけ」るために水着を推奨してて「誰かが振り回す水をかぶっても問題ない」なんてことまで言ってるのに、「フロントエリアではTシャツを着よう」ってなんか全く辻褄が合ってないのが気になる。ライブやってないところで跳んで叫んではじけて水かけられるんだろうか。あのフェスで水着の人そんなに見ないけど、女の子の水着が増えてくれる分にはそれはそれで嬉しいね。ステージの人ごみにその恰好で来ない限りは別にトラブルにもならないだろうし。今年は行けないんだけどサンセットライブは水着の人結構いて楽しい

司会者「はあ。あと恋愛ネタと言えば最近こんな記事もありました」

今夏こそロックな恋を!音楽フェスで「素敵な出会い」をする方法5つ

レジー「ロックな恋とは」

司会者「わかりません」

レジー「この記事はすごいよ。全文転載したいところなんですが、たとえばこんなの」

■3:隙を逃さない!

音楽フェスでは始終大きな演奏の音が響き渡っているので、ゆっくり会話するチャンスがあまりありません。そこでサウンドチェックなどの時間を大いに活用して、その間にうまいこと相手の連絡先を聞き出すようにするのがコツです。


司会者「なんか我々の知ってるフェスとは違いますね」

レジー「続けて出てくるのがこれ」

■4:彼に笑いかける

フェスではほとんどの人がステージを眺めているので、なかなか相手の注意を引き付けるチャンスがありません。なのでできるだけ彼に視線を投げかけて、目が合ったら笑いかけましょう。そこからがスタートです。

彼の真横や真後ろに立っていては目が合わないので、彼と視線が絡みやすい位置を確保してみてください。


司会者「何が何やら」

レジー「突っ込むのも野暮ですが、複数のステージでいろんなアクトが行われてて、その間に移動したり食事したりと「大きな演奏の音が響き渡って」いない時間まで含めて楽しむがフェスだと思うんだけど、そういうことを知らないで書いちゃったのかしら」

司会者「「海外恋愛情報サイト『ESSENCE』の記事を元に」と書いてあります」

レジー「この人の他の記事も見たけど、基本この「海外の○○を元に」って芸風だった。この2つのメディアを見て思ったけど、やっぱりそのイベントのディティールとかまで理解していないと「そこから恋が生まれる」みたいなお話を広げるのは難しいんだなあと思った」

司会者「それで言うとSHISHAMOの“君と夏フェス”は秀逸ですよね」



レジー「これについてツイートしたら一部界隈でちょっとした騒ぎになっていた」




司会者「短期間でばばばっとRTされましたね」

レジー「花火大会一緒に行って初めて手をつなぐ的な話なんだろうけど、ほんとにそうなの?という気持ちはいまだにある。あとちょっと話逸れるけど、この曲を作詞してるSHISHAMOの宮崎朝子がMUSICAで「私はバンド好き!って感じの子があんまり好きじゃないかも」みたいなことを言ってたのもこれに対する疑念を強くしてますね。何を狙ってやってるのかなと。SHISHAMOのことは去年のアルバム聴いたくらいであまり知らないんだけど、どういうスタンスの人なんだろう」

司会者「フェスの現場ど真ん中の人たちの「フェスと恋愛」表現にも信憑性がないとするともう何が本当なのかわかんないですね」

レジー「この手の話は結局人それぞれというか、ゼロ年代初頭からフェスで恋を実らせた人もいれば今の時代でも恋愛なんてあるわけねーだろバカって人もいるってことでしかないとは思うんだけど。ただこの辺の話題で思い出したんだけど、大学生の時に超好きだった女の子がまさにひたちなか周辺出身の子で。でもその子は音楽そんなに興味なかったから大してその話をしたりはしてなかったんだけど、ある日ロックインジャパンにゆずやミスチルが出演することが発表されたんですよ」

司会者「2001年ですね」

レジー「そう。「ゆずとミスチルなら会話のネタになる!」って思ってその子にフェスの話をしたね。すでに高校時代の男連中で行く約束してたし、そうじゃなくてもフェスに女の子と行くって発想なかったからたぶん誘ったりはしなかっただろうけど。ここで言いたいのは、結局「フェス」と「恋愛」をつながりやすくするキーワードって「人気者のブッキング」でしかないと思うんですよね」

司会者「人気者が出てると異性を誘いやすくなるしイベントに来る人のレンジも広がると」

レジー「もちろんSHISHAMOのPVみたいな邦ロック好きカップルも存在するだろうけど、なかなか趣味がぴったり合うものでもないでしょ。でもテレビサイズの人気者ならさすがに大半の人が機会あったら見てみたいって思うかなと。で、今後のフェスはロックがどうとかじゃなくて人気者のブッキングに勤しむ方向にいく気がするし、その傾向はすでに見えてきてると思います。最後にそんな話を」


フェスと人気者、そして早すぎたGO!FES

司会者「最近のフェスにおける人気者話で言うと、JOIN ALIVEでのTOKIOのパフォーマンスですかね」

レジー「えらい盛り上がったみたいね」

司会者「ダイバーが出たとか」

レジー「そのときにこんなツイートをしたんですが」










司会者「ロックかどうかとかは関係ないと」

レジー「僕もTOKIOはものすごく見たいし人が集まるのもそりゃそうだって感じなんだけど、別にそれはTOKIOがロックだからとかそういうことではないと思うんだよね。JOIN ALIVE行ったことないから雰囲気とかちゃんと掴めてないんだけど、「ロックバンドとして認められるか」じゃなくて「人気者として認められるか」っていう次元の話かなと。ダイブも「フェスではしゃぐ」行動パターンの1つってことでしかないような」

司会者「人気者を見てテンションが上がりすぎちゃったんですね」

レジー「単純に音楽として考えたら“LOVE YOU ONLY”でダイブとかどうなのって感じでしょ。こういう人気者のフェスへの登用って話はそれこそひたちなかのゴールデンボンバーなんかもそうだと思うんだけど。ところで皆さんGO!FESって覚えてますかね」

司会者「ありましたね」

レジー「2010年と2012年に幕張メッセで行われたイベントです。2012年の出演アーティスト見ると結構普通のフェスじゃんって気もするんだけど、ファンモンとセカオワが同じ日とか当時はインパクトあったんだよね。僕はこの年タダ券を友人経由でもらえたので初日だけ行ったんですが、セカオワとPerfumeだけ見て帰りました」

司会者「2日目はいわゆるロックフェス感がありますね」

レジー「うん。で、これって初回の2010年で人集まらなかったことにひよった結果としてのブッキングなんだよねたぶん。2010年のサイトはこちら。出演者はこんな感じ」

■3月20日(土)
青山テルマ / 九州男 / さかいゆう / スキマスイッチ / Perfume / ヒルクライム / FUNKY MONKEY BABYS / 福原美穂 / FLOW

■3月21日(日)
UVERworld / MCU / GIRL NEXT DOOR / KREVA / JAY'ED / JUJU / Spontania / DEEP / BENI / May J.


司会者「「ヒットチャートの主役が集まることをコンセプトにした新しい形の都市型フェス」って触れ込みからすると地味ですね」

レジー「このコンセプトでやるならEXILEとか出てほしかった。あと今改めて見ると、もしこのイベントが当たってたらUVERworldとかもっとフェスに出てたのかもしれないとか思いました。で、このフェスは今では不入りイベントの代名詞みたいになっちゃってるわけなんだけど、これってある意味「ロックとかどうとか関係なくて、人気者を集めようとした最初のフェス」なんだと思うんですよ」

司会者「あー」

レジー「そう考えると興味深いよね。このフェスは電通が名前出して仕切ってたけど、ロッキングオンも絡んでたわけで。渋谷陽一はこのフェスの直後のブログで「フェスとは何かを参加者から学んでいる事に気付く。」って書いてるんだけど、今のロックインジャパンってある意味このときのコンセプトを発展的に取り込んでるとも言えるわけで。「GO!FESは2012年に終了して、2013年にはロックインジャパンに合流した」って位置づけると去年のアイドル大量出演も説明できる気が。まさに今の時代の「ヒットチャートの主役」だもんね」

司会者「ひたちなかのGO!FES化が進んでいるんですね。確かに今GO!FESがあったらゴールデンボンバーとか出てそう」

レジー「うん。で、ちょうどGO!FESについて書かれた面白い文章を見つけたので、一部抜粋して終わりたいと思います。GO!FESは失敗したけど、この失敗をもとにいずれは成功するんだよっていうことが書かれた文章です。基本的にはシャレだと思うんだけど。全文はこちらで

考えてみれば、初回から成功しているフェスなど、ほとんどありはしない。

フジロックも初回は台風で中止になるような酷い事態であったが、

日本にフェス文化は根付かないと言われていたのをひっくり返したし、

北海道でフェスなんて誰が行くんだよと言われていたライジングサンも

10年かけて、あの広大な場所で満員御礼を掲げるまでとなった。


そしてGO!FESも同様、数年後にはそれまではフェスなんてものに行った事のなかった

数万人の"イマドキの若者たち"が大終結するイベントとなり、主催者は"商業的"成功を収めることになるだろう。

そしてその時の大成功とともにこう叫ぶのです。


「完全勝利!!!」


司会者「笑えないですね」

レジー「あのフェスの開催が決まった時は自分含めていろんな「音楽好き」がバカじゃねーのwwwってスタンスをとってたし、一部ミュージシャンもどうなのあれはって言ってたんだよね。でも今は全てのフェスがGO!FESに飲み込まれようとしてるわけですな。全ての、は大げさか。ただ、このGO!FES的な人気者を集めようという論理は「フェスシーン」において無視できないものになってるのは事実だと思います。ジャンルレスになればなるほどそういう側面が出てくるし。かつては「音楽好きの聖域」だったフェスという場所にTOKIOやゴールデンボンバーが出るのはすごく大きな変化だと思うし、フェスを語る言葉ってのも更新していかないといけないんだろうなあと。とりあえずフェスで盛り上がったからあいつはロックだ、みたいな言い方はみっともないからやめたいということですかね。今回はこんな感じで。とりあえず今週末はTIF、来週末はひたちなかなので楽しみです」

司会者「わかりました。では次回はどうしますか」

レジー「実は1つインタビュー企画を仕込んでおりまして、週末にはアップできるかと」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

『LISTEN TO THE MUSIC』リリース直前、Shiggy Jr. が語る「バンドの現在地と目的地」 (後編)

司会者「前回に引き続き、Shiggy Jr.『LISTEN TO THE MUSIC』リリースにあたってのインタビューをお届けします。お話しいただいているのはボーカルの池田さんと収録曲全曲の作詞作曲を手がけるギターの原田さんです」





レジー「今回の新譜はジャケットも話題になってるよね」

司会者「江口寿史さんの書き下ろしです」

レジー「僕特に裏ジャケが好きです」

shiggyjr5.jpg

140713_裏ジャケ元2

司会者「なんかバンドの雰囲気が伝わってきますね」

レジー「うん。前回ラストで「どんな曲でもこのメンバーで鳴らせばShiggy Jr.になる」という名言を池田さんからいただきましたが、後編では各曲についての具体的なお話やこの先のバンドの野望について語っていただいています。それではどうぞ」

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新ジャンル「ニート歌謡」と“baby i love you” 誕生秘話

---「あのメロディとあのボーカル」でShiggy Jr.になるんだなってのは、音の雰囲気が変わった分さらに露わになった気はします。 “summer time”なんて最初聴いたとき浜崎あゆみかと思ったけど、それでもやっぱりShiggy Jr.だし。

“Greateful days”浜崎あゆみ


池田「圧倒的な夏感!ですよね。あの曲は冬に作っていたので、気分を出すためにスタジオに夏の絵を貼ったりして。夏に聴いたらすごいはまるよね!って言いながら仮歌を録ってました」

---あたま2曲と次の“day trip”でまたちょっと雰囲気が変わると思うんですけど。すでにライブでも何度か演奏されていますが、この曲は今までのShiggy Jr.の雰囲気に近いと思いました。ホーンが効いてますね。

池田「生で録れて良かったです。私の高校の後輩にお願いして」

---それで、前回のインタビューで「歌詞はあくまでも響き重視」というお話があったのであんまり歌詞について聞いてもしょうがないのかなと思いつつ、気になったことがあって。最初“oyasumi”を聴いたときに、「もやもやしてるけど、何かしなきゃいけない」みたいな空気をすごく感じたんですけど、他にももやもやしてる曲結構ありますよね。

雨が少し降ってる ただそれだけの理由で
外には出たくないから 自宅待機してる
(“oyasumi”)

アスファルトが熱を帯びてる
苦しいほどにジトつく
そんな日は 出掛けたくはない

でもやるべきことはあるから
仕方なく支度する
けれど ああ やる気なんかはない
(“summer time”)


池田「Aメロはウジウジしてるよね」

---全体的にウジウジしてるじゃないですか。今ってそういうモードなのかなと思ったんですけど…どうしたんですか。

原田「たぶん前のCDのときもそういう感じはあったと思うんですけど…なぜかそういう詞になりがちなんですよね。ディレクターの方から僕らの音楽はニート歌謡だって言われるんですけど」

---ニート歌謡ですか(笑)。

池田「鬱屈してるんだけど最終的には結局楽しけりゃいいじゃん、みたいな。何もやってないわけじゃなくて、まだ下積みなだけっていうか…前向きなニートです!(笑)」

原田「新しいジャンルです」

---それでいろいろ解明された感じがします(笑)。で、僕は“baby i love you”が一番好きで。めちゃくちゃいい曲ですよね。

池田「ほんといいですよね!最初デモが送られてきたとき泣いたもん。良い曲だね、良い曲すぎて泣いちゃったよって電話して」

原田「(笑)」

池田「駅のホームで電話したんですけど。ふーんって流されたのを覚えてる。じゃ、これで作るんでーって。いつも通りですね(笑)」

---この曲はどういうイメージで作ったんですか?

原田「歌詞についてはタイトルの通りというか、切ない感じのものができればと思って」

池田「ちょうど「もっと感情を出した方がいいよ」というアドバイスを受けていて、だから普段より言い切る歌詞になったのかなと。最後まで言わない、みたいなのを一回やめるというか」

原田「あとは、やっぱり「いい曲」って言われるものって大体進行が決まってたりするわけで、“baby i love you”について言うと“Just the Two of Us”なんかがモチーフになってます」

“Just the Two of Us” Grover Washington Jr.


池田「“Saturday night to Sunday morning”を初めて聴いたとき、しげゆきくんのオリジナルなのに昔からあるいい曲だと思って「これ誰の曲?」って質問しちゃったんですけど。『LISTEN TO THE MUSIC』の曲はどれにもそういう感じがあるなあと思います」

---“baby i love you”に関してはコーラスが重なっていくアレンジが肝だなと僕は思っていて。曲の気持ち良さがどんどん膨らんでいく感じがあるんですけど、一方でライブの再現が大変そうだなという印象も持ちました。音源とライブでの違いとかはどう考えていますか?

原田「もちろん、本当はライブにもコーラスの人がいて、アコギの人がいて、鍵盤の人が2人くらいいて、ドラムがいて、さらにシンセドラムの人がいて、っていうそれこそ角松敏生みたいな編成でやれるのが一番いいとは思ってはいるんですが」

---大所帯シティポップ的なものがあの曲のゴールイメージなんですね。

原田「はい。ただ、そういう状況ではないのでやり方はいろいろ考えています。今回の曲作りでは「ライブでどうやるか」ってことは一旦気にせずに作り込んでいるので、ライブでの再現方法はここから詰めていく感じです」


「1万枚」と「グラミー賞」、そのためにやるべきこと

---『LISTEN TO THE MUSIC』は7月のタワレコメンにも選ばれましたね。

池田「そうなんです!良かったよね?」

原田「ほんとに良かった」

池田「1枚目出る時も、「こういう気持ちで音楽をやってるんでどうかタワレコメンにしてください!」っていう手紙を書いて。当たり前ですけど、何にも起こりませんでした(笑)」

---リアルの店舗でしっかり展開してもらえるのは大きいですよね。

池田「これから試聴機に入ったりして、もっと聴いてもらえたらいいなと思います」

原田「ネットでいろいろ取り上げもらえてありがたいなーと思っているので、実際の店舗でも同じくらい盛り上がるといいなと。今のところ盛り上がっているのはまだまだネットの中だけだったりするので」

---「全国ホールライブツアー」が目標だとすると、ネットの中の人気者というだけでは足りないですよね。ある嗜好を持ったグループの人たちの中ではそれなりに支持を得られたけど、その次のステップにどう行くか、というのが今のShiggy Jr.の状況ですよね。

原田「この先を考えた時に、自分たちだけでやっていくのはきついのかなとは何となく思い始めてはいます」

池田「メジャーとかインディーとか今はあまり関係ない時代だと思うので、自分たちがやりたいことを理解してくれる仲間と一緒にやれたらいいなとは思います。メンバーが増えるみたいな気持ちです」

---Shiggy Jr.のいいところって全部DIYで完結してるところだと思うんですけど、一方で規模を広げていくためにはそれだけだとうまくいかない部分も出てくるだろうし、そこのバランスをどうするかですよね。

池田「もし今後スタッフさんが増えたとしても、丸投げはしたくなくて。そのために今自分たちだけでやってみているという部分もあります。「どういう仕事があって」「何がどうなると誰が動いてくれるのか」ということはだんだんわかってきたので、そうなれば「ここは人にお願いして、ここは自分たちでこだわりたい」みたいな分担ができるようになってくるから」

---自分たちのやりたいことをどう増幅させるかってことですよね。そのためには場合によっては人に頼んだ方がいいこともあるし、ただそれをするにしてもプロセスの全体像を知っておかないと大事な部分すら手放すことになってしまうから、そうならないためにもまずは自分たちで全部知っておきたいというか。

池田「自分たちの本業は曲を作ったり歌ったりすることだし、そっちができなくなってきちゃうのは本末転倒なので」

原田「…そうだね」

---お父さんみたいですね(笑)。

原田「(笑)」

池田「「まあまあ、そんなぴいぴい言わなくても」って思われてるのかな…(笑)」

---今回のアルバムを境にもう一展開ある感じですね。

原田「そうならないといけないと思います」

池田「最近、最終目標をグラミー賞にしたんですよ」

---おお!(笑)

池田「だからまだまだ全然いかないといけないから」

原田「そういう意味では大人の力を借りる必要がありますね、グラミーとるためには(笑)」

---坂本龍一がサントラでとったりしてますね。

2人「ああ…」

---そういうレベルですよ。

池田「ポップスでそういうことが実現できたらほんとにすごいよね。こうなったらいいよねってのをどんどんやってかなきゃいけないと思っています。今って1万枚売れたらすごい時代だから、まずは1万枚売れなきゃなと」

原田「サカナクションとかいきものがかりとかって30万枚くらいですもんね。まずは1万枚くらいは」(注:2013年のオリコン年間チャート:いきものがかり『バラー丼』270,508枚、いきものがかり『I』214,487枚、サカナクション『sakanaction』168,189枚)

---僕はお二人よりちょっと年齢が上なんですけど、僕が音楽聴き始めた頃だとオリコンの年間アルバムチャートの100位が30万枚とかで。(注:オリコン年間チャートの100位では、93年94年が約18万枚、95年が23万枚)

原田「すごい」

池田「すごいね」

---配信とかない時代だから一概に比較はできないですが、ビジネスとして全然桁が変わっちゃってるんですよね。ミュージシャンがそういう数字の話を率先してするのはどうなのかって言う人ももしかしたらいるかもしれないけど、たとえばサカナクションの一郎さんは積極的にそういう情報発信をしてるし、それが支持され始めている空気もありますよね。ビジネス的な面でも音楽の価値がもっと上がっていってほしいなと僕は思うし、最初の方に出たtofubeatsの「景気を良くしたい」って話ともつながるところなのかなと。

池田「売れたいとか聴いてほしいとかって全然嫌らしいことじゃないと思うんですよ。私たちはポップスをやってて、そもそも聴いてもらいたいって目的があるから」

原田「やっぱりいいもの作るにはお金が必要なので。ちゃんと聴いてもらえて、ちゃんと入ってきて」

池田「それを使ってもっといい作品を作りたい。ストリングスとか生で録れたら最高です」

---ありがとうございました。今後も楽しみにしています。最後に、今回の作品、もしくはこれからのShiggy Jr.についての意気込みみたいなものをいただけると。

池田「単純にすごい名盤だと思ってて。とにかくたくさんの人にたくさん聴いてもらいたい。シンプルにそれくらいです。ほんとにそれだけ」

原田「毎回同じことを言うと思うんですけど、そのときに作れる一番良いものはできてると思うんですよ。ただ、1枚目2枚目が良いのは当たり前だと思っているので、ここからが勝負というか。今は3枚目4枚目をどうするかってのをすごい考えています」

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司会者「何かあれば」

レジー「最後は想像もしてなかったどでかい目標の話が出ましたが、ど真ん中の音楽をやろうとしてる人たちがこういうことを言うのはいいことなんじゃないかなと思います」

司会者「わかる人にだけ評価してほしい、だけではたどり着けないゴールですよね」

レジー「前編でも誤解を恐れず変わっていくみたいな話があったけど、そうやってどんどん世の中かき回していってほしいなあと思います。そういう考え方を応援したいということだけじゃなくて、音としても昨今のトレンドを意識しつつ普遍的なポップスをやっている人たちなので、これがどうやって世間に広がっていくかということは注視していきたいなと。とりあえず『LISTEN TO THE MUSIC』、ぜひ聴いてみてください。今回はこんな感じで」

司会者「わかりました。次回はどうしますか」

レジー「またフェスネタっぽい話やりたいなと思いつつ、検討中です。目処つき次第また」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

『LISTEN TO THE MUSIC』リリース直前、Shiggy Jr. が語る「バンドの現在地と目的地」 (前編)

レジー「前回の予告通りインタビュー企画ということで、今回から2回に渡ってShiggy Jr.のインタビューをお送りします」

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司会者「改めてShiggy Jrの説明をしておくと、昨年11月に発表した『Shiggy Jr. is not a child.』が話題を呼んで一躍東京のアンダーグラウンドシーンの注目株になりました」



レジー「あのミニアルバムはほんと何回聴いたことか」

司会者「来週7月16日には新しいEP『LISTEN TO THE MUSIC』をリリースします」





レジー「最近は東京以外のイベントにも呼ばれているみたいですね」

司会者「新作の収録曲を毎週1曲ずつ公開していくやり方もなかなか盛り上がりました」

レジー「うん。当ブログでは今年の1月にバンドのルーツや考え方を探るインタビューをお送りしたのですが、今回は新作についての話や今後のバンドの方向性などについてお話いただきました。答えていただいたのは前回と同じく、ボーカルの池田さんと収録曲全部の作詞作曲を手がけているギターの原田さんです。前回インタビュー未読の方はそちらも合わせて読んでいただくとより面白いと思います。それではどうぞ」

<前回インタビュー>
Shiggy Jr. インタビュー(前編) 2014ブレイク候補のルーツを紐解く
Shiggy Jr. インタビュー(後編) ときには「天然」に、ときには「戦略的」に

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Shiggy Jr.が過ごした激動の5ヶ月

---前回「レジーのブログ」でインタビューを行ったのが1月の終わりごろだったので、それから5か月ほど経過しました。

池田「まだそれくらいしか経ってないんですね。1年くらい前だった感じがする」

原田「いろんなことがありました」

---この期間でバンドメンバーの変更という大きな出来事がありました。新しく加入したベースの森夏彦さんとドラムの諸石和馬さんは、他のアーティストのサポートなどでバリバリ音楽活動されてる方たちですよね。どういう経緯でバンドに加入したんですか?

池田「知り合ったのは入江陽さんのサポートでコーラスをやったときで、そのバンドのベースが森くん、ドラムが諸石くんでした。2人は高校の頃からずっと一緒にバンドをやっているみたいで、「俺らグルーヴメイトだから」とかよく言ってて(笑)。知り合ったときは一緒にバンドをやるとは思ってなかったんですけど、新しいメンバーを探さなきゃってときに、「年齢が近い」「がっつり音楽をやりたいと思っている」「演奏が上手い」という観点で考えたときにあの2人のことが頭に浮かんで、誘ってみました」

---新しいメンバーが入ってバンドとして変わった部分はありますか?

原田「演奏自体は多少シャキッとしたかなと思います。新しいメンバーのつながりで知り合いが増えたのも大きいですね。あとは…元気になりましたね、バンド自体が。男臭くなりました」

池田「お酒を飲む量が10倍くらいになりました(笑)」

---(笑)。

原田「酒やばいんですよ」

池田「前はしげゆきくん(原田)しか飲まなかったのに、今は私だけが飲めないっていう感じで…(笑)」

原田「しかも森が尋常じゃなく飲む。僕も飲む方なんですけど、彼は朝から晩まで飲む感じで。生活の中心が酒」

池田「見た目も中身もたくましくなったと思います」

---お二人のメンタル的にもタフになったんじゃないですか。

池田「そうですね、すべてをここにかけなきゃって気持ちには改めてなりました」

原田「精神的に吹っ切れた部分はあります」

---その他のトピックとして、tofubeatsの『ディスコの神様』に池田さんがコーラスで参加しましたね。レコーディング以外にも5月5日の「東京」(LIQUIDROOM)でステージに上がったり6月6日のリリースパーティー(代官山UNIT)にも一緒に出演したりと同じ時間を共有するタイミングがありましたが、トーフさんと一緒に動いて影響されたところとか勉強になったことってありますか?

“ディスコの神様 feat. 藤井隆” tofubeats (LIVE)


池田「なんだろう…イベントのときはトーフさんもお忙しくてそんなに一緒にいたりはしなかったんですけど、イベント中の動き方とかそれまでのやりとりとかを通して、やっぱりすごい人ってちゃんとしてるんだなあ…って思いました。あとは、あの曲に関するトーフさんのインタビューを読んだんですけど、「日本の景気を良くしたい」って仰っていて」

---はいはい。(注:NEXUS アーティストインタビュー“「僕は景気をよくしたいんですよ」--tofubeatsの巨大な野望”) 

池田「ああいう大きな見方というか、社会に対して音楽を通じて何かしようっていう考え方にはすごく共感しました。「みんなそれぞれ社会にできることがあって、自分にとってそれは音楽だ」というのは自分の意識の中にもあるので、そう考えるのは大事なことなんだなと再確認しました」

---「東京」のライブレポが書いてあるブログ記事でtofubeatsのことを「“音楽への無関心”と戦うアーティストのひとりだ」と評しているのを見たんですけど。(注:音楽だいすきクラブ “tofubeats, okadada, ラブリーサマーちゃん!Maltine Records「東京」ライブレポ+α” ) Shiggy Jr.が自分たちの音楽を広く届けることにこだわっているのもそれに近いものを感じるし、お互いインスパイアされ合っている部分もあるのかなと思いました。

池田「そうですね。やっぱり聴いてもらって初めて…ね?」

原田「…」

---あんまり関心がありませんと(笑)。

原田「いや(笑)、ほんとに聴いてもらわないといけないんですよ」

池田「まずはとにかく興味を持ってもらわないとって思います」

---5月の終わりから新作の収録曲を毎週soundcloudにアップしていたのも、そういう考え方ですよね。まずはとにかく聴いてもらおうという。

池田「聴いてもらったら絶対良いって言ってもらえると思っているので。徐々に仲良くなるとかじゃなくて、最初から気持ちをオープンにしてぶつかるイメージです。こっちが全開にしなかったら、きっと向こうも心を開いてくれないから。ワンコーラスだけ公開するとかもあまりメリットがわからないし、せっかくならトータルで一曲聴いてもらいたいなと」

---この数か月で、「聴いてもらいたい」という部分についてはそれなりに手応えはあるんじゃないですか。

原田「soundcloudのカウンターも前に比べたらすごい回ってますからね。ありがたいです」

池田「まだまだですけど、ちょっとずつ広まっている感じはします」


「しげゆきくんが曲を作って私が歌って2人の演奏が加われば、どんな音でもShiggy Jr.として成立する」

---新しい作品『LISTEN TO THE MUSIC』の話に入っていきたいんですが、制作はいつごろから始まったんですか?

原田「制作自体は前作(『Shiggy Jr. is not a child.』)が出てからすぐ、11月から始まってました」

----収録曲でいうと、リミックスを除いた最後の曲の“dance floor”は前作リリースの際にデモ音源としても配布していた曲ですよね。

原田「あれは前からあった曲です。残りの曲は今回用に作りました」

池田「最初にできたのが“LISTEN TO THE MUSIC”で、次が“day trip”。で、“summer time”、“baby i love you”、最後に“oyasumi”」

原田「よく覚えてるね。“oyasumi”が最後ってことは覚えてる。結構投げやりな感じで(笑)」

池田「収録されなかった曲も2曲あって。それ以外にもデモはもっとたくさんありました」

---原田さんが作りまくって。

原田「作りまくりました」

池田「すごかったよね。ほんとにすごかった!(笑)」

---ほんとにすごいと思います(笑)。

原田「恐縮です(笑)」

---去年の年末ごろって、『Shiggy Jr. is not a child.』の評判がじわじわと広まりつつあるタイミングだったと記憶していますが、そういう中で次の作品を作るってことでプレッシャーを感じたりはしましたか?

原田「ああ…“Saturday night to Sunday morning”を超えなきゃいけない、みたいな気持ちはありましたね。そこに到達できているか、という部分では悩みました。あれだけで終わっちゃったらだめじゃん!って。最終的に超えられたかってのはなかなかわからないんですけど」

“Saturday night to Sunday morning” Shiggy Jr.


池田「そういう不安な気持ちもありながら制作していたので、“LISTEN TO THE MUSIC”ができた時にディレクターの方に「これはいいよ」って言ってもらえてほんとに嬉しかったです」

---あの曲が公開されたときに、原田さんが「メロ、歌詞、編曲、サウンド全体に関して自分の思い通りの物になった」とツイートされていましたけど。



原田「ちゃんとできたな!ってのはありました。ただ、音数多いなって今更思ってるんですけど(笑)。あのときの精一杯は出せたと思います」

---あの曲を聴いたときにバンドとしてかなり変わったっていう印象がありました。“Saturday night to Sunday morning”のど真ん中バンドサウンドからトラックがダンス寄りというか打ち込みの方に振れましたが、何か狙いがあってああいう形にしたんですか?

原田「ディレクターさんと今度の作品について話をしていく中で、「ディスコっぽいサウンドを今の音でやる」みたいなテーマが出てきたんですけど。そこに則って作った感じです」

---そのテーマはどういう経緯で生まれたんですか?

原田「ディスコっぽい音楽の流れが来てるのは何となく感じてたんですよ。それこそダフトパンクの“Get Lucky”とか。自分自身ミーハーなので(笑)、その流れに逆らわず乗ってみようというか」

”Get Lucky” Daft Punk


池田「今まではアコギから作って、ドラム入れて、オルガン重ねてって作っていたんですけど、トラックから作らないとダメなんだよ!みたいに言われて(笑)。えー!?って(笑)」

---(笑)。

池田「ドラムとかそういう概念を捨てなきゃダメなんだよ!とか(笑)。参考音源もらって、お店でもそういうの探してきてめっちゃ聴いて。そのうちにしげゆきくんがすっかりそういう音の感じをマスターしてて…」

---前回お話しいただいた何回も何回も聴いてエッセンスを吸収するってやつですね。

原田「何回も聴きました」

---参考音源というのは具体的にどのあたりですか。

池田「ヴァネッサ・パラディとか、バナナラマとか」

原田「あとはカイリー・ミノーグとか。生音と打ち込みっぽいのが混ざってる感じにしたかったですね」

“I Heard A Rumour” Bananarama


“I Should Be So Lucky” Kylie Minogue


池田「前作の出来上がりがしげゆきくんのイメージよりもバンドサウンドに寄った部分があるので、今回は打ち込みっぽいパリッとした感じの音を作りたいねってことになりました」

---前作とのギャップみたいなものは考えましたか?僕は良い方に変わったと思うんですけど、前の音がすごく好きだった人に対する距離感というか。

池田「やっぱり少しは考えたんですけど…ディレクターさんとしげゆきくんのセンスをすごく信頼しているので、自分たちのやりたいようにやるのが一番だなって思いました」

原田「まあ何か言われるかもしれないなとは思いましたけど、新しいことをやり続けないといけないというのが常にあるので。だから変わることは怖くないというか」

---気にしてもしょうがないと。

池田「まだわからないけど、アルバムごとに音の雰囲気は変わっていくのかもしれないと思っていて。ただ、どんな音になってもしげゆきくんが曲作って私が歌って、そこに森くんと諸石くんの演奏が入ればそれがShiggy Jr.として成立すると思うから。曲調とかは柔軟でいい気がします」

---今めっちゃいいこと言いましたね。

池田「やった!見出しに使ってください!(笑)」

----

司会者「最後に池田さんの名言が出ました」

レジー「まあでも今回の作品はほんとそうだと思いますよ。サウンドが変わった分バンドの本質が出てきたというか。そのあたりの話から後編を始めたいと思います」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

レジー「と言いつつ、アップ予定は13日日曜日です。しばしお待ちください」


※後編はこちら

ロックインジャパンについての雑記12 - 必然としての「さよならDJブース」

DJブースのないロックインジャパン

司会者「今年のロックインジャパンのタイムテーブルが先日発表になりました」

レジー「今年は8月の2日3日、9日10日の4日間開催ということで、僕は後半2日間のみ行きます。前半はTIFとかぶっちゃったからね。しかし2日3日の方があからさまに見たいのが多くてつらい。もちろん行く日程もインディゴとかあっちゃんとか大森靖子とかCAPSULEとかパスピエとかくるりとかtofubeatsとか、楽しみなのはいっぱいあるんだけど」

司会者「tofubeatsとCAPSULE思いっきりかぶってますけど」

レジー「これほんと悩むんだよなあ」




司会者「去年のCAPSULEほんと楽しかったですよね」

レジー「そうそう。当日まで決められないねこれは。あとパスピエがレイク。いきなりの大出世。最近パスピエについてリアルサウンドでしっかりめの文章を書いたので良かったら読んでみてください」

司会者「参加しない前半2日間で見たかったのはどの辺ですか」

レジー「まずはもちろんキックですよね。それからELTもそうだし、あとはブリグリですよ」

司会者「活動再開後初のライブということで」

レジー「青春のBGMの一つですねこの人たちは。トミーのラジオ毎週聴いてた」

司会者「今度セルフカバーアルバムが出るようです」



レジー「これは聴きたいな。僕の大好きな“長いため息のように”はどうなってるんだろうか」



司会者「新曲も公開になりました」



レジー「素敵」

司会者「今あげていただいた人たちは「懐かしさ」も含んで見たい人たちだと思いますが、もっと若いバンドで他に見たかったのはありますか」

レジー「ボールズはこの前ここでも触れたけどフェスでどんな感じになるのか見たかったなあ。あとはFOLKSね。今年出たアルバムすげーいいよ」





司会者「いいですよね」

レジー「アルバムタイトルが『NEWTOWN』ってのも最近のトーフさんの話とかとリンクを感じて面白いです。あとシャムキャッツも3日。実は今まであんまりちゃんと聴いてなかったんだけど今年のアルバムは超しっくりきてる。そして去年最高だった秦基博と9nineも3日」

  

司会者「9nineは武道館前の前哨戦って感じでしょうか」

レジー「実際問題として8月あたままで武道館のチケット売り切れないような気もするし、ここで新規ファン獲得してってのもあるのかも」

司会者「9nine含めて昨年に引き続きグループアイドルも出演しますね。すでに発表されていた9nine、チームしゃちほこ、でんぱ組、女子流に加えて、「BUZZ SPECIAL」という企画でいろいろなアイドルが出ることが明らかになりました。リリスクやNegiccoといったグループアイドルだけでなく、ゆっふぃーや武藤彩未まで」

レジー「武藤彩未また見たいな。4月に見たライブほんとすごかったよ。埋め込み無効なのでリンクからどうぞ

司会者「この時のライブについては宗像明将さんの筆圧強めのレポも出てます」

レジー「ほんと力入っちゃうのがわかる感じのライブだった。アイドルが出るステージを見ると、でんぱ組がフォレストなんだよね。すごい楽しみなんだけどさっき貼ったツイートの通りくるりとのかぶりが痛い。9nine、チームしゃちほこ、女子流はウィングテント。正直これはちょっと萎える。フェス行ってあの空間でアイドル見るモードにならないなあ」

司会者「ちょっと話が前後しますが、事前に発表されていた4組が既存のステージに出演する一方で先ほど触れた「BUZZ SPECIAL」として出るアイドルは今回新設されたBUZZ STAGEでの出演になりますね。DJブース改めBUZZ STAGE」

レジー「処置としてはカウントダウンジャパンでアストロアリーナ作ったのに近いのかな。いずれにせよ、DJブースと言いつつDJだけじゃなくなってきてた実態との乖離を埋めようって話だよね」

司会者「DJブースがいろんなタイプの音楽が集まる場所になっているというのは昨年のエントリでも触れたところですね」

ロックインジャパンについての雑記9 -当フェスはROCKIN'ON JAPANとは一切関係ございません
ロックインジャパンについての雑記11 -変曲点となるかもしれない2013の振り返り

レジー「DJブースというものがなくなること自体は少し寂しさもあるけど、個人的には「役割を終えた」って部分もあるような気もしてます。基本DJブースには毎年複数回足を運んでいるので、ちょっと昔を振り返りつつそんな話をしていきたいなと。過去のひたちなか記事でもちょこちょこ書いてる内容もありますが改めてまとめ直してみます」


DJブースから見るひたちなかの歴史(レジーのブログ ひたちなか考察ダイジェスト)

司会者「形は変われどDJブース自体は初回の2000年からあるんですよね」

レジー「当時は屋根もなくただ台があるだけみたいな感じで。2日目は天気悪くてなくなっちゃうくらいの位置づけ。編集部の人がDJしてたね。たぶん鹿野さんだったと思うけど、プライマルの“Rocks”流してたのが印象に残ってる。あとアースの“September”からオザケンの“強い気持ち・強い愛”ってつなぎがすげー楽しかった記憶がある」

司会者「売れる前のキックザカンクルーが唯一のライブアクトとして出てました」

レジー「お客さん10人くらいでね。確か“タカオニ2000”で感激して帰ってからCD買ったんだよな。次の年フジロックでも見たよ」



司会者「DJブースのあり方が変わる年に最初に出てた人たちが復活という形で大きいステージに出演するのも感慨深いですね」

レジー「ねえ。01年も確かまだ屋根なくてステージって感じではなかったね。この年は友達と2人で行って、今で言うサークルモッシュ的なものを発生させてた」




司会者「そんな時代もあったんですね」

レジー「DJブースで最初にああいう感じの雰囲気になったのこのときが初めてなんじゃないかと思っている。ケミカルブラザーズの“Hey Boy Hey Girl”とかで死ぬほど盛り上がってた。お約束を皆でやるってよりはただただ踊り狂ってる感じ」



司会者「DJブースで出会って好きになる曲ってのもありますよね」

レジー「capsuleの“グライダー”とシロップの“My Song”はDJブースで知って公式BBSに歌詞とか曲の雰囲気書き込んで教えてもらったりしましたね」





司会者「こういうのが醍醐味だったりしますね」

レジー「その一方で、違う空気が感じられるようになってきたのが06年07年あたりで。この辺も以前から書いてる話ですが、僕が目の当たりにしたのはこんな光景」

・サニーデイ“サマーソルジャー”がかかる→そこにいる人たちはこの曲を知らなかったようで、「何この曲?」みたいなムードになる→誰かがやり始めたちょっとふざけた振付をそこにいた全員でやる感じになる→それでも飽きちゃったようで、2番サビ終わりあたりで曲と関係ないモッシュ状態になる

・ダイノジのDJでトライセラ“Raspberry”がかかる→それまで盛り上がってたお客さんがあからさまに反応が悪くなる→大谷さん「知らなくても踊れ!!」


司会者「知らない曲、ちょっと古い曲への反応が明らかに悪くなるんですね」

レジー「僕の印象としてはそういう感じになったのがこのあたりから。先日WOWOWのぷらすとで大谷さんが「あそこのDJブースはハイスタ“STAY GOLD”が1日に何回かかるんだって感じになってた」と言ってたんだけど、あの空間の状況をすごく端的に表してますよね。「知ってる曲で盛り上がりたい」っていう願望を満たす場になっていったというか。一体感、知らない人とハイタッチみたいな「非日常体験」を演出するための媒介に「アンセム」が使われるようになっていくんですよね」

司会者「ホルモンの曲でヘッドバンギングとか」

レジー「そうそう。そういう「お約束」を楽しむ場というか。盆踊りに近いのかね。未知の音楽との遭遇とかではなく、定番の曲とシンプルな振り付けって構造とか」

司会者「そういう流れが定着してきたタイミングで、去年はアイドルやボカロPなど今までにないタイプのアクトが増えていわゆるDJタイムは短くなりました」

レジー「それが発表されたときにこんなツイートしました」




司会者「もう一度いろんな音楽に出会う場としてDJブースを定義しなおしたのが去年の改革ということですね」

レジー「うん。その心意気がDJブースだけじゃなくてフェス全体で感じられたってのが上の方で紹介した過去のフェス記事の趣旨。で、今年はそれをさらに押し進めるという意味で「DJブース」という名前すら変えてしまうと。加えて、今年もDJとして出演するダイノジは「フェスに出演するアクトの曲はかけない」と宣言。これもこの流れと合致してる感じ」




司会者「というのがこれまでの経緯ですね」

レジー「ここまでを踏まえてさっきちらっと言った「ひたちなかにおけるDJブースは役割を終えたのではないか」ってことを考えたいんですけど、ある意味では「DJブースが本来持っていた楽しさ・価値観がフェス全体に行き渡った」とも言えるんじゃないかなと思っていて。ここからそんな話をしたいなと」


「ロック」多様化時代のロックフェス 切り刻まれるDJブースの提供価値

司会者「まず「DJブースが本来持っていた楽しさ・価値観」というところですが」

レジー「ここは当たり前の話ですけど、「演奏ではなく」「既存の音源を流して」「それ目当てに集まった人たちと楽しむ」という構造ですよね」

司会者「生のバンドがいるわけではなくて、音源を再生する人がいると」

レジー「うん。これ踏まえて去年と今年のフェス全体のアクトを確認すると、この構造に該当する人たちが普通に出演してるじゃないですか」

司会者「ああ。去年のトリのPerfume、今年の初日トップバッターのゴールデンボンバーですね。「演奏ではなく」「既存の音源を流して」「それ目当てに集まった人たちと楽しむ」をさらに規模を拡大してやってる人たちとも言えますね」

レジー「Perfumeがフェスに出始めたころに友人が「DJブースの楽しさは今全部Perfumeのステージにある」って言っててなるほどと思ったんだけど、そういう人たちが今やフェス全体の大トリになってるわけです」

司会者「ゴールデンボンバーもついに出演って感じですが」

レジー「JAPANに最初に出たのは去年のあたまというか一昨年の年末というかって時期だったけど、そこから1年空いたね。去年出てたらちょっと刺激が強すぎたけど今年は何か別にまああるよねって感想しかない」

司会者「グラスステージのトップバッターです」

レジー「渋谷さんがどうやって呼び込むかも含めて、この人たちのステージは見たかったな。単純にエンタメとして興味があるのと、演奏するふりをするメンバーを見てフェスTの人たちが盛り上がりまくるわけでしょ。「ロックフェスとは何か」みたいなことを考えずにはいられない空間になるよね。で、このゴールデンボンバーのやるであろうことって、言ってみればDJブースで行われてたポリシックスのハヤシのパフォーマンスに近いものがあるというか」

司会者「確かに」

レジー「この辺の話はこのブログでもたびたび紹介している円堂都司昭さんの『ソーシャル化する音楽』の「POLYSICS・ハヤシの実演とエア芸」「Perfumeとゴールデンボンバーのライブ感」という項で詳細に取り上げられています。本全体をご一読お願いしたいのですが、関連しそうなところを抜粋しておきます」

ハヤシはPOLYSICSのライヴで力いっぱいギターを実演する一方、DJではエア・ドラム、エア・ヴォーカル、エア・キーボード、エア・ギターと、エア芸のし放題だ。そして、2012年にはフェスの場だけでなく、POLYSICSが前座、ハヤシのDJが本編という本末転倒のツアーまで展開した。
ライヴ=実演と考えるならば、フェスという巨大ライヴ空間で、レコーディング音源を回すDJやエア芸が定番となっているのは、倒錯的なことだろう。ところが、この種のノリはロック・イン・ジャパンだけのものではない。(後略、以下、エアギター選手権やサマソニのカラオケ大会など)本来、生演奏の祭典として出発したはずのフェスで、サイド・ショーとはいえ非実演の音楽遊びを企画するのが常態化しており、観客もそれを嫌悪することなくおおむね笑って受け入れている。
倒錯は、サイド・ショーだけの傾向ではない。

打ち込み音源の再生・加工、DJプレイなどに関しても、まさに今、ここの“現場”で進行しているのだという場所性、時間性の全体のライヴととらえるのが、ヒップホップ的、テクノ的な感覚である。こうした感覚が次第に広く受け入れられるようになり、気がつけばエア芸、カラオケといった音楽遊びまでがフェス空間で許容されていた。それらに共通しているのは、音楽にまつわる行為を目撃し、体験を共有する“現場”性というライヴ感だ。



司会者「「音楽にまつわる行為を目撃」ね」

レジー「この表現はフェスに関するもろもろをうまく説明してる気がする。DJブースで行われていたことが今はメインのステージで行われるようになって、それを普通のものとして受け入れる土壌ができてきたと。こういう環境において、わざわざ「DJブース」って形であの空間をセパレートする意味がなくなったってことなんじゃないかな。「ここはライブ演奏する場所」「ここは音源流して楽しむ場所」って区分けは不要で、今は全部「ライブ」なんだと」

司会者「ギターを弾いてようが弾いてなかろうがいいんですよね」

レジー「あんまりそこ立ち入りたくないけど、そういう意味ではあの発言も今の時代の流れを捉えてるとも言えるわな」

司会者「その発言者が大トリで出るってのもできすぎてますね」

レジー「そうね。「ゴールデンボンバーで始まってセカオワで終わるフェス」ってすごいな。何か思想めいたものは感じるね。僕は初日行かないし、たぶん最終日も早めに帰るからあんまり関係ないけど」

司会者「去年Perfume最後まで見て大丈夫かなとドキドキしてたのとはえらい違いだ」

レジー「たぶん在日ファンクちらっと見て帰る気が。まあその辺は当日また考えます。こんな感じで、今回はDJブースの楽しさがフェス全体に知らず知らずのうちに浸透した結果、「DJブース」という空間そのものは役割を終えたってことかなということをつらつらとまとめてみました」

司会者「わかりました。次回はどうしますか」

レジー「たぶんインタビュー企画ですね。お楽しみに」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
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