レジーのブログ LDB

「歌は世につれ、世は歌につれ」でもなくなってきた時代に。  ※15/4/23 世の中の状況を鑑みてfc2からこちらに移しました

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2015年01月

ランキングを比較して見えてくるもの--「ネットの音楽オタクが選んだ2014年の日本のアルバム」を基点に

ますます話題沸騰「ネットの音楽オタクが選んだ2014年の日本のアルバム」

司会者「昨年に引き続き、「ネットの音楽オタクが選んだ2014年の日本のアルバム」が公開になりました」

レジー「今回は370の年間ベストをネット上からかき集めて作成したとのこと。去年も言ったけどこれほんとすごいよね。そして価値のある記録だと思います。ローデータを集める尊さ」

司会者「2年目ということもあってか結構話題になってましたね。それに伴ってごちゃごちゃクレームをつける人も出てきた印象です」

レジー「まあ反響大きくなると外野が鬱陶しくなるのは当然なんだけど、気になったのは「これ言っとけばダサイとは言われないであろうランキングにしか見えない」みたいなやつね。はてぶとかこの企画に関する2ちゃんまとめみたいなやつで見たんだけど」

司会者「こういうこと言う人普段何聴いてるんですかね」

レジー「たぶんここに出てくるような人たち好きなんだろうね。で、こういうの聴いてる自分は個性的、と思ってたら自分の好みと同じようなランキングが出てきて、「自分は良さがわかって聴いてる、あとの奴らは聴いてるポーズをとってかっこつけてる」みたいに心の中で必死に差別化してるんじゃないのかな。完全想像ですが、もしそうだったら「残念だったねみんなと一緒で」と言ってあげたい」

司会者「この辺は前回の記事ともリンクする話ですね」

レジー「そうね。最近の問題意識の一つですわ。あとこの手の批判、というにはあまりにも稚拙なドヤ顔指摘ってよく見るけど、1億歩譲って仮にそういう意識の人が大量に集まったランキングであったとしても、時代の空気を把握できるものとして十分価値があるからね。もちろんサンプルに偏りはあるんだろうし、「日本の音楽の「大体あの辺」を聴いている人たちのランキング」になってはいるんだろうけど、その範囲に限ったって今までは「民意」みたいなものが可視化されてたわけではないから」

司会者「はてぶのコメントに「偏ってようが参考になることにかわりはない。」ってのがありました」

レジー「ほんとその通りよ。というわけで、昨年もこのランキングに関するエントリを書いたのですが、今年も敬意を表してこの貴重なデータをちょっと深堀したいと思います。自分の嗜好との比較、大手メディアとの比較、ヒットチャートの比較という観点で話を進めていきたいなと。このランキング見ていない方は別タブで開きながら読んでいただくといいかも」
150位~101位 100位~51位 50位~1位


ネットにおける「レジーのブログ」の立ち位置

司会者「まずは「レジーのブログ」とこのランキングを比較してみましょうか」

レジー「はい。去年はブログで年間ベストを選んだだけじゃなくてMUSICAでシングルアルバム混在のベスト50も公開してます。なので、「1. レジーのブログ年間ベスト10枚」「2. それ以外でMUSICAのベスト50に選んだアルバム」に関して、「ネットの音楽オタクが選んだ2014年の日本のアルバム」と比較してみました。それがこの表です。ちなみに2. を選んだ後に1. を選んで一部順位が動いちゃってるところもあるので、2. については順位はつけず☆で表記してます」

レジーかぶり正正


司会者「「レジーのブログ」1位の蓮沼執太は9位でした」

レジー「結構上の方で嬉しい。あとトライセラが低いなー。発売時期の問題もあるかもだけど」

  (amazon)

司会者「12月発売だったので聴かずに選んだ人もいるかもですね」

レジー「もっと話題になっていいのになあ。で、今回照合してたら「去年に比べて自分の10枚が上の方に来てるなあ」という感じがしたので検証してみました。それがこちら」

2013年
「ネットの音楽オタクが~」との重複 10枚中9枚
9枚の「ネットの音楽オタクが~」における順位平均 52.56位

2014年
「ネットの音楽オタクが~」との重複 10枚中9枚
9枚の「ネットの音楽オタクが~」における順位平均 28.89位


司会者「「自分の良いと思うものと“みんな”の良いと思うものの差分」が狭まっていると」

レジー「ここをどう解釈するかは微妙なところですが、前半部でも紹介したこの前の記事に書いた「狭い範囲で“いろいろ”聴いてる問題」が数字にも出てて面白かった。一方で重複していない、つまり僕が選んでも「ネットの音楽オタクが~」には登場しない作品もいくつかあって、さっきの表でピンク色になっているところです」

司会者「ソロの歌手が多めですかね。あと歌主体の作品とか」

レジー「森山直太朗のアルバムとか入りそうなもんだけどな。野宮真貴のライブ盤は歴史的な意義もある作品だと思います」

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司会者「ソロが「ネットの音楽オタクが~」で弱いということの具体例としては、アナログフィッシュが入ってて佐々木健太郎が入ってないとか」

レジー「なかなか横に広がるのは難しいのかね。たとえばTHE NOVEMBERSは入ってるけどPLASTICZOOMSは圏外とか。かっこよかったんだけどなーあの作品。ウワノソラが入ってないのも意外だった。一部で盛り上がってた気がしたんだけどほんとのほんとに一部だったのか。ちょっと前に話題になったあっぷるぱいとか、「ネットの音楽オタクが~」に入ってるやつでいうとayU tokiOとか好きな人にはいいのでは」




「ロックジャーナリズム」と「ネットの音楽オタクの“民意”」

司会者「次は大手メディアとの比較とのことですが」

レジー「これについては散々言及しているMUSICA編集部が公開した2014年のベスト50がちょうどいいサンプルになるかなと。対象としているゾーンもある程度は重なるはずなので」

司会者「この企画については編集長の有泉さんが特集の最初にこんな声明を出しています」

今の時代における音楽メディアの意義と役割とはなんでしょう。
ただカタログのように情報を発信することだけがメディアの意義ではありません。
あるいは、ただ売れているものを追うことだけがメディアの役割ではありません。
音楽メディアは、音楽メディアに対してのオピニオンを発する存在であるべきだと、私達は考えます。
であれば、最早「音楽」の状況を的確に捉えた国内チャートが存在しない時代だからこそ、
我々のようなメディアが、我々の視点と批評性をもって邦楽シーンをとらえるチャートを発信することに意味があるのではないか、私達はそう考えました。

レジー「つまり、MUSICAから見て「2014年の音楽シーンはこうだった」という意思表示であると。それなら、それが「ネットで自分の年間ベストを公開するような音楽好きの集合知」とどう重なってどう異なっているのかを見ると楽しいかなと思って検証してみました」

司会者「MUSICAのベスト50はシングルも含まれていて、アルバムは37作品です」

レジー「その37作品と、「ネットの音楽オタクが~」の150作品を比較してみました。その結果がこちら」

MUSICAがチョイスした37作品の「ネットの音楽オタクが選んだ2014年の日本のアルバム」における順位分布

~50位 20作品
51位~150位 8作品
圏外 9作品


司会者「へー」

レジー「上位はまあまあ重なってるんだよね。たとえば「ネットの音楽オタクが~」の1位~5位はMUSICAでもチョイスされてます。これに関しては圏外を見るのが面白いです。9作品の内訳はこちら」

MUSICAのみ

司会者「キッズに人気!的な人たちの名前が見受けられます」

レジー「グッドモーニングアメリカがここに出てくるのとかすごい象徴的な感じするな。確かに自分の観測範囲ではツイッターでコメントされてるのほぼ見たことないや。ここに出てくるのはフェスでガッツリ盛り上げそうな人多めだけど、その手の人たちはネットだとあまり言及されない印象」

司会者「UVERworldもここなんですね」

レジー「2013年くらいからいわゆるロック系のメディアで名前聞くようになったけどネット上だとほぼ無視状態なのが面白い。てか僕自身もここにある9枚は見事にどれも聴いてない。plenty今度聴いてみよう。一方、今度は逆の比較です。MUSICAは前述のとおりアルバム37枚選んでるので、では「ネットの音楽オタクが~」で37位以内だけどMUSICAには選ばれてない作品をピックアップしてみました。それがこちら」

ODC○MUSICA×正

司会者「ふむ」

レジー「たとえばMUSICAだと森は生きているとShiggy Jr.は選んでて、シングルでceroも選んでたけど、シャムキャッツとヨギーは入ってないのねとか。あとオウガとかハイエイタスとか、ロックバンドのフォーマットをとりながらも違うレイヤーに行っちゃってる人らが選ばれていないのも興味深い」

司会者「一方でユニゾンみたいなド直球なロックバンドもここにいます」

レジー「ユニゾンはああいうバンドでありながらネットでのほうが支持厚いっていう面白い構造になってるのかもしれない。あと当然アイドルもここにいるよね。Especiaが出てきてます」

司会者「いろんなジャンルがありますね」

レジー「うん。MUSICAが「狭義のロックバンド」も高く評価してる一方で、ネットのランキングになるとまた違ったものが求められると。この辺は最近僕がよく言ってる「もはや網羅できない」話ともつながってきますが。音楽に限らずだけど、それぞれのメディアのスタンスを理解したうえで並べて楽しむのがいいよね。で、最後の比較対象としてオリコンの年間チャートを見てみたいと思います」


ますます失われたオリコンとの接点

司会者「オリコンとの比較は「ネットの音楽オタクが~」、MUSICAそれぞれで行いました」

レジー「去年ともセットで並べますが、個人的には結構なるほど感あった」

オリコン正


司会者「「ネットの音楽オタクが~」で見ると、去年の6作品が今年は1作品に」

レジー「なんかこれを見て、この前参加したMUSICAの2014年総括座談会で鹿野さんが「2014年は括りにくい年だった」みたいなことを言ってたのが分かった気がした。2013年は分かりやすいトピックがあったのね。サカナクションのセールス的なブレイクスルーと大団円としての紅白出演もそうだし、Perfumeの世界戦略を見据えたアルバムとドームライブもそうだし」

司会者「サカナクション、あとホルモンにワンオクあたりで「ロックバンドがセールスとしても頑張った」みたいな話もありましたね」

レジー「うん。ももクロが売れたうえにネットで評価されたのも、「アイドルを訳知り顔に語る」ブームの一つの到達点だったのかもしれないし。そういうレベル感で語れる話題が2014年はバンプだけだったのか」

司会者「初音ミクとやったりドームでやったりトピックはありましたが」



レジー「もちろんそれそのものはビッグトピックだけど、どちらかというと「シーンの話題」というよりは「バンドの話題」という印象」

司会者「なるほど。まあでも、別にオリコンで上の方に行こうが行くまいが良い音楽はたくさんありますよ」

レジー「もちろんそれはそうだし、ネットの音楽オタクが~」という企画はまさにそういうことを証明してくれてるものだよね。ただ、やっぱり「音楽好き」の狭い範囲で盛り上がってるだけじゃなくて、ほんとに世の中ごとになる瞬間が見れるといいなあとも思う。それを計測する基準がオリコンでいいのかってのはまた別問題だけどね。今回はこんな感じで。「ネットの音楽オタクが選んだ2015年の日本のアルバム」も楽しみにしています」

司会者「わかりました。次回はどうしますか」

レジー「例によってですがちょっと検討中です」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

「いろいろ音楽を聴く」の「いろいろ」についての自己問答

結局2014年は何が売れたのか

司会者「新年一発目のエントリーです」

レジー「今年もよろしくお願いします。もう正月も遠くになりにけりだけど」

司会者「年末の歌番組関連の文章をいくつか書きましたね」

レジー「Mステスーパーライブ紅白について、どちらもDAILY MUSICに書きました。未読の方は良かったら。あとレコ大もざーっと見たよ」 

司会者「三代目J SOUL BROTHERSの「R.Y.U.S.E.I.」が大賞を取りました」

レジー「まあよく聴いたと言えばよく聴いたし順当なのかな。しかし結局2014年は何が売れたのかね」

司会者「オリコンチャートは例によって48関連とジャニーズ、EXILE関連で占められていました

レジー「これに関してはその辺除け!っていういつもの声に応えてそういうチャートを作ったら1位がゴールデンボンバーで2位がモーニング娘。だったって話が最高に面白かったなあ。それで満足しましたか?って感じよね」

司会者「さらに複数種売りを除くとアニソンばっかりになるという」

レジー「未確認だけどアニソンも店舗別の特典とかつけてるらしいから実質「複数種売り」と一緒だよね」

司会者「もはや1種売りだけで見ろ!とかいうクレーム自体に無理があるんでしょうね。複数種売りが今の時代の販促手法として定着してるわけで、そこを無視したランキングを作ってもそれはそれで意味がないというか」

レジー「前さやわかさんも言ってたけど、タイアップという手法も含めて「楽曲だけの力」っていう考え方自体が幻想なんだよね。ミュージシャンがオリコンに文句つけるのは当事者としての声だからまだいいとして、受容者側としては「オリコンはそういうランキング」と割り切って他のランキングと見比べるほうがよっぽど有意義だなと。たとえばカラオケのランキング見ると、10代の上位はボカロ曲ばっかりで占められてたりするわけで。そういうのにびっくりする方が楽しい」 

司会者「いくつかのチャートを見ることで見えてくるものもありますよね」

レジー「たとえばアルバム映像パッケージ、レコチョクと見ると全ての年間トップ10に安室奈美恵が入ってるんだよね。この安定感はすごい。最新曲の“BRIGHTER DAY”も最高よね」
 


司会者「iTunesのチャートを見ると、アナ雪の“ありのままで”に続いて秦基博の“ひまわりの約束”が2位になっています」



レジー「この曲は売れた感じがあるよね。紅白で見たかった。この前のMUSICAで桜井さんがこんなこと言ってたんだけど」

昨日ふと思ったのは、今年(注:2014年)に入ってみんなで歌える曲って何があったかって言うと、アナ雪と妖怪ウォッチのやつぐらいですよね。あと、秦(基博)くんのやつ(“ひまわりの約束”)はみんな知ってるいい曲だけど、みんなで歌うっていう感じとはちょっと違ってるし。

司会者「確かにここに出てくる3つは「2014年の代表曲」として納得感があるような。あとさっきの安室ちゃんの曲と“ひまわりの約束”は「レジーのブログ」の年間ベスト10曲でも取り上げました」

レジー「まあでもいわゆる「音楽好き」の話題にはなっていない気が」

司会者「13年の秦基博のアルバムもそこまで盛り上がりませんでしたよね。いいアルバムだったのに」

レジー「この辺は昔kenzeeさんがユニゾンを例に挙げたり「山下達郎は取り上げても小田和正は取り上げない」という説明をしたりしてた「単に曲がいい、パフォーマンスがいいというだけでは議論の対象にならない」という話に通じるかなと。まあそうは言っても安室ちゃんも秦さんも別に「ネットの音楽好き」の間で盛り上がらなくたって十分売れてるからいいよね。ただ、自分のリスニング傾向とかも改めて振り返ると「特定のコード」に乗らないと広がっていかない実態というか、もっと言うといろいろ聴いてます!ってスタンスの人の趣味がやたら似通ってくるみたいなところは間違いなくあるなあと最近ぼんやり考えます。ここからそんな話ができれば」


「特定のコード」に支配される「いろいろ聴く音楽好き」の趣味嗜好(自分自身がまさにこれ)

司会者「趣味がやたら似通ってくるという話でしたが、自分の趣味は先日のMUSICAでの2014年ベスト50にて思いっきり開陳しましたね」

レジー「そうね。あれ見直してて思ったんだけど、ほんとにわかりやすいものになってるというか、たぶん「日本のポップミュージックが好きです」って言う人が拾いがちなジャンルがきれいに集合してる感じはあったね。典型例というか。あれを「サブカル」って言う人もいるだろうし」

司会者「具体的にはどういった点が」

レジー「あそこで挙げたものに限らずだけど、自分が好んで聴く、もしくは好んで聴いていますと発信してるものの結構な割合が大きく分けて4つのカテゴリーに含まれるんだよねたぶん。まず1つめが「ロキノンムジカ的な“広義のロック”」。そういった界隈に偏っていく人たちをちょっと白い目で見たりしつつも、結局その磁場からは逃れられない」

司会者「なんだかんだで影響力はありますよね」

レジー「うん。「次から次に何でもかんでも持ち上げやがって」的な悪態をつきつつも、その中にほんとに好きになっちゃうバンドが結構いるから結局乗せられちゃう。で、前に聴いていたものは自分の中でちょっとだけ影が薄くなることがままある。僕みたいな人がもしそれなりにいるのだとすれば、中堅クラスのバンドはこういう「やってることは変わらずでも支持者が流れていってしまう」という問題と否応なしにも向き合うことになるわな。で、2つめが「“楽曲派向け”ポジションのアイドル」ね」

司会者「このカテゴリーは何かと議論の的になりますよね。このブログでもたびたび取り上げています

レジー「「こういうのしか聴かない奴の是非」みたいな話は僕もたまにやるけど、自分自身も基本的にはそういう層だというのはこの前のMUSICAの50に入れたアイドルの並び、女子流にでんぱ組、リリスクにNeggicoっていうを見て改めて再確認した」

司会者「ここ数年は「そういうのを聴くことによる“差別化”」みたいな風潮もありましたよね」

レジー「結局ロックフェスにアイドルを出すのも、「そういうところにも理解がありますよ」というオーガナイザー側のポーズというか、「違いの分かる俺」感を出したいリスナーの姿勢と一緒なのかなとか今思った。で、“差別化”のツールとしてアイドルがワークしない時代になってきて、今度はその代替として「実は西野カナいいよね」って声が出てきてる気がする。ここは余談だしまだ仮説にすらなっていない肌感覚の話だけど。で、3つ目が「インディー」。ファジーな概念ですが、「東京インディー」とか「シティポップ」とか呼ばれる界隈」

司会者「2014年でだいぶ浸透した気がします」

レジー「Shiggy Jr.みたいにわかりやすく開かれた人たちが出てきたこともあってだいぶ敷居が低くなってきたのかな。実際に面白いグループがたくさんいると思うし、話題になりやすい雰囲気は今あるよね。で、4つ目が「ジャニーズ」です」

司会者「2014年はSMAPのアルバムが話題になりました」

レジー「実はジャニーズの曲がいい!みたいな話はいろんなタイミングで出てくるけど、去年はその空気が特に強かった気がするなあ。キンキのアルバム早く聴かなきゃと思っている。で、ここまであげた4つのカテゴリーに、自分が好きな音楽ってかなりの割合で入ってくるなあと。これをどこまで一般化していいのかは微妙なんだけど、「日本の音楽を幅広く聴きます」って言う人のうちこの4つの趣味傾向で説明できる人はそれなりにいる気がする。CDショップ大賞も大体このあたりでしょ」

司会者「あー」

レジー「この4つに僕はちゃんと追っていない「“良質なポップス”系の声優」を加えると、さっき言った「特定のコード」というものの正体が明らかになるんじゃないかなー。ウェブでバズが起こりやすい一群。あれいいよねこれいいよねって話が無意識のうちにこの中で完結しちゃってることが多くて、それ以外はスコープ外になりがち。たとえばビジュアル系ってちゃんとしたマーケットがある一方で、いわゆる「音楽シーン」みたいな話になるとほとんど出てこなかったり。あとは「ロキノンムジカ的な“広義のロック”」ってところから離れていって独自の存在になっちゃってる人たちも意外とスルーされやすいような」

司会者「クラムボンとかね」

レジー「うん。レキシくらいぶっ飛んだものになるとまた違う回路で引っかかったりするけど。なんでこんな話をしているかというと、ベスト50を公開したMUSICAの座談会で「シーンの網羅なんて無理、それぞれが追える範囲の中で各自が追っていけばよいのでは」ってことを言ったんですよ。で、ここには「「それぞれが追える範囲」を繋ぎ合わせていけば、なんとなくシーンの概観みたいなものはもしかしたら作れるんじゃないか」っていう含意もあったんですけど。でも「それぞれが追える範囲」ってのが近い人たちで集まっちゃうのがネットの特性だったりもするから」

司会者「似たようなものをいいって言う人が集まって、その中で純化していくってところはありますよね」

レジー「「邦ロック」だけ聴いてる人たちを見て「タコツボ化が進んでる」なんて自分でも言ったりするんだけど、「日本のロックに目配せしつつ、“様々なジャンル”にも目を向ける」っていう形トータルでタコツボ化が進む現状ってのもまたあるなあと。ここは無限ループ系の話で考え出すとドツボる感じもあるけど。超個人的なことを言うと、2014年の終わりくらいから「「特定のコード内でいろいろ聴いている」という画一化」みたいなものへの閉塞感を自分の中で感じ始めたんだよね」

司会者「バンドキャンプで全く情報のない韓国の人たちの音源を掘ってるのもそういうメンタルが影響してる部分もあるんでしょうか」

レジー「たぶんそうだと思う。さっきあげた「自分がよく聴くカテゴリー」って、良くも悪くも自分にとって「そんなに頑張らなくても新しいものも含めて自然と情報に接触できるし、その中から好みのものを見つけられる」っていうところがあるわけで。それはツイッターでフォローしてる人のタイプとか日常的に見るメディアの種類とか、もっと長い期間の積み重ねも含めていろんな要因があるんだけど。なんかそういう「手癖」で出会える音楽じゃないものに触れたいって欲求が高まった結果、とりあえずバンドキャンプのタグを追いかけてるみたいなところはある。ほんとに全部未知だから。ただ、当たり前だけど自分になじみのある「日本のポップミュージック」って括りでも「手癖」の外にある音楽はまだまだ大量にあって、その中にはまだ出会っていない自分好みの音楽もあるはず。2015年はそういうのに意識して触れていきたい。とりあえずさっきあげた4つのカテゴリー以外のものでもいい作品にちゃんと出会いたいなあと」

司会者「それで言うと、MUSICAのベスト50に入れたTTREとかスムースエースとかはある意味「4つのカテゴリー」以外のものかもですね」





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レジー「そうね。あれは自分のルーツでもある「アカペラ」ってところとの関連性で聴いたわけだけど。「MUSICA見たけどレジーさんと趣味が合う」みたいなツイートいくつか見てそれはそれで嬉しいんだけど、たぶんその人たちはTTREとスムースエースは聴いてないような気がするんだよね。聴いてたら申し訳ないですが。この「趣味が合う」って話は最初に言った「特定のコード」で動いていますってことでしかたぶんないから。「趣味が合う」と言ってくださった方々には、2015年は一緒にその「趣味」に偏重するリスニングスタイルを解体していきましょうと言いたいですね。たぶん「ナタリーの読み飛ばしてたニュースを踏んでみる」とか「たまにはロキノンやムジカじゃなくてCDジャーナルやワッツインを見てみる」とかそういうちょっとしたことでだいぶ視界が開けていくはず。俯瞰の話と超個人的な目線が混ざってるのでどこまで共感性があるのかわかんないけど、読んでくださった誰かのもやもやを言い当てられてたら嬉しい。あ、ちなみにこういう話になると「なら海外の音楽を聴けば・・・」みたいな突っ込みが出てくることがたまにありますが、それはそれで別にマイペースに聴きますのでお引き取りいただけますと幸いです」


女子流のアーティスト宣言は「特定のコード」への挑戦

司会者「今年の抱負みたいな内容は新年一発目っぽくてよいのですが、もう少し具体性のある話があった方がよいのでは」

レジー「そうねえ。あ、最近「東京女子流がアーティスト宣言」って話題があったじゃないですか」

司会者「はい。全文はこちらで。今後アイドル系のメディアには出ず、「アイドルらしい」初期の人気曲は封印、制作にもメンバーが関わるなどいくつかのトピックがありました」

レジー「これ、呼称的な話で言うとどっちでもいいかなとは思うんですよね。そもそもこの人たちは「アイドル」と名乗っていたわけではないという背景もあり」

司会者「ダンス&ボーカルグループってことでしたよね」

レジー「『「アイドル」の読み方』でおなじみの香月孝史さんがリアルサウンドで解説してるけど、短絡的な「アーティスト>アイドル」みたいな話でもないだろうし。ただ、このタイミングで新曲はメンバーが作詞しますっていうのはいかにも感あるなあと思っちゃうけど。で、この「アーティスト宣言」って、今回話した「特定のコード」に対する挑戦ともとれるかなと思うんですよ。ちょっとこじつけですが」

司会者「女子流と言えばさっきあげたカテゴリーのうち、「“楽曲派”向けポジションのアイドル」の牙城ですよね」

レジー「そういうわかりやすいところから降りて、「アーティスト」もしくは「ミュージックスター」っていう曖昧模糊とした存在を目指すと。オリジナルな存在を目指すという志は立派だし、複数種売りで関わる人誰もが消耗していくところから一抜けするのはいい判断だとは思うんだけど、一方で単に露出が減るだけになるリスクもあるよね」

司会者「その辺特に明確な勝算があるわけでもないみたいですよね」







レジー「何も降りてこないで埋もれてっちゃったら・・・っていう怖さはあるけど、もしかしたら「単に曲とパフォーマンスのいい女性ダンス&ボーカルグループ」がちゃんと評価される道筋みたいなものが見えてくるかもしれないよね。女子流が「昔は「楽曲派」に有難がられていたアイドル」ではない独自のものになったとき、正直それが何なのかはまだよくわからないけど、音楽シーンにおける新しい場所が開けるきっかけになるのかなと。そんな期待を持ちつつこのトライを見守りたいと思います。いろんな話をしましたが今回はこんな感じで」

司会者「わかりました。次回はどうしますか」

レジー「いくつか考えているんですが一旦未定で」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
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