レジーのブログ LDB

「歌は世につれ、世は歌につれ」でもなくなってきた時代に。  ※15/4/23 世の中の状況を鑑みてfc2からこちらに移しました

ご連絡はレジーのポータルの「contact」よりどうぞ。(ブログ外の活動もまとめてあります)

2015年04月

15年春の音楽番組考 --「水曜歌謡祭」は日本の音楽を豊かにするか 

新しい歌番組、そして「水曜歌謡祭」

 

司会者「4月になってテレビ番組も顔ぶれが変わりました」

 

レジー「ぱるると淳の番組めちゃくちゃ面白いよ」

 

司会者「「淳・ぱるるの○○バイト!」ね」

 

レジー「「淳に塩対応!」みたいな記事の見出しがあったけど、全然普通にしゃべってたよ。ちょっと芸能界のテンポと違うだけで。いわゆるリア充的な人に微妙な疑念と嫌悪感を示す感じがすげー面白い。ぱるるますます好きになったなー。たぶんネットに落ちてるのでぜひ見てみてください」

 

司会者「音楽番組もいろいろ様変わりしましたね」

 

レジー「そうね。でもなんかテレビ局や芸能界の事情でやってるのが多いような。日テレのバズリズムとかなんなんだろうね」

 

司会者「ミュージックドラゴンの枠でやってます」

 

レジー「まずタイトルが救いようもないくらい寒いよね」

 

司会者「はあ」

 

レジー「テレビの人が「ちょっとネットを意識してみました」みたいなときに発揮される異常なまでの寒さ。そしてやってることはミュージックドラゴンとあんま変わらんのよね。メインゲストのトークとライブ、特定アーティストをやや掘り下げる企画、新曲のサビザッピング。なぜわざわざ番組が変わったのか」

 

司会者「メイン司会のマギーがいきなりいなかったりね」

 

レジー「番組名にもなってるバカリズムをいかした音楽番組ってことなのかな。「曲を聴く前にその曲を解説する」みたいなコーナーは、「バカリズムさんのシュールな感覚をぜひ!」的な雑なネタフリなんだろなあと。この前ゲスの曲やってたけど、明らかに手抜いてたし楽しそうじゃなかったよバカリズム」

 

司会者「それで言うとフジテレビの魁!音楽の時間も事情の産物という感じが」

 

レジー「タイトルからしてねえ。とりあえず「魁!」という言葉を残しつつ、中身は「音楽の時間」を引き継ぐという。フジテレビは西内まりやを使い続けないといけないみたいな決まりがあるんだろうか」

 

司会者「まあでも音楽扱ってくれるだけましですよ。日テレのLIVE MONSTERは終わっちゃったし。今期の目玉はフジテレビの水曜歌謡祭ですかね。名曲ライブを毎週生放送で。FNS歌謡祭のコンセプトをそのままレギュラー番組化したという趣で、森高千里の司会など話題を呼んでいます」

 

レジー「「僕らの音楽」をずっと支えてて最後の方にはずれた板谷栄司さんがスタッフに入ってるよね」

 

司会者「とりあえず2回分終わりました。初回の2時間スペシャルと2回目の通常の1時間番組」

 

レジー「印象に残ってるのは、まずは初回の田島貴男。迫力がすごかった。あと三浦大知が出てるのが面白いというか、これをきっかけにまた知名度が上がったらいいなと。ジャニーズと同じ番組に出てるのも今までなかったみたいだし。あと2回目の「小室哲哉が選ぶ90年代の名曲」がいい企画だった」            

 

司会者「ロビンソン、Tomorrow never knows、夜空ノムコウ、Time goes byAutomatic5曲。それぞれの曲に関するコメントも面白かったですね」

 

レジー「音楽好きなんだなこの人って感じが良かった。個人的にはELTTime goes by」が意外。この曲は歌も良かったよ。NEWSの増田くん、マッキー、さかいゆう。みんな出るところと引くところわかってる人たちでよかった。さかいゆうのその辺のバランス感覚は以前も書きましたが

 

司会者「女性ボーカルの曲を男性が、男性ボーカルの曲を女性が歌うという編成でした」

 

レジー「女性が歌ったやつはきつかったね結構。とくにミスチル「Tomorrow never knows」は悲惨だったというか、さかいゆうの記事にも書いた「自分の歌のうまさを誇示するためだけに歌ってる」パターンでしんどかった。アカペラになるところとか目と耳を覆いたくなる感じが」

 

司会者「曲の良さを伝えようという意思はあまり感じられなかったですね」

 

レジー「そもそもあの番組に出てる女性ボーカルの人って、歌い上げるタイプの人ばっかりでバランス悪いよね。森高さんが歌えば解決する話かもだけど。あと生ちゃんもそういう役回りができるはずなのにピアノ要員的な色合いが強いのがねえ」

 

司会者「ちなみに視聴率は初回で7%台と低かったみたいです」

 

レジー「正直誰向けの番組かわからんもんね。必ずしも高齢者向けでもなく、若年層向けというには厳しいし。一部の好事家がツイッターで遊ぶための番組としてはいいと思いつつ、2回目はそのツイートすらも減っていたような」

 

司会者「たまにあるからいいんですよねほんとは」

 

レジー「毎週あるとネタを小出しにせざるを得ないというか、miwaとか秦基博とかFNS歌謡祭のキーマンを毎回出すわけにはいかないもんねえ。ロビンソンとかmiwaが歌ったらきっとすごい良かったんだけどなー」

 

司会者「でもフォーマットは「FNS歌謡祭」的なものだし、結局そのブランドすらも棄損しちゃうというか」

 

レジー「しかも次回早速2時間スペシャルでしょ。年末にはもう飽きてるかもしれない。この番組って、本質的には「名曲」っていういわば共有資産にただ乗りしてるだけって側面も間違いなくあるから、あんまりやりすぎると下品になるよね。実は「夜もヒッパレ」とあまり変わらんというか」

 

司会者「懐かしい」

 

レジー「もちろんそういう楽しさはあるけど、決して高尚なもんでもないというか。「次の名曲」を作る努力は放棄してるし」

 

司会者「番組の最後に出る「この番組は日本の音楽史を彩ったすべてのアーティストに敬意を表し制作しています」というメッセージはその辺に対する先手ですかね」

 

レジー「なんか白々しいなと。まあなんかあれだよね、カバーアルバムが売れるみたいな話もちょっと前からあるけど、日本のポップミュージックはオーバーグラウンドの世界に限って言えば「クラシックナンバーをそれぞれの工夫で歌い継ぐ時代」に入ろうとしてるのかもしれない」

 

 

結局得をしたのは誰か

 

司会者「この手のヒットパレード型というか、新譜にとらわれずにいろんな曲をやるパターンの歌番組はすっかり定着しましたね」

 

レジー「FNS歌謡祭がこっち方向に舵切ったのが2010年だと思うんだけど、その年の4月に「僕らの音楽」の300回記念でカバーコンサートみたいなのをやったんだよね。あれがきっかけになってる気が。今みたいにブレイクする前のmiwaが出てて、ユーミンをめちゃくちゃうまく歌いこなしてた」

 

司会者「フジテレビはミュージックフェアでこの手のカバーは以前からやってますよね」

 

レジー「そうね。Perfume×SPEEDとか」

 

 

司会者「「Dream Fighter」のときですね」

 

レジー「で、こういういろんな流れが10年代のFNS歌謡祭に流れ込んでいったわけだけど、決定的だったのは113月の「FNS音楽特別番組 上を向いて歩こう 〜うたでひとつになろう日本〜」なのかなと」

 

司会者「震災直後の327日の特番です」

 

レジー「日本を応援する的なテーマでいろんな人たちが自身の代表曲を歌う構成だったんだけど、これすごい良かったんだよなあ。ああいう異常事態の時だったからこそ馴染みのある歌を聴けてほっとしたというか。この番組は「名曲カバー」ではなかったから厳密にはFNS歌謡祭とは違うけど、これの評判が良かったことで「CDは売れないし新しい音楽にはみんな興味ない、でも音楽そのものはみんな好き」っていう構造にテレビの人たちが気づいたんじゃないかな。で、制作サイドとしてもこれからの原石を見つけるよりもすでに売れた歌をチョイスする方が手間はかからないし。この辺はテレビの制作現場のこと知らないので完全に素人目線だけど」

 

司会者「ある年代以上の人にとっては馴染みがあって懐かしいけど、若年層にとっては何をやっても新しいという状況になりますよね」

 

レジー「で、そういう場をうまく使ってプレゼンスを発揮する人も出てきたりして。玉置浩二なんか典型だよね」

 

司会者「2010年のFNS歌謡祭はほんとにすごかったですよね」

 

レジー「その後も徳永英明と一緒に歌ったり、毎年見るたびに歌のうまさと迫力にびっくりする。あの番組が確実に新たな支持層の拡大につながってると思います。僕もあれで本当のすごさを知ったというか。どうしても最近はお騒がせキャラな感じの方が勝ってたから。お騒がせという話で言えば華原朋美もそうだよね。小室哲哉絡みのネタは正直ちょっと飽きたけど、最初帰って来た時は結構感動的だった」

 

司会者「今ではフジテレビ以外も含めてこういう歌番組でよく見る気が」

 

レジー「そういう流れに最適化しすぎなような気はするけど、それはそれで今の時代の生き抜き方だとは思う。あとこの2人とは毛色違うけど、実は秦基博もこれ系の番組とのつながりが知名度アップに効いてるよね。しょっちゅう出てる」

 

司会者「番組違いだけど同じテレビ局で前田あっちゃんが「アイ」歌ったのとかもその流れだったんでしょうね」

 

 

レジー「「ひまわりの約束」に続く道はフジテレビが舗装してたわけね。同じくオーガスタのさかいゆうが「水曜歌謡祭」で後を追えるか」

 

司会者「こうやって見ると昔の曲歌うだけの番組からも何かしら生まれてきているわけで、音楽文化に貢献してるとも言えるから単なるただ乗りってわけでもなさそうですね」

 

レジー「確かに新しい出会いのトリガーとして機能しそうな投げかけをしてはいるね。この手の歌番組でしか居場所がない、みたいな人は増えても意味ないけど」

 

 

歌番組との付き合い方再考、テレビとネット

 

司会者「とりあえず直近で始まった音楽番組は辛いですねって話をしてきましたが、結局どういう番組を見たいんですかね」

 

レジー「それに関しては以前読んだこのコラムが印象に残っていて」

 

『ミュージックステーション』にしろ、『CDTV』にしろ、長いことスタンダードな形を守り、淡々と音楽を紹介する音楽番組ばかりが生き残っている。15/3/20 CINRA.NET 「低迷する音楽番組。フジテレビが21年ぶりに挑む『水曜歌謡祭』は、回復の起爆剤となるか?」武田砂鉄)

 

司会者「音楽そのものを淡々と伝えてくれる番組が最終的には良いと」

 

レジー「まあそりゃそうだよね。このコラムにもあるけど、以前の「HEY!HEY!HEY!」にせよ「うたばん」にせよこういう番組があったからこそ成立してたんだよね」

 

司会者「ちなみに今は音楽系の番組だと何を見てますか」

 

レジー「えーと、Mステは毎週見てるのと、MUSIC JAPANも基本は見てる。CDTVは特集飛ばしだりしながらランキング部分を中心に。あと最初に触れたバズリズムもサビなびの後継コーナーは見ると思う。水曜歌謡祭はどうだろうな、欠かさず見るかはまだわからん。邦楽関連はこんな感じか。あとはJCOMテレビでやってる洋楽EXPRESS見るようになって、海外のチャートに出てくるような音楽は人並みにわかるようになった。それから最近またBillboard TOP40も見るようになったわ。ランキング番組は気楽でいいよね」

 

司会者「今挙がってたのは基本どれも有料チャンネルではないですよね」

 

レジー「JCOMテレビはどうなんだろ、マンションで見れるやつだからよくわかんないや。ただスカパーとかそういう類のやつはない」

 

司会者「この辺のテレビ番組でネットや音楽雑誌からの情報を補完する感じですか」

 

レジー「補完というか、こういうテレビで接する音楽とネットとか音楽雑誌とかで触れる音楽ってほんと「違う世界」って感じだよね。だからそれぞれ独立してって感じではあるけど、改めて考えると「ランキング番組でちらっと聴いて気になったものを検索する」って行動プロセスよね。だから東浩紀じゃないけど、自分にとっての音楽番組は「検索ワードを探す旅」ですな。あの本読んでないけど。よく「ネットは偶然の出会いが少ない」的な言説があるけど、確かに検索窓に放り込む言葉のバリエーションがなかったら同じ場所にしか辿り着かないわけで」
 

 

司会者「なるほど。テレビとネットの関係的な話で言うと、前段で文句言ってた水曜歌謡祭みたいな懐メロ番組も、場合によっては新たな検索ワードと出会うきっかけとして機能しそうだしいいんじゃないですか」

 

レジー「それはそうねと思う一方で、テレビとネットの関係ってところをさらに進めると、たぶん今後はテレビの内容が合法非合法含めてどんどんネットにアーカイブされていくわけじゃないですか。そうなったときに、30年後くらいに10年代の音楽ってなんだったの??ってなるんじゃないかなと。ほんとはこんなに面白い音楽が溢れているのに」

 

司会者「その辺はそれこそCSとか有料チャンネルが担っていくんじゃないですか」

 

レジー「まあ確かに「90年代はFACTORYみたいなライブ番組が地上波で深夜毎週やってた」なんて言っても、複数の音楽専門チャンネルでいろんなライブを放送してる今と比較はできないと思うけど。この辺の話、結局今の時代の音楽においてテレビはどこまで重要なのかって論点は、以前もちょっと触れた「音楽を取り巻くメディア間の関係性」みたいなところともつながってるわけで、今年の継続検討テーマにしていきたいですな。で、テレビとネットの話の流れでまとめに入りたいんだけど、先日爆笑問題太田氏のこんな発言が話題になったじゃないですか」

 

ネットがどうこう言ってますけど、テレビがやってる素材をハイエナのようにやってるだけでね。みなさんがつくるものが話題の中心になる。

 

司会者「テレビ朝日の入社式での発言です」

 

レジー「これってすごいお笑いの人の発想だなーと思って。確かにお笑い芸人ってテレビから売れるケースがほとんどだろうけど、少なくとも今の音楽にこの話はそこまで当てはまらないわけで。テレ朝の入社式はこの発言の後大きな拍手が沸き上がったらしいけど、ぜひ音楽に関しても「ネットがハイエナのように追いかける」しかないような面白い動きをテレビから発信してほしいですね。とりあえず昔流行った歌をキャスティング可能なレベルの人が歌うだけの番組じゃもう誰もびっくりしないからね。今回はそんな感じで」

 

司会者「わかりました。次回はどうしますか」

 

レジー「できれば48周りの話をしたいのですがちょっと考えます」

 

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

Awesome City Clubインタビュー番外編 信じる音楽を広く届けるには

レジー「まずは告知ですが、4月8日にメジャーデビューアルバム『Awesome City Tracks』をリリースしたAwesome City Clubにインタビューしてきました。バンドの特設サイトに載っていますので、ぜひ読んでみてください」





司会者「どんな人たちでしたか」

レジー「インタビュー中にトイレに行っちゃう人がいる自由なグループだったよ」

司会者「おい」

レジー「というのは置いといて、5人それぞれにキャラクターが立っていて面白かったです。インタビューでも触れてるんだけど、このバンドは各自別々のキャリアがあって、改めてACCで勝負していこうって人たちなんだよね。それゆえの捲土重来を期す感じというか、野心みたいなものを感じました。でもそれが気負ってるわけでもないのが良いです」

司会者「メジャーデビューまでスピーディーでしたね」

レジー「僕が知ったの去年の春先で、5月に初めてライブ見て、そこからあれよあれよと。すごい。で、今回なんですが、先ほど紹介したインタビューのアウトテイクをお送りしたいと思います」

司会者「特設サイトのインタビューではバンド結成の経緯や音楽的なバックグラウンド、今回のアルバムについてや最近の「シティポップ」氾濫状況ってどーよみたいな話をしています」

レジー「で、こっちでは視点を変えて、たとえば他のアーティストと横並びで見た場合とか、もうちょいマクロな切り口の話をしています。これまでこのブログで取り上げてきたような人たちとの親和性もあったりするのでその辺も合わせて紹介しますね。何かしら「時代の空気」みたいなものが出てると思うので、そのあたりを楽しんでいただければ。冒頭にも書きましたがメインはあくまでも公式サイトのインタビューなので、ぜひそちらとセットでお楽しみください」

司会者「こっちだけ読んで「音楽の話をしてない!」とか言われてもたまらんしね」

レジー「特設サイトが表題曲、こっちがカップリングくらいのイメージです。とりあげるのは「男と女」「フリーとマネタイズ」「インディーとメジャー」の3つ。まずはこんな話題から」


男と女:「男女ボーカル」という切り口で考えるACC

司会者「ACCは男女のボーカルがそれぞれいるのが魅力の一つですね」

レジー「2人の歌が絡むのがかなり重要だよね。息多めでソフトなatagiさんと、色っぽい佇まいに反して意外と少女っぽいPORINさんの絶妙なバランス。これで歌い上げちゃうとtoo muchかもだけど、力の抜き加減がおしゃれよね」



司会者「こういうボーカルの組み合わせについて、バンドの主宰でもあるマツザカさんはこんなことを言っていました」

◆◆
---以前ツイッターで口口口の「渚のシンデレラ」の話をしましたよね。







マツザカ「ああ、すごい好きですね。ボーカルの気張ってない感じが。めちゃくちゃ歌が上手いとか歌声がきれいってわけじゃないけど、あの雰囲気と低体温な女性ボーカルの組み合わせが僕的には気持ち良くて。R&Bシンガーが力入れて歌っているよりも、意外とああいう方が響くなあというのがあります」
◆◆

レジー「「渚のシンデレラ」僕ほんと好きなんだよね。マツザカさんのコメントにもある通り、あの低体温な感じははまります。で、J-POPど真ん中の男女ボーカルのセットって、なんか必要以上にエモーショナルなやつが多い気がするよね。前回の記事でも書いたけど、そういうのって「「歌の上手い俺」と「歌のうまい私」のぶつかり合い」なわけで聴き手置いてきぼりだから。でも「渚のシンデレラ」の淡々とした感じはすっと耳に入ってくる。あと男女の組み合わせで耳馴染のいいやつだとハンバートハンバートとかか」



司会者「2人ともソフトですね。ohanaとかも」



レジー「これ懐かしいな。マイルドに溶け合うのがいいなあ。あとは淡々とした男女の歌ということで言うとスーパーカーの「Lucky」は外せない。ACCってサウンドトータルのかっこよさが引き合いに出されることが多いけど、歌っていう観点で見てもいろいろ語りがいがあると思います」




フリーとマネタイズ:「ネットで無料公開」の狙いどころ

司会者「ACCに関してはメジャーデビューまでに全くCDをリリースせず、ネットで音源を公開してたのが話題になりました」

レジー「ここについてはぜひ聞いてみたいところだったんですが、明確な意図があったみたいです」

◆◆
---今回のアルバムを出すまでにフィジカルでのリリースを一切していませんでしたが、そこにはどんな狙いがあったんですか。なんだかんだで、まずは盤を作って・・・という人たちが多いような気がしますが。

マツザカ「曲を宣伝ツールとして使って広めていきたい、というのがあったんですよね。まずは無料でも曲を知ってもらう、それでライブに来てもらうって形で進めていった方がいろいろ早道なのかなと前のバンドをやっていた時から思っていたので」

---まずはフリーで撒いて、マネタイズはその後っていう考え方。

マツザカ「たとえばamassで「誰々のライブ音源がフリーで聴けます」みたいな紹介がされていますけど、あれで存在を知って、気に入ったらYouTube行って、いいなと思ったら音源買う、という感じで、実際にお金を払うという行為に至るまでに結構ステップがありますよね。お金を出してCDを買うことに対するハードルが上がっている時代ではあるので、そこにとらわれなくてもいいんじゃないのかなと。以前から「バンドが自分たちの曲を大事にしすぎているのではないか」という違和感があったんですよね。もっと自由な使い方をしてもいいんじゃないのかなと思っていました」

◆◆

司会者「曲を宣伝ツールね」

レジー「それよりも音源を買うまでのフローを分解して把握して、って思考プロセスに驚きました」

司会者「いわゆるファネル分析ですよね」

レジー「コンサルの思考法だよ。クレバーでびっくりした。こういう話題になると「ミュージシャンと戦略」みたいな話でハレーションが起きがちだけど、自分たちをいかに知ってもらうかという部分についてのバンドなりの工夫だから素晴らしい話でしかないと思うんだけどなあ。この辺のフリーで音源を広げて最終的に実を取るみたいな話は今ではtofubeatsでお馴染ですよね。このブログのインタビューでもそのあたりを語ってくれてました。関連箇所抜粋します」

~~ 
(レジーのブログ 【2013年総括】マイ年間ベスト特別企画:tofubeatsインタビュー 「今年の顔」の胸の内 2013/12/20)

---エレキングのインタビューでは「「気前が悪い」っていうのが一番嫌い」とも発言されています。マルチネでの活動も含めて、トーフさんの根底にある思想を突き詰めていくと「すべての音楽は“気前よく”フリーで聴かれるべき」というものにたどり着くのでしょうか?

「逆になぜ気前を良くするかというと「お金をもらうため」という点もあるので、少し違います。お金をもらって音楽を作っているにもかかわらず、CCCDなり、コピーガードなり、30秒のみの試聴なり、運用をギッチギチに縛ることがこれまで疑問だった(気前が悪いと感じる)わけです。正直お金をもらわないとご飯食べれないですし、何らかの形で収益を得なければならないしそうしないと経済も回らないわけですが、その際に「狭くやっていくのか/広くやっていくのか」みたいな感じです。(以下略)」

~~

司会者「このトーフさんのインタビューは13年末に行ったのでメジャーデビューから間もないタイミングでしたが、今でもいろいろなトライをしてますよね」

レジー「うん。ACCもメジャー行ったからって急に「普通」のやり方にならないでほしいなとか思ったけど、noteでクローズドな情報発信したりとかいろいろやってるから心配なさそう。チャレンジ精神のある人たちならどこでやってても面白いことを出してくるね」

司会者「この流れでそのままメジャーレーベルというものに関する話に行きたいと思います」


インディーとメジャー:今の時代に「メジャー」を選び取った意味

レジー「このタイミングでメジャーデビューすることについてはこんな話をしてくれました」

◆◆
マツザカ「(ACCをスタートするにあたって)まずは全部自分たちだけで完結できるようにしたいなあと思っていたんですよ、誰かに頼らずに。モリシーがレコーディングエンジニアをできたりとか、いろいろ役割があって。それで自分たちでレコーディングして、PV作って、YouTubeにあげて、わりとすぐにGurdianとかMTVとか海外のメディアから反応をもらうことができたんです。やっぱりメンバー間だけでやっていると何でもスムーズにできるというか」

---そういう「いける」という感触がありつつも、今回メジャーレーベルからCDを出すわけですが。

マツザカ「いろいろ選択肢はあったと思うんですけど、今どんなアクションをACCが起こしたら面白いかってお客さんの立場で考えたときに、まだCDを1枚も出していないのにメジャーからリリースするというのはちょっと楽しいかなあって」

atagi「あと、僕らが自主でやっている時に、周囲からの「今の時代はそれでしょ!」みたいな声がすごかったんですよ」

---そうなんですか。

atagi「それでちょっと食傷気味になっちゃった面もあります」

マツザカ「完全に自主でやっているバンドも最近はいっぱいあって、もちろんそれはかっこよく見えるんですけど。ただ、今まではそういうのってアウトサイダー的なものだったはずが、逆にそっちが主流か?とすら思えることもあって。「自主でできるんだからやれば?」みたいなこともかなりいろんな人たちから言われたんですけど、だったら逆にちゃんと事務所にも入ってCDもメジャーから出した方が面白いんじゃないのかなと」

---自分たちだけでやっていると届かない場所もありますしね、間違いなく。

atagi「そうなんですよね。たとえば、僕たちは地方のどこどこに住んでいる人たちにとって全く知られていない存在で終わっていいのかと言うとそうではないし。たくさんの人に知ってもらいたいっていう大前提があるから、いろんな人の協力をもらってやっていこうと考えました」

マツザカ「僕たちが「多くの人に届けたい側」のバンドだったからこういうやり方なわけで、どっちがすごいとかはないと思うんですけどね。あとは、せっかくやるんだったら夢見たいというか・・・少ないマージンでいかにやっていくかみたいな話が一般的になっていますけど、どうせなら印税生活とかしてみたら、とか(笑)。できるできないは別として、目指すところはそっちの方が面白いのかなと思っています」

◆◆

司会者「周りからそんなに自主自主言われたのか」

レジー「これはとても面白いなあと。過剰なインディペンデント信仰というか。THE NOVEMBERSの小林さんの最近のツイートを思い出しました」







司会者「自主は尊い、そうじゃないやり方、たとえばメジャーは産業で唾棄するもの、みたいな発想を無意識に表出させちゃう人はいますね」

レジー「うん。でもこの選択って、小林さんの言う通り「自分たちにとってどっちが楽しいか」という話でしかないよね。やってる音楽を広く届けたい、って考えたときにはメジャーでやるってのも合理的な選択肢の一つなわけで。一方でメジャーに行かない方が価値を持つミュージシャンや音楽が存在するのもまた事実だと思うし、その辺を自分でちゃんと理解してるかどうかなのかなと。で、ACCもそうだし、他にも最近メジャーに打って出る人たちはその辺がすごく自然体でいいなあと思います。関連するインタビューを2つご紹介」

~~
(CINRA ザ・なつやすみバンド、なぜ東京インディーを脱してメジャーへ? 2015/3/2)

―「メジャーがいい」と思っていたのは、何が理由ですか?

中川:多分、メジャーじゃないと届かないところってあるじゃないですか? インディーズだと、音楽を掘り下げていろいろ聴く人じゃないとなかなか届きづらいと思うんです。音楽が好きな人たちはもちろんだけど、子どもからお年寄りまで聴いてもらいたいと思ってたので、メジャーから出せたらなって。

(略)

―シラフさんがいろんなバンドで活動をされている中で、なぜなつやすみはメジャーがいいと思ったのでしょう?

sirafu:なつやすみが持つ「ポピュラリティー」ですよね。メジャーの力を借りたときに、何倍にも何百倍にも膨らむようなポップスの力を、ちゃんと蓄えてるバンドだと思うんです。


~~
(CINRA メジャーでやる意味って何だ? Sugar's Campaign×tofubeats 2015/1/9)

―では、Sugar's Campaignがメジャーを選んだのは、どういう理由が大きかったのでしょうか?

Seiho:一番大きいのは、自分たちだけでやって20代には届けられるけど、50代にはどうしても届けられなかった。そこまで届けるには、ノウハウを持ってる組織の力が必要で。そのために対価を払って、メジャーと契約するっていう、それだけの話かなって。

~~

司会者「広く聴いてもらいたい、だからメジャーと組む。みんなシンプルですよね」

レジー「別に札束でほっぺた引っぱたかれたわけでもないだろうし、魂を売るとかそういうのじゃ全然ないよね」

司会者「6月のメジャーデビューを発表したShiggy Jr.も「まずは自分たちでやるべきことを全てやる、そのプロセスを理解したうえで、もっとたくさんの人に音楽を届けるために音楽以外の部分をプロに任せる」ってスタンスですよね」

~~
(Shiggy Jr. オフィシャルブログ 原田茂幸「メジャーでやるということ。」 2015/3/31)

実は2枚目出す以前からメジャーレコード会社から話は色々あったのです、でもちゃんと自分達で音楽に関わる作業をちゃんと理解した上でメジャーや事務所と関わらないと良くないとのことで先延ばしにしてたんです。
ブッキングの事とか物販もそうだしライブ会場を押さえる事とかジャケットのデザインの交渉とかpvのこととかそういう作業をバンドで分担してとにかくやってみて大変な事が多くて、、、
いよいよ手が回らなくなるタイミングでレコード会社と事務所を決めました。

~~

レジー「ものすごく理に適ってる。こうやって書き並べてみて思ったのは、僕は「誤解をはらむリスクを背負っても、広いところに届けよう」っていうアプローチをしてる人が好きなんだよね根本的に。「インディー」みたいな括りで語られていた人たちがそういうゾーンに続々と飛び出していってる今の状況は個人的にはすごく楽しいです」

司会者「わかりました。長くなってるのでそろそろまとめてもらえますか」

レジー「今回はACCのインタビューを基点にいろいろ話を広げましたが、このバンドはいろいろ聴きがい、語りがいがあるよね。こういう深みのある、それでいてキャッチーで開かれているバンドがどんどん広がっていくともっといい世の中になると思います。縁あってインタビューする機会にも恵まれたし、今後もぜひ応援していきたいです。今回はこんな感じで」

司会者「次回は」

レジー「一旦未定でお願いします」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
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