司会者「またインタビュー企画ですか」

 

レジー「期せずして。書きたいネタはいくつかあるんだけどなー。でもこの間にいろいろ別の場所で書いてるから。リアルサウンドのいつもの連載で清竜人25Awesome City Clubについて書いたよ。これは以前ならブログでやってた話の気がする」

 

司会者「リアルサウンドではオリコンチャートについての連載記事「チャート一刀両断!」にも寄稿しました」

 

レジー「たぶん定期的に書くのでこちらもよろしくお願いします。で、今回と次回なんですけど、8月にアルバム『The SHOW』をリリースしたLUCKY TAPESへのインタビューをお送りします」

 

司会者「MUSICAにレビュー書きましたね」

 

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The SHOW/LUCKY TAPES

 

これ聴いてるとモテる世の中になってほしい

 

ロック雑誌のレビュー風に言うと、「1曲目“All Because Of You”のイントロ、ギターのカッティングが鳴った時点でLUCKY TAPESの大勝利は確定したようなものだ」という感じのアルバム。アーバンなソウルミュージックをベースにしたサウンド、わかりやすいメロディ、自然体のボーカル…構成要素がいちいちおしゃれでかっこいい。そのおしゃれさも決して理解に訓練を要するものではなくて、たとえば音楽よりパーティーが好きな人でも思わずBGMに使いたくなっちゃうであろうチャラさを兼ね備えているのが良い。こういうバンドが広まれば、「最近いい音楽多いね」と気づく人がもっと増えるはず・・・ レジー
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レジー「これ書く前にレーベルの方からも連絡いただいたりしてて、ちょうどインタビューのオファーをいただいたので是非ということでお話伺ってきました。『The SHOW』のリリースパーティー直後のインタビューだったこともあって、「これまで」というよりは「これから」についての話題が多めです。なので、もし「LUCKY TAPESってそもそもどんなバンド?」みたいなところから知りたい方はこのCINRAのインタビューとか読んでもらってから先に進んでもらった方がいいかもです。もちろんこの記事だけでも関連音源とかいろいろ入ってるので楽しめると思います。今回お話しいただいているのは、ボーカルとキーボードの高橋海さん、ギターの高橋健介さん、ドラムの濱田翼さんのお三方。ベースの田口恵人さんはこの日は欠席でした。それではどうぞ」


LT_2015
(写真左から濱田、高橋健介、高橋海、田口)
 

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「シーン」への「無関心」と星野源

 

---すでに出ているインタビューをいくつか読ませていただきました。それで思ったんですけど、LUCKY TAPESってよく「シティポップ」とか・・・

 

高橋海(Vo./Key.)「ああ・・・」

 

---「東京のインディーシーン」とか、そういうものの現時点における象徴的な存在みたいなことをよく言われるじゃないですか。

 

海「言われますね」

 

---特に海さんの受け答えに顕著だと思うんですけど、そういうのに全く興味なさそうだなっていうのが・・・

 

3人「(笑)」

 

---行間からすごく伝わってくるんですけど。

 

海「伝わります?(笑)その通りですね」

 

高橋健介(Gt.)「どうだっていいよね(笑)」

 

海「他のアーティストもそうなんじゃないかな?周りにどう括られていても気にしないし、それによって自分たちの方向性が変わったりすることはまずないです」

 

濱田翼(Dr.)「CD屋さんで探しやすいようにさえしておいてもらえれば何でもいいですよ。「J-POP」の「L」の棚で十分です。一緒に名前が出てくるようなアーティストにはかっこいい人たちも多いので、そういう意味では刺激を受けたりもしますけど」

 

---なるほど。LUCKY TAPESと「同じよう場所にいると思われている人たち」で言えば、たとえばどんな方々を意識していたりしますか?Yogee New Wavesなんかはよく並んで名前が出る印象がありますけど。

 

海「意識しているというか・・・あ、Suchmosは単純にファンですね(笑)。LUCKY TAPESの前日に同じ渋谷WWWでやっていたリリースパーティーは行けなくて残念でした。周りのアーティストの動向は常に気にするようにしていますが、自分たちは自分たちだし、Suchmosともヨギーとも全く違うことを表現しているので、お互いに影響し合いながらそれぞれがそれぞれを刺激するような形で成長していけたらいいんじゃないかなと思います」

 

 

---わかりました。今日初めてインタビューさせていただくということで、少し昔の話も聞かせていただきたいんですけど、皆さんは前身バンドのSlow Beachの頃からのお付き合いですよね(注:高橋海、田口がSlow Beachのオリジナルメンバーで、高橋健介と濱田もサポートとして参加)。Slow Beachの音源も今聴かせていただいても十二分にかっこいいと思うのですが、あのバンドを止めた理由というのは何かあるのでしょうか。
 



健介「時期的なものが大きいですかね。僕は就活があったり」

 

濱田「この音楽性じゃない!みたいなアーティスティックな理由ではないですよ。やっている音楽自体は気に入っていたし。タイミングっていうか、各々の分岐点だったのかなと」

 

---Slow Beachの解散後に海さんはソロの音源をバンドキャンプで発表されていますよね。僕、この音源を高橋海という人がどういう方か知らずにたまたま何かのタグを掘っていたときに発見してよく聴いていたんですが、あれはどういうモチベーションで制作されたんですか?
 



海「Slow Beachは解散したけど、僕はこの先もずっと音楽を作り続けたいと思っていて。バンドが解散したこともあって、しばらくはソロでやろうかなと考えていたんですよ。当時はサンプリングの手法にはまっていてそういう曲を作りためていたのですが、それがある程度のボリュームになったので無料で公開しました。バンドキャンプで個人的にリリースした感じではあったのですが、意外と沢山の方に聴いてもらえたみたいで。Slow Beachのメンバーからも聴いたよと連絡があったり」

 

濱田「自分は当時別のところで音楽をやっていたんですけど、あの音源を聴いたときに何か手伝えることがあれば関わりたいなと思いました」

 

海「そういう経緯もありつつ、健ちゃん(健介)以外の3人でハンバーガー屋にご飯を食べに行ったんですよ。ちょうどマイケル・ジャクソンの「Love Never Felt So Good」がリリースされた直後だったのですが、3人でいろいろ話す中でこういう音楽をやりたいねという話で盛り上がったんです。それでその数日後にはスタジオに入っていました」

 

---皆さんはマイケル・ジャクソンのあの曲の何がかっこいいと思いましたか?

 

海「なんだろうな・・・「黒さをポップに消化している」っていうと山ほどありますもんね」

 

---以前インタビューでLUCKY TAPESをやるにあたって「Slow Beachよりも輪郭があるポップスをやりたい」というお話があったと思うんですけど、個人的にはその話と「Love Never-」はすごくリンクしました。パキッとした音なんだけど、有機的な部分もあって。

 

海「生っぽさもありますよね」

 

---はい。そういうところが引っかかったのかなと思いました。

 

海「それはあるかもしれないですね。もともとメンバーみんな、小さい頃にブラックミュージックには触れていて。そういうわかりやすいポップミュージックの良さを「Love Never-」で改めて思い出したんじゃないかな」

 

---確か海さんは星野源がお好きなんですよね。星野源もマイケル超好きじゃないですか。今年出た「SUN」の歌い出しとか、「Love Never-」のオマージュになってますもんね。

 

海「はい!ストリングスのアレンジとかもそうですよね。ちょっと話変わるんですけど、最近星野源さんの新曲のMVが公開されたじゃないですか。まだ見れていないのですが、LUCKY TAPESでエゴサーチしてたら「星野源の新曲がLUCKY TAPESだと思った」というツイートが数件ありました」

 
 

---へー。

 

健介「たまに言われるよね」

 

海「何度か言われているのですが、今回の曲は特に雰囲気が似てるって。源さんファンとしてはそういうリアクションは嬉しいです。そこを目指しているわけではないけど、やはり影響は受けていると思うので」

 

 

新曲から垣間見えるバンドとしての熱量

 

---Slow BeachからLUCKY TAPESに至る中で、ちゃんと輪郭のある音楽をやりたいという意識があったと。で、全然違う視点からの話なんですけど、海さんは昔アジカンが好きだったりしたんですよね。 

 

海「今も大好きです」

 

---リスナーとしてはそういうど真ん中のロックバンドも通ってきていて、もちろん今もそういう音楽が多くの人から支持されている状況で、可能性の話としてはSlow Beachの次のアウトプットがロック寄りのものになる可能性も必ずしもゼロではなかったと思うんです。そういう中で、今のLUCKY TAPESのようなブラックミュージックに傾倒した音楽を選び取った意味みたいなのが何かあるのかなと思ったんですけど。海さんの中で、今やっているような音楽と以前から好きなロックバンドの音楽は全く別物として捉えているんですか?

 

海「今でもそういうロックも好んで聴きますが、自分が音を鳴らす側となると、セブンスとかナインスとかちょっと洒落たような音の方が気持ち良かったりします。でも別物という感覚はないですよ。それこそ最近は、ブラックっぽいと言われている中にロック的な要素を入れ込めたら面白いんじゃないかという考えもあって。リリースパーティー(注:9/11WWWで開催)で披露した「体温」という新曲は、スタジオでメンバーにヘドバンしろって指示しているんですよ」

 

---(笑)。

 

海「それくらいゴリゴリのロックっぽいフレーズがあったりして」

 

健介「ハードロックっぽいよね」

 

海「ギターも思いっきりヘドバンして、ビッグマフ(注:音を歪ませるエフェクター)踏めって」

 

健介「持ってないけど(笑)」

 

濱田「あの新曲は評判良かったよね。今までの曲と差がありすぎるかな、どういう風に見えるんやろなっていう不安はあったんですけど。いろんな人から良かったって言ってもらえて、すごく嬉しかったです」

 

---リリースパーティーで演奏された新曲3曲は、どれも今までの曲よりもエモーショナルな感じがしました。これまではいい意味でさらっと聴けるのがLUCKY TAPESの良さだと思っていたんですけど、新曲はもっと気持ちがバーンと前に出てきているような。

 

海「ああ、それはすごく嬉しいです。「おしゃれな音楽」とかってよく言われるんですけど、それだけで聴き流されちゃう音楽ではいけないと最近は強く感じていたので」

 

濱田「今まではどうしてもBGM感が強かったからね。軽い感じというか、ライブでやってもライブ感が良くも悪くも出ないというか」

 

海「きれいなだけじゃだめで、人が夢中になったりはまったりするものって音に限らずちょっとひねくれた何かがありますよね。癖になる何かとか、えぐみとか、そういうものを出せればなと」

 

濱田「それが新曲のエモさにつながっているのかなと思います。もちろんそれだけじゃ飽きられちゃうのでバランスは考えていかないといけないですけど」

 

---ライブで聴かせていただいただけなので完全に理解しているわけではないですが、新曲は言葉も結構変わっていますよね。音として耳触りがいいというよりは、妙に投げやりな感じのドキッとするようなフレーズがあったり。

 

海「投げやり・・・確かに(笑)。「体温」では初めて女性目線で歌詞を書いたんですけど、かなりとげとげしいニュアンスが出ていると思います。それもさっきの話とつながっていて、さらっと聴けるだけで終わりたくない、えぐみを出したい、という思いによるものなのかもしれません」

 

---「歌詞にはメッセージを込めない」という今までのスタンスと比べると大きな変化ですね。

 

海「そうですね。ただ、狙ってやったというよりは自然に今の状態に行き着いていて。日本語で歌詞を書くことにも慣れてきたので、英詞みたいに音で言葉を選ぶんじゃなくて、ちゃんと伝えたい感情を歌詞に込められるようになってきました。最近は歌詞を書くのが楽しいですね。心の奥底で感じていることを吐き出すみたいな気持ち良さがあって、自分の中で次の段階に進んだなと思っています。そんな歌詞をワンマンの大舞台で歌えたというのはかなりグッとくる部分がありました」

 

---自分をさらけ出すというか。

 

海「はい。歌っていて感情的になることって今まではあまりなかったんですけど、ワンマンの時は結構エモくなってしまって」

 

濱田「健介、一番最後泣いてたもんな。うう~(涙)って聞こえた」

 

健介「そんなことはない(笑)」

 

---歌詞で自分をさらけ出すとか、ステージでちょっと泣いちゃうとか、熱量が前面に出てくる感じはバンドとしてだいぶ変わったんですね。今まではそれこそ「生活に溶け込む」みたいなところを重視して音楽を作っているのかなという印象でした。そこからより自分たち自身を表現する感じになった。

 

海「昔からそういうことをやりたい、自らを表現したいという願望はあったと思うんですけど、ようやくそれができるようになってきたという実感はあります」

 

健介「海くんの歌詞もそうだし、楽曲に関しても1曲の中に起伏みたいなものを出せるようになってきたなと思います。そういう面では成長できているのかなと」

 

海「『The SHOW』が完成した後に、今回の新曲を作るにあたってバンドで初めて合宿をしたんですよ。山の中にある深夜も音を鳴らせるスタジオにこもって」

 



濱田「大げさではなく、ほんとに寝る時間以外ずっと音楽をやっていました。行く前はバーベキューしようとかサッカーしようとか言っていたんですけど(笑)、実際には超ストイックに」

 

海「今までは僕が宅録したものをベースに曲作りを進めていたんですが、それだとやはりループが多くなったりとかどうしても単調になってしう部分があったんですよね。でも合宿で顔を突き合わせて曲作りをしたので、宅録じゃ湧いてこないようなアイデアがたくさん出てきて。結果、今までにないくらいの曲の起伏を出せたのだと思います」

 

---そこまで追い込んでやって、メンタル的にもきつかったんじゃないですか。

 

濱田「極限状態でした」

 

---気持ちが前に出てくる感じの新曲ができたのにはそういう精神状況も影響しているんですかね。

 

海「あると思います」

 

健介「絶対ある。そういう曲の方が、自分たちで演奏するときに感情的になっちゃいますね。今回得た感触を、今までの曲にも落とし込むことでもっと良くなると思います」

 

---わかりました。ほんとは今日は先日リリースされた『The SHOW』についてのお話も聞こうと思っていたんですが・・・

 

海「そうですよね。新曲のことばかり話してしまった・・・(笑)」

 

---いいんですいいんです。すでに新しいモードに進んでいるということがよくわかりました。今の皆さんから見て、『The SHOW』というアルバムはどのように映っていますか?もちろん当時の集大成としての作品だったとは思うんですけど。

 

健介「・・・未熟でしたね。レコーディングの手順もそこまでよくわかっていないまま進んでいたし、楽曲作りも含めて、今思うと未熟だなと」

 

海「でも当時の最大限は出したつもり。どのアーティストも、作り終わった作品を振り返ってもっとこうしておけばよかったってのはあると思うんですよ。今の新曲にしたって、現状ではすごく満足しているけど、もう数か月経ったらまた自分たちが違う感想を持つような気もするし」

 

濱田「完成したものに満足しちゃったらそれで終わりというかやる意味がないと思うので。『The SHOW』が悪いアルバムってことではなくて、あの作品と差をつけた新曲を作ることができたのは全くマイナスではないし、むしろ今後もどんどんそうやっていかないといけないと思っています」


 

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司会者「前編は以上になります」

 

レジー「どんどん先へ進もうとしてるバンドの感じが話していても伝わってきました。後編は先日のリリースパーティーの話やこの先の展望について語っていただいています。そちらも引き続きぜひ」

 

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

 

レジー「と言いつつ後編のアップは101日の予定です。それまでしばしお待ちください」