レジーのブログ LDB

「歌は世につれ、世は歌につれ」でもなくなってきた時代に。  ※15/4/23 世の中の状況を鑑みてfc2からこちらに移しました

ご連絡はレジーのポータルの「contact」よりどうぞ。(ブログ外の活動もまとめてあります)

パスピエ

激動の2013年を経て、パスピエはどこへ向かうのか

■新作に感じる『わたし開花したわ』の面影

レジー「マンウィズが表紙のMUSICA4月号にて、パスピエ『MATATABISTEP/あの青と青と青』、Cocco『パ・ド・ブレ』のレビューを書かせていただきました」



司会者「パスピエに関してはちょうど1年前くらいに『フィーバー』のレビューをクイックジャパンに書きました」



レジー「この1年で自分の状況もパスピエの状況もだいぶ変わったなあ」

司会者「パスピエについてはブログの初期から継続的にウォッチしているバンドです」

パスピエのこと「ポスト相対性理論」っていうな
だからパスピエのこと「ポスト相対性理論」っていうなって
パスピエ『フィーバー』リリースにあたってインタビューを敢行しました
『演出家出演』発売記念 パスピエの「ネクストブレイク前史」を振り返る

レジー「うん。で、新譜すごくいいよパスピエ」





司会者「今回のレビューでは新作の音について「原点回帰」という言葉を使っていましたね」

レジー「個人的にはこの言葉がぴったりくる。初めてタワレコの試聴機で聴いたときのことを思い出した」

司会者「表題曲2曲以外にも、『万華鏡』と電気グルーヴ『Shangri-La』のカバーが収録されてます」

レジー「どれも聴きごたえがすごくて、シングルというよりミニアルバムですな。表題曲は対照的な2曲で面白かった。ライブ仕様と言っていいであろう『MATATABISTEP』と、「聴かせる」感じの『あの青と青と青』。最初に『あの青と青と青』ってタイトル見た時は最近のギターバンドにありがちな疾走感系の曲かと思ったんだけど全然違った。心地よく裏切られました」

司会者「『あの青と青と青』についてはバンドとしてもチャレンジだったみたいですね」

“あの青と青と青”は、とにかく壮大な曲を作ろうと思って。それは自分から大胡田への挑戦でもあったんです。曲を通して聴いたときのストーリー性が、ショートムービーを見た時の感覚に近いものが作りたかったんです。今のポップスにおいて大事なのはフック、ギミックだとも思っていて、そのふたつが相いれないなあということに悩みながら、ずっと作っていました。
(MUSICA4月号)


レジー「成田さんがルーツとしてあげてるおしゃれテレビってバンドがありますが、そのあたりの感触に近いものを感じました」



司会者「なるほど」

レジー「「フック、ギミック」がただ盛り上げるためというよりは、心の内面に渦巻いていくための装置として使われている感じね。で、この曲があるから次の『万華鏡』の爽快なポップ感がかなり際立つ。『万華鏡』の鍵盤さばきはちょっとすごいね。ライブでやるのかな」

司会者「最後の『Shangri-La』のカバーについてはいかがですか」

レジー「個人的には原曲が大好きであの時点で十分に完成されてると思ってて、カバーネタとしてもかなり大ネタなのでちょっと悪手のような気もしてるんですが」



司会者「最近よくあるカバーというか、話題作りのためみたいに思う人もいるかもですね」

レジー「そうねえ。ただインタビューを見ると必然性を持ってやってるみたいね」

2012年に初めてWIRE見に行った時の衝撃が大きくて。去年初めてカヴァーをやったんですが、次にカヴァーをやるなら電グルがいいなと思ってました。電グルは、まず卓球さんワークスのサウンド感にいつもびっくりしていて。・・・すごいストイックだと思うんです。WIRE見に行った時も感覚がずば抜けてて。それが瀧さんとの電気グルーヴになることによって、一気にショーになっていって。純粋な音楽をエンターテイメントで体現してる!って思うアーティストです。
(MUSICA4月号)


司会者「「純粋な音楽をエンターテイメントで体現」っていいですね」

レジー「うん。『わたし開花したわ』を初めて聴いたとき、まさにこういう印象を持ったんだよなあ。ギターバンドフォーマットで、でも鍵盤の音が歪に突出してて、それが読後感をやたらとポップなものにしてるっていうか。「ちょっと変、でも食べやすい」みたいな中毒性。まさに音そのものがエンターテイメントになってた。で、MUSICAのレビューに「原点回帰」って言葉を使ったことにつながるんですけど、今回の新譜は『わたし開花したわ』が持ってた「歪ゆえのポップさ」がすごくあるように感じていて。楽曲で言うと、たとえば『MATATABISTEP』は『電波ジャック』、『あの青と青と青』は『夕焼けは命の海』、『万華鏡』は『真夜中のランデブー』の正当進化というか」

司会者「『わたし開花したわ』以降にもたくさんリリースはありましたが、今作は『わたし開花したわ』と地続きなんですかね」

レジー「そういう意識を持って作ったかは不明だけど、アウトプットとしてそうなってる気がした。今回のシングルの音って「流行りの邦ロックバンドの音」って範疇からははみ出してるような気がするし、バンドとしてそういう括りみたいなものを意識する前のインスピレーションを大事にして作った作品なのかなというのがばくっとした印象」

司会者「もしそうだとした場合、ある意味で「流行りの邦ロックバンド」の役割をまっとうした2013年のアクションはバンドとしてどう位置づけてるんですかね」

レジー「去年のパスピエはまさに快進撃!だったけど、やっぱりその中で得たものもあれば失ったものもあったような気がしていて。支持が広がった段階で、2013年のいろんなことをリセットというか、一旦仕切り直したうえで「もう一度パスピエを始めていこう」って意思の表れが今回のシングルなんじゃないかなと思いました。では、次にその「2013年のいろんなこと」についての話を」


■2013年のブレイクと「セカオワ・シンドローム」


司会者「2013年のパスピエのブレイクは語るまでもないですね。あっという間にライブのチケットが取れないバンドになりました」

レジー「ポスト相対性理論なんて言われてたのももはや懐かしいよね。今となってはヴィレッジヴァンガードよりもタワレコの方が似合うバンドになった。ものすごく雑な分け方すると「サブカル」から「邦ロック」へ、みたいな」

司会者「支持層が変わった感じはありますよね」

レジー「象徴的な事象として、「好きなバンドかぶったらRT」ってフォーマットのツイートでパスピエが出てくるケースがここ1年で圧倒的に増えたね」

司会者「あー」

レジー「そういう文化圏の人たちが一気に流れてきた。そりゃあれだけポップでノリも良い音楽をやってればそうなって然るべきだし、今のマーケットで基盤を固めるにはそのあたりをとらないといけないってのは明白なんだけど、個人的な印象としては支持層の変わるスピードが思ってた以上に早かったです」

司会者「ライブの雰囲気も大きく変わりましたね」

レジー「そうね。7月のリキッドだったと思うけど、オープニングSEで手拍子が出た時はさすがにびっくりした。モッシュしながら聴く音楽だとも到底思えないけどステージ前は最近そんな感じになってるよね。12月のブリッツで前の方で見てたらペットボトルで水撒いてる人がいたり。パスピエのライブで服が濡れるとは思ってもみなかった。で、僕はこの状況を勝手に「セカオワ・シンドローム」って呼んでるんですけど」

司会者「「セカオワ・シンドローム」とは」

レジー「以前書いた記事から引用します

レジー「(前略)たとえば、“世界の終わり”というバンドのファンと“SEKAI NO OWARI”というバンドのファンって、きれいに入れ替わってると思うんですよね。それはもう鮮やかなくらいに」

司会者「「『EARTH』は好きだったけど今はね・・・」って人すごい多いですよね」

レジー「うん。僕もそのクチなんですけど。で、そういう形で一度離れたファンってたぶん戻ってこない。(後略)」


司会者「ブレイクと支持の拡大に伴うファン層の入れ替わり、みたいな話ですかね」

レジー「イノベーター理論で言うところのイノベーター・アーリーアダプターがブレイクを機に一気に離れていく感じというか。もちろん尖った人だけに聴いてもらっても世の中的なインパクトは持ちえないから間口を広げる方向に行くこと自体は100%正しいと思うんだけど、その過程で「現象関係なく早めにそのバンドの魅力に気づいたファン」が剥がされていくってのはあんまり幸福なプロセスじゃないような気がしていて」

司会者「「あのバンド売れちゃって変わったな」みたいな話はセカオワに限らずどこの世界でもあるんじゃないですかね」

レジー「それはそうなんだけどね、セカオワに関しては「古参ファンの思い込み」みたいなことではなくて明確にターゲットというか届けたい層を変えてるんじゃないかなあ。で、そういう動きにリスナー側もビビッドに反応してると。その結果として、かなり大きな動員力やセールスパワーを持ったけど一方では「セカオワwww」みたいな感じの声も増えてきてますよね」

司会者「パスピエもその「セカオワ・シンドローム」になってるんじゃないか、ってことですか」

レジー「僕は『演出家出演』ってアルバムすごく好きなんだけど、どうにも100%乗り切れなかった部分があって年間ベストでも10枚に入れず次点にしました。何がピンと来なかったかというと、なんとなく「やりすぎなマーケットイン」の姿勢を感じたんだよね。「ポスト相対性理論」というレッテルから脱却するためにライブ感を意識したという中で、その「意識の仕方」っていうのが「最近の「邦ロックファン」が喜ぶライブの景色に寄せる」こととニアリーイコールになっていたように思えて。その取り組みの結果として『S.S』とか『はいからさん』とか強烈にライブで盛り上がるんだけど、その盛り上がりを支えてるのは「なんでもいいから盛り上がりたいぜ!」って感じの人たち、みたいな。間口を広げていく中で、「盛り上がり至上主義」的空気になじめない人たちが結果として離れていくようなムードになってる気がします。そういう層だけが聴くバンドではないと僕は思ってるんだけど、そんな空気が支配的になりつつあるんじゃないかなあ」



司会者「ライブではメンバーが手拍子をあおったりしてそういう空気を率先して作ってる感じもあります」

レジー「うん。ただ、ほんとに今の状況をバンドが求めてるかどうかってのも正直よくわからないんだよね。JAPANのインタビューを抜粋します。最近はお客さんをあおったりしますよね、という流れの中での発言」

成田「でも、いわゆる定石じゃないですけど、オールドスクールな乗せ方ってあるじゃないですか。それにみんなすごい葛藤を持ってて(笑)」

大胡田「「手拍子しろ」って、「じゃあちょっと、やってみる」って試したりね(笑)。私あんまり物事を考えないけど、最近それはよく考えてますね」
(ROCKIN’ON JAPAN 7月号)


司会者「微妙な感じですね」

レジー「そもそもこのインタビュー自体まとめ方が相当いまいちで文脈が読み取りづらいっていう難点はあるんだけど、とりあえずは手拍子とかでみんなを盛り上げたい!って心から思ってるわけではなさそうなことは伝わってきます。これは『演出家出演』が出るタイミングでのインタビューだから今の心境がどうかはわからないけど、ライブで盛り上がれる曲、ロキノン的言い回しだと「機能的な楽曲」を鳴らしまくってる一方で、それによって生み出されている景色には何となくの引っかかりみたいなものを感じているってことですよね」

司会者「自分たちのオリジナルな立ち位置を作ろうとする中で、こういう引き裂かれたシチュエーションが生まれたのがパスピエの2013年だったと」

レジー「と、言えるのではないか、って感じでしょうか。あくまでもこちらの思い込みに過ぎませんが。これってブレイクしたバンドならではの痛みだと思うけど、長い目で考えるとかなり綱渡りの状況になってるような気がします。今の方向だとおそらく消費されるスピードは上がるし、それこそセカオワ並みに相当でかい支持基盤を作らないとあっという間に食い散らかされちゃうと思う。で、最初の方の「リセット」って話は、こういう状況を一回まっさらにして「ちゃんと音楽を届ける」というところに行きたいってのが今のバンドのスタンスなんじゃないかなってことなんですが。先日パスピエが出演したalternative tokyoに参加していろいろと感じるものがありました」


■alternative tokyoにおける「久々のアウェー」、そしてクラムボンの「いま」とパスピエの「あした」


司会者「3月15日にスタジオコーストで行われたalternative tokyoのトップバッターで出演したパスピエですが、最近のライブからは考えられないくらい人が少なかったですね。それ以降のアクトではパスピエ以上にフロアが埋まってましたし、スルーした方が多かったようです」

レジー「出演発表も遅かったしね。ただ、他の出演者のファンが「パスピエ見てみようかな」って集まってもほんとはいいわけで。そうなってないのが悲しかった」

司会者「メインステージはパスピエ以降は七尾旅人、People In The Box、イースタンユース、クラムボンが出演しました。現状ではファン層はあまりかぶってないんですかね」

レジー「少なくとも2年くらい前にはこの並びがしっくりくるバンドになる可能性も広がってたのになあとか考えてしまった。それに加えて、バンド側からの告知が妙に少なかったのが気になりました」

司会者「普段はマメにイベント出演の情報ツイートしたりしてるのにね」

レジー「意図的にファンのいないところでやろうとしたのかなとか勘ぐってしまう」

司会者「演奏したのは『シネマ』『とおりゃんせ』『ワールドエンド』『最終電車』の4曲です」

レジー「『フィーバー』とか『はいからさん』みたいなノリ系の曲を外してるんだよね。で、MCもこの環境をすごく意識したもので」




司会者「自分たちのファンはあんまりいないことを自覚してのMCに聞こえます」

レジー「うん。MUSICAのレビュー用に初期パスピエっぽい匂いのする新作の音を聴いて、それでこの日の人少ない状態でのパスピエを見て、すごく「リセット」って感じがしたんだよね。去年の狂騒から逃れて、先入観のないであろう場所で自分たちの楽曲を鳴らすってことがバンドにとってすごく大事だったんじゃないかなあ。で、このイベントのトリだったクラムボンがマジで素晴らしかったんだけど。佐藤伸治さん命日の『ナイトクルージング』も沁みたし、とにかくこの人たちのライブはほんとに雰囲気がいいんだよね」

司会者「音楽が真ん中にあって、それを演奏する側も聴く側も無心で楽しんでる感じが素敵ですね」

レジー「ドキュメンタリー見た時もそれはすごい感じた」





司会者「ライブ中にも触れられていましたが、クラムボンは結成20周年なんですね」

レジー「もうそんなになるのかって感じなんだけど、このバンドはどこかで大ブレイクみたいなものを経験したこともないし、特定層の支持を瞬間的にでも一身に引き受けて・・・みたいになったこともないわけで。それでも自分たちの音を追求して20年続けてきて、こういうイベントでトリを務めることにも何の違和感のないポジションに収まっていると」

司会者「シーンの後押しとか関係なく、どこに寄せるでもなく、ずっと音楽と向き合い続けてきた結果なんでしょうね」

レジー「そうですね。で、このまままとめに入っていきたいんですけど、この日のクラムボン見ながら思ったのがパスピエは20年後どうなってるんだろうなってことで」

司会者「想像つかないですね」

レジー「パスピエの2013年のブレイクって、彼らのやってる音楽が今のシーンの「コミュニケーション消費万歳」って風潮にうまく合致したって部分が大きいと思っていて。手拍子しやすいし、サビでうわっと盛り上がるし、「エスエス!!」って叫べるし、「音楽を介して皆で一体感を得たい」みたいな欲求にパスピエの曲ははまりすぎなくらいにはまった。で、そういう形でパスピエにはまってる人たちがパスピエを「交換不可能な存在」として今後も愛していくのか?「手拍子できて皆叫べるポイントがあるバンド」なら他のバンドでもいいのでは?ってのが正直よくわからないというか」

司会者「音楽そのものが好きか、それを介したコミュニケーションが好きか、ってのは一概には切り離せない問題だから難しいですよね」

レジー「このあたりはロックインジャパンの話を一昨年の夏にしたときからの一貫した問題意識なんですが。で、「コミュニケーション消費の先に何があるのか」ってのは音楽に限らずどの領域でもたぶんまだ誰も体験したことのない世界の話だから答えはないと思うけど、個人的には「対象を介したつながり」ばかりに気持ち良さを覚える人が「対象そのもの」にどっぷりはまることはないと思っていて。「フェス」と「一体感」が大事な「邦ロックシーン」にあんまり足を突っ込みすぎると「対象そのものではなく対象を介したコミュニケーション命の人たち」がメインの支持層になってくる可能性があるし、たぶんそういうバンドは刹那的に消費されて終わっちゃう。少なくとも20年経ってもディープに支持されるバンドにはならない」

司会者「うーん」

レジー「そういう瞬間沸騰的な支持獲得しかできないバンドだったら仕方ないけど、パスピエはそんな風に片づけられるタマじゃないと個人的には信じているから、改めて「コミュニケーション消費に絡め取られない音楽のあり方」を提示してほしいなと」

司会者「まさに成田さんがインタビューで言っていた「純粋な音楽をエンターテイメントで体現」ということですね」

レジー「うん。今回の新譜はそういうチャレンジの第一歩になっていると勝手に思っています。特に『あの青と青と青』は、「一体感」みたいなものとは別のところでのファンとの絆を作る曲になるはず。いろいろ書きましたがこのバンドには期待しかないので、今後の活動も楽しみにしています。いつもより長いですが今回はこんな感じで」

司会者「わかりました。次回はどうしますか」

レジー「今のところ未定でお願いします」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

『演出家出演』発売記念 パスピエの「ネクストブレイク前史」を振り返る

レジー「クイックジャパンにPerfume『Magic of Love』のレビューを寄稿しました」

 

司会者「パスピエに続いて2回目の寄稿ですね」

 

レジー「パスピエの次にPerfumeって、なんかあれな感じだよね」

司会者「あれってなんですか」

レジー「いや、なんか言語化できないんだけどあれですよ。そういう感じの人なんだなーって思われそう」

司会者「指示語が多すぎてわかりづらいです。今回の記事についてはさやわかさんからこんな反応をいただきました」




レジー「さやわかさんがやったクイックジャパンのPerfume特集、いまだに保管してますよ。あれが自分にとってPerfumeへの本格的な入口だったからね」



司会者「こういう反応はほんとに嬉しいですね。で、前号で書いたパスピエですが、アルバム『演出家出演』が発売になりました」





レジー「なんかすごい売れてるみたいだよね」

司会者「初日のオリコンデイリーチャートが5位だったみたいです

レジー「iTunesでもしょっぱな1位だったみたいだしね」

司会者「こちらのブログでは去年からずっとパスピエを推しているので感慨深いですね」

レジー「ね。関連する記事結構書いてますよ。改めて紹介しておこう」

パスピエのこと「ポスト相対性理論」っていうな
【2012年総括】マイ年間ベスト10曲(5位~1位)
だからパスピエのこと「ポスト相対性理論」っていうなって
パスピエ『フィーバー』リリースにあたってインタビューを敢行しました

司会者「年間ベストの記事が佐々木俊尚さんキュレーションで紹介されたあたりから、「レジーのブログでパスピエって知ったけどいいな」みたいな声が出てきましたね」

レジー「うん。『ゴッドタン』のプロデューサーの佐久間宣行さんもここ経由でパスピエ知ったって言っててびっくりした」







司会者「今回の売上にちょっとくらいは貢献できてたら嬉しいですね」

レジー「そうね。そういやJAPANのパスピエのインタビュー読んだんだけど、これさっき紹介した『フィーバー』のときのインタビューと内容結構近いよね」



司会者「バンドの見られ方についての葛藤とかライブについての考え方とか、同じような話が出てきますね」

レジー「インタビューされた方が事前にこのブログ見たかは知らないけど、とりあえず今回のアルバムプロモーションのコアの話は『フィーバー』のときのインタビューで引き出せてたと思うので、未読の方はぜひ読んでみてください」

司会者「そんな流れで今日はパスピエの話をする感じですか」

レジー「そうね。で、たぶん『演出家出演』の中身みたいな話はたぶん各所でいろいろ出てくると思うので、ここでは違う切り口でやりたいと思います」

司会者「はい。どういう切り口で行きますか」

レジー「なんか今年に入ってからのパスピエの勢いすごいじゃないですか、ネクストブレイク的な取り上げ方されて山Pに曲書いてアルバムも売れて。でね、このブログでは去年から取り上げてるけど、去年までのパスピエってそこまで世の中に見えてたとは思えないんですよ。特に『ONOMIMONO』より前ですね」

司会者「「謎に包まれた」みたいなキャッチが枕詞になってましたしね」

レジー「うん。なので、今回はこのタイミングで改めて去年までのパスピエ、つまり「ネクストブレイク以前」のパスピエがどんな感じだったのかってのをいちパスピエファンとして振り返りつつご紹介できればなと。少なくとも全国流通盤が2011年に出てからの動きはそれなりにつぶさに追ってると思うので、最近パスピエ知ったみたいな人ともそのあたりの歴史観を共有できたらなと思います」

司会者「わかりました」

レジー「今回は先ほども述べたとおり「いちパスピエファン」としてどう見えてたか、という視点でやりたいと思ってるので、情報ソースとして自分のツイログを使用しました。「パスピエ」でキーワード検索をして、引っかかったツイートおよびその周辺のツイートを紹介しつつ進めたいと思います」

司会者「最初にパスピエについてつぶやいたのが2011年の10月末ですね」




レジー「興奮したなあこのとき。あとちょうど仕事がタフな時期で、前の週が休日出勤から終電越え残業連発とかいろいろ重なってしんどいところが終わったタイミングだったのですごい印象深い」

司会者「このとき購入したのが『わたし開花したわ』です」



レジー「試聴機で聴いてうわー!と思って買って、家で聴いてもすごかった。で、このタイミングでJAPANもちょろっと取り上げてますね」




司会者「「現在タワーレコードで先行発売中の」という書き出しで紹介しています」

レジー「なんかさ、雑誌媒体と店舗メディアの情報発信力の差というかスピード感が出てるような気がするよね。何年か前からJAPANのニューカマーページに出てくるバンドが「それずいぶん前にタワレコでとっくにプッシュされてたわ」みたいなケースが増えてると思うんだけど。まあその辺は話それちゃうので割愛。で、これ聴いてすぐライブ行ったんですよ」

司会者「2011年11月10日、下北沢のベースメントバーです」







レジー「お客さん50人もいなかったと思うし、物販に大胡田さんが普通にいるような感じのライブだったけど、ここでいろいろ確信したね。こりゃ売れると。で、その一方で「ポスト相対性理論」的なサブカル方面からの評価が徐々に出てくるんですよね。それについてのこんなツイート」







司会者「ヴィレッジヴァンガードの話はJAPANでも出てきてましたね。サブカル的に括られないとヴィレッジヴァンガードであんな売れない、そこに括られる悩みはあったけどそうやって「パスピエは○○」ってわかりやすく捉えてもらうのは入り口としては良かったと今になって思ってる、みたいなことを言ってました」

レジー「手前味噌ですが自分のインタビューから該当する箇所を紹介しておこう」

■「ロックフェスがきっかけでバンドを組もうと思った」という成田さんのエピソードもあるように、パスピエというバンドは「肉体的で、記名性の高いバンド」だとライブを見るたびに実感します。一方で、それとは対極の「匿名性」を重視する相対性理論やその界隈のバンドと同列で語られることも多いです。このような周囲からの評価にギャップを感じることはありますか。

成田「それもう言われすぎて慣れましたね(笑)。ギャップはありましたよ。ただ、カテゴライズしてもらうと一歩目が踏み出しやすくなるんで、初めて流通盤出したときに自分らの気持ちは置いといて「パスピエってこんなバンドだよ」と認知されたのはよかったかなと。ただその分、そういうバンドなんだってイメージがついちゃうとそれが天井になっちゃうので、なにか別のアプローチをしていかなきゃなと思ってやってました」

司会者「いろいろなラべリングがされる中で、『わたし開花したわ』に関するインタビューも出てましたね

レジー「で、これ読んでのツイート」










司会者「これセットリストじゃなくてプレイリストですね」

レジー「ほんとだ!恥ずかしい。結局『真夜中のランデブー』ってライブで一回しか聴いてないんだよなあ。鍵盤2台いるから大変みたいな話以前MCで言ってた気がするんだけど、もっとやってほしいわ。で、11月にライブ見た後12月にも見て、年明け1月にWOMBのイベントで見ました」




司会者「ここで『最終電車』を初めて聴いたんですね」



レジー「うん。ほんといい曲すぎて衝撃的だった。いつ聴いても完成度高いよね。最近でた泉まくらとのコラボもすごいいいんだけど、原曲の完成度高いからあのCD聴いてて3曲目でオリジナルが始まった瞬間すごい安心してしまうんだよね。で、『最終電車』も入ってる『ONOMIMONO』がリリースされたのが2012年の6月」









司会者「最初はしっくりいってなかったんですね」

レジー「しっくりいってなかったというか、ちょっと「思ってたのと違う!」って感じがあったんだよね。メジャーいくと変にこざっぱりしちゃうのかなあみたいな。でもそんな印象もライブ見たら吹き飛びます」













司会者「『ONOMIMONO』購入者向けのインストアライブですね

レジー「これ最初行かないつもりだったんだけど、ちょっと予定変わって急遽行くことにしたんだよね。行っといてよかった。ここで見てなかったら『ONOMIMONO』の評価もっと低かったかもしれないね自分の中で」

司会者「やっぱりライブが大事なんですねこのバンドは」

レジー「うん。最近になってやっと「パスピエはライブがすごい」みたいな話になってるけど、最初から一貫してたと思いますよ個人的には。ここまでがメジャーデビューまでですね。で、この直後の2012年7月から「レジーのブログ」始まってますので、ここからについてはさっきあげたパスピエ関連の記事を読んでていただけると今までの流れがわかるかな。あ、そうだ、あと1つだけ紹介しとこう。今年の2月に下北沢のGARAGEで見た時のツイート」




司会者「そして今まさにネクストステージに羽ばたこうとしてる感じですね。ではこの先の展開について、何か思うところあればお願いします」

レジー「そうですね、基本的には何の不安もないのでこのままどんどんいい作品作っていいライブやってほしいなと。で、一個気になることがあるとすれば、最近「【定期】好きなバンドかぶったらRT&フォローお願いします!」みたいなツイートに列挙されてるバンド群にパスピエが入ることが増えてきてる気がするんですよ」

司会者「あー」

レジー「4月にWWWで見た後にも宇野維正さんとこんなやり取りしたんだけど」













司会者「確かに良くも悪くもすごい盛り上がってましたねあのライブの前の方は」

レジー「これって間口が広がってる証拠だからポジティブに捉えるべきことだと思ってはいます。一方で、宇野さんのツイートもすごくわかって。パスピエって「わかる人にはわかる」的な評価だけでとどまるバンドじゃ全然ないけど、単にスポーティーに消費されるにはあまりにももったいないバンドだなあとも思うんですよ」

司会者「その辺の折り合いどうつけるかってのが今後のカギになるんですかね」

レジー「個人的に気になるのはそのあたりですね。たとえば、“世界の終わり”というバンドのファンと“SEKAI NO OWARI”というバンドのファンって、きれいに入れ替わってると思うんですよね。それはもう鮮やかなくらいに」

司会者「「『EARTH』は好きだったけど今はね・・・」って人すごい多いですよね」

レジー「うん。僕もそのクチなんですけど。で、そういう形で一度離れたファンってたぶん戻ってこない。拡大戦略をとるにはそういう発想も必要なときもあるのは理解しているけど、自分としてはパスピエにはぜひありとあらゆる層を納得させる全方位の戦い方を見せてほしいなと。これからもいちファンとして応援したいと思います」

司会者「わかりました。では今回はこの辺で。次回はどうしますか」

レジー「んー、そうねえ。ふくろうずアルバム出るらしいからそれについてやりたいなあと思いつつ。ちょっと考えます」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

パスピエ『フィーバー』リリースにあたってインタビューを敢行しました

レジー「前回のエントリーでも最後ちょこっと触れましたが、パスピエの新曲『フィーバー』が3月20日にリリースされます」



司会者「シングルとしては初リリースですね。パスピエについては去年の秋ごろ年初にそれぞれこのブログで取り上げています」

レジー「PVも公開されました」



司会者「初めてメンバーが実写で登場してますが、顔は見えそうで見えない感じです」

レジー「このあたりの意図については先日成田ハネダさんとツイッターでやり取りしました」







司会者「「顔を見せないバンド」から徐々に生身のパスピエを見せていく、という流れを意識していやっていると」

レジー「バンド運営に関する明確な戦略があるのが面白いですね」

司会者「このブログで何度も扱っている「自己表現至上主義」的な立場に立ってる人たちは「戦略」みたいな概念の匂いがした瞬間に「あざとい」「マーケティング(笑)」「そういうことを考えずに爆発した表現衝動こそ本物」みたいなことを言いそうですが」

レジー「そういうこと言う人もいるだろうけど、「自分たちの表現を的確に伝えるための手段を考え抜く」なんて当たり前のことだよね。その「当たり前のこと」に考えの至らないミュージシャンが多いってだけで。僕は全面支持です」

司会者「このあたり、パスピエというバンドがどういう考え方で動いているかってのは興味深い部分ですね。直接聞いてみないとわからないことではありますが」

レジー「そうなんですよ。というわけで、直接聞いてみようと思ってアプローチをしてみたらなんとコンタクトがとれました」

司会者「ん?どういうことですか?」

レジー「僕パスピエのこと好きです、こんなブログやってます、パスピエの内面にもっと迫りたいので、メールで良いのでインタビューさせてください!ってお願いしてみたんですよ。メジャーデビューしてる人たちだし個人ブログからのアプローチは難しいだろうなあと思ってたら、なんと快諾していただきました」

司会者「ワーナーさん意外とフレキシブルですね」

レジー「ね。びっくりしましたよ。というわけで、バンドのこと、新曲のこと、いろいろと質問してみました。回答いただいたのはボーカルの大胡田さんとキーボードの成田さんです。いちブロガーの質問に丁寧に答えていただいてほんとに感謝してます」

司会者「「メールで質問を投げる→それに関して文面で答えていただく」というスタイルで取材をしたので、回答内容についてはお二人が書いてくださった文章をそのまま掲載しているという理解でよいですかね」

レジー「そうですね。一部句読点とかカギかっことかいじって読みやすくなるようにはしてますが、基本的にはご回答いただいたものそのままです。文面からもお二人の個性が出ていると思いますので、そのあたりも感じ取ってもらえれば。それではお楽しみください」

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■今回はこのような機会を与えていただきありがとうございます。私がパスピエのことを知ったのは2011年の秋ごろで、初めてライブを見させていただいたのもその時期でした(2011年11月の下北沢BASEMENT BAR)。当時と比べるとライブの動員も増え、パスピエというバンドの存在が着実に浸透しつつあるように思いますが、「自分たちのやっていることがリスナーに届いてる」という手ごたえを感じる瞬間はありますか。

成田「動員っていう事実に対してその都度の喜びはありますが、まだ実感はないです。リスナーにというよりはメンバー間のパスピエ像がだんだん色濃く出せるようになってきたかと思います」


■12月にZEPP TOKYOでのイベント出演がありましたが、普段より大きなライブハウスで様々な人気アーティストと同じステージに立ったことで何か影響を受けた/触発された部分はありましたか。先日下北沢GARAGEでのライブを見させていただきましたが、私がその前に見た新宿レッドクロスでのライブ(および過去何度かライブハウスで見たライブ)と比べてバンド全体がものすごく堂々とした感じになったなあという印象を受けたのですが。

大胡田「12月のライブでももちろんですが、ライブでは毎度何らかの発見があります。それは自分の外側からも内側からも。会場が大きくなれはなるほど、歌も、気持ちのような部分も遠くまで届けなければいけないな、と感じたので、今年は「もっと近くに感じてもらう」ということを意識しようと思っています」

成田「小さいライブハウスだと人ひとりひとりがよく見えて、「フロアに届ける」というよりは個人個人に届けと思ってるところがあったかもしれないです。大きなライブハウスや野外、しかも大勢の人がいるところでやるとひとりひとりを見る余裕はないので、「一つの団体、一つの塊」を相手にライブをするんだという気持ちになれたのが大きいかもしれません」



■下北沢GARAGEのライブでは、今まで以上にステージを動き回って全身でパフォーマンスする大胡田さんが特に印象に残りました。オーディエンスとコミュニケーションを取ろうという気持ちがより強く出ていたように感じましたが、ライブの回数をこなしていく中でステージに立つ際の意識として変わった部分はありますか。

大胡田「あります。今まではすこし距離を置いていたようなところがあったのですが(これは悪い意味ではなくて、表現の方法のうちのひとつ、として)今年から、ライブへ来てくださった方ともっと近づこうと試行錯誤しています。自分が発信したことにお返事が来て、それをすぐに感じられることってライブならではのことだと思うので。楽しめたらいいなと思って。いっしょに」


「ロックフェスがきっかけでバンドを組もうと思った」という成田さんのエピソードもあるように、パスピエというバンドは「肉体的で、記名性の高いバンド」だとライブを見るたびに実感します。一方で、それとは対極の「匿名性」を重視する相対性理論やその界隈のバンドと同列で語られることも多いです。このような周囲からの評価にギャップを感じることはありますか。

成田「それもう言われすぎて慣れましたね(笑)。ギャップはありましたよ。ただ、カテゴライズしてもらうと一歩目が踏み出しやすくなるんで、初めて流通盤出したときに自分らの気持ちは置いといて「パスピエってこんなバンドだよ」と認知されたのはよかったかなと。ただその分、そういうバンドなんだってイメージがついちゃうとそれが天井になっちゃうので、なにか別のアプローチをしていかなきゃなと思ってやってました」


■楽曲作りの際には「家庭のスピーカーや音楽プレーヤーのイヤホン」で聴かれることと「ライブハウス」で聴かれることのどちらを強く意識していますか。アレンジの緩急とそれを生かしたパフォーマンス(『電波ジャック』で「2番のAメロで音数を減らして、それに伴ってハンドクラップを煽る」など)を見ると、最初から「ライブでの盛り上がり」を想定した楽曲制作をされているのでは?と想像しているのですが。



成田「曲によりけりですね。曲が出来上がった後で、前者寄りの曲ならライブ用にアレンジを、後者寄りの曲ならレコーディング用にアレンジを少し加えます。キーボードだけでいうと、音源とライブは結構違う事をやってますよ」


■今回リリースされるシングル『フィーバー』についてお聞きします。『名前のない鳥』『ON THE AIR』ではパスピエの「ポップで爽やかな側面」が前面に押し出されていたと思いますが、今回の『フィーバー』では「妖艶で怪しげな側面」が強調されているように感じました。この曲を通してバンドのどんな魅力を知ってほしいと考えていますか。

大胡田「より、生に近いパスピエ」

成田「熱量ですかね。あとバンドでしか出せない部分を求めているので、そこを前作と比べてみてほしいです」


■一聴して耳触りの良い『名前のない鳥』『ON THE AIR』のような曲でなく、『フィーバー』のような「ちょっとくせのある、ひねくれた曲」を初のシングルとした狙いがもしあれば教えてください。

成田「1stシングルですし、新しいイメージを持ってもらいたいと思ってます」


■『フィーバー』の歌詞は「左目が溶け出した」「ピンクのケロイド」などいろいろな解釈のできる「イメージワード」が並んでいます。このような歌詞を書く場合と『ON THE AIR』や『最終電車』の歌詞のように具体的な情景描写をする場合では、大胡田さんの中では何かしらの「モード」の切り替えが行われているのでしょうか。

大胡田「モードの切り替えと言うのかはわかりませんが、確かに、歌詞の書き方には違いがありますね!確かに!たとえば『フィーバー』は「フィーバー」という単語から広げていった歌詞なので、お話の流れよりもテーマを大切にして書いています。『ON THE AIR』や『最終電車』は見えている景色や、頭の中の物語を文字に起こす、というふうに書いています。ほかにもいろいろありますよ」


■今回カップリングの1曲として、大野方栄さんが1983年にリリースした「Eccentric Person, Come Back To Me」のカバーが収録されています。成田さんがルーツと公言されている80年代の日本のポップスは若いリスナーにとっては必ずしもなじみのあるジャンルではないと思いますが、このシーンについて「こんなに面白い音楽があるんだよ」と紹介したい気持ちはありますか。



成田「ありますね、その言葉通りです。単純に自分らでやってみたかったというのもあります」


■「Eccentric Person, Come Back To Me」のボーカルスタイルはこれまでのパスピエの曲とは異なるように感じましたが、実際に歌ってみての発見や難しかったことなどあれば教えてください。

大胡田「早口楽しいです。あと、歌詞に入っている言葉から時代を感じました。興味深いです」


■個人的には、パスピエの曲からは80年代の日本のポップスだけでなく、たとえばピチカートファイブやJUDY AND MARYなど90年代のJ-POPからの影響も感じられます。楽曲制作において、この時代のシーンから何かしらインスパイアされている部分はありますか。

成田「この時代のシーンからインスパイアされてるのは、その時代感ですかね。やっぱり、その時代のポップミュージックにリアルタイムで触れてこなかったので、その類の音楽を聴くたびになんか新鮮なんだけど、頭の片隅に引き寄せられるものがあって」


■山下智久さんに提供した『怪・セラ・セラ』もまさに「パスピエ印」の一曲だと思いました。自分たち以外の方に楽曲を提供するにあたって、普段の制作と異なる部分はありましたか。



成田「この曲はもともとパスピエの新曲として作っていた曲なので、作曲面の心がけはなにも変わらないです。歌詞については、言葉のひっかかりやすさを意識して作りました」


■今回は男性アイドルへの楽曲提供でしたが、もし女性アイドルに対して同様の機会があるとしたらどんな楽曲を提供したい/世界観を提示したいですか。(もちろんいろいろなタイプのアイドルがいますが、「自分がイメージするアイドル像」を想定してお答えいただければと思います)

大胡田「ものすごく偶像めいたものを書いてみたいです」

成田「上にもあるように、山下さんのはもともとパスピエの曲を提供させていただいたので、女性アイドルの場合は・・・というのはわからないです。ただ、誰に提供する際も「誰々用に書いた曲」というよりは「成田ハネダの書いた誰々の曲」になるようには心がけたいです」



■4月にはARABAKI ROCK FEST.13への出演が予定されています。大規模ロックフェスを通してバンドというフォーマットを「発見した」成田さんですが、出演する側として何か特別な意気込みがあったら教えてください。

成田「当時の自分に教えてあげたいですね」


■ARABAKI ROCK FEST.13の他の出演アクトで、「同じフェスに出られて嬉しい!」「ぜひ見たい!」という人たちがいたら教えてください。

成田「みんな見たいですが・・・やはりフェイバリットでもあるyanokami(矢野顕子さん)」


■最後に、この先日本の音楽シーンもしくはポップカルチャー全般においてパスピエはどんな存在になりたいか、目標や野望があればお願いします。

大胡田「二度見しちゃう。二度、目が合ったそのときには触れずにはいられない。そんな存在」

成田「カルチャーにおいてのアプローチができたらもっと面白くなるだろうなーと思います。まだまだ模索中ですが・・・」


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司会者「特に面白かった部分とかあれば」

レジー「やっぱり「ポスト相対性理論」的な言説には違和感を感じていたんだなーと。で、それを逆手にとって・・・っていう発想が、最初に話した「戦略的」みたいな部分につながっているんだなあと思いました」

司会者「歌詞の書き方の話は、大胡田さんの回答を見る限りは何かしら新しい気づきがあったのかもしれないですね」

レジー「もしそうだったら望外の喜びであります。成田さんの「カルチャーについてのアプローチ」ってのも期待ですね」

司会者「4月に「KAWAii!! MATSURi (カワイイマツリ)」への出演も予定されてますが、そっち寄りの動きとも共振していくと面白いですね。海外へ、みたいな話もあるかもしれないですし」

レジー「そうね。どんどん飛び火していったらファンとして嬉しいなと思います」

司会者「わかりました。ではぼちぼちまとめていただけると」

レジー「今回に関しては、とにかく答えていただいてありがとうございましたってのが一番ですね。みんなunBORDEのアカウントフォローしましょう。あとは山ピーの「怪・セラ・セラ」も結構売れてるんだよね。サカナクションにとってSMAPの曲書いたのが世間的には結構大きかったように、パスピエにとっても一つのターニングポイントになるのかなと。「ブレイクしそうなアーティスト」のまま消えていく人たちもたくさんいますが、パスピエはぜひネクストステージに到達してほしいなと思います」

司会者「このブログが多少なりとも貢献できれば言うことなしですね」

レジー「ほんとそうね。こういう当事者からの「生声」を聞くのはすごく面白かったので、機会があればまたやりたいですな。というわけで今回はこの辺で。次回はまた平常運行に戻ります。積み残しになってる『ソーシャル化する音楽』の5章についてやりたいと思います」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

だからパスピエのこと「ポスト相対性理論」っていうなって

司会者「年が明けたわけで、「今年ブレイクするのはこいつらだ」的な特集がちょこちょこ出てきますね」

レジー「ちょうどカウントダウンTVでもやってましたね。1位がももクロで「え???」ってなったんだけど」

司会者「まだブレイクしてないんですね」

レジー「誰にアンケートしてるのかもそもそもの「ブレイク」の定義もよくわかんないんだけど、こういうのに入るのがももクロだけってのがアイドルシーンの現状かもね。今年はさらに淘汰が進むだろうねあのシーンは」

司会者「この手の特集で最近注目度が高いのが、iTunes Storeの選出するやつですね」

レジー「相対性理論、サカナクション、テレフォンズ、androp、andymoriとかね。耳の早い人はもう聴いてるけどここからさらに・・・ってタイミングで選ばれてるのが多い印象」

司会者「で、その特集の2013年版にパスピエが選ばれました

レジー「いやーこれはほんとに喜ばしいことですね」

司会者「フォロワーが増えてから地道に過去のパスピエ記事を紹介していた効果が出ましたね」

レジー「直接的には全く関係してないと思うけど、年末の佐々木俊尚さんのRTのときにも「パスピエって初めて知ったけど超いいな!」みたいな反応結構あったんですよ」

司会者「洋楽離れビール離れロックとアイドル関連の記事でフォロワーが増えた時も、必ずいくつかは「このブログでパスピエ知ったけど気に入った」みたいなのが出てきますよね」

レジー「そうそう。もっと広がれば絶対支持を獲得できるバンドなんですよ。ここからパスピエの快進撃が始まりますよ」

司会者「年初にいろんな発表がまとめてありましたのでここでまとめておきます」

・1/9 「名前のない鳥」iTunesで配信
・3/20 「フィーバー」初シングルとしてリリース
・4月 自主企画「印象A」 東京、大阪で開催
・山下智久の新曲「怪・セラ・セラ」の作詞作曲を担当(リリース未定、日テレ「心療中 -in the Room-」主題歌)
・ついに顔出し


レジー「予想外のケチャドバ来ましたね」

司会者「サッカー興味ない人にはわかりづらいネタを出さないでください」

レジー「失礼しました。以前の記事にも「もっと攻めるなら顔出しも必要では?」って書いたけど、一気に行くならまあそうするよね」

司会者「大きいところでは山ピーですか」

レジー「うん。これはすごいよ。メジャーデビューの時露出が地味だったから「一番のチャンスなのにこんな感じで大丈夫かな」と不安に思ったんですが、まさかここまで派手なネタを持ってくるとは思わなかった」

司会者「「愛・テキサス」では相対性理論の2人が曲提供してたわけですが」

レジー「ここでは「ポスト相対性理論」っていうコピーが役に立ったかもね。ドラマのエンディングでちらっと聴けただけだけど、完全にパスピエ印だった。早くフルで聴きたい」

司会者「「名前のない鳥」についてはすでに配信が始まっています」



レジー「パスピエの曲って、イントロからガツンと来る感じの曲と抑え目に入ってじわじわ盛り上げていく曲があると思うんですが、今回のは後者ですね。強いて言えば「わたし開花したわ」収録の「うちあげ花火」タイプか」

司会者「サビでメロディラインが上がっていくところはすごい解放感がありますね」

レジー「鍵盤とギターのバランスとか、かなりマーケットを意識してきたんじゃないかなあと思いました。売れてほしいですね」

司会者「ここから露出が増えてくると「ポスト相対性理論」というおなじみのコピーがたびたび登場することになりそうですが」

レジー「そうねえ。まあわかりやすいからいいのかもしれないけど、前も書いた通り実態は全然違うわけですよ」

司会者「何かミステリアスな感じ、くらいの共通項しかないですよね」

レジー「そうそう。あくまで佇まいの話でしかないから。で、以前の記事でピチカートとのつながりについて書きましたけど、このバンドはいろいろと語るべきポイントがちゃんとあると思ってるんですよ。たとえば、中心人物の成田ハネダさんはCINRAに掲載されてるロングインタビューでバンド結成のきっかけについてこんなことを語っています」

―バンドを組もうと思ったきっかけは、ロックフェスだったんですよね?

成田:そうです、大学1年の年末に、友達に誘われて『COUNTDOWN JAPAN』に行ったんです。僕それまで学園祭でコピーバンドをやったことがあったぐらいで、基本的にはずっとクラシック一本でやってて、それこそ将来はピアニストになりたいと思ってたんです。でも、ロックフェスに行って、例えばYOUR SONG IS GOODさんとかすごいじゃないですか?

―特に、どういう部分にびっくりしました?

成田:ピアノの音歪んでるし、「鍵盤担いでるよ!」みたいな(笑)。でも、普通にお客さんが踊ってるし、すごく楽しんでるんですよね。クラシックのリスナーを否定するわけじゃないですけど、正装して座って聴くっていうのがちょっと堅苦しいなっていうか、もっと単純に楽しめるものもやってみたいっていう沸々とした思いもあるにはあって、その思いを爆発させるためにはバンドだと思ったんです。


司会者「フェスきっかけで「バンド」というものに興味を持ち始めたんですね」

レジー「成田さんはこのタイミングまでいわゆるポップミュージックを「友達が聴いてた流行ってる音楽ぐらい」しか聴いてなかったそうです。つまり「作品との出会い」ではなくて「ライブとの出会い」によってロックバンドというフォーマットを志すようになったと」

司会者「「音源からライブの時代へ」みたいなことよく言われることを考えると、とても今っぽい話ですね。「クラシックからロックへの越境」ではなくて、「コンサートホールからロックフェスへの越境」なんですね」

レジー「この話を読むと、パスピエの音楽がすごくフィジカルで、繊細かと思いきやわかりやすくノリやすいアレンジになってるのも合点がいきます。開かれた空間、それもいろんなタイプのオーディエンスが混在しているフェスという空間をあらかじめ想定されて作られた音楽。たぶんこれって「ニルヴァーナの「Nevermind」を初めてヘッドフォンで聴いたときに衝撃を受けてバンドを始めました!」って人たちとは考え方が違う、それこそ鹿野さん柴さん風に言うと「新しい価値観でバンド運営をしている」と思うんですよ

司会者「「ポスト相対性理論」というよりも「ポストロックフェス時代」のバンドなんですね」

レジー「そっちの方がしっくりくる。で、同じインタビューの続きなんですけど、ロックに触れていなかった成田さんがどういう方向に向かっていったかという話」

―昔から並行してクラシックもロックも聴いてたわけではなく、そのタイミングで切り替わったんですね。

成田:高校時代は、それこそ友達が聴いてた流行ってる音楽ぐらいでした。そこからバンドっていうものを掘り下げていくうちに、キーボードとして必然なのかもしれないですけど、YMOにぶつかって、そこから矢野顕子さんにはまって、僕今でも一番のフェイバリットは矢野さんなんです。

―大橋トリオさんが新しいアルバムで矢野さんと1曲共作してるんですけど、取材をした際に、やっぱり矢野さんが一番だって話をされてました。

成田:長年ピアノをやってきましたけど、あの人はやっぱり化けもんだなって思います(笑)。で、そこからその世代のジャパニーズニューウェイブにどっぷりはまって、近田春夫さんのビブラトーンズだったり、ジューシィ・フルーツだったり、あともっとマニアックなおしゃれテレビっていうバンドにもはまって、それにインスパイアされてできた曲が“電波ジャック”(1st『わたし開花したわ』収録)って曲なんです。


司会者「このおしゃれTVってバンドかっこいいですね」

レジー「初めて聴きました。この辺のニューウェーブがルーツになってるってのは成田さんは各所で口にしています」

司会者「日本のニューウェーブシーンに一気に接続してるのは珍しいケースのような気がしますが、源流まで遡って迂回すればテレフォンズとかそっちにもつながっていきますね」

レジー「ジューシィ・フルーツ経由だとPerfumeとかね。Perfumeもざっくりと「テクノポップ」とか言われちゃうけど、その言葉を頼りに辿っていくとパスピエのルーツと同じようなところにいくと思います。何が言いたいかというと、「ポスト相対性理論」って看板が強調されるとどうにも「孤高の存在」みたいなイメージが付く気がするんですが、ちゃんと音楽的な流れで位置づけられるバンドですよと」

司会者「そう言えば先日kenzeeさんがパスピエのことを「米食って育ったクラウドベリージャム」と評していました

レジー「この説明は個人的には超ツボでした。自分がはまってる理由を言い当てられた気がした」

司会者「10代のころはまってましたね。スウェディッシュポップ全盛のころ」

レジー「クワトロでやったラストライブに高2のとき行ったんだけどいつの間にかまた活動してたのねこのバンド。全然知らなかった」

司会者「確かにパスピエはこの手のギターポップに通じるものを感じますね」



レジー「この前の記事で挙げたピチカートもそういう流れだよね。あともうちょっとギターバンド寄りでふと思い出したのがadvantage Lucyとかね」



司会者「懐かしい。「グッバイ」はほんと名曲ですよね」

レジー「このあたりのバンドは「お高く止まってる」「身近感がない」みたいに感じる人もいると思います。で、ここで重要になってくるのがkenzeeさんの言う「米」の部分ですね。日本的情緒というか。平たく言っちゃうと、ジュディマリ成分ですよ」

司会者「「名前のない鳥」にも「クラシック」的な良さがあります」

レジー「声がYUKIに似てるとかそういう話じゃなくて、バンドサウンドを適度にウェットにして広く伝わるようにするってところに同じものを感じます。これはロックの原体験が「フェス」にある人が曲を作ってるバンドならではかもしれないですね」

司会者「なるほど。長くなってきたのでそろそろまとめたいのですが、ここからパスピエどうなりますかね」

レジー「いろいろ巡り合わせもあるから何とも言えないけど、超期待大ですよ。作り込んだポップな音をロックバンドのフォーマットでやって女性ボーカルが歌う、ってポジション何気に空席だと思うし。それこそアイドルに流れた元ロックファンとか、そういう人たちにも刺さるんじゃないかな」

司会者「顔出しもしたし、ファッションアイコン的な売れ方もあり得ますよね」

レジー「そうそう。まああんま売れてライブのチケットとりづらくなってりしたらそれはそれで困っちゃうけどね。そんな悩みが出るくらい売れたらいいなあと思います。とりあえずシングルのリリースを楽しみに待ちますわ」

司会者「わかりました。では次回はどうしましょうか」

レジー「んーどうしようかな。前の洋楽離れビール離れネタで積み残してた話についてやろうかなあ。ちょっと幅広に考えます」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」

パスピエのこと「ポスト相対性理論」っていうな

レジー「最近iTunes Uを使い始めました」

司会者「いろんな大学の授業が無料で聴けるんですよね。東大のサンデルの講義とか」

レジー「これほんと便利だな。こういうのあったらそりゃコンテンツにお金払わなくなるよね」

司会者「何か面白いものはありましたか」

レジー「僕中沢新一が好きなので、多摩美の講義をちょっとずつ聴いてます。特に細野晴臣と対談してる「これからはじまる音楽のために」ってのが素晴らしかった」

司会者「こんなの大学で聞けるなんて多摩美の学生幸せですよね」

レジー「ほんとそう思う。で、ここでは細野さんがYMOを始めるに至るまでの話なんかをしてるんだけど、その中でとても興味深いくだりがありました」

中沢「最初あれ横尾さん(横尾忠則)も入るっていう話だった」

細野「そうなんですよ。インドの影響が強いですからね。横尾さん第4のメンバーどうですかと」

中沢「楽器は何をやるんですか?」

細野「楽器はやらないですよ」

中沢「立ってればいいんですか」

細野「そうそう」

中沢「あー。僕も誘われたもんね」

細野「そうなんです、誰でもいいんです。YMOってのはもともと匿名性を重んじようと思って。あんなに顔が出ると思わなかったんですよ。3人とも無名でしたからね世の中では。だからYMOってのは記号化して、誰がいてもいいんじゃないかと。で、疲れたら交代したりね。誰でもいいんですよほんとは」

中沢「それはかっこいいコンセプトだったわけですね」

細野「だったんです。すごいいいアイディアだったんですけど、顔が売れちゃうとそれができなくなっちゃった」

司会者「ほー」

レジー「もしかしたらYMOにピエール瀧枠があったかもしれなかったんですね」

司会者「そんなに時代の先を行ってたのかあの人たちは」

レジー「この「匿名性」ってのも何気に最近のシーンのキーワードだよね」

司会者「メンバーの顔が見えない感じ。さよならポニーテールとかまさにそれですね」

レジー「あのバンド、バンドって言っていいかも微妙だけどあの人らは文字通り匿名性を売りにしてるよね。音としては結構好きです。あとは最近だと禁断の多数決とかか。正直このバンドはよく知らんのだが。まあなんか気にはなる」



司会者「相対性理論以降の動きですよね」

レジー「何となくの新世代感というか」

司会者「「インターネット時代の感性」とか言われちゃう感じですよね」

レジー「そうそう。クイックジャパンとか今は亡きスタジオボイスとかが好きそうな」

司会者「なんかわちゃわちゃありますよね」

レジー「相対性理論直系だとタルトタタンとか。あとは宇宙人」

司会者「パスピエもこの流れで括られることが多いですね」

レジー「そうですね。ただ、個人的にはパスピエをこの文脈に入れるのはどうかなと思うんですよ。去年から何度もライブに行ってる身としては」

司会者「実は今一番追っかけてるバンドなんじゃないですか。いつからそんな好きなんですか」

レジー「これはちょうど1年前ですね、去年の10月に渋谷のタワレコの試聴機で「わたし開花したわ」を見つけまして。何の気なしに聴いたらこりゃすげえなと。即買いして、11月に下北沢のベースメントバーでライブ見ました」

  

司会者「この頃から「ポスト相対性理論」的なことを言われてましたね」

レジー「「アフター神聖かまってちゃん、ポスト相対性理論」とかね。意味不明です」

司会者「誰がつけたんですかねえ」

レジー「かまってちゃんは置いといて、相対性理論と比べられるのはまあわかります。女性ボーカルのギターバンドで、顔出ししてなくて佇まいが謎な感じとかね。でも音は結構違うと思うんですよね。パスピエの方がずっとエモーショナルですよ。お洒落に見えて、実は「クール」よりも「熱い」の方が形容詞として合う気がする」

司会者「この手のバンドでたまに見られる「雰囲気で煙に巻いてる感じ」はないですよね」

レジー「そうですね。情報量多いけど、やってることはど直球のポップスだと思います。相対性理論よりもピチカートの方が近いんじゃないかとか思う」

司会者「コンポーザーの成田ハネダさんは確かピチカート好きですよね」

レジー「そうそう。聴いたことない方はぜひ聴いてもらいたいんですけど、たとえばこの「最終電車」、センチメンタルな音の中で鍵盤が暴れていく感じは「メッセージ・ソング」とつながってるように感じます。マジで素晴らしい」





司会者「超名曲ですね」

レジー「あと2カ月で何もなければ今年のマイナンバーワンソングですね。それから、ネットに音源ないんですが「真夜中のランデブー」って曲は「大都会交響楽」を思わせますね。僕この2曲にYUKIの「ランデブー」を加えた3曲のセットリストを作ってます」

司会者「顔が見えないミステリアスなバンドみたいに言われてる割には音は相当記名性高いですね」

レジー「そういう印象はライブ見るとますます強まりますよ。10/8に新宿レッドクロスで見てきたんですが」

司会者「今年何回目ですか」

レジー「1月の渋谷WOMB、4月の下北沢GARDEN、6月のタワレコインストア、10月の新宿レッドクロスと4回目ですね。これだけ見てるとまあセットリストもいつも通りだよねっていう感想にはなるんですが、いつも通り素晴らしいと」

1.チャイナタウン
2.デモクラシークレット
3.トリップ
4.トロイメライ
5.気象予報士の憂鬱
6.最終電車
7.電波ジャック


司会者「どれも良かったですが、アタマ2曲かっこよかったですね。インプロっぽくつないで」





レジー「そうですね。このバンドほんとテクニックあるんですよ。職人技って言葉がぴったりです。で、ボーカルのなっちゃんが華やかな一方でバックの男4人がぱっとしないのがまた良い」

司会者「さらっと失礼なこと言ってませんか」

レジー「いやこれほんとに褒め言葉ですよ。淡々とかつしっかりとポップな音を出してる感じが伝わる外見です。超かっこいい」

司会者「技量は高いですがそれに溺れることなく、結構フィジカルなステージをやりますよね。それにつられてお客さんもかなり盛り上がってました」

レジー「結構あのノリはびっくりしました。お客さんの質も変わってるね。拡大してきてるのがわかる」

司会者「具体的には」

レジー「初めて下北で見た時は「どれどれ」っていうムードがフロアにあったんですよね。これは僕も含めてなんですけど、品定め的なね。で、それに対してバンド側も警戒心を持って挑んでたと思います。それが6月のレコ発のときは、タワレコでやってたってこともあってお客さん全体が「待ってました!」って感じでした」

司会者「初めて姿を見る人たちも多かったでしょうし」

レジー「そうですね。バンド側もずいぶんオープンな感じで。で、それが今回は、まだ人数は多くないけど「ちゃんとしたファンのいるバンド」になってたんですよ。バンド側もステージから煽るし、客もそれに応えると。だいぶ関係性ができてきたんだなと」

司会者「なるほど」

レジー「オイオイコールが出たり、「邦楽ロックファン」もある程度取り込んできてるんだろうなあとも思いました。ああいう雰囲気になると、実はパスピエの曲がライブを意識して作られてるのが際立ちますね。サビで盛り上げて、2番Aメロでバックの音を減らして手拍子誘発、そこからBメロで再加速してサビでもうひと山、みたいな「シンプルだけど確実に盛り上がる仕組み」を手堅く使ってると。CDだけだとわかりづらいバンドの本質がライブでよく見える」

司会者「ポップなだけじゃなくてちゃんと身体性を伴っていると」

レジー「そうそう。線の細い文化系バンドだと思ったら大間違いですよ」

司会者「わかりました。そろそろ終わりたいと思うのですが、この先どうなりますかねパスピエは」

レジー「そうですね、希望もこめてですがまだまだいくと思いますよ。このバンドには「サブカル野郎/女子の慰めものになる気はない」っていう気概がありますから」

司会者「こんなこと言ってますね

──では、ニューアルバム「ONOMIMONO」について。メジャーレーベルからのリリースになりますが、そのことは意識してましたか?

成田 そうですね。バンドを組んだときから、ずっとメジャーデビューしたいと思っていたので。自分に対する自信だけはずっと持ってたんですよ。パスピエで大きなことをやりたいと思っていたし、そのためにはやはりメジャーレーベルがいいな、と。なるべくたくさんの人と関わって、いろんな企画が生まれて、そこから次の作品につながっていく。そういうことがやりたかったんですよね。

大胡田 それはずっと言ってましたね。「趣味で続ける気はない。とにかくメジャーデビューするんだ」って。

レジー「素晴らしい。相対性理論系の音で不思議ちゃん気取って特定層の支持を得るってのは、ある程度の才能のある人なら簡単なんだと思うんですよ。でもこの人たちはそれをやる気はない。そういうスタンスがある限り、もっとファン層は拡大すると思います。まあでもちょっとやり方は変えた方がいいかもね」

司会者「どの辺でしょうか」

レジー「たとえば、今は顔出しせず活動してるけど、ほんとにメジャーを目指すならそれを貫き通すには限界があるかもしれない。多少誤解を孕むことになっても、顔出ししてなっちゃんがポップアイコン的な役割を引き受ける必要があると思うんですよね」

司会者「現状顔出ししてないのは、顔出すと「かわいい女の子」的な切り口でも露出が増えて面倒になるみたいな読みもあるんですかね」

レジー「わかんないけど、そういう側面もあると思うんだよね。でもそんなのも含めて大きくなるのがほんとにすごいバンドだから」

司会者「「きゃりーぱみゅぱみゅもお気に入り」みたいな情報もうまく使いたいですね。原宿のイベントにも出たりしてるし」

レジー「そうなんですよ。ファンションと音楽の両面でカルチャーの中心になれる素質を備えてるバンドだと思うので、閉じた世界での動きではなくて、より開かれたポップフィールドで戦ってほしいなあと思います。期待してます」

司会者「わかりました。では次回はどうしましょうか」

レジー「そうですね、8日のレッドクロスで対バンしてたのがBiSだったんですが、これが本当にすごかった。今度の土曜日にAXで東京女子流とかLinQとか見るので、それと絡めてアイドルの話しようかな。いつも通り予定は未定ということで」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
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