November 19, 2006
Harmonized
終電を降りて地元の駅に着くと、
自然と周りをキョロキョロと眺めている自分がいた。
僕はあの時、間違いなくマリコさんを探していたのだった。
とはいえ、数ヶ月前にあんな形で知り合ってからは
一度も見かけたことがなかった。
でも今日のようなひどく落ち込んだ日は
あの人がふらっと現れて、またフシギな誘い方で
僕を逆ナンしてくれるんじゃないかと思えてならなかった。
初めて出会った時のマリコさんがそんな状態だったように、
今の僕もボロボロだった。
そんなことをぼんやりと思っていると
奇跡的に、コンビニから出てくるマリコさんに出くわした。
向こうは僕の顔を見てもすぐには気付かなかったようで
ジロジロと見つめてくる男に怪訝そうな顔をしていたが、
その眉間のシワを見て僕には一層マリコさんだという確信が持てた。
「覚えていますか、冷麺を食べにだけ来た男を?」
「…ああ!君ね!!えっと…」
「サトルです。何買ったんですか?」
「えっ…、いいじゃない、なんだって」
「当ててみましょうか?おでんと缶ビール2本」
「なんでわかったの!?」
「僕が今買おうと思ってたから」
「ちなみに2本買ったのは、
見栄とかカモフラージュとかじゃないからね」
「分かってます。
じゃ僕も今からもう2本買ってくるんで待っててください!」
「は?何言ってんの、あんた?
ってかどうしてそんなテンション高いの?」
僕はコンビニに入ろうとしたが一度引き返して、
マリコさんにこう尋ねた。
これを言う日を、僕はあの日からずっと待っていたのかも知れない。
「今日は冷麺ありますか?」
マリコさんはあっけに取られているようだったが、
少し首をかしげて腕を組んだ「キャリアウーマン・ポーズ」のまま
吐息混じりに答えてくれた。
「…温かいそうめんはどう?」
自然と周りをキョロキョロと眺めている自分がいた。
僕はあの時、間違いなくマリコさんを探していたのだった。
とはいえ、数ヶ月前にあんな形で知り合ってからは
一度も見かけたことがなかった。
でも今日のようなひどく落ち込んだ日は
あの人がふらっと現れて、またフシギな誘い方で
僕を逆ナンしてくれるんじゃないかと思えてならなかった。
初めて出会った時のマリコさんがそんな状態だったように、
今の僕もボロボロだった。
そんなことをぼんやりと思っていると
奇跡的に、コンビニから出てくるマリコさんに出くわした。
向こうは僕の顔を見てもすぐには気付かなかったようで
ジロジロと見つめてくる男に怪訝そうな顔をしていたが、
その眉間のシワを見て僕には一層マリコさんだという確信が持てた。
「覚えていますか、冷麺を食べにだけ来た男を?」
「…ああ!君ね!!えっと…」
「サトルです。何買ったんですか?」
「えっ…、いいじゃない、なんだって」
「当ててみましょうか?おでんと缶ビール2本」
「なんでわかったの!?」
「僕が今買おうと思ってたから」
「ちなみに2本買ったのは、
見栄とかカモフラージュとかじゃないからね」
「分かってます。
じゃ僕も今からもう2本買ってくるんで待っててください!」
「は?何言ってんの、あんた?
ってかどうしてそんなテンション高いの?」
僕はコンビニに入ろうとしたが一度引き返して、
マリコさんにこう尋ねた。
これを言う日を、僕はあの日からずっと待っていたのかも知れない。
「今日は冷麺ありますか?」
マリコさんはあっけに取られているようだったが、
少し首をかしげて腕を組んだ「キャリアウーマン・ポーズ」のまま
吐息混じりに答えてくれた。
「…温かいそうめんはどう?」