まぁ、頑張りまっか

自分が気に入ったバンド/ミュージシャンの感想文付きディスコグラフィを作ります。 このブログで掲載しているものは実際に音源を購入した作品に限ります。

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Band: PARADISE LOST
Genre: Electronic Goth Rock, Alternative Goth Metal
Nation: 🇬🇧
Thematic Years: 1999~2005




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Album Type: 7th full 
Style: Electronic Goth Rock, Electronic Darkwave, Synthpop
Legth: 53:00
Released: 1999
Review:
前作で誰にも動きを封じられないイレギュラーと化したParadise Lostが、世界中で賛否両論の嵐を巻き起こしたHR/HM完全脱却作7thです。
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一級シンセ・ポップよろしくシックに洗練された電子音を自由自在に操るエレクトロニック・ロックを基軸に、彼らのアイデンティティであるゴス由来の哀感や陰影を存分に落とし込んだ今作のサウンドは、前作という伏線を踏まえた上でも非常にドラスティックな変革を迎えたものと言えるでしょう。
前作をギリギリのところでHR/HMの括りに押し留めていたギターのヘヴィネスは跡形もなく消失、代わりにスマートなエフェクトを施された幻想フレーズを多用するなど、従来の攻撃的なプレイからは大きく距離を置いているのが印象的です。
そんな今作の主導権は、ほんの少し前まで"ゴシック・メタル界のギター・ヒーロー"として活躍していたGregor Mackintosh(Gt/Key)によるエレクトロニック・アレンジに譲渡されているのが特徴で、彼が奏でる新鋭シンセ・フレーズ──シンセ・ポップ調の冷ややかでロマンティックな音色から、フューチャー・ポップ調の近未来的な音色、ゲルマン系ダーク・ウェイヴ調の退廃的な音色まで──を最大限にプッシュしています。
随所で導入されるストリングスの類も決してクラシカルにはならず、徹頭徹尾スタイリッシュな美旋律への拘りを見せている辺りに、バンドの覚悟のほどが伺えますね。
また、まるでテクノ系ドラム・マシーンが正確無比に打ち込んだようなLee Morris(Dr)のドラミング、いつになくタメ感を重視した図太い低音を響かせるSteve Edmondson(Ba)のベースといった、ダンサンブルなリズム・セクションも今作のメタル離れを確実に後押ししていると言えるでしょう。
そして、ここに来て"メロディ・オリエンテッドなボーカリスト"で勝負出来るレベルにまで歌唱力が進化したNick Holmes(Vo)は、その佇まいに英国紳士らしいダンディズムとニヒリズムが花開き、過去最高に透明感のあるブルーな美声で聴き手を魅了します。
初期からは想像も出来ない音楽性に行き着いてしまった今作ですが、メタリックなギターに頼らずとも気が滅入るほどの"重さ"が作品を暗く染めている点は、方法論こそ違えど彼らの根幹が不変であることを証明しているのではないでしょうか。
エレクトロニック・ゴス/エレクトロニック・ダーク・ウェイヴという欧州人専用ジャンルに該当する作風が故に、その手の音楽に縁も所縁もない日本では不遇な扱いを受けた作品(逆に界隈の聖地ドイツではチャートTOP5入りの快挙)ではありますが、この完成度の高さは恐るべしです。
彼らの根底に宿るものに惹かれた方にとっては、きっと新たな扉を開いてくれるであろうキャリア最大の異色作。
Music Video: #1. So Much Is Lost
Favorite Track: #7. Permanent Solution
Rating: 9.5/10



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"Believe In Nothing"

Album Type: 8th full
Style: Alternative Goth Rock
Legth: 45:53
Released: 2001
Review:
Paradise Lost三大要素を担う"情熱"がボロボロに欠けてしまった鬱作品8thです。
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基本的な作風としては、前作で一つの頂点を極めたエレクトロニック手法をアクセント程度に引き継ぎつつ、そこそこヘヴィなディストーションを施されたギター・サウンドと普遍的なアンサンブルを再び取り戻したモダン・ロック路線に仕上がっています。
とは言っても、このギター・サウンドの質感は中々の曲者で、グランジ勃興以降の英国オルタナティヴ・ロックとの親和性が高い、適度な丸みと硬さを兼ね備えたものとなっています。
また、Gregor Mackintosh(Gt/Key)とAaron Aedy(Gt)が展開するギター・プレイは、90年代ブリットポップを思い出さずにはいられない骨太リフ、ささくれ立ったパワー・コード、空間系エフェクトを駆使した浮遊フレーズが大半を占めている為、過去作で実現していた悲壮なヘヴィネスとは異なった方向性です。
しかしながら、今作の明暗を分ける最大のポイントはこうした音楽性の表面的な変化ではなく、感情表現が不感症のように乏しくなってしまったNick Holmes(Vo)のボーカル・パフォーマンスにあると自分は考えます。
どれだけ良質な抒情成分に富んだメロディをなぞっても、ショッキングなまでに一本調子で、無気力、不安定なパフォーマンスに終始してしまう今作の彼の姿からは、かつてのように燃え滾る情熱を感じ取ることが出来ません。
おそらく、彼が抱える心の病の悪化が原因の一つと推測出来ますが、ブルーを通り越して虚無に陥った歌声は、本来ならポジティヴな雰囲気すら漂わせるサウンドを焦燥に駆られた空元気へと変えてしまっています。
無論、この虚無感をどう受け止めるかは聴き手に委ねられており、実際自分は今作のある種サイケデリックな世界観に魅せらましたし、久々の王道ギター・ソロを含めたオルタナ色も中々マッチしていると思います。
ただし、音楽性を変えながらも前作までは確実に存在していた熱量が失われているのは紛れもない事実で、アレンジの幅も普段と比べると残念ながら見劣りします。
従って、2ndをやや下回るぐらいの評価が妥当と自分は判断しましたが、他では聴けない本物の裏鬱サウンドを良質なメロディで聴けるという意味では、試す価値があるのではないでしょうか。
ゴシック・メタル始祖の称号に恥じぬ暗い作品を発表し続けてきたバンドではありますが、後味の悪さ及び精神汚染度に関しては今作が最高値です。
Music Video: #2. Mouth
Favorite Track: #3. Fader
Rating: 8/10



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"Symbol Of Life"

Album Type: 9th full
Style: Alternative Goth Metal, Industrial Goth Metal
Legth: 41:38
Released: 2002
Review:
新たにインダストリアル由来のヘヴィネスを大増強させた9thです。
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まず、全体的な作風を述べるなら、"モダン・ヘヴィネスの始祖"Killing Joke影響下にある方法論──マシーナリーな重金属音とクレイジーな電子音で無慈悲に攻撃を仕掛けるインダストリアル要素、トライバルなリズム・パターンを大胆に活用したポスト・パンク要素、ミステリアスさを醸し出すオリエンタル要素、陰性の抒情美を横溢させるゴス要素etcに、ドイツ風のSF的アトモスフェアを全身に纏ったもの、と書き表すことが出来るでしょう。
ここ数作ではヘヴィネスと意図的に距離を置いていた彼らですが、今作ではHR/HMの領域に舞い戻ったと言っても差し支えない、鋭利にギラついたギター・サウンドを前面に押し出している為、その破壊力は格段に向上しています。
ただし、5th以前のようにGregor Mackintosh(Gt/Key)によるギター・メロディが楽曲を先導している訳ではなく、あくまで機械的な反復を繰り返すリフ・ワークが中心に据えられており、メロディの大部分をダーク・エレクトロニクスが引き受けている点には依然変化が見られません。
一方、本家Killing Jokeさながら中近東リズムに則った特有のズレを、硬質アンサンブルへと巧みに咀嚼したLee Morris(Dr)が叩き出す民族的なドラミングは今作に於いて一際目立つ美点で、過去のParadise Lost作品群には存在しなかった"しなやかなタメ感"を与えることに成功しています。
そして、前作では病的なほど空虚なパフォーマンスに陥っていたNick Holmes(Vo)は、新たにJaz Coleman(Killing Joke)からヒントを得たであろう、激情に目覚めたサイボーグのような気迫を放つドスの効いたハーシュ・クリーンで、以前とはまた趣を異にする黒い情熱を楽曲へと大量に注入しています。
幾分スタイリッシュにデフォルメされた苦悩や悲哀を歌い上げるクリーン・ボイスや、対象の広がった歌詞にも、7thで開眼させた英国紳士らしいダンディズムとニヒリズムが確と宿っていますし、何よりここに来て再構築された感情表現でParadise Lost三大要素の均衡を取り戻した点は、彼の奇跡的な復活を意味するのではないでしょうか。
ボリュームに若干の物足りなさを覚えるという欠点こそありますが、終盤までのテンションは全盛期近くまで引き上げられている作品です。
Music Video: #2. Erased
Favorite Track: #4. Pray Nightfall
Rating: 8.5/10

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Band: PARADISE LOST
Genre: Gothic Metal, Electronic Gothic Metal
Nation: 🇬🇧
Thematic Years: 1993~1997




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Album Type: 4th full
Style: Gothic Metal
Legth: 50:32
Released: 1993
Review:
オーケストレーションや女声ソプラノを意図的に抑え、純粋なバンド・サウンドで陰鬱&耽美な世界観の再構築に成功した前作3rd。
本人達が無自覚の内に、Black Sabbathから脈々と連なる英国メタルバンドらしいデカダンな風格すら備わってきたParadise Lostの4枚目となる今作は、ゴシック・メタルをエクストリーム・メタルの監獄から解き放った記念碑として名高い歴史的名作です。
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まず、今作最大の特徴は、Nick Holmes(Vo)が遂にグロウルを捨て去り、内に秘めた憎悪や苦悩を自己犠牲を思わせるほど不器用に、しかし情熱的に歌い上げるスタイルへとシフトした点でしょう。
もっとも、低音~中音の普通声に荒々しいエッジを施したハーシュ・クリーンを主に使用している上、力強さや節回しがスラッシュ系の吐き捨てシャウトと遠からずな質感なので、"メロディ・オリエンテッドなボーカリスト"にまで化けた訳ではありません。
しかし、虚仮威しではない、人間らしい情念の揺れ動きを常に追い求めてきたNick Holmes(Vo)にとって、"積極的に歌うこと"は極めて大きな進歩となりましたし、音楽面のバリエーションは勿論、ゴシック・メタルの多様化にも直接的な影響を及ぼしたことは明記しておくべき事実です。
また、今作に於ける楽器隊のパフォーマンスは、アンサンブルの説得力が増した前作の旨味を引き継いだものですが、エクストリーム色は大分薄まってきており、代わりに、正統派メタル由来の普遍性と壮大なドラマ性をドゥーム・サウンドに組み込んでいます。
エクストリーム色が薄れたことで、前作で排除されていたオーケストレーションや女声ソプラノの再導入に、ゴス・ロックが持ち得る官能美が加味されている点がユニークですし、精神的な重圧感が反比例のように増している点も強く印象に残ります。
これら勇猛果敢な変化により、陰鬱&耽美&情熱の3要素が時に交差し、時に拮抗するという綱渡り的バランス感覚が、Paradise Lostの音像内で成立したことも見逃す訳にはいかないでしょう。
映画音楽風の幕開けから勇壮なスロー・リフと嗄れた歌声が武骨に響き渡る代表曲#1. Embers Fire、終末世界さながらのドゥーム・リフと荘厳なタッピング・メロディの応酬が映える#4. Joys Of The Emptiness、灰色の濃霧を想起させる陰湿なフレーズと躁鬱気味のボーカルが苦々しい#8. Weeping Words、心に穴を開ける漆黒のメランコリーと恐ろしく失意に塗れたバリトン・ボイスが至高の退廃美を織り成した指折りの名曲#10. True Belief、穢れなき女声ソプラノとの艶かしく交わる王道ゴス・チューン#12. Christendomなど、全編を通して聴きどころ満載の素晴らしい仕上がりです。
今作以降のNick Holmes(Vo)は、14th”The Plague Within”まで20年以上に渡ってグロウルを封印することになるので、彼が如何に新しいボーカル・スタイルへ手応えを感じたかが分かりますね。
グランジ、シューゲイズ、ブリットポップ、ヒップホップ、ハウスといった時流に飲み込まれ史上最悪の低迷期に陥っていた英国メタル界に、新たな命を吹き込んだ重要作を挙げるとするなれば、完成度の高さや後続への影響力も含めて自分は今作を推したいです。
2ndが"ゴシック・メタルの旧約聖書"ならば、今作は"ゴシック・メタルの新約聖書"と言い表せることでしょう。
Music Video: #1. Embers Fire
Favorite Track: #10. True Belief
Rating: 10/10


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"Draconian Times"

Album Type: 5th full
Style: Gothic Metal
Legth: 48:59
Released: 1995
Review:
エクストリーム色を一掃し、ゴシック・メタル延いては英国メタル界の未来を切り開いた歴史的名作4thは、Paradise Lostの地位を世界規模にまで押し上げました。
黄金期の真っ只中にいる彼らが2年の年月を費やして創り出した今作は、バンド史上最も大きな商業的成功を収める至った作品にして、今尚"Paradise Lost最高傑作の一つ"と語り継がれる金字塔です。
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まず、全体的な作風については、"脱エクストリーム化"を決定付けた前作の音像を更に発展させたもので、そこに独創的なキャッチーさを会得したことが今作の大きな魅力となっています。
例えば、グラム・ロック風の豪快なドラミングをParadise Lostが元来持ち味としてきた重苦しいアンサンブルへと取り込んだ結果、楽曲ごとのテンポに振れ幅が生まれ、聴き手を惹きつけて離さない鮮烈なコントラストが顕著となりました。
いつになく明るい光を纏ったギターの音色がゴシカルな美旋律と邂逅する#2. Hallowed Land、シンプルな曲構成の上に乗る簡素なサビと縦ノリのリフが死期の脈動を見せる大合唱必至アンセム#3. The Last Time、3rd収録Pity The Sadnessや4th収録Widowで培った疾走+悲哀の流れを汲む王道メタル・チューン#5. Once Solemn、80年代ハード・ロック直系のワウペダル術を活かした古典的フレーズが温かみのある暗黒粒子音へと変換される#9. Shades Of Godなどは、今作のどこか精神的に不安定で鬱屈としたキャッチーさを象徴する好例でしょう。
他バンドとは一線を画すコンポーザー・センスの目立つ場面が増えたことで、真紅色に瞬きながら闇に溶け込む珠玉のメロディや痛みが伴う悲愴なソロの数々を、往年のNWOBHM顔負けの煽情力を以って展開していくGregor Mackintosh(Gt)の存在感は、最早"ゴシック・メタル界のギター・ヒーロー"と賞賛するに相応しいほど抜き出ることになりました。
同時に、相棒Aaron Aedy(Gt)が緩急巧みに弾き出す濁った重金属リフや、夢想的な哀切を帯びたアコギとの絡み合いは、機械的なグルーヴが支配していた90年代の時流とは正反対の質感であり、そこに英国メタルの救世主たるParadise Lostの気高い矜持を感じざるを得ません。
そして、他者とは決して分かち合えぬ絶望をメラメラと燃え滾る生命感で歌い上げるNick Holmes(Vo)は、この時点でハーシュ・クリーンの代表的な使い手にまで成長しています。
前作では多少力んでいた感の否めなかった彼のボーカルですが、しっとりとしたバリトン・ボイスを挟みつつ、以前のグロウルを遥かに上回る危うい気迫と緊迫感を備えた絶唱を繰り広げる姿には胸を打たれること間違いなし。
特に、陰鬱&耽美&情熱──Paradise Lostを構成する三大要素を最良の形で凝縮した超名曲#4. Forever Failureでのパフォーマンスは神懸かりです。
終盤に向かうにつれて徐々に暗くなるアルバム流れは、Joy Division登場以降のゴシック音楽文化を彷彿とさせる一種の伝統芸能ではありますが、それ以上に、罪を背負って闇の中で彷徨うような孤高の芸術性を損なうことなく、ゴシック様式或いはドゥーム様式の典型に陥らない大衆性と多様性を手にした点が、Paradise Lostにとって非常に重要な意味を持ったことは今や明白でしょう。
ゴシック云々を抜きに、全てのメタルヘッズにオススメ出来る奇跡の傑作です。
Music Video: #4. Forever Failure
Favorite Track: #9. Shades Of God
Rating: 10+/10


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"One Second"

Album Type: 6th full 
Style: Electronic Gothic Metal, Gothic Rock
Legth: 54:58
Released: 1997
Review:
NWOBHM全盛時代に勝るとも劣らないキャッチーさを自身の哲学に従って血肉化させたことで、闇と光が激しく鬩ぎ合いながら混じり合うという、HR/HMの新たな金字塔を打ち立てることに成功したParadise Lost。
前2作で"脱エクストリーム・メタル化"を確定し、英国HR/HM界を代表するバンドとしてメジャー・フィールドで戦う宿命を背負った彼らは、今作でいよいよ前人未到の音楽領域へと足を踏み入れました。
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まず、今作最大の特徴は、メタルの範疇から逸脱したエレクトロニック手法を全編で積極導入し、これまでとは全く別の角度から斬新なゴシック・サウンドを作り上げた点にあります。
そう、このアルバムを支配するのは、"耽美派シンセ・ポップの皇帝"Depeche Modeから多大な影響を受けたであろう、モダンに洗練されたメランコリックなキーボードの美旋律、やけに金属的な響きのビート、分厚い重低音の弾幕を張るデジタル・ベースといった電子音楽要素であり、過去作で聴けた煽情力抜群のギター・ソロを始めとする伝統的なHR/HM要素は極力抑えられています。
また、ザクザクとテンポ良く刻んでいく硬派なリフ・ワークこそ残ってはいるものの、どちらかと言えばインダストリアル風の無機質さを強調している為、Paradise Lostの持ち味である静と動のコントラストを巧みに活用したダイナミックな曲展開の感触も、過去作で顕著だったクラシック調のものからエレクトロニック・ダーク・ウェイヴ調のものへと変貌を遂げています。
それに加え、Nick Holmes(Vo)はトレードマークであるハーシュ・クリーンを封じ、予想以上に広くなった音域でSimon Le Bon(Duran Duran)すら彷彿とさせる艶っぽい歌声を披露しているのも目新しいポイントでしょう。
要するに、90年代後期に於けるゴシック・メタルの形式化進行を尻目に、随分と思い切った方向転換を図った訳ですが、これがParadise Lostの更なる飛躍に繋がったことは今作の収録曲を聴けば明らかです。
例えば、憂いを帯びた鍵盤のループに、哀愁と色気を漂わせるNick Holmes(Vo)の美声を乗せた#1. One Second、ゴシック界最強クラスのインパクトを誇るイントロで華麗に扇動しながら、貴族的なバリトン・ボイスと情熱的な高音ボイスで"1人デュエット"を繰り広げる一撃必殺チューン#2. Say Just Words、オーケストレーション風の壮大な電子音と機械的なリズム・パターン、人間らしい情念が宿ったボーカルが未知の化学反応を生む#4. Mercy、哀しみを押し殺すような歌声を聴かせつつ、作中最重量のドゥーム・リフが鳴り響くや否や秘めたる絶望感が吹き出す#10. Disappearなど、モダン・ゴシックとも形容出来る世界観を提示してくれます。
Paradise Lostを構成する三大要素(陰鬱&耽美&情熱)の魅力を充分に残しつつ、エレクトロニック・ミュージックの持つ未来感が加わったことで、人間の脆さをスタイリッシュに描写する表現力をも会得したのです。
なお、今作発表以降、多くの有力ゴシック・メタルバンドがParadise Lostの後を追ってエレクトロニクス方面へと一時的に傾倒するムーブメントが巻き起こったので、その先進性は推して測るべしでしょう。
意図せずとも、結果的にオリジネーター自らの手でゴシックの多様性を押し広げることとなった新境地の傑作であります。
Music Video: #2. Say Just Words
Favorite Track: #10. Disappear
Rating: 10/10

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Band: PARADISE LOST
Genre: Death Doom Metal, Gothic Metal
Nation: 🇬🇧
Thematic Years: 1988~1993





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”Lost Paradise”


Album Type: 1st full
Style: Death Doom Metal, Proto Gothic Metal
Legth: 40:49
Released: 1990 (Remastered 2003)
Review:
ゴシック・メタルというジャンルが未だ世に存在しなかった頃、英国はウェスト・ヨークシャー州出身の若者達を中心に結成されたParadise Lostのデビュー作です。
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まず、全体的な作風としては、禍々しい死臭混じりの土煙を撒き散らしながら非情なブルータリティを叩きつける厭世系デス・ドゥームである為、2nd以降のバンド・イメージとは少々趣きを異にしているのが特徴と言えるでしょう。
さて、デス・ドゥームと言えば、昨今に於いてもアングラ主義HR/HM界の右翼に属するジャンルで有名ですが、実は同じ流派内部でも音像の質感に差異があります。
例えば、デス・メタル目線でドゥーム・メタルの特徴である重鈍さをアクセント的に踏襲したスタイル(同世代ではAsphyx、Autopsy)が元々の主流であった訳ですが、今回の主役Paradise Lostの場合はドゥーム・メタルを核に据えた上でデス・メタル様式(デス声、ディストーションを過剰に施したノイジーなギターなど)を取り入れたスタイルを採用しています。
後者に関しては、Paradise Lost自身や盟友My Dying Brideは勿論、Sempiternal Deathreign、Necro Schizmaらが生み出した所謂”ヨーロピアン・スタイル”と呼称されるもので、そのままゴシック系やフューネラル・ドゥームへと正統発展を遂げた結果、界隈の勢力図がガラリと塗り替えられることになったのですが、それは少し先のお話。
とにかく、ドン底まで力任せに振り下ろされる枯れた重鈍リフ、ミドル~スロー・テンポを基軸に粗暴な展開を魅せるリズム・セクション、化け物染みた負のエネルギーを吐き出すNick Holmes(Vo)の高低グロウルなど、表層的な過激さ=デス・メタルらしさという見方では長年のキャリアでも随一の出来栄えなので、後追いで今作を知った方々にとっては面喰らうこと間違いなしです。
その一方、英国産らしい翳りを持つアルペジオや微量の抒情成分を含んだソロを時折添えたり、クワイア風のアレンジ、ゴス・ホラー調のキーボード旋律、女声ソプラノ、不穏な鐘の音を実験的に導入したりと、”ゴシック・メタルのプロトタイプ”と思しき手法が見受けられる点は要注目。
"ゴスの帝王"The Sisters Of Mercy辺りから着想を得た細工は、80年代後期に勃興したデス・メタル勢との差別化を図る上で大きな役割を果たしました。
音像から想起される情景とは掛け離れた雰囲気のアートワーク(SF映画マニアであるNick Holmesの提案と思われる)や、録音状態の粗さなど作品自体の統一感には課題がありますが、当時の最重量級エクストリーム・サウンドは今聴いても迫力充分。
Live Video: #3. Paradise Lost 
Favorite Track: #5. Rotting Misery
Rating: 7.5/10

 

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”Gothic”


Album Type: 2nd full
Style: Gothic Metal, Death Doom Metal
Legth: 39:24
Released: 1991 (Remastered 2008)
Review:
デビュー作では、ポスト・パンク、ゴス・ロックといった英国人特有の耽美主義的で陰鬱な感性を根底に宿す厭世系デス・ドゥームを提示し、その身に底知れないオーラを纏わせていたParadise Lost。
80年代末期の闇より出でし魔物が短期間で産み落とした今作は、暗黒耽美派HR/HMの完成形の一つ、或いは”ゴシック・メタルの旧約聖書”と語り継がれる正真正銘の歴史的作品であります。
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まず、音像の骨格には、聴く者を圧殺するが如き重鈍リフ、暴虐の獣性を吐き散らすグロウルなど、破壊的な表現を辞さないデス・ドゥーム手法が引き続き採用されています。
しかしながら、今作最大の特徴は、クラシック音楽由来の手法を大々的に増強し取り込んだことで、既存のデス・メタル系譜には本来存在しなかった芸術性と、中世ヨーロッパの暗黒時代を彷彿とさせる世界観を確立した点に尽きるでしょう。
例えば、名刺代わりの代表曲#1. Gothicを始め、#2. Dead Emotion、#9. The Painlessなどの楽曲では、オペラティックな気高さや清廉さを感じさせる女声ソプラノと、生のオーケストラ隊を駆使した荘厳シンフォ・アレンジを導入、Gregor Mackintosh(Gt)による格段と悲愴な音色になったギター・メロディも相まって、まるでゴシック文学のように浮世離れした退廃美を実現しています。
また、Nick Holmes(Vo)は無機質な非人間性を追求するデス・メタル式グロウルの典型に終始することから早くも脱し、感情表現を深めた人間的なグロウルを会得しました。
超現実的な音楽性にありながら、べっとりとした生々しい痛みを伴って聴き手の気分を沈ませるのは、彼の熾烈なパフォーマンスに寄る部分が大きいです。
更に、#8. Silentでは不器用ながらもメロディを追おうとした努力が窺えますし、作中随一の求心力を備えたゴス直系ギター・フレーズが咲く#3. Shatteredでは野太いバリトン・ボイスを披露するなど、今後の躍進を予感させる試みも注目すべきでしょう。
さて、エクストリーム・メタルという過激な音楽形態に、クラシック要素やアートの香りを世界で初めて持ち込んだ異端教祖と言えばCeltic Frostの一択で間違いありませんが、Paradise Lostの場合はスローで重圧感のある音像とクラシカルなエレメンツの融合を図ったことで、悪魔的な閉塞感と神秘的な壮麗さが相互共鳴して生まれる劇場型コントラストを極端に発展させたのです。
彼らが今作で成し遂げた音楽革命さながらの試みは、所謂"ビースト&ザ・ビューティ"などのヨーロッパ的手法の雛型として数え切れないほど多くのバンド(先人、後続を問わず)から模倣され、そのまま作品名を冠したジャンル=ゴシック・メタルを誕生させるに至りました。
HR/HM史に於ける文化的価値の高さは当然ながら、バンドの飛躍と桁違いの独創性を捉えた古典作品をお試しあれ。
Live Video: #1. Gothic
Favorite Track: #2. Dead Emotion
Rating: 8.5/10

 

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”Shades Of God”

Album Type: 3rd full
Style: Gothic Metal, Death Doom Metal
Legth: 52:56
Released: 1992
Review:
歴史的作品2ndにて、暗黒耽美派HR/HMの完成形の一つと目されるゴシック・メタルを創造し、ヨーロッパ全土を18世紀の陰湿な空気で覆い尽くしたParadise Lost。
そんな彼らの次なる一手は、前作”Gothic”で積極的に披露されたクラシック要素──儚くも厳かな気品を発する女性Voやオーケストレーションの導入といった手法を敢えて排し、普遍的なバンド・サウンドを堂々と押し出した燻し銀な作風となりました。
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ただし、今作を語る上で重要なのは、前作からクラシック要素を削ぎ落とした代わりに表層的なブルータリティを優先するデス・メタル色を今更回帰させた訳ではなく、前作の流れを汲む陰鬱&耽美な音世界をギター隊の手腕で表現した点にあります。
とりわけ、これまでの楽曲に於いても、正統派メタルと英国ゴス・ロックを異種配合させたかのような独特のメランコリック・フレーズを編み出してきたGregor Mackintosh(Gt)の潜在能力は、今作で覚醒したと言えるほどの活躍振り。
ゴシック・メタルというジャンル内では希少価値が相当高いソロイストとしての才覚を世に知らしめた事実も見逃せません。
また、前2作でデス・メタリックな力技の転調を好んで用いてきたMatthew Archer(Dr)によるドラミングは、元来の重心の低さを維持しつつ剛直に構えるジャーマン・メタル様式に幾らか接近した印象を受けます。
結果として、Gregor Mackintosh(Gt)が随所で炸裂させる暗いドラマ性を宿したメロディが際立つよう作用しており、クライマックス付近に設置されたブリッジからの悲劇的な曲展開は、Paradise Lostのキャリアを通しても上位に食い込む仕上がりです。
芯の通ったリズム+重いリフの連撃から極自然に絡み付いてくる澱んだメロディや鋭く研ぎ澄まされたソロが実に渋い#1. Mortals Watch The Day、終盤に作中屈指の絶望感を噴出させる#4. Daylight Torn、スピーディに動き回るドラミングと攻撃的な刻みの応酬から俄かに悲惨な心象風景を描き出す#5. Pity The Sadness、引き摺るようなリズムの上に乗る野卑なスラッジ・リフと咽ぶメロディが魔のコントラストを生む#8. The World Made Flesh、破滅的なまでのメランコリーを血が滾るエネルギーに変換した代表曲#9. As I Dieなどは、そうした変化がプラス方向に働いた好例でしょう。
そして、前作で人間的な感情表現を身につけ始めたNick Holmes(Vo)の鬼気迫る咆哮型グロウルは、発声の細かな強弱や抑揚に磨きがかかり、ボーカリストとしてもう一段階成長したことをアピールしています。
HR/HM界に絶大な影響を与えた歴史的作品に挟まれるという過渡期の状況下で発表された作品ということもあり、日本では普段以上に地味な評価を下されがちですが、純粋な完成度では前作より上位にランクインする隠れた名盤です。
Music Video: #9. As I Die
Favorite Track: #4. Daylight Torn
Rating: 9/10

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