<新連載>大河ドラマ『西郷どん』批評始まります!

いつも歴史REAL Webをご覧いただきありがとうございます。

当ブログの大人気コンテンツ「大河ドラマ批評」ですが、
今年も新シリーズ放送開始にあわせ、


大河ドラマ西郷どん』批評

連載がスタートいたします!!

更新頻度は週1回。
書いてくださるのは、「花燃ゆ」の批評でもご執筆いただいた一坂太郎先生です!
(先生の詳しいご経歴についてはこちらに)

連載開始に際して、一坂先生からコメントを頂戴しておりますので、
以下をご覧下さい。


大河ドラマ『西郷どん』批評を始めるにあたって

                                 一坂太郎

 

 もう、三年前になる。この歴史REALWEB上でNHK大河ドラマ「花燃ゆ」の批評を書き始め、一年間連載した。その記事は現在でも見られるだろうから、ドラマについて重ねて語るつもりはない。

 ともかく、二度と大河ドラマは観たくないと思った。だから洋泉社の歴史REALWeb編集部から平成三十年の大河ドラマ「西郷どん」の批評連載を打診されても、本来ならば即座にお断りするところである。それを迷ったすえに、あえてお受けしたのは、いくつかの思うところがあったからだ。

 実は「花燃ゆ」終了後、政治的圧力による嫌がらせがあり、それは今も続いている。「多数が」「みんなが」「誇りが」「ある人が」「ある団体が」などといった言葉には、注意した方がよい。圧力と根拠なき数の力をチラつかせれば、理屈や議論など、大抵は呆気なくすっ飛ばされてしまう、おっとろしいご時世だ。

 さらには、今後「一坂太郎」の言動すべてを「検閲」させろと、密室で命令して来た。ちなみに僕の最新刊は、明治維新とも吉田松陰とも直接関係の無い映画論『フカサクを観よ 深作欣二監督全映画ガイド』(青志社)なのだが、念のためお尋ねしたところ、これも「検閲」の対象になるとのこと。残念ながらいまのところ、検閲していただくつもりはない(もう出てます)。

 幸か不幸か、こんなことは日常茶飯事だ。

 明治二十六年に初版が出た徳富蘇峰『吉田松陰』の内容が気に食わないからと、長州出身の軍人や政治家たちが寄ってたかって圧力をかけ、全面改稿させた話はよく知られる。

 明治の後半、東京の公爵毛利家編輯所で長州藩維新史『防長回天史』を編纂していた末松謙澄(豊前出身)は客観性を標榜し、長州藩を中心とした維新全史の完成を目指していた。ところが、公平に過ぎる、美化の度合いが少ないから気に食わないといった長州閥の政治家たちからの凄まじい圧力により、『防長回天史』は未完のまま、末松は辞職することになる。

 蘇峰はずっと後年、その悔しい思いを実名を出して暴露しているし、謙澄は明治の終わりから大正にかけて自費で『防長回天史』全十二冊を出版した。すべて根元にあるのは、彼らの意地だと思う。たかが歴史、されど歴史。尻尾を丸めて引き下がるわけにはいかないのだ。

 さて、平成三十年の「明治維新百五十年」を、政府は国を挙げて奉賛する方針らしい。もちろん「西郷どん」は、それに連動した企画だろう。いまから思うと「花燃ゆ」は、「西郷どん」の姉妹編だったのかも知れない。「明治百年」のころのNHK大河は「三姉妹」(昭和四十二年)、「竜馬がゆく」(同四十三年)と、二本続けて低視聴率にもかかわらず明治維新モノだった(内容はビデオが殆ど現存しないので、何とも言えない)。それはNHKという放送局の性質を考えると、当然である。

 ところが、同じく明治百年の前後に大映や東宝でつくられた「人斬り」「天狗党」「赤毛」「幕末」といった超メジャーな大作映画は、明治維新の一方的な美化に疑義を投げかけていたし、それをごく普通に国民一般は楽しみながら観ていた。映画やドラマ、演劇が、まだ健全なジャーナリズムとしての役割を果たしていたと言うべきだろう(拙著『幕末時代劇、「主役」たちの真実』講談社+α新書)。

 今回の明治百五十年では、明治維新を題材とした映画やドラマの企画に対し、内容次第ではなんと! 国が製作費を出してくださるらしい(どこぞの国を、真似ておられるのだろうか)。昭和十四年十月に施行された、いわゆる「映画法」により、台本の内務省による事前検閲が行われ、パスしなければ撮影にかかれなかったことなどを思い出す。同年に文部省の肝入りでつくられた「松下村塾」という映画は台本しか読んだことはないが、お世辞にも面白い作品とは思えない。

 プロパガンダみたいな映画やドラマに税金を投じてつくるよりも、市場に大量に流出している貴重な明治維新関係の史料を行政が購入し、きちんと保存して後世に伝えた方が、よっぽど有意義ではないかと、僕などは単純に思ったりもする。よく見かける「維新の精神の伝承」なんてお題目も、正直なところ理解不能だ。

 ともかく、そんな政治主導の明治百五十年を、「西郷どん」を通じて見せていただくのも、面白いかも知れないと思った次第。ならば一年間、毎週発言の場が与えられるというのも、有難いことである。

 明治百五十年にあたる平成三十年とは、なんと意義深い、すばらしい一年だったのかと、後世の人たちから思われたいものだ。それから、毎週日曜の夜が楽しみで仕方ないような、面白いドラマをつくってくださるよう、受信料を納めている一視聴者としては、ただただ期待して祈るしかない。

【お詫びと訂正】歴史新書『猫の日本史』

歴史新書『猫の日本史』巻末の「主要参考文献・全体」に、著者の不手際により、
下記文献の欠落がありました。

 

田中貴子『鈴の音が聞こえる――猫の古典文学史』
(淡交社 二○○一年。文庫版は改題して『猫の古典文学誌――鈴の音が聞こえる』講談社学術文庫 二○一四年刊行)。

 

田中貴子氏にお詫びして訂正します。(編集部)

「続・幕臣伝説」1月分休載のお知らせ

氏家幹人先生の連載「続・幕臣伝説」は、
都合により1月連載分を休載とさせていただきます。

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