はじめに


 先週くらいから、急速に暑くなってまいりました(非常に蒸します)。ここ数年、梅雨らしい梅雨はなく、一気に夏へというパターンが定着しているようです。しかし、朝方は寒いことがあり、窓を開けたままで寝ると、風邪をひくこともあるようです。くれぐれもご注意ください。私も年を取って来たので、急激な気温の変化についていけないことがたびたびです。

 

 今回のタイトルは、「誰がために城はある」でした。映画のオールド・ファンの方ならご存じのとおり、これは小説「誰がため(為)に鐘は鳴る」(作者:アーネスト・ヘミングウェイ、1940年)をもじったものでしょう。作品そのものは、1936年から1939年まで続いた、スペイン内戦を舞台としています。映画ではゲイリー・クーパーとイングリッド・バーグマンが主演を務め、大好評を博しました(映画のほうは、「ため」でなく「為」)。

 

 映画好きの私にとっても、好きな作品の一つです。たまにテレビ東京の「午後のロードショー」でも放映されますが、放映時間の関係上30分程度カットされているので、DVDを借りて観ることをお勧めします。大河ドラマも、「誰が為に鐘は鳴る」くらいに見応えが欲しいものです。

 

 さて、今回のドラマは、どうだったのでしょうか???

 

またまた材木の話


 前回の続きで、またまた材木の話です。結局、直虎(役・柴咲コウ)は龍雲丸(役・柳楽優也)の助力を得て、三河に運ばれるはずの材木を奪還し、なんとか謀反の嫌疑を晴らしました。しかし、このことによって、直虎を陥れようとした今川氏真(役・尾上松也)の面目は丸つぶれです。龍雲丸は「お金をはずんでね」とはしゃいでいますが、あとで大変なことが起きるわけです。

 

 やがて、取り戻した井伊谷の材木は、気賀に運ばれてきました。材木の用途を知っているのは、今川家の関係者のほかでは、小野政次(役・高橋一生)くらいです。

 

 気賀には、今川家から家臣で国衆の堀江城主・大沢基胤(役・嶋田久作)が派遣され、城が築かれることになります。これまで気賀は、今川氏に上納金を納めて、商人たちが自治を行っていました。しかし、今後は自治を否定され、今川氏の支配下に収まるということになりましょう。しかも、築城の費用は、気賀の商人たちが費用の負担を求められるという厳しいものでした。

 

 ちなみに、中世の城の場合は、大名が百姓らに普請役を課すことは当たり前のことでした。城の築城のみならず、修繕にも駆り出されたわけです。ただし、いざ戦争になると、百姓らは安全確保のために城に逃げ込みました。慶長19年(1614)の大坂冬の陣においても、いわゆる非戦闘員が、大坂城内に多数逃げ込んだ話はあまりに有名です。

 

 龍雲丸は、気賀に城が築かれるなどつゆほども知らず、大変驚いて直虎のもとに向かいました。直虎の前にあらわれた龍雲丸は、「これが井伊のやり方か」と激しく怒りをぶつけます(どこかの漫才師のネタを真似ているような・・・)。それを聞いていた政次は、気賀に城を築く件は井伊家も知らなかったことで無関係とし、文句があるなら、駿府の今川家のところへ行けという感じです。その間、龍雲丸は直虎に対して、今川氏に売った材木を買い戻してこい、などとむちゃな要求をします。大阪の何とか学園の小学校の土地や建物とはわけが違うので、難しいはずです。

 

 もし私だったら、あの国会議員のように「違うだろ! 違うだろ!! 違うだろ!!!」と連呼し、「オマエは馬鹿か!」と怒鳴りつけるかもしれません(私自身がハゲなので、「このハゲ!」とは言いませんが)。まさしく「世の中には裏と表がある」のです。

 

 直虎は「甘ちゃん」なので、龍雲丸のことを何とかしようと思案します。しかし、政次は直虎に対し、いったいお前はどこの領主なんだと問い糾します。まさしく正論といえましょう。個々人のことをあれこれ考えていたら、本当にキリがありません。むしろ政次は、井伊家が乗っ取られると危機感を抱いていたのです。実際、直虎のような脇の甘い領主がいたのか不思議ですが、それが最近の時代劇のトレンドなのでしょうかね。

 

 こうなると龍雲丸はヤケクソです。城の築城を妨害すべく、井伊家の材木に火を放ち妨害工作を行います。ただ、番組の予算不足のせいか、火の勢いがいささか弱いように感じました。大沢氏はこの状況を見て、もう龍雲丸らを討つしかないと武力行使をほのめかします。

 

動く直虎


 ここで、直虎は政次の制止を振り切って、気賀へと向かいます。ところが、気賀はすでに荒れた様相を呈しており、直虎は住人から石を投げつけられる始末。直虎は、大沢氏の一味と勘違いをされたようですね。むろん、大沢氏に対する反対派ばかりではなく、賛成派も存在し、町は完全に二分化されたということになりましょう。

 

 実は、先述のとおり築城用の材木が燃やされたので、直虎は大沢氏から材木を用立てるように依頼されていました。直虎は大沢派と親大沢派の狭間にあって、大いに悩みます。そこで、大沢氏が武力を用いて、気賀を制圧しようとしていると説明します。

 

 とはいえ、気賀の人々は二つに分かれて、結論は容易に出ないようです。というのも、商人たちの言い分では、これまで自由に商売ができたのですが、それが阻害されると困るという一点に理由が集約できましょう。そこで、直虎は大沢氏に築城を認める代わりに、自由に商売ができるように交渉してみてはどうかと提案します。

 

 こうして何となく話がまとまりかけたのですが、ここで龍雲丸は突然に出ていくと言うではないですか!? 龍雲丸の父は城主で、最期は城を守るために亡くなりました。ゆえに、城などなくてもいいんだというのです。しかし、直虎は城に逃げ込んで助かる者もおり、すべては城主の采配次第だと説き伏せます。結局、龍雲丸は辞去するのですが・・・。

 

 こうして直虎は井伊谷に帰還し、再び家臣らと話し合いの場を持ちます。すると、瀬戸方久(役・ムロツヨシ)が、「直虎が気賀の城主になったらいい」と提案します。むろん直虎は驚きますが、方久は今後の商売(材木や綿布の販売)を考えると、気賀のほうが至便であると力説します。それはもちろんそうなのですが、いったい次はどうなることやら・・・。

 

 ただし、冷静に考えてみると、どうやって直虎が大沢氏に預けられた気賀の城主になるのか不審です。本当にそんなことが可能なのでしょうか???

 

おわりに


 今回も材木の話の続きでしたが、よくこれだけ続くなあ、と感心することしきりです。ただ、相変わらず話にヤマはなく、目立つのは直虎のお節介ぶりだけといえましょう。直虎のお節介は何度も何度も続くので、いささか食傷気味です。お節介をするから、妙な問題が増えるのです。そのたびに、家臣が尻拭いをさせられるという繰り返しです。

 

 直虎のような城主は、選挙があれば「即落選」です。私が「井伊谷ファーストの会」を結成して、代わりたいくらいです。

 

 もとより直虎の史料はほとんどなく、ドラマ内での直虎の行動が史実であるか否かは、もはや確かめようもございません。それゆえ、関係者の皆さんには批判を恐れず、大胆な着想によりドラマの脚本作りをしていただきたいのですが、それは無理なのでしょうか? 「アラビアのロレンス」や「ベン・ハー」を超える偉大な作品を作っていただきたいものです。

 

 ついでに申しますと、気賀は直虎の支配領域ではありません。自治都市のような様相を呈していたとはいえ、むしろ今川氏の勢力が食い込んでいたのでしょう。そう考えると、一中小領主の井伊氏がしゃしゃり出た時点で、今川氏に滅亡に追い込まれるというのが、普通の流れになってしまいます。そんなことを言ったら、元も子もないのですが・・・。

 

 今回の視聴率は、12.4%と横ばいでした。ここ数回は、12%台で推移していますが、今後はどうなるのでしょうかね。応援しましょう。

<了>

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