はじめに

 7月29日(土)は、義弟宅に遊びに行き、墨田川の花火大会を見てきました。あいにくの雨でしたが、1時間で2万発の花火は壮観で、久々に花火を楽しみました。地方では花火大会の協賛金が集まらず、開催断念に追い込まれることも多いようです。しかし、義弟宅で調子に乗ってスパークリング・ワインを飲んだせいか、自宅に帰って悲惨な目に遭いました。詳しいことは、私のブログをご覧ください。

 

 今回のタイトル「潰されざる者」は、クリント・イーストウッドが監督・主演を務めた名作「許されざる者」(1992年)を参考にしたものになりましょう。第65回アカデミー賞 作品賞を受賞した名作として知られます。日本でも渡辺謙主演でリメイクされました(舞台はアメリカではなく、日本)。果たして、今回はこの名作を超えることができたのでしょうか???

 

 以下、今回のドラマの内容を確認いたしましょう!!!

 

方久の裏切り!?

 相変わらず、今川氏真(役・尾上松也)は苦境に立たされています。武田信玄(役・松平健)とは手切れ状態となり、徳川家康(役・阿部サダヲ)との関係もよろしくないようです。直虎(役・柴咲コウ)は、すでに今川家から離反する心づもりをしています。亡き寿桂尼(役・浅丘ルリ子)も、直虎の魂胆をすでに見抜いており、彼女の帳面には赤で「×印」がありましたね。氏真は寿桂尼の判断が正しいと信じ、井伊家の取り潰しを本格化させるのです。

 

 駿府ではすでに武田氏に通じた国衆が殺害されており、万事休すです。小野政次(役・高橋一生)、瀬戸方久(役・ムロツヨシ)、井伊谷三人衆らが、駿府の今川館で情勢を語り合っています。やはり中小の領主層にとって、大守今川氏の動向は関心の的になっていたのです(当然ですが・・・)。ただ、方久ひとりは、戦争に備えた軍事物資の売上で、笑いが止まらないようですね。

 

 方久に目を付けたのが、ほかならぬ氏真でした。氏真は方久を呼び出し、井伊谷に徳政令を出し、方久の領地、瀬戸・祝田を安堵すると持ち掛けます。これはどういうことでしょうか? それは、井伊谷に徳政令を発布し、井伊氏を財政破綻させ、戦うことなく今川の直轄領にしてしまおうという魂胆です。戦争を仕掛けると、経済的にも人的にも負担が大変ですが、これなら消耗は防げます。

 

 ところが、方久は窮地に追い込まれます。断れば氏真に殺害されそうですし、応じるのも直虎に対する反逆となります。しかし、方久にとって、悪い話ではないのは事実です・・・。すでに方久の気持ちは決まっていたようですが。

 

 井伊家の内部も複雑です。直虎は目付である政次と仲の悪いふりをしていますが、実は心がつながっています。ただ、家臣たちは、直虎と政次の関係が良くないと思い込んでいます。したがって、中野直之(役・矢本悠馬)と奥山六左衛門(役・田中美央)は、いつ井伊氏が徳川氏と結ぼうとしていることが、政次にばれるかと思い冷や冷やです・・・。結局、直虎も政次も、何とか今川家から離反を考えているのは共通していますが。

 

 一方の方久は井伊家から離脱しようとしますが、今までの恩義もあるのか、やや挙動不審です。わざわざ直虎が方久のもとを訪れますが、腰が痛いと称して面会を拒絶します。あとの方久の対応はほとんどギャグですが、直虎はあまりピンときていないようです。相変わらず直虎は鈍感!

 

 率直に言うと、直虎はお人好しというか、いささか抜けているところがありますね。あんな感じで領主が務まったのか、いささか疑問に思えてなりません。

 

徳政令の要求

 政次は方久に不審な点があると睨み、一計を案じます。普通はあそこまで挙動不審だったら、怪しいと思いますよね。一方、氏真もいよいよ徳政令を発布すべく、関口氏経(役・矢島健一)を井伊谷に派遣し、井伊家潰しを本格化させます。

 

 気賀の方久は、龍雲丸(役・柳楽優弥)に頼み込んで、一時的に姿を隠そうとします。すると、龍雲丸は、突然「三河のさる武家に会っていただきたい」と提案します。金儲けの話と思ったのか、方久はのこのこと龍雲丸の跡をついていきます。すると、「三河のさる武家」というのは、方久の動きに疑念を抱いていた政次ではないですか!? 方久も脇の甘いお人好しです。

 

 方久は慌てふためきますが、すぐに龍雲丸に取り押さえられ、隠し持っていた今川家からの安堵状を奪われてしまいます。内容は先述のとおりですが、井伊家を財政破綻させて、実質的に破滅させようとする魂胆です。龍雲丸は怒りますが、もはやどうしようもありません。方久は徳政令を実行しようがしまいが、今川家は井伊家を潰しますからね、と開き直る始末です。あれだけ直虎に取り立てられながら、ひどい男ですが、これこそが戦国なのかもしれません。

 

 そうこうしているうちに、氏経は徳政令の履行を迫るべく、井伊谷にやって来ます。用件を告げられた直虎は狼狽しながらも、かつてと今とでは井伊谷の状況が違う旨を説明しても、まったく聞き入れられません。何より信頼していた方久が徳政を希望していると聞き、大いに驚きます。直虎は少し考えてさせてほしいと述べ、氏経はいったん宿に戻ることになりました。

 

 徳政令を受け入れると、百姓の借金は棒引きになりますが、方久は井伊家に多額の貸し付けをしていたので、それを返してもらう必要があります。当然、井伊家にはお金がないわけですから、自らの所領を処分しなくてはなりません。すると、必然的に井伊家はダメになってしまうわけです。これなら戦争をしなくても済みます。

 

百姓たちの抵抗

 実は、一連の会話を、瀬戸村の百姓・甚兵衛(役・山本學)が密かに聞いておりました。百姓たちは直虎を慕っていたので、いても立ってもいられません。

 

 一方、直虎が苦悩しているところに、政次がやって来ます。いずれ今川家は井伊家を潰すつもりだったのだから、徳政令で潰すのは温情ではないか、と。要は戦争になって多数の犠牲者を出すよりも、財政破綻で破滅するほうがましだろう、ということでしょう。

 

 直虎は南溪(役・小林薫)にも相談をしますが、何ら打開策はありません。ここでふと、かつての南溪の言葉が思い浮かびます。つまり、将来的に今川家でさえ、滅亡するかもしれないということになりましょう。そして、直虎は今川家が滅亡すれば、井伊家が助かるということに気付きます。なんと短絡的な発想か!

 

 瀬戸・祝田村の百姓は、大挙して氏経の宿所に押し寄せます。甚兵衛は百姓を代表して、自分たちは徳政令を希望していないと、切々と説明をします。そして、瀬戸・祝田村の百姓は徳政令を望まないと、繰り返し繰り返し、連呼します。関口氏の配下の者は、百姓を殴りつけて排除しようとしますが、百姓たちは怯むことが一切ありません。

 

 その現場へ直虎が駆け付けます。すると、そこにいた政次は直虎の首に刃を突き付け、「俺を信じろ、おとわ」と言って、次回は続きということになります。

 

おわりに

 一連の話(今川家と井伊家の暗闘)は長いな、というのが率直な感想です。おまけに、残念ながらあまり見応えがありません。当時はスマホもインターネットもなかったのですが、情報戦というのは重要だったはずです。ただ、ドラマを見る限りは、直虎に必要な情報があまり入っていないというのが、非常に気にかかります。

 

 また、登場人物はみんな脇が甘く、お人好しが多いということになりましょう。こんなことで、戦国時代を乗り切ることができたのか疑問としか言いようがありません。

 

 ついでにいうと、彼らの考えていることは非常に幼稚で、ドラマの内容も予定調和的なところがあります。緊迫感がまるで感じられません。むろん、彼らが年がら年中、緊張しっぱなしということはないにしても、あまりに肝心なところで緊張感に欠けているように思います。

 

 そういえば、最新の研究によりますと、この時点で井伊氏本流は滅び、井伊谷は「井伊谷三人衆」の支配下にあったと指摘されています。「この先、ドラマはどうなるのか?」と心配する、熱心な視聴者の方もいらっしゃいます。

 

 今回の視聴率は、11.3%と徐々に下降傾向です。やはり見応えがなく、細かい話が延々と続くので、今一つ面白みに欠けるように思えます。あっと驚くような意外性のある演出を大いに期待したのですが、皆様はいかが思われますか?

<了>


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