February 12, 2013

ディーノ・バルス 子羊の解剖学講義

OBLATIONIS

奉納(聖餐式)
2000 ディーノ・バルス


別ブログでもすでに書いたことだが、ディーノ・バルスは医学と外科の学士号を取得しているスペインの画家

だからレンブラントらが描いた「解剖学の講義」なんだと思っていたが、タイトルが「奉納」(意訳)なんで、宗教がらみの主題であることを推測した。

ウルガタ聖書(ヴルガータ)は、405年のヒエロムニスの翻訳。1545年のトリエント公会議で、ラテン語の聖書と公認された。つまり古代訳だ。旧約聖書については七十人訳聖書(ギリシャ語)を参照し、原語のヘブライ語にも遡る。

レビ記によるモーセの律法には、ご存知のように「生贄」による主への捧げ物で、出エジプト記には「進んで喜んで捧げる」とある。

モーセの律法の犠牲と奉納

犠牲に関する法(1章-7章)
燔祭 焼き尽くす捧げ物(1章)
穀物の献げ物(2章)
酬恩祭 和解の捧げ物(3章)
罪祭と愆祭 贖罪の捧げ物(4:1-5:13)
愆祭 賠償の捧げ物(5:14−26)
捧げ物の細則(6:10)
※愆祭 焼き尽くす捧げ物(6:1-6)
※穀物の捧げ物(6:7-11)
※祭司の穀物の捧げ物(6:12-16)
※罪祭 贖罪の捧げ物(6:12-23)
※愆祭 賠償の捧げ物(7:1-10)
和解の捧げ物の細則(7:11-38))

レビ記の8章21節から36節まで語られてるのが祭司の就任。自身を献げることを献身という。

次にモーセは胸の肉を取り、主の御前に奉納物とした。主がモーセに命じられたとおり、これは任職の献げ物の雄羊のうちからモーセが受けるべき分であった。 (8:29)

次に、モーセは聖別の油と祭壇の上にある血を取って、まずアロンとその子らに、次いで彼らの祭服に振りまいて、アロンとその祭服、彼と共にいるその子らとその祭服を聖別した。(8:30)

そのモーセの律法で、未来のキリストは究極の生贄だ。「神の子羊」と呼ばれている。

「解剖学講義」としてみても面白いかも。

 Mary Evans

解剖学講義:クピド教授と若い生徒たち 1918
メアリー・エヴァンス

Anatomy Lesson of Dr. Nicolaes Tulp | Rembrandt

テュルプ博士の解剖学講義 1632
マウリッツハイス  レンブラント

Der Anatom (The Anatomist) | Gabriel von Max

解剖学者 1869
ノイエ・ピナコテーク  ガブリエル・フォン・マックス

Anatomy lesson of Dr Frederik Ruysch | Jan van Neck

フレデリクス・ルイシ博士の解剖学講義 1683
アムステルダム歴史博物館 ヤン・ファン・ネック

Anatomy Lesson of Dr. Frederik Ruysch | Adriaen Backer

フレデリクス・ルイシ博士の解剖学講義 1670
アムステルダム美術館  アドリアン・バッカー

Pieter van Mierevelt

ウィレム・ファン・デル・ミーア博士の解剖学講義 1617
プリンセンホフ美術館  ピーテル・ファン・ミーレフェルト

Anatomische les van dr. Willem Roell

ウィレム・ロール博士の解剖学講義 1728
アムステルダム美術館  コルネリス・トルースト

医学の捧げ物になったのは囚人。どちらにしても「贖罪の捧げ物」なのかもしれない。


removeremove at 19:05|この記事のURLTrackBack(0)

August 13, 2012

エル・グレコ 5枚の「神殿から商人を追い払うキリスト」

お断り:作品画像には所蔵先とこちらのブログ管理者の署名を明記していますことをご了承ください。

さて、ラファエロ(Rafael)のアテナイの学堂(Scuola di Atene)が投影されているというグレコの「神殿から商人を追い払うキリスト」は、古代の背景だけではなく、作品に登場する哲学者たちのグループをも反映させているようにも見える。

Jesus Driving the Merchants from the Temple  El Greco

エル・グレコ 「神殿から商人を追い払うキリスト」 1610-14 サン・ヒネス教会


Christ Cleansing the Temple by El Greco

エル・グレコ 「神殿から商人を追い払うキリスト」 1610  バレス・フィサ・コレクション


Christ Cleansing the Temple by El Greco.

エル・グレコ 「神殿から商人を追い払うキリスト」 1600 フリック・コレクション


バレス・フィサ・コレクション、フリック・コレクションのエル・グレコ 「神殿から商人を追い払うキリスト」では、画中の柱のレリーフにも、「アダムとエヴァの楽園追放」と「イサクの犠牲」が描き込まれている。宗教改革でルター側の画家クラナッハはこの主題を描いていない。


Christ Cleansing the Temple by El Greco.

エル・グレコ 「神殿から商人を追い払うキリスト」 1570 ワシントン・ナショナル・ギャラリー


Christ Cleansing the Temple by El Greco

エル・グレコ 「神殿から商人を追い払うキリスト」(写真) 1571-76 ミネアポリス美術館


4人の巨匠の肖像画が描きこまれている「神殿から商人を追い払うキリスト」は、ドレスデンのアウグスト3 世のコレクションにあったもの。


Titian,Michelangelo,Giulio Clovio,Rafael by El Greco


ティツイアーノ(Titian)、ミケランジェロ(Michelangelo)、ジュリオ・クローヴィオ(Giulio Clovio)、ラファエロ(Rafael)の肖像が描かれている。


Scuola di Atene by Raffaello


特にラファエロは、このグレコの「神殿から商人を追い払うキリスト」に深く関係しており、背景のアーチは「アテナイの学堂」の古代の建築を反映させている。


神殿から商人を追い払うキリスト エル・グレコ ミネアポリス美術館


ご存知のように縄で鞭を作り、羊や牛をすべて境内から追い出し、両替人の金をまき散らし、その台を倒し、鳩を売る者たちに、「わたしの父の家を商売の家としてはならない。」(ヨハネの福音書から)と福音書(マタイによる福音書21章、マルコによる福音書11章、ルカによる福音書19章、ヨハネによる福音書2章)の場面。宮清めのイエスの決め台詞は、福音書によって少しずつ違う。

人それぞれだけれど、個人的にはサン・ヒネス教会の祭壇画、ミネアポリス美術館所蔵の「神殿から商人を追い払うキリスト」が面白い。


Jesus Driving the Merchants from the Temple  El Greco


エル・グレコが描いたサン・ヒネス教会の「神殿から商人を追い払うキリスト」は、アテナイの学堂の背景にある彫像を模しながら、サン・ヒネス教会の内部が背景といて描かれている可能性がありそうだ。

サン・ヒネス教会では週に一度午前中の半時間だけ、この祭壇画を公開している。

★2012.10.24 エル・グレコ作品記事リンク先
XAI エル・グレコ オルガス伯爵の埋葬

■ エル・グレコ関連記事 
エル・グレコとその工房 受胎告知
エル・グレコと工房 7枚の聖衣剥奪
エル・エスコリアル修道院 フェリペ2世の夢
サン・ホセ礼拝堂 エル・グレコ 4枚の祭壇画
オバーリェ礼拝堂 エル・グレコの無原罪の御宿
タベラ施療院 エル・グレコの祭壇画とコレクション
エル・グレコ 5枚の「神殿から商人を追い払うキリスト」
エル・グレコ 無原罪の御宿り(ティッセン=ボルネミッサ美術館、サンタ・クルス美術館)
サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂 エル・グレコの祭壇と墓碑 ソネットを捧げたパラビシーノ


removeremove at 19:27|この記事のURLTrackBack(0)