2019年04月29日

夜、蛙が鳴いている。
数週間前より少し、はっきりと聞こえる。
雨音に交じり微かに高く鳴り響いている。どうも数を増やしたらしい。
ぽつりと取り残されたような細い声に、どこか自分を照らし合わせ眠りに落ちたものだが、今日は違う。
耳を澄ました。左右から、遠くからさざなむ。

直に令和が始まる。
令和が発表された日、私はその語感に何か、冷たい言葉だと思った。
次に漢字の意味を調べると、今度は逆に厳かで麗しい感じを受ける。
未だに馴染まないが良い言葉だと思った。
ふとテレビをつけると、その厳かで麗しい令和とは反対に、ハッピーニューイヤー!と言わんばかりの煌びやかな番組を目にした。
どこか呆れたように消し、また蛙の声に耳を澄ました。
ハッピーニューイヤー。たしかに間違ってはいないな。少し笑った。

歩を進めあぐねている私は数週間前の蛙のようにぽつりと、時代に取り残されている。
だが蛙は数を増やした。雨音より高く鳴く。少しでも強くはっきりと。そして令和が始まる。
ならば連られて私も次の時代へ進もうか。緩い決心に目を閉じると、蛙の鳴き声はより強く聞こえた気がした。



投稿日時: 2019年04月29日 23:59 | 記事URLコメント(0)
カテゴリ日々の雑感
 

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