女イメージ4口座から毎週のように引き出されている金。
その理由を確かめようとセミナーを尋ねた伊原は、
カウンセラーの笹川に、肩に置いた手で
自らの欲望の存在を探り当てられて――


 R18   ロマン派 《H》 短編集 
 第25話  教祖の生贄〈6〉

このシリーズは、管理人が妄想力を働かせて書いた、
Hだけどちょっぴりロマン派な、官能短編小説集です。
性的表現を含みますので、18歳未満の方はご退出ください。



 ここまでのあらすじ  妻・睦子の浪費癖に悩む伊原健二は、あるとき、街角で一枚のチラシを受け取る。《5000人を依存症の地獄から救った仙道義春師が、当地でセミナーを開催!》。健二は、「ただの買い物セミナーだから」と言いくるめて、妻を会場に連れていった。会場に山と積まれたグッズ。講師の仙道は、「どれでも好きなものを手に取ってください」と言う。目を輝かせてグッズを手にした参加者を、仙道はひとりずつ壇上に呼び上げて、その欲望を弾劾していく。やがて、伊原の妻・睦子も呼び上げられた。毛皮のコートを手にした睦子は、その理由を尋ねられ、「幸せを感じたかった」と答えた。翌週、クローゼットから靴やバッグがきれいに消えていた。睦子は健二に内緒で、「トゥルー・ライフ・セミナー」の会員になっていた。その名前を聞いた健二の部下・本田が、「そこ、ヤバイですよ」と言う。そのセミナーは、信者を集めてはその財産を巻きあげるカルト教団「真実の幸福」のダミー団体だと言う。本田に言われて預金口座をチェックした伊原健二は、目を疑った。口座から、毎週のように、10万、20万という金が引き落とされている。問い詰めた妻の胸元に、見たこともない赤い痣が残っているのを発見した健二は――
⇒この話は、連載6回目です。この話を最初から読みたい方は、こちらから、
 前回から読みたい方は、こちらからどうぞ。


 「申し上げにくいことですが、伊原さん。あなたの奥様は、まだ、邪悪な欲望から解放されていらっしゃいません」
 笹川清美は、伊原健二の目をまっすぐに見据えて、断言した。
 その目も、言葉の調子も、駅ビルの前で健二にチラシを渡しながら、「何か、気になることでもありました?」と呼びかけてきたときの、やさしいトーンとは違っていた。

 妻が口座から毎週のように多額の現金を引き出している。
 妻は、セミナーの参加費だと言っているが、それは本当か?

 それを確かめるために、セミナーの本部に笹川を訪ねたのだが、話を切り出したとたん、笹川の声のトーンが変わった。
 まるで、「おまえ、何しに来た?」とハネつけるような調子だった。
 「何ですか、その邪悪な欲望というのは?」
 「あら、伊原さん。あなた、それで困って、奥様を私どものセミナーにお連れになったんじゃありませんの?」
 「それは、妻の買い物依存を何とかしたいと思っただけで……」
 「あのね、伊原さん。問題は、そこじゃないんですよ。いちばん大切なのは、奥様を買い物に依存させてしまうことになった、欲望の存在なんです。そこを治さないと、ほんとの解決にはなりません。だから、私たちは、いま……」
 「お言葉ですが、どんな人間にも欲望は存在するでしょ? それが邪悪かどうかは、いったい、だれがどういう基準で、判断しているんですか?」
 「神です」
 笹川清美が、あまりにもきっぱりと言い切ったので、健二は少し不気味になった。
 「その神というのは……?」
 「神は定義できません。ホラ、ここにいる、あそこにいる――と手で指し示すこともできません。その存在を感じることができる人もいれば、できない人もいます。できない人は、それができる人を通して知ることができるだけです」
 「あなたたちの教団には、それができる人がいる――ということですか?」
 「教団……?」
 「あなたたちのセミナーは、ほんとうは、『真実の幸福』のダミー・サークルなんでしょ?」
 「伊原さん、どこでそんなことを?」
 「どうなんです? 違うんですか?」
 「会員の中には、そういう人もいるかもしれませんけど、トゥルー・ライフ・セミナーは、あくまで、独立した組織ですよ」
 「では、笹川さん、あなたはどうなんです?」
 「私……ですか? さぁ……」
 言いながら、笹川清美は、ゆっくり席を立った。

       バラ

 「伊原さん、正直に答えてくださいね」
 清美の声が背中から聞こえた。
 「あなたが、駅前で私が配っているチラシに目を留めたときのことを思いだしてください。あなたが、足を止めて、私が配っているチラシを受け取ったのは、ほんとに、奥さんの依存症を何とかしたいと思った。それだけの理由ですか?」
 思いもしないことを訊かれて、健二は、一瞬、返答に詰まった。
 清美が、自分の背後に体を近づけていることが、気配から感じ取れた。
 「もし、チラシを配っているのが、私じゃなくて、ダークスーツの男だったり、白髪のおばさんだったりしたら、あなたは、それでも足を止めましたか?」
 咄嗟には答えられなかった。
 確かに、あのときは、チラシを配っている笹川清美が、若くて美人であったことに気を惹かれて、思わず足を止めてしまった。そのチラシの内容に興味を覚えたのは、その後のことだった。
 「どうですか、伊原さん? 正直に、胸の内を振り返ってみてください」
 言いながら、清美の手が健二の肩に添えられた。
 肩に置いた手が、ゆっくりと健二の肩を撫で、そしてそこから鎖骨へ、胸へ……と、筋肉の筋をたどって下りていく。
 健二の鼻腔には、清美の放つフローラル系の甘い香りが忍び込んできた。
 「いいんですよ。だからと言って、私は怒ったりしませんから。それはね、伊原さん、だれの心にも潜んでいるものなんです。だから、怒ったりはしません……」
 清美の手は、健二の大胸筋をシャツの上から撫で回している。
 そしてその声は、健二の耳にほとんどくっつくほどに近づけられた唇から、ささやくように発せられ、健二の鼓膜を震わせた。
 「伊原さん、あなたの中にも、奥様と同じ欲望が潜んでいるようですよ。いま、あなたの欲望がゆっくり、ゆっくり、頭をもたげているでしょう?」
 健二は、自分の下腹で何かがみなぎっていくのを感じた。
 笹川清美は、そんな健二の変化を見抜いたように、胸に回した手を深く交差させた。健二の上半身は、後ろから忍び寄る清美の腕に抱きしめられる形になった。
 背中に押しつけられてくる柔らかい弾力。その中央で、コリッと固まった突起を感じて、健二の欲望は、ズボンの股間をふくらませた。

       バラ

 そこは、「トゥルー・ライフ・セミナー」が、ふだんは、来訪者のカウンセリングに使っている個室だった。
 部屋の中には、ヒーリング系のミュージックが流されていた。
 「いいですよ、伊原さん。私たちが、みなさんの邪悪な欲望をどんなふうにお浄めしているか、見せて差し上げます。伊原さんの奥様が、そこで、どんな風に変わっていってるかも、ご覧になるといいわ。よろしかったら、私たちの道場にいらっしゃいますか?」
 笹川清美の手は、健二の胸を撫で回しながら、腹部へ、そしてその下へ――と下りて行く。その手が、ズボンの上から、パンパンに膨れ上がった健二の欲望の正体を探り当てる。
 「いらっしゃいな、見学のつもりで。別に、来たからと言って、入会を強制したりはしませんから。どうです?」
 清美の手が、健二の高まりをつかまえてやさしく撫で回す。
 「見るだけなら……」
 健二が発した言葉に、笹川清美が妖しく微笑んだ。
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