女イメージ4ジャンヌの2回目の審問。「男装をお願いしたのは、
イギリス兵たちの凌辱にたえられなかったから」
という彼女の弁明は聞き入れられず、火刑の判決が
下された。彼女の旗が二度と翻ることはなかった。


 R18   ロマン派 《H》 短編集 
 第26話  囚われのジャンヌ〈6〉

このシリーズは、管理人が妄想力を働かせて書いた、
Hだけどちょっぴりロマン派な、官能短編小説集です。
性的表現を含みますので、18歳未満の方はご退出ください。



 ここまでのあらすじ  日本の鎌倉時代から応仁の乱前夜の室町時代にあたる14~15世紀、イギリスとフランスは、「百年戦争」と呼ばれる長い戦乱状態にあった。そんな中、オルレアン候・シャルル7世を助けて、フランス王位につけ、国土を統一しようと立ち上がったのが、ジャンヌ・ダルクだった。しかし、そのジャンヌは囚われ、異端審問にかけられ、「男装」を禁じられた上で、イギリス軍の城に幽閉された。なぜ、イギリス軍の城に? それには理由があった。男装を解かれ、両手両足を鎖で繋がれたジャンヌ。そこへ忍んで来たベッドフォード公爵は、「処女検査をやり直す」と、ジャンヌのスカートをめくり上げ、そこへ自分のコックを突き立てた。破瓜の屈辱に震え、涙が頬を伝うジャンヌ。その姿を「不憫」と感じながらも、オレもジャックも、コックをふくらませた。「たっぷり濡らしてあるゾ」という公爵の言葉につられて、オレたちはその体にのしかかっていった。ウワサを聞きつけて、牢にやって来る連中も増えた。ジャンヌは、夜毎、牢に押しかけてくるオレたちイギリス兵の慰み者になった。そんなある日、ジャンヌが「修道士を呼んでくれ」と懇願した。彼女が修道士に哀願したのは、「男装に戻してほしい」だった。それは、死を覚悟しての懇願だった――。
⇒この話は、連載6回目です。この話を最初から読みたい方は、こちらから、
  前回から読みたい方は、こちらからどうぞ。


 やがて、2回目の審問が開かれた。
 審問官たちの尋問の矛先は、ジャンヌが法廷で誓いを立てたにもかかわらず、再び「男装」に戻ったことに向けられた。
 異端審問では、被告が異端を認め、心からの改悛の意を示せば、死罪を免れる。
 すでにジャンヌは、1回目の審問で、その改悛の意思を示して、「二度と男装はしない」ことを誓っていた。その「禁」を破った。
 コーションたちは、そこを鋭く追及した。
 追及されたジャンヌは、涙ながらに訴えた――という。
 「もし、私の身を修道院内にとどめ置いてくだされたならば、このようなことにはいたらなかったでありましょうに」
 「この期に及んで、申し開きをいたすのか?」
 「しかし、判事さま。私の身は、度重なる辱めを受けたのでございます。イギリス兵たちによって、来る夜も、来る夜も、繰り返し、繰り返し……」
 「それは、そなたが望んだのではないのか? 看守たちを誘惑して、身の自由を得ようとしたのではないのか?」
 「そのようなことは、考えも及びませんでした。あの者たちは、暴力をもって私の衣服を剥ぎ、私の貞操を踏みにじったのでございます。無理やりに、口汚くののしりながら、何人も、何人も……」
 「看守どもが申すには、そなたも、肉の喜びに震えておった――と聞くが……」
 「とんでもないことでございます。私は、苦痛と屈辱に震えていたのでございます。あのような辱めに耐えることは、とても……。それで、罪を重ねることとは知りながら、修道士さまに、男装に戻させてください――とお願い申し上げました。もう、私は、あのような屈辱には、もう、わたくしは……」
 言いながら、あの女は、被告人席に泣き崩れ、その声が廷内に響き渡ったのだそうだ。
 「その結果、どのような審判が下るかは、存じておったのだな?」
 「はい、存じて……おりました。覚悟は、できております。あのような屈辱に耐えよ、と仰せられるのであれば、むしろ、死を与えていただきたい……と」
 それが、あの女の最後の弁明だった。
 やがて判決が下り、「オルレアンの聖少女」は火刑に処せられることとなった。「火刑」にするということは、遺体を灰にしてしまうということだ。
 灰にしてしまうのは、その亡骸が二度と復活できないようにするということだ。
 オレたちキリスト教徒にとって、それは、もっとも過酷な処罰ということになる。
 それくらい、おエラ方は、あの女の復活を恐れていた――ってわけだ。

       バラ

 後で聞いたことだが、あの女をルーアンの城の牢獄に幽閉するように仕向けたのは、司教のコーションだった――という。
 あのイギリスびいきの司教は、まだ汚れを知らない乙女をオレたちの牢獄に放り込むことによって、その純潔を踏みにじらせ、耐えられなくなった女が、再び、男装に戻ることまでも計算した上で、その身柄を狼たちの檻に送り込んだのだ。
 オレたちは、まんまとその計略に乗せられて、あの女の体を貪った。
 しかし、そのオレたちには、何のお咎めもなかった。
 コーションのやつにしてみれば、「よくやった、おまえたち」ぐらいのものだろう。
 ヴィンセントなんかは、女のあそこがどうだったか――なんてことを、他の兵士たちに自慢げに聞かせたりしていたが、オレは、とてもそんな気になれなかった。
 オレの耳には、オレのイチモツをブチ込まれ、涙に濡れた顔を振りながら、オレの耳元で唱え続けた女の哀願とも祈りともつかない言葉が、いまも残響のように残っている。
 「お許しを、お許しを……」と、女は唱え続けた。
 それは、オレに「お願い、止めて」と言っているのか――と、最初は思った。
 しかし、違った。
 女は、確かに、こう言ったのだ。
 「お許しください。汚れしこの身を……。汚したこの者たちの罪を……」
 その言葉が耳に残っていたから、オレは、女の最後の願いに応えた。
 火刑台にくくられたあの女が、「十字架を、見えるところに」と懇願したとき、オレはその足元に、木の十字架を立てて見せてやった。
 その十字架を見ると、女はかすかに微笑んで、安堵したように目を閉じた。
 すぐに、その全身を炎が包んだ。

       バラ

 オレたちの戦は、それからも続いた。
 オレもヴィンセントもジャックも、各所で繰り広げられる戦闘に駆り出された。
 ヴィンセントのやつは、いまでも言う。
 「いい女だったなぁ。あの女のあそこを思い出すと、アレがうずうずしてきやがるぜ」
 ヴィンセントの言う「いい女」は、あの女には当てはまらないような気がする。
 見た目だけで言うなら、特に、オレたちの牢にブチ込まれてきたときのあの女は、どこにでもいる「田舎の小娘」に見えた。
 しかし、その精神は、違った。
 気高く、清廉な乙女。
 あの女が振りかざす旗の下でだったら、オレも、もうちっとましな働きができるだろうに――と思いながら、きょうも、オレはフランス野郎どもとの不毛な戦いに出かけなくちゃならない。
 しかし、そこにはもう、オレたちを脅かす旗はない。

=第26話「囚われのジャンヌ」は、これにて完=
お詫び最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回作をどうぞお楽しみに。

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