2002年にFXを始めてからというもの、私は失敗だらけの取引をしてきました。
特に円高時においては目も当てられない状態に何度も陥って、そのたびに絶望的な思いを体験したことを覚えています。そんな私ですが、2002年に大きな損失を出したものの2003年からは年間収益でプラスを出すことができています。その大きな要因は「自分で体験し、失敗し、修正する」ということを日々繰り返すように意識したことが大きいかと思っています。今回はその「体験・失敗・修正」と為替相場分析について自分の思うところを書いてみます。.

まず私が現在、為替相場分析のために把握している項目は次の通りです。

・長期的トレンド(長期テクニカル:数ヶ月〜)
・中期的トレンド(中期テクニカル:数日〜数週間)
・短期的トレンド(短期テクニカル:数時間〜数日)
・超短期的トレンド(超短期テクニカル:数分〜1時間)
・短期・中期・長期テクニカルの節目と重要抵抗
・通貨間の力関係
・自分の資金管理・レバレッジ状態

本業の忙しさに合わせて上記をすべて数値化して把握し、必ず上下両方に50:50の割合でシミュレーションして取引時の行動レベルまで落とし込んでいます。さらに取引の大きな方針として、「予想はしない」と決めています。その代わりに行っていることは「現状をできるだけ正確に把握すること」です。たとえば台風が南海上で発生したとしましょう。「台風が東京に来るかどうか」は予想となるのでどこに台風が行くかっていうことは気にしません。その代わり台風が南海上で発生したという事実を把握すること、さらにそのときの気圧配置や偏西風の強さ、海面の温度そのほかモロモロの「数値で表せる事実」「確実にわかっている事実」を把握するのです。そうすると、必然的にその事実を見ていくうちに「危ないこと」がわかってきます。たとえば「この週末伊豆へダイビングに行こう」とか「サーフィンに行こう」、「週末のフライトで沖縄に行こう」といった選択肢は台風がどこに行くに関わらずリスクが高い行動予定と言えますよね。そういった危ない行動予定を片っ端からはずしていくわけです。一方でリスクの低い行動予定も考えることができます。たとえば「週末は近所に映画を見に行って美味しいものを食べよう」、「家でゲームでもして遊ぼう」「寝て疲れを取ろう」などなど。
取引においても同じように考えています。現状を正確に把握することで「今絶対やってはいけないこと」「今やるとリスクが大きい取引」「今この通貨を買うのはリスクが高い」など、現状からリスクの高いものがをたくさん抽出することができます。そしてそれをはずしていくと結果的に低リスクなものが残り、その中でも最も低リスクなものを選んでいくというのが2002年に大きな損失を出して以来私の基本方針になっています。ちなみに「予想しないこと」で同時に行っているのは【希望的観測の排除】でもあります。人間は自分が望むものや見たいものを見たくなる動物と聞いたことがあります。ということは上下両方の材料や、ニュース等が目の前に出てきたとしても希望する方向があればついついそっちに偏って見ちゃうこともあるということかと。いつも上下のシミュレーションをするように心がけてることや上記のように「予想をしないこと」で得られる大きな利点は
本来なら嫌と思うほうも見ること・考えることで希望的観測を排除しどちらに動いても良いようにフラットに考えられるようになることでもあります。一歩引いた鳥瞰図的な見方というイメージとでもいいましょうか。慣れるまではこういった分析を行うのに時間がかかるものです。2002年私がFXを始めたころは、全く分析などできていませんでした。今でも日々小さい修正点を見つけて、改善するようにしています。ひょっとしたら世の中で天才と呼ばれる人々は、相場を事前に予想して買っては反転売り、売っては反対買いをしたりはじめての失敗でも事前に予測して回避しているのかもしれません。しかし私のような凡人は、なかなか失敗を避けきることはできません。でも失敗したら修正して二度と同じ間違いをしないようにすることは可能です。そしてその体験から得た「自分なりの答え」は、とても大きな財産になっています。今はインターネットが発達したこともあって、何でも調べれば情報が手に入る、とても便利な世の中になりました。しかしそれだけ情報が増えすぎている分自分で体験したり、そこから学ぶということがおろそかになりがちです。インターネットで知った「知識」は、あくまでも他人の知識・経験の借り物であってそれを見て知ったという段階で、「自分も完璧な知識を得た!」と思ってしまうことがたびたびあるように思います。しかし実はこれ、全く身についていない単なる「知識」であって、「知恵」というレベルまで持っていくことはできていません。「絵本だけで自転車の乗り方を見て、一発で自転車に乗ろう」というのは難しいですよね?子供はみんな補助輪をつけて乗ってみてそこでバランス感覚を養いながら、それが出来るようになったら補助輪をはずし、そして何度かこけたり、擦り傷を作りながらだんだん体がバランスを覚えていつしか何も意識しなくても自然と乗れるようになるものです。FX取引や為替相場分析にも同じようなことが言えると思います。インターネットで氾濫する情報やニュースなどばかりを見ていてもそれは結局単なる「知識」というレベルまでです。それを実際に自分で活用できるようにするには、体験して、失敗して、それを修正しつづけていく。そして自分の体験から答えを導き出していく。自分なりの答えは、誰に教わるでもなく自分が生み出したオリジナルなため困ったときに大きな自信となって自分を支えてくれます。これが他人の借り物の知識だと、不安になって仕方ありませんよね。上記のような相場分析も、このようにして少しずつ仕上げてきたものです。時間もかかるし、毎日1時間以上相場分析に費やしていてまだまだ手際が悪いですが、その分取引するときに迷うことはなく取引は淡々と行えるようになりました。そして万全の資金管理・レバレッジ管理と合わせてしっかりと分析を行えば、体験的に大きな負けをする確率を減らすことが可能とわかりました。最初はまともな分析ができなくとも自分で努力して検証し、どんどんブラッシュアップさせれば分析力もついてきますし、その力は今後数十年にわたり、かけがえのない財産になります。誰かのものをそっくりそのまま使いたい!と思うかもしれませんが、自分で作る段階でしか見えてこないそれぞれの数値の関係性や相場に関する知識・知恵もたくさんあります。そしてそこで発見したことが継続的勝利に近づく最短の道かと思いますので是非ゼロから分析し、研鑽していくことをオススメします。逆に誰かに頼ってしまった場合、その人がいなくなったり急に曲がりやさんになってしまうと自分を支えていた軸がなくなるわけで非常に精神的にも不安定になり、取引も崩壊していく可能性が高いです。莫大なお金をギャンブル的な取引で稼いで、1年でFX投資をやめると決めている人なら別ですが多くの人は資産運用として今後も続けると思いますので時間をかけて資金管理や分析を磨く価値は十分あるでしょう。私の2002年の破滅的な大負けは本当に酷いものでした。毎日相場が気になって、ご飯も美味しく感じない、寝るのも怖い、毎日祈るような気持ちでチャートや情報を見ていたことを思い出します。しかしその大きな失敗を2回した後は毎日資金管理表を作って改善し続け、さらに分析も人に頼るのではなく少しずつ修正を繰り返していくうちに無茶なトレードはほぼ完全になくなりました。その結果として2003年以降、年間収支は毎年プラスになっています。資金管理表はエクセルが苦手な方でも四則計算だけで出来ますし分析は一つの通貨だけでも日々行うことでどんどん磨かれます。非常に面倒なのでつい既成の答えを探したくなるかもしれませんが相場で勝つための正しい答えというのは、常に自分を磨いて相場の変化に対応できる知識・知恵をつけることかと思います。円高になって多くの方が失敗したり、絶望的な思いを抱いていると思います。しかしそういうときだからこそ、その失敗を次にどういかすのか。命さえあれば何度でもやり直しはききますので意地にならず、失敗したらそれを謙虚に反省し必ず同じ失敗はしないようにしよう、と心に刻んで将来的に磐石の資産運用ができるよう、研鑽していきましょう。