March 06, 2012

せんだいデザインリーグ2012卒業設計日本一決定戦

05FEB2012

名大は完敗だった今年の日本一決定戦。
反対に東北大の圧倒的入賞率の高さには目を見張るものがあった。
青葉賞該当なし、という年があるが今年は複数の青葉賞が出ても納得の完成度と思える。
400以上の模型とパネルが並ぶなかで、蓋を開いてみれば上位10案中、
なんと東北大は4案(No.72、No.90、No.149、N0.537)も入っている。
他の案は京都工芸繊維大(No.17)、東大(No.55)、大阪市立大(No.158)、東京都市大(No.563)、
早稲田大(No.620)、筑波大(No.621)。
20120304smt


20120305審査経過


途中の審査経過をみても、1,2位争いは東北大のNo.72記憶の器、No.537神々の遊舞の一騎打ちで
他を寄せ付けない。
実際に400案の間を短時間に通り抜けたとき、No.537神々の遊舞はまず残るであろう世界観を放つ
真摯な作品なのに対し、No.72記憶の器はなんだかよくわからないがひっかかる性質の作品で、
プレゼンテーションを聞いてようやく理解できたと感じる。

20120305No537panel


20120305No537


20120305No537model-02

とかく震災と引き寄せて語られがちな中で、塚本氏が震災の有無にかかわらず「かわらないもの」
「無形な社会性を組み立てるもの」
として、
また伊東氏が「海に向かう軸線が気に入っている」としてNo.537「神々の遊舞」案を押す声が高く、晴れて1位となる。


20120305No72


20120305No72model


20120305No72障子

No.72記憶の器は間違いなく震災の発生により生成された作品。
被災者への聞き取りを通してかつて住んでいた住宅の姿を立ち上がらせ模型として定着させるという作業は、
模型に対するあたらな意味を喚起させる。
伊東氏は「新種」と評す。

20120305No17panel


20120305No17

中国の石庫門を構成の原理とした京都工芸繊維大(No.17)案

20120305No149


20120305No149model

個人の内面に向き合ったNo.149「不在のポートレート」案だが、
重松氏は「オープンにする、デヴェロップする、形態は変わる」という。

20120305No158


20120305No158model

大阪から被災地へ乗り込み津波到達線上に構築物の提案を行う大阪市立大(No.158)「VITE VEVEE」案

20120305No90panel


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動画をプレゼンテーションに用い建築メディアの可能性を追求したNo.90「ドキュメンテッド・アルカディア」案。
伊東氏がいうように「ブレード・ランナー」的な、もしくは「AKIRA」的な独特の世界観を共有することが困難だった。

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20120305No563

調整池開発に伴う地下空間のあり方を提案した東京都市大(No.563)「都市の水琴窟」案。

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20120305No55model

世界企業による社会還元装置として新しい公共を目指した東大(No.55)「明日の世界都市」案

総じて震災が東北大勢の思想を深めたということだろうか。
場を盛り上げるために振られた塚本氏があえて「伊東さんの言葉がシンボリックすぎる」と
言いつつも両者のセレクションは全く同じ。
結果としては票が割れたが、どの審査員も震災を考慮に入れず投票した結果だという。
重松氏が「ストーリー性を組み立てるところに、今、建築家の職能が問われている」というように、
あまりにも過酷な現実を前にそうした状況とがっぷりと向き合い導かれた回答に審査員の想像を
ある部分では超えた切実さがにじみ出ていたのではないだろうか。

ともかくも名大は来年ゼロリセットからの挑戦となる。ただし、計画系志望者が極度に少ない現実から戦略を導く必要がある。


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