RERAのウイスキーブログ

ロスジェネ世代のおっさんが、世界各地のウイスキーを飲み、独断で評価していきます。 Whisky reviews and informations

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今回は、新発売となった白州のハイボール缶を飲んでみたいと思います。

350mLで600円の強気設定

正式な製品名は、「サントリープレミアムハイボール<白州>」になります。
2023年6月6日に発売された同製品は、アルコール度数が9度とストロングタイプになっていることに加え、ハイボールに合うモルト原酒を厳選していて、スモーキーさを強調したものになっているようです。

そして価格が350mLで600円という設定も注目です。
一般的なハイボール缶は100~200円の範囲ですので、600円は3倍以上となります。
ニッカがかつて販売していた竹鶴ピュアモルトのハイボール缶が225円でしたので、かなり強気の価格です。

ラベルには「香るスモーキー」と書いていて、比較的スペイサイド系のフルーティな印象の強い白州のウイスキーとは違い、ピーティな原酒を使っていると思われます。

テイスティング

今回は、同じアルコール度数の「角ハイボール濃いめ」と飲み比べてみます。
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まず、角ハイボールですが、レモンとリンゴの香りが先に訪れ、奥からバニラ、ウッディさが付いてきます。

味わいは、酸味を伴いつつも、少し辛みのある印象です。

一方で白州は、先に燻製や海藻を思わせるスモーキーな香りが広がり、続いて青リンゴ、ミント、マスカットの香りが続きます。

味わいは、苦みが先行し、奥から酸味がじわっときます。あまり甘さはありません。

森の蒸溜所なのに海を感じる

以前に白州蒸溜所を見学したときに、ライトリーピーテッド原酒というものを試飲しましたが、大概がそのときの原酒の印象に近いものでしたが、それよりも海藻を思わせるスモーキーさがあって、別のピーテッド原酒を使っているのかもしれません。

そういう意味でも、レギュラーボトルの白州ノンエイジとは香りも味わいも異なるもので、600円という値段も納得してしまいます。

正直、のどごしを感じてがぶ飲みするものではなく、ゆっくりと香りと味を楽しむ方が向いています。
その点でも角ハイボールとは対極をなしています。

なお8月8日には、山崎のハイボール缶が発売される予定で、こちらはミズナラ樽を中心にしたブレンドになっているようです。

<個人的評価>

  • 香り A: 燻製、海藻を思わせるスモーキーさが目立つ。その後青リンゴ、マスカット。
  • 味わい B: 苦みが多少目立った後、酸味が広がる。
  • 総評 B: ハイボール向けの原酒を使っているだけあって飲む価値が大いにある。

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今回は、ジョニーウォーカーの新しいボトル、ジョニーブロンドを飲みます。

日本未発売の甘みを強めたブレンド

_DSC7183_01ジョニーブロンドは2021年にリリースされた比較的新しいボトルになりますが、日本では発売されておらず、並行輸入で入手するしかありません。

レギュラーであるレッドラベルやブラックラベルは、ピートからのスモーキーさがあって比較的重厚感も感じられるものになっていますが、ジョニーブロンドはフルーティで甘い香りのあるモルト、グレーンを使うことで、比較的軽めでとっつきやすさを目指しているようです。

公式でも、レモネードやコーラと混ぜて飲むことをおすすめしていて、そのまま飲むよりもカクテルベースで飲むことを想定したブレンドになっているかもしれません。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはハチミツ、リンゴ、レーズンの香りが感じられます。
液色は少々淡い琥珀色です。

ストレート

リンゴ、ラムレーズンの香りが先にやってきて、続いてオレンジピール、バニラと続きます。

味わいは、アルコールからの辛みはそれなりではあるものの、甘みが強めで、後から軽く酸味、ほろ苦さが続きます。

ロック

ストレート同様にリンゴ、ラムレーズン、オレンジの香りが広がり、その後に軽いピートからのスモーキーさが続き、バニラやカラメルの甘い香りが追いかけてきます。

味わいは、苦みが強く出てきて、後から甘さがじわじわやってきます。

ハイボール

バニラとバナナの香りが先にやってきて、オレンジの香りが軽く得られます。リンゴやレーズンはむしろ感じられなくなります。

味わいは、軽い苦みがあるものの、とても甘さがあります。

割って現れるスイーティなキャラ

レギュラーのボトルに比べて全体的には軽く、ストレートやロックでも悪くはなく、ハイランドやスペイサイドの比較的ライトボディのウイスキー感があります。

しかし炭酸で割ってみると一気に甘い香りが強く感じられ、むしろ甘ったるさが強くなる印象に変わりました。
確かに公式で柑橘系の果汁に合うというのも納得ができて、個人的にはトニックウォーターで割ってもおいしいかな、と感じました。
ゆえにカクテルベースに使うにはうってつけかもしれません。

700mL、アルコール度数は40度、価格は2000円ほど。
現状のジョニ赤とジョニ黒の中間くらいの値段になります。

<個人的評価>

  • 香り B: リンゴ、ラムレーズン、オレンジの香りがメイン。加水でバニラ、バナナが目立つ。
  • 味わい C: 甘さが中心。ロックでは苦みが目立つ。
  • 総評 C: 割ることによって本領を発揮するカクテルベースタイプ。

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今回はデュワーズのカスクシリーズの新作、ジャパニーズスムーズを飲んでみます。

ミズナラ樽で後熟したボトル

デュワーズは2021年から、8年熟成した原酒をブレンドした後、特定の樽を使ってフィニッシュ(後熟)して香り付けを行うカスクシリーズを出しています。

最初はラム酒樽を使ったカリビアンスムーズ、次にメスカル樽を使ったイリーガルスムーズ、そしてポートワイン樽を使ったポルトガルスムーズをリリースしました。




_DSC7126_01そして2023年5月23日に、第4弾となるジャパニーズスムーズがリリースされました。
フィニッシュに使われる樽はミズナラの樽です。

ミズナラは日本原産の木であり、樽材に使われるホワイトオーク(ヨーロッパナラ)と同じブナ科コナラ属に分類されます。

日本が第二次世界大戦によってヨーロッパからホワイトオークの輸入が止められた際に代替に使われました。
しかし水漏れしやすく樽として成形するには技術が求められた上に、新樽では強い香りがついてしまい、熟成させて飲むには厳しい問題があります。

何度か繰り返し使うことによって香りが穏やかになっていき、香木を思わせる独特の香りが得られることから、ジャパニーズウイスキー人気が海外で火がついて以降、ミズナラ樽を使う海外のメーカーも増えていきました。

なお、樽材と加工については公表されていません。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはリンゴの香りが強く感じられます。ミズナラ樽由来の香木の香りはあまり感じ取れません。
液色は少々薄めの琥珀色です。

ストレート

先にリンゴ、レーズンの香りが感じられ、黒コショウ、シナモン、バニラと続き、ほのかに白檀の香りが得られます。

味わいは、アルコールからの辛みがそれなりに強く、その後は酸味、苦みへと変わります。

ロック

白檀のような香りが先にやってきて、リンゴ、黒コショウ、バニラの香りが後からやってきます。

味わいは、スパイシーさが多少感じられ、その後は酸味、甘みと続きます。

ハイボール

リンゴ、ブドウ、栗、そして白檀などの香木、軽いスモーキーさが続きます。

味わいは、軽く苦みがあるものの、後から甘みが全体を支配していきます。

ミズナラっぽさは思ったほどはっきりしない

ミズナラ樽ならではの白檀の香りは、ストレートではとても薄く、軽く加水することでやっと顔を出します。
この香りを堪能したいのであれば、トゥワイスアップかロックで飲むほうがいいでしょう。

そういう意味で、ジャパニーズスムーズは今までのカスクシリーズに比べると個性が強く感じられないといえます。

700mLアルコール度数40度、価格は2500円ほど。

<個人的評価>

  • 香り B: ミズナラ樽ならではの香木の香りは、加水して現れる。それ以外はホワイトラベルとの差は少ない。
  • 味わい C: ロックでスパイシーさが出るが、全体的に甘みが目立つ。
  • 総評 C: ミズナラ樽の個性が薄くて少々失望する。


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今回は、キリン初となる一般販売のシングルモルトウイスキー、「シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士」を飲んでみます。

御殿場モルト100%

_DSC7120_01キリンがリリースする「富士」ブランドのレギュラーラインナップのウイスキーとしては3種類目となります。

ウイスキーを製造する業界団体によってジャパニーズウイスキーの基準が決められたことに合わせるかのように、キリンが本格的なジャパニーズウイスキーとして出したのが「富士」になります。

2000年代から「富士山麓」がリリースされていますが、これは一部に輸入原酒を使っていることをキリン自身が明言しており、現状でジャパニーズウイスキーに類するのが「富士」のみになっています。

その富士は2020年にシングルグレーン、2022年にシングルブレンデッドジャパニーズウイスキーをリリースしましたが、今回はシングルモルトでのリリースとなりました。

ベースとなる原酒は、キリンウイスキー独特のバーボンのような香りを持つ原酒と、新たに作られたフルーティかつクリーミーな原酒を2種類使っているそうです。

熟成樽は、バーボンバレルをメインにビール樽、ワイン樽を使っているようです。

御殿場蒸溜所は1973年に建設をされており、50年の歴史の通過点ともいえるボトルがこのシングルモルトジャパニーズウイスキー富士なのかもしれません。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはリンゴ、メロン、接着剤の香りが強く感じ取れます。
液色は中庸な琥珀色です。

ストレート

先にリンゴの香りが広がり、続いてブドウ、メロン、バニラの香りが続きます。
味わいは、アルコールからの辛みが強く、後から酸味、奥から甘みが軽く得られます。

ロック

接着剤とメロンの香りが揮発して、リンゴ、ブドウの香りが後を追っていきます。しばらくたつとナッツとバニラ、さらにホップの香りが奥から広がります。

味わいは、酸味が中心となり、ほろ苦さが軽く加わりながらも甘みがじわじわ広がります。

ハイボール

メロン、リンゴ、接着剤の香りが先立ち、あとからブドウ、バナナ、樽香、バニラの香りが追いかけてきます。
味わいは、苦みが強めになって、後から甘さが広がります。

キリンらしさをしっかり感じられるシングルモルト

キリンのウイスキーはバーボンを思わせる香りが特徴的ですが、元々のバーボンがトウモロコシを中心にしたグレーンウイスキーであるわけで、それをモルトウイスキーで再現するのはかなりの工夫が要るはずです。

しかしそれをシングルモルトでもしっかり感じられるのには少々驚きます。
別の見方をすれば、キリンがラインナップするウイスキー全体にこのモルトが使われているといえるわけで、シングルモルトの富士はとても面白いウイスキーだともいえるでしょう。

アルコール度数が46度で少々高めであるせいか、ストレートではアルコール感が強いですが、軽く加水することで抑えられ、ストレートでは秘められていた香りが現れて、新たな発見ができます。

700mLで6000円ほどとお高いですが、山崎や白州がプレミアがついて1万円オーバー、余市や宮城峡も5000円台に入って入手が難しくなっていることを考えると、この値段は決して高いとはいえないでしょう。

御殿場蒸溜所の誕生から50年経過して、やっと一般向けに出されたシングルモルトだけに、一度は飲んで損はしないと思います。

<個人的評価>

  • 香り A: メロン、リンゴ、ブドウ、接着剤、バニラ、ナッツ、ホップ、バナナと多彩。
  • 味わい B: ストレートではアルコールがきついが、加水やロックで甘みが出てくる。
  • 総評 A: 御殿場のモルトを堪能するに申し分はない。



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今回は、韓国焼酎の大手、眞露(ジンロ)の焼酎3種類を飲み比べてみます。

100年近く続く大手

眞露は1924年に、当時日本の領土であった朝鮮半島北部、平安南道で創業した老舗の酒造メーカーです。

第二次世界大戦後、朝鮮戦争で北朝鮮に支配されるのを逃れ、ソウルに移転しました。
そして1953年に焼酎「眞露」が誕生しました。

しかし1997年のアジア通貨危機の影響で経営危機に陥り、2006年にはハイトビールに買収されてハイト眞露となっています。

日本では在日韓国人らが経営する焼肉店などで眞露が提供されることが多かったですが、1988年に日本法人が設立してから徐々に認知度が上がり、2000年代の韓流ブーム後からは一般への普及が進んでいきました。

2023年時点では、元来あるJINROのほかに、韓国国内で高いシェアを誇るチャミスル、7年熟成を行った原酒を使う「乙」がラインナップされています。

JINROというと、元々は緑色のボトルに黄色いラベルがトレードマークでしたが、最近では透明なボトルと白いラベルに変わって、日本の焼酎甲類のボトルとあまり違いがないものになっています。

一方でチャミスルは、韓国語で「真(まこと)」を意味する「チャム」と、「露(つゆ)」を意味する「イスル」を組み合わせたもので、日本語で言うところの「眞露」を訓読みをしたような名前になります。

JINROとチャミスルの違い

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さて、JINROとチャミスルはどういう違いがあるのでしょうか。

公式サイトなどを見ると、どちらも原材料は米と麦のようです。
一方で製法をみると、チャミスルは竹炭を使って濾過を行う点で違いを出しているようです。

また、チャミスルには2種類あり、ハングルで書かれたラベルがついたハーフサイズのボトルが韓国でも売られているものに対し、英字で「Chamisul」と書かれたものは200年代前半に日本向けに開発されたボトルになっています。

元々英字のチャミスルが先に日本で発売され、後になってハングル表記のチャミスルが発売されたというのが正しいかと思います。

今回はこの3種類を、ストレート、ロック、レモンサワーにして飲み比べたいと思います。

テイスティング

ストレート

JINROはアルコール感がそれなりにするものの、その後は米や麦の香りや甘みがそれなりに感じられます。

英字チャミスルは、アルコール感が少なく、比例して米や麦の香り、味わいが少ないものの、甘みはJINROと一緒の印象です。

ハングルチャミスルは、米の香りがJINROよりも多少強めで、味わいもご飯をかみ続けて感じるほど甘みがしっかりしている印象です。

ロック

JINROはアルコール感がまだ残る中で、米の香りがほのかに香る印象。味わいは甘み自体が少なく、味気なさを感じます。

英字チャミスルは、アルコール感はなく、軽く麦の香りが感じられます。味わいはJINROより甘みが強く、すっきり感があります。

ハングルチャミスルは米の香りが比較的はっきり感じられる印象で、甘みもさらに強く感じられます。

レモンサワー

JINROでは、レモンの香りと酸味がしっかり感じられ、お酒自体の甘みはかなり消えている感じです。

英字チャミスルは、甘みがほとんどなく、レモンの酸味が比較的ストレートに感じられます。

ハングルチャミスルは、レモンの酸味を強めの甘みでマスキングをすることで、マイルドな味わいになって比較的飲みやすくなります。

個性の違いがはっきりしていた

焼酎甲類の違いを認識するのは難しいと思いましたが、予想以上に3種類のボトルの違いが明確にわかりました。

お酒自体の香りや味わいにおいては、ハングルチャミスルが比較的濃く、英字チャミスルはすっきりしている印象でした。
一方でJINROはアルコール感が強めで、ストレートで飲むにはちょっと厳しいかもしれません。

個人的にはハングルチャミスルが一番おいしく、レモンサワーにしても個性が消えない印象でした。ホッピーの割り材にしてもいいかもしれません。
これだと日本の焼酎甲類でも比較的香りや味わいのあるものとも対抗できるでしょう。

一方で英字チャミスルは個性が少なく、特別これを選ぶ理由はない印象です。
JINROは2種類のチャミスルの中間くらいの個性に思えます。

以前に飲んだ鏡月GREENがあまりにも個性がなさ過ぎて、ただ酔っ払うためだけの薄めたアルコールにしか思えませんでしたが、眞露の3種類のボトルは焼酎としての最低ラインを十分突破している印象でした。

私は手作りのレモンサワーを飲むこともありますが、ハングルチャミスルは十分ベースになる焼酎として悪くない選択肢だと感じました。


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