RERAのウイスキーブログ

40過ぎのおっさんが、ジャパニーズ、スコッチを中心にウイスキーを飲み、独断で評価していきます。

2015年03月

ニッカウヰスキーが2015年から1か月単位でリリースしている復刻版もいよいよ第3弾となりました。
それは、スーパーニッカの復刻版です。

1203-11962年に発売されたスーパーニッカは、当時のニッカができる最高のウイスキーを作ろうと目指した逸品でした。

前の年、日本で本物のウイスキーづくりを目指す竹鶴政孝を慕い、遠いスコットランドから日本に移住した妻、リタが亡くなりました。 最愛の妻の死を認めたくなかった政孝は、葬儀にも出席せず、しばらく部屋に引きこもっていたそうです。

そんな彼を立ち直らせたのは、リタの情熱でした。なぜ彼女が日本までついてきてくれたのか。そう、本物のウイスキーを日本に広めることだった。
政孝はそんなリタと自らの思いを胸に、自分たちができる最高のウイスキーをブレンドすることを目指しました。

当時は宮城峡蒸留所がなく、カフェ式蒸留器を使ったカフェグレーンウイスキーもなかった時代。作り上げたブレンドではグレーンウイスキーの配合はわずか、ほとんどが若いものと長期熟成した余市モルトで、シングルモルトと呼んでも過言ではなかったブレンドだったそうです。

さらにボトルにもこだわり、高級ガラスメーカーのカガミクリスタルにあった一つのボトルを政孝が気に入り、手吹きで作られたボトルを採用することとなった。
もちろん生産できる量が少なく1年で1000本のみで、個体差があるために蓋がしっかり入らないなどの問題を抱えながらも、販売にまでこぎつけました。
当時の価格は3000円でしたが、大学初任給が17000円の時代、今の価値でいえば4万円に匹敵する超高級酒でした。 

その後、カフェグレーン、宮城峡モルトが使えるようになって、少しずつブレンドを改めていき、ボトルも機械で作れるものへと変わっていくことで、今や2000円ほどで買える比較的お手軽なウイスキーに至りました。

さて、今回の復刻版は、ボトルはさすがにカガミクリスタル制作のボトルとはいかず(作ったら数万円は軽くするでしょう)、 現行モデルの一つ前のボトルを再現したものとなっています。
ただしシンボルの一つであった肩部分のラベルはありません。
ちょうど竹鶴夫妻をモデルにしたドラマ「マッサン」がフィナーレを迎えるところですので、うまくタイミングを合わせての発売かと思われます。
superNikka2

今回もストレートから飲んでみます。グラスからの香りは意外に穏やかで、紅茶のような香りを感じます。

口に含むと、アルコールの刺激が舌に来ますが、その先は驚くほど穏やかで、最初の紅茶のほかに、ほんのりとドライフルーツ、リンゴの香りが後を追ってきます。最後にピートからのスモーキーさが締めてきます。
味わいは酸味がメインになりますが、それほど刺激を伴ったものではなく、甘酸っぱいという言い方が適しているように思えます。

加水されると、アルコールの刺激が薄れるものの、ナシのようなさわやかな香りが表れて軽やかな印象へと変わります。
味わいは酸味とビターが半々になった印象です。

余市モルトをほとんど使用しているとなると荒々しさをイメージしてしまいますが、実際に飲んでみると全く逆で、女性的なしなやかさと品のあるまろやかさを感じるブレンドになっています。
まさに竹鶴政孝と威親子が、亡きリタをイメージしたようなウイスキーに思えますし、当時4万円相当の高級酒と考えても、異論はないように思えます。

また、ストレートからロック、水割りになってもそれぞれで楽しみがあり、豊かな香りと味わいを兼ね備えているように思えます。

一方で現行品はというと、こちらも飲み口は似たようなものですが、青リンゴやナシの香りが一気に香ってきます。そのあとでカラメルやナッツのような甘さと香ばしさがやってきます。
味わいは初号以上に酸味が強く、少しエッジが利いた辛味もあります。
それでも、ニッカのラインナップ全体から見れば、比較的まろやかなほうです。

竹鶴親子の思いと比べると、今のブレンダーが庶民に日和ったブレンドにしていることに、何とも言えぬ怒りを覚えました。
確かに現代ではマーケティングありきの消費者重視の経済であることに否定はありません。しかし芸術性を込めた製品にまでそれをあてがうべきなのか?私には賛同しかねる部分があります。

もっとも、初号はニッカのフラグシップでその時代の最高のブレンドをコストの惜しみなく情熱を注いだブレンドであるのに対し、現行品はスタンダードな価格帯という制限で、万人受けするブレンドを求めた点で違いがあります。
しかし、現行品には2000円ならこんなとこだね、という妥当で平凡な感じと、ニッカがこんなブレンドでいいのか?というニッカらしさに欠けたものがあり、ブラックニッカクリア、リッチブレンド、ザ・ニッカ12年も含め、ここ最近の製品には承服しかねる点があります。

もし私の意見に否という方がいましたら、ブラックニッカスペシャル、G&G、ザ・ブレンド・オブ・ニッカを味わっていただきたいと思います。「マッサン」を見てスモーキーなウイスキーというものに興味がある人なら納得のいく銘柄だと思います。

復刻版は現行品同様に700mL、アルコール度数43度で、価格は3700円ほど。 ただしブラックニッカやハイニッカの復刻版に比べると入手は困難なようです。
私も地元のお店に何件も行きましたが見つからず、結局楽天でぽちっとせざるを得ませんでした。

<個人的評価> 
・香り A : 紅茶のような香りが先にくる。あとからドライフルーツ、リンゴ。最後に余市モルトならではのスモーキー。
・味わい A :アルコールの刺激はあるものの、全体的に穏やかで柔らかい酸味。
・総評 AA : 余市モルトがほとんどとは思えないほど、上品でしなやかなブレンド。竹鶴政孝の最高傑作にふさわしい。


個人的にアイラモルトが好きだったりするのですが、今回はそのアイラモルトのひとつ、ラガヴーリンです。

lv16ラガヴーリン蒸溜所は、アイラ島の南東にあり、西にラフロイグ、東にアードベッグと3つの蒸溜所が並んで立地しています。
蒸溜所は1816年に建設され、1867年にはホワイトホースの創業者であるピーター・マッキーが継承し、彼が販売したホワイトホースのキーモルトとして、ラガヴーリンの原酒が使われています。

現状でオフィシャルのシングルモルトのレギュラーボトルは、16年のみとなっています。

今回はストレートで飲んでみます。
飲み口はアイラモルトならではの磯の香りがするスモーキーさがやってきますが、東西に隣接するラフロイグ、アードベッグと比べるととてもおとなしく、16年熟成ともあってまろやかな印象があります。
香りとしてはカラメル、リンゴ、レーズンと、比較的甘い香りが漂ってきます。

味わいも比較的甘めで、アイラモルトとしてはボウモア12年ほどの飲みやすさがあります。もちろん初心者から見れば癖が強めであることは否定しません。

700mL、アルコール度数43度で、価格は6000円ほど。16年もののシングルモルトと考えれば高くはないですが、簡単に手を伸ばせるものとはいえないでしょう。
しかし本格的にウイスキーを飲む人にとって不足ではないでしょう。

<個人的評価>
・香り B: アイラモルトらしいスモーキーさはそこそこ。しかし甘くて華やかな香りが伴って上品。
・味わい A: ストレートでも比較的甘く、アイラモルトとしてはまろやかで飲みやすい方。
・総評 A: シングルモルトとしてのウイスキーの完成度が高い。


ラガヴーリン 16年 700ml 【RCP】

ラガヴーリン 16年 700ml 【RCP】
価格:5,486円(税込、送料別)

アイラモルトの中でも強いスモーキーさを持つラフロイグの中から、今回はクオーターカスクを飲んでみます。

laph_qcクオーターカスクとは、その名の通り、通常の1/4ほどの大きさしかない小さい樽のことです。
樽が小さくなると、 当然詰められる原酒の量は少なくなりますが、原酒全体に対する樽材と触れる割合が多くなるため、熟成が早まる効果があります。

ラフロイグではバーボン樽を解体してクオーターカスクに作り替えて使用します。

いつものようにロックで飲んでみると、飲みはじめはラフロイグらしい強い磯の香り、正露丸のような香りを伴ったスモーキーが届いてきます。しかし10年と比べると少々おとなしい雰囲気があります。
その内に秘められているのが、青リンゴのようなさわやかな香りです。

味わいは、強烈な香りのせいで煙たさが強く、しょっぱさもあります。しかし10年ほどのボディの強さはなく、少々ライトに感じます。 後々になって青リンゴの酸味がほのかに感じられるようになります。

価格は700mL、アルコール度数48度で3,500円ほど。 意外にアルコールが高めなので、いつものペースで飲んでいるとすぐに酔っぱらってしまいますが、アルコールの刺激は少なくて比較的まろやかです。

 これまで3種類のラフロイグを飲みましたが、重厚さの10年、軽さのクオーターカスク、深さのセレクトカスクというそれぞれが微妙ながらも異なる特徴を持っています。
ただ、いずれも強烈なピートの香りがあるため、初心者には向かないことに変わりはありません。
アイラモルトにはまった人が、ちょっとさっぱりと飲んでみたい、と思ったときに選べる銘柄ではないでしょうか。

<個人的評価> 
・香り B: ラフロイグならではのスモーキーさは健在。内からさわやかさも感じる。
・味わい C: 煙たさが強いが、奥から酸味がやってきて、軽さがある。48度のアルコールは感じられない。
・総評 B: 「軽さに味がある」という、昔のタバコCMのようなキャッチフレーズが浮かぶ。


ラフロイグ セレクトカスク 700ml 【RCP】

ラフロイグ セレクトカスク 700ml 【RCP】
価格:3,640円(税込、送料別)

サントリーのウイスキーの中でも売れ筋となっているのが角瓶です。
同社のウイスキーとして初めてヒットしたのが角瓶であり、近年では角ハイボールで人気に火がつき、居酒屋などでもウイスキーとして出されるものの多くが角瓶またはトリスだったりします。

1937年に、それまで発売した白札、赤札の不評をもとに、日本人が苦手とするピートからくるスモーキーな香りを抑えるブレンドを行い、東京まで赴いてテイスティングをお願いするなどフィールドテストを経て誕生した銘柄です。
当初は「サントリーウイスキー12年」と標榜していましたが、今の基準とは異なり最高熟成年数が12年ということで、今で言えばノンエイジの域に入っていました。
その後はサントリーウイスキーが正式名称となりましたが、独特のデザインから角瓶と愛称がつき、1970年代からは正式に角瓶と標榜するようになりました。

その角瓶も、1980年代後半からラインナップが豊富にそろえられています。
そこで、そのラインナップを改めて紹介していきます。

<サントリー 角瓶> 

kakubin01黄色いラベルのレギュラーで、初代は1937年に発売されました。
創業者の鳥井信治郎は、日本で本格的なウイスキーを作ろうと、大阪と京都の県境に山崎蒸溜所を作りましたが、最初はなかなかヒットに恵まれませんでした。

原因として、日本人がピートから来るスモーキーフレーバーになれていなかったのが原因と突き止めた鳥井は、その香りを極力抑えた香り豊かなウイスキーとして角瓶のブレンドを目指していきました。
奇しくも山崎にある原酒も12年以上経過したことで、熟成されたウイスキーを作れる土壌もできていた頃でした。

一部の事業を売却してまでも社運をかけた角瓶はヒットし、さらには大東亜戦争の突入時に当時の海軍から大量の発注を受けたことで、負債を取り戻すことに成功しました。

2009年ごろからプロモーションを始めたハイボールがブームとなり、一時は出荷量を減らすほどの人気を得ました。
ちなみに北海道では「角サン」(角瓶サントリーの略称)と呼ばれるほど愛されている銘柄でもあります。

ただ実際に飲んでみると、アルコールの刺激が強く、ストレートやロックでは飲みにくいブレンドになっています。
私自身、これを飲むと悪酔いすることが多く、好きになれません。
邪推するに、ハイボールでブームになったことで、若い原酒を使うことでハイボール向けにブレンドを変えているのではないか、とも思えます。
2015年に初代の復刻版が出ましたが、こちらはアルコールの刺激が少なく、ピート香や華やかな香りが豊富でしたので、それからすると、とても安っぽくなったのではないかと思えます。

<白角 淡麗辛口>

shirokaku1980年代後半に発売された銘柄で、和食にも合うブレンドを目指して作られました。

実際に飲んでみると、アルコールの刺激はあるものの、ナシや青リンゴのようなさわやかさがあって、レギュラーよりもロックにしても飲みやすく感じました。

実際、使用されているモルトが白州のもので、そのさわやかさも、さもありなん、という印象があります。
ある意味、スペシャルリザーブの弟分といってもいいでしょう。






<黒 43°>

kurokaku通称、黒角といえる銘柄です。

アルコール度数はレギュラーよりも高い43度で、大きめのパンチョン樽で熟成した原酒をベースにしています。

ロックやストレートでも、レギュラーほどのアルコールの刺激は少なく、ボディがしっかりした飲み応えのあるブレンドになっています。

価格自体もレギュラーの角瓶とほとんど変わりませんので、酒屋さんやウイスキーの品揃えが豊富なスーパーなどで見かけたら、家飲み用に常備してもいいでしょう。




<ザ・プレミアム角瓶>

premiumKaku2013年に発売された銘柄で、価格も1000円台後半になっています。

実際に飲んでみると、シェリー樽原酒の持つ華やかなレーズンの香りが強く出ていて、オールド並のプレミアム感が出たものになっています。

ただ、ライバルメーカーのニッカが出しているブラックニッカ リッチブレンドに比べるとたいした差がなく、コストパフォーマンスの点でも負けている気がします。









<まとめ>

各ラインナップを飲んでみると、それぞれが棲み分けされていて、比較的わかりやすいかと思います。

ロックやストレートで飲むなら黒角かプレミアム、水割りだと白角、ハイボールならレギュラーという感じに思えます。
もちろん、好みであれば別の飲み方でもいいでしょう。









サントリーのブレンデッドウイスキーの中でもフラグシップに当たるのが「響」です。
その中から、ノンエイジのJAPANESE HARMONY(以下、JH)が発売されました。

日本ではテレビドラマで、海外では数多くの賞や評論家たちの賞賛によって日本のウイスキーが世界的に人気を得るようになったことで、本格的なジャパニーズブレンデッドウイスキーを広めようと、フラグシップブランドの響から、エントリーモデルになるJHを発売したようです。

メーカーの宣伝文句としては、甘さをメインに、日本らしいミズナラ樽を使うことによる白檀などの香木のような香りを活かしたブレンドにしていると言うことです。

今回は比較として、かつてのフラグシップであったサントリーローヤルと、従来の響のエントリーモデルである12年と飲み比べてみます。

hibikiComp

JHをテイスティンググラスに注いで香りをかいでみると、いまいち引き立つようなものが来ません。アルコールのような香りの後に、ナシや柑橘系のさわやかさがほのかに香る感じです。

口に含むと、甘ったるいハチミツのような香りと、レーズンの華やかさが漂ってきます。
味わいは甘くてまろやかですが、アルコールの刺激や辛みはそれなりといったところ。ノンエイジとしては比較的少ない感じです。

加水すると香りが華開くどころか単に薄くなってしまい、味わいも却ってアルコールの辛みが目立つようになってしまいました。2:1程度の加水では酸味が強く出てくる感じです。
正直言って「響」の名前負けで、単調な味と香りでちっとも響きません。白檀のような香木らしさも感じ取れません。

一方で12年は、ストレートでのグラスからの香りは、梅酒樽を使っただけあって、梅の香りを感じ取ることが出来ます。
口に含むと、アルコールの辛さや刺激は少なく、カラメルや蜂蜜のような甘さが前に出てきます。後から青リンゴ、ナシ、ライムのようなさわやかさが後を追ってきます。 一方で梅のような酸味を感じることはありませんでした。

加水すると、香りはバーボンとは異なったエステリーさが際立ちますし、ピートからのスモーキーさも出始めてきます。味わいも酸味と渋みが加わり、単なる甘ったるさとは違う、成熟した大人のような深みのある甘さへと変化していきます。
まさに「響」の名のごとく、様々な香りと味わいの調和がとれたウイスキーになっています。

同じ12年もののブレンデッドであるジョニ黒やシーバスリーガル12年などと比べても、香りの立ち方が強くて、倍の値段を出すのにふさわしい出来の良さを感じられます。

比較対象として持ってきたローヤルはというと、グラスからの香りは少々エステリーな感じになっています。
口に含むと、レーズンの香りが先にやってきます。後からカラメル、ナシ。アルコールの刺激はそこそこ。
味わいは少々酸味が強めで、後から甘みがついて行く感じです。

加水すると、チョコレートや麦の香りが強く引き立つようになり、甘さに深みがついてくる感じです。

hibikiJH響JHは、700mL、アルコール度数43度で、価格は4000円ほどです。しかし、飲み比べてみると、12年の数百円安いモデルとしては力不足ですし、かといって2000円近く安く買えるローヤルにも負けるような印象です。
響の名を騙る偽物っぽさがどうしても出てきます。
個人的には、ストレートやトゥワイスアップで飲むなら、JHよりローヤルを勧めます。

サントリーは山崎と白州の10年を終了させてノンエイジに変更しましたが、響でも12年を終了させてこのJHに置き換える考えもありそうな気がします。しかしローヤルにも負けるような香りと味で4000円取るのはぼったくりです。
山崎や白州のノンエイジがある3000円でもまだ高い気がします。

サントリーは米国のビーム社を買収して世界屈指の酒造メーカーとなりましたが、それと引き替えに魂のない銘柄へと載せ替えているようにも思えます。ジムビームのブラックも8年から6年になっていますね。
ドラマの影響で日本でもウイスキーが飲まれるようになる頃合いを狙って、名ばかりのウイスキーにして荒稼ぎしようとしているのではないかと思うのは、私の邪推でしょうか?
ニッカはそんな真似をしてほしくないです。

<個人的評価>
・香り D: 響かない。ナシや柑橘系の香りがほのかに香る程度。12年の足下にも及ばない。
・味わい D: ストレートでは単純な甘さが前面に押し出されて、初心者に媚びを売ったような感じ。加水されるとアルコールの辛さと酸味が強く出て飲みにくくなる。
・総評 E: 4000円を出すほどのウイスキーではない。これを買うならローヤルがおすすめ。


サントリー 響 12年

サントリー 響 12年
価格:4,651円(税込、送料別)

続きを読む

今回は日本の地ウイスキーのひとつ、鹿児島市にある本坊酒造のマルスウイスキーを採り上げます。
多くの人にはぴんとこないメーカーですが、実はサントリーとニッカと同じ系譜を持つ本物のウイスキーを目指した会社でもあります。

本坊蔵吉は、大阪帝国大学に在学中、ある講師に師事しました。
その講師は岩井喜一郎で、摂津酒造の取締役を兼務していました。

そう、摂津酒造こそニッカウヰスキーの創設者である竹鶴政孝をウイスキー修行のためにスコットランドへ入学させた会社です。

岩井は竹鶴がスコットランドから帰国後、彼が現地で記録していた実習報告書を受け取りました。後に竹鶴ノートと呼ばれるものです。
ウイスキー製造を求めていた摂津酒造でしたが、第一次世界大戦後の恐慌によって経営の危機に立たされ、ウイスキーの製造を断念しました。竹鶴は摂津酒造を退職し、後に壽屋(現:サントリー)にヘッドハンティングされました。

しかし、竹鶴ノートは岩井の手に残っており、彼もまた、いつかは本格的なウイスキーを作りたいと願っていたのです。

岩井は本坊と出会い、彼の卒業論文であるウイスキーに関する研究をきっかけに、彼の元でウイスキーの製造をしようと計画を立てていきました。

岩井は摂津酒造を退職後、第二次世界大戦の後に本坊酒造の顧問に就任、1949年にウイスキー製造免許を取得すると、 まずは本社のある鹿児島の工場でウイスキー製造を開始し、技術を積み重ねていきます。
次に1960年に山梨工場を建設し、ワインとともに、ウイスキー蒸留の拠点としてポットスチルを導入していきました。このときに、あの「竹鶴ノート」が活かされることとなりました。

しかし、本格的なウイスキーの熟成にはスコットランドのような冷涼な土地が必要でした。
1966年に岩井が亡くなり、彼の理想は半ばで絶たれてしまいましたが、1985年に中央アルプスの麓にある、長野県宮田村に「信州マルス蒸溜所」を建設、ようやく理想的なウイスキーの製造に着手することとなりました。

ところが、バブル経済の崩壊や焼酎や発泡酒などに嗜好が変わっていき、ウイスキーの販売が低迷してしまい、1992年に蒸留を停止、鹿児島で安価な銘柄を出し続けつつ、理想的な場所で熟成されていく残されたウイスキーを販売することとなりました。
これが却って好転を生むこととなりました。

安価ですぐに売らず、長期熟成を重ねたことで、マルスウイスキーは徐々に人気を呼ぶようになりました。
そして2009年にハイボールをきっかけにウイスキーが売れ始めると、2011年に信州マルス蒸溜所で蒸留を再開しました。
そして2013年、「マルスモルテージ3プラス25」が、ワールドウイスキーアワードで、ワールド・ベスト・ブレンデッドモルトを獲得する快挙を達成しました。

iwai今回採り上げる岩井トラディションは、本来蒸溜所でしか手に入らない銘柄ですが、すすきのの某酒屋さんに、2011年に蒸留したシングルモルトとともに置かれていました。それらは1万円近い値段なので、こちらは後にしました。

まずはテイスティンググラスに注いでストレートで飲んでみます。
漂う香りはレーズンに近く、シェリー樽を使っているのではと推測されます。
口に含むと、意外にアルコールの刺激や辛みは少なく、レーズン、カラメル、ナシの香りがやってきます。一方でスモーキーさはかなり抑えられています。
味わいも辛さは少なく、かなりスムーズでボディも軽めです。

加水をすると、ナッツのような香ばしさが目立つようになります。
味わいも甘さが目立つようになり、とても飲みやすくなります。 

サントリーや下手なメーカーの安価な銘柄に比べれば十分上品で、1000円スコッチにも匹敵する甘さ、飲みやすさを持っています。

750mL、アルコール度数40度で、価格は1900円ほど。本来は市販されない銘柄なので入手が難しいですが、サントリーやニッカにも負けない出来で不満はないでしょう。 

<個人的評価> 
・香り B: レーズン、カラメル、ナシ、ナッツ。少々少なめだが、ウイスキーとして豊かな香りを持っている。
・味わい B: ノンエイジながらアルコールの辛みは少ない。全体的に甘く飲みやすい。
・総評 B: 1000円スコッチに匹敵する本格的な仕上がり。


イチローズモルトのブランドで有名なベンチャーウイスキーから、今回はブレンデッドのイチローズモルト&グレーンを飲んでみます。

ichi_brendこれまで海外で賞を獲得した原酒は、東亜酒造がかつて所有していた羽生蒸溜所に残されたモルトウイスキーでしたが、今回のモルト&グレーンは、ベンチャーウイスキー設立後に建設された秩父蒸溜所のモルトとグレーンをキーとして使用しています。
秩父蒸溜所では2008年から本格稼働し、2011年には最初のシングルモルトウイスキーを発売しています。
 
ロックで飲んでみると、飲み口は比較的エステリーで、リンゴや西洋ナシを強くしたような香りが漂います。
羽生蒸溜所のモルトをベースにしたMWRに比べるとスモーキーさは控えめ、それでもサントリー、ニッカ、キリンとも違う独特の香りが引き立ちます。
味わいは比較的辛口で、46度のアルコールをダイレクト気味に感じます。

加水されると、香りにカラメル、麦チョコ、ウッディさが加わってさらに複雑になります。
味わいも辛みが薄れ、酸味と甘みが顔を出してきます。

価格は700mLで3800円と、ノンエイジのブレンデッドウイスキーとしてはかなり値が張りますが、スコッチウイスキーに対しても十分な個性を持っており、決して損はさせないでしょう。
また、癖もそれほど強くはないので、ウイスキー初心者にも安心して勧められます。

今後秩父モルトの10年以上熟成された原酒が出されれば、もっとおもしろいことになりそうです。

<個人的評価>
・香り B: エステリーが強め。リンゴ、西洋ナシ、カラメル、麦チョコ。
・味わい C: ストレートではかなり辛い。加水されることで酸味、甘みが目立つ。
・総評 B: シングルモルトに負けないほどの個性があり、比較的万人に受けるかも。バーボンが好きな人でも好まれる香りになっている。


2年近くこのブログをやっていますが、基本的にウイスキーを飲むときはロックでいただきます。
glass01時々ストレートでも飲みますが、基本的に使っているのは100円ショップで売っていたロック用のグラスを使っていました。

ただ、これだと飲む前の香りをしっかりかぎ分けることが難しいし、そろそろザ・ニッカバーで使っていたようないいグラスがほしくなってきました。

ということで、札幌の三越にいってみました。その前に丸井今井(東京などにある丸井とは別のお店)にも行ったものの、ワイン用のグラスがほとんどでウイスキー用はタンブラーかロックグラスだけというレベル。

日を改めて三越に行ってみたところ、丸井今井よりもグラスの種類が少ない!
が、なんと見たことのある形のグラスを見つけました。

glass02それがオーストリアにあるリーデル社のヴィノムというブランドから出されているスピリッツ用グラスです。
一般的なワイングラスよりも小さく、途中から細くなっている形状が特徴です。
ザ・ニッカバーで見たグラスがこんな感じでした。

お値段を見ると、なんと1個だけで¥3500 !今まで買ってきたグラスの値段の中でも特段に高い!
が、勝負用として申し分ない形状、もっと価格が安くてこんなグラスは見られないだろうと決心の末、購入。

実際にウイスキーをそのまま注いでみると、少しグラスを回すだけで香りがしっかりと伝わってくるではないですか!
買って良かった!

ということで、今後このグラスも活躍するかと思います。


すでに当ブログでもいくつものラインナップを紹介したボウモアですが、今回は数量限定販売のテンペストを紹介します。

boTempテンペストとは、英語で「暴風雨」という意味で、それによって起こる荒波を受ける海沿いに面する熟成庫から樽を厳選した、という意味合いを持たせているようです。 

テンペストは、バーボン樽のうちファーストフィル(バーボンを熟成させた後でリチャーした樽)のみを使い、少量生産(スモールバッチ)される特別な銘柄です。

2009年に最初のリリースIから始まり、今年発売されたのはリリースVと呼ばれるバッチの原酒となります。 

すでにスモールバッチというボウモアのラインナップがありますが、こちらはセカンドフィルと呼ばれる、ファーストフィルの樽で原酒を熟成させた後でさらに再利用した樽を使い、熟成年数も短くされています 。

一方でテンペストは、冷却濾過をしない ノンチルフィルタードで、なおかつ加水をしないカスクストレングスになっているのが特徴です。
アルコール度数も55.9度とかなり高いものになっています。 

いつものようにロックで飲んでみると、飲み口はとても辛く、しょっぱさとアイラモルトならではの磯の香りがするスモーキーさがやってきます。
奥からはバーボン樽を使っただけあって、バニラの甘い香りが追いかけていきます。
テンペストの名は伊達ではなく、荒々しい大波を思い起こさせるほどの塩辛さを堪能できます。この辺りはタリスカーやスプリングバンクにも通じるところがあります。

しかしスモーキーさは、12年もののボウモアよりも薄く、 加水されるとしょっぱさを持ちつつも、青リンゴやナシのようなさわやかさが顔を出すようになります。
バーボン樽を使っているだけに、キレのある香りと味わいになります。 
意外にハイボールにしても、しょっぱさが目立たず、むしろうまみを引き立たせる方向に向くので、結構おいしく飲めます。スモーキーな香りもほどほどになるので、さわやかさの障壁にはならないでしょう。

テンペストは、癖のあるアイラモルトの銘柄ながら、いろいろな飲み方にも対応できて、様々な層にも合う印象があります。

価格は700mLで6500円ほどと、値段が高くて数も限られていますが、「マッサン」で本格的でスモーキーなウイスキーに興味を持った人にも好感できると思います。

<個人的評価> 
・香り B: まず塩辛い、その後バニラ、青リンゴ、ナシの香りが追いかけてくる。
・味わい B: ストレート、ロックではしょっぱい。割っていくことでさわやかに飲める。
・総評 A: アイラモルトらしさに塩辛さが加わるが、加水することで性格が変わり、初心者をも暖かく抱きしめてくれる印象。


ボウモア 10年 テンペスト

ボウモア 10年 テンペスト
価格:5,824円(税込、送料別)

このページのトップヘ