RERAのウイスキーブログ

ロスジェネ世代のおっさんが、世界各地のウイスキーを飲み、独断で評価していきます。 Whisky reviews and informations

2016年01月

kunpu行きつけのお店で、今まで見たことのないジャパニーズウイスキーを見つけたので買ってみました。
それは「薫風」という銘柄でした。

調べてみると、薫風は、東海地区にチェーン展開する酒屋「酒ゃビック」を運営する藤桂京伊と、キリンディスティラリーが共同で企画したプライベートブランドで、レギュラーボトルはアルコール度数37度、価格が1,000円ほどで売られています。

その薫風の数量限定ボトルとして販売されたのが、今回紹介するバレルセレクション2015です。

バレルセレクションというだけに、使用されているモルト原酒は、薫風向けに熟成していた2つの樽だけを使用し、それにグレーンウイスキーをブレンドしています。

なぜプライベートブランドのウイスキーが、チェーン店のない札幌の店に流れたのかは不明です。

では今回もストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色はスタンダードな琥珀色、香りはレーズンの香りが比較的してきます。

口に含むと、飲み口はゴムのような香りが先に訪れ、次にレーズン、トースト、オレンジ、後からカカオ、ウッディさがやってきます。アルコールの刺激はほとんどなく、ピートも程よく香ってきます。

味わいは酸味とビターがそこそこで、甘さが潜り込んだ印象があります。

キリン独特のバーボンに似たエステリーさは殆ど感じられません。

次にロックにしてみます。
すると、ゴムのような香りはそのままに、ピートからのスモーキーさは強まります。レーズンなどのドライフルーツのような濃厚な香りは少々薄くなりますが、癖が強いだけの性格をマイルドにするようで、心地はそこそこ良くなります。
味わいは、若干酸味と甘味が増してきて、ストレートよりは癖を感じにくいと思われます。

エンブレムが終売となり、キリンの銘柄がどれも、バーボンのような似たり寄ったりの香り、味わいになっていた印象があった中で、この薫風バレルセレクション2015はそれらとは十分異質な原酒、ブレンドを行っていることを感じ取れました。

地ウイスキーメーカーと比べてもウイスキーに消極的な印象があったキリンだけに、こうした別の個性を出せることには驚きがありました。

3月には富士山麓もリニューアルされる予定ですので、こうした新しい個性が、新しい富士山麓にもフィードバックされていることを願っています。

500mL、アルコール度数は40度で、価格は2,200円。
東海地区で「酒ゃビック」が近所にある方は、ぜひとも一度飲んで見る価値はあります。数量限定のため、手に入らない恐れもありますので気をつけましょう。

<個人的評価> 
・香り B: 飲み口はゴムのような香りがあるが、その後レーズン、トースト、オレンジ、カカオ、ウッディ。
・味わい C: 甘さは控えめ。ストレートではビター、加水されると酸味がメイン。
・総評 B: キリンの他の銘柄と異なる個性。癖は強めだが飲む価値は十分あり。


bt_masters1ブレンデッドスコッチの定番であるバランタインから、今回はマスターズを飲んでみます。

バランタイン・マスターズは、2014年6月に発売された比較的新しいラインナップで、バランタインの三代目マスターブレンダーであるジャック・ガウディが、プライベートで飲むためにブレンドしたボトルを再現したものとなっています。

先に値段を書くと、定価で5,000円で、正規品で9,000円ほどする17年と、2,000円台の12年の中間の価格帯となります。

バランタインは、これまでファイネスト、12年、17年、21年、ブレンデッドモルト12年、限定品のクリスマスリザーブと飲んできましたが、12年までの安価な価格帯と、17年以降の高価なものとでは香りや味わいの傾向に大きな違いがあるため、興味深いところではあります。

bt_masters2まずはストレートで飲んでみます。

グラスに注ぐと、液色は少々くすんだ琥珀色で、香りはバニラやナシのような香りが漂います。

口に含むと、 アルコールの刺激は強いものの、後からはスモーキーさを伴いつつも梨の香りが広がり、しばらくしてからモルト、ほんのりカカオの香りがする感じです。

味わいはアルコールの辛さががあるものの、酸味が追いかけてくる感じです。後味はカカオのようなビターが広がります。

bt_masters3次にロックにしてみます。

ロックにすることで、アルコールの刺激は薄くなり、香りはスモーキーさが増し、ナシの香りも強めになります。
また、奥からはエステリーさもチラチラと感じ取れるようになってきます。

味わいは酸味と苦味が交じり合い、柑橘系のような雰囲気を醸します。

全体的に見ると、フルーツさが強めに出る17年や21年に似た傾向があるものの、若い原酒を使っているのか、かなりアルコールの刺激が強く伝わります。

一方で12年と比べると、癖が比較的強く感じられるため、あまり慣れ親しんでいない初心者に勧めるボトルとは言えないでしょう。

バランタインが好きで歴史的興味を持って買うのにはいいかもしれませんが、それ以外には特段買うだけのメリットはないように思えます。

<個人的評価>
・香り B: アルコールの刺激が強い。その後ナシ、バニラ、あとからカカオ、モルト。
・味わい C: ストレートでは辛すぎて飲みにくい。加水することで酸味とビターが入り交じる。
・総評 C: 5,000円を出すには微妙な価値。 12年か並行輸入品の17年をオススメする。


バランタイン マスターズ 700ml

バランタイン マスターズ 700ml
価格:4,471円(税込、送料別)

jameson_1今回は、今まで取り上げてこなかったアイリッシュウイスキーです。

アイリッシュウイスキーとは、その名の通り、アイルランドやイギリスに属する北アイルランドで作られたウイスキーを指します。
蒸溜の技術は地中海で修行をした僧侶がアラブ地域からもたらされた技術を伝えたとされ、それがスコットランドに伝えられたという説や、逆にスコットランドから伝わった説など、まだ発祥の歴史は解明されていません。

アイリッシュウイスキーの特徴は、大麦麦芽の他にえん麦(オーツ麦)、小麦、トウモロコシを使用しているところにあります。
さらに蒸溜の際にはポットスチルを使用しますが、スコッチなどのモルトウイスキーのような2回ではなく、3回行います。これによって癖が抑えられた原酒が出来上がります。
19世紀にはスコッチに負けないほどの人気を持っていましたが、その後のアメリカでの禁酒法、イギリスでの輸出禁止等によって衰退し、合併を繰り返した末に、現在は4つの蒸溜所が創業しています。

ジェムソンは1780年にジョン・ジェムソンの手によって誕生したウイスキーで、オリジナルは首都ダブリンにある蒸溜所で作られていました。
その後、1960年にたの蒸溜所との合併によって、現行のジェムソンはミドルトンにある蒸溜所で作られています。

jameson_2まずはストレートから。

グラスに注ぐと、液色は比較的明るめの黄色。香りは青リンゴや柑橘系に似たさわやかな香りがします。

口に含むと、アルコールの刺激は比較的少なく、ライムのような香りと多少のエステリーさを持った香りが広がります。

味わいは酸味が少々、柑橘系の苦さが主体を帯びます。

全体的にはかなり個性が薄く、ストレートでも癖なく飲めます。 

jameson_3次にロックで飲んでみます。

香りこそストレートと同じ爽やかさが伝わりますが、 味わいはストレートに比べると沈んだ感じがします。
その一方で残り香にハチミツやメープルのような甘い香りが感じ取れるようになります。

当り障りのないスムーズな印象になったようで、こちらでも初心者に優しい飲みやすさを感じられるでしょう。

加水されると甘さも感じ取れるようになり、 水割りでもおいしく飲める感じです。

アイリッシュウイスキーといえば、代表的なカクテルとしてアイリッシュコーヒーが有名です。

ホットコーヒーに角砂糖とアイリッシュウイスキーを加え、上に生クリームを乗せると完成です。

これから寒い時期に温まる飲み物としてはうってつけでしょう。

ジェムソンは、700mL、アルコール度数40度、価格は1,800円ほどです。
少々お高いですが、柑橘系の香りを伴いながらも飲みやすいジェムソンは初心者向けと言えるでしょう。

<個人的評価> 
・香り C: 柑橘系、青リンゴが主体でエステリーさもあり。加水すると後からハチミツ。
・味わい B: ストレートでは苦さと酸味がメインになるが、ロック、加水することで甘さも引き出される。
・総評 C: 初心者向け。癖が少なくてストレートでも飲みやすい。 


hibikiJHサントリーは、4月よりウイスキーの一部銘柄の値上げをすることを発表しました。

サントリーのプレスリリースによると、対象商品は下記のとおりです。
  • 角瓶(全銘柄)
  • オールド
  • スペシャルリザーブ
  • ローヤル
  • 響 JAPANESE HARMONY
  • ジムビーム(全銘柄) - ただし7月より値上げ
  • メーカーズマーク
  • ザ・マッカラン(全銘柄)
  • バランタイン(全銘柄)
値上げ率を見ると、響 JAPANESE HARMONYが25%値上げで定価5,000円、それ以外のサントリーの銘柄は平均12%の値上げになります。
海外ブランドでも1,2割の値上げが予定されています。

やはり一番大きいのは角瓶で、居酒屋でもハイボールを中心に飲み放題として提供されている所も多いですが、4月からは利益確保のためにトリスへ切り替えるお店が増えるおそれがあるでしょう。

値上げをする理由としては、ウイスキーの需要が増えて原酒が不足していることと、今後の需要増のための設備投資費用を添加させることに加え、現在も輸入に頼っている大麦麦芽(モルティング済みのもの)や樽に使用するアメリカンオークやヨーロピアンオークと言った原材料の高騰(円安による輸入価格の値上げを含めて)を挙げています。

個人的な考えですが、今後さらに円安が進めば輸入価格が更に上がってくることを考えると、長期的な戦略として国内でのウイスキー用大麦の品種開発や、国内でのフロアモルティングも行うことによって、為替相場によるリスクを緩和させる必要があるのでは、と思います。
スコットランドのモルトスターに切り替えてきたのも、元々はポンド安による恩恵を受けていたからというのもあるでしょうから、これが逆のトレンドになるのであれば、輸入に依存する体制を見直すべきではないでしょうか。 

sb10_1今回はスペイサイドモルトの中からスペイバーン10年を飲みます。

スペイバーンは、ゲール語で「スペイ川」の名のとおり、スペイ川の中流にある蒸留所で、近くにはグレンロセス、グレングラントがあります。 

日本での知名度は今一ですが、アメリカでは知名度が上がり、親会社であるタイビバレッジの意向もあって、東南アジアなどの新興国でも広く売る方針があるそうです。

sb10_2では、いつものようにストレートから飲んでみます。
液色は比較的明るめな黄金色。香りはピートが利くものの、レーズンの香りがメインになっています。

飲み口は、レーズンの香りが強烈に広がり、後からアルコール由来の刺激が来ます。深く探ることでやっとトースト、ナシ、柑橘系の香りが顔を出します。
味わいは全体的に穏やかであるものの、柔らかい酸味が支配してきます。

sb10_3ロックにしてみると、ストレートでは奥に眠っていた柑橘系の香りが表に現れ、味わいも酸味が伴った複雑なものに変化します。
ザ・マッカラン シェリーオークほどの強烈なレーズン感はありませんが、華やかさと甘さが主体のヴァッティングにしているようです。

700mL、アルコール度数40度で、価格は3000円ほど。シングルモルトとしては比較的安価で、癖が少ないことを考えても、シングルモルト初心者にもお勧めできます。 

<個人的評価>
・香り B : レーズンがメイン。後から柑橘系、トースト、ナシ。
・味わい B : ストレート、加水されると甘さがメイン。ロックの飲みはじめでは酸味、苦みが感じやすい。
・総評 B: シングルモルトを始めて飲む人には優しい香りと味。


ops1日本では岩倉具視の使節団によって知られたほど古い認知度のあるオールドパーですが、2015年に新たなラインナップとしてシルバーが加わりました。
元々は2014年に九州限定で発売されたものが全国展開されたものです。

由来となっているのは、かつてスコットランドを襲った大寒波の影響で、マリッジ段階にあったオールドパーの樽が氷点下に冷やされたところ、レギュラーよりもまろやかでスムーズな原酒に仕上がったことにあるそうです。

そのため、レギュラーである12年物よりも若い原酒を使いつつも、-6℃でチルフィルタリングを行って仕上げています。 

シングルモルトなどでは、香りを残す目的でノンチルフィルターで出すボトルもありますが、このシルバーではすっきりした印象にするためにチルフィルターとしているようですね。

ops2ではいつものようにストレートから飲んでみます。
ウイスキーの液色は比較的恋琥珀色で、グラスからの香りはレーズンやドライフルーツの香りがします。

口に含むと、アルコールの刺激は意外に少なく、レーズン、わずかなゴムの香りが先に来ます。あとからカラメル、ハチミツ、モルトの香りが追ってきます。
味わいは全体的に甘く、特段の癖がなくてスムーズです。

コンセプトは12年物を継承していますが、ストレートでも飲みやすさがあります。

ops3次にロックにしています。
ストレートに比べると青リンゴやナシのようなさわやかなフルーツの香りが強くなった印象になります。
味わいも酸味や苦みが現れ、ストレートほどの甘さは伝わらなくなります。しかし加水が進むと角が取れて、ストレート同様の甘さが引き立つようになります。

メーカーでは、冷凍庫でキンキンに冷やしてから濃い目のハイボールで飲むことをお勧めしています。
札幌では1月になると0℃を超えない真冬日になりますので、外にさらしていれば自然と冷凍状態になりますから、おいおい試してみようと思います。

750mL、アルコール度数は40度で、価格は2500円ほど。12年物に比べるとスモーキーさは少ないので、12年物の印象で飲むと面食らうかもしれません。
むしろ初心者向けのボトルかもしれません。

<個人的評価>
・香り A : レーズン、カラメル、はちみつと甘くて芳醇な香りが目立つ。スモーキーさはほとんどない。
・味わい B : ストレート、加水されれば甘く、ロックの飲み始めでは酸味とビターがメイン。
・総評 B : オールドーパー好きであるほど、このボトルの香りと味わいには裏切られると思われる。むしろ知識の少ない初心者が好む印象。


オールドパー シルバー 750ml

オールドパー シルバー 750ml
価格:2,623円(税込、送料別)

今年もウイスキーブログをよろしくお願いします。

おそらくウイスキーのレビューは昨年までに比べると少なくなると思われますが、代わりにウイスキーにまつわる話題を取り上げるようにしていきます。

2016年もあなたのウイスキーライフが楽しく健やかなものでありますように。Slainte mhor!(スランジバー!) 

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