kilch今回はアイラモルトの新星、キルホーマンです。

キルホーマンはアイラ島の西に在り、2005年に設立したばかりの蒸留所です。
最初のボトルがリリースされたのが2009年ですから、まだまだひよっこといえます。

蒸留所は小さく、ファームディスティラリーと言われる農場と持った蒸留所になっています。
使用するモルトの一部は、自前の畑で獲れた大麦を使用しています。
また、スコットランドでも少なくなった自前でのフロアモルティングも行っています。

ポットスチルは2つだけで、2段階の蒸留工程で使う釜が1つずつあるだけで、サイズも小ぶりです。
そのため、年間生産量も9万Lしかない、貴重な原酒となっています。

今回紹介するマキヤーベイは、熟成年数が3~5年と短く、まだ設立から10年経過していない現状でいえば精いっぱいのボトルといえるかもしれません。

kilch02まずはストレートから。
グラスに注ぐと、シャンパンゴールドに似た淡い色。若い原酒を使っているだけに、樽熟成した焼酎と間違うくらいの薄さです。
香りはアイラモルトならではの正露丸のような独特のピートを感じます。

口に含むと、アルコールの刺激とともに強いピートの香りが口に広がります。奥からはレモンのようなさわやかさも感じられます。
味わいはアルコールの辛さと強い酸味があり、若さあふれるインパクトを残します。

kilch03次にロックで。
飲み口はアルコールの刺激が抑えられたことで、柑橘系のさわやかさが前に出た印象があります。
味わいもレモンのような酸味とビターを兼ね備えていて、強いピート臭を持つアードベッグやラフロイグとは異なるベクトルを持っています。
加水されても、強烈なピートは健在で、この癖が好きな人にとっては飽きることがないでしょう。

最後にハイボールにしてみると、ピートの香りもライトになり、比較的飲みやすいものになります。さらにレモンなどを加えることによってさわやかさがさらに増すでしょう。

5年未満の原酒を使っているため、熟成感が少ないのは仕方ないですが、それでもピートのインパクトは強く、未熟というよりも青春時代の若さあふれたボトルに仕上がっているように思えます。

700mL、アルコール度数46度で、価格は5400円ほど。若いシングルモルトと考えるとかなり割高になりますが、アイラモルトとして恥ずかしくなく、生産量も限られていることを考えると、決して高い買い物にはならないでしょう。
将来的に10年熟成のボトルが出れば2万円でも手が出せないでしょう。 

<個人的評価> 
・香り B: 若さがあるがアイラモルトならではのピートはしっかり。あとからレモンのさわやかさが追いかける。
・味わい B: アルコールの刺激が強いものの、さわやかな酸味があって、比較的さっぱりしている。 
・総評 B: 将来が楽しみになるほどのポテンシャルを秘めたボトル。