今回は、ニッカウヰスキーのシングルグレーンから、カフェモルトを改めて飲んでみます。

大麦麦芽を使ったグレーンウイスキー

ニッカ カフェモルトは、モルトと書いているからモルトウイスキーと思われる人も居るでしょうが、これはシングルグレーンウイスキーにあたります。

その大きな理由は、蒸溜の際に単式蒸留器であるポットスチルを使わず、連続式蒸留器を使うところにあります。

ニッカではグレーンウイスキーを蒸溜する連続式蒸留器として、カフェスチルを採用しています。

これは、イーニアス・カフェが1830年に発明した、比較的初期の連続式蒸留器です。
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現在主流の蒸留器に比べると蒸溜効率が悪い難点がありますが、反面蒸溜した原酒には原料となる穀物の香りが残るという特徴を持っています。

ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝は、グレーンウイスキーを作る上で個性を出せるカフェスチルを使いたいと考えました。

しかし、資金繰りが困難になっていた中で、当時提携関係だったアサヒビールが立て替えて購入、当初はアサヒビールグループでグレーン原酒を製造、それをニッカが買い取る方法を採っていました。

その後はニッカがカフェスチルを購入、現在は宮城峡蒸溜所に設置、グレーンウイスキーの製造を行っています。

ニッカではこのカフェスチルで作ったグレーンウイスキーを「カフェグレーン」と称しています。

カフェモルトの苦労話

allMaltさて、大麦麦芽のもろみを使ったグレーンウイスキーであるカフェモルトは、1990年に発売されたオールモルトで初めて採用されました。

しかし、カフェモルトの製造は容易ではありませんでした。

トウモロコシなどを原料とするもろみと違い、モルトでは蒸溜時に残る蒸溜カスが目詰まりを起こしてメンテナンスに時間を費やしやすく、それらを家畜の飼料として再利用しにくい問題点がありました。

もっとも、本来ならポットスチルにかけるモルトのもろみを連続式蒸留器にかけるという贅沢な製法は他に例がなく、ニッカは試行錯誤を繰り返したのです。

しかしその末、モルトウイスキーとカフェモルトウイスキーをブレンドした、今迄にない新しいウイスキーが生まれたのです。

2019年現在、オールモルトは販売終了しましたが、ブレンドベースとして、宮城県限定のボトル「伊達」に使われています。

シングルグレーンとして発売

coffey_malt2_このカフェモルトが、シングルグレーンのボトルとして発売されたのが2013年の欧州。

前年に欧州で発売されたカフェグレーンのボトルとともに、世界でも珍しいカフェスチルを使ったシングルグレーンを味わって欲しいと発売されました。

日本では2014年に発売されたこのボトルは海外でも高い評価を得ました。

2014年には、イギリスの「ザ・スピリッツ・ビジネス」誌で、2014年で最も革新的な蒸留酒として表彰され、2017年には、「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」で、グレーンウイスキー部門で最高位に与えられる「トロフィー」を獲得しました。

しかし、あまりにも売れすぎてしまったため、2018年秋より製造を縮小することを発表、状況によっては販売休止するとのことです。

実際、入手は困難になりつつあり、店頭でもプレミアが付きつつあります。

強い甘みを持つウイスキー

では、ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は少々薄めの琥珀色、香りはナシ、カフェ・オ・レ、バニラが得られます。

口に含むと、先にバナナの甘い香りが一気に広がります。後からはハチミツ、バニラの香りが加わり、とても甘い印象を受けます。
味わいは、アルコールからの辛みは少なく、先に酸味が来るものの、後から甘さが全体を包みます。

ロックでは、グラスから香ったナシが揮発し、後からバニラ、ハチミツ、コーヒーが続いてきます。
味わいは、ほろ苦さが先んじるものの、後から甘みが広がっていきます。

ハイボールにすると、栗、柿、カスタードクリームが香ってきます。
味わいは、ほろ苦さが強まり、甘い印象が薄れます。

モルトウイスキーとブレンドして飲む楽しみ

最後に、モルトウイスキーとカフェモルトを割って飲むとどうなるかも試しました。

まず、スコットランドの島嶼系モルトをブレンドした「ザ・シックス・アイルズ」では、モルトの持つ正露丸を思わせる香りを伴った強いスモーキーさが、カフェモルトの甘さによってマイルドになり、バナナなどの香りによって広がりを持つようになりました。
グラスからの香りも、ニッカらしい甘みを帯びた香りに変わるのも興味深いです。

次に手元にあったオールドボトルの「竹鶴12年ピュアモルト」と割ると、余市モルトの燻製を思わせるスモーキーさがより際立ったようになり、後からレーズンも加わった甘い香りがこれでもかとばかりに広がります。

カフェモルト単体として、ストレート、ロックで十分甘みとほろ苦さを備えたウイスキーとして楽しめますが、シングルモルトやブレンデッドモルトと組み合わせ、オリジナルブレンドとして楽しむ面白さもあります。

人によっては、グレーンウイスキーはモルトの個性を抑えて均一化した品質を維持するために個性が無いと思う人も居るでしょう。
しかし、カフェモルトを飲んでみると、その考えが大きな誤りだったと自覚するでしょう。

700mL、アルコール度数45度、価格は希望小売価格が6000円、実売は8000円ほど。
値段は安いとはとても言えませんが、ニッカの苦労の結晶をまだ飲んでいない方は一考すべきボトルです。

<個人的評価>

  • 香り A: バナナが強く出る。後からハチミツとバニラ、そしてコーヒー。加水でナシ、柿、栗。
  • 味わい A: 酸味が先行するが、すぐさま甘みが支配する。加水でほろ苦さが目立つ。
  • 総評 AA: そのままでも個性あるグレーンを楽しめる。モルトと合わせてマイブレンドもよし。


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