平成から令和へと元号が変わった2019年、年末になったので、この1年を振り返ってみます。

ワールドウイスキーの登場

日本のメーカーにおいては大手も原酒不足の解消にはまだまだ時間がかかる反面、中国などでの需要が伸びたことによって、さらに深刻な状況に立たされているようです。

2019年においても、元々4000円以下だった山崎と白州のノンエイジは7000~9000円の値がつきつつも品不足状態です。

ao_そんな中で注目を集めたのは、サントリーが5つの産地の原酒をブレンドして作った「ワールドウイスキー 碧<Ao>(あお)」です。

サントリーがビーム社を買収したことで、グループ内でジャパニーズ、スコッチ、アメリカン、カナディアン、アイリッシュの5つの原酒を手に入れられる環境ができたことで生まれたともいえます。

しかしその裏には、深刻な山崎と白州モルトの不足を、他の地域の原酒で補おうという実験的側面も予測できるものでした。

当初、碧は1万円を超えるプレミアムな値段がつけられましたが、徐々にその香り、味がわかると、一気にメーカー希望小売価格レベルにまで下がりました。



すでに一部のメーカーでは、スコッチのバルクウイスキーを買い取って自社で樽詰め、熟成して販売する、あるいはまだ3年に満たない自社の原酒とブレンドして販売する試みも行われていますが、サントリーが幅広い原酒を使って新しいウイスキーを生み出すことについては、もっと様子を見た方がいいでしょう。

気になったボトル

2019年で気になったボトルをいくつか。

角鷹(南アルプスワインアンドビバレッジ)

kumataka_自社ブランドだけでなく、イオンやセブン・アンド・アイにプライベートブランドのウイスキーを供給しているメーカーですが、価格の割にはうまいかな、というレベルのものが大半でした。

そこで飲んだ「角鷹(くまたか)」はちょっとした驚きでした。

同社には蒸溜所の情報がないため、使用している原酒はスコットランドのバルクウイスキーと思われますが、それでもシェリー樽原酒由来の強いレーズンの香りが印象的で、大手メーカーの1000円台のウイスキーと比べても群を抜いた印象でした。

晩酌用として考えてもお買い得感は高いと感じました。

一方で1000円以下の価格帯にある蜂角鷹(はちくま)や、セブン・アンド・アイ向けのハリスホーク、ローソン向けの琥珀郷はいまいちでした。


ザ・ニッカ(ニッカウヰスキー)

the_nikka_ニッカのラインナップで、唯一年数表記のついたブレンデッドとして残されていた「ザ・ニッカ12年」が販売終了し、ノンエイジに変わりました。

これで年数表記のボトルは竹鶴の17年と21年だけになってしまいました。

事実上のモデルチェンジとなった新しいザ・ニッカですが、香りや味わいは12年とは別の方向にシフトしていて、単純に品質が劣化したと思わせない工夫を行ったように思えます。

この試みは、余市や宮城峡が10年ものに変わってノンエイジをラインナップした際にも行われましたが、白ブドウのフレッシュな香りをメインに持って行ったブレンドはうまくいっているように思えます。

また、若さ(アルコール感)をあまり感じさせないまろやかな仕上がりにもなっています。

ニッカのブレンデッドにおいては、蒸溜所限定の「鶴」がありますが、一般に購入できるものとしてはザ・ニッカがフラグシップになります。
そのフラグシップとしての出来においては、新しいザ・ニッカは遜色ないように思えます。


2020年はクラフトウイスキーの時代か?

さて、2020年は日本のウイスキーにとっても大きな転換点になるかもしれません。

2016年にかけて建設された、全国各地の蒸溜所で3年熟成のウイスキーが次々リリースされる可能性があるからです。
  • 堅展実業 厚岸蒸溜所(北海道)
  • ガイアフロー 静岡蒸溜所(静岡県)
  • 長濱ロマンビール 長濱蒸溜所(滋賀県)
  • 本坊酒造 マルス津貫蒸溜所(鹿児島県)
日本の法律では、熟成を行わない場合でも条件を満たせばウイスキーとして売れますが、上記の4蒸溜所ではスコットランドのルールに従って3年未満の原酒をウイスキーとしてリリースしていません。

3年を経過した原酒をどのように仕上げてくるのか、来年はウイスキーファンには楽しみな年になるでしょう。