RERAのウイスキーブログ

40過ぎのおっさんが、ジャパニーズ、スコッチを中心にウイスキーを飲み、独断で評価していきます。

カテゴリ:ウイスキー > ジャパニーズ

mumei_今回は、ジャパニーズウイスキーから、福徳長酒類が発売しているウイスキー無銘を飲んでみます。

福徳長酒類は合同酒精などのオエノングループに所属し、千葉県松戸市に本社がありますが、福岡県久留米市に工場を持っています。
主な製品として、日本酒として福徳長、麦焼酎として博多の華を発売しています。

その福徳長酒類が2016年9月に発売したのが、水割りにしたウイスキーをカップに入れた「ウイスキー水割りCUP 無銘」です。
アルコール度数12度と濃いめに仕上げた水割りカップは、スーパーやコンビニに置かれていました。

そして2017年3月に、本格的なボトルとして、ウイスキー無銘を発売しました。
パッケージの添え書きによれば、自社蒸溜の原酒を樫樽で貯蔵したものに、スコットランド産の原酒をブレンドしたと書かれています。
しかし、原材料にはグレーンウイスキーは記載されず、スピリッツを代わりに加えています。

まさかとは思いますが、実はそのスピリッツこそ、自社で蒸溜した原酒だとなると、ちょっと笑えません。

まずはストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は淡い琥珀色、香りはラム酒っぽい甘い感じです。

口に含むと、日本酒や熟成させた麦焼酎のようなフルーティさがあり、奥からバニラ、ウエハースが追いかけます。
味わいは総じて甘く、アルコール由来の辛さは控えめです。

ロックにすると、日本酒のような香りが更に開き、バナナの甘い香りも広がってきます。
味わいは、若干のビターを感じるものの、甘さが口の中に広がります。

最後にハイボールにすると、香りはゴムがほんのり現れ、あとはドライフルーツっぽさがかすかに訪れます。
味わいは若干甘めで、サイダーっぽさがあります。

全体的にも、アルコールの刺激はストレートでも少なく、甘くて飲みやすいお酒であることは間違いないです。
しかし、ウイスキーならではのスモーキーさや樽の香りは薄く、どうしても熟成焼酎っぽさが目立ちます。

推測ですが、焼酎を熟成させても、国の規制によってウイスキーに似た色まで長期熟成させて売ることが出来ないため、長期熟成の焼酎に法定上ギリギリ最低の割合でスコッチモルトを加え、ウイスキーとして出したのではないかと思います。

そう考えると、いいちこの長期熟成貯蔵酒や宝焼酎レジェンドのような香り、味わいが目立つのも納得がいきます。
上記の添え書きも、自社で蒸溜した原酒をウイスキー、モルトと明言していないのも合点がいきます。

しかしながら、ストレートでも甘くて飲みやすい点では、お酒が苦手な若い人にも勧められるでしょう。あくまでも、長期熟成焼酎+αという観点で...。

500mL、アルコール度数40度、お値段は1500円ほど。

<個人的評価>

  • 香り D: 日本酒や麦焼酎のようなフルーティな香り。奥からバニラ、バナナ、ウエハース。
  • 味わい B: ストレートでも辛さが抑えられて全体的に甘くてマイルド。
  • 総評 C: 万人受けするお酒。しかしウイスキーとしては...?

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

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サントリーとニッカが、それぞれ数量限定のシングルモルトを発表しました。

サントリーは、山崎ミズナラ2017EDITIONを10月に発売すると発表しました
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大東亜戦争によって、ウイスキーの熟成に使うホワイトオークの樽が不足したことで、サントリーは国産のミズナラを使って樽を作り、原酒を貯蔵していました。
しかし、材質の悪さから液漏れが目立ち、樽からしみ出す香りも強く、あまり好まれていませんでした。

しかしながら、熟成とリチャーを繰り返すことで香木のような独特の香りを得るようになったことで、海外を中心に高い評価を得るようになりました。

そんなミズナラの樽に最低18年熟成された原酒を主体として、さらに香り付けとして50年以上経過したミズナラ樽原酒を加えるという贅沢なボトルになっています。

国内で1500本限定、うち200本を専用サイトでの抽選販売を行う予定です。
気になるお値段は、なんと10万円!私でも手が出ません...。

0914la_01一方でニッカは、国内向けと海外向けでそれぞれ異なる樽で熟成されたシングルモルトを出すこととなりました。
国内向けとしては、シングルモルト余市、宮城峡のモスカテルウッドフィニッシュを、海外向けにはラムウッドフィニッシュを出します

モスカテルとは、ポルトガルの酒精強化ワインの一種で、「モスカテル・デ・セトゥーバル」(マスカット・オブ・アレキサンドリア)というブドウの品種を使っています。
酒精強化ワインの樽を使うのは、ウイスキーではよくあることで、一番有名なのはスペインで作られるシェリー酒の樽、他にもポートワインの樽を使うこともあります。

モスカテルウッドフィニッシュとは、その名の通り、熟成の最後にモスカテル樽に原酒を入れて仕上げているというものになります。

それぞれ3500本限定販売で、価格は15,000円となります。
ノンエイジと18年を比較してはいけませんが、ニッカの方が良心的に思えます。

gloria_今回は、ジャパニーズの古酒、三楽オーシャンのグロリアオーシャン シップボトルを飲んでみます。

オーシャンウイスキーとは、オーシャン(大黒葡萄酒)が手がけていたウイスキーのブランドです。
1961年に、日本酒などの製造をしていた三楽酒造(現:メルシャン)が買収し、同社のウイスキーブランドとなりました(社名は三楽オーシャン→三楽→メルシャンと変遷)。

今でこそ日本のウイスキーメーカーとしてサントリー、ニッカ、キリンが台頭していますが、1970年代まではニッカをしのぐほどのシェアを手にしていたといわれています。

製造は、モルトが軽井沢、グレーンが神奈川県の川崎に蒸溜所がありました。
特に軽井沢蒸溜所では、小規模ながらもマッカラン同様にゴールデンプロミス種の麦芽のみを使い、シェリー樽原酒で熟成するというこだわりを持った蒸溜所でした。

しかし1980年以降はウイスキーの販売が低迷し、2000年で軽井沢蒸溜所での製造が停止、2003年に川崎工場が閉鎖、2010年にキリンの子会社となった後、2012年に軽井沢の蒸溜所も閉鎖されました。

現在は、キリンの御殿場蒸溜所で作られる「オーシャン ラッキーゴールド」の名前だけが残されています。

残された原酒については、それぞれ高い評価を得ています。
軽井沢のモルトについては、現存の時代に長期熟成のシングルモルトのボトルを出していましたが、それらが海外のオークションで100万円を超える高値をつけています。

一方で川崎のグレーンは、イチローズモルトで有名なベンチャーウイスキーが原酒を確保しており、同社からシングルグレーンとしても販売されました。

残念ながら、日本のウイスキーが海外で本格的な評価を得る前に消えてしまいました。もう10年早かったら、オーシャンウイスキーの運命も大きく変わっていたでしょう。

今回飲むグロリアオーシャン シップボトルは、1970年代後半に発売されました。
「大洋」の意味を持つオーシャンにちなんで、船の形をしたボトルに入っています。後期においては、金色のボトルも発売されていました。
当時はCMも放送されていて、大人の女性が飲むイメージがメインとなっていました。
では、ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は少々淡いアンバー、香りはリンゴ、接着剤のようなものがします。

口に含むと、リンゴ、レーズン、ゴム、ライム、ナシと豊かに香ります。
味わいは辛さが多少するものの、その後は酸味とビターが舌を覆います。

ロックにすると、ライムやレーズンの香りが揮発します。その後にナッツ、ナシ、青リンゴ、カカオと香りが続きます。残り香からは燻製のようなスモーキーさも感じられます。
味わいは、酸味、ビターとともに、甘みも感じられるようになります。

最後にハイボールにすると、ほのかにレーズン、ウッディ、青リンゴが香ります。
味わいは甘さが前に出て、ほんのりと酸味も感じ取れます。

発売当時は、3200円の価格で売られていましたが、物価と酒税の違いを考えると、現在の価値では2000円台半ばくらいだと推測されます。

これを書いている当時は、1980年代のスーパーニッカや1970年代のサントリーローヤルを持っていますが、正直に言えば、同世代のスーパーニッカやサントリーローヤルとも太刀打ちできるほど豊かな香りと味わいがあります。
スモーキーさはほとんどなく、シェリー樽原酒ならではのブドウを感じとれながらもスペイサイドっぽさを持った雰囲気があります。

そう感じると、なおさらキリンが軽井沢を手放したのか、首をかしげたくなります。
バーボンっぽさのある御殿場と、シェリー樽原酒が目立つ軽井沢のモルトを組み合わせることで、ほかにはないブレンドを生み出せたのではないでしょうか。
最近は御殿場のモルトもバラエティ豊かになりつつあるので、ますます残念です。

760mL、アルコール度数は43度です。
オークションや通販でも手に入れられる場合があります。

<個人的評価>

  • 香り B: リンゴ、レーズン、ゴム、ライム、ナシと香り豊か。加水でライムが開く。
  • 味わい B: 酸味、ビターが主体。加水されると甘みも出てくる。
  • 総評 B: サントリーローヤルやスーパーニッカにも太刀打ちできる優れたボトル。


sapporo37_今回は、札幌酒精のサッポロウイスキー37°を飲んでみます。

札幌市西区にある札幌酒精は、甲類焼酎のサッポロソフトを中心とした、北海道で有数の酒造メーカーです。

その中でもウイスキーも製造しており、今回の37度のほか、40度、そして43度のSSの3種類があります。

しかしながら、いずれも自前で醸造、蒸留しているわけではなく(蒸溜所の場所も知られていない)、恐らくはスコットランドから原酒を輸入して工場で貯蔵、熟成しているものと思われます。
地元においても、ウイスキーを作っていることはあまり知られていません。

では早速ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は中庸な琥珀色、香りはアルコール由来のものが多数を占めています。

口に含むと、やはりアルコールの刺激が前に出ていて、その後にカラメル、青リンゴ、ナッツと続きます。
味わいは、アルコールからの辛さもありつつも、酸味が前に出た印象です。

次にロックにすると、アルコールの刺激臭は消え、青リンゴが先に鼻へ到達します。続いてナッツ、ライムが香ります。
味わいは、ビターが前に現れ、それを支えるように酸味が訪れます。飲みきった後味としては甘さがあります。

最後にハイボールにすると、ほのかにピート由来のスモーキーさが漂い、奥からモルティさも感じられます。ただ、1:2位のとても濃い割合にしないと、香りはほとんど感じられません。
味わいは、ビターが先に来ますが、後から甘さがフォローする印象です。

640mL、アルコール度数37度、価格は900円ほどです。
正直、この価格帯として考えれば、そんなに悪くない印象です。
この価格帯のメインはブラックニッカクリアとトリスクラシックですが、その次くらいのランクには入るでしょう。

同じ北海道発祥の合同酒精のウイスキー(香薫、トップバリュウイスキー)に比べれば断然上です。

SSにしても40度にしても、1000円オーバーで中途半端な感じが否めなかったですが、37度は及第点をあげられる印象です。
特にロックであれば、ウイスキー感もあってそこそこ楽しめます。

札幌のお土産として、札幌のウイスキーだぞ、と買うのであれば、この37度がちょうどいいでしょう。

<個人的評価>

  • 香り C: アルコールの刺激が強めだが、青リンゴ、ライム、カラメル、ナッツなど、比較的豊か。
  • 味わい C: ビターが主体で、その後に酸味。後味に甘さも感じられる。
  • 総評 C: 1000円以下のウイスキーとしては上出来。

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個人的に長期的な夏休みを得ることができたので、これを機にサントリーの山崎蒸溜所に行くことにしました。
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山崎蒸溜所は、日本初の本格的なウイスキー蒸溜所です。大阪府三島郡島本町に建てられており、すぐ先は京都府、目の前には木津川、宇治川、桂川の流れる場所にあります。

鳥井商店(現:サントリー)創業者の鳥井信治郎が、輸入したスピリッツのようなアルコールを樽に詰めて貯蔵し数年経過したところ、樽の成分がしみこんで香りと味が深まったお酒となっていました。
これを瓶詰めして「トリス」のブランドで販売したところ、飛ぶように売れたことから、鳥井はウイスキー作りを志すことになりました。

ウイスキー作りに当たって、当初はスコットランドから職人を招聘する予定でしたが、そこにスコットランドでウイスキー作りを学んで帰国したものの、その腕を発揮できずにいた竹鶴政孝(後のニッカウヰスキー創業者)と出会い、彼と総責任者としての契約を交わしました。

竹鶴は当初、スコットランドの気候に近い北海道に蒸溜所を建設すべきだと主張しましたが、当時は青函トンネルもなく、船便でしか原料や原酒を運べないため、輸送コストは時間の問題で鳥井は却下、当時の本社のあった大阪に近い場所という条件をつけました。

この難題に対し、竹鶴が見つけたのが、大阪と京都の府境にある山崎の地でした。
山崎の地は、元々名水の湧く場所として古くから知られ、千利休も茶室を作っていました。
また、付近には木津川、宇治川、桂川の3つの河川が流れ、下流で合流して淀川となる場所でもありました。
それにより、霧が立ちこめるほどの冷涼で多湿な気候をもたらしていました。

ウイスキーを作る上でも、近畿圏でスコットランドに最も近い気候を持つ山崎を、竹鶴は建設の場所として提案、鳥井も承諾しました。

こうして1923(大正12)年、日本初のウイスキー蒸溜所、山崎蒸溜所が建設されました。

今やこの蒸溜所で作られるモルト原酒は、シングルモルト山崎として日本だけでなく海外でも高い評価を得ています。

さて、私が山崎蒸溜所に行く計画を立てたのは7月下旬、お盆明けも休めることが決まってから。
しかし、その時点で蒸溜所内部の有料見学はすべて埋まっており、見学できるのは無料のウイスキー館見学だけ...。
スケジュールを見ると、9月の平日でもすでに埋まっているところを見ると、人気の工場見学なのでしょうね。今度は長期的に計画を立てないと...。続きを読む

kaku_1960_04今でこそ世界的にも確固たる地位を築いたジャパニーズウイスキーですが、その歴史において、戦争は避けて通れない事実もあります。

戦前のサントリーもニッカも、本格的なウイスキーが当時の国民に受け入れられたとはいえない状況がありました。

両社が進出する前の、アルコールに着色しただけの焼酎にも匹敵するアルコールを、当時の国民はウイスキーと認識していました。

その中で、本格的に製造したウイスキーのスモーキーさに、違和感を感じたのは否めませんでした。

そんな状況でしたから、サントリーもニッカも苦境に立たされていました。
サントリーは国内での試作ブレンドのモニタリングの末、現在の角瓶に当たるサントリーウイスキー12年をリリース、ニッカもようやく第一号ウイスキーを出したときでした。

しかし第二次世界大戦、大東亜戦争が勃発すると、日本はイギリスと敵対したことで、スコッチウイスキーの輸入が途絶えることとなりました。

rareold明治からイギリス式を規範とした大日本帝国海軍は、オフの時のたしなみであるウイスキーが途絶えることは深刻なリスクでした。

その中で、海軍はウイスキーの蒸留、製造をしていたサントリーの山崎とニッカの余市を海軍指定工場として、ほぼ独占的にウイスキーの製造を行わせ、買い取っていきました。

その中で入手困難だった大麦麦芽などの原料も、海軍が独占的に供給を行いました。

こうしてサントリーとニッカは、倒産の危機から脱出しただけではなく莫大な利益を上げることにも成功したのです。

そして戦後、生きて帰還した海軍の兵士や士官によって、サントリー、ニッカの評判が広まることとなりました。

もしこの事実がなかったとしたら、日本のウイスキーは国内で多く飲まれただけでなく、海外に知れ渡るほどに発展したのでしょうか?

戦争を賛美するわけではないですが、ジャパニーズウイスキーが賞賛される背景には、戦争の事実をしっかり受け止める必要があるのです。

ftb01今回は、ジャパニーズウイスキーという定義について考えてみます。

国内では、サントリーによるハイボール戦略によって火がつき、テレビドラマの影響で国内需要が一気に増えましたが、最近では一過性のブームとしては沈静化しつつあります。

一方で海外ではWWAやISCで日本のウイスキーが高い評価を得ていることもあり、ブームを超えてウイスキーの産地の一つとしてジャパニーズウイスキーが認知されつつあります。

そんな中で、国内でも次々ジャパニーズウイスキーを出すメーカーが増えています。
しかし、国内で醸造、蒸留、熟成をすべて行っているとは限らないメーカーもあります。

大手メーカーを除いて、醸造、蒸留、熟成をすべて行っているメーカーには下記が挙げられます。
  • 本坊酒造(鹿児島県鹿児島市、長野県上伊那郡宮田村)※一時操業停止、2011年から再開
  • ベンチャーウイスキー(埼玉県秩父市)
  • 相生ユニビオ(愛知県西尾市)
  • 宮崎本店(三重県四日市市)
  • 若鶴酒造(富山県砺波市)
  • 江井ヶ嶋酒造(兵庫県明石市)
  • ヘリオス酒造(沖縄県名護市)※蒸溜所は操業停止。残された原酒を限定販売。
  • 笹の川酒造(福島県郡山市)※一時操業停止、2016年から再開
  • 堅展実業 厚岸蒸溜所(北海道厚岸郡厚岸町)
  • 木内酒造(茨城県那珂市)
  • ガイアフロー 静岡蒸溜所(静岡県静岡市葵区)
  • 長濱蒸溜所(滋賀県長浜市)
  • 宮下酒造(岡山県岡山市中区)
一方で、自前での醸造、蒸留をしておらず、海外からモルト原酒を購入して熟成のみを行っているメーカーもあります。
  • 札幌酒精(北海道札幌市西区)
  • 東亜酒造(埼玉県羽生市)※蒸溜所は閉鎖。将来的な建設、蒸溜を予定。
  • 松井酒造合名会社(鳥取県倉吉市)
  • 中国醸造(広島県廿日市市)
東亜酒造は将来的な蒸溜所の建設(再開)を見越してのブレンド技術の蓄積の目的があるのですが、他のメーカーにおいては自前でのモルト原酒の製造を行っておらず、これをジャパニーズウイスキーのカテゴリーに入れるのはいかがなものかと思います。

kurayoshi特に松井酒造、中国醸造は、「日本製」「ジャパニーズウイスキー」を謳っており、自前で熟成させたのだから文句があるか、といわんばかりのレベルで、自前で蒸溜所を建設して製造するメーカーにも失礼ではないかと思います。

最近ではワインにおいても、「日本ワイン」という、日本産のブドウを100%使い、日本のワイナリーで醸造されたものにつけられる基準を設けました。

ウイスキーにおいても、「ジャパニーズウイスキー」とはどこまでを指すべきか、と、業界全体で基準作りをするときではないでしょうか。

個人的には、大麦麦芽を100%国産にする、モルティングを自前で行うのは現時点で困難(大手メーカーもスコットランドに任せている状況)ですので、最低でももろみを醸造、ポットスチルや連続式蒸留器で蒸留したモルトおよびグレーン原酒を国内で造り、国内で貯蔵、熟成させることが、ジャパニーズウイスキーの最低基準にすべきだと考えます。

国内のウイスキー人気は落ち着きつつありますが、海外では未だ人気が続いています。
そんなときに、まがい物が外国人観光客に変われ、悪い印象を与えることで、この人気に水を差すことはあってはならないと思います。


nagahama_nm_今回は、長濱蒸溜所のニューメイクを飲んでみます。

長濱蒸溜所とは、滋賀県長浜市(琵琶湖の北東部)にある蒸溜所で、2016年11月に誕生したばかりの新しい蒸溜所です。
運営をしているのは、長濱浪漫ビールという地ビールメーカーで、社長がウイスキーの興味を持って、事業拡大として設立したそうです。

使用されるポットスチルは初溜釜で1000L、再溜でも500Lと日本で最小です。

そんな新しい日本の蒸溜所の一つから、蒸留したての原酒、ニューメイクがリリースされました。
長濱蒸溜所では、ノンピートモルトと、ライトピートモルトの2種類の原酒を使っており、今回飲むのはライトピートモルトのニューメイクになります。

さっそくストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は無色透明(樽にも入れてないので当然ですが...)、香りは燻製のようなスモーキーさを感じます。

口に含むと、アルコールからの刺激はとても強く感じます。その奥からは、木材を焼いたようなスモーキーな香りが口の中を広がります。
味わいはアルコール由来の辛さが目立ちますが、奥からナッツのような甘い味わいもあります。

次にロックでは、香りはやはりスモーキーな香りが先に立ち、後からバニラっぽさも感じられます。
味わいは酸味がかすかに前に出て、甘さが後を引きます。

1:5のハイボールにすると、香りは燻製のようにいぶした感じのスモーキーさがしっかり感じられます。しばらくたつと、モルト由来の甘い香り、麦チョコっぽさが出てきます。
味わいは甘さが前にある感じで、ニューメイクながらなかなかいけます。

樽熟成をしていないため、それによって付加される香りも味わいもなく、アルコールの刺激がダイレクトに訪れますが、ライトピートというには比較的ピートは強めで、モルト由来の甘みもしっかりしていて、これが樽の中でどう化けてくれるのか、夢と希望を抱かせてくれる原酒になっています。

加水せずにボトリングしているため、アルコール度数は59度ととても高いですが、ロックで飲むにしてもアルコールがきついという印象は比較的少なく、ポテンシャルの高さを感じさせます。

500mLで価格は5000円ほど。小規模の蒸溜所のカスクストレングスであるニューポットと考えれば、高いとは言い切れないでしょう。

なお、当初は小さい樽とのセットも販売しており、これにニューメイクを入れることで熟成させることができ、自分だけのシングルカスクとして楽しめるものもありましたが、こちらは売り切れとなってしまいました。

巷では1,2日入れることでウイスキーを熟成させられるような製品もいくつか出ていますので、それを試すのもいいかもしれません。

<個人的評価>

  • 香り C: オークチップを焼いたときのスモーキーさが目立つ。後からバニラ、麦チョコ。
  • 味わい B: アルコールの辛みが強いが、ストレートでは甘さが目立つ。加水で酸味が顔を出す。
  • 総評 B: 熟成されてないので常飲するものではないが、長濱モルトのポテンシャルを十分楽しめるボトル。



sn_nagomi_今回は、スーパーニッカ 和味を飲んでみます。

スーパーニッカ 和味は、2003年にスーパーニッカ誕生40周年を記念して発売されました。
「和味」の名の通り、和食でも料理の味を殺さない水割りで飲めることを想定してブレンドしているようです。

この辺りは、サントリーが角瓶の時代から取り組んできた方向性であり、なんでニッカが日和ってしまうのか、と思ったのですが、どうやら親会社のアサヒビールの意向があったようです。

このブレンドの責任者となったのが、創業者である竹鶴政孝とともに、最初のスーパーニッカのブレンドを担当した二代目マスターブレンダー、竹鶴威氏が手掛けました。
プレスリリースはまだ残っていますので、そちらもご覧ください。

発売自体は南関東地方限定で、2万ケースの販売ですので、それ以外の地方の方は見たことがないかもしれませんね。

ではいつものようにストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は少々濃いめの琥珀色、香りはアルコールのツーンと来る刺激の奥に、メロン、バニラを感じます。

口に含むと、最初はエステリーさの後に青リンゴが加わり、後からバニラ、ウエハースと続きます。
味わいは、アルコール由来の辛さがあるものの、そのあとに酸味、最後に甘さが訪れます。
レギュラーのスーパーニッカよりもエッジが利いた印象です。

ロックにすると、香りはナシとナッツが入り混じった印象で、バニラやマンゴーの香りが追いかけます。
味わいは酸味と柑橘系の苦みが入り混じっていて、後味は甘さを得ます。

最後にハイボールにすると、香りはほのかにピートがあり、その後にナシが感じられますが、こちらは1:2くらいで作ってやっとわかるレベルで、一般的な割合ではほぼ消し飛んでしまいます。
ウイスキーっぽさという点では?が付きます。
味わいは苦みがメインに来ていて、ビールやジンサワーのような印象です。

手元にあった1980年代のスーパーニッカと比べると、こちらは濃厚なドライフルーツの甘い香りがしっかり立ち、奥から燻製のようなスモーキーさも広がります。

確かに和味のほうが淡麗ではあり、水割りやハイボールではすっきりと飲める印象があります。
しかし、和味というにはその柔らかさを印象するようなネーミングとは程遠く、さらにスーパーニッカを冠するのにふさわしいかというと、個人的にはノーという立場です。
ここ最近のブラックニッカの乱発を思い出してしまいます。

当時はウイスキー自体は消費がどんどん下がっている時期で、いかにしてウイスキーに目を向けるきっかけを与えられるかに焦点が絞られたように思えます。
結果から言えば、サントリーが提示した角ハイボールがトリガーになったわけですが...。

その一方で、その2年前には、三代目マスターブレンダーとなる佐藤 茂生氏が手掛けたシングルカスク余市10年が世界で評価された時期であり、そこから海外でのジャパニーズウイスキーの人気が始まったことを考えると、当時のニッカ、そしてアサヒビールが迷走していた様を垣間見た気がします。

近年のラインナップが、ドラマをきっかけに、ニッカが求めてきたスコッチに迫らんとするスモーキーな香りを前に出すブレンドに切り替えたのを考えれば、消費者の嗜好に大きな変化があったことを示しているように思えます。

700mL、アルコール度数40度で、当時は2000円で売られていました。しかし、レギュラーボトルもそれくらいの値段でしたから、限定品とはいえ割高感は否めません。
現在も在庫限りでごく一部ですが、4000円ほどで購入できます。

<個人的評価>
  • 香り C: ストレートではメロン、青リンゴが香る。加水でナシ、ピート。あとからバニラ、ウエハース。しかし水割り、ハイボールでは消し飛んでしまう。
  • 味わい B: ストレートではアルコールからの辛さがあるが、その後に酸味、甘さへつながる。加水するとビターが目立つ。
  • 総評 C: スーパーニッカの名を冠するには力不足、そして和味の名も的外れ。淡麗なり。


hibiki21前の記事でも紹介したインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ2017ですが、グレーンウイスキー部門のトロフィーを獲得したニッカのカフェモルトよりもさらに上の賞を獲得したのが、サントリーの響21年です。

これまでも響21年は、ワールドウイスキー部門で今年を含めて5年連続でトロフィーを獲得する快挙を成し遂げましたが、さらにすべての蒸留酒の中でトップに輝く、「シュプリーム・チャンピオン・スピリット」までも獲得しました

響21年は山崎のシェリー樽原酒をキーモルトにした21年以上の熟成を経たモルト、グレーンをブレンドしたボトルになります。

わたしはまだ17年までしか手をつけていないので、いずれ21年もテイスティングしたいと思います。
ただ、早めに手をつけないと、さらにプレミアがついて手に入らないかもしれませんね。

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