RERAのウイスキーブログ

40代のロスジェネおっさんが、世界各地のウイスキーを飲み、独断で評価していきます。

カテゴリ: 番外編

oak_bottle_01今回は番外編として、セラヴィが発売するオークボトルを紹介します。

オークボトルとは、その名の通り、アメリカンオークで作られたボトルで、内側はウイスキーの樽のようにチャーリング(内面を焦)されています。

一般的なウイスキーを貯蔵する樽は200Lなのに対して、オークボトルは355mLと750mLの2種類になっています。
そのため、樽に比べると原酒全体に対する樽材の接触の割合が大きくなるため、樽材からしみ出される成分を多く吸収することとなり、樽での熟成に比べて極めて早く進めることが可能になっています。

ウイスキーの場合だと、目安は8~72時間となっています。それ以上熟成させることも可能ですが、却ってくどくなる恐れがあります。

使用する場合にはいくつかの注意点があります。

まず、使用する前に必ず水を入れて水分を含ませる必要があります。これをスウェッティングといいます。
そうしないと、乾燥した状態のオークボトルでは液漏れが発生する恐れがあるからです。
このスウェッティングは4~24時間行います。もしそれでも液漏れがある場合は、オークボトルに付属するワックスで漏れる箇所に塗って防止します。

スウェッティングが終わった所で、水を捨て、ウイスキーを注ぎます。

熟成が終わって注いだウイスキーをすべて出した後は、水を入れて洗います。この際、洗剤などを使ってはいけません。

そして再び熟成に使う場合、しばらく経過して乾燥したときには、再びスウェッティングが必要です。

今回は違いがわかりやすいよう、ニューポットの原酒を用意しました。
長濱蒸溜所の、長濱ニューメイク59° ライトピーテッドです。

左はオークボトルに入れる前、右は24時間熟成させたものです。
写真を見ても、明らかに色の違いがおわかりかと思います。
oak_bottle_02

実際にストレートで飲み比べてみます。
まず熟成前は、アルコールの刺激、辛さがしっかりしていて、ほんのりとスモーキーな香りはしますが、とてもきつい印象です。

一方で24時間熟成させたものにおいては、アルコールの刺激は抑えられ、バニラのような香りと樽のウッディさが加わり、まろやかな印象になっています。
ただし、アルコール度数が59度もあるので、辛さは依然としてしっかりやってきます。

トゥワイスアップにすると、熟成前は、ピートの香りがしっかりしますが、それ以上の香りはやってきません。
味わいにしても、ウオッカをそのまま飲んだ印象で特別な味わいはしません。

一方で24時間熟成させたものだと、香りにバニラ、バナナの香りが加わり、味わいも甘さを得られるようになります。
全体的に香りも味わいも薄いですが、ウイスキーらしさを感じられるレベルになります。

熟成させていないニューポットを使ったため、24時間ではまだ熟成に物足りなさを感じますが、国内の1000円未満で売られている安いウイスキーであれば、2日熟成させることでとても味わい深いウイスキーに変化することは十分予想できます。

価格は、355mLが9,000円、750mLが13,000円になります。
結構なお値段ですが、あまりお金をかけずに長期熟成のウイスキーを飲みたいのであれば、このオークボトルを買うのも一考でしょう。

なお、オークボトルではウイスキーだけでなく、赤ワインやブランデー、焼酎などの蒸留酒の熟成にも利用できます。
日本の焼酎は、財務省の規制によってウイスキーのような琥珀色になるほどの熟成が出来ないため、このオークボトルを使って長期熟成状態にすることも出来ます。
日本では買うことの出来ない長期熟成の焼酎を自分で生み出して楽しむのもいいですね。


bacardi_gold_今回は、番外編として、ラム酒、バカルディのゴールドラムを飲みます。

ラム酒は、17世紀頃からカリブ海の島々を中心に生産された蒸留酒です。
原材料となるサトウキビは、原産国だった東南アジアからスペイン人などが持ち込んだことで、中米で盛んに栽培されるようになりました。

その後、サトウキビのプランテーションが広がるごとに、製糖の過程で生まれる廃蜜糖(モラセス)を原料としたインダストリアルラムが盛んに作られるようになりました。

イギリス海軍では20世紀後半まで、士気の高揚や娯楽の目的でラム酒を兵士に支給していました。
今ではカリブの海賊とともにラム酒がカリブ海のアイコンとして日本人にも浸透しています。

ラム酒(インダストリアルラム)は製造方法によって2種類に大別されます。

酵母を入れて発酵、醸造させた後、連続式蒸留器で蒸溜した後で樽に貯蔵するものをライトラムといいます。
このうち、熟成したまま出荷するものはゴールドラム、活性炭で濾過して色を取り除いたものをホワイトラムと言います。

一方でモラセスを自然発酵させ、単式蒸留器で蒸溜、樽に貯蔵したものはヘビーラムと言われます。
この中で3年以上熟成させたものはダークラムと言われ、色の濃い液色になります。
その中で、癖を抑えた製法を取り入れたものはミディアムラムと呼ばれます。

ラム酒のメーカーとして有名なバカルディは、1862年にキューバで設立されました。
同社のラム酒は、カクテルベースとして使われ、モヒート、ダイキリ、クーバ・リブレといったカクテルを生み出すこととなりました。

しかしキューバ革命が起こり、国営化を恐れたバカルディ社はバミューダ諸島に移転、現在に至っています。

バカルディブランドとしてのラム酒は基本的にライトラムで、ホワイトラムのスペリオール、ゴールド、長期熟成させたブラックの3種類がレギュラーラインナップされています。

最初は、ストレートから。
香りはゴム、そしてカラメルへと移り変わります。
味わいは、アルコール由来の辛みはそこそこありますが、その後は甘みがメインになります。

ロックでは、ゴムの香りの奥からバナナを感じられるようになります。
味わいは軽い酸味や苦みを持ちつつも、やはりフルーツやカラメルの甘みが支配します。

そのままで飲んでも美味いですが、ここで代表的なカクテルを紹介します。

<ダイキリ>

レシピ

  • ラム酒:45mL
  • ライムジュース:15mL
  • シロップ:小さじ1杯
キューバにあるダイキリ鉱山で働いていた技師が作ったと言われています。
基本的にはカクテルグラスに注ぎますが、私はこれをちょっとアレンジしたものを飲んでいます。daikiri_
  • ラム酒:3
  • ライムジュース:1
  • 炭酸水:9
  • 氷:適量
簡単に言ってしまえばダイキリソーダです。砂糖やシロップは入れません。

ゴクゴクといきたいときにはいいかと思います。

他にはクラッシュアイスを加えてシェイクして作るフローズンダイキリというものもあります。

<クーバ・リブレ>

cuba_

レシピ

  • ラム酒:45mL
  • ライムジュース:10mL
  • コーラ:適量
ラムコークとも呼ばれる、第二次キューバ独立戦争において、キューバの自由を祝して作られたと言われています。

ライムジュースを使わないレシピもあるので、ハイボールの感覚で気軽に作って飲めるカクテルです。

<モヒート>

レシピ

  • ラム酒:40mL
  • ライムジュース:30mL
  • ミント:6葉
  • 砂糖:小さじ2杯
  • 炭酸水:適量
タンブラーにミントの葉と砂糖を入れ、すりこぎ棒などで軽くすりつぶした後、ラム酒、ライムジュース、炭酸水を加えてステアして作ります。

手間がかかるカクテルですが、バカルディからあらかじめ混ぜ合わせたリキュールが発売されていて、炭酸水を割るだけで簡単に作れます。


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2017年もあとわずかになりましたが、今年飲んだウイスキーの中で、気になったものをピックアップしていきます。
昨年だとトップ10を発表していましたが、正直言うと10個挙げるのもつらいほど、ピンとくる銘柄が少なかった印象です。ですので今年は、かなり数が少ないのでご了承ください。

1.サントリー 特級ウイスキー

royal_1960_01今年は古酒、特にサントリーの特級時代の銘柄をいくつか飲みました。

今でも看板として現役である角瓶、オールド、リザーブ、ローヤルですが、等級制度が存在した1989年以前のボトルは、いずれも現行のボトルと比べても香り、味わいともに深くて豊かな印象でした。

特に顕著だったのが燻製のようなスモーキーな香りがしっかりしていて、ウイスキーらしさが実感できる点です。
現行品ではスモーキーさをしっかり出しているのはローヤルくらいで、オールド、リザーブ、角瓶ともにノンピートモルトを使っているような希薄さです。

等級制度が廃止されて30年近くが経過していますが、その間に幾度か減税が行われて安価になっていった中で、サントリーは便乗して品質を下げているのではないか、と疑いを持ってしまいました。

原酒不足が徐々に解消されつつある中で、サントリーは比較的低価格の部類で巻き返しを図るのか、見守っていきたいです。

2.ザ・マッカラン ダブルカスク

maca_w12一方で、現行品で今年飲んだ中でベストだと思ったのは、3月にリリースされた、ザ・マッカラン ダブルカスクです。

値段が7000円近くと高価ですが、シェリーオーク12年と比べるとマイルドで飲みやすく、ストレートでもとっつきやすさを感じました。

12年もののシングルモルトとしては熟成感がしっかりした印象です。

残念ながら、このボトルを超えるものを今年飲むことは出来ませんでした。これ以上になると、本当に2万円近い投資が必要なのか、個人的にも不安があります。
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3. ニッカウヰスキー 鶴 ノンエイジ

tsuru_na_01_01次点としては、ニッカウヰスキーの鶴を挙げます。

従来品は17年ものとして売られていましたが、2015年で製造終了してしまいました。
しかし蒸溜所限定、ノンエイジとして復活を果たしました。

価格は蒸溜所でも14,000円と大きく値を上げてしまいましたが、従来よりもアルコールからのとげとげしさが抑えられて、ストレートでも飲めるブレンドにスイッチしました。

原酒不足によって、ニッカの現行品が軒並み香りの層が薄く熟成感に欠けるものが多いですが、この鶴においてはそのような物足りなさを感じることはありませんでした。

おいそれと買える値段ではないですが、十分に金を払っただけの満足感は得られるでしょう。

併せて、シングルモルト余市 2000'sも復活したのが朗報でした。

4. ザ・フェイマスグラウス メロウゴールド

fg_mg_最後に、甘くて万人受けで比較的手に入りやすいボトルとして、ザ・フェイマスグラウス メロウゴールドをピックアップします。

このボトルも今年リリースされましたが、レギュラーに比べてファーストフィルのシェリー樽原酒を主体にしたブレンドになっていて、最初にラムレーズン、後々でメープルシロップの香りが続き、甘さが支配する印象になっています。

その中で、ライムのような柑橘系の爽やかな香りがアクセントになっていて、甘さ一辺倒にならないようバランスが取られています。

ストレート、ロック、ハイボールいずれの飲み方でも甘さが堪能できて、ウイスキーに親しんでない人でも取っつける印象を受けました。
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以上が、2017年で特に印象深かった銘柄でした。

国内においては、昨年から今年にかけて多くの蒸溜所が建設、製造を開始しましたが、熟成されたウイスキーが出るのは、早くても2019年からになるでしょう。

その中で、来年において既存のメーカーがどのような攻勢を仕掛けるかも見物かと思います。
東京五輪が行われる2020年以降は、国内のウイスキーが激戦となる時代になるかもしれません。
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sun_今回は番外編として、アサヒビールの甲類焼酎、燦とSAZANを飲んでいきます。
発売こそアサヒビールですが、実は両方とも製造はニッカウヰスキーが手掛けています。

燦(SUN)は、元々協和発酵(現:協和発酵キリン)が、第一次焼酎ブームである1970年代後半から発売していた焼酎です。
原材料としては、廃糖蜜、麦、麦麹となっています。

協和発酵は、発酵技術をもとに抗生物質などの医薬品の製造と焼酎、清酒、ワインの製造をメインにしていました。

しかし同社が医薬品事業に集中するため、2002年に酒類製造と販売部門を分離、アサヒビールとの合弁会社として独立、のちにアサヒビールの子会社であるニッカウヰスキーが買収しました。

北九州市にある門司工場は、現在ニッカウヰスキーの所有となっていて、燦のほかに、大五郎やダイヤといった甲類焼酎、そしてかのかなどの本格焼酎の製造拠点となっています。

sazan_一方でSAZANは2002年に発売されました。ちょうど合弁会社を設立した時期と重なります。
原材料は、廃糖蜜とトウモロコシです。

大きな特徴としては、一般的な連続式蒸留器で蒸溜された原酒のほかに、宮城峡蒸溜所にあるカフェ式蒸留器で蒸溜した「カフェ焼酎」をブレンドしている点です。
最近になって、ジン、ウオッカの蒸溜にカフェ式蒸留器を使った製品を出していますが、15年前からこうしたアプローチが行われていたわけです。

では、まずストレートで飲み比べてみます。

燦は、全体的な香りはさほど感じ取れません。味わいこそ、原材料由来のほのかな甘みがあるくらいです。樽熟成された原酒もブレンドしているはずですが、あまり感じ取れません。

一方でSAZANは、トウモロコシならではの香りがほのかに訪れます。一見するとポップコーンっぽさがあります。
味わいも甘みがあるものの、砂糖というよりゆでたトウモロコシをかじったときに甘さに近いです。

次に炭酸水で割ってみます。香りを確認したいので、1:1と濃いめにします。

まず燦ですが、香りはほんのりと麦焼酎のようなものが現れます。味わいもストレートから感じ取れた甘みが崩れていない印象です。

一方でSAZANは、香りはストレートほどトウモロコシっぽさは感じられず、むしろ残り香として花を通ってきます。味わいは、若干ビターな印象が出て、単純な甘さだと感じられません。

双方の特徴や傾向は異なり、チューハイなど割ったときに香りや甘さが表に来る燦に対して、ストレートでも楽しめることを考えたSAZAN、という風に感じられました。

個人的にこのジャンルで一番だと思うのは、宝焼酎 純やレジェンドですが、SAZANはストレートで飲むのであれば、純に匹敵する印象がありました。


ftb01今回は、ジャパニーズウイスキーという定義について考えてみます。

国内では、サントリーによるハイボール戦略によって火がつき、テレビドラマの影響で国内需要が一気に増えましたが、最近では一過性のブームとしては沈静化しつつあります。

一方で海外ではWWAやISCで日本のウイスキーが高い評価を得ていることもあり、ブームを超えてウイスキーの産地の一つとしてジャパニーズウイスキーが認知されつつあります。

そんな中で、国内でも次々ジャパニーズウイスキーを出すメーカーが増えています。
しかし、国内で醸造、蒸留、熟成をすべて行っているとは限らないメーカーもあります。

大手メーカーを除いて、醸造、蒸留、熟成をすべて行っているメーカーには下記が挙げられます。
  • 本坊酒造(鹿児島県鹿児島市、長野県上伊那郡宮田村)※一時操業停止、2011年から再開
  • ベンチャーウイスキー(埼玉県秩父市)
  • 相生ユニビオ(愛知県西尾市)
  • 宮崎本店(三重県四日市市)
  • 若鶴酒造(富山県砺波市)
  • 江井ヶ嶋酒造(兵庫県明石市)
  • ヘリオス酒造(沖縄県名護市)※蒸溜所は操業停止。残された原酒を限定販売。
  • 笹の川酒造(福島県郡山市)※一時操業停止、2016年から再開
  • 堅展実業 厚岸蒸溜所(北海道厚岸郡厚岸町)
  • 木内酒造(茨城県那珂市)
  • ガイアフロー 静岡蒸溜所(静岡県静岡市葵区)
  • 長濱蒸溜所(滋賀県長浜市)
  • 宮下酒造(岡山県岡山市中区)
一方で、自前での醸造、蒸留をしておらず、海外からモルト原酒を購入して熟成のみを行っているメーカーもあります。
  • 札幌酒精(北海道札幌市西区)
  • 東亜酒造(埼玉県羽生市)※蒸溜所は閉鎖。将来的な建設、蒸溜を予定。
  • 松井酒造合名会社(鳥取県倉吉市)
  • 中国醸造(広島県廿日市市)
東亜酒造は将来的な蒸溜所の建設(再開)を見越してのブレンド技術の蓄積の目的があるのですが、他のメーカーにおいては自前でのモルト原酒の製造を行っておらず、これをジャパニーズウイスキーのカテゴリーに入れるのはいかがなものかと思います。

kurayoshi特に松井酒造、中国醸造は、「日本製」「ジャパニーズウイスキー」を謳っており、自前で熟成させたのだから文句があるか、といわんばかりのレベルで、自前で蒸溜所を建設して製造するメーカーにも失礼ではないかと思います。

最近ではワインにおいても、「日本ワイン」という、日本産のブドウを100%使い、日本のワイナリーで醸造されたものにつけられる基準を設けました。

ウイスキーにおいても、「ジャパニーズウイスキー」とはどこまでを指すべきか、と、業界全体で基準作りをするときではないでしょうか。

個人的には、大麦麦芽を100%国産にする、モルティングを自前で行うのは現時点で困難(大手メーカーもスコットランドに任せている状況)ですので、最低でももろみを醸造、ポットスチルや連続式蒸留器で蒸留したモルトおよびグレーン原酒を国内で造り、国内で貯蔵、熟成させることが、ジャパニーズウイスキーの最低基準にすべきだと考えます。

国内のウイスキー人気は落ち着きつつありますが、海外では未だ人気が続いています。
そんなときに、まがい物が外国人観光客に変われ、悪い印象を与えることで、この人気に水を差すことはあってはならないと思います。


今回は緊急企画として、日本の大手メーカー2社が手掛けたクラフトジンを飲み比べてみます。

クラフトジンとは

ジンそのものは、オランダで生まれた後、イギリスでドライジンとして発展し、現代に至っています。
その中で、近年ではイギリスやオランダだけではなく、ドイツやアメリカなど、世界各国で小規模の工場で生産されるジンが増えつつあります。
日本でもクラフトジンを扱うお店が増えつつあり、ブームが巻き起こっています。

ジンそのものは、蒸留酒にジェニパーベリーをはじめとした植物を漬け込んで作っていくため、ウイスキーに比べても手間暇が少なく幅広い香りや味わいを持つお酒に仕上げられるメリットがあります。
国内においてもクラフトジンが登場しつつあります。

そんな中で、サントリーとニッカが、ほぼ同時期にオリジナルのクラフトジンをリリースしました。
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サントリー ジャパニーズクラフトジン ROKU

サントリーは50年以上前からジンを製造しています。現在でも、アイスジン、ドライジンが発売されています。

そんなジンの製造では老舗に入るサントリーですが、傘下に収めたビーム・サントリーと共同で、日本らしさを持つクラフトジンとして「ROKU」をリリースしました。

一般的にジンで使用されるジュニパーベリーをはじめとする植物のほか、桜(桜花、桜葉)、ゆず、山椒、緑茶(煎茶、玉露)の6種類の日本ならではの植物も使用しているのが特徴です。

ニッカ カフェジン

一方でニッカウヰスキーは、ジンの製造についてはあまり歴史はなく、新参者といえるかもしれません(ウィルキンソンのジンを作っているという文句を言う人がいましたが、製造はベン・ネヴィス蒸溜所であり、ニッカ本体ではありません。ギルビージンも一時期作っていましたが、現在はキリンが販売しており、ジンの製造技術は絶えています)。
しかしながら、ウイスキーのノウハウを生かしたジンをリリースしました。

最大の特徴は、グレーンウイスキーで使用されているカフェ式連続蒸留器をジンの蒸溜に使用している点です。

一般的な連続式蒸留器では、比較的純粋なエタノールが得られるので、素材となるもろみの香り、味わいはほとんどありません。
しかしながら、カフェ式蒸留器では素材の香りがある程度残る、悪く言えば中途半端な蒸溜になることで、蒸留したスピリッツに個性を残せるメリットがあります。

このカフェ式蒸留器で作ったカフェジンに、一般的な植物のほか、山椒、ゆずやみかんなどの日本由来の柑橘系の皮を漬け込んで作られています。

飲み比べてみた

では、この2つのジンを飲み比べてみます。まずはストレートで。

まず、「ROKU」ですが、香り自体はジュニパーベリーの独特の香りが主体で、そのあとにゆずの香りが続いてきます。しばらくすると、山椒とお茶の持つ香りが奥から顔をのぞかせてきます。
味わいは独特の苦みがメインですが、山椒由来のピリピリ感も伴います。

次にカフェジンです。香りはゆずやみかんの柑橘系が強烈にアピールしてきます。その奥から山椒がついてきて、一般的なジンに比べるとかなり異質な印象です。最後にジュニパーベリーがやってきます。
味わいも山椒からのピリ辛さが強く、苦いというジンならではの味わいとは一線を画します。

次に1:3の比率で炭酸水で割ってみます。

「ROKU」の場合、香りはジュニパーベリーが先にしっかり立ち上がり、神らしさがしっかり感じられます。ただ、桜や緑茶の香りは消えてしまいます。
味わいは苦みが前に出て、ジンとして安心して飲める印象です。

一方でカフェジンは、先に山椒の持つ香りがフワッと立ち上がり、その奥からゆず、みかんなどの香りが追いかける感じです。
味わいはジンならではの苦さがあるものの、柑橘系由来の酸味も感じられ、ジンを飲んでいるという感覚とは違和感を感じます。

まとめ

両社とも大きく対照的です。
「ROKU」は、ジンの老舗でもあるサントリーならではの安心できるジンのイメージがしっかり出ていて、ストレートでは和風のエレメントをほのかに感じ取れる多様性があるように感じます。

カフェジンは、ジン業界に殴り込みをかけるチャレンジングな新参者の印象で、ジンの愛飲家にとっても今までにない香りと味わいで、強烈なインパクトを与えるかもしれません。

ジンといえば、ジントニックやジンライムをはじめとして、数多くのジンベースのカクテルがありますが、「ROKU」であれば、今までと同じレシピで、ちょっと異なる個性を味わえるように思えます。

しかしカフェジンは今までのジンとは印象が大きく異なり、カクテルのレシピも大きく変える工夫が必要でしょう。
むしろ今までのジンベースのカクテルで行き詰まりを感じるバーテンダーにとっては、大きく変える起爆剤になるかもしれません。

どちらも700mL、アルコール度数は47度と高めです。
ROKUは4000円ほど、カフェジンは4300円ほどです。
どちらにしても、定番のジンに比べると3倍の値段になりますが、ROKUは日本らしい深さを、カフェジンは今までにないインパクトを与えてくれるでしょう。


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nikka_shochu_前回の記事で紹介した、ニッカの新しいお酒、カフェジン、カフェウオッカと同時発売されたのが、ニッカ・ザ・麦焼酎です。

「え?なんで焼酎??」と思う人は結構いるでしょうが、実はニッカは10年以上前から焼酎も作っています。

元々は協和発酵(現:協和発酵キリン)が所有していた酒類製造事業を、アサヒビールと協和発酵との合弁会社を経て、アサヒビールの子会社であるニッカウヰスキーが2005年に買収しました。

現在では北九州市にある門司工場で、甲類焼酎、本格焼酎を製造しています(ただし販売はアサヒビールが行っている)。

そんな隠れた焼酎メーカーであるニッカが、初めてニッカブランドの焼酎としてリリースしたのが、ニッカ・ザ・麦焼酎です。

この焼酎の注目すべき点は、蒸留した麦焼酎の熟成に、ピートの香りが残るウイスキー樽を使っているところです。
この熟成された原酒を含めた形でブレンドを行っています。

では、ストレートから飲んでみます。
香りは、麦焼酎独特の癖はほとんどなく、ピートもほのかに感じるかどうか、という印象です。
奥のほうから、バニラの甘い香りがやってきて、その後に麦チョコに近いものが追いかけます。

味わいは、アルコール由来の辛さは多少するものの、ストレートで飲む分には問題ない程度です。
そのあとでバニラアイスのような甘さが口に広がります。

次に1:1のハイボールにしてみます。
香りは、麦焼酎ならではの香りが前に出てきて、あとからほんのりメロンのようなエステリーさが続きます。
味わいは若干の酸味を持ちながらも、ほんのりとした甘みがあります。

最後にロックで飲んでみると、麦焼酎の揮発した香りが前に出るようになり、ああ、これは麦焼酎だった、と思い出させてくれます。その後はバニラ、軽く燻製のようなスモーキーさが追いかけます。

味わいは若干の酸味があるものの、あとは甘みがしっかりと歩みます。

個人的には、いいちこの長期熟成貯蔵酒や神の河といった、同じように樽熟成した原酒を多く含んだ麦焼酎が好きなのですが、それよりも癖がさらに少なく、甲類焼酎と間違えてしまうほどにとても穏やかで飲みやすい印象です。

ただ、ニッカが売りにしているウイスキー樽による熟成は、いかんせんどの飲みかたにも感じにくく、もっとスモーキーにしたほうが売れるのではないか、と思いました。
下手に飲みやすいものにしてしまうと、甲類焼酎と変わらなくなり、却って個性が失われてしまっているのではないでしょうか。

700mL、アルコール度数25度、価格は1100円ほど。他の熟成本格焼酎と同じ価格帯です。

<個人的評価>

  • 香り C: 麦焼酎ならではの癖はなく、バニラ、麦、ピート、メロンが軽く香る。
  • 味わい B: ストレートでもまろやかでとても飲みやすく、甘みがメイン。加水で酸味も伴う。
  • 総評 C: スモーキーさは薄く、麦焼酎としてはとても穏やか。むしろ没個性すぎる。



cofey_jvニッカウヰスキーは、宮城峡蒸溜所にあるカフェ式蒸留器を使って蒸溜したジン、ウオッカを発売しました

商品名は、「カフェジン」「カフェウオッカ」と、従来よりある「カフェグレーン」「カフェモルト」と似たような名称、ボトルデザインになっています。

カフェジンは、大麦麦芽とトウモロコシベースのもろみをカフェ式蒸留器で蒸溜してスピリッツを作り、トウモロコシベースのスピリッツに、山椒、ゆず、りんご、ジェニパーベリーをそれぞれ漬け込んだものをブレンドしています。

一方でカフェウオッカは、大麦麦芽とトウモロコシベースのスピリッツをブレンドしたのち、ウオッカならではの白樺の炭でろ過して作られます。

実はこういった試みは最近始めたものではなく、2002年には、カフェ式蒸留器を使った原酒を用いた甲類焼酎「SAZAN」を出しており、ウイスキー以外の蒸留酒の製造のノウハウを持っています。

お値段については、両方とも実売で4000円台後半と、一般的なジンやウオッカに比べれば割高です。
ニッカ自身が、ウイスキーの原酒不足だからこそ、他の蒸留酒も出さないとやっていけない事情もあるかと思いますが、世界中でも数少ないカフェ式蒸留器によってもろみの香りを残す特徴を出せるわけですから、こうしたチャレンジは応援していきたいと考えます。

ちなみにサントリーも、同じ価格帯のクラフトジンとして「ROKU」を7/4から発売するそうです。
こうした動向は、世界的に人気になったことで原酒不足傾向にある日本のウイスキー市場共通の方向性かもしれません。

カフェジンと、ROKUについては、飲み比べをしてこちらの記事で紹介しています




hirosaki12_今回は番外編として、ニッカのシングルアップルブランデー弘前 フルーティ&スイート12年を飲んでみます。

ニッカは大日本果汁として創業後、余市のリンゴを使った100%ジュースを販売していました。
しかし、ペクチン分を取り除いた黄金色のリンゴジュースを見慣れた人には、白濁したままのジュースに違和感を感じ、当時の流通上のハンデも大きくて価格も高価であったことから、思うほどの売り上げにはなりませんでした。
そこで創業者、竹鶴正孝の妻リタがアイデアを出し、リンゴジュースを加工してジャム、ワイン、シードル、ソース、ケチャップを開発、販売していきました。
そのアップルワインを蒸留して作られたのがニッカブランデーです。

その後、アップルワインやブランデーの生産は余市から、同じくリンゴの産地である青森県の弘前市に移され、現在もアップルワイン、ニッカブランデー、シードルを製造しています。

私が中学生のころに、修学旅行でこの弘前工場を見学したことがありましたが、現在は見学ができません。

さて、蒸留所限定で販売されているのが、今回紹介するシングルアップルブランデー弘前 フルーティ&スイート12年です。

それではストレートで飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は濃厚な褐色、香りはアルコールの刺激の奥にリンゴの香りを感じ取れます。

口に含むと、グラスから感じられたアルコールの刺激は意外に少なく、その後にリンゴを主体としてライム、ウエハース、バニラ、ウッディの香りがやってきます。
味わいは、多少のえぐみがあるものの、奥から甘さをしっかり感じ取れます。

軽く加水すると、ライムのさわやかさがさらに立ち上がり、リンゴというより青りんごっぽいさわやかさを想起させます。
味わいも酸味が前に出てくるようになり、えぐみが抑えられます。そして最後に甘みが訪れます。

最後に炭酸水で割ってみると、リンゴの香りがしっかり広がる濃厚なシードルのようになります。
味わいも酸味は少なめで、甘さを感じ取れます。

以前にニッカブランデーVSOPも飲みましたが、それに比べると樽での熟成が進んで甘さや酸味が濃厚になった印象に思えます。

500mL、アルコール度数40度で、価格は6500円ほど。
ウイスキーはきつくて飲みにくいという方や、カルヴァドスなどのアップルブランデーがお好きな方にはお勧めできるでしょう。

<個人的評価>

  • 香り B: アルコールの刺激が先に来るが、後からリンゴの香りが訪れる。あとからライム、バニラ、ウッディ。
  • 味わい A: ストレートではえぐみが感じられるが、あとからフルーツの酸味、そして甘さが追いかける。
  • 総評 A: レギュラーのニッカブランデーよりも濃厚で香りが広がる。

ゴールデンウィークになって、いろいろ旅行されているかと思います(海の向こうからミサイルが飛んできそうなので、そうも言ってられませんけど...)。

そんな中、私は5度目となる余市蒸溜所へと足を向けてみました。
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「マッサン」ブームが起きていた2年前にはかなりの観光客が訪れていましたが、今年改めて行ってみると、観光客もだいぶまばらになっていて、有料のガイド付きの見学でも待ちの状態にはならなくなっています。

一方で、ウイスキー博物館内にある有料試飲所にも変化がありました。
前回では終了していた、シングルカスクのうち5年と10年が試飲できるようになりました。5年が500円、10年が1000円、それぞれ15ccのワンショットです。
無料の試飲においては、対象のウイスキーが竹鶴のノンエイジとスーパーニッカで、それぞれ試飲カードを持っていることが条件となっています。この点においては、お金を出して試飲したほうがいいですね。

最後に販売所にも変化がありました。
前回では販売終了していたシングルモルト余市 2000'sが再販されました。
加えて昨年より、蒸留所限定でブレンデッドの鶴がノンエイジとして復活しました。
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鶴は17年物として2015年まで販売されていて以来となりますが、噂によると17年ものとはブレンド自体を大きく変えているとのことです。これについては後程。

ブームの爪痕が痛々しかった状況からは若干余裕が生まれているように思えます。訪問に躊躇していた方も考慮してもいいでしょう。

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