RERAのウイスキーブログ

40代のロスジェネおっさんが、世界各地のウイスキーを飲み、独断で評価していきます。 Whisky reviews and informations

カテゴリ:ウイスキー > その他地域

今回は松井酒造のブレンデッドウイスキー、山陰を飲んでみます。

やっと自前の蒸溜所を建設

sanin_松井酒造は2016年頃から「倉吉」ブランドでウイスキーを販売していました。
しかしその当時は蒸溜所を持っていないにもかかわらず、このウイスキーをジャパニーズと称して販売していました。

他のメーカーでもスコットランドのバルクウイスキーを輸入して、自社で樽に貯蔵、熟成する所はそれなりにあったものの、彼らはジャパニーズと販売をしていませんでした。

まさに看板に偽りありの商売を続けていましたが、謝罪の言葉もなく、しばらくはサイトの一部を閉鎖、隠蔽工作を図ったことで、ウイスキーファンからは悪名高いメーカーとレッテルを貼られました。

それでも2018年には蒸溜所を建設してポットスチル(中国製)を導入、ウイスキー造りを開始したそうです。


逆に言えば、それ以上の年数表記がされているウイスキーは、自前で造った原酒ではないと証明したとも言えます。

今回の「山陰」は、ラベルにジャパニーズウイスキーと書いていますが、仮に倉吉の原酒を使っても1年経っているかもわからない代物、他のメーカーならニューメイク、ニューボンとしてウイスキーとして売らないレベルでしょう。
もしこれにバルクウイスキーをブレンドしているなら、尚更ジャパニーズと名乗ってはいけません。

つくづくこのメーカーは信用や誠意に欠けると思います。

悪くないけどホントにジャパニーズ?

では、ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は少々緑がかった琥珀色、香りはアルコール臭の後にカラメルが感じられます。

口に含むと、ナシ、栗、カラメルが先立ちます。後から林檎を砂糖漬けにしたような甘い香りが追いかけてきます。
味わいは、アルコールからの辛みは少なく、軽い酸味の後は甘みがずっと続きます。

ロックにすると、ナシの香りが強調され、その後にレモンもほんのり感じられます。
味わいは、渋みが先んじますが、その後は甘みが引き続き維持されます。

ハイボールにすると、ナシの香りが引き続くものの、後からきゅうりやメロンのような香りが追いかけます。
味わいは、ほんのりした苦味が感じられるものの、後から甘みが広がっていきます。

全体的に見ても「悪くはない」と思います。1500円台としてみても、大手メーカーのボトルと比べて遜色ない域にあると言えます。

しかし、たった1年しか熟成されてない原酒を使っているとは思えないほど熟成が進んだ感は否めなく、台湾のカバランほどの温暖な気候でない倉吉で、1年で数年分の熟成を得られる可能性は低く、どう考えてもスコッチのバルクウイスキーが主体だと言うのが普通でしょう。
そういう意味で、ジャパニーズウイスキーを名乗るのは失格です。

少なくとも松井酒造が倉吉のモルトで作ったウイスキーだと堂々と名乗れるのは2022年からです。
松井酒造には、他のクラフトディスティラリーに敬意を表し、消費者に誠意を持った製品作りをすることを心より祈ります。

なお、700mL、アルコール度数は40度です。

<個人的評価>

  • 香り C: ナシが先立ち、栗、カラメルと続く。加水でレモンの爽やかさが加わる。
  • 味わい C: アルコールの辛みが少なくてまろやか。甘みが主体。
  • 総評 E: スコッチのブレンデッドと割り切れば悪くない。ジャパニーズではない。

今回は本坊酒造の北海道限定ウイスキー、岳樺(だけかんば)を飲みます。

国分北海道が企画したウイスキー

dakekanba_岳樺は、食品の卸売り商社、国分の北海道にある子会社が企画したウイスキーです。
国分北海道の岳樺はウイスキーに限定せず、北海道限定の製品向けのブランドとしても展開するそうです。

岳樺とは、カバノキ属の木で、白樺に比べると樹皮が赤茶みがかっていて、森林限界点に近い高所に生えています。

北海道ならではの木というわけでは無く、本州の高山帯にも生息しています。

本製品は、2019年10月16日にブレンデッドモルトウイスキーとして発売されました。

ターゲットを北海道に限定し、北海道民の嗜好にマッチしたモルト原酒をヴァッティングして造ったとのことです。

実際に製造を手がけたのは、マルスウイスキーを販売する本坊酒造ですが、ブレンデッドモルトと書いている辺り、信州蒸溜所のモルト以外(おそらくはスコッチモルト)も使われている可能性があります。

ウイスキーの要素を多く詰め込んだ秀作

では、ストレートから飲みます。
グラスに注ぐと、液色は少し濃いめの琥珀色、香りは白ブドウとリンゴが感じられます。

口に含むと、先に樽のウッディさが口に広がり、正露丸を思わせるピートも一緒にやってきます。
その後はリンゴ、白ブドウのフルーティな香りが続きます。

味わいは、ほろ苦さが先行し、後から果物由来の甘みがほのかにやってきます。
ノンエイジですが、アルコールからの辛みはあまり感じられません。

ロックにすると、柿や栗の甘い香りが現れて、奥からライム、シナモン、ウッディさもふんわりと訪れます。一方でピートやリンゴ、白ブドウは現れなくなります。

味わいは、苦味が強まり、甘みは奥の方から感じ取れるほどです。

最後にハイボールだと、再びウッディさが先んじて、シナモン、柿、リンゴと続きます。ピートも正露丸っぽさが伝わってきます。
味わいは、甘みがやっと主体となり、飲みやすさが増します。

信州の職人さんには申し訳ないですが、今迄飲んだマルスウイスキーの信州モルトでは感じられない香り、味わいが豊富に感じ取れ、おそらくはアイラモルトも含まれているかもしれないかな、と推測されます。

いわばワールドモルトに該当すると言えますが、どのような飲み方でも熟成感をしっかり感じられ、癖はあるもののきつさは抑えられているように感じます。

700mL、アルコール度数は43度、価格は5000円ほどです。ノンエイジのブレンデッドモルトとしてはお値段は高めですが、今の相場から考えると十分値段相応の出来に思えます。

<個人的評価>

  • 香り A: 樽香と正露丸を思わせるピートが先行する。あとから白ブドウ、リンゴ。加水で柿、栗、シナモン、ライムも訪れる。
  • 味わい B: ビターが前面に来るが、後から甘みがジワジワくる。加水で苦味は抑えられる。
  • 総評 B: モルトの出所はわからないものの、香り豊かで飲みやすく、損はしない。



今回は、長濱蒸溜所から、アマハガン エディションNo.3 ミズナラウッドフィニッシュを飲みます。

ミズナラ樽で後熟した習作

amahagan3_アマハガンは、長濱蒸溜所で本格的なシングルモルトのリリースに先立って、3年未満の長濱モルトと海外のバルクウイスキーをブレンドして、ブレンドの技術を習熟する目的でリリースされています。

第三弾となるこのボトルでは、既に発売されているNo.1のブレンド済みの原酒をミズナラの樽に入れて後熟しているのが特徴です。

ミズナラは日本原産の楢の木の一種で、主に北海道に生息しています。
ウイスキーの樽としては、元々は第二次世界大戦時によって入手困難となったホワイトオークの代わりにすぎませんでした。

また、樽材としては原酒が漏れやすい欠点がある上に、新樽としては木の香りが強く出すぎて、癖の強い原酒になるデメリットもあります。

しかし、何度か使ってはリチャーを行うことで、香木のような個性的な香りを帯びるようになり、日本のウイスキーの大きな個性として世界中でもてはやされるようになります。

最近では海外のメーカーでもミズナラ樽で後熟を行う所もあるほどです。

こうした特徴を持つミズナラの樽にアマハガンのブレンドを入れるとどうなるのでしょうか。

ミズナラのオリエンタルさが引き立つ

では、ストレートから飲みます。
グラスに注ぐと、液色は少し淡い琥珀色、香りは白ワインを思わせるフルーティさがあります。

口に含むと、ラムレーズンと樽からのウッディさが先にやってきます。程よくピートからのスモーキーな香りが続き、カカオとウエハースが締めます。

味わいは、アルコールからの辛みはそれなりであるものの、その後は酸味と柑橘系の苦味が半々に訪れます。後味にはほんのりとした甘みが顔を出します。

ロックでは、ゆずと柿、栗の香りが揮発します。その後はシナモン、ウッディ、バニラ、最後にはスモーキーな香りが後を引きます。
味わいは、渋みが真っ先に感じられますが、時間が経つにつれてほんのりした甘みが舌全体を支配していきます。

最後にハイボールにすると、白檀とレーズンの香りが先立ち、その後にバニラの甘い香りが続いていきます。
味わいは、苦味が少々目立つものの、後からはほんのりと甘い印象があります。

まだ未熟な長濱モルトからのとげとげしいアルコール感は否めませんが、ミズナラ樽の特徴がしっかりと得られます。
おそらくは新樽を使っていると思われますが、後熟として短期間だけ貯蔵することで、香りや味がくどくならないよう調整が利いているように思えます。

700mL、アルコール度数47度、価格は7000円ほど。

<個人的評価>

  • 香り B: ラムレーズンと樽香が先行し、ピート、カカオ、ウエハースが続く。加水で白檀、シナモンゆず、柿、栗が現れる。
  • 味わい B: まだ未熟さはあるものの、柑橘系の酸味と苦味が先行、後から甘みが得られる。
  • 総評 B: フィニッシュにすることで、程よくミズナラの個性が引き出せている。



今回は、三菱食品のカルガモを飲みます。

東亜酒造が手がけるブレンデッド

karugamo_三菱食品は食品の卸業を手がけていますが、ウイスキーにおいても、企画を自社で行いつつも製造を他社に委託して販売を行っています。

カルガモを手がけるのは埼玉県にある東亜酒造です。
同社はかつて、羽生市に蒸溜所を構えてゴールデンホースというウイスキーを製造していましたが、日の出みりんのキング醸造の傘下に入る際に、採算の取れなかった蒸溜所を閉鎖、解体しました。

その後ウイスキーの消費が増えたことに合わせ、将来的な蒸溜所の再建を目標に、スコットランドのバルクウイスキーをブレンドしたゴールデンホース武州、武蔵をリリースしています。

このカルガモにおいても、自社での蒸溜ではなく、バルクウイスキーを元にブレンドしたものかと思われます。

このカルガモは、一部のスーパーやローソンで販売されています。

未熟な見た目と違った多彩な顔

では、ストレートから飲みます。
グラスに注ぐと、液色はシャンパンゴールド、香りは白ブドウとパンが漂います。

口に含むと、アルコールの刺激は少なく、マスカットの爽やかな香りが広がります。奥からは軽いピート、バナナ、カカオ、焼きたてのパンの香りが続きます。

味わいはほのかな酸味を持ちつつも、全体的に甘いです。 

ロックでは、青リンゴとライムの香りが揮発し、ピートからのスモーキーさもそこそこ感じられます。マスカットなどの香りはかなり奥に潜みます。

味わいにおいては苦味が顔を出しますが、その後は酸味が追いかけてきます。

ハイボールだと、樽からのウッディな香りが立つようになり、後からマスカット、ピートが追いかけます。

味わいは、ほんのり酸味が感じ取れますが、後から苦味もやってきます。

スコットランドのバルクウイスキーのブレンデッドであるものの、飲み方によって三者三様の顔を見せる点では、ブレンダーの腕の良さを感じられます。

東亜酒造オリジナルのゴールデンホース武州とも異なるブレンドになっていて、ウイスキーとして全く申し分の無い出来に思えます。

500mL、アルコール度数40度、価格は2000円ほど。700mL換算では2800円ですが、下手なノンエイジのブレンデッドを飲むよりも十分なパフォーマンスがあります。

<個人的評価>

  • 香り B: ストレートでマスカット、ピート、バナナ、カカオ。加水でライム、青リンゴが表れる。更に加水するとウッディに。
  • 味わい A: ストレートでも辛みは少なく、酸味、甘みがメイン。加水でビターが顔を出す。
  • 総評 B:割高感はあるものの、飲み方によって顔を買える幅の広さは申し分ない。

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今回は、イオンのトップバリュ ベストプライス、3年熟成 樽仕込みを飲んでみます。

イオンが珍しく気合いを入れたウイスキー

tv_3yo_トップバリュのウイスキーと言えば、かつてはウイスキーと呼んではいけないほどのまずさで有名になりましたが、昨年リニューアルしたベストプライス ウイスキーは、スピリッツを使いつつも香りや味わいを向上させて、「まずい」から「悪くない」まで上げることが出来ました。

そして今年になり、ワングレード高いボトルとして、3年熟成 樽仕込みをリリースしました。
製造はベストプライスウイスキー同様に、山梨県の南アルプスワインアンドビバレッジが手がけています。

このボトルの最大の売りは、商品名の通り、3年熟成だそうです。
ただ、3年の熟成は、スコットランドにおいては最低限熟成期間であり、それ未満のものはウイスキーとして売ることは出来ません。

国内の新興メーカーにおいても、3年未満の原酒にウイスキーを冠せず、ニューメイク、ニューボーン等とつけて販売しており、彼らはスコッチウイスキーの基準への敬意を持っています。

そういう意味でも、3年熟成をどや顔で言われても、ウイスキーを知る人間からは失笑を買います。

使用する原酒は、スコットランドのシングルグレーンウイスキーをベースに、どこのものかもわからないモルト原酒をブレンドしているということです。
シングルグレーンでも旨いものはあるものの、キーにするのはモルトウイスキーであって、その点でもツッコミを入れたくなります。

ご丁寧に、イオンはこのウイスキーだけの特設サイトを作り、動画でアピールするなど、大手メーカーのまねごとみたいなことをしています。

その内容においても、ツッコミどころが満載で、むしろ突っ込んだら大人として負けじゃないのかと哲学的にさせてしまうほど、暴走極まりないものになっています。

香りはいいが、旨くはない

何はともあれ、いつも通りストレートから飲んでいきます。
グラスに注ぐと、液色は少々薄めの琥珀色、香りはアルコールの刺激の奥に青リンゴを感じます。

口に含むと、真っ先に青リンゴの香りが広がり、後からカラメル、バニラ、モルトを感じます。
味わいは、アルコールからの辛みが強めで、その後から軽い塩気と甘み、しっかりした酸味が追いかけます。

ロックにすると、ゆずのような爽やかな香りが顔を出し、青リンゴと黒こしょうが続いていきます。
味わいは、かなり苦味が強くなります。加水が進むと苦味が若干抑えられ、甘さが少し前に出てきます。

ハイボールでは、再び青リンゴが主役になり、バニラ、ウッディさが出てきます。
味わいは、苦味と共に炭酸に伴う酸味が強くなり、刺激が強くなります。

全体的に見ると、確かに香りはベストプライスウイスキーよりは広がっているものの、味わいがとげとげしく、とっつきやすい印象はありませんでした。

同価格帯のジャパニーズに比べれば、少しは追いついたとは思いますが、やはりもう少し甘い香りと味わいが欲しいところです。

700mL、アルコール度数40度、価格は1100円。
イオン系列の店舗や、ネットスーパー(北海道では楽宅便)で購入できます。

<個人的評価>

  • 香り C: 青リンゴが主体。バニラ、カラメル、モルトが続く。ロックではゆずの爽やかさが得られる。
  • 味わい D: ストレートではアルコールの辛みが目立ち、ロック、加水されると苦味が強い。奥から酸味、甘みも得られるが目立たない。
  • 総評 D: 大々的に宣伝する割に、たいしたことない。だからこそ大々的に宣伝するのだろう。

今回は、長濱蒸溜所のアマハガン エディションNo.2を飲みます。

赤ワイン樽仕上げの習作

amahagan2_アマハガンはブレンド技術の学習のため、長濱蒸溜所のモルトとともに、海外から複数購入した原酒をブレンドして作られるボトルです。

昨年、No.1が発売されましたが、今年リリースされたNo.2では、No.1と同じブレンドをベースに、赤ワイン樽で後熟を行ったものになります。

おそらくはブレンドの時期はNo.1と同じで、翌年のリリースのために、一部が赤ワイン樽で熟成させたと思われます。

では、ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は赤みの強いアンバー、香りはブドウが強く鼻を刺激します。

口に含むと、かすかな硫黄と共にブドウの香りが一気に広がります。その後はナッツの香りが追いかけていきます。残り香に栗の甘い香りが得られます。

味わいは、渋みが先に感じ、後からほんのりとした酸味の後に果物の甘みがやってきます。アルコールの辛みはそこそこです。

ロックにすると、ブドウの香りの後にレモンの爽やかな香りが加わり、後から栗の甘い香りがついてきます。加水が進むと、長濱モルト独特のウッディさが香ってきます。

味わいは、酸味と苦味が半々となり、フルーツらしさが強まります。

ハイボールにすると、再びブドウの香りが主体となり、ほんのりとウッドチップ、襖、栗の香りが追いかけます。
味わいは、それまでの苦味、渋みがとれ、甘みが表に出てきます。酸味は大分落ち着きます。

No.1自体が、ブレンデッドウイスキーとしては完成度の高さがありましたが、それを赤ワイン樽で後熟させることで、ブドウの香りが強くなり、華やかさがプラスされた印象です。
47度とアルコール度数の高さを考えても、かなりまろやかさを感じることが出来ました。

700mLのボトルの値段は、5400円ほど。

<個人的評価>

  • 香り A: 赤ワイン樽由来のブドウの香りが広がる。その後はナッツ、栗、ウッドチップ、襖。
  • 味わい A: 酸味と渋みが主体、後から甘み。加水で甘みが強まる。
  • 総評 B: 後熟によるプラスが上手く作用している。深みが足りないのは仕方ないか。 

今回は、サントリーのワールドウイスキー「碧<Ao>」を飲んでみます。

5つの産地のウイスキーをブレンドした多国籍ウイスキー

ao_碧は、ウイスキーの産地として代表的な、スコットランド、アメリカ、アイルランド、カナダ、そして日本の5つの産地のウイスキーをブレンドしたものになります。

これが実現したのも、サントリーが、ジム・ビームで有名なアメリカのビーム社を傘下に入れたことが大きいです。

かつては「世界の名酒」というコーポレートスローガンを掲げたサントリーですが、ウイスキーにおいては世界のウイスキーの主要な場所を手に入れたと言っても過言では無いでしょう。

一方で、日本の他、スコットランドでもウイスキーの原酒不足、特に長期熟成の原酒は不足しており、年数表記のボトルからノンエイジに切り替えるところも少なくありません。

その状況の中で、複数の地域の原酒をブレンドした碧は、原酒不足対策として、今後のウイスキー販売における実験作とも言えるでしょう。

5つの個性が奏でる絶妙なハーモニー

では、ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は少々淡い琥珀色、香りは青リンゴ、マスカット、メロンなど、複雑に絡み合って香ってきます。

口に含むと、アーモンド、バニラの甘い香りが先立ち、続いてブドウや青リンゴへと続きます。
味わいは、アルコールからの辛みがとても強く、チェイサーが無いと舌が焼けるような刺激で厳しいものがあります。それを過ぎると、ほのかに酸味と甘みが交錯してきます。

ロックにすると、ライムの爽やかな香りが揮発し、バニラやアーモンドの甘い香り、ブドウなどのフルーティさと絡み合っていきます。その奥からは、白檀、シナモンの芳しい香り、そしてヨード、ピートがやってきます。
味わいは、苦味が少々目立つものの、ストレートでのアルコールの辛みは消え、穏やかな甘みと酸味が支配します。

ハイボールでは、アーモンドの香ばしい香りが先行し、バニラの甘い香り、そしてピートがアクセントを与えます。
味わいは、甘みが中心となり、軽い酸味を伴いつつも、飲みやすいものとなります。

5つの地域のウイスキーの特徴を端々に感じながらもバランス良く調和されていて、ワールドウイスキーの名前に恥じないブレンドになっていると思います。
ただ、調和がとれすぎて突出した特徴が無いので、癖のあるウイスキーを求める人には物足りなく感じるでしょう。

また、若い原酒を主体にしていると思われ、ストレートではアルコールの刺激が強く、ロックや加水した方がいいでしょう。

700mL、アルコール度数43度、価格は5000円。ただ、数量限定もあってかすでにプレミアがついており、発売当初でも1万円以上の値段がついています。
もっとも、個人的には5000円でも高いかな、という印象です。

<個人的評価>

  • 香り A: アーモンド、バニラが先行し、青リンゴ、ブドウが追いかける。加水でライムが揮発し、ヨード、スモーキーさも現れる。
  • 味わい C: 柔らかい酸味と甘さが主体。ストレートではアルコールからの辛みが強い。ロックではビターが顔を出す。
  • 総評 C: 調和のとれた穏やかさが感じられるが、飲み方を選ぶ。1万円の価値には届かない。


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サントリーは4月16日に、数量限定のウイスキー、「碧 Ao」をリリースします。

5つの産地のウイスキーをブレンドしたボトル

サントリーは、アメリカのビーム社を買収したことによって、アメリカ、カナダ、アイルランド、スコットランド、そして日本の5つの地域のウイスキーを手がけることになりました。

碧においては、この5つの地域のウイスキーをブレンドし、今迄に無いボトルへ仕上げたものになるようです。

悪い言い方で言えば無国籍ウイスキーと言って良いですが、日本でもマイナーなメーカーがスコットランドなどからバルクウイスキーを買い取り、日本で樽に詰めて熟成させて販売することも珍しいことではなくなっていますので、ジャパニーズと言わないだけマシかと思います。

更に邪推すれば、碧の成功で、1000円台のレギュラーボトルに無国籍ウイスキーを加え、原酒不足をしのごうという企みも見えてきます。

ボトルが入手次第、このブログでも採り上げたいと思います。

今回は、台湾ウイスキーのカバランから、ディスティラリーセレクトを飲みます。

5000円で買えるカバラン

kavaran_ds_カバランは台湾ウイスキーでありながらもWWAやISCといった世界的なウイスキーコンペでも高い評価を得ています。

亜熱帯の気候ながら、山岳部の標高は4000mを超えて雪も降る場所もあり、寒暖差の激しい環境にあります。

さすがに熟成過程でのエンジェルシェアと呼ばれる原酒の蒸発率がスコッチなどより高いため、長期熟成に向かない反面、短期間でまろやかなウイスキーに仕上げられる点が特徴と言えます。

しかしながら、ノンエイジのシングルモルトでありながらも、ボトルの値段は1万円を超えるなど、そうそう手に入れるのが難しい存在でした。

しかし、今回採り上げるディスティラリーセレクトでは、実売で5000円以下という値段で、12~15年もののシングルモルトスコッチを飲む人でも手に取りやすい価格になっています。

カバランらしさは変わらず

では、ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は少し濃いめの琥珀色、香りは洋梨が圧倒的です。

口に含むと、アルコールの刺激は少なく、先に訪れたナシの後、レーズンが追いかけてきます。後々になると、カカオの香ばしさが広がります。

味わいは酸味が主体で、アルコール由来の辛みは感じられません。熟成期間が短いとは思えないほどのまろやかさがあります。

ロックにすると、青リンゴとピートが揮発するように鼻を突き抜けます。その後はライムの爽やかさが続きます。

味わいは、酸味が更に強くなり、苦味が追いかける印象です。

最後にハイボールでは、ナシ、青リンゴの香りが口に広がり、後からピートのスモーキーさも感じられます。

味わいは、酸味自体が穏やかになり、飲みやすさを得られます。

カバランの特徴である、フルーティで爽やかな香りが豊かに感じられる点はコンサートマスターと変わらず、半分の値段で頂けるのはお得と言えます。

700mL、アルコール度数40度、価格は5000円ほどです。

<個人的評価>

  • 香り A: 洋梨の香りが強く、後からレーズン、カカオ。加水でピート、ライムが広がる。
  • 味わい B: アルコールからの辛みは殆ど無くてまろやか。酸味が主体。
  • 総評 A: カバランの入門編にぴったり。




今回は、長濱蒸溜所のブレンデッドモルト アマハガンを飲みます。

ブレンド技術習得のための多国籍モルト

amahagan_アマハガンは、厳密に言えばジャパニーズウイスキーではありません。

長濱蒸溜所のモルトは使用しているものの、まだ1,2年と未熟であるため、海外(スコットランド?)のモルトをブレンドして、複雑な香り、味わいを出すための習作と言って良いボトルになります。

そのため、ラベルにも「ワールドモルト」の表記がされています。

その点でも、ジャパニーズウイスキーとしてのアイデンティティーを理解している、真面目な会社なのかな、という印象を受けます。

未熟に感じられない完成度の高いブレンデッドモルト

では、ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は淡いシャンパンゴールド、香りはラム酒のような甘いものがあります。

口に含むと、意外にアルコールの刺激は少なく、先にマスカット、後からみかん、ナッツ、バニラ、栗と続きます。

味わいも、あまり辛みは少なく、軽い酸味の後で甘さが広がります。

ロックでは、グレープフルーツのような渋みのある香りが広がり、後からバナナ、バニラへと続きます。飲んだ後の残り香には栗の甘い香りを得られます。

味わいは酸味が非常に強くなり、ビターも目立ちます。しかし後味としては甘みも残っています。

ハイボールにすると、長濱モルトの未熟さを感じつつも、ニューメイクで感じられた栗、襖の香りが前に出てきます。
味わいは、酸味がほのかにするものの、後からは甘みが広がる印象です。

長濱以外のモルトも使っているそうですが、それでもニューメイクを飲んだときに感じた香りはなるべく殺さないよう、長濱モルトの比率を上げているように感じます。

他にはない独特な香りを得られますが、それでも長濱蒸溜所がこれから出すシングルモルト、あるいはブレンデッドはこうするつもりです、というビジョンを見せてくれたように思えます。

700mL、アルコール度数47度、価格は5300円ほど。
少量生産を考えると、一概に高いとも言えませんね。

<個人的評価>

  • 香り B: マスカット、グレープフルーツが先行。後からバナナ、バニラ、ナッツ、栗、襖。
  • 味わい A: ストレートでも辛みは少ない。酸味が前にくるが、後味は甘い。
  • 総評 B: 個性が光る、これからの長濱モルトに期待させる力がある。



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