人間を幸福にしない日本というシステム 』(カレル・ヴァン・ウォルフレン)
1994年に出版された本ですが、図書館にあったので借りてきて読みました。

ざっとまとめると
  1. 日本の権力は官僚が握り、その下に業界団体、大企業系列、下請けと連なる
  2. 彼らは産業の拡大のみに邁進し、国民の幸せが犠牲になっている
  3. 情報はコントロールされ「偽りのリアリティ」を与えられてる
  4. 大新聞はその「偽りのリアリティ」に加担している(記者クラブ制度が問題)
  5. 官僚は説明責任を果たしていない
  6. 説明責任を果たすべき政治家をスキャンダルで叩いていては国民が損をする
  7. 日本は民主主義ではなく、国民は「シカタガナイ」と考えてしまう傾向がある
世界で最も成功した社会主義国」と呼ばれた日本を分析したようなものですね。
官僚が情報をコントロールし、産業の拡大のために国民は犠牲となっている、と。

誰か一人が権力や富を独占しているわけでもなく、あまりに官僚を悪者にしてるので
「官僚は優秀」「官僚はそこまで悪くない」と反論される人もいるかもしれません。
官僚は優秀ですが、省益のために頑張っていて、それが国益に繋がっていると
思い込んでいるとも述べています。私はこの本の内容に8割くらい同意します。

産業の拡大という点では優秀だから今の日本があるのも間違いない。問題は国民の
生活が犠牲になっているという点と、民主主義が機能していないという点。
偽りのリアリティ」の一つは(結論ありきの)審議会を挙げています。
私は常々これを「儀式制民主主義」と言っていますが。

日本人はかつては「国(国体)があって自分がある」と考え命を落とし、
今は「会社があって自分の生活がある」と考え、会社が潰れては自分が困るからと
自分の生活を犠牲にしてしまう人がいます。それを指摘していたのかな、と。

これが書かれたのは1994年。この傾向はブラック企業として今も続いているわけで。
政治家を小さなスキャンダルで叩いているのも今の方がずっとひどい。

そして『いまだ人間を幸福にしない日本というシステム 』を2012年に書いています。
それは「シカタガナイ」ことなのかもしれませんね(´・ω・`)



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