RevueとReviewの日々

基本宝塚、ときどきアイドルやアニソンといった沼に溺れる日々の記録。

櫻坂アニラDay2、ライブ本編は流れ弾で終わり、守屋茜・渡辺梨加の卒業セレモニーを待つ。

まずスクリーンに映るのは、メンバーに卒業を伝えるあかねん。抱きついて泣く綺良ちゃん。欅坂結成から今までの映像。
セレモニーとしてはスタンダードな映像から、スクリーンが割れて茜さん登場。1人ですか!もしかしてこのままサプライズでソロ歌唱とかやっちゃう

…と思ったら、一礼だけしてハケた。今度はぺーちゃんの加入当時の映像が始まる。

ここでズッコケた。

や、そこは2人連続で映像流して同時に登場してくれた方が絶対いいだろうと心の中でツッコミまくったのだが、紺と白のドレスで着飾った2人のコントラストが美しかったしまあいいや。ぺーちゃんが白であかねんが紺というのはぴったりの配色だ。熱血の軍曹と癒し系のぺーちゃん、同じ美形でもタイプも対照的。

理佐が登場してまた少し思い出話があって、キャプテンが「この4人ってことは…」とほのめかす。ざわつき始める勘のいい観客。
青空とMARRY、復活!

「ここにない足跡」、そして「青空が違う」。当然筆者も欅の曲は初めて聴く(恐らく録音音源に生歌かぶせてるような?)。
筆者の周辺の欅時代からの古参とおぼしきお客さんなど半ば感極まっている。ラストライブ以来欅の曲はずっと封印してましたからね。

しかし映像やセレモニーを見て、ぺーちゃん(渡辺梨加)が好かれてきた理由もなんとなくわかってきた。
彼女は「綺麗なだけで何もできない」人だった(皮肉じゃなくガチの誉め言葉として。世の中には美しくすらない奴がゴマンといる)。歌もダンスも特にうまくないし、喋りもダメ。最年長なのにおバカクイーン。けど、6年間休業もスキャンダルもなく続けてこれた。欅坂・櫻坂にいたいという意志だけはブレなかったのだろう。「悪意のない」人だから、そこはメンバーからもファンからも理解されていたと思われる(同性のオタ率も他メンと比較して高そうに見える。異性から見ると頼りなさすぎても同性からだとそこが可愛いポイントになるのだろうか)。

そして残りのメンバーも呼び込んで出てくるわけだが、下手から出てくる綺良ちゃん、いのり(井上)に抱き抱えられている。整列する時もひそかに井上が右手できらこを支えている。ああ、裏で既に泣いてたなたぶん。

綺良ちゃん、プロレスとかでなくホントに軍曹になついてんだなあ。彼女はよくいわれる天然とか不思議ちゃんとはちょっと違う。頭の回転はすごくいい。
最後に一言求められた時も「2人と離れるのは本当に寂しいけど、別れは今日やって来ても1年後だったとしても寂しいものに変わりはないので、今の別れの辛さより、出会えたことに感謝して思いっきり応援したいと思っています」と賢い話をしていた。

たぶんいろなことに気が付いて頭もよく回る、そこから「他人にどう思われるか」とか気にせずアイデアをすぐ口にしたり行動に移してしまう性格なんだろう。でもそこに悪意は全くないから、ダル絡みされる先輩たちも受け入れてきたんだと思う。

もう一人コメントを求められたうえむーが感極まって半分言葉になっていない、そういうやさしさエモさもいいが、大変な時期に加入してくれた上に、不器用なメンバーが多いこのグループで明るく潤滑油になってくれてるきらちゃん、すげえよ。後輩が入ってきてくれてもいいお姉さんになれそうだ。


アニラがエモかった点のひとつが、「欅から数えてもコンサートで初めて卒業セレモニーができた」ことだった(新参の筆者がこんなこと書くのもおこがましいかもしれないが)。てちは突然の脱退、それ以前のねるも同じ、その他いろいろあって「関しまして」だけで去っていったメンバーも多数(てちなんて本来ならSSA級のハコで送り出すべきだろうと当時も外野ながら思っていた)。
他のグループでは当たり前にできていた客席と一緒にメンバーを送り出すということ、プロ野球でいえば引退試合、そういうセレモニーが櫻坂になってようやく普通にできるようになった――。そこに安堵というか、救われた昔からのオタもいたであろうことは実感する。

改名してよかった――そう絶対に世間に知らしめる。言葉には出さなくてもゆっかー以下メンバーは皆この気持ちで突き進んできて、これからもそうだろう。大変な時期を乗り越えて(筆者も含め)新しいBuddiesも得たであろう櫻坂、「愛しかなくなった」今こそ推していきたい。

12月10日、櫻坂46アニラDay2@日本武道館。

私事になるが、この1年で最もハマったアイドルグループが櫻坂46である。

理由は話せば長くなるが、一言でいえば坂道3グループの中で曲とライブ演出が最も自分にささったから。
そこから、
「え、ほのす(田村保乃)とかれなぁ(守屋麗奈)とかうえむー(上村莉菜)とか可愛いメンバー多いしかりんちゃんや天ちゃんのステージ上での格好よさとか守屋軍曹の美貌とかヤバみしかないし、流れ弾のハロプロ&昭和歌謡ミックスぶりも聴けるし平手友梨奈だけのグループとか偏見で見てて申し訳ございませんでした!!」となって今に至る(なぜケヤフェスももっと頑張って取ろうとしなかった…)。

前置きはこのへんで。前日にゆいぽん(小林由依)のサプライズ復帰によるジャマイカビール披露のことは聞いていたので「今日セトリからジャマイカビール外れたら化けて出るぞ」くらいの感覚で現地へ。

BAN(M1)で開演。このアニラでは薄紫の上下に袖にフリルがついた衣装です。
小柄なるんちゃんはセンターでもどこでもすぐわかる。ほのすもいる。天ちゃんもわかる。みいちゃん(小池)もれなぁもいる。やっぱり可愛いわれなぁ。…ん、またれなぁ?いやさっき全然別の位置にいたけど…別人か。じゃああのポニテのれなぁそっくりの子は誰…え?

お、大沼ァ――!?

となってビビった。ポニテの大沼晶保の美人ぶりがすげえ。というか「そこさく」での彼女のぶっ飛んだ言動を知らなければ普通に綺麗なお姉さんだから…踊りも全然下手じゃないし。出番もそれなりに多く目立っていた。あとBANの時点から目立っているのが齋藤冬優花パイセン。激しいダンスで後列でも格好よさを発揮しているし、黒髪真ん中分け、デコ出しストレートという髪形も1人だけ目立っておりました。

というのがBANから最初の挨拶までに感じたこと(今更だけど整列した時の立ち位置ってどのライブでも決まってんのね…下手端が有美子会長で上手端が幸阪)。
2曲目はアニラがライブ初披露の美しきnervous(M2)。タイトルとサウンドはクールなのだが振りはサビで手をヒラヒラさせたりと可愛い。まあセンターほのすの曲だしね。彼女が真ん中付近にいるとパッとフェミニンで可愛くなる。
半信半疑(M3)では天ちゃんのターン!。暗転したステージにまず1人だけ登場、その恵まれたスタイルで武道館を支配する。アニラ前半は天ちゃんの見せ場多かったね。
ゆいぽん(小林)の代役ポジには増本綺良。ステージの張り出し(ちょうど宝塚の銀橋のようなつくり)に天ちゃん・きらこ・理佐と並ぶ時もあったような。

次がツアーでもアオリ曲だった、流れ弾と共に若干昭和歌謡風の「それが愛なのね」(M4)だが、ちょっとセトリでかけるの早すぎて武道館ノリきれてなかったような…やるならMC前とかでも。それでもステージ後方で茜&増本のきらねんコンビがハイタッチしてるのを見れたりと観ている分には忙しく楽しい。

ダンストラック(ここでもセンター天ちゃん)を経て、偶然の答えブルームーンキス(M5/6)と続く。

演出だけならこの辺はツアーの方がよかったんですけどね(偶然の答え曲前での理佐と玲ちゃんの傘使ったダンスとか)。そして百合ソングとも言われる耽美なブルームーンキス。小池・土生・茜・田村…と顔の良い人達が百合百合しく妖しく絡むので双眼鏡必須の場面だ。もうこの曲のBメロで守屋軍曹のシャープな美貌にスポットライトが当たるのもラストなのだ。
ところで、2日目のるんちゃんは後頭部の髪だけを結んでかつ前髪を作っているので「子連れ狼の大五郎」みたいな髪形になっていたのがどうも気になった。

思ったよりも寂しくない(M7)は「それ愛」に続いてハイタッチなどを絡めたメンバーのスキンシップがある。ツアーと違ってステージで火炎演出がない代わりに客席も慣れたものかオレンジ色で揃えてきた。ロックな振付もあるので遠藤・齋藤・菅井といったスキルメンの見せ場でもあった。

Microscope(M8)、ここでやるとは思わなかった!幸福感たっぷりのハッピーなナンバーなのだが、ステージにもハート型のバルーンが出てきて、張り出しを歩くメンバーにも笑顔がはじける。アニラのセトリから漏れるかなとも思ったけど序盤に入れても中盤に入れてもエッセンスになるナンバーだ。
(1日目はここにPlastic regret・最終の地下鉄に乗って・君と僕と洗濯物をかけたとのこと。これで2日間で全曲やれた))

2回目のダンストラックを挟むが、今度はバキバキのEDM調ではなくスウィングの利いたジャジーな感じ。メンバーは田村・菅井・大沼・麗奈・大園・遠藤・原田。張り出しでラインダンスになったりしてクールよりファンシーな雰囲気で場を盛り上げた。

そこで衣装を替えた松田・井上によるOn my way(M9)。白のワンピースにピンクと黄緑をあしらい靴はスニーカーでスポーティーな印象に、曲もガールズポップとして100点満点の出来。まつりもいのりちゃんともに「陽」の人なので、今の櫻坂の明るく優雅なカラーを象徴しているようでもある。(そういやこの2人ファーストネームが同じだ)。

「流れ弾」収録のBACKS曲のソニア(M10)はツアーSSA以来の披露。フロントがセンター小池を筆頭に麗奈・大園・松田・藤吉で、かつ上村・大沼・関・原田・幸阪…と(かりんちゃん以外)柔らかい雰囲気の持ち主がそろい、極めて女子力の高い1曲だ。なんとスクリーンにはソニアの歌詞にちなみメンバーがリップを塗ってみる化粧品のCMかと見まごうような映像が流れ、映像内のメンバーのビジュアルにも目を奪われる。

続くは「無言の宇宙」(M11)でありエモ曲が続くパートだ(センターは理佐)。本当はツアーSSAの時のPVオリジナル衣装の方が好きだけどね。張り出しに出てきてくれるメンバーの笑顔がまぶしい。それとこのライブで久々に軍曹とぺーちゃんがそろったナンバーでもある。BANのMicroscopeだったり、流れ弾でもこの無言の宇宙やソニアだったりとカップリング曲でしなやかにパフォーマンスしてくれる、これが櫻坂の強さだ。
曲中の科白「必ず帰ってくる」にかけて、
次がいよいよゆいぽんが復帰しての「ジャマイカビール」(M12)


や、すげーじゃん。

暗転してスクリーンが割れて階段にスタンバイしていたゆいぽんが下りてくる。白のジャケットに黒のレザーパンツとブーツ。茶髪のセンター分け。かっけー。
そこに藤吉・遠藤も合流。レザーパンツとブーツは共通で、かりんちゃんは黒のジャケット、えんぴかは白いシャツにベスト、皆ちょっとヨーロッパ貴族風のデザイン。


まあ、アイドルの中でズバ抜けて上手いという訳ではないのだが小林藤吉遠藤の3人とも所謂正統派ではなくクールなスター性を持っていて、それまで明るいナンバーが続いてきたからガラリとステージの空気を変えてきたのは強い。筆者もゆいぽんの生のステージは初めてだったが、欅時代から人気上位であることも納得のたたずまいであった。

しかし、ツアーでもアニラでも彼女のポジションの代役に入った大園・上村・大沼らも十二分の活躍ぶりだったので、ゆいぽん復帰で元にもどってしまうのもそれはそれで惜しい(そのためのBACKSライブでもあるのだろうが)。

MCで土生ちゃんが天然ぶりを発揮(1年の振り返りを「木の軸」に例えるなど独特の言語感覚を披露)するなどありつつ、後半戦はDead End(M13)から。

先にはけてツアーと同じビビッドカラーの衣装に着替えたるんちゃんのソロダンスから、衣装をそろえてメンバー全員で。なのだが、アニラはなぜかヴォーギングのような腕だけの振り付けが主体で皆無表情で、ツアーの時のエネルギッシュなステージとはかなり雰囲気が異なった。間奏に無表情でフォーメーションだけ足早に高速移動する様がちょっとシュールだったりしたが、そんな演出の中でも大サビが近づくとテンションあがるのか笑顔がこぼれてしまうほのす。やはり天性のアイドルだ。

そのままDead End衣装のままで「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」(M14)。白い布のパフォーマンスの代わりに糸でかりんちゃんをつつむ演出になったが、どうもチープ感は否めない。まあツアーの会場と比べると自由度も欠けそうだし…
Buddies(M15)はいいね。演者で輪になって張り出しステージまで出てきてくれていた。センターの天ちゃんよりも周囲のメンバーの笑顔が記憶に残る。

ここで改名からの1年にまつわるVTRが流れ、1stシングルのNobody's fault(M16)のパフォーマンス。CDジャケットの白い衣装で原点回帰を印象づけるシーンであった。
やや話がそれるがこの衣装「昔の従軍看護師」っぽい。白ベースで露出が少なく立襟のデザインとか、胸部にプリーツがついてアクセントになってるとことか。こういうヴィクトリア朝的な、色気を前面に出さないストイックな美が櫻坂の持ち味の一つなのかも、とツアーでの他の衣装や流れ弾の黒衣装などで感じられる。

続いて「流れ弾」(M17)。おお、ノバフォの衣装で流れ弾をやるとは。暗転の合間にシューズを脱いでスキンシューズだけであの激しいダンスで踊り出す。復帰したゆいぽんも2列目の本来のポジションで参加しており、完全体といえるだろう。今回、スタンドから観ていたが2番終わりで舞台上に伏せる理佐の上に、皆次々のしかかっていく演出でラストにのしかかる武元の振り、彼女が髪を金髪に染めているのでより狂気感が発されていた。

流れ弾で本編が終わると階段上で「Ⅱ」のフォーメーションを作り、スクリーンで舞台が閉じるという演出で本編に幕。

ここからはアンコールと、軍曹・ぺーちゃんの卒業セレモニーに続く。

ここんとこ、ハロプロ・宝塚・乃木坂と3コンテンツを「摂取」しているわけですが、前者2つにあって乃木坂に無いものがある。

そう、「トンチキ」であります。

コテコテの衣装、赤面したくなる歌詞、謎のセンスのサウンド…でも何故かハマると忘れられない。ベクトルは違えど宝塚にもハロプロにもこれがある、一種アイデンティティでもある。(ちなみにジャニーズとアイマスにもある)
決して現代のエンタメにおけるメインストリームではないながら、根強い支持で続いている一因もこのトンチキだ。

何せ宝塚からして、超代名詞「ベルばら」がトンチキの極みなのですから。初心者に気軽にベルばらを勧められないのもこのため。
でも、10年に1度くらいでいいから定期的に見たくなるし何だかんだで見てしまう。

【大時代な植田歌舞伎「ベルサイユのばら」】
男装の麗人オスカル!輪っかのドレス!軍服!革命! と、まさしく宝塚のために作られたような原作ベルばらを見事選んだ植田御大のセンスは確かに素晴らしいが、舞台をよくよく見ていると...結構赤面する。
大時代な「青きドナウの岸辺」のイントロで緞帳が上がれば、ゴテゴテにデコられたセットに池田先生のマンガによる肖像画があらわになり、それが開いて王妃様やオスカルやフェルゼンが登場。

脚本自体も中途半端に原作を端折ってるので突っ込みどころが一杯だったり、植田御大の時代独特の「植田歌舞伎」と通称される大げさな演技や、」「少しも早く」のような、「?」となる日本語も。

【語彙力が足りないキムシン】
植田歌舞伎的なケレン味の強い作風を若干引き継いでいるのがキムシン(木村信司)。ファンの好き嫌いも分かれるが、個人的には迷作・珍作メーカとして愛すべき人だと思う。
氏のトンチキといえば何を置いても「スゴツヨ」@王家に捧ぐ歌。品格を重んずる宝塚で、「エジプトは強い♪」「すごい♪つよい」「スゴッスゴッ♪ツヨッツヨッ」のインパクト、いい意味で洗脳ソングのような中毒性を有する。美麗なジェンヌたちからこういう謎のワードが飛び出してくる。
キムシンのトンチキは「語彙力の足りない歌詞」に象徴されよう。スゴツヨの他にも、「明智小五郎の事件簿」(07年花組、原典は黒蜥蜴)での通称「結婚ソング」とか、「暁のローマ」(06年月組)のトド様カエサルを讃えての「カエサルはえらい♪」大合唱などである。

【カサゴ?マツケンサンバ?大衆演劇?コテコテのラテンショー】
最近は減少傾向ではありますが…よく草野且氏とかのショーであった、ラテンショーの一部の衣装。
両腕と両脚に御大層なフリルみたいな飾りがゴテゴテとつき、襟にもエリマキトカゲみたいなフリフリがつき、たまにはインナーが透けそうなくらいに胸元が開いた衣装。にしきのあきらもかくやという、昭和チックなスター衣装をここまで惜しげもなく使い続けているのは宝塚だけではあるまいか。
そもそもなぜ宝塚で黒塗りラテンショーなどやるのか...という疑問も出てくるが、これを掘り下げるとオリエンタリズムやポリコレなどのセンシティブな方面に触れざるを得ないので、とにかくそういうものがある、ととどめておく。


【ハロプロの場合】
ハロプロもまた、トンチキと切っても切れない縁で結びついている。そもそもつんく♂さんのユニット命名センスからして昔から言葉遊びを活かしたものが多かった(後浦なつみとかあか組4・黄色5・青色7とか)。
曲も衣装も指摘し始めるときりがないが、昔から「すき焼きの歌なのに沖縄風のメロディー」「10期加入後の初のシングルで若い9期10期にひよこのコスプレをさせ、お姉さんズはニワトリ」「アユハピでのEDMからのマサイダンス」(いずれもモーニング娘。)などなど、通常の感覚ではちょっと考えられないような何かと何かの化学反応を起こしてみせるのも特徴だ。

トンチキはスマイレージ初期~中期にも多い傾向で、「恋にBooing ブー!で豚鼻をつけさせる」「寒いね。でなぜかアニメの戦隊ヒロイン風衣装」「○○ がんばらなくてもええねんで!!/ヤッタルチャンの二大関西弁アイドル歌謡」などなど、発想はいいのになぜそうなる?と思うポイントが多い。

比較的トンチキ要素低めなJuice=Juiceもタイトルからしてそれとわかる「地団駄ダンス」をリリースしたことがあるし、昨春ブレイクし2020ハロプロ楽曲大賞でも2位だった「ポップミュージック」もまなかんやたこやふコンビに鳩の(それも結構リアルな)かぶりものを着せる絵からPVがスタートする。ポップミュージック、70年代の洋楽オマージュを織り込んだりしていい曲なのに、「何故ストレートに彼女たちの美やスキルを表現しようとしない?」と突っ込みたくもなる(まあリリースはKANさんの方が先だったけど)。

そして、当代ハロプロでトンチキの極みといえば何をおいてもBEYOOOONDS。「眼鏡の男の子」の寸劇や口上、「Go Waist!」のPVも昔の通販番組みたいなつくりにしたあげく江口さやりんによるサヤーズブートキャンプと、初見ライト層はまず面食らうであろう。そこで沼にはまるか、スルーしてしまうかはその人次第。

極めつけは衣装。2年前の1stライブの頃の赤いパンツスタイルのやつなどがその極致だ。


…カニカマか?
デビューしたての子達でもこのように容赦なくセンスが迸った衣装を着させられる(その年の夏のTIFのレースと黒のアンダーの衣装は格好よかったのに…
ちなみに衣装に関して唯一このトンチキの魔の手から逃れられてると思うのがつばき。なのだが、それでも坂道に比べるとチープ感は否めない。

まだ年端もいかぬ研修生にも「おへその国からこんにちは」なるタイトルの歌を歌わせたり(おへその国とは?)、突然「地球がディスコティック♪」と大地が踊り出しそうなファンキーなナンバー(Say! Hello!)があったりするので油断もスキもない。

重要なのは宝塚もハロプロも、作っている方・やっている方は真剣で一生懸命なのだということ。決してウケ狙いではなく本気でトンチキの力を信じて発信しているから、その本気にアテられた客はハマっていくのだろう。



で、こういう「トンチキ」、坂道には絶対にあり得ないセンスだ。乃木坂に限らず櫻坂・日向坂も。衣装を見るだけでわかる。

論より証拠、ちょうど白石まいやんのチャンネルに「【これで見納め】厳選74着!乃木坂衣装でガールズルール【本人が踊ってみた】」と歴代衣装を着て見せた動画があるのでご覧いただきたい。


トンチキのトの字もない。清楚にして華麗。とりわけ「サヨナラの意味」「でこぴん」「Rewindあの日」「シンクロニシティ」等が素晴らしい。コミカル要素の強いさゆりんご軍団の衣装さえもリンゴを可愛くデフォルメしてアクセサリーにしたいりしている。まあ、そんな乃木坂でもRoute246の衣装は珍しくハロプロ寄りでしたが(靴はスニーカー、パーカーのようなトップスにボトムスはパンツスタイル、それでもグループからの紫基調でらしさは保っている)。
あと楽曲で言うと「ぼっち党」がギリギリの線だがあれはトンチキというよりコミカルソングと言うべきでしょう。いい曲だけど地団駄ダンスほどの破壊力には欠ける。


センスと贅を尽くして憧れの対象となった坂道も、トンチキという凶悪なブラックホールでもって一度捕まえた観客を離そうとしない宝塚・ハロプロも、どちらもよきかな。



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