「ちゃんさん」がYouTubeで彼女らしく、突然卒業を表明してから、紆余曲折あって10カ月。
12月10日@日本武道館に落ちついた、宮本佳林卒業スペシャル「続いていくSTORY」。
Juice=Juiceらしく、明るく華やかに、アイドルとしての宮本佳林を送り出すライブになった。
筆者はこの佳林ちゃん卒コンだけの現地参加でしたけど、ハロプロとしては前日のアンジュルム・ふなっきと合わせて2日連続で、ふなっきの方は終盤卒コンらしい涙・涙の中で終わったのに比べると、始終カラッと明るい武道館だった。
そこには表舞台から去ってしまうふなちゃんとソロ活動を続けるかりんちゃんという違いももちろんあるけど、
およそ1年ぶりの大箱での全力単独ライブがかなった戦闘力最強アイドルJuice=Juiceが、持てるエネルギーを解放しきった御蔭でもあるように思う。
ま、一言で言うとやっぱJuice=Juice最高!ってだけなんですけどね。セトリもメンバーも文句なく、昨年の代々木以来の大箱で、コロナなんのそので縦横無尽に踊るメンバーを見てて、これがハロプロでありアイドルライブだよな!と生気を取り戻した気分。卒業延期という思わぬ副産物のおかげて、本来かりんちゃん卒業後合流のはずだったれいれいも入れての9人でのがっつり全力パフォーマンスが実現した。
【ステージ構成】
今回の武道館はセンターステージ構成で、筆者が当たった北ブロックだと背中側になるのだが...心配一切無用!
楽屋からセンターステージへの花道と、東西に突き出た出島(?)を活かしてステージ前方、後方どちらも向いてパフォーマンスしてくれるので、北側でもほとんど気にならない。スクリーンもあるし。
客席の方は着席・静かに観覧ということで、もちろん皆マナーを守っていたけどそこは訓練されたハロオタの皆様、クラップと(手だけの)振りコピで楽しんでいた。主役はかりんちゃんだから基本紫のサイリウムが多かったけど、推すメンバーの色も出したい、となると2本持っておいた方がよかったようだ。
(セトリ)
M1 ひとりで生きられそうって、それってねえ、褒めているの? M2 好きって言ってよ
M3 プラトニックプラネット M4 風に吹かれて M5 禁断少女
M6 愛・愛・傘 M7 銀色のテレパシー M8 如雨露
対バンメドレー(計9曲)
M6 愛・愛・傘 M7 銀色のテレパシー M8 如雨露
対バンメドレー(計9曲)
M10 CHOICE&CHANCE M11 ポップミュージック
M12 この世界は捨てたもんじゃない M13 未来のフィラメント M14 がんばれないよ
M15 微炭酸 M16 私が言う前に抱きしめなきゃね M17 ロマンスの途中
M18 生まれたてのBaby Love M19 泣いていいよ
(EN)
M20 続いていくstory
M21 Magic of Love
M22 Wonderful world
セトリはこう。これでもBorderline・Fiesta!Fiesta!・イジ抱き・Never Never Surrender!・Girls be Ambitious!・TOKYOグライダー等がセトリ落ちしたという事実。層が厚すぎる。
【開演~メドレーまで】
開演時間になると、客席から自然に「か・り・ん」のリズムに乗った手拍子が沸き上がる。暗転してメンバー1人1人の名前がスクリーンに出て(ここのフォントが筆記体でオシャレなのいいね)、かりんちゃんによる「ひといき」歌い出しのアカペラからスタート。
最初の衣装はいつものハロプロのセンスで、ゼブラみたいな蛍光のストライプ柄(オリメン4人が黄緑、まなかんれいれいが青、るるちゃんだけ水色、たこやふがオレンジ)なんだけど、かりんちゃんがちょこんとダービーハットみたいな帽子をかぶってるのがまた可愛い。
かりんちゃんは前週の松戸とZeppでも見てるんだけど、スタイルもお顔もシュッとしたというか、余計なモノがそがれて洗練されて宝石のように輝いたオーラを放っているかのよう。卒業オーラというやつか。(その代わり、言動の方は可愛いハロメンへの変態化が暴走気味だがw)
ひといき・プラトニックプラネット・好きって言ってよと圧の強い3曲がいきなり続く。北ブロックだから背中ばっかにならないかなと思った不安はこの時点で雲散霧消、9人が互い違いに前方と後方を向いたり、花道と出島にも出てきてくれるのでセンターステージも見たい、近くに来てくれらたメンバーも見たい、ついでに振りコピもしたいで目と手が足りひーん。
自分の席だとよく視線に入ることが多かったのはれいれいとまなかん。まなかんの客席釣りスキルは相変わらず天下一品だし、小柄な体躯から繰り出すダンスがルックスとのギャップもあってより魅力的と、かりんちゃんとは別の路線でアイドルサイボーグなのだ。れいれいはこのスキルとビジュアルでこぶし最年少だったのか?と思うほどの貫禄を既に備え、朋子やあーりーと派手な顔立ちが多いJuiceにさらに華を添えてくれる。
こんな風に卒コンといっても、けっしてちゃんさんばかりが目立っていない。最初で最後の9人のJuice=Juiceのライブステージ、しかと見届けなくては。
プラプラが終わって最初のMCだったが、ほぼメンバー紹介だけでライブ再開。「風に吹かれて」はバグパイプと打ち込みが織りなすサウンドが心地よい(乃木坂でいうと「革命の馬」みたいな)。
んで、ファンキーなシティポップの禁断少女からのセトリが神!優勝! 80年代オマージュのミディアムな愛・愛・傘、同じくレトロでロマンティックな銀色のテレパシー、如雨露と続くではないか!また3曲ともかりんちゃんの絹のように綺麗で清涼なボーカルが映えるのだ。
愛・愛・傘は傘を持つ演出がなくても優雅だし、サビの振りがひたすたキュートな銀色のテレパシー、そして如雨露では8人の輪の真ん中にかりんちゃんが入り、花が咲くような粋な演出を見せた。
金澤・植村・稲場・段原の4人でMCを挟んだあと、衣装を替えて怒涛の対バンメドレーが始まる。かりんちゃんだけが出ずっぱりで、8人とかわるがわる対バンデュエットをやってみせる。衣装はシルバーのロングジャケットとインナーという組み合わせで、ジャケットの裏地がかりんちゃんカラーの紫になっている。
まずは卒業延期のおかげでかなったれいれいとの共演で「伊達じゃないようちの人生は」。選曲自体もボルテージを上げていくのにぴったしだし、高音のかりんちゃんと張りのある低音で歌えるれいれいのコントラストで魅了する。
次はフレッシュな由愛ちゃん・里愛ちゃんと。由愛ちゃんが「アレコレしたい!」で、里愛ちゃんが「背伸び」なのだが、もう2人の持ち味にぴったりすぎるじゃないですか!天真爛漫で王道アイドル一直線の由愛ちゃんと、クールで斜に構えた里愛ちゃん。本当にこれメンバーだけで決めたのか!?皆セルフプロデュース力凄すぎますよ。
由愛ちゃんは順調に開花してる感じで、歌って踊れるこのライブを全力を楽しんでいるのがよくわかる。髪も伸びてオシャレになったよね。
里愛ちゃんは、(10月10日のJuiceイベでもだったけど)前髪を上げて左分けショートにしたのが大正解。グッと大人びた印象になり、また性格なのか今まではMCでもどことなくツンツンしていたが、この日は先輩卒業のためは感情を表に出すような仕草も目立った。
「Vivid Midnight」でまなかん登場!。この曲の洋楽とKPOPがミックスしたガーリーな感じならまなかんですよねー。まなかんのピンクとかりんちゃんの紫でフェミニンに染まる場内。そしてまなかんもダンスで盛り上げる。
るるちゃんとは「SEXY SEXY」で。Fiesta!Fiesta!が示すように彼女とラテン的哀愁との相性は抜群なので、特にAメロ~Bメロの重低音の迫力を何倍にも増幅させてくる。
ここから1stアルバムの「First Squeeze!」由来で急に選曲がマニアックになります。同い年のあーりーとは「スクランブル」。原曲はごっちんのソロで、道理で正統派ハロプロ調だと思った。美貌とスタイルが目立つあーりーだけど、美声だって推せるんだよなあ、とクラップしながら2人のデュエットに聴き入る。
で、あーりーがハケて流れてきたイントロが「ラストキッス」。え?ここでタンポポ?と思ったら紗友希と2人でカバーしてたのね。ぶっちゃけこれも原曲のクオリティ越えてるでしょ。この日の紗友希はしっとりと人妻のようなオーラを始終放っていた。
最後の「ともかりん」コンビは「香水」で(原曲はメロン記念日)。黒髪でも美しい朋子とかりんちゃん、この2人のデュエットもアイドルの枠を超えている。
メドレーラストは武道館だし、この流れならやるだろうなと思っていた「大人の事情」を4人で華やかに。ゆかにゃをあわせた初期の5人で主演した「武道館」の挿入歌だ。この卒コンも東京ガーデンシアターでの予定だったけど、結局ゆかにゃも送り出した武道館に落ち着いたのも何かの因縁か。
【幸福感とエモエモのままラストへ】
が、MCもほどほどに全員で「CHOICE & CHANCE」へ。「大人の事情」にもまして圧の強いアッパーな曲をこうやってマシンガンのごとく繰り出してくるのがJuice=Juiceだ。衣装も序盤の極彩色ゼブラ柄より洗練されてるし、ステージセンターでれいれいがボイスパーカッションをカマしてくるサプライズも披露。卒コンだからって他のメンバーも大人しくしてたりしないぜ!
そして鳩の鳴き声が聞こえてくれば「ポップミュージック」へなだれ込むが、鳴き声に合わせて鳩のモノマネをしてみせるかりんちゃん(笑)。ステージ上も見ていたいのに手振りが可愛すぎて本能的に真似してしまう。
新しい彼女のソロ曲「未来のフィラメント」はミディアムなエレクトロポップだ。確かに彼女の澄んだボーカルをソロで聴かせるにはこれや「氷点下」のような路線が合っているが、他のジャンルはどうするんだろう。sora tob sakana(解散しちゃったけど)みたいな方向が向いてそうだが。
「がんばれないよ」は8人でのバラードで正統派なガールズポップに仕上がったが、8人がセンターステージで1列に並んだ時のオーラは半端ない。かりんちゃんがいなくてもライブのパワーは衰えまい。
ジャケットを脱ぎ捨てると「微炭酸」「私が言う前に抱きしめなきゃね」「ロマンスの途中」、そして「生まれたてのBaby Love」とアンセム立て続けのラストスパートが始まる。クールな微炭酸、煽情的なわた抱き、これを歌わないわけにいかないロマンスの途中ときたところで、極めつけは生まれたてのBaby Loveの幸福感!立てないけどクラップとサビの振りコピだけでも気分は最高潮だ。
生まれたてのBaby Loveではしゃいだ後の本編ラストは「泣いていいよ」でした。エモいはエモいのだが、正直バラードのハロコンで開演前にえんえんと流れているので聞き飽きた...(苦笑)
(アンコール)
アンコール映像はかりんちゃんのエッグ時代からJuice結成―メジャーデビューの頃や武道館ライブなどの歩みを。初期の映像でつかぽん(大塚愛菜)がちゃんと映っている...
そして「続いていくstory」でかりんちゃん1人ドレスをまとってご登場。キター!松田聖子さんオマージュのような超正統派な、水色と薄紫の中間色のようなプリンセススタイルでひたすら美しい。曲のオーケストラアレンジもエモいのだ。
本人も言ってたけど、同期のタケちゃん、後輩のどぅーや小田ちゃんにデビューを抜かれたり、「イジ抱き」の頃とか怪我で休んだりと苦労多かったよねえ。それでもつんくさんに「だってJuice=Juice組めなくなるやん」と言わしめ、居場所を作れて7年間もアイドルを極めてくださった。
そして8人も登場するが、すでに朋子や紗友希、あのクールな里愛ちゃんまでも感極まっており声が震えている。
で、歌い終わるとかりんちゃんのみハケて、リーダー朋子から彼女に向けた言葉が。曰く「友人のような家族のような、友達とも違う特別な存在」で、後から加入したメンバーにとっても「佳林のやさしさ、柔らかい雰囲気、真っすぐなやさしさに助けられたと思います」と続ける。そして「ライブが大好きな佳林とともに、この日をJuice=Juiceファミリーの皆さんの前で迎えられて、ありがとうございます(この辺うろ覚えだけど)」と挨拶。
結局、卒コン恒例の「贈る言葉」的な感涙のシーンはここだけでしたね。朋子が言ったように1曲でも多くやりたいという彼女たちの意向もあったようだし、パフォーマンスしてる時は完璧なアイドルなのにステージオフではポンコツ気味なかりんちゃんらしく、あくまでライブでもって観客に応えたいというコンセプトだったようだ。
んで、朋子がかりんちゃん呼んだら、また着替えててスパンコール付きのブルゾンとショートパンツというラフな装いで出てきた。やっぱり本人が一番カラっとしてるやん(笑)。
おまけに朋子のメッセージ読み上げを「楽屋で練習してたの見てたけど、最後まで噛まずに言えてやっぱリーダーで凄いな~って」(意訳)と楽屋裏を明かす。おかげで湿っぽいムードは吹っ飛び、「Magic of Love」へ。これもすっかりメモリアルなライブのアンセムになったよねー。送り出す紗友希の美声が流石に震えている。それでも落ちサビにはステージどセンターでスポットを浴びながらフェイクを聴かせてくれた。あと、客席からのコールが無いから恒例の「ここだよ朋子」コールをかりんちゃんが叫んでくれました。貴女最後まで朋子トップオタだわ。
おまけに朋子のメッセージ読み上げを「楽屋で練習してたの見てたけど、最後まで噛まずに言えてやっぱリーダーで凄いな~って」(意訳)と楽屋裏を明かす。おかげで湿っぽいムードは吹っ飛び、「Magic of Love」へ。これもすっかりメモリアルなライブのアンセムになったよねー。送り出す紗友希の美声が流石に震えている。それでも落ちサビにはステージどセンターでスポットを浴びながらフェイクを聴かせてくれた。あと、客席からのコールが無いから恒例の「ここだよ朋子」コールをかりんちゃんが叫んでくれました。貴女最後まで朋子トップオタだわ。
最後の最後は「Wonderful world」。ブラックバタフライ・Ça va ? Ça va ?等をリリースして世界のいろんなジャンルに挑戦してた時期のナンバーだし、ワールドワイドなハッピーオーラが武道館を包み込む。「もしもあなたと出会わなかったら 今頃私何してるかな?」という歌詞がエモいね。こんな情勢で平日に武道館まで押し掛ける酔狂なこと、Juiceとかりんちゃんのオタクになってなきゃできませんて。
歌い終わって、1人だけステージに残り、楽屋の手前でお辞儀をして、Juice=Juiceの宮本佳林は終わりを告げた。
が、翌日にはツイッターアカウント(プロフィールがそこらのハロオタと変わらない)を作り、BEYOOOOONDSの平井ちゃんのBDに参戦するハロオタぶりを見せつける。そのうち乃木坂のまいやんのようにYoutubeでいろんなアクションも始めるんだろうが、(ポンコツ一歩手前の)天衣無縫ぶりがちゃんさんのアイドル性なので、どう出てくるか見当つかない(笑)。
ともあれ、もうJuiceで彼女のボーカルを聴くことはないのだな、と思うと喪失感が無い訳ではない。ちゃんさんだけでなく、朋子と紗友希も唯一無二の声質の持主なのでこの2人がいないJuiceも想像がつかない。一方でたこやふコンビの急成長・新風を吹き込んだれいれいの存在もありがたく、ワクワクと喪失感を抱えたままJuiceファミリーの1人としては応援していくのだろう。
【超余談】
えー、実はこの後乃木坂のアンダラ(アンダーライブ)でまた武道館に行く予定です。18~20日の3日間開催だけど千秋楽が取れた。
んで、この久々のJuice=Juiceライブを体感してしまった後思ったのが…勝負になるのか、これ?
や、グループも何もかも違うんだから優劣もへったくれも無いし俺が勝手に比較してるだけですけどさ。
推しの1人の珠ちゃん(阪口珠美)が座長だし、ひなちま・蘭世・でんちゃんと美貌の持ち主も多くいらっしゃるのだが、ことライブのクオリティとなると佳林ちゃん卒コンのおかげで無駄にハードルが上がってしまった。
乃木坂も演出力と美的センスは凄いから、そこは楽しみでもあるんだが。2月のバスラ@ナゴドの時はまだ何が何やらわからん状態だったけど、その後乃木坂のカルチャーもいろいろ学ばせていただいたので、こちらこちらでたっぷり楽しむつもりで。