京都秘封探訪

「秘封倶楽部」を中心とした、東方Project関連の覚え書き。

「リズと青い鳥」、所感と感想

※このテキストには現在上映中の映画「リズと青い鳥」のネタバレが含まれています。

 

 2018421日(土)より、京都アニメーション製作の映画「リズと青い鳥」が全国で公開されることとなりました。この映画は宝島社より刊行されている小説「響け!ユーフォニアム」シリーズが原作となる作品です。

 「響け!ユーフォニアム」は、京都府宇治市にある北宇治高等学校という架空の学校の吹奏楽部を題材とした小説であり。これまでにも宇治市に本社を置く京都アニメーションによって第一期、第二期に分けてテレビアニメ化がなされ。そしてテレビシリーズを再編した劇場版ふたつも製作されました。

 アニメ第一期では、北宇治高校に入学した新一年生である黄前久美子(ユーフォニアム担当)や高坂麗奈(トランペット担当)らを中心に、北宇治高校吹奏楽部が全国吹奏楽コンクールへの出場を目指して、京都府大会に臨む姿が描かれました。

 アニメ第二期では、同じく一年生である久美子と麗奈を中心に置いたままで、二年生や三年生たちの複雑な人間模様や苦悩や葛藤を交えつつ、京都府大会を突破した北宇治高校吹奏楽部が関西大会、そして全国大会に挑んでゆく……という内容となりました。

 そして今回の「リズと青い鳥」はアニメ第二期のさらにその後を描く物語となっており。「リズと青い鳥」では、第二期でも様々なエピソードの語られた鎧塚みぞれ(よろいづかみぞれ・オーボエ担当)、そして傘木希美(かさきのぞみ・フルート担当)の二人が中心人物となり、二人の「友人関係」が一貫した主題となっています。

 今回は「リズと青い鳥」を観て、気になったこと、違和感を覚えたことなどをまとめてみたいと思います。

 

 

~リズと青い鳥、あらすじ~

 

 先の全国大会で惜しくも銅賞に留まった北宇治高校吹奏楽部。北宇治高校吹奏楽部は「全国大会金賞」の目標を掲げ、練習に励む日々を送っていた。

 今回、北宇治が自由曲として選んだのは「リズと青い鳥」。これは少女"リズ"と、リズと共に生きる"青い鳥"の愛と友情、そして出逢いと別れの童話を題材とした楽曲であり。その見せ場となるのは、リズと青い鳥の別離を描く第三楽章。オーボエのソロとフルートのソロの掛け合いであった。

 オーボエのソロを担当するのは三年生となった鎧塚みぞれ。フルートのソロの担当は同じく三年の傘木希美。内気な少女"みぞれ"と、陽気な少女"希美"。中学の吹奏楽部時代からの友人同士であるふたりは、みぞれはリズに、希美は青い鳥に自身の姿を重ね合う。

 中学時代、一人ぼっちであったみぞれは、偶然自分に声を掛けてくれた希美に誘われるがままに吹奏楽部に身を置くことになった。それ以降、みぞれにとって希美はみぞれの唯一の友人であり、そして全てであり。「希美の決めたことが自分の決めたこと」と述べる程の存在となっていた。孤独な自分に希望を与えてくれて、そして手を引いてくれた希美はみぞれにとってまさに青い鳥そのものに他ならなかった。

 ……童話において、リズは青い鳥との間に深い愛と篤い友情を育みながらも、大空へ羽ばたける可能性を持つ青い鳥を自身の元に閉じ込めてしまうことを自分で許すことができず。青い鳥と別れる決意をし、青い鳥を鳥篭から解き放つ。そして、その二人の互いへの問いかけと別離を描く旋律こそが、みぞれのオーボエと希美のフルートであった。

 オーボエのエース、フルートのエースと形容される程の高い演奏技術を持つふたり。だが、ふたりのソロはどこか噛み合わない。周囲の者たちもみぞれに「相性が悪いのではないか」「自身を抑えた窮屈そうな演奏をしている」と心配の声を掛ける。

 何故か。みぞれと希美にはすれ違いの過去があった。ふたりが高校の一年の時、ある日突然、希美は吹奏楽部を去った。だが、みぞれは友人だと思っていたはずの希美から何も聞かされていなかった。その後、二年生になって希美は再び吹奏楽部に復帰するも、みぞれは常に「いつか希美はまた自分の元から去ってしまうのではないか」と恐れ続けていた。

 新一年生に慕われ、賑やかな日々を送る希美。希美以外の者とは距離を取り続けるみぞれ。迫る卒業の時、決まらない互いの進路。ふたりの距離が少しずつ変わり始める。

 「自分にはリズの気持ちは分からない。自分ならば青い鳥を閉じ込めてしまう」。告解し、苦悩するみぞれ。全ては希美を想うがゆえ。希美との離別を恐れるがゆえであった。

 「リズと青い鳥の別れ。お互いの音を聴くことが何より大事である」「オーボエはリズを、フルートは青い鳥を表していると言われている」「オーボエはフルートに語りかけ、フルートはオーボエに応えねばならない」。……やがてみぞれは答えを得る。自分はリズにばかり自らを重ねていた。だが、青い鳥の心はどうだったのか。そして臨んだ合奏練習。儚く悲しく、切なく愛おしく、そしてあまりに豊かな感情を見事に奏で上げるみぞれ。そのオーボエの音色は吹奏楽部員たちを戦慄させ、感嘆させ、驚愕させる。それはかの希美をも落涙させるほどであった。

 合奏後、みぞれは希美に想いの全てをぶつけ、抱き締める。それは希美にすらも自身のことをほとんど語らなかったみぞれが、初めて誰かに自身の気持ちを――愛を、はっきりと自身の言葉で伝えた瞬間であった。そしてまた希美も、不器用ながらも自身の本音をみぞれに吐露するのだった。

 それぞれの道を歩み始めるみぞれと希美。進む先は異なっても――ふたりは笑顔だった。

 

~みぞれと希美。ふたりは友人なのか~

 

 みぞれにとって希美はかけがえのない唯一無二の友人。それは「希美だけが、自分の全てである」との言葉からもよく分かります。ただ、それは同性愛とまでは行かないにしても、かなり重篤で危険にも思える『依存』であり、あまりに一方的にみぞれが希美という存在に寄り掛かっている……ようにも見て取れますし、実際アニメーションでの演出を見る限りでは、そうとしか解することができません。事実、みぞれは希美以外の人間とは積極的に関わろうとはしませんし、遊びの誘いなども断り続けていました。他にも、日曜日の登校時、みぞれは正門の前でずっと希美がやって来るのを待ち続けていたりもしました。また、アニメ第二期においてみぞれと希美のエピソードが語られた時は、みぞれにとって希美はトラウマのような存在にまでなっていました。

 一方で、希美にとってみぞれはどうなのか。「友人」であることに間違いはないのでしょう。だが、それはどの程度の「友人」であるのでしょうか。少なくとも希美の中のみぞれは、みぞれの中の希美のような「依存に近しい対象」ではありません。みぞれとは正反対の社交的な希美にとって、みぞれは「あくまでも、大勢いる仲の良い友人の一人」に過ぎないのではないでしょうか。

 アニメ二期では高校一年生時、希美が不真面目な態度の二年生たちと対立して吹奏楽部を去って行きましたが、それについて希美からみぞれに直接間接の相談や報告は一切なく。みぞれは後になってから希美が部活を辞めたことを周囲から聞かされています。

 ……ふたりは本当に対等な友人同士であるのでしょうか。「リズと青い鳥」のPVでは「ふたりは中学からの親友」と語られていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。

 リズと青い鳥のラスト附近にて、みぞれは希美を抱き締めて「希美の全てが好き」と告白しますが、希美にとってそれは……あまりに重過ぎる「愛」であり。同性愛ではないとしても、多大な戸惑いを覚えることだったのではないでしょうか。

 みぞれと希美の中学では「ハグ」が流行っていたそうです。それは互いをハグしながら、互いの好きな所を一つ一つ述べてゆくというものだったそうです。

 同じ中学出身の後輩たちがハグをしているのを見て、希美はみぞれに「ハグしようか」と持ちかけて両腕を広げます。ですが、みぞれが希美に手を伸ばしかけた瞬間、希美はそれを辞めてしまいます。また、後日、希美の気持ちを確かめたいみぞれの方から希美が「ハグして」と持ちかけられた時、希美は「また今度ね」と、みぞれを置いて去って行きます。

 ……みぞれの愛が重いと感じて距離を取ろうとしていたのか。それとも何となく気恥ずかしくて希美が逃げてしまったのか。その距離感、その間合い、その空気感。非常に興味深い演出でございます。

 

~みぞれの依存、そして成長~

 

 みぞれは、希美以外の者とは距離を取り続ける日々を送っていました。お祭りに誘われても「希美が行くなら自分も行く」。大学についても「希美が行く大学に自分も行く」と、何においても希美に追従する形でした。

 ですが、みぞれにも自身を慕ってくれる後輩ができて、ほんの少しずつではありますが他者との関わりを見せるようになります。後輩の女の子にリードの作り方を教えて上げたり、作って上げたりもしていました。

 また、劇中後半でも希美から「プールに行こう」と誘われた際には「他の人も連れて行っていい?」と自分から切り出して、希美を驚かせます。

 希美の存在に依存しっぱなしだったみぞれ。吹奏楽部内でも、希美が他の部員たちと仲良く過ごすのを目の当たりにし、みぞれは孤独や寂寥を感じているような演出が何度もなされています。ですがその中でみぞれは、少しずつではありますが希美への依存から脱却し、成長してゆきます。これが「リズと青い鳥」の大きな見所の一つだと個人的には感じています。

 

~第三楽章の合奏。希美の涙の理由とは~

 

 何度合奏しても上手くゆかない第三楽章、みぞれのオーボエと希美のフルートの掛け合い。それは吹奏楽部員たちはもちろん、それを見守る大人たちもが頭を悩ませていたことでした。

 リズと青い鳥、自分と希美。それらの苦悩と葛藤の末に光を見出したみぞれは、ある日の練習において顧問の滝に「第三楽章を合奏させて欲しい」と、皆の前で自ら手を挙げて頼み込みます。

 そこでみぞれが魅せた全力のオーボエは、その場にいる者全てを感動の渦に巻き込みます。中には泣き出してしまう部員もいる程でした。

 中でも、みぞれのオーボエとの掛け合いを務めたフルートの希美などは合奏中に涙を落とし、震える指と唇を必死で奮い立たせてフルートを吹く程でした。そして、なぜ希美は泣いたのでしょうか。

 みぞれのオーボエと希美のフルートの掛け合い、語り合い。互いの音を聴いて、互いに応え合うその旋律。それに心を打たれて他の部員たちは感銘を受けたのは間違いないでしょう。そして正直に言えば、自分はあのシーンにおいて、希美もまた同様の理由で泣いてしまった。あるいはみぞれのオーボエを通じて伝わってきたみぞれの心と想いと愛を"聴いて"涙を零したのだと思いました。

 ……ですが、合奏後。希美の口から語られたのは「みぞれは圧倒的な技術を持ちながらも、いつも実力をセーブして、自分(希美)のレベルに合わせて演奏してくれていた」ということでした。

 「リズと青い鳥」のPVにおいて「誰しも感じたことがある羨望と絶望」というナレーションが登場します。……希美は吹奏楽部のあり方を巡って先輩たちと対立するほど向上心の強い熱心な吹奏楽部員でした。そんな希美が、いつも自分が手を引いていたつもりのみぞれが、自分などは敵わない程の圧倒的な演奏技術を有していたことを知ってしまい、そしてそれを抑圧していたのは希美自身の存在であったことに気がついてしまいます。希美のみぞれに対する羨望、そして絶望。パンフレットのインタビュー記事によると「才能への嫉妬」でもあったと言います。それらは希美に、音楽大学への進学を諦めさせる一因ともなったようです。

 実はこの嫉妬。合奏以前よりその兆候を見せていたようです。映画中盤、みぞれが女性講師の新山に声を掛けられて「興味はある?」と音楽大学のパンフレットを渡されました。そのパンフレットを見た希美は「音大受けるの? 私、ここの大学受けようかな」と呟き、みぞれも「じゃあ私も……!」と述べました。

 みぞれにとってそれは「希美と同じ大学へ行ける(つまりずっと一緒にいられる)」という嬉しい出来事だったのですが、希美にとってそれは違ったようです。以前より希美はみぞれの才能に嫉妬していた部分があり「先生から音大を薦められたのはみぞれだけであり、自分は声を掛けられなかった。なら、自分も音大へ行けばみぞれに並び立てるのではないか」との考えが「音大を受けようかな」と言わしめたようです。

 ……このシーン。みぞれの嬉しそうな声と表情とは裏腹に、希美の顔には深い陰が落ちており、その表情を読み取ることはできません。この時、希美がどんな表情であったのか……。羨みか、妬みか、悔しさか――。少なくとも、「友人のみぞれと一緒の大学へ行こう!」という前向きな気持ちではなかったようです。

 

~最後のハグと違和感~

 

 第三楽章の合奏後、みぞれの周囲には賞賛の人だかりが形成されました。それはまるで、普段の希美がそうであるかのようでした。一方、希美は一人でひっそりと音楽室から姿を消してしまいます。

 希美を追いかけるみぞれ。みぞれは希美から「みぞれはいつも実力をセーブして、自分(希美)のレベルに合わせて演奏してくれていた」「先生から音大を薦められたのはみぞれだけであり、自分は声を掛けられなかった」といった本音の吐露を聞かされることになります。希美はみぞれの演奏に打ちのめされ、絶望していました。

 そんな希美にみぞれはハグを再び求めます。そしてみぞれは希美がハグしてくれるのを待つことなく、自ら希美を抱き締めると、矢継ぎ早に希美の好きな所を次々に述べていきます。希美の容姿、希美の中身……希美の全てが、みぞれにとって好きな所でした。

 全身全霊。文字通り体当たりでのみぞれの告白。それに対する希美の答えは

 

「みぞれのオーボエが好き」

 

 と答えたのみ。希美からのハグも、軽くみぞれの腰周りに手を添える程度のものでした。

 ……このセリフについて、個人的には違和感を覚える箇所でした。みぞれの告白に対して希美の返答は、あまりにも……簡素で簡潔で、同時に的外れで場違いなものにも聴こえてしまったのです。

「かけがえのない友人で、自分の全てである希美」

「あくまでも大勢の友人の一人であり、嫉妬と羨望の対象であるみぞれ」

 これまで積み重ねられてきた二人の友人関係の演出を鑑みた所、希美の返事はあまりにも薄っぺらく軽いものとしても解釈できてしまうのです。まるで重過ぎるみぞれの愛を、巧みに逸らし、誤魔化しているようにも聴こえてしまうのです。

 もちろん本質的な部分を端的に顕したセリフであると解釈することもできます。

 ……この「みぞれのオーボエが好き」のセリフについてはパンフレットのインタビューでも取り上げられているのですが、当然と言えば当然ですが明確な解答は記されていません。

 

・どれだけみぞれが言葉を重ねても、それは希美が望んだ『正解』ではなかったのではないか。

・みぞれ自身も、希美に何と言って欲しかったのかは分かっていなかったのではないか。

・これからみぞれは、希美に何と言って欲しかったのか、少しずつ分かってゆくのではないか。

 

 ……と言ったことのみが述べられています。ただ、山田尚子監督によると「『みぞれのオーボエが好き』と言う言葉を述べるのは希美とって相当勇気が要ることだった」とのことでした。

 「みぞれのオーボエが好き」。これはおそらく、あの場面においては正解となる言葉ではなかったのだと思います。ただ、それがみぞれと希美の距離感と関係性を表す象徴的なセリフとなっており、ふたりの未来と将来を思わせる重要にして重大な名セリフであったとも思います。

 もっと通り一遍等な間違いのないセリフを希美に喋らせることも出来たかと思います……が。ありきたりな愛の言葉よりも、きっとこの「違和感のあるセリフ」でなければ「リズと青い鳥」はここまで印象に残る作品にはなっていなかったと思います。

 

~結局、ハッピーエンドだったのか~

 

 後日。みぞれと希美は図書室で出会い、それぞれ別の本を借りて行きます。みぞれが借りたのは「リズと青い鳥」の文庫本。希美が借りたのはセンター試験の問題集でした。そして向かった先は別の場所。みぞれは音楽室へ向かいオーボエを取り出し、希美は図書室の片隅で問題集に取り組みます。これは、みぞれが音楽大学への進学を決意する一方、希美は音大を諦めて普通の大学への進学を決めた……ということの暗喩でしょう。つまりふたりは別々の道を歩むことを決めたということです。

 ……結局、この物語はハッピーエンドだったのでしょうか。

 童話「リズと青い鳥」について、みぞれは悲しい物語であり、自身にとっては耐え難い結末だと感じ取っていたようです。希美もまた、悲しい物語であり「ハッピーエンドの方がいいよね」と述べていました。

 希美は「リズと青い鳥が別れたとしても、また時々会いに来ればいいのに」と、あっけらかんとしていた部分もありましたし、みぞれと別々の大学に行くことになったとしても、取り立てて気にはしていないのかもしれません。

 一方でみぞれはどうでしょうか。みぞれにとって希美とは、当初は「離ればなれになるなんてとてもでは無いが耐えられない」程に重要な友人であり、対象でありました。ですが、みぞれは物語を通じて確実に、そして着実に成長を見せており。希美への依存から脱却していっています。みぞれは今度こそ自分の意思で音楽大学を目指すことを選び、自分の足で立って歩くことを決めたのかもしれません。

 もちろん、観ている側としてはふたりが同じ大学に通い、末永く仲良く連れ添ってゆくことがハッピーエンド……なのですが。何だか煮え切らない、割り切れない、わだかまりの残るエンドになってしまいました。とは言え、得てして青春ってそういうものですけどね……だから切なく、悲しく、尊く感じられてしまうもので。

 

 個人的に「リズと青い鳥」を総括すると、これはふたりの友人の物語ではなく。みぞれがほぼ一方的な依存、片思いに身心を病ませていたのが、やがて自分の足で立って歩けるようになっていく……という「みぞれの成長物語」だったのではないかと思っています。

 本来は「ふたりの友情物語」がテーマだったのでしょうけれど、ここまで散々観てきたように、希美にとってみぞれは「あくまで大勢の友達のひとり」であるとしか考えていない。そういう風に見えてしまうのですよね……

 ですので「ふたりの物語」「ふたりは親友」と言われても、かなりの違和感を覚えてしまうと申しますか……うん。

 

 いずれにしても「リズと青い鳥」。本当に良かったです。音楽、映像、演出、間合い、呼吸、拍子。どれを取っても素晴らしいの一言でした。映画を観て泣いたのは初めてでしたね……

 

 また近い内に劇場に足を運んで。もう一度、物語と向き合い「ふたりの物語」について精査してみたいと思います。

博麗神社例大祭15 頒布情報 「蓬莱の物語」

 4月に入り、京都の桜もすっかり葉桜となってしまいました。

 初夏のような気候に見舞われたと思えば、急激な冷え込みを見せる寒の戻りとなってみたり。なかなか気温も気候も安定しない今日この頃です。

 そしてまもなく東京にて、毎年恒例となる「博麗神社例大祭」が開催される時期となって参りました。今回は京都秘封探訪もサークルとして参加致します。

 今回は、その告知でございます。
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蓬莱の物語 レンガ4トリムs


小説「蓬莱の物語」

【STORY】


 紅燃ゆる晩秋の京都。年に一度の学園祭に沸く酉京都大学にて、蓮子とメリーは一つの舞台を観劇することになった。

 「Dolls in Pseudo Paradise」。それは八人の正直者たちの物語。まがい物の楽園で繰り広げられる、狂気と狂乱の御伽噺だった。

 啓かれる境界、曝かれる秘譚。蒼眼のアンティークドール。骨董商の青年。紅白の巫女。そして東の山のサナトリウム……

 夢は現に、現は夢に。嘘は真に、真は嘘に。そして幻想は真実へと変わる。

 蓮子とメリー。ふたりは忘れ去られた夢を見る。そう、異なる世界に生きる多くの妖怪たちと、少しの人間たちの営みを。秘められ封ぜられた幻想の物語を。

 蓬莱の物語を――

【試読版ダウンロード】

→小説「蓬莱の物語」(試読版)のダウンロードはこちら←

※オンラインストレージ「firestorage」 からpdf形式でダウンロードされます。
 スマートフォンからのダウンロードや閲覧も可能です。

【概要】

サークル:京都秘封探訪
文:慧

文庫判312ページ
頒布予定価格:1000円

頒布場所:第十五回 博麗神社例大祭 「せ-32a 京都秘封探訪」のスペースにて

※同人ショップへの委託は行いません。

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 試読版は冒頭87ページ分となっております。よろしければどうぞ読んでみてやって頂ければと思います。

 今回の小説は、2017年9月18日に行われた「第六回 科学世紀のカフェテラス」での新刊となります。京都において多目に刷っておいたのが、まだ残っているので、そちらを持って参ります。

 今回の小説はタイトルからも分かると思いますが、「蓬莱人形」がテーマとなっています。もちろん、いわゆる「初版 蓬莱人形」でございます。秘封倶楽部がお好きな方はもちろんですが、蓬莱人形に興味のおありの方も、どうぞお手にとってみて頂ければと存じます。

告知情報テンプレート 2018例大祭s


 また、この「蓬莱の物語」以外にも。他のサークルさんの小説本を一冊、委託という形で弊スペースへ置くことになるかもしれません。もしよろしければ、そちらもチェックして頂ければと思います。

 その他、新たな告知事項などがございましたらTwitterあるいはこちらのブログの方で告知させて頂きます。

 例大祭まで残すところ、あとわずか。どうぞ皆様、お身体にお気をつけて京都までお越し下さい。
 
 では、東京にて!

月と星から考察する秘封倶楽部の年代(幻想郷フォーラム2017版)

 以下のスライドとテキストは、2017年4月2日に名古屋で開催された東方Project評論系オンリーイベント「幻想郷フォーラム2017」における「オーラル」の部にて発表したものです。

 幻想郷フォーラムにおけるオーラルとは、スライドを用いてプレゼンテーション形式で東方Projectにおける研究や考察を発表する……というものでした。そして当日、京都秘封探訪は以前より各所で公開していた「月と星から考察する秘封倶楽部の年代」を発表することとなりました。

 今回は、当日、実際に用いたパワーポイントを掲載すると共に。発表時の口頭解説に加筆・訂正を盛り込んだものを公開致します。

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 2003年より始まった秘封倶楽部シリーズ。その舞台は現代よりも科学の発展した未来であるという。その時代が一体いつ頃であるのかという疑問については、長らく愛好家たちの間で議論と討論とがなされ続けてきたが。今なお、その解は得られてはいない。
 秘封倶楽部の時代考察には様々なアプローチが存在する。その中でもこの発表は、秘封倶楽部の原作CDにおける月と星の描写を考察することによって、秘封倶楽部の年代を導出しようとする試みである。
 月と星は嘘をつかない。月と星の運行を観測し、計算を行えば。人々は数千年、数万年も未来の星々の姿でさえをも知ることが出来るのである。ならば我々も月と星を観ることによって、秘封倶楽部の根源と本質とを解き明かしてみようではないか。そう、あの宇佐見蓮子のように――

                       (幻想郷フォーラム2017 発表要旨集より)
 
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 皆さん、お集まり頂きありがとうございます。京都秘封探訪というサークルを運営しております慧(けい)と申します。

 本日は東方Projectの評論系オンリーイベント「幻想郷フォーラム。その「オーラル」参加と言うことで、プレゼンテーション形式での考察発表をさせて頂くこととなりました。どうぞよろしくお願い致します。

 今回のテーマは「月と星から考察する秘封倶楽部の年代」です。秘封倶楽部シリーズは2003年12月より始まりまして、その舞台は現代よりも科学技術の進んだ近未来であると言われています。ですが、それがいつ頃の話であるのか……という点については長年に渡って議論と討論がなされてきましたが、いまだに明確な解は得られてはいないというのが実情です。

 そんな中でもこの考察は、秘封倶楽部の原作CDやブックレットに描かれた月と星の描写を元に、秘封倶楽部の年代を導出しようという試みです。では、持ち時間もあまりございませんので、早速始めさせて頂きます。

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 まずは、なぜ月と星なのか。秘封倶楽部の時代考察においては、様々なアプローチが存在します。

 例えば社会学的な時代変化の予測を元にしたアプローチ。以前、「秘封倶楽部の時代は少子化という概念すらも過去のものになってしまった」という設定を元に、将来的な人口の増加や減少の予測から秘封倶楽部の年代を推測しようとされている方がいらっしゃいました。

 また、科学技術の発展速度の予測を元にしたアプローチ。秘封倶楽部の時代においては、合成食料や月面ツアーなどの、現代ではいまだ実現していない技術が登場しています。現代の科学技術の進展速度から、それらが現実化するのがいつであるのかを予測して秘封倶楽部の時代を推測する方法もありました。

 さらに、現時点におけるインフラ整備計画からの推測。これはヒロシゲですね。卯酉新幹線ヒロシゲを、現在計画が進められているリニア中央新幹線になぞらえて、秘封倶楽部の年代を予測しようというものです。


 そして今回の「月と星から考察する秘封倶楽部の年代」。これは先ほど申し上げました通り、秘封倶楽部の原作CDとブックレットに登場する月と星の描写からアプローチしていくものです。

 ありとあらゆる社会学的数値予測には、不確定要素と予期せぬ突発的事態がつきものです。ですが、月と星は嘘をつきません。月と星の運行を観測し、計算を行えば。数百年、数千年先、数万年も未来の星々の姿でさえをも知ることが可能であり。ひいては、より確度の高い年代考察が可能となるのです。

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 何はともあれ、その為には秘封倶楽部のCDより、月と星の描写を見つけなければなりません。 幸いなことに、秘封倶楽部の原作CDとブックレットには月と星に関する描写や記述が複数個存在しています。

 「蓮台野夜行」においては、CDの盤面に月が描かれており、そしてケースにも11/3 02:59:59との数字が記されており。これは午前2時30分の墓回しは11月3日に行われたことを示していると考えるのが妥当です。

 また、「大空魔術」にも「16時31分、宵の明星が見える」という、星と時間についての台詞があり。その他にも「夏休み」「今年の中秋の名月」といった季節を読み解くヒントとなる台詞や、「月が顔を出している」という記述もあります。

 そして、これらの描写と条件を全て満たす年代こそが、秘封倶楽部の時代、年代である可能性が極めて高いと言えるのです。 

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 初めに蓮台野夜行の考察です。盤面に描かれいる月は逆の三日月とも呼ばれるもので、月齢としては25の頃の月であり。それが空の中程にまで登ってきた時のものとなります。

 そして盤面の台座に記された「11/3 02:59:59」という文字。こちらは言うまでもなく午前2時30分の墓回しの時刻です。

 これらの月のイラストと、月日と時刻より。11月3日の午前2時30分に月齢25の月が、イラスト通りに観測できる年代。それこそが蓮台野夜行の年である可能性が高い……と考えることができます。

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 21 世紀と22 世紀において、11 月3日に月齢21~28 頃までの月が現れる日をリストアップすると、左の二つのリストの通りとなります。さらにここから、京都市における月の出や南中時刻、細かな月齢を考察して取捨選択致します。
 
 21 世紀ですが、まずは月の出が午前2 時30 分よりも遅いものは全て除外。次に、蓮台野夜行の盤面通りの月となるのは、月の出からおよそ2 時間半前後であり、月の出の時間は午前0 時前後となります。どうしても誤差があるので厳密には言えませんが、ここで残るのは

 2015、2026、2034、2045、2053、2064、2072、2075、2083

 の9 つです。2018 や2037、2056 や2094 も捨てがたいのですが、月の出の1 時間後で、盤面通りの月を見るのは難しく、やはり除外となります。
 
 さらに月齢を見ると、2015 はもはや下弦の月なので除外。2034 と2053 と2072 と2083 も同様。よって候補は

 2026、2045、2064、2075

 となります。同様のデータ処理を22 世紀にも行ってみまして。結論のみを書きますと、

 2140、2151、2170、2189

 の4 つが候補として残ることとなります。

 もちろん、盤面の月が午前2 時30 分に見えるものではなく、単純に11 月3 日に観える月であるとするならば、候補はまだまだ増えることとなります。ですが、今回に限ってはオッカムの剃刀の謹言に従って、「2 時30 分に見えた月」のみを考察致します。そしてこれらを総合すると、

 2026、2045、2064、2075
 2140、2151、2170、2189

 の8 つの年となります。 

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 蓮台野夜行の年代候補が8つに絞られまして、次に大空魔術の考察となります。その前に、大空魔術の年代について考えねばならないことがございます。

 蓮台野夜行は11 月の物語です。しかし、大空魔術には「夏休み」「今年の中秋の名月」という台詞が登場しています。

 大学の夏休みとは概ね8月から9月にかけてであり、中秋の名月は9月頃となります。よって大空魔術は1月から7月までの間のエピソードとなり。秘封倶楽部のCDが時系列順となっているならば、大空魔術(1~7月)は蓮台野夜行(11月)の翌年以降の話となります。

 また、多くの大学は4年制となっており。蓮子とメリーが留年や大学院への進学をしていないのであれば、大空魔術は蓮台野夜行の翌年、翌々年、翌々々年の3パターンが考えられます。

 そして蓮台野夜行の年代候補が8通りであることから、3をかけて大空魔術の年代候補は24通りが考えられることになります。

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 大空魔術の年代候補は左のリストの24通りとなります。そして、大空魔術には「宵の明星が見える」との台詞がありますので、それぞれの年代において宵の明星が見える時期を調べてみることにします。

 大空魔術は夏休み前の話であるので、8 月以降に宵の明星が見える年は条件から当てはまりません。よって24 のうち幾つかは候補から除外され、大空魔術の候補は右側の17 の年代の時期となります。

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 正直に申し上げますと、現段階で、秘封倶楽部のブックレットやジャケットに記された月と星の描写から年代を絞り込むのは、これが限界となります。ここから先は、やや妄想の範疇になってはしまうのですが、さらなる絞り込みに挑んでみましょう

 これまでに挙げて来た条件以外に、さらに二点の条件を追加します。

 第一の条件は、大空魔術の盤面に描かれた月です。大空魔術の盤面と、ブックレットの裏面には満月と思われる月の写真が掲載されています。これが大空魔術の当日の月であるという直接の描写はありませんが、大空魔術の日は満月であったと仮定します。
 
 次に第二の条件は、大空魔術の「日没前に見える宵の明星」です。宵の明星とは日没直後の頃、西の空に輝く金星のことなのですが、実は一年間における京都の日の入りの時刻を考えると、通常ならば16 時31 分に宵の明星が見えることはありません。

 しかし、特定の条件下においては、日中に肉眼で金星を捉えることも不可能ではないのです。

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 まずは満月。前項で候補にあげた17 の時期のうち、満月となり。さらに夕方以降に月が見える日を抽出すると、上記のようになります。

 ご覧の通り、かなり細かな日付までもが分かってしまうので、 上手く行けば大空魔術の年代だけでなく、日付までもが特定できるかもしれません。

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 そして大空魔術における宵の明星についてです。先程も申し上げました通り、宵の明星とは「日没後に」西の空に見える金星のことです。

 京都において、もっとも日の入が早くなるのは12月の上旬頃、その時刻は16 時45 分頃です。参考までに言えば、2015 年の京都において、最も日の入が早いのは12 月2 日から9 日までの16 時45 分でした。なので、厳密に言えば、どうやっても日没前である16 時31 分に京都で宵の明星が見えることはありえません。

 しかし、金星とはシーズンによって光度……つまり明るさが著しく変化する惑星です。そして最も光度が高くなった時を「最大光度」と言うのですが。最大光度を迎える頃の金星はマイナス4.5 等級ほどにもなり、1 等星の100 倍もの明るさになります。インターネットで探せば、最大光度を迎え、日中に視認できる金星の写真も見つかります。そしてその時には、昼間でも肉眼で金星を観測するどころか、金星の光によって地上に影が出来るほどであると言います。

 つまり日没前の16時31分に蓮子が見た宵の明星。この宵の明星は最大光度を迎えた頃の金星であるからこそ、観測することができた……と考えることが可能なのです。

 では、金星が最大光度を迎える時期とは、どういったものなのでしょうか。

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 上記の図は地球と金星、そして太陽の位置関係を図にしたものです。ブルーが地球の公転軌道、オレンジが金星の公転軌道となります。

 言うまでもなく金星とは太陽系の惑星であり、地球の公転軌道のさらに内側に位置する星です。そして、地球から見て太陽よりも遠くにある時期を「外合」、太陽よりも近くにある時期を「内合」と言います。また、金星が地球から見て東方にある時が明けの明星の時期であり、西方にある時が宵の明星の時期となります。

 さらに、金星の公転によって地球から見て太陽と金星の角度は常に変動するのですが。その角度が最大になる時を最大離角と呼び。宵の明星の時期の最大離角を西方最大離角と呼びます。明けの明星の場合は東方最大離角ですね。
 
 昼間でも金星が見えるほどに明るく輝く最大光度となるのは、金星が内合になってから最大離角になるまでの中間の位置にある頃です。宵の明星の場合は、西方最大離角になるまでの中間の位置です。

 この頃の金星は三日月のような形……厳密に言えば逆の三日月。つまり蓮台野夜行の盤面の月と同じような形確認することができるですが、その頃が大空魔術の時期である可能性が高いのです。

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 そして、先の日付の中から。金星が最大光度となる時期の頃のものを抽出すると、大空魔術の年代と日付の候補は上記の9つとなります。

 ……正直に言えば、月と星からはこれ以上の絞り込みはどうやっても不可能です。ただ、「16 時31 分、宵の明星」という蓮子の台詞から考えれば、そう遠くない時間には日が沈みそうな雰囲気ではあるので、大空魔術は冬ではあると考えられます。

 よって2065 年の1 月22 日か、あるいは2153 年の1 月10 日あたりが最も可能性は高そうではあります。

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 さらにここで、月と星以外の条件を加えて考察してみます。それは卯酉東海道における描写です。

 卯酉東海道は彼岸の時期に、蓮子とメリーが東京へと帰省するエピソードが描かれています。彼岸の時期とは一年に二回あり、春分の日(3月20日頃)と秋分の日(9月20日頃)を中間日として前後一週間頃となります。

 卯酉東海道の彼岸が3月であるのか9月であるのかは意見が分かれますが、私自身としましては、ヒロシゲの車内における「春の陽気(バーチャル?)」と、東京における彼岸花と思われる描写(リアル?)がある為、おそらくは秋の彼岸の9 月頃かと考えています。

 そして、秘封倶楽部のCD が発売順に時系列通りに進んでいるのであれば。蓮台野夜行の後に、彼岸の時期を描く卯酉東海道が挟まれているので、蓮台野夜行の翌々年以降に大空魔術の出来事があったものと思われます。

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 これらの考察より、全ての条件を満たすジャストの組み合わせとなるのは大空魔術が2153 年の年であり、上記の通りとなります。

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 これまでの考察によって、秘封倶楽部の年代は2151 年11 月3 日が蓮台野夜行の日であり、2153年1 月10 日頃が大空魔術の日であるという結論を得るに至りました。
 
 ですが、これはあくまでも考察の例の一つです。蓮台野夜行の盤面に描かれた月が、もし蓮台野夜行の月ではなかったとしたら?大空魔術の日が満月ではなかったとしたら?秘封倶楽部の舞台が二十三世紀や二十四世紀であるとしたら?
 
 前提や条件を少し変えただけで、その解は無数に現れことになります。もちろんブックレットにおける描写や、月や火星の運行データにおいて見落としや見間違いだってあるかもしれません。また、これから上海アリス幻樂団から頒布されることになるであろう、秘封倶楽部の新作の中で、これらの考察の結論が一気に破綻する可能性もあります。
 
 今回の一連の考察において。考察の筋道は、一応は理に適っているものであると思っています。しかし一方で、この考察こそが絶対の解であると主張するつもりは毛頭ございません。あくまでもこれは一つの考察であり、お遊びの一つに過ぎません。

 そもそもZUNさんが、これらのことを厳密に考えて秘封倶楽部のブックレットを書いたのかと言われれば、たぶんそのようなことはないと思います。きっとビールでも飲みながら書いたのでしょう。

 おそらくこの先も、秘封倶楽部の年代設定が公式から発表されることはないでしょう。しかし、それでよいのではないでしょうか。秘封倶楽部とは、いつだって夢と浪漫に溢れている存在です。そこに厳格な解答が生まれてしまうというのは、ある意味では無粋であり興醒めなことであるのかもしれません。

 多忙で煩雑な日々の中、秘封の世紀に想いを馳せ。そして時には、秘封を感じる空間に身を置いては、蓮子とメリー、二人の姿を重ね合わせること。それはとても至福であり、愉快な一時ではありませんか。

 ……それらの余地が失われてしまうということは、いささか寂しいことなのではないでしょうか。秘封とは小さな幸せを齎してくれる存在です。

 人には人の秘封倶楽部。 私自身、これからも蓮子とメリーの物語……多くの方々が創り出される秘封倶楽部の物語を楽しみにしております。

 ……以上を持ちまして、大変な駆け足ではございましたが、京都秘封探訪の「月と星から考察する秘封倶楽部の年代」の発表を終わらせて頂きます。ありがとうございました。

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2


  今回の考察はレポート形式でも頒布したことがあり。2016年の夏のコミックマーケットC90と、2017年の「境界から視えた外界 廻」で頒布致しました。とは言え、プレゼンにおける具体的な読み上げの原稿というものは全く作っておらず。実際に口頭で話した内容は、ほとんどその場で考えたものでした。

 持ち時間が準備や交代も込みで15~20分ということでして……かなりプレゼンで使える時間は短い感じでございまして。そして作成したスライドは15枚ありまして……1枚につき1分しか時間が取れないというのが実情でした。

 一応、脳内で一度だけシミュレーションはしたのですが。プレゼンは30分以上の時間がかかる見込みでした。

 かと言って、そんなに時間を食うわけには絶対にいかず。本当はアニメーションを多用したスライドも作成していたのですが。土壇場でアニメーションなしのスライドをしようすることを決定。少しでも時間を稼ぐ方向性で参りました。

 発表は、かなりの人が聞きに来て下さりまして。顔見知りの秘封民の方も少なくなかったですね。皆様、ありがとうございました。当日の発表の持ち時間は準備や質疑応答も含めて20分でしたが、あまりにも持ち時間が短くて、最初から最後までひたすらに早口の駆け足での解説となりました。それで何とかぎりぎり18分で収まりましたね……

 実際のプレゼンは、ひたすら早口で喋り倒した記憶しかないです。とにかく時間オーバーを避けよう、避けようという一心でしたね……

  基本的には、以前に頒布したレポートに沿った内容ではありましたが。一つ一つの考察や検証、解説を挟み込む余裕が全くなく。結論→結論→結論といった感じの高速プレゼンとなりました。しかも途中で「ダイクウマジュツ」と言い間違えるポカをやらかすなど(白目。指摘して下さったそひかさん、ネコツグミさん、ありがとうございました。

 格好は、ブラックのスーツにグレーのカッター、ブラウンのネクタイ。敢えてレーザーポインターは使わず、指示棒を使用。席には一切座らず、最初から最後まで起立してのプレゼンでした。本当に慌しかったですね……。あのような解説で本当に聞きに来て下さった方が、理解して下さったのか非常に怪しいです。というか無理でしょう……レジュメも作っていませんでしたしね……


 それでも最後まで話し切って、改めて目の前を見渡すと。席はほぼ満席で、立ち見の方がずらりと周囲を取り囲んで下さっていました。少なめに見積もっても70~80人の方がいらっしゃるようにお見受け致しまして。おそらく100人前後の方が聞きに来て下さっていたのではないかと思います。皆様、本当にありがとうございました!

 プレゼンを終えて席に戻ると、聞きに来て下さっていた方々が温かく迎えて下さいまして、そちらもとても嬉しく思いました。一方、ずっと早口で喋っていたので喉が痛くて痛くて……でございましたorz

 後でタイムキーパーの方に確認したところ、時間にして17分と少しだったようで、本当に時間はぎりぎりだったいう感じでした。せめて時間は30分は欲しいですね……即売会そのものの開催時間を考えると難しくはあるでしょうけれど……


 叶うならば、どこかで機会があれば、ゆっくりと時間を掛けた口頭発表も行いたいものですね……
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同人サークル:京都秘封探訪です。秘封倶楽部を中心とした東方Projectのあれこれを書き綴っています。8/13のC90夏コミ2日目「l-04a(エル-04a)」にて秘封倶楽部の小説「開闢の物語」を再々販。新刊「月と星から考察する秘封倶楽部の年代」を頒布予定でございます。