京都秘封探訪

「秘封倶楽部」を中心とした、東方Project関連の覚え書き。

2014年04月

涸れた噴水

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  秘封倶楽部の第四弾となる「大空魔術(おおぞらまじゅつ)」。その10曲目となる「向こう側の月」に付随するストーリーの中において、蓮子とメリーの二人が大学の設備である噴水にて語り合う姿が描かれている。

 二人が通う大学と目されているのは、言うまでもなく京都府京都市内にある京都大学である。そして京都大学の構内には、宇治キャンパス内と吉田キャンパス内に噴水が存在するという。その二箇所の内、吉田キャンパスに置かれている噴水が、今回取り上げる「涸れた噴水」である。

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 京都市左京区にある、京都大学吉田キャンパスの本部構内。そこに、この涸れた噴水は存在する。噴水の大きさは一辺が約2mほどの正方形であり、決してそれほど大きい噴水ではない。

 場所は、京都大学の文学部。その東館と呼ばれる建物の中庭に置かれている。この噴水がいつから存在し、いつ頃から止められているのかは不明であるが、文学部の東館は、長い歴史を持つ京都大学の学舎の中でも、かなり古い部類の建物だそうである。

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 詳しいことは不明であるが、文学部東館は、どうやら戦前より存在するらしいとのことである。戦前より増築工事が行われるが、未完成のまま一度は放置。戦後の1965年(昭和40年)3月にようやく完成をみて、現在のような口の字状の建物になったそうである。なお、この建物には文学部における歴史学科(考古学は含まれないらしい)の教室が入っているそうである。

 さらに翌年の1966年。中央部中庭の造園工事が行われ、この噴水が設置されることになったようである。それらの費用は、京都大学文学部・大学院文学研究科の同窓会である京大以文会の寄付によって賄われたとのことであり、この大学で青春時代を過ごした者たちの、大学への想いが込められている。

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 かつては清冽な水で満たされていたであろう噴水も、現在はご覧の通り。吹き出し口には苔が生え、水の溜まりも、藻で濁りきったものとなっている。なぜ、この噴水が停止されるに至ったのか……それもまた不明である。

 秘封倶楽部のメンバーであるメリーの専攻は相対精神学。これはおそらく文学部内部に配された学科だと思われる。その文学部構内にある、曰くありげな涸れた噴水。それが秘封倶楽部の面々の興味を引いたとしても不思議ではない。

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 噴水の上には、七福神の一人である布袋(ほてい)の像が載せられている。布袋は、実の名を釈契此(しゃくかいし)と言い、9世紀の唐において活躍した実在の僧侶である。人の吉兆を百発百中で言い当てることを得意とした布袋は、いつしか弥勒菩薩の化身と謳われるようになる。

 また、布袋は仏教の僧侶であったはずなのだが、最後は仙人……尺解仙になったという伝説がある。東方Project本編では、東方神霊廟に登場する物部布都が、尺解仙という種族である。

 布袋は、日本においては鎌倉時代より七福神のひとつとして数え上げられるようになり、今なお日本人にも親しまれた存在である。布袋の太鼓腹な風体は、広い度量と円満な人格を司るものとされ、信仰する者に大きな福運をもたらすとされている。

 なお、京都大学文学部構内に、なぜ布袋の像が設置されたかは、重ね重ね不明である。図書館にでも行けば史料は見つかるかもしれないが……

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「二人は大学の設備である噴水のある池の辺に腰掛けた。」

 残念ながら、噴水そのものの縁は、腰が掛けられる程の高さはない。だが、周囲にはこうして石造りのベンチが設置されている。

 かつては学生たちの憩いの場となっていたかもしれないこの場所を、現在、訪れる者はほとんどいない。中庭の一角に喫煙所が設けられており、喫煙者たちが時折足を運ぶ程度である。他には、大学の用務員の資材・器具置き場になってようである。

 余談であるが、この噴水に溜まった雨水は、この辺りに置かれた鉢植え用の水として、学生が汲み上げて使用しているようである。そんな形で、細々と、この噴水は生き続けている。

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 ベンチに座って空を仰ぐ。こうして見ると、東館がロの字状に構成されているのが、よく見て取れると思う。タイミングさえ合えば、中天に浮かぶ月を眺めることが可能だろう。

 そして……その月光は混濁した噴水の水面へと差し込むことになる。

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 既に月が顔を出しており、湖にはクレーターの無い平らな月が浮かんでいる。魔術師メリーには見えていた。水に映った月には結界の向こう側が見えていた。その月を見てメリーに名案が浮かんだ

「ねえ蓮子。月面ツアーが高くて無理ならば、何か別の方法で月に行けないか考えてみない?」


 そして二人は、幻想の月を駆ける――

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※最後の2枚の月の写真は、フリー素材写真集・「足成」様からお借りしています
http://www.ashinari.com/

げんましんクエスト(2014/04/20)

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 2014年4月20日。大阪府大阪市にある御堂会館にて、旧作オンリー即売会である「げんましんクエスト」が行われたので参加して来ました。

 ここ数年。関東・中部・関西地区を中心に、新規となる小中規模での東方Project即売会が開催されるようになりましたが、この「げんましんクエスト」も、その一つ。そして今回の即売会は、東方オンリーとしては非常に珍しい、旧作オンリーであるというのがポイントでしょうか。この「げんましん」以外だと、神奈川で行われている「幺樂団カァニバル」が旧作を中心とした即売会となっています。

 東方Projectのゲームと言えば、Windowsをプラットフォームとして開発された「東方紅魔郷」に端を発する“シリーズ”が有名ですが、それ以前からも東方Projectは存在していました。東方Projectの原作者であるZUNさんが東京電機大学に在籍していた時代。電機大学の同人サークルである「Amusement Makers」からPC98用ゲームとして頒布された、「東方靈異伝」 「東方封魔録」「東方夢時空」「東方幻想郷「東方怪綺談」の五タイトル。これらがいわゆる「旧作」と呼ばれる東方なわけです。

 1996年に登場した「靈異伝」はブロック崩しゲーム(そういうのが流行った時代があったのですよ……)でしたが、第二弾となる「封魔録」から、おなじみのシューティングゲームの形態となりました。これらの旧作の中では、
“博麗靈夢”、“魔梨沙”のほか、“幽香”や“アリス”など、後の東方の登場人物と深い関連があると思われるキャラも登場しています。

 東方Project自体が有名になり始めたのは2002年「妖々夢」の頃だと記憶しています。当時から「音楽がいい」と噂になってはいましたが、まだまだ知る人ぞ知る存在であったかと。本格的に流行が始まったのは、やはり2007年よりニコニコ動画が寄生型サイトから、独自の動画サイトとして開始された(RC)の頃からでしょう。翌年の「風神録」の発表も相まって、爆発的に知名度も上がることとなりました。

 ですが、相変わらず「旧作」の5本は知名度も低いままであることも否めません。旧作自体の入手も非常に困難となっており、市場に出回っても、驚くほどの高値で取引されています。

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 大阪市の西成区から浪速区、中央区を南北に縦貫する御堂筋。ルイ・ヴィトンやオメガ、フェラーリやランボルギーニなどの高級ブランドが立ち並ぶ中、本町駅のすぐ南側に、この御堂会館はあります。

 御堂会館は、真宗大谷派と呼ばれる宗派の寺院で、難波別院というお寺の敷地内に存在する建物であり。実際、この建物の奥にはお寺が建てられています。宗教団体保有の建物ではありますが、一般の企業や団体などにも貸し出しが行われており、大阪で行われる小中規模の即売会の会場となることも多いのです。

 ただ……一般の公民館と大差ない規模であるので、会場から人が溢れてしまうことも少なくはありません。昨年の2月に行われたモバマスオンリー「シンデレラ・ステージ」の際には完全に会場がパンク状態になってしまいました。

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 複数の小規模オンリーが合同で開催されることも多い御堂会館ですが、今回は「げんましん」の単独開催。御堂会館の南館の1Fと2Fを借りての開催でした。実際の即売会会場は1Fに設定され、その他コスプレスペースなどの催しは2Fで行われました。

 開場は午前11時。待機列もうまい具合に敷地内に収容できたようで、大きな混乱もなくイベントは始まりました。

 参加サークルは35。1Fは一般参加者で埋め尽くされることとなりましたが、身動きが取れないような状態にはならず、程よい程度の込み具合でした。この日は神戸サンボーホールにて、スタジオYOU主催の東方Projectと艦隊これくしょんのオンリーイベントが行われおり、ひょっとしたらげんましんへの来場者が減るかな?とも思っていましたが、規模を考えれば十二分に盛況と呼べる人手があったように思います。

 そんな中で、見つけた掘り出し物をいくつか。

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 「東方Projectにおける、旧作・西方作品との整合性に関する諸問題」。サークル:胡玉書厨さんから発行された旧作に関する考察本。初頒布は2012年の東方紅楼夢だそうですが、輝針城についての記述もなされており、いくつかの加筆がなされた版のようです。

 アリス、幽香、そして咲夜。この三人にスポットを当てての考察本。アリスと幽香はよく語られますが、西方Projectに登場するミューズと咲夜の類似点……時折語られる「ミューズ=咲夜」説についても検証がなされているのは面白かったですね!

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 そしてこちらは「東方コミュニティ白書2013」。著者は久樹輝幸さんということで、秘封民にはおなじみの方ですね。そう、毎年11月に行われている「科学世紀のカフェテラス」「求代目の紅茶会」の主催の方ですよ!今年の「科学世紀のカフェテラス」の直接受付を行っておられました。今年は去年を上回るペースで申し込みが来ているそうな。

 初頒布は、昨年の夏コミ・C84。あの時は本当に暑かったなあ……。この本は、掲示板やpixiv、ニコニコ動画における東方関連の投稿の傾向や、同人誌の書店委託数の移り変わり、コスプレや音楽、R18作品の動向と傾向を、詳細な数字とグラフでデータ化、分析したものを100ページ以上に渡ってまとめあげたものです。これは凄い……(汗)

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 さて、げんましんクエスト。2Fの方ではコスプレスペースの他、落書きコーナーのネット配信(ツイキャス・ニコ生
Ustreamだったかな?)。ドールなどの展示。軽食コーナーなども設けられておりました。ドールのコーナーにはなぜかラブライブ!のフィギュアが飾られていたのはナイショ。ああ、ちなみに自分は海未推しですんで(ぇ

 そして「エリスの酒場」と名づけられた軽食コーナーは、日本橋にあるバー・「Bar W@VE」さんの手によってノンアルコールカクテルが振舞われる他、サークル「魔導考房」さんによってオリジナルの和菓子も販売も行われていました。

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 魔導考房さんの和菓子の中の一つ。ドヤァ焼き(笑) 稗田阿求と本居小鈴の二種類があります。

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 一つ300円。ちゃんと中にも焼印が押されていましたね(笑) あと、そう言えばBar W@VEの代表の方は、9月28日に御堂会館で行われるラブライブ!オンリーの「ワンダフルステージ」の主催の方なんでしたっけ?これは行かねば……!(←今回来てた数少ないラブライバー)

 先日の仙仏蒐合といい、名古屋の東方名華祭と言い。関西中部の東方オンリーは、こういった企画や祭事も色々あって面白いのですよ!

 はたまたコスプレスペースの方では、女装レイヤーの方を中心に30人ほどが見受けられましたかね。魅魔や神綺、旧作アリスなどは通常の即売会でもよく見かけるのですが……ま、まさかルイズ(初めて見た。しかもかわいい)がいるとは……。さ、さすがは旧作オンリーイベント……!

 イベントは15時までということで……よくある即売会に比べると、少し長めの時間で行われていましたね。その間に、神戸の「絢文禄」からハシゴして来られた方もおられたようで……どうやら神戸は神戸で、人が少なめだったようです。向こうは、東方と艦これで合わせて50spぐらいの募集。東方は20にも満たなかったんじゃなかったでしたっけね……。もともと絢文禄は名古屋のイベントな上、コミックライブとの併催なので……関西では少し知名度は低いですからね……

 今回の「げんましんクエスト」。来年もまた御堂会館で開催(?)というようなことがアナウンスされています。先日の「仙仏蒐合」が一度限りのイベントだったので、げんましんもひょっとしたら……だったのですが、来年も行われるようなので、楽しみな限りでございます!


 ……そして……もうすぐ、あの時期がやって来ます。東方Project最大の即売会にして、単独ジャンルのオンリー即売会としても世界最大である、あのイベントが……博麗神社例大祭が……!

 そろそろ準備していかないとなあ……

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サッカリン∗キッス

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 4月も第三週に入り、京都は春爛漫……と言いたい所ではあるのだけれど、そう単純には行かないのが京都という場所なわけでして。日中は20度近くまで気温が上がり、暑いぐらいだと言うのに早朝は氷点下まで急激に冷え込んだり……

 内陸である京都の街は海がなく、湿度が低い。その為、夏と冬、朝と晩での寒暖の差が非常に激しい場所でもあるのです。京都の冬は、さほど気温は下がらなくとも突き刺すような寒さとなり、おかげで雪国から来た人たちが根を上げる程なのです。

 桜が咲くようになったと言えど、気候が安定するにはもう少し時間が必要のようです。山間部の方では、ようやく桜が満開になったぐらいですしね。……などと言っている間に、気がつけばいつも夏になっているわけですが。

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 先日、上品蓮台寺へと行った後は、久しぶりに疎水近辺も散策しておりました。この時期の琵琶湖疏水周辺は、京都屈指の桜スポットでもあるのです。インクラインの両脇には無数の桜が咲き誇り、多くの花見客で賑わっていました。

 この日は平日ではあったのですが、それでも老若男女。地元の方はもちろんのこと、半島大陸系や欧米系の方など、非常に多くの観光客の方が来られていました。もちろんインクラインだけでなく、南禅寺や哲学の道近辺においても同様です。

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 ……日中は、写真を撮るどころではないですね……。みっちり撮りたいなら、早起きして早朝に来ないと……です。

 今年の京都の桜は4月10日頃までは、なかなかのものでした。今はさすがに散ってしまっていますが、八重桜が見頃となっており、それはそれで風情があって良いものです。


 さて。昨日は東方界隈では大きなニュースがあったようで……。昨晩行われた「チョットサミット」というインディーズゲームの開発者の方たちの“飲み会”という名のニコ生にZUNさんが出演。そこで、東方Project14.3弾となる「弾幕アマノジャク」が発表されたとのこと。今回は珍しく、プロモーションビデオもYouTubeで公開されましたね。



 主人公は、昨年の夏コミで頒布された「東方輝針城」5ボスの鬼人正邪……だと……?まさかのチョイス。PVを見る限り、文花帖のような弾幕撮影ゲームとして遊ぶことも出来そうな雰囲気なので、そういった意味でも面白そうですね!

 今回の「アマノジャク」は「14.3弾」ということで……と言うことは14.5弾あたりが控えてそうなナンバリングですよね……。黄昏フロンティアの格闘ゲームは昨年に「東方心綺楼」が出たばかりだし、「妖精大戦争」や「東方文花帖」のような特殊な形態の弾幕STGは、この「弾幕アマノジャク」と被ってしまうし……。うーん、個人的には「東方夢時空」や「東方花映塚」のような対戦型のSTGが、そろそろまた登場すると予想してみます!

 この「弾幕アマノジャク」。製品版は5月11日の博麗神社例大祭11で頒布ということで……また今年も上海アリスが戦場と化すのか……。と言うか、例大祭まで一ヶ月を切ってるんですね……。そうか、冬コミから半年かあ……また再び、あの地を……ビッグサイトの地を踏む時が来たのだな……(ゴクリ


 東方新作はもちろんのことだけれども、秘封民としては、夏コミあたりで秘封倶楽部の新作が待ち望まれる今日この頃なわけですが!先日は偶然こんな同人誌を手に入れてしまいました。

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タイトル:「サッカリン∗キッス」
サークル:RED-SIGHT
頒布:コミックマーケット74 2日目(2008年8月16日)
イベント頒布価格:400円(委託価格:525円)

【STORY】

 「彼女達だって、恋するお年頃――」。とある大学の人間科学科に学ぶマエリベリー=ハーン(通称:メリー)。外国人であるメリーは、周囲から距離を取られる存在になってしまっていたが、同じ大学に通う宇佐見蓮子という少女だけは違った。他の者とは違い、持ち前の快活さによって“普通に”メリーと接する蓮子。

 全く異なる学部に籍を置く二人であったが、いつしかメリーと蓮子は、空き時間のほとんどを二人で過ごすようになっていた。周りから“噂”となる程に。

「ずっと――ずっと、いけない恋に身を焦がして――」

 女同士などダメだ。おかしいのは解っている。だが、蓮子への気持ちは高まるばかり……。「このままでは絶対に公開する」。そしてメリーは、蓮子へ想いを告げる決心をするが……



 今から6年前の夏コミにて、RED-SIGHTさんというサークルさんによって頒布された本だそうなのですが……。この表紙のイラストは、某所で見たことがある人も多いハズ……

 サッカリンとは、19世紀に開発された人工甘味料。非常に強い痺れるような甘みを伴う甘味料であり、その甘さは、砂糖の主成分であるショ糖の200~700倍もあるとされています。転じて、saccharineという英単語は「(態度や言葉などが)甘ったるい、甘すぎる」という意味で使われるようになっています。

 この「サッカリン∗キッス」。そのタイトルから分かるように、濃厚な蓮メリが展開されるわけですが……しかも50ページ以上にも及ぶ大ボリュームで……(汗)

 それまでも秘封倶楽部を題材とした作品を描き上げて来られた作者のREDさん(現:赤景REDさん)曰く、「全編百合です。百合以外の要素はありません。僕の脳は病んでいます」と言ってのけた一作。いやはや、これは秘封同人の歴史に残る薄い本じゃないかな?かな?

 2010年11月28日に行われた「境界から視えた外界」では、続編となる「One Shot, One Kiss」も頒布されまして……あの有名な「メリー!今日一日キス禁止!」のアレですね。


 来年には「境界から視えた外界」の第三回が開催されるということで……新たな蓮メリ本の創出が期待される……とか何とか。

蓮台野之桜

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 2014年、春。関西における、今年の桜の開花は遅かった。3月の末日になってようやく桜が咲き始め、ピークとなったのは4月の頭でした。直後、強い雨と嵐に見舞われるものの、ほとんどそれで花が散らされることもありませんでした。

 例年なら、4月の第一週には既に桜の花は散ってしまっていると言うのに、今年は、4月が第二週に入ってもなお、桜の花が咲き誇り続けるという、非常に珍しい年となりました。……おかげで今年は、二度も桜の花を見に行くことが出来ました。

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 今回向かったのは、以前にも訪れた京都の上品蓮台寺(じょうほんれんだいじ)。京都市北区、紫野十二坊。京都市営地下鉄・烏丸線の北大路駅から西へ向かって20分ほど歩いた地。船岡山と大文字の麓に上品蓮台寺はあります。

 秘封倶楽部の第一弾となる「蓮台野夜行」。蓮子とメリーは、蓮台野にある古い寺院が写った写真を手がかりに、夜の墓地へと赴いて結界暴きを試みます。そして、日本に蓮台野と呼ばれる地は、京都府京都市と岩手県遠野市の二箇所に存在します。そして、秘封倶楽部の舞台(と言われている)である京都の蓮台野。その地にあるのが、この上品蓮台寺なわけです。

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 ……京都には数多くの桜の名所が存在しますが、そんな中でも隠れた桜の鑑賞スポットが、この上品蓮台寺。このシーズンの京都は、どこへ行っても国内外からの観光客で溢れ返るのですが、この蓮台寺には、ほとんど人は見られません。

 もっとも、蓮台寺の東500mの方角には時代劇で有名な大徳寺が。そして、西600mには金閣で有名な鹿苑寺。南500mには、北野天満宮という、全国的に有名な寺社が建てられています。それらのスキマに建てられる形で存在する蓮台寺は、まさに「穴場」と呼ぶにふさわしい場所かもしれません。

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 古来、「野」という地は、死体が打ち捨てられる場所であったと言います。それは蓮台野についても同じであり、かつてこの一体は死体で埋もれ返り、そしてまた京都の中でも有数の葬送の地であったと言います。

 その名残があるのか。はたまた、この地に漂う幻葬の空気が、無意識の内に人をそうさせるのか、決して蓮台野周辺は賑やかな場所であるとは言えません。とても静かで……とても穏やかな……そんな場所となっています。

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 そんな蓮台寺を彩るのは、満開に咲き誇った枝垂桜。桜の代名詞である染井吉野とは異なり、だらんと垂れ下がった枝々に豊満な花を咲かせるのがシダレザクラです。どことなく柳を連想させるシダレザクラ。柳も桜も、どちらも死体や幽霊と絡めて描かれることの多い樹木ですが、その両方の特徴を兼ね揃えたのがシダレザクラというのが面白いところでしょうか。

 枝垂桜の花言葉は、「優美」と「純潔」、そして「淡白」と「ごまかし」。人間の精神の内に存る、「美しさ」と、その美しさの裏にある反面的な部分をも同時に描き出す花。それが枝垂桜とされています。

 ……軽やかに咲くソメイヨシノと違い、重々しく咲くシダレザクラに込められた人の業は、なかなか深いものがあるようで。

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「2時30分ジャスト!」墓石を4分の1回転させたその時。秋だと言うのに目の前に一面桜の世界が広がった。
                                   (「蓮台野夜行」収録の「少女幻葬」より)

 上品蓮台寺には枝垂桜だけではなく、染井吉野も植えられています。そしてそのソメイヨシノは……蓮台寺の一角に設けられた墓地を取り囲む形で植えられています。この時期、蓮台野の墓場は、満開の桜に包まれる形となります。

 ……蓮台寺の墓地は、かなり古い時代のお墓が中心となって形成されており、あまり最近のものはなさそうな雰囲気です。


 葬送の地、蓮台野。古びた墓地と山門。冥界と現世、その結界。そして咲き誇る桜花……。10年におよぶ秘封倶楽部の物語は、ここから始まった。

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終想のリコリス


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 長かった冬も終わり、ようやく本格的な春が訪れた今日この頃。今年の桜は少し開花が遅かったみたいですね。関西の平野部では、ここ数日が一番のピークじゃないでしょうか。

 最近は行楽シーズンということもあってバタバタしており、今年の観桜は近所で済ませました。本当は円山公園や琵琶湖疏水。インクラインや哲学の道などを周りたかったのですけど、もう今年はそんな時間が取れないと思う。上品蓮台寺のしだれ桜も見てみたかった……

 いずれにせよ。例年のこの時期の京都市内は観光客の数も凄いし、写真を撮るどころか、ゆっくり桜を見ることも叶いませんけども。来週の頭ぐらいまで桜がもってくれれば希望はあるのだけれど、この先、天気が崩れるようなので……


 イベント関連では、3月30日に行われた東方名華祭も結局は参加できませんでした。名華祭はサンライフ名古屋で開催されていた頃から参加しており、再びポートメッセ名古屋に戻ってからは格段に大きくなったので、是非とも行きたかったのですが、残念な次第です。

 その他には……3月21日の日本橋ストリートフェスタで人の波に揉まれて来たり。「いなり、こんこん、恋いろは」の聖地巡礼に周ってましたかね。どちらも人が多すぎで……でした。

 4月の予定としては、20日に大阪の御堂会館で行われる旧作オンリーの「げんましんクエスト」に参加する予定。神戸の「東方絢文禄」も参加できるならしたい所ですかね。

 5月には第11回となる博麗神社例大祭に参加するつもりです。6月は京都の「古明地こんぷれっくす」ですね。7月の鈴仙祭は、今年は開催しないとのことなので少し英気を養った後、8月の「聖戦」の準備に取り掛かる予定です。

 この「京都秘封探訪」も色々と書きたいことも多いのだけど、なかなか時間が……。あと一週間ぐらいは落ち着かなさそうな雰囲気です。昨日は、「魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語」のブルーレイが発売されたので、時間を見つけてアニメイトまで回収に行ってきたのだけど、観る時間が……ない……

 そんな中での、東方アレンジ紹介。

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タイトル:「終想のリコリス」
サークル:J&B
頒布:コミックマーケット85 2日目(2013年12月30日)
イベント頒布価格:500円

 「終想のリコリス」。東方を中心に活動されている音楽サークル「J&B」によって製作されたもので、昨年の冬コミ2日目にて頒布された東方アレンジCDです。見ての通り、秘封倶楽部の曲がメインとなっています。最近はサウンドホリックの「秘 -HIME-」なんてのも登場しましたし、秘封アレンジも増えて来ましたね!

 そして、収録内容は次の通り。

【トラックリスト】

1.Overture
  (少女秘封倶楽部)
2.リコリス
  (日本中の不思議を集めて 少女秘封印倶楽部)
3.Carrousel
  (魔術師メリー)
4.胡蝶の夢
  (少女秘封倶楽部)
5.相思華
  (向こう側の月)
6.おやすみ
  (少女秘封倶楽部)
7.あったかい場所
  (少女秘封倶楽部)
8.灰は灰に、塵は塵に
  (月の妖鳥、化猫の幻 少女秘封倶楽部)
9.夢のはじまり
  (少女秘封倶楽部)

 秘封倶楽部の「蓮台野夜行」を中心に、最新の「伊弉諾物質」まで。秘封づくしの一枚。C85の中での一番の掘り出し物でしたかね。最近は音楽サークルさんも、艦これの方に力を入れてる所が多いですし……

 9曲の内、5曲がボーカル入り。個人的なおススメは5曲目の「相思華」。「終想のリコリス」はタイトルからも分かるように、退廃的でダークな内容の歌詞の曲が多いのですが、中でも「相思華」は最も業の深い仕上がりになっていますかね……

 2曲目の「リコリス」なども、一見はポップな曲調ではあるのですが……よーくよーく聴いてみると……な内容です。個人的な感想ですが、リコリスは、全体的なメロディーや転調のタイミングなど、どことなく「まどかマギカ 叛逆の物語」の主題歌である「カラフル」を想起させますね。叛逆自体も、ヤンデレの物語と言えなくもないですから……

 ……つまり何が言いたいかというと、蓮メリは東方のベストカップル。異論は認める。蓮メリちゅっちゅ。

 なお、 「リコリス」の委託販売はされていないようですが、メロンブックスのサイトから540円でダウンロード販売がされている模様。


 4月。新年度に入り、もうすぐ東方最大の祭りである博麗神社例大祭も近づいて参りました。どうやら噂では上海アリスも新作を投入してくるらしい……? 個人的には秘封の新作だったら、それはとっても嬉しいなって。あと、「未知の花、魅知の旅」の再販をですね(←切実

 5月の例大祭、8月の夏コミ、10月の紅楼夢、11月の文々、12月の冬コミ……。新年度を迎え、これからまた即売会ラッシュが始まります。気合!入れて!行きます!

(文中:敬称略)
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同人サークル:京都秘封探訪です。秘封倶楽部を中心とした東方Projectのあれこれを書き綴っています。8/13のC90夏コミ2日目「l-04a(エル-04a)」にて秘封倶楽部の小説「開闢の物語」を再々販。新刊「月と星から考察する秘封倶楽部の年代」を頒布予定でございます。