2010年08月08日
「次の一手」問題(その9・「一組」)
今日の「次の一手」は、プロ棋士の実戦譜から。問題図は、後手が4八銀不成と指したところ。もちろんこの手は詰めろ。受ける手があるのか、それとも攻めるしかないのか。この問題は、3手一組で正解とする。初手に対して2手目は必然なので、3手目が重要となる。手順前後に注意してほしい。
前回の問題(その8・「打開」)は、飛車をいったん逃げないといけない局面だが、飛車を逃げる手を詰めろにするための下準備が必要。3七の桂馬がなければ1七に飛車が回れる、と気づけば正解手にたどり着くのは難しくないだろう。
正解は2五桂の王手。2五桂に1四玉で後手玉に詰みはないが、以下、1三桂成、同玉、1四歩、同玉、2五銀、1三玉に1七飛が「詰めろ逃れの詰めろ」になる。注意したい変化としては、1三桂成、同玉、1四歩、同玉に1七飛でも一瞬詰めろにはなるが、1六歩、同飛に1五角の移動合いで詰まなくなる。(1五歩なら2五角で詰む。)また、2五銀、1三玉に、1四銀、同玉、2五角、1三玉を先に入れてしまうと、銀を後手に渡してしまうので、1七飛の瞬間に6七銀打で詰められてしまう。
正解手順の最後の1七飛は、1四銀、同玉、2五角、1三玉、1五飛、同角、1四歩、2四玉、1六桂の詰めろ。1四歩が打ち歩詰めにならないように、2五の銀を角に入れ替えるのがミソ。
前回の問題(その8・「打開」)は、飛車をいったん逃げないといけない局面だが、飛車を逃げる手を詰めろにするための下準備が必要。3七の桂馬がなければ1七に飛車が回れる、と気づけば正解手にたどり着くのは難しくないだろう。
正解は2五桂の王手。2五桂に1四玉で後手玉に詰みはないが、以下、1三桂成、同玉、1四歩、同玉、2五銀、1三玉に1七飛が「詰めろ逃れの詰めろ」になる。注意したい変化としては、1三桂成、同玉、1四歩、同玉に1七飛でも一瞬詰めろにはなるが、1六歩、同飛に1五角の移動合いで詰まなくなる。(1五歩なら2五角で詰む。)また、2五銀、1三玉に、1四銀、同玉、2五角、1三玉を先に入れてしまうと、銀を後手に渡してしまうので、1七飛の瞬間に6七銀打で詰められてしまう。
正解手順の最後の1七飛は、1四銀、同玉、2五角、1三玉、1五飛、同角、1四歩、2四玉、1六桂の詰めろ。1四歩が打ち歩詰めにならないように、2五の銀を角に入れ替えるのがミソ。
2010年08月06日
2010年08月03日
「次の一手」問題(その7・「焦点」)
今日の「次の一手」問題は、ネットで拾った創作問題である。現時点で先手玉に詰みはないが、王手もしくは詰めろの連続で必至をかけないと勝てない局面。入玉されないように注意すれば、おのずと候補手は絞られてくるだろう。
前回の問題(その6・「合理」)の正解は5九飛成。銀と交換できる飛車をタダ捨てするのはもったいないように見えるが、問題図から平凡な7七角成、5四銀では、5四同歩には5三歩が厳しい。そこで羽生さんは5九飛成と捨てて、以下、同金、7七角成、4九金、7六馬と先手で馬を飛車に当てた。
大盤解説では、この5九飛成を誰も予想していなかったため、「羽生マジックが出た!」と会場は沸いた。ところが、盲点とも思えたこの一手、強さで定評のある将棋ソフト「激指」や「無双」が第一候補の手にあげていたことが判明。「GPS将棋」でも第二候補の手としていたらしい。将棋ソフトは、駒の損得や働きなどを数値化して、より合理的な手を選択すると言われている。ということは、5九飛成は、この局面でもっとも合理的な手と判定されたことになる。ちなみに、「無双」では、問題図までは「先手有利」の形勢判断だったが、後手が5九飛成を選択することで「互角」と判断を修正している。その後も羽生さんらしい手が出て接戦になったが、先手の久保棋王が勝ち切った。
羽生さんの手は、よく「羽生マジック」と形容されるが、羽生マジックの正体は、「究極に合理的な手」ではないだろうか。羽生さんは、「一番いい手を単純に考える」という趣旨のことをよく口にしている。先入観や経験を排除して、純粋に目の前の局面で一番いい手を考える。そのあたりに将棋ソフトと共通する点があるのかもしれない。
前回の問題(その6・「合理」)の正解は5九飛成。銀と交換できる飛車をタダ捨てするのはもったいないように見えるが、問題図から平凡な7七角成、5四銀では、5四同歩には5三歩が厳しい。そこで羽生さんは5九飛成と捨てて、以下、同金、7七角成、4九金、7六馬と先手で馬を飛車に当てた。
大盤解説では、この5九飛成を誰も予想していなかったため、「羽生マジックが出た!」と会場は沸いた。ところが、盲点とも思えたこの一手、強さで定評のある将棋ソフト「激指」や「無双」が第一候補の手にあげていたことが判明。「GPS将棋」でも第二候補の手としていたらしい。将棋ソフトは、駒の損得や働きなどを数値化して、より合理的な手を選択すると言われている。ということは、5九飛成は、この局面でもっとも合理的な手と判定されたことになる。ちなみに、「無双」では、問題図までは「先手有利」の形勢判断だったが、後手が5九飛成を選択することで「互角」と判断を修正している。その後も羽生さんらしい手が出て接戦になったが、先手の久保棋王が勝ち切った。
羽生さんの手は、よく「羽生マジック」と形容されるが、羽生マジックの正体は、「究極に合理的な手」ではないだろうか。羽生さんは、「一番いい手を単純に考える」という趣旨のことをよく口にしている。先入観や経験を排除して、純粋に目の前の局面で一番いい手を考える。そのあたりに将棋ソフトと共通する点があるのかもしれない。
2010年08月02日
「次の一手」問題(その6・「合理」)
今日の「次の一手」問題は、羽生さんの手シリーズの3回目である。問題図は、後手の羽生王将(当時)が7五桂と飛車取りに桂馬を打った手に対して、先手の久保棋王が6五飛と逃げた局面。羽生さんはここで意表をつく一手を指す。その手は決して奇抜なものではなく、とても合理的な一手だった。
前回の問題(その5・「魔術」)は、2008年の第79期棋聖戦第5局の勝敗を分けた局面である。5六角の両取りに対して、羽生さんが指した手は、なんと8六歩。「両取り逃げるべからず」という格言はあるが、ここで8六歩は緻密な読みで定評のある佐藤さんもビックリしたようだ。8六歩で佐藤さんの手は止まり、残り少ない貴重な持ち時間の大半を費やして結局、8三角成と指した。以下は、7二金上、8四馬、8七歩成、同銀、8六歩、同銀、8七桂、8八玉、7九桂成、同金までは一本道。その後、羽生さんは5七と、同銀、8七歩、同玉に2一角と遠見の角を放ち、優位をジリジリ拡大、114手で快勝して8年ぶりに棋聖を奪還した。
佐藤さんは感想戦で「8六歩を見落としていた」と正直に胸の内を明かした。実際は8六歩でもいい勝負だったが、8六歩以降は佐藤さんの指し手に粘りがなく、最後は一方的な形勢になった。勝負所で相手の指した手が読みからスッポリ抜け落ちていたことが大きなショックだったのかもしれない。8六歩の対応策を考えるのに残り時間を費やしてしまったことも影響しているが、いずれにしても羽生さんの8六歩がこの将棋を決定付けたことは間違いないだろう。あの局面で8六歩を指した羽生さんは、さすがというほかない。
前回の問題(その5・「魔術」)は、2008年の第79期棋聖戦第5局の勝敗を分けた局面である。5六角の両取りに対して、羽生さんが指した手は、なんと8六歩。「両取り逃げるべからず」という格言はあるが、ここで8六歩は緻密な読みで定評のある佐藤さんもビックリしたようだ。8六歩で佐藤さんの手は止まり、残り少ない貴重な持ち時間の大半を費やして結局、8三角成と指した。以下は、7二金上、8四馬、8七歩成、同銀、8六歩、同銀、8七桂、8八玉、7九桂成、同金までは一本道。その後、羽生さんは5七と、同銀、8七歩、同玉に2一角と遠見の角を放ち、優位をジリジリ拡大、114手で快勝して8年ぶりに棋聖を奪還した。
佐藤さんは感想戦で「8六歩を見落としていた」と正直に胸の内を明かした。実際は8六歩でもいい勝負だったが、8六歩以降は佐藤さんの指し手に粘りがなく、最後は一方的な形勢になった。勝負所で相手の指した手が読みからスッポリ抜け落ちていたことが大きなショックだったのかもしれない。8六歩の対応策を考えるのに残り時間を費やしてしまったことも影響しているが、いずれにしても羽生さんの8六歩がこの将棋を決定付けたことは間違いないだろう。あの局面で8六歩を指した羽生さんは、さすがというほかない。
2010年08月01日
「次の一手」問題(その5・「魔術」)
今回もタイトル戦の実戦譜から。問題図は、先手の佐藤棋聖(当時)が5六角と飛車・銀両取りに角を打った局面。両取りではあるが、直前に7四まで進出した銀を8三銀成、同銀と捨てているので、先手が丸得というわけでもない。ただし、銀を取り返す8三角成が詰めろになるので、平凡に飛車が逃げたのでは、8三角成から8四馬と手順に桂馬をタダ取りされてしまう。後手の羽生名人が指した次の一手を当てていただきたい。
前回(その4・「誤算」)の問題は、先手の指した6五香が詰めろなのかどうかが焦点。6一飛、8二玉、7四桂、同歩、6四角と進んだ局面は、一目「詰む形」である。ところが、6四角に対して7三桂ではなく7三銀と合い駒をすると、きわどく詰まない。本譜でも以下、7三同角成、同玉、1三竜と進んだが、ここでも5三銀の合い駒が絶妙で詰みを逃れた。
正解は6九金。この手は、6八銀、6七玉、7七銀成(!)、同玉、5九馬以下の詰めろになっている。久保さんは感想戦で、6五香に対しては、7三銀と5三銀の2回の銀合いで詰まないと読み切っていたので、(6五香の1手前に)5九金と打った、と明かした。
羽生さんは、「6五香は詰めろではない」といつ気づいていたのだろうか。感想戦では、「詰まないのが誤算だった」と、6五香と打った時点で詰むと思っていたかどうかについては明言を避けた。ただ、5九金の一手前に羽生さんは5八桂と桂馬を1枚受けに使っている。仮に、桂馬ではなく5八に香車を打っていれば、問題図の1手前には持ち駒に桂馬が2枚あったことになり、6五香の代わりに6三桂、同金、7五桂という有力な筋が生じた。あくまでも個人的な推測であるが、5八桂と打った時点では、その直後の6五香が詰めろになる、と思っていたのではないか。久保さんに5九金と打たれた瞬間に誤算に気づいた。そんな想像をしてみるのである。
前回(その4・「誤算」)の問題は、先手の指した6五香が詰めろなのかどうかが焦点。6一飛、8二玉、7四桂、同歩、6四角と進んだ局面は、一目「詰む形」である。ところが、6四角に対して7三桂ではなく7三銀と合い駒をすると、きわどく詰まない。本譜でも以下、7三同角成、同玉、1三竜と進んだが、ここでも5三銀の合い駒が絶妙で詰みを逃れた。
正解は6九金。この手は、6八銀、6七玉、7七銀成(!)、同玉、5九馬以下の詰めろになっている。久保さんは感想戦で、6五香に対しては、7三銀と5三銀の2回の銀合いで詰まないと読み切っていたので、(6五香の1手前に)5九金と打った、と明かした。
羽生さんは、「6五香は詰めろではない」といつ気づいていたのだろうか。感想戦では、「詰まないのが誤算だった」と、6五香と打った時点で詰むと思っていたかどうかについては明言を避けた。ただ、5九金の一手前に羽生さんは5八桂と桂馬を1枚受けに使っている。仮に、桂馬ではなく5八に香車を打っていれば、問題図の1手前には持ち駒に桂馬が2枚あったことになり、6五香の代わりに6三桂、同金、7五桂という有力な筋が生じた。あくまでも個人的な推測であるが、5八桂と打った時点では、その直後の6五香が詰めろになる、と思っていたのではないか。久保さんに5九金と打たれた瞬間に誤算に気づいた。そんな想像をしてみるのである。
2010年07月31日
「次の一手」問題(その4・「誤算」)
今日の「次の一手」問題は、あるタイトル戦の実戦譜から。画面を見ると、「ああ、あの将棋か」とピンとくる人も多いかもしれないが、それはさておき、問題図は先手が6五香と打ったところ。ここで後手が指した次の一手を当てていただきたい。ちなみに6五香を打った先手は羽生王将(当時)。後手は久保棋王(当時)である。
前回(その3・「手拍子」)の正解は2一金。2一金に対しては、同玉・3三歩・3二歩の主に3つの応手が考えられるが、2一同玉には3二金以下、3二歩には2二金、同玉、2三歩以下即詰み。3三歩はやや手ごわい応手だが、2三歩と詰めろに打って、2一玉なら2二歩成、同飛、3二銀以下詰むし、2三歩に同銀は3三飛成で受けがない。
一見すると初手に3三飛成で簡単に必至がかかるように思えるが、3三飛成には3二歩と受けられてしまい、何で取っても同飛が逆に詰めろになって先手勝てない。3三飛成は秒読みの実戦ならついつい指してしまいそうな手なのだが、その手をひっかけにしたのがこの作品の作意なのだろう。
前回(その3・「手拍子」)の正解は2一金。2一金に対しては、同玉・3三歩・3二歩の主に3つの応手が考えられるが、2一同玉には3二金以下、3二歩には2二金、同玉、2三歩以下即詰み。3三歩はやや手ごわい応手だが、2三歩と詰めろに打って、2一玉なら2二歩成、同飛、3二銀以下詰むし、2三歩に同銀は3三飛成で受けがない。
一見すると初手に3三飛成で簡単に必至がかかるように思えるが、3三飛成には3二歩と受けられてしまい、何で取っても同飛が逆に詰めろになって先手勝てない。3三飛成は秒読みの実戦ならついつい指してしまいそうな手なのだが、その手をひっかけにしたのがこの作品の作意なのだろう。
2010年07月30日
「次の一手」問題(その3・「手拍子」)
今日の次の一手問題も「必至をかける」問題。現在先手玉には詰めろはかかっていないが、飛車、角、金、銀のいずれか1枚を渡した瞬間に詰めろになってしまう。つまり、これらの駒を渡すということは、即詰めに討ち取るというサインでないといけない。
前回(その2・「最善」)は、作品としては秀逸だと思うのだが、「次の一手」問題としては、あまりいい問題ではないかもしれない。先手は絶体絶命のピンチで、受けて勝てるとは思えないので、初手は「王手」が必須である。王手をかけるとなると、4二銀、2三桂、4一飛くらいしか考えにくい。手が限られているので、適当に答えても正解率は高いだろう。
正解は4二銀。この手は候補の中で、もっとも筋がいい手。同金には5一飛で簡単に詰むので同玉しかない。4二同玉に、5四桂、5一玉となる。ここからがこの作品の真骨頂。以下、6一桂成、同玉、8一飛、7一桂(注)、6二香、7二玉、8二飛成、6三玉、7三竜、5四玉、7四竜で「詰めろ逃れの詰めろ」がピッタリ決まる。7四竜の局面は「王手」ではないが、先手の角が移動すれば詰む状態。後手から9七歩成や9七桂成は同角でその瞬間に後手が詰んでしまうので、先手の詰めろが解消している。なお、途中、7一桂の合い駒で金か銀なら6二香、7二玉に7一飛成で詰んでしまう。6二香に同金は同桂成でやはり詰む。
この作品が素晴らしいのは、問題図から最後の7四竜の「逆王手を使った詰めろ逃れの詰めろ」の正解図が想像しにくいこと。作意がなかなか見えてこないので、この問題を解くのには苦労した。余談だが、問題図は5三桂不成と何か駒を取っての王手に3一玉と逃げた局面と想像されるが、玉を逃げずに5三同金の方がよかったのではないか。
前回(その2・「最善」)は、作品としては秀逸だと思うのだが、「次の一手」問題としては、あまりいい問題ではないかもしれない。先手は絶体絶命のピンチで、受けて勝てるとは思えないので、初手は「王手」が必須である。王手をかけるとなると、4二銀、2三桂、4一飛くらいしか考えにくい。手が限られているので、適当に答えても正解率は高いだろう。
正解は4二銀。この手は候補の中で、もっとも筋がいい手。同金には5一飛で簡単に詰むので同玉しかない。4二同玉に、5四桂、5一玉となる。ここからがこの作品の真骨頂。以下、6一桂成、同玉、8一飛、7一桂(注)、6二香、7二玉、8二飛成、6三玉、7三竜、5四玉、7四竜で「詰めろ逃れの詰めろ」がピッタリ決まる。7四竜の局面は「王手」ではないが、先手の角が移動すれば詰む状態。後手から9七歩成や9七桂成は同角でその瞬間に後手が詰んでしまうので、先手の詰めろが解消している。なお、途中、7一桂の合い駒で金か銀なら6二香、7二玉に7一飛成で詰んでしまう。6二香に同金は同桂成でやはり詰む。
この作品が素晴らしいのは、問題図から最後の7四竜の「逆王手を使った詰めろ逃れの詰めろ」の正解図が想像しにくいこと。作意がなかなか見えてこないので、この問題を解くのには苦労した。余談だが、問題図は5三桂不成と何か駒を取っての王手に3一玉と逃げた局面と想像されるが、玉を逃げずに5三同金の方がよかったのではないか。
2010年07月28日
「次の一手」問題(その2・「最善」)
今日の「次の一手」問題は、なかなか面白い作品である。一見すると、先手玉は絶対絶命。先手が勝つには、後手玉を即詰めに討ち取るしかないように思える。しかし、微妙に後手玉に詰みはない。とても劇的な結末が用意されているので、ぜひ最後まで読み切ってもらいたい。
前回の問題(その1)は、次の一手問題としては、とてもいい問題だと思う。先手玉には詰めろがかかっておらず、初手は必ずしも王手でなくもよいので、それだけ手が広い。候補手は多くても、先手が勝てる正解手は1つしかないので、あてずっぽうで答えても正解率は下がる。だからいい問題。
この問題はいかに必至をかけるかがテーマ。しかし、後手玉を4四まで逃がしてしまうと、入玉を防ぐ手段がなくなる。たとえば、初手3一銀成は魅力だが、3三玉、3二飛成、4四玉でつかまらなくなる。また、8一飛成もうまそうに見えるが、5一歩と受けられて続かない。
正解は3二銀。この手は2一銀成、同玉、3一銀成以下の詰めろになっている。3二銀に5二歩と飛車の利きで歩を打つと、今度は8一飛成で受けがない。よって、正解手順は3二銀、同玉、3一金、2二玉、5三銀不成(!)、1一玉、3二飛成で必至。途中5三銀不成がこの作品のハイライト。後手の飛車と馬の利きを同時に消しつつ、4四にも利かせた決め手。5三銀不成に3三玉なら3二飛成でピッタリ詰む。1一玉、3二飛成の局面で、先手玉は銀1枚では詰まないし、2一金(竜)の詰めろを防ぐには2二金しかないが、それでも2一金、同金、2三桂で詰んでしまう。3二飛成で投了するしかない。
前回の問題(その1)は、次の一手問題としては、とてもいい問題だと思う。先手玉には詰めろがかかっておらず、初手は必ずしも王手でなくもよいので、それだけ手が広い。候補手は多くても、先手が勝てる正解手は1つしかないので、あてずっぽうで答えても正解率は下がる。だからいい問題。
この問題はいかに必至をかけるかがテーマ。しかし、後手玉を4四まで逃がしてしまうと、入玉を防ぐ手段がなくなる。たとえば、初手3一銀成は魅力だが、3三玉、3二飛成、4四玉でつかまらなくなる。また、8一飛成もうまそうに見えるが、5一歩と受けられて続かない。
正解は3二銀。この手は2一銀成、同玉、3一銀成以下の詰めろになっている。3二銀に5二歩と飛車の利きで歩を打つと、今度は8一飛成で受けがない。よって、正解手順は3二銀、同玉、3一金、2二玉、5三銀不成(!)、1一玉、3二飛成で必至。途中5三銀不成がこの作品のハイライト。後手の飛車と馬の利きを同時に消しつつ、4四にも利かせた決め手。5三銀不成に3三玉なら3二飛成でピッタリ詰む。1一玉、3二飛成の局面で、先手玉は銀1枚では詰まないし、2一金(竜)の詰めろを防ぐには2二金しかないが、それでも2一金、同金、2三桂で詰んでしまう。3二飛成で投了するしかない。