2010年03月08日

『弥勒の掌』のレビュー3

我孫子武丸の小説。
かまいたちの人って程度しか知らなくて、作品は428のサブシナリオくらいしか読んだことがなかったけど、 ちゃんとした小説家の人だったのね。

弥勒の掌 (文春文庫)
弥勒の掌 (文春文庫)
著者:我孫子 武丸
販売元:文藝春秋
発売日:2008-03-07
おすすめ度:3.5
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新宗教ビジネス (講談社BIZ)
新宗教ビジネス (講談社BIZ)
著者:島田 裕巳
販売元:講談社
発売日:2008-10-02
おすすめ度:4.0
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【弥勒の掌とは】
愛する妻を殺され、汚職の疑いをかけられたベテラン刑事・蛯原。妻が失踪して途方に暮れる高校教師・辻。事件の渦中に巻き込まれた二人は、やがてある宗教団体の関与を疑い、ともに捜査を開始するのだが…。新本格の雄が、綿密な警察取材を踏まえて挑む本格捜査小説。驚天動地の結末があなたを待ち受けます。
amazonより)

新興宗教をモチーフにしたミステリのような感じの何か。
薄いのでさらっと読めるが、最後の落とし方は中々気持ちよかった。
モチーフがモチーフなだけに野沢尚の『魔笛』を思い出してしまうが、あちらほど重厚さや心理描写の巧みさなどはなく、もっと表層的というか、形式的な感じがする。新本格ってこんな感じのことをいうのか。私は社会派の方がずっと好きだと再認識。

【ストーリー等】
教師と刑事の二人の視点が交互に描かれる。
文章にクセが無いので読み進むのが非常に楽。
全体的には緩急が少なく、大した盛り上がりの無いままエンディングへと向かうが、最後のどんでん返しは中々面白かった。
所々の設定やストーリー的な展開が古臭い感じがして、個人的には好きになれない部分もあった。
とはいえ、全体的にはよくまとまっていて良かったと思う。
ただ、丸括弧()による補足みたいな文章の意味だけは分からなかった。ト書きじゃないんだから。

【モチーフの使い方について】
新興宗教というテーマは意外によく使われているが、この作品の新興宗教は「週刊誌に掲載されてそうな新興宗教の闇的な感じ」である。
作品全体のプロットとしては、教師と刑事がそれぞれの思惑を秘めつつ、胡散臭い新興宗教を調査するというような内容。
「表向きは詐欺まがいの宗教だが、実は裏では殺しもやってるのではないか」というような推測がベースにあって、そういう穿った(そしてちょっと斜め上な)捉え方が週刊誌っぽい。
一発ネタとしては客引きは良さそうだが、舞台としての新興宗教が作品の中で上手く活かされていたかといえば、そうでもないのが残念。
もっと宗教狂いのおばちゃんが発狂したりとか愛蓮さん(作中に出てくる美人のお姉さん)とキャッキャウフフするような展開で、二転三転が欲しかった。

【総評】
傑作とか快作といったものではなく、ただただ平均的で安定した作品だったという印象。
手軽に読めるので、ちょっとした時間つぶしにどうぞ。



reviewmylife at 23:43│Comments(0)TrackBack(0) 小説 | レビュー

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