2010年09月12日

ラサでチベット初の盲人学校を創設した、全盲のドイツ人サブリエ・テンバーケンさん

ラサの盲学校の子供たち今日横浜の「あーすフェスタかながわ」で多文化共生を紹介する映像の上映会が開かれその中でチベットの盲学校生徒が登山に挑戦するドキュメンタリー映画「ブラインドサイト」が上映されたはずだ。

このドキュメンタリーはサブリエ・テンバーケンさん(Sabriye Tenberken 1970年生まれ)というラサで1998年に盲学校を創設した全盲のドイツ人女性が学校の教え子6人と共にエベレストの北にある7043mのラクパリ峰登頂に挑んだ時の記録。
山頂には達することができなかったが「ゴールは頂上ではない。視界がさえぎられた氷原が目の見えない子供たちの頂上だった」と彼女は言った。

彼女は出生時より強い視覚障害を負い、先天的な進行性の網膜退化のため12歳で完全失明した。両親は、彼女を目の見える子供と同じように扱い、急流の中でカヌーを漕がせ、スキーも教えたという。「どんな人でもできないことが必ずある、最も重要なのは自分の能力の限界を発見し、限界まで発揮すること」と両親は彼女に教えた。
盲学校時代にチベットに興味を持ち、ボン大学でチベット学を専攻。1992年チベット語の点字を世界で初めて創作した。その後、このチベット語の点字は盲人用の公式言語となった。
「無国境の点字チベット語」は光に追いつくための足跡と彼女は言った。

サブリエ・テンバーケンさんとポール・クローネンバーグさん1997年1人でチベットに行き、馬等で村々を回りチベットの盲人たちの現状を調査した。チベットでは太陽の輻射が強いため、目の病気の発病率が高く、チベット高原には失明者が多い。盲目の子供たちがベッドに縛られ、人目から隠され、物乞いにだされるのを知って、彼女は盲学校を創ろうと思い立った。「知識に飢え、好奇心にあふれる子供たちを支援して強くしたい」と思い、正しい技術と方法を使えば、自分の前に全世界が開かれることを、同じ目の不自由な彼女はよく知っていたからだ。
そんな子供たちを救おうと、1998年チベットに再び行き、実際にラサでチベット初の盲学校を始めた。

チベット語点字だが、最初彼女は様々な困難に遭遇したという。盲人である彼女を騙そうとする者もいた。
自身が盲目である女性の計画に対し信頼を得ることができず募金活動もうまくいかなかった。
しかし、その時シガツェの赤十字で働いていた同じドイツ人男性ポール・クローネンバーグ(Paul Kronenberg)が計画に合流した。その時から学校は順調に行き始めた。彼は彼女の公私のパートナーとなった。
今までに約100人の生徒がこの盲学校で勉強した。
彼らの盲学校は全く新しいスタイルだったので、このスタイルは他の世界中の地域の人々に参考にされているという。

更に彼女は最近南インドのケララに「国際社会企業家養成学校International Institute for Social Entrepreneurs」を設立し、世界中の盲人学生を集め教育している。

サブリエ・テンバーケンは2005年にはノーベル平和賞候補にノミネートされ、2006年にはマザーテレサ賞を受賞している。
その他、これまでに中国を含め多くの国々から賞を受けている。

私の知り合いの親戚がこの学校にかつて通っていた。その子もこの登山に参加したという。
その子はこの学校に行き始め、非常に明るい子になったということを聞いたことがある。

サブリエ・テンバーケンさんの本の一つは日本語にも翻訳されている。
「ブラインドサイト 小さな登山者たち 」の [DVD] もある。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B5%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%BB%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%B3/s?ie=UTF8&rh=i%3Advd-actor%2Ck%3A%E3%82%B5%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%BB%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%B3&page=1

彼女の会のホームページ:
http://www.braillewithoutborders.org/ENGLISH/index.html

参考:
http://en.wikipedia.org/wiki/Sabriye_Tenberken
http://japanese.cri.cn/782/2009/11/25/141s150766.htm
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20070819ok01.htm

写真1枚目:サブリエさんとポール。雑誌「ソトコト」2010年5月号86ページより。©Braille Without Borders

2枚目:ラサの盲学校の生徒たち.サブリエ・テンバーケンさんのホームページより。

3枚目:彼女が創作したチベット語点字。同上ホームページより。





rftibet at 18:45│Comments(10)TrackBack(0) その他 

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この記事へのコメント

1. Posted by トンバニ   2010年09月13日 10:12
最近パソコンの調子が悪いせいか、昨日のこの記事ダブってアップされてたことに昨日の朝気付いた。
それで一つを消したが拍手やkuukuuどののコメント付きの方が消えてしまった。
拍手して下さった方やkuukuuどのに申し訳ないことになっちゃった!

で、kuukuuどののコメントに「チベットでは盲目の子供たちは前世の業だから仕方ないとして面倒見ない風習があった」というのがあった。一般にこのコメントは東南アジアやチベットの仏教圏について言われることがある。

しかし、これはどうかな?と思う。
欧米や日本でも現在のような盲人学校ができるまでは盲人をどのように扱っていいかのマニュエルもなく、ほっておかれた人が多いと思う。按摩になるというぐらいだったかも?
2. Posted by トンバニ   2010年09月13日 10:23
続き:
チベット人は盲人などの身体障害者をカルマだからと言って、差別していたわけではない。かわいそうだと思われ、ちゃんと出来るだけの世話はしてきたと思う。

今では、亡命社会には障害者の施設が各地に作られちゃんとケアされている。
障害者へのケアは世界中どこでも、社会全体がある程度発展し教育水準が上がり、経済的余裕ができないと十分には行えなかったと思う。

これは老人介護だっておなじだ。
3. Posted by kuukuu99%   2010年09月13日 11:28
そうか、前のコメントが消えてしまったのか。

再録できないので要約。

「ブラインドサイト」のDVDはネット通販で買えます、ということ。(持ってます)

漢族の盲目の少年が親にも捨てられた過酷な運命から逃れるために、チベット人の少年タシになりすましてこの盲学校に入ったという事実が興味深かったこと。映画のなかでスタッフがタシの故郷を探り当てて父親と再会する場面もありましたね。

映画の中では子どもたちの個々の来歴が語られますがが、辛い境遇にも関わらずこの登山を通して明るくたくましく成長してゆくさまと、表情のかわいさ、豊かさは素晴らしい。

上のトンバニどののコメントの部分はー。

映画のなかで盲目の子どもが「おまえがめくらなのは(親の?)前世のカルマのせいだと虐められたけど、この学校に入ってよかった」というような部分があって、そのことはむしろ自然なことじゃないかと思ったこと。

これは、チベット人のなかにも当然このようなことがあって当たり前ではないでしょうか。

むしろ、このくだりがあったのでこの映画のリアリティが増したと思っていました。

障害をもった人たちへの社会のあり方とはちょっと別の次元の話です。

僕も重い障害をもった子たちといっしょに絵を描いてますのでそのあたりのことは繊細に感じているつもりです。

登山に同行した外国人クルーのなかにも登山を中止するか続行するかでかなりの葛藤がああったことなど、単純な感動ストーリーでないことなども共感を覚えました。

最後のシーンで小さい男の子が「ハッピートゥゲザー 」を歌うシーンでは涙を誘われました。

あまり上映機会はないと思いますのでちょっと高かめだけど(4000円〜?)amazonなどで求めてみては?いい映画だと思います。

4. Posted by トンバニ   2010年09月13日 16:00
kuukuuさん再掲ありがとう。

私はそのドキュメンタリー見てないのだけど、いつか見たいです。
ま、実際「仏教のカルマ説」に私は一度も同意したことがないのです。
それ以前に輪廻思想自体信じない科学的仏教徒だから。
何ていいながら、死にそうになると無理にでも信じようかななんて勝手なこと考えてますがね。
5. Posted by ドルマ   2010年09月13日 17:03
輪廻転生や来世を信じない者は仏教徒とはいえません。

漢族の盲目の少年がチベット族になりすまし.....は、中国では少数民族が優遇されている証拠です。ここはしっかり憶えておきましょう。

貧しい国では、生きていく為に眼を潰したり手足を切断するのは、今でもあることでございます。

盲目なら良いほうで、ダウン症は間引きされています。
6. Posted by トンバニ   2010年09月13日 19:03
ドルマさん、この少年は漢族ですよね。
貧しい国、、、とか、ダウン症は間引き、、、という話も漢族を含め、、、とのことになりますよね。

転生を信じなくとも、法王のおっしゃる科学的仏教徒の部類に入ります。

「慈悲の思想」と「空の哲学」を確信するという意味です。
7. Posted by kuukuu99%   2010年09月13日 19:57
 
 トンバニどの

「ドルマ」さんのコメントには「ドルマの母」さんの言うように反応しない方がいいと思いますが……。

上のコメントも映画の内容とはまったく相容れないご都合主義的な独断です。

「ドルマ」さんのように「悪意」しか持てないというのも、ある種の悲しい障害かも知れません。

ニントプリンに住んでる子にはダウンの子、多重障害の子も多かったですね。あの空間がなつかしいです。
8. Posted by ドルマ   2010年09月14日 09:57
トンバニ 様

宗教に科学の要素は邪魔になるばかりです。

したがって、「科学的仏教徒」はまやかしです。

インドでは「貧しい国...」の実例は山ほど見られるでしょう。
9. Posted by カルマ・フォーチュン   2010年09月16日 09:47
>7氏

「トンバニどの

「ドルマ」さんのコメントには「ドルマの母」さんの言うように反応しない方がいいと思いますが……。

上のコメントも映画の内容とはまったく相容れないご都合主義的な独断です。」

同感です。が、それにあえてお答えになる所は、トンバニ先生の良いところですよ。

ここのブログの愛読者が、下手に質問に答えてえると、よけいにこじれる事があるから、ブログ主が、対応するのを、お勧めいたします。
10. Posted by カルマ・フォーチュン   2010年09月16日 10:28
身体障害者や、事故で傷がみにこぅなったもんを、差別する習慣があるのは、他の仏教圏だけで、チベット仏教圏では、絶対にありえませんがね。

西洋人には、そう見えたんだろうと思うけどね。

昨日のNHKの「試してガッテン!」は、ボケを防ぐ最新情報と介護の話だったんだけど。
介護する側のことばの話し方をかえ、目線をそろえて、笑顔で、ゆっくり、時間をかけて聞く、聞き方上手になるだけで、ボケどころか、家事が手伝えるまでに、改善した話を、やってた。
あめとむちは、もうふるいんだね。
薬の量もてきめんに減り、そのひとは、持病の薬だけでいいそうです。
(老衰もあるんで、病気そのものが完治する事はありえませんがね。)
ダウン症?自閉症?差別が存在する方がおかしい。
個人差もあり、本人のやる気と、時間は、かかりますが、ようは、リハビリ次第ですよ。

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