2011年05月21日

ウーセル・ブログ「『農奴』再放送でどれだけ洗脳できるのか? 」

_14月10日付けウーセルさんのブログより。

原文:http://p.tl/dMLw
翻訳:雲南太郎さん

参考:今年行われた「農奴解放記念日」については>http://p.tl/lD6N

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重又放映《农奴》,又能洗脑多少?

文/ウーセル

 中国共産党が制定した「チベット100万農奴解放記念日」(3月28日)に、チベット電視台衛星チャンネルでプロパガンダ映画「農奴」がおごそかに放映された時、「赤い悪魔」に強力に洗脳されていた幼少時代に戻ったような気がした。そう、「赤い悪魔」としか形容できない。悪魔は数十年来、「解放者」「大恩人」を気取りながらもチベットをゆっくり丸のみしようとしている。作家として言えば、この映画は権力者がどう歴史を書き換えるのかを研究するチャンスになる。しかし、かつて被害を受けた経験から、画面にあふれるでたらめに耐えられず、嫌悪のあまりテレビから離れてしまった。


 チベット国際キャンペーンは2009年、本土のチベット人の文章を集めた「Like Gold that Fears no Fire: New Writing from Tibet」を出版した。詩歌やエッセイ、日記、芸術批評、評論などの多彩な形式で、チベット全土を席巻した2008年3月の抗議やチベット人が受けた監禁、尋問、迫害などについて書いてある。序文で私は「半世紀に及ぶ強制的な洗脳教育を経た後で、最も恐ろしいのはゴンパが破壊されたことではなく、記憶が消されたり改造されたりしたことだ。記憶を求め、回復、修正し、ひいては歴史と現実を再現する。これは既に私たちの責任になっている」と書いた。

 こうした痛切な感覚を持つのは、チベットに向けた中国政府側の言葉や権威体制のほぼすべての出来事から見て、彼らは半世紀以上にわたり、自分たちが必要とするやり方でチベットを「紹介」し、ねじ曲げ、永遠にコントロールしようと企ててきたからだ。そして歴史と現実を消去、修正する中で、真相は覆われ、恐怖は隠され、チベット人は沈黙せざるを得なくなった。「紅色経典」と評価されている「農奴」こそ、チベットを書き換えた最初の映画と呼ぶことができるのだ。

 「農奴」はチベットを扱った無数の文芸作品に大きな影響やひそかな影響を与えただけでなく、何世代かの中国人のチベット認識に計り知れない誤解を与えた。しかし、この映画の「物語」は実際とても拙い。イデオロギー上の必要から、チベットとチベット人、特に宗教と文化を差別的に描写し、化け物のように表現している。当然、植民行為に権力と合理性を持たせるのが目的だ。映画が物語の形で人々に伝えようとしているのは、立ち遅れて野蛮なチベット人として生きるのは不幸であり、毛主席が派遣した金珠瑪米(発音はジンジューマーミー。「苦しみから救ってくれる菩薩の兵士」の意味で、人民解放軍のこと)に救われる以外に生きる道はないということだ。

 しかしながら、「農奴」は本当の意味での映画ではない。当時の軍事的な帝国主義行動や政治的な帝国主義観念、今日の各方面での帝国主義的な意図を映画というスタイルで組み合わせたに過ぎない。帝国主義観念は重要で、植民征服を実現する精神的な武器だ。共産党によるチベット社会の位置付けが「半封建半農奴制社会」であり、チベット民族への評価は「農奴」にあふれる醜い描写であり、チベットの環境は極めて劣悪な不毛の地などとされていたように、映画に描かれたすべては、共産党がかつての侵略者とは違う存在であるかのような最高の理由付けを彼らのチベット「救出」宣言に与えている。皮肉なことに、「解放」された農奴のチャンバを演じていた役者は今、作品内で激しく批判されていたチベット仏教の信奉者になっている。

 「農奴」は実際のところ侵略者が握るもう一つの銃で、ただ少し時代遅れになったというだけだ。かつて「農奴」のプロパガンダの中で育った私は、ツイッターで「チベット電視台衛星チャンネルが紅色映画の『農奴』を放送してる」とつぶやいた。ツイッター仲間からすぐにリプライがあった。「典型的な洗脳映画で、数え切れないブタを毒した。自分もその一人だった……」。明らかに「赤い悪魔」のプロパガンダは失敗した。どれだけ「農奴」を再放送しても、解放されたいわゆる「農奴」の子孫が2008年に街頭で抗議の声を上げたという事実を説明できないからだ。更に、(ンガバ=四川省アバ県の)若い僧侶プンツォが焼身自殺によって絶望と抗議を伝えたという事実を説明できないからだ。

2011年3月30日 北京にて

(RFA特約評論)

rftibet at 17:04│Comments(0)TrackBack(0)

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