【旧 十二月十八日 大安】大寒・欸冬華(ふきのはなさく)

世の中に虎狼は数ならず人の口こそなほまさりけれ
  ~藤原良経 『秋篠月清集』

世の中に虎や狼などは物の数には入らない。むしろ人の口こそがより恐ろしいのだ。

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Photo:最後のニホンオオカミの剥製(国立科学博物館所蔵)

 ニホンオオカミはすでに絶滅したとみられています。最後の1頭が捕獲された記録は今から114年前。1905年1月23日に奈良県吉野郡で捕獲されたオスの個体で、発見したのはアメリカ人の動物採集家と同行の日本人でした。この日に地元の猟師から腐敗しかけたニホンオオカミの死体を買い受けたとありますので、このオオカミが死んだのはそれより数日前ということになります。『万葉集』に「真神《まがみ》」という記述があるのは神格化されたニホンオオカミのことで、古代から真神は鹿や猪が作物を荒らすのを防いでくれる聖獣として崇拝されてきました。実際、現在も作物被害が増えている猪や鹿、猿などの野生動物の繁殖も天敵となるニホンオオカミの絶滅と無関係ではないようです。なお、「真神」に「大口の」という枕詞がつくのは文字通り獰猛な口が大きいから。また万葉集にある「真神が原」は現在の飛鳥寺付近一帯を指しています。

三諸の 神奈備山ゆ
との曇り 雨は降り来ぬ
雨霧らひ 風さへ吹きぬ
大口の 真神の原ゆ
思ひつつ 帰りにし人 家に到りきや
  ~作者未詳 『万葉集』 巻13-3268 挽歌

三諸の神奈備山の方から
空一面に曇り、雨が降ってきました。
雨まじりに風さえ吹いてきて、
大口の真神の原を通って
物思いにふけって帰って行ったあの人は、
もう家に帰り着いたでしょうか。

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