令和2年8月10日(月) 【旧 六月二十一日 友引】立秋・涼風至(すずかぜいたる)

  山の日の今日の万葉歌は常陸国(茨城県)に検税使(税務調査の特使)としてやってきた大伴氏(旅人か?)とともに高橋虫麻呂が夏の筑波山に登った時に詠まれた長歌と反歌です。万葉歌人も夏山登山を楽しんでいたのですね。

200802_衣手常陸の国の二並ぶ筑波の山を.jpg
Photo:筑波山

衣手 常陸の国に
二《ふた》並ぶ 筑波の山を
見まく欲《ほ》り 君来ませりと
暑けくに 汗かき嘆げ
木の根取り うそぶき登り
峰の上を 君に見すれば
男神《をかみ》も 許したまひ
女神《めかみ》も ちはひたまひて
時となく 雲居雨降る
筑波嶺《つくはね》を さやに照らして
いふかりし 国のまほらを
つばらかに 示したまへば
嬉しみと 紐の緒解きて
家のごと 解けてぞ遊ぶ
うち靡く 春見ましゆは
夏草の 茂くはあれど 今日の楽しさ
  ~高橋虫麻呂 『万葉集』 巻9-1753 雑歌

常陸《ひたち》の国の
二つの頂(男体山と女体山)を持つ筑波の山を
見たいと、あなたが来られたので、
暑いのに汗をかいて嘆きつつ
木の根を持って息を切らせて登り、
頂上を貴方にお見せすれば
男の神もお許しになり、
女の神もお恵みになり、
時を選ばず雲がかかり雨が降る。
筑波嶺を鮮やかに照らして、
お知りになりたかった国の姿を
明らかに見せて下さったので、
嬉しくて衣の紐を解いて
家にいるようにくつろぎ遊び、
春に見るのと比べると
夏草が生い茂ってはいるけれど、今日はこんなに楽しいことです。

反歌
今日の日にいかにか及《し》かむ筑波嶺に昔の人の来《き》けむその日も
  ~同 『万葉集』 巻9-1754 雑歌

今日の日ほど楽しいことありますまい。筑波嶺に昔どんな人が来た日でさえ。

 「衣手」は「ひたち」に掛かる枕詞です。

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Photo:男体山山頂へ向かう登山道

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