令和4年12月15日(木) 【旧 一一月二二日 友引】・大雪・熊蟄穴(くまあなにこもる)

和射見《わざみ》の嶺行き過ぎて降る雪のいとひもなしと申せその子に
  ~作者未詳 『万葉集』 巻10-2348 相聞歌

和射見の嶺を通り過ぎる時に降る雪のように厭うことはないのだとその子に告げておくれ。

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Photo:名神高速道路関ケ原付近(2014年12月15日)~Gooセリカ魂

 不破の関に近い「和射見」は壬申の乱の激戦地でもあった関ケ原の地名。『日本書紀』では「和蹔」と記されています。今でも大雪が降ると高速道路はもちろん、新幹線のダイヤにまで影響する豪雪地帯です。この歌はそんな戦乱とは無関係な相聞歌。あなたのところに通うならそんな大雪でも厭うことなどないと伝えています。古代から不破の関は交通の要衝なので、街道はそれなりに整備されていたはずですが、やはり大雪になると村がまるごと孤立してしまうほどに積もってしまったことでしょう。もう一首「新古今集」から雪の道中の和歌。詠まれた場所は現在の和歌山県新宮市佐野。豪雪地帯ではありませんが、旅の途中で思わぬ大雪に遭ってしまったようです。

駒とめて袖うちはらふかげもなし佐野のわたりの雪の夕暮れ
  ~藤原定家 『新古今和歌集』 巻6-0671 冬歌

馬を止めて袖の雪を払い落とす物陰も見当たらない、佐野のあたりの雪の夕暮れよ。

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