万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

【災害・事故】

#4734 ぶつかってきた運転手と2人きりパトカーを待つ同じ方みて

令和7年9月21日(日) 【旧 7月30日 赤口】 白露・玄鳥去(つばめさる)

信号をまつまのけんか柿若葉
  ~伊藤無迅(1946-)

 この句はおそらく横断歩道を渡ろうとしている歩行者の立場で詠まれているのでしょう。赤信号で停まっている車の中での夫婦喧嘩であればちょっと怖い。私の経験で言えば車の運転中の心の動揺は大変危険。ベテランドライバーならアクセルやブレーキ、ハンドル操作などはいつものルーティーンワークで運転しているのかもしれませんが、肝心なところは集中していないと道を間違えたり、信号や標識を見落としたりすることがあります。

250921_信号をまつまのけんか柿若葉
 今日9月21日から30日までは「秋の交通安全運動」です。人間誰しも間違いや失敗をすることがあるのは当然ですが、いつまで経ってもあとを絶たないのが飲酒運転とあおり運転。これは事故の有無にかかわらず犯罪行為だと考えないといけません。最近は自転車のながらスマホや飲酒運転が多くなり、11月1日からは罰則が強化されます。交通安全週間の間だけではありませんので皆さんご注意を。

ぶつかってきた運転手と2人きりパトカーを待つ同じ方みて
  ~岡本雄矢(1984-)『センチメンタルに効くクスリ』

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#4714 をぎの葉にかはりしかぜの秋のこゑやがて野分の露くだくなり

令和7年9月1日(月) 【旧 7月10日 仏滅】 処暑・天地始粛(てんちはじめてさむし)

二百十日厄難兆す日となれり
  ~大橋晄(1938-2024)「雨月」

 今日は立春から数えて210日目。雑節のひとつ「二百十日」は台風や強風が吹き荒れてくる日といわれます。この時期の台風は本土に上陸するコースをとることが多いのです。実際に1959年には「伊勢湾台風」が上陸して甚大な被害をもたらしています。特に農家にとって「二百十日」は、「八朔」、「二百二十日」とならんで、天候が悪くなる三大厄日とされています。

250901_をぎの葉にかはりしかぜの秋のこゑ
Photo:野分 ~裏磐梯ペンションレラ ブログ

 もっと大きな歴史的災害といえば、1923(大正12)年のこの日に発生した「関東大震災」。9月1日はこれらを忘れることなく災害に備えようという意味でも「防災の日」とされています。農家ならずとも、またどんな災害にも慌てないように心構えをしておきましょう。

をぎの葉にかはりしかぜの秋のこゑやがて野分の露くだくなり
  ~藤原定家 (1162-1241)『玉葉和歌集』

荻の葉に吹く風が秋の声を聴くような趣きにかわり、やがて野分が残した露を砕き散らしてゆくようだ。

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#4684 雨降ればたぎつ山川岩に触れ君が砕かむ心は持たじ

令和7年8月2日(土) 【旧 閏6月9日 友引】 大暑・大雨時行(たいうときどきにふる)

雨降ればたぎつ山川岩に触れ君が砕かむ心は持たじ
  ~作者未詳 『万葉集』 巻10-2308 相聞歌

雨が降れば激しく山を流れる川が岩に触れて砕けてしまうような、私はあなたに対してそんな心を持ってはいません。

250802_雨降ればたぎつ山川岩に触れ
Photo:ゲリラ豪雨 ~ITwrap

 七十二候の第36候「大雨時行(たいうときどきにふる)」。時として大雨が降るという意味で、二十四節気「大暑」の末候にあたる今日からの5日間です。これをすぎればもう「立秋」。夏も終わる時期が近づくと、時として夕立や集中豪雨など激しい雨が降ることがあります。台風もそろそろ増えてくるし、最近では温暖化の影響もあるのか、一部の地域を突然襲うゲリラ豪雨や線状降水帯なるものも発生します。今年はそんな大きな災害がないことを祈りたいですね。

天よりす豪雨地表を覆ひたり
  ~日野草城(1901-1956)

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#4641 妻とする朝餉のしばし異様なる音に驚きわが覗き見る

令和7年6月20日(金) 【旧 5月25日 大安】 芒種・「梅子黄(うめのみきばむ)」

妻とする朝餉のしばし異様なる音に驚きわが覗き見る
  ~安井昭宗 『銀剣草』

 1946年4月1日に起こったアリューシャン地震(マグニチュード8.1)による津波は震源地に近い北アメリカや日本ではほとんど観測されなかったにもかかわらず、遠く離れたハワイにおいて死者・行方不明者165名を出す激甚な被害をもたらしました。冒頭の短歌は発生時の恐怖を詠んだもの。ハワイの日系人といえば日本軍のパールハーバー奇襲攻撃によって蔑視されていたことで知られますが、この津波被害は戦争が終わって1年も経たない時の出来事でした。

250620_妻とする朝餉のしばし異様なる
Photo:津波の襲来から逃げるハワイ州ヒロの住民(1946年4月1日)

 今日6月20日は「国際日系デー」。1868(明治元)年のこの日に日本初の集団移住者がハワイに到着したことにちなんで、2018年に開催された第59回海外日系人大会で制定されました。移民といえば1908年の笠戸丸によるブラジルへの集団移住を思い浮かべますが、ハワイへの移住はその40年も前に始まっていたのです。国内で様々な事情があったにせよ、身一つで異国に渡っての生活は辛苦を極めたであろうことが想像できます。もう一首、移住先で日本の故郷に残した親を思う歌がありました。

健やかと父の便りも涙ぐむ筆の跡にも老いませしかと
  ~浦部緑村 『銀雨』

250620_健やかと父の便りも涙ぐむ
Photo:日系移民が拓いた街「ワヒアワ」の海岸(オアフ島) ~Travel & LIFE

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#4541 常よりも父はやさしくふるまいて子等らと過ごしぬ空襲前夜

令和7年3月11日(火) 【旧 2月12日 先勝】 啓蟄・「桃始笑(ももはじめてさく)」

三月十日も十一日も鳥帰る
  ~金子兜太 「海程」2011年10月号

 金子兜太の句にある「三月十一日」とは2011年3月11日、三陸沖に発生した地震と津波による東日本大震災のことを指しています。これはまだまだ私達の記憶に新しいのですぐにピンとくる日付ですね。では「三月十日」とは何でしょう。

250311_三月十日も十一日も鳥帰る
Photo:空襲で焼け野原になった東京 ~YAHOO! Japan ニュース

 ちょうど80年前の1945年3月10日、東京下町地区を目標にB29からおよそ1,700トンもの焼夷弾が投下された「東京大空襲」の日。ちなみに東日本大震災による死者15,723人(震災関連死を含めず)に対して東京都心部への無差別爆撃はこの日を含めて計106回行われており、遺体が確認された数だけでも10万5400人。もちろん東京以外の地方都市にも大規模な空襲がありましたが、今はそれを知る人も少なくなってしまいました。これも日本人の記憶としては忘れてはならない悲しみの一つです。

常よりも父はやさしくふるまいて子等らと過ごしぬ空襲前夜
  ~赤音崎爽 『昭和二十年大阪大空襲~我が祖母の6ヶ月間の記憶』より

250311_子等らと過ごしぬ空襲前夜
Photo:第2次大阪大空襲後の大阪築港 ~常夏通信

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